説明

レルカニジピン遊離塩基

本発明は、少なくとも95%、好ましくは、少なくとも約97%、さらに好ましくは、少なくとも約99%、さらになお好ましくは少なくとも約99.5%の純度を有する、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を提供する。本発明にかかるレルカニジピン遊離塩基は、取り扱いが簡易で、特に医薬組成物の製剤に非常に適した非晶質の固体として形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に純粋なレルカニジピンの遊離塩基、および、遊離塩基およびそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
レルカニジピン(メチル1,1,N−トリメチル−N−(3,3−ジフェニルプロピル)−2−アミノエチル1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)ピリジン−3,5−ジカルボキシレート)は、長時間作用性で血管選択性の高い、高脂肪親和性のジヒドロピリジンカルシウム拮抗薬である。レルカニジピンは、L型カルシウムチャネルのジヒドロピリジン・サブユニットに対して高親和性を有し、また、競合的に拮抗する。
【0003】
レルカニジピンは、降圧剤として有用である。レルカニジピンは、動脈平滑筋のカルシウムチャネルをブロックすることによって血圧を降下させ、それによって、末梢の血管抵抗性を低下させる。レルカニジピンには、心臓に対する筋収縮性のマイナス作用がなく、ごく稀に、一般には短時間の軽い反射性頻拍症を起こす。レルカニジピンは、高血圧症の治療が認可されており、ザニディップ(Zanidip)(登録商標)の名の下、欧州諸国で1996年から販売されている。
【0004】
レルカニジピンの塩酸塩は、レコルダッチ社(Recordati S.p.A.)(イタリア、ミラノ)から市販されている。塩酸レルカニジピンの調製方法、ならびに、レルカニジピンを個々の鏡像異性体に分割する方法は、特許文献1〜7に記載されている。
【特許文献1】米国特許第4,705,797号明細書
【特許文献2】米国特許第5,767,136号明細書
【特許文献3】米国特許第4,968,832号明細書
【特許文献4】米国特許第5,912,351号明細書
【特許文献5】米国特許第5,696,139号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0069285号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0083355号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粗レルカニジピン遊離塩基の調製方法は、特許文献1に開示されている。その方法では、3−アミノクロトン酸メチルおよび1,1,N−トリメチル−N−(3,3−ジフェニルプロピル)−2−アミノエチルα−アセチル−3−ニトロシンナメートを環化し、続いて乾燥する。生成物を、溶離剤としてアセトンの量を増加させながら、クロロフォルムを用いたシリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。得られた粗レルカニジピン遊離塩基は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定で、およそ94%の純度を有する、非晶質で低融点の固体組成物である。
【0006】
従来技術の非晶質のレルカニジピンの遊離塩基は、不純物が混入しているため、医薬組成物へと製剤するにはあまり適していない。医薬組成物では、活性薬剤が実質的に純粋、すなわち、少なくとも99%の純度であることが要求される。従来技術にかかる非晶質のレルカニジピンは、約94%の純度しかない。従来技術の調製および精製方法を用いた医薬に適した遊離塩基の調製は、費用が嵩み、多大な時間がかかり、生成物の収率が比較的低いことから、商業的に実現不可能である。さらには、従来技術の遊離塩基は粘性があり、製剤の工程で取り扱いが難しく、それゆえに、従来技術の医薬組成物および固体投薬形態、すなわち、即時放出性の錠剤についての利用には、あまり適していない。これらの理由から、従来技術による遊離塩基およびその調製方法は、医薬組成物の調製に十分に適しているとはいえない。
【0007】
