説明

レベルチェッカ

【課題】アンテナ設置方向の調整作業を簡易に短時間で行うことを可能とするレベルチェッカを提供する。
【解決手段】指定チャンネルの信号を復調,誤り訂正処理することで得られる情報を用いて伝送品質(MER,BER)を測定する伝送品質測定部17から供給されるビット列(TSパケット)に基づき、そのビット列に含まれるMPEG2方式で符号化されたデータを復号することにより、指定チャンネルの映像データVAを生成するMPEG2デコーダ(以下、単位「デコーダ」という)18を備え、制御部21によって生成される測定結果を示した測定結果画像だけでなく、デコーダ18にて生成された映像データVAに基づく映像、又はその映像に測定結果画像を重畳した映像を、映像合成出力部19及び表示切替部20を介して表示部12に表示させるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送波の受信レベルを測定するレベルチェッカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビ放送波用受信アンテナの設置時に行う設置方向の調整作業や、共同受信システムやCATVシステム等において行うシステム各部での信号レベルの確認作業等で使用するレベルチェッカが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、デジタル放送に対応するレベルチェッカとして、信号レベルの測定だけでなく、受信したテレビ放送信号を復調するチューナモジュールを内蔵し、復調の際に抽出される情報から変調誤差比(MER)を求めたり、復調により得られたビット列のビット誤り率(BER)を求めたりすることによって伝送品質の測定を行うものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−295363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、テレビ放送波用受信アンテナを設置した場合、その設置した受信アンテナからの受信信号によってテレビ受像機に映像が映るか否かを実際に確認(以下「映像確認」という)する必要がある。
【0006】
但し、地上波デジタル放送に対応したテレビ受像機において映像確認を行うためには、テレビ受像機に内蔵されているチューナ(以下「地デジチューナ」という)に、チャンネルサーチを実行させなければならない。
【0007】
具体的には、地デジチューナにて全ての物理チャンネルを順次選局して、デジタル放送が復調されるチャンネルを受信可能なチャンネルとして抽出し、これをチャンネルリストに登録する。即ち、チャンネルサーチでは、デジタル放送が復調されないチャンネルは無視されることになる。
【0008】
このため、チャンネルサーチによって、その地域で視聴可能とされている全てのチャンネルを抽出することができなかった場合、受信アンテナの向きを再調整して、再度チャンネルサーチするという作業を繰り返し行う必要がある。
【0009】
しかし、ただでさえ時間を要するチャンネルサーチを、アンテナの向きを再調整する毎に行っているのでは、作業時間が増大してしまうという問題があった。
特に、アンテナとテレビ受像機とが離れた位置に設置されている場合には、このアンテナの調整作業を一人で行うことが困難であるという問題もあった。
【0010】
また、テレビ受像機のない山間部や僻地等で、アンテナのみを設置する作業を行う場合は、レベルチェッカだけでなく、テレビ受像機やそれを動作させるためのAC100V電源等も必要となり、これらの装置を持ち運ぶことが大変に煩わしいという問題もあった。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するために、アンテナ設置方向の調整作業を簡易に短時間で行うことを可能とするレベルチェッカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、チェック対象となるテレビ放送信号の物理チャンネルを指定する指定手段と、前記指定手段にて指定された物理チャンネルを指定チャンネルとして、該指定チャンネルでの信号レベルを測定するレベル測定手段と、前記指定チャンネルの信号を復調する際に抽出される情報及び該復調により得られるビット列に基づいて、前記指定チャンネルでの伝送品質を測定する品質測定手段と、前記レベル測定手段、及び品質測定手段での測定結果を表示する表示手段とを備えたレベルチェッカにおいて、前記品質測定手段により得られたビット列をデコードして映像データを生成するデコード手段と、前記デコード手段にて得られた映像データに基づく映像を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレベルチェッカにおいて、前記表示制御手段は、前記レベル測定手段及び品質測定手段からの測定結果に基づく画像、又は前記デコード手段からの映像データに基づく映像を、外部からの指令に従って択一的に表示させる切替制御手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレベルチェッカにおいて、前記表示制御手段は、前記デコード手段からの映像データに基づく映像に、前記レベル測定手段及び前記品質測定手段からの測定結果に基づく画像を重畳して表示させる重畳制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレベルチェッカにおいて、前記テレビ放送信号は、少なくとも地上波デジタル放送を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載のレベルチェッカによれば、指定手段を介して指定された任意の物理チャンネルの映像を、レベルチェッカに備えられた表示手段に表示させることができるため、テレビ受像機にチャンネルサーチを行わせることなく映像確認を行うことができる。その結果、アンテナ設置方向を調整する作業の作業効率を向上させることができるだけでなく、その調整作業のためにレベルチェッカ以外の装置(テレビ受像機やAC電源等)を必要としないため、作業に必要な装置を運搬する手間を大幅に削減でき、また、作業自体を一人で実施することもできる。
【0017】
請求項2に記載のレベルチェッカによれば、測定結果に基づく画像と、映像データに基づく映像とを、適宜切り替えて表示手段に表示させることができるため、実施する作業に応じて作業に適した画面を適宜選択することができる。
【0018】
請求項3に記載のレベルチェッカによれば、映像データに基づく映像に、測定結果に基づく画像を重畳したもの、即ち、作業等に必要な情報が一括して示された画面を表示手段に表示させることができる。
【0019】
請求項4に記載のレベルチェッカによれば、地上波デジタル放送用の受信アンテナの設置方向を調整する作業に使用することができる。
なお、テレビ放送信号は、地上波デジタル放送の放送信号に限らず、衛星デジタル放送の放送信号や、CATVの放送信号であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】レベルチェッカの全体構成を示すブロック図。
【図2】制御部が実行するメイン処理の内容を示すフローチャート。
【図3】制御部が実行する測定処理の内容を示すフローチャート。
【図4】測定モード毎に設定された測定結果画像の表示例を示す説明図。
【図5】表示モード毎の表示内容を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
<概要>
図1は、本発明が適用されたレベルチェッカ10の全体構成を示すブロック図である。
【0022】
なお、レベルチェッカ10は、地上波デジタル放送用のチャンネル(UHF帯)を用いて伝送される信号(以下「放送信号」という)を受信し、指定された物理チャンネル(帯域幅6MHz)毎に信号レベル及び伝送品質(BER,MER)の測定を行うものである。
【0023】
また、放送信号には、MPEG2方式が適用されており、TS(トランスポート・ストリーム)パケットが使用される。このTSパケットは、畳み込み符号、リード・ソロモン符号によって符号化され、更にOFDMによって変調された状態で、放送局から送出される。
【0024】
<構成>
図1に示すように、レベルチェッカ10は、放送信号を伝送する伝送線路に接続される入力端子11と、測定結果等を表示するための表示部12と、当該レベルチェッカ10に対する各種指令を入力するための操作部13とを備えている。
【0025】
なお、入力端子11は、テレビ受像機やチューナに設けられた放送信号の入力端子と同型のコネクタによって構成されている。
表示部12は、液晶ディスプレイ(LCD)からなる周知のものである。
【0026】
操作部13は、キーマトリクス等で構成され、表示部12の表示と連動して、少なくとも、測定対象となるチャンネル/周波数の指定、及び、測定内容を規定する測定モードの切替、測定結果等を表示部12に表示する際の表示モードの切替を行うための入力操作が可能なように構成されている。
【0027】