ごく最近、発見された、非晶質の組成物、具体的には非晶質のレルカニジピンは、ロウ状の物質を含む放出調節カプセルへの利用によく適している。したがって、非晶質のレルカニジピンの医薬組成物の進歩を促進させるためには、従来技術の限界を克服する、実質的に純粋な非晶質のレルカニジピン遊離塩基およびその製造方法のための技術が必要とされている。本方法は、実質的に純粋で、医薬組成物および経口投薬形態に用意に取り込める、非晶質のレルカニジピン遊離塩基を生ずることが好ましい。さらには、得られる非晶質のレルカニジピン遊離塩基が、従来技術のレルカニジピンと比較して、同様のまたは向上した特性、例えば、溶解性およびバイオアベイラビリティを有することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明者は従来技術の方法に比べて、非常に高い純度を有する実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を見出した。レルカニジピン遊離塩基を調製する新しい方法は、短時間で簡素であり、実質的に純粋な生成物を生成し、商業化によく適している。本発明にかかるレルカニジピン遊離塩基は、塩酸レルカニジピンに比べて有機溶媒に対する溶解性が大きく、予想外ではあるが、哺乳動物に投与した場合には、バイオアベイラビリティも向上させる。さらには、本明細書で述べるレルカニジピン遊離塩基は、経口の投薬形態に容易に製剤され、また、例えば拡散基質としてのロウ状の物質を包含する放出調節された投薬形態に、特に適している。さらには、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を含む放出調節された組成物は、結晶質の塩酸レルカニジピンを含む市販されている組成物と比較して、より大きなバイオアベイラビリティを実証するであろう。
【0009】
本発明は、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基およびその製法、およびそれを含む組成物を対象とする。本発明にかかるレルカニジピン遊離塩基は、従来技術の粗レルカニジピン遊離塩基よりも高い純度を有する、実質的に非晶質の個体として調製される。1つの実施の態様では、本発明は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも約97%、さらに好ましくは少なくとも約99%、および、さらになお好ましくは少なくとも約99.5%の純度を有するレルカニジピン遊離塩基を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、レルカニジピン塩のアルカリ化によって少なくとも95%の純度を有する実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を調製する方法を提供する。1つの実施の態様では、(a)レルカニジピン塩を有機溶媒に溶解して溶液を生成し、(b)その溶液を約9〜約14の範囲のpHを持つ水媒体と混合し;(c)実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を単離することにより、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を調製する。レルカニジピン塩は少なくとも95%の純度であることが好ましい。
【0011】
別の実施の態様では、(a)レルカニジピン塩を水と不混和性の有機溶媒と水に懸濁し、(b)この攪拌した混合物に無機の固体塩基を加えて攪拌を続け、(c)有機層を単離し、真空下で溶媒を蒸発させ、(d)そのようにして得られた純粋なレルカニジピン遊離塩基を混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水と混合し、(e)実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を単離することによって、実質的に純粋な遊離塩基を調製する。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、(a)実質的に純粋な遊離塩基;および(b)医薬的に認容可能な賦形剤および/または担体を含む医薬組成物を提供する。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、少なくとも1つのポリグリコール化グリセリド (polyglycolized glycerides)、および、そのポリグリコール化グリセリド中に分散させた治療に効果的な量の実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を含む、放出制御された医薬組成物を提供する。ここで、ポリグリコール化グリセリドは、約40℃〜約60度の融点および約1〜約14の親水性・親油性バランス(HLB)値を有する。