また、レベルチェッカ10は、チャンネル設定信号Schに示された物理チャンネル(以下「指定チャンネル」という)の信号を抽出して、その信号レベルLVを測定する信号レベル測定部16と、指定チャンネルの信号を復調,誤り訂正処理等を施してTSパケットを表すビット列を生成すると共に、その復調時に得られる情報を用いて指定チャンネルの伝送品質(MER,BER)を測定する伝送品質測定部17と、入力端子11を介して入力される放送信号の信号レベルを、ゲイン調整信号Sgcに従って増減させてレベル調整を行うと共に、レベル調整された信号を、動作選択信号Sseに従って信号レベル測定部16又は伝送品質測定部17のいずれかに供給する入力レベル調整部15とを備えている。
【0028】
更に、レベルチェッカ10は、伝送品質測定部17から供給されるビット列(TSパケット)に含まれるMPEG2方式で符号化されたデータを復号することにより、指定チャ
ンネルの映像データVAを生成するMPEG2デコーダ(以下、単位「デコーダ」とう)18と、デコーダ18にて生成された映像データVAに基づく映像に、重畳信号Sodから特定される画像が重畳して表示されるように加工した映像データDBを生成する映像合成出力部19と、信号レベル測定部16や伝送品質測定部17での測定結果や現在選択されている指定チャンネル等の情報を示した画像(以下「測定結果画像」という)を表示部12に表示させるための画像データDA、及び映像合成出力部19から供給される映像データDBのうち、いずれか一方を、表示切替信号Sdmに従って選択して、表示部12に供給する表示切替部20と、操作部13を介して入力される各種指令に従って、当該装置の各部を制御する制御部21とを備えている。
【0029】
また、レベルチェッカ10には、図示しないが、装置各部に電源供給を行うバッテリと、衛星放送受信用のアンテナに設けられたコンバータに対して、入力端子11に接続された伝送線路を介して給電を行うための給電回路とが設けられている。
【0030】
<信号レベル測定部>
信号レベル測定部16は、指定チャンネルの信号を抽出する選局回路、選局回路の出力を検波する検波回路等からなる周知のものである。
【0031】
但し、信号レベル測定部16にて測定される信号レベルLVは、入力レベル調整部15にて調整されたものである。つまり、信号レベルLVは、実際の信号レベルを表したものではなく、実際の信号レベルを求めるために必要な情報として、制御部21に供給される。
【0032】
なお、信号レベル測定部16は、測定可能な入力レベルの範囲(レベル測定用許容範囲)が予め規定されており、しかも、レベルチェッカ10の測定可能範囲は、このレベル測定用許容範囲より広く設定されている。
【0033】
<伝送品質測定部>
伝送品質測定部17は、指定チャンネルの信号をダイレクト復調することによってビット列を生成し、そのビット列に対する誤り訂正処理(ここではビタビ復号)を行うことによって、TSパケット(誤り訂正されたビット列)を生成する。
【0034】
更に、復調時に抽出されるMERの算出に必要な情報(例えば、I,Q信号の振幅)や、復調により得られたビット列(訂正前のビット列)、及び該ビット列に対して誤り訂正処理を施したビット列(訂正後のビット列)から得られるBERの算出に必要な情報(例えば、測定対象となったビット数、誤り訂正が行われたビット数)を求めて、制御部21に供給するように構成されている。
【0035】
また、伝送品質測定部17は、測定可能な入力レベルの範囲(以下「品質測定用許容範囲」という)が予め規定されている。しかも、レベルチェッカ10への入力信号の信号レベルに応じて、測定に最適な入力レベル(以下「最適レベル」という)が予め規定されている。
【0036】
<入力レベル調整部>
入力レベル調整部15は、増幅器及び可変減衰器等で構成され、制御部21からの指令に従って、可変減衰器での減衰量を増減することによって、信号レベルを0.1dB単位で調整するように構成された周知のものである。
【0037】
但し、入力レベル調整部15の出力部分には、動作選択信号Sseに従って動作する1入力2出力のセレクタが設けられており、その二つの出力が、信号レベル測定部16及び伝
送品質測定部17のいずれかに接続されている。また。いずれの出力が選択された場合でも、セレクタでの通過減衰量は同一となるように構成されている。
【0038】
つまり、入力レベル調整部15は、信号レベル測定部16の入力レベルが上述の規定範囲(測定可能範囲)内となり、また、伝送品質測定部17への入力レベルが上述の規定レベル(最適レベル)となるようにする調整を可能とするために設けられている。
【0039】
<MPEG2デコーダ>
デコーダ18は、伝送品質測定部17から供給されるTSパケット(訂正後のビット列)に含まれるMPEG2方式で符号化されたデータを復号することにより、映像データVA及び音声データを生成する周知のものであり、ここでは、映像データVAのみが使用される。
【0040】
<映像合成出力部>
映像合成出力部19は、重畳信号Sodの入力がない場合には、デコーダ18からの映像データVAを、そのまま映像データDBとして出力し、重畳信号Sodの入力がある場合には、周知のオンスクリーンディスプレイ(OSD)機能を利用して映像データVAを加工した映像データDBを出力するように構成されている。
【0041】
<表示切替部>
表示切替部20は、表示切替信号Sdmに従って、制御部21から供給される画像データDAに基づく表示(測定結果画像)と、映像合成出力部19から供給される映像データDBに基づく表示(映像のみ又は測定結果画像を重畳した映像)とを切り替えるように構成されている。
【0042】
<制御部>
制御部21は、CPU,ROM,RAMを中心に構成された周知のマイクロコンピュータからなり、信号レベル,伝送品質の測定や測定結果の表示を行う測定処理や、操作部13での操作に従って測定条件の設定や測定処理の起動停止を行うメイン処理等を実行する。
【0043】
なお、ROMには、後述するメイン処理や測定処理を実行するためのプログラムの他、レベルチェッカ10への入力信号の信号レベルと、伝送品質測定部17での最適レベルとの関係を示すテーブル(最適レベル設定テーブル)が少なくとも記憶されている。
<<メイン処理>>
ここで制御部21が実行するメイン処理を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0044】
なお、本処理は、レベルチェッカ10の電源がオンしている間実行される。
S110では、操作部13にて測定の開始又は終了を指示する測定指示操作が行われたか否かを判断し、肯定判断した場合はS120に、否定判断した場合はS130に移行する。
【0045】
S120では、後述する測定処理が既に実行されているのであれば、その測定処理を停止し、測定処理が実行されていないのであれば、測定処理を起動してS110に戻る。
S130では、操作部13にて測定処理の対象となる物理チャンネルを指定するチャンネル指定操作が行われたか否かを判断し、肯定判断した場合はS140に、否定判断した場合はS150に移行する。
【0046】
S140では、信号レベル測定部16及び伝送品質測定部17に、チャンネル指定操作によって指定された物理チャンネル(即ち、指定チャンネル)を表すチャンネル設定信号Schを出力してS110に戻る。
【0047】
S150では、操作部13にて、測定モード及び表示モードを指定するモード指定操作が行われたか否かを判断し、肯定判断した場合はS160に移行し、否定判断した場合はS110に戻る。
【0048】
なお、レベルチェッカ10の測定モードとしては、アンテナ方向調整に用いるアンテナ方向調整モード、主として信号レベルの確認に用いるレベル測定モード、主として信号品質の確認に用いるBER/CN比測定モード、主としてコンスタレーションの確認に用いるコンスタレーション表示モードが存在する。
【0049】
また、表示モードとしては、測定結果画像のみを表示する結果表示モード、指定チャンネルの映像のみを表示する映像表示モード、指定チャンネルの映像に測定結果画像を重畳して表示する重畳表示モードが存在する。
【0050】
S160では、操作部13を介して設定された測定モード及び表示モードでの測定,表示が行われるように、当該レベルチェッカ10の各部を設定して、S110に戻る。
なお、測定モードの設定結果は、後述する測定処理において、伝送品質測定の要否の判定に使用され、表示モードの選択結果は、表示切替信号Sdm,重畳信号Sodの設定に使用される。
【0051】
具体的には、表示切替信号Sdmは、結果表示モードの場合は表示切替部20にて画像データDAが選択され、それ以外の場合は表示切替部20にて映像データDBが選択されるように設定される。また、重畳信号Sodは、重畳表示モードの場合にのみ映像合成出力部19に供給されるように設定される。
【0052】
つまり、メイン処理では、操作部13に加えられる操作に従って、測定条件の設定や、測定処理の起動停止を行うようにされている。
<<測定処理>>