【0014】
好ましい実施の態様では、本発明にかかる放出制御された医薬組成物は、少なくとも1種類のポリグリコール化グリセリド、および、治療に効果的な量の実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を含み、ここで、ポリグリコール化グリセリドは、Gelucire(登録商標) 37/02、37/06、42/12、44/14、46/07、48/09、50/02、50/13、33/01、39/01、43/01および53/10、もしくはそれらの組合せからなる群より選択される。
【0015】
さらに他の態様では、本発明は、本明細書で開示する医薬組成物を含む固体投薬形態を提供する。
【0016】
本明細書では、次の用語は下記のように定義される:
「約」という用語は、値をどのように測定または決定するか、すなわち、測定システムの限界について部分的に依存するであろう当業者によって決定される、特定の値についての許容し得る誤差の範囲内を意味する。例えば、「約」は、当技術分野における実務について、標準偏差が1以内を意味すること、もしくは1を超えることを意味することも可能である。あるいは、本発明の組成物の純度に関する「約」は、特定の値の±0.5の範囲を意味することが好ましく、±0.25%はさらに好ましく、±0.1%がさらになお好ましい。
【0017】
本明細書では、「実質的に純粋」という用語は、組成物の調製により持ち込まれた溶媒を含む、混入物質に対する重量/重量を基礎として、少なくとも95%、好ましくは、少なくとも約97%、さらに好ましくは、少なくとも約99%の純度である組成物のことをいう。
【0018】
「レルカニジピン遊離塩基」という用語は、メチル1,1,N−トリメチル−N−(3,3−ジフェニルプロピル)−2−アミノエチル1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)−ピリジン−3,5−ジカルボキシレートのことをいい、他の形態の活性部位、例えば酸付加塩を除く。
【0019】
「粗」という用語は、組成物の調製により持ち込まれた溶媒を含む、混入物質に対する重量/重量を基礎として、純度が94%未満の組成物のことをいう。
【0020】
「レルカニジピン塩」という用語は、レルカニジピンの塩のことをいう。認容可能な塩としては、限定はしないが、(i)塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸などの無機酸、(ii)メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、およびナフタレン−1,5−ジスルホン酸などのスルホン酸、(iii)酢酸、(+)−L−乳酸、DL−乳酸、DL‐マンデル酸、グルコン酸、ケイヒ酸、サリチル酸、およびゲンチシン酸などのモノカルボン酸、(iv)シュウ酸、2−オキソ−グルタル酸、マロン酸、(−)−L−リンゴ酸、粘液酸、(+)−L−酒石酸、フマル酸、マレイン酸、およびテレフタル酸などのジカルボン酸、(v)クエン酸などのトリカルボン酸、および、(vi)サッカリンなどの芳香族スルホンイミドが挙げられる。レルカニジピンの医薬的に認容可能な塩としては、限定はしないが、塩酸、ベシル酸、およびナパジシル酸が好ましい。レルカニジピン塩は、1種類またはそれ以上の結晶質または非晶質の形態で存在して構わない。
【0021】
本明細書では、「非晶質」という用語は、実質的な結晶格子構造を持たない固体化合物のことをいう。1つの好ましい実施の態様では、非晶質の化合物は、DSC分析によって確認される。典型的には、非晶質の化合物は、ガラス転移と定義される、幅の広い吸熱性の変化を伴うDSCプロットを生じ、これに比べて、典型的な結晶質の化合物は、鋭い発熱ピークを示す。さらには、非晶質の化合物には、結晶質の固体の特性である明確なピーク特性というよりは、むしろ幅広のXRDスペクトルが存在する。
【0022】
「放出調節された」という用語は、拡大された時間にわたって、治療に効果的な血漿中濃度を維持し、および/または活性成分の他の薬物動態特性の調節に十分な時間にわたり、本発明にかかる組成物からの活性成分、レルカニジピンの放出のことをいう。放出調節は、約20〜約25時間、レルカニジピンの治療的な血漿中濃度および投与間隔の間中ずっと、0.5ng/mlを超えるレルカニジピンの平均血漿中濃度をもたらすことが好ましい。