次に、S120の処理によって起動,停止される測定処理の内容を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。なお、本処理は、起動操作が行われると、停止操作が行われるまでの間、一定時間間隔毎に繰り返し実行される。
【0053】
本処理が起動すると、まずS210では、入力レベル調整部15の出力の供給先が、信号レベル測定部16となるように選択信号Sseを設定する。
S220では、信号レベル測定部16の入力レベルが規定範囲内となるように、ゲイン調整信号Sgcを増減する入力レベル調整処理を実行する。
【0054】
S230では、信号レベルの算出に必要なデータを取得する。ここでは、信号レベル測定部16での測定結果を3回測定し、そのばらつきが予め設定された許容値以下である場合に、その平均値を算出用データとする。
【0055】
S240では、S230で取得した算出用データ、及びS220にて調整された入力レベル調整部15でのゲインに基づいて信号レベル、及びC/Nを算出し、その算出結果をRAMに保存する。
【0056】
S250では、伝送品質測定を実行するか否かを判断し、伝送品質測定を実行するのであればS260に移行し、伝送品質測定を実行しないのであればS300に移行する。
なお、伝送品質測定を実行するか否かの判断は、設定されている測定モードにより判断する。具体的には、レベル測定モードでは否定判断され、それ以外では肯定判断される。
【0057】
S260では、入力レベル調整部15の出力の供給先が、伝送品質測定部17となるように選択信号Sseを設定する。
S270では、S240にて算出された信号レベルと、ROMに記憶された最適レベル設定テーブルとに従って、最適入力レベルを求め、伝送品質測定部17の入力レベルが、その求めた最適レベルとなるように、入力レベル調整部15のゲインをゲイン調整信号Sgcによって設定する。
【0058】
S280では、伝送品質測定部17から伝送品質の算出に用いる伝送品質算出用データを取得する。
S290では、S280にて取得したデータに基づき、MER,BER等を算出し、その算出結果をRAMに保存する。
【0059】
S300では、S240及びS290にて算出,保存された測定結果、及び操作部13を介して選択された測定対象の物理チャンネルに従って、設定されている測定モードに応じた測定結果表示用の画像データを生成すると共に、S160にて設定された表示モードに従った表示が行われるように切替信号Sdm,Sodを設定して本処理を終了する。
【0060】
ここで、測定モード毎に用意されている測定結果画像の表示例を図4に示す。但し、(a)がアンテナ方向調整モード、(b)がレベル測定モード、(c)がBER/CN比測定モード、(d)がコンスタレーション表示モードである。
【0061】
図4に示すように、いずれの測定結果画像も、「測定モード」「測定対象のバンド名」「測定対象チャンネル」「測定対象周波数」「変調方式」「バッテリ残量」「ブースタ給電の有無」等が表示される。
【0062】
更に、測定結果画像には、実際の測定結果として、アンテナ方向調整モードの場合は、「信号レベルのバーグラフ」「受信確認マーク」「C/Nの値」「BERの値」が表示され(図4(a)参照)、レベル測定モードの場合は、「信号レベルのバーグラフ」「信号レベルの値」が表示され(図4(b)参照)、BER/CN比測定モードの場合は、「BERのバーグラフ」「BERの値」「C/Nの値」が表示され(図4(c)参照)、コンスタレーション表示モードの場合は、「コンスタレーションのバラツキ図」「MERの値」が表示される(図4(d)参照)。
【0063】
また、図5は、各表示モードでの表示例であり、(a)が結果表示モード、(b)が映像表示モード、(c)が重畳表示モードである。但し、重畳表示モードでは、映像を最大限に確認できるように、結果表示モードで表示される情報の一部(ここでは「測定対象のバンド名」「測定対象チャンネル」「BERの値」「C/Nの値」)が画面の隅に表示される。
【0064】
<効果>
以上説明したように、レベルチェッカ10によれば、測定結果画像だけでなく、指定チ
ャンネル(測定対象となった物理チャンネル)の映像を表示部12に表示させることができるため、テレビ受像機にチャンネルサーチを行わせることなく映像確認を行うことができる。その結果、アンテナ設置方向を調整する作業の作業効率を向上させることができるだけでなく、その調整作業のためにレベルチェッカ以外の装置(テレビ受像機やAC電源等)を必要としないため、作業に必要な装置類を運搬する手間を大幅に削減でき、また、作業自体を一人で実施することもできる。