【0023】
本明細書では、「医薬的に認容可能な」という用語は、生物学的または薬理学的に生体内での利用に適合可能な材料、装置または加工を意味する。1つの態様では、この用語は、米国の監督官庁、または州政府、あるいは米国薬局方、もしくは他の一般に認識されている薬局方によって、動物、特にヒトへの使用が認可されている物質のことをいう。
【0024】
「治療に効果的な量」とは、高血圧症の患者の血圧を降下させるのに十分な活性薬剤の量をいう。治療に効果的な量の活性薬剤により、収縮期および拡張期の血圧値が、それぞれ140および90mmHg未満になるように、血圧が降下することが好ましい。治療に効果的な量の活性薬剤は、高血圧症ではない人の血圧を降下させてもさせなくても差し支えなく、あるいは、高血圧症の人すべての血圧を下げなくても構わない。心不全またはアテローム性動脈硬化症などの他の病状の治療における治療有効性もまた、例えば、引用することにより本明細書に援用される特許文献5および特許文献2に従い、明確に意図されている。治療に効果的な量の活性薬剤は、例えば、約2〜6時間以内に、血圧を低下させることが好ましい。血圧の急速な低下が望まれる場合、治療に効果的な量の活性薬剤は、活性薬剤の投与後、約30分〜約60分以内に、収縮期血圧を約20〜30mmHg、および、拡張期血圧を約10〜20mmHg、降下させるであろう。
【0025】
「患者」という用語は、例えば、本態性高血圧症、二次性高血圧症、収縮期高血圧症、冠状動脈性心臓病(例えば、慢性安定狭心症、心筋梗塞症)、鬱血性心不全、高血圧性クリーゼまたは狭心症などの、治療すべき特定の状態を患っているか、あるいは、発現の危険性のある哺乳動物(例えば、ヒト)のことをいう。動脈性高血圧の治療を要する患者は、例えば、手動の血圧計、自動/電子装置または携帯型24時間血圧モニターを用いて血圧を直接測定することによってなど、当技術分野で周知の方法を用いて判別してよい。
【0026】

レルカニジピン遊離塩基の調製
本発明は、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基、具体的には、少なくとも約95%、および、さらに好ましくは、少なくとも約97%、さらになお好ましくは、少なくとも約99%の純度を有する、レルカニジピン遊離塩基を提供する。遊離塩基の純度は、限定はしないが、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析を含む、当技術分野で既知のいずれかの方法で測定して差し支えない。
【0027】
本発明にかかるレルカニジピン遊離塩基は、高純度で、具体的には不純物の混入のない状態で、容易に得られる。本発明者は、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基が、例えば、レルカニジピンの他の既知の形態の物理的性質よりも好ましい溶解性およびバイオアベイラビリティなどの物理的性質を有することを見出している。本発明にかかる実質的に純粋な遊離塩基は、従来技術の方法により調製された粗レルカニジピン遊離塩基と比較して、取り扱い性がさらに容易であり、医薬組成物および固体の投薬形態に容易に取り込まれるであろう。
【0028】
1つの実施の態様では、本発明にかかるレルカニジピン遊離塩基は、有機溶媒の存在下で、レルカニジピン塩のアルカリ化によって調製して構わない。レルカニジピン塩は、限定はしないが、塩酸、ベシル酸、およびナパジシル酸を含む当技術分野で既知の塩のいずれかであって差し支えない。レルカニジピン塩は、引用することにより本明細書に援用する、米国仮出願第60/604,149号明細書に開示されるなどの当技術分野で周知の方法を用いて調製して差し支えなく、また、商業的供給源から調達してもよい。1つの特に好ましいレルカニジピン塩は、塩酸レルカニジピンである。
【0029】
遊離塩基を生成するレルカニジピン塩のアルカリ化は、有機溶媒に溶解したレルカニジピン塩を、約9〜約14の範囲のpHを有する水媒体と混合することによって行ってよい。アルカリ化反応は、約0℃〜約25℃の範囲の温度で行ってよく、約5℃〜約20℃の温度が好ましい。反応成分を約30〜約120分の間、混合物を攪拌し、次に、約1〜約12時間、静置することが好ましい。
【0030】