【0065】
また、レベルチェッカ10によれば、測定結果に基づく画像と、映像データに基づく映像と、映像データに基づく映像に測定結果に基づく画像を重畳したものとを適宜切り替えて表示部12に表示させることができるため、実施する作業に応じて作業に適した画面を適宜選択することができる。
【0066】
<発明との対応>
本実施形態において、操作部13及びS130,S140が指定手段、信号レベル測定部16及びS230,S240がレベル測定手段、伝送品質測定部17及びS280,S290が品質測定手段、表示部12及びS300が表示手段、MPEG2デコーダ18がデコード手段、映像出力部19及び表示切替部20が表示制御手段、特に表示切替部20が切替制御手段、映像出力部19が重畳制御手段に相当する。
【0067】
<他の実施形態>
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様にて実施することが可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態では、重畳表示モードの場合、結果表示モードの場合に表示する測定結果画像を、映像表示モードで表示する映像に単純に重畳しているが、測定結果画像とは異なる形式にして(例えば、縮小,配置換えして)重畳してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、伝送品質測定部17として、地上波デジタル放送の変調方式,符号化方式に対応したものを用いたが、CATV,BSデジタル放送,CS放送の変調方式,符号化方式に対応したものを用いてもよい。また、複数種類の伝送品質測定部17を設け、適宜、切り替えて使用するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…レベルチェッカ 11…入力端子 12…表示部 13…操作部 15…入力レベル調整部 16…信号レベル測定部 17…伝送品質測定部 18…MPEG2デコーダ 19…映像合成出力部 20…表示切替部 21…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェック対象となるテレビ放送信号の物理チャンネルを指定する指定手段と、
前記指定手段にて指定された物理チャンネルを指定チャンネルとして、該指定チャンネルでの信号レベルを測定するレベル測定手段と、
前記指定チャンネルの信号を復調する際に抽出される情報及び該復調により得られるビット列に基づいて、前記指定チャンネルでの伝送品質を測定する品質測定手段と、
前記レベル測定手段、及び品質測定手段での測定結果を表示する表示手段と、
を備えたレベルチェッカにおいて、
前記品質測定手段により得られたビット列をデコードして映像データを生成するデコード手段と、
前記デコード手段にて得られた映像データに基づく映像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とするレベルチェッカ。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記レベル測定手段及び品質測定手段からの測定結果に基づく画像、又は前記デコード手段からの映像データに基づく映像を、外部からの指令に従って択一的に表示させる切替制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のレベルチェッカ。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記デコード手段からの映像データに基づく映像に、前記レベル測定手段及び前記品質測定手段からの測定結果に基づく画像を重畳して表示させる重畳制御手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレベルチェッカ。
【請求項4】
前記テレビ放送信号は、少なくとも地上波デジタル放送を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレベルチェッカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−239540(P2010−239540A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87187(P2009−87187)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】