レルカニジピン塩からの実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基の調製は、有機溶媒の存在下で行うことが好ましい。1つの実施の態様では、レルカニジピン塩または粗レルカニジピン遊離塩基を、塩基性の水媒体と混合する前に、混和性の有機溶媒に溶解する。混和性の有機溶媒は、限定はしないが、プロトン性の極性溶媒または非プロトン性の極性溶媒が好ましい。プロトン性の極性溶媒としては、限定はしないが、メタノール、エタノール、プロパノールなどの単純アルコール、および、エチレングリコールなどのポリアルコールが挙げられる。典型的な非プロトン性極性溶媒としては、限定はしないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。1つの特に好ましい混和性の溶媒は、メタノールである。
【0031】
本発明にかかる遊離塩基の調製は、約9〜約14のpHを有する水媒体で行うことが好ましく、約9.2〜約10のpHがさらに好ましく、約9.2のpHが最も好ましい。水媒体としては、限定はしないが、有機および無機の塩基を含む水媒体が好ましい。適切な有機塩基としては、限定はしないが、トリメチルアミン、ピペラジン、テトラメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、4−ジメチルアミノピリジンが挙げられる。適切な無機塩基としては、限定はしないが、NaOH、KOH、LiOHおよびホウ砂(Na・10HO)または、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基性塩が挙げられる。陰イオンのイオン交換樹脂もまた利用可能である。陰イオン交換樹脂としては、四級アンモニウム基、三級スルホニウム基、四級ホスホニウム基またはアルキルピリジニウム基などの強塩基性(陽イオン)の基を含む、市販の強塩基イオン交換樹脂が好ましい。陰イオン交換樹脂としては、Rexyn(登録商標)201(フィッシャー・サイエンティフィック社(Fisher Scientific Co.)製)、アンバーライト(登録商標)IR A-400(マリンクロット化学社(Mallinckrodt Chemical Works)製)、Ionac(登録商標)A-540(マシソン、コールマン&ベル社(Matheson, Coleman and Bell)製)、 Dowex(登録商標)I および21K(ダウ・ケミカル社製)、およびデュオライト(登録商標)A-IOlDおよびES-109(ダイヤモンド・シャムロック社(Diamond Shamrock Chemical Co.)製)などの、四級アミンを含むものが特に好ましい。
【0032】
アルカリ化処理のための1つの特に好ましい水溶媒は、ホウ砂(Na・10HO)を含む、約9.2のpHを有する緩衝溶液である。
【0033】
別の実施の態様では、有機溶媒は、水に不混和性の有機溶媒である。不混和の有機溶媒の例としては、限定はしないが、トルエンなどの炭化水素、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、および、ジエチルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテルなどのエーテルである。1つの特に好ましい不混和性の溶媒は、酢酸エチルである。レルカニジピン塩を、少なくとも1種類の不混和性の有機溶媒と水の混合物に懸濁し、攪拌下で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの少なくとも1種類の固体無機塩基を加える。1つの特に好ましい無機塩基は、炭酸カリウムである。
【0034】
混合後、水層を除去し、溶媒を蒸発させる。得られた遊離塩基を第2の有機溶媒、好ましくは、先に論じた水と混和性の有機溶媒に溶解する。遊離塩基を第2の有機溶媒に溶解後、有機塩基を、好ましくは水を加えることによって、溶液から沈殿させる。
【0035】
レルカニジピン塩のアルカリ化で得られる実質的に純粋な遊離塩基は、当技術分野で周知の簡易な分離技術を用いて単離して差し支えない。本発明にかかるレルカニジピンの遊離塩基の単離の容易さは、従来のレルカニジピン遊離塩基の調製方法を超える本発明のさらなる利点である。アルカリ化の後、遊離塩基を、限定はしないが、真空濾過を含む当技術分野で既知の分離技術のいずれかを用いて反応混合物から単離してよい。反応媒質からの単離では、遊離塩基は、当技術分野で既知の乾燥技術のいずれかを用いて乾燥して構わない。
【0036】
得られたレルカニジピン遊離塩基は、実質的に純粋、すなわち、少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも約97%、および、さらになお好ましくは少なくとも約99%の純度を有する。本発明にかかるレルカニジピンの遊離塩基は、取り扱いが簡単で特に医薬組成物の製剤に適切な非晶質の固体として存在する。レルカニジピン遊離塩基の融点は、オープン毛管法(open capillary method)で測定した場合、40℃〜70℃であり、さらに具体的には、44℃〜64℃の範囲である。
【0037】
別の実施の態様では、レルカニジピン塩を第1有機溶媒に溶解して溶液を生成し、その溶液を、第2有機溶媒に塩基を加えた溶液と混合し、その組み合わせた溶液を水と混合してレルカニジピン遊離塩基を単離することによって、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を調製する。第1溶媒は、(C〜C)−アルカノールが好ましい。第1および第2溶媒は、同じでも構わない。塩基は、ナトリウム、カリウムまたはリチウムの(C〜C)−アルコキシドが好ましく、それを溶解させる第2溶媒は、アルコキシドと同一の炭素原子数を持つアルカノールが好ましい。塩基はナトリウムメトキシド、第1および第2溶媒はメタノールが最も好ましい。
【0038】

医薬組成物
本発明にかかる実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基は、医薬組成物に製剤してもよい。本発明に従った医薬組成物は、医薬的に認容可能な担体または希釈剤、香味料、甘味料、保存料、染料、結合剤、懸濁剤および/または増粘剤、分散剤、着色剤、錠剤分解物質、賦形剤、被膜剤、滑剤、可塑剤、食用油、または上記いずれかの2以上の組合せ、酸化防止剤、キレート剤、緩衝剤、可溶化剤、湿潤剤および流動促進剤、および、上記いずれかの2以上の組合せなど、1以上の随意的な賦形剤または添加剤を包含して差し支えない。
【0039】
本発明にかかる医薬組成物には、組成物を患者に投与した場合に、治療効果を示すのに十分な量の実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基が含まれることが好ましい。レルカニジピン遊離塩基は、組成物の総量に対して、約0.001〜約0.2mg/mgのいずれかの量で存在してよく、約0.002〜約0.1mg/mgがさらに好ましく、約0.005〜約0.1mg/mgが最も好ましい。
【0040】
他の実施の態様では、本発明にかかる医薬組成物は、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基および少なくとも1つのレルカニジピン塩の混合物を含む。
【0041】
適切な、医薬的に認容可能な担体または希釈剤としては、限定はしないが、エタノール、水、脂肪酸グリセリド、ステアリン酸マクロゴールグリセリド、ラウリン酸マクロゴールグリセリド、グリセロール、プロピレングリコール、アロエ・ジェル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA油、ビタミンE油、ミネラルオイル、プロピオン酸PPG2ミリスチル、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、植物油、動物油、およびソルケタールが挙げられる。
【0042】
適切な結合剤としては、限定はしないが、デンプン;ゼラチン;グルコース、サッカロースおよび乳糖などの天然糖;コーンシロップ;アカシア、トラガカンス、植物ガムおよびアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ガム;カルボキシメチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリエチレングリコール;ポビドン;ロウ;その他同種のものが挙げられる。結合剤は、乳糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポビドンが好ましい。
【0043】
適切な錠剤分解物質としては、限定はしないが、デンプン(例えば、コーンスターチまたは加工デンプン)、メチルセルロース、架橋カルメロースナトリウム、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンなどが挙げられる。錠剤分解物質として好ましいのは、デンプングリコール酸ナトリウムである。
【0044】
適切な滑剤としては、限定はしないが、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ス安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。滑剤として好ましいのは、ステアリン酸マグネシウムである。
【0045】
適切な懸濁剤としては、限定はしないが、ベントナイト、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタ水酸化物、寒天およびトラガカント、またはこれら物質の2種類以上の混合物などが挙げられる。懸濁剤として好ましいのは、微結晶性セルロースである。
【0046】
適切な分散剤および懸濁剤としては、限定はしないが、植物ガム、トラガカント、アカシア、アルギン酸塩などの合成および天然ガム、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびゼラチンが挙げられる。
【0047】
適切な被膜剤としては、限定はしないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースおよびポリメタクリル酸が挙げられる。
【0048】
適切な可塑剤としては、限定はしないが、様々な分子量のポリエチレングリコール(例えば200〜8000ダルトン(Da))およびプロピレングリコールが挙げられる。好ましいのは、ポリエチレングリコール6000である。
【0049】
適切な着色料としては、限定はしないが、酸化鉄、二酸化チタンおよび天然および合成漆が挙げられる。好ましいのは、酸化鉄および二酸化チタンである。
【0050】
好ましい食用油としては、限定はしないが、綿実油、ゴマ油、ココナツ油およびピ‐ナツ油が挙げられる。
【0051】
適切な酸化防止剤としては、限定はしないが、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸パルミテート、トコフェノール、酢酸トコフェロールなどが挙げられる。
【0052】
さらなる添加物の例としては、限定はしないが、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、第二リン酸カルシウムおよびポリデキストロースが挙げられる。
【0053】
好ましい実施の態様では、本発明は、少なくとも1つの脂肪酸グリセリドおよび治療に効果的な量の実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を含む放出制御された組成物を提供する。
【0054】
放出制御された製剤に用いるのに適した脂肪酸グリセリドには、中鎖および長鎖脂肪酸グリセリドの両方が含まれる。1つの態様では、本発明にかかる医薬組成物には、1種類またはそれ以上の長鎖(C12〜C22)脂肪酸グリセリド(グリセロールのモノエステル、ジエステル、および/またはトリエステルを含む)が含まれる。本発明の範囲内の長鎖脂肪酸グリセリドの例は、Compritol 888 ATO(登録商標)およびPrecirol ATO 5(登録商標)(Gattefosse社(アメリカ合衆国ニュージャージー州パラマス)から市販されている)である。
【0055】
ここで用いるのに適している、さらに好ましい脂肪酸グリセリドとしては、C〜C11脂肪酸の1種類またはそれ以上のトリグリセリドなどの1種類またはそれ以上の中鎖(C〜C11)脂肪酸グリセリドが挙げられる。本発明の範囲内にある、1つの中鎖脂肪酸トリグリセリドの一例は、Miglyol(登録商標)812(Condea Chemie社(アメリカ合衆国ニュージャージー州クランフォード)から市販されている)である。
【0056】
放出制御された製剤に用いるのに適したポリエチレングリコールエステルおよびポリプロピレングリコールエステルに含まれる適切で好ましい脂肪酸には、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのモノおよびジエステルが含まれる。ポリエチレングリコールエステルおよびポリプロピレングリコールエステルに含まれる適切で好ましい脂肪酸は、先に説明したように、C12〜C22脂肪酸である。ポリエチレングリコールエステルおよびポリプロピレングリコールエステルにそれぞれ用いられる適切なポリエチレングリコール鎖およびポリプロピレン鎖は、例えば、米国薬局方などに記載されている。
【0057】
本発明の放出調節された組成物に用いるのに好ましい脂肪酸グリセリドは、約40℃〜約80℃の融点および約1〜約14のHLB値を有する。
【0058】
「ポリグリコール化グリセリド」は、モノ、ジ、およびトリグリセリドおよびポリエチレングリコール(PEG)のモノおよびジエステルの混合物を意味する。ポリグリコール化グリセリドは、本発明への利用には、特にロウ状の物質が適している。ポリグリコール化グリセリドはGelucire(登録商標)(Gattefosse社(アメリカ合衆国ニュージャージー州パラマス))という名称で市販されている。
【0059】
本発明に有用な「Gelucire」の特定の等級としては、限定はしないが、「Gelucire」37/02、37/06、42/12、44/14、46/07、48/09、50/02、50/13、33/01、39/01、43/01および53/10、もしくはそれらの組合せが挙げられる。「Gelucire」の名称の最初の数字は融点を意味し、また、2番目の番号は、HLB値を表している。例えば、「Gelucire」50/13は、約55℃の融点および約13のHLB値を有する。「Gelucire」の特に好ましい等級は、「Gelucire」50/13および「Gelucire」44/14またはそれらの組合せである。
【0060】
医薬組成物には、随意的に、例えば、医薬的に認容可能な担体または希釈剤、香味料、甘味料、保存料、酸化防止剤、湿潤剤、緩衝剤、徐放剤、染料、結合剤、懸濁剤、分散剤、着色剤、錠剤分解物質、賦形剤、被膜剤、滑剤、可塑剤、食用油、または上記2以上の組合せのいずれかなどの添加剤を含めてよい。組成物は、硬カプセル剤および軟カプセル剤、錠剤、コーティング錠、または小袋など、固体の薬剤形態に関するものであって構わない。適切な医薬的に認容可能な担体または希釈剤としては、限定はしないが、エタノール、水、グリセロール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエステル、ビタミンA油、ビタミンE油、ミネラルオイル、プロピオン酸PPG2ミリスチル、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、二酸化ケイ素、植物油、動物油、およびソルケタールが挙げられる。
【0061】

単位投薬形態
医薬組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、カプレット、ボーラス(大丸薬)、粉末、顆粒、滅菌非経口溶液、滅菌非経口懸濁液、滅菌非経口乳濁液、エリキシル剤、チンキ剤、定量制の噴霧器または液体スプレー、点滴薬、アンプル、自動注入装置または座剤などの単位投薬形態で製剤して構わない。単位投薬形態は、経口、非経口、経鼻、舌下、または直腸投与で、もしくは吸入あるいは吹送による投与、経皮貼付および凍結乾燥組成物で利用してよい。一般には、全身のアベイラビリティをもたらす、活性成分の輸送のいずれも利用可能である。単位投薬形態は、経口の投薬形態が好ましく、固体の経口投薬形態が最も好ましい。したがって、好ましい投薬形態は、錠剤、丸薬、カプレットおよびカプセルである。しかしながら、さらなる好ましい実施の態様では、単位投薬形態は、非経口の製剤として提供されて構わない。
【0062】
別の実施の態様では、固体の経口投薬形態は、本発明にかかるレルカニジピン遊離塩基を、医薬的に認容可能な担体、および、上述の他の望ましい添加剤と混合することにより調製してもよい。混合物は、典型的には、本発明にかかる活性薬剤および担体および他の望ましい添加剤が均一混合物になるまで、すなわち、活性薬剤が組成物中に均一に行渡るように分散するまで混合する。この場合は、組成物は乾燥または湿った顆粒として生成可能である。
【0063】
液体投薬形態として用いるため、活性物質またはそれらの生理的に認容可能な塩を、随意的に、可溶化剤、乳化剤または他の助剤などの通常用いられる物質と共に、溶液、懸濁液または乳濁液にする。活性の組合せおよび対応する生理的に認容可能な塩に用いる溶媒としては、水、生理的食塩水、または、エタノール、プロパンジオールまたはグリセロールなどのアルコールが挙げられる。さらには、ブドウ糖溶液またはマンニトール溶液などの糖溶液も用いて構わない。言及した様々な溶媒の混合物もまた、本発明に利用してよい。
【0064】
経皮的な投薬形態もまた、本発明で意図している。経皮の形態は、液タンク(fluid reservoir)または粘着薬用の基質のシステムのどちらかを用いた、拡散促進経皮システム(経皮パッチ)であって差し支えない。他の経皮投薬形態としては、限定はしないが、局所用のゲル、水薬、軟膏、経粘膜系および用具、およびイオン化導入(iontohoretic)(電気拡散)デリバリーシステムが挙げられる。経皮的な投薬形態は、本発明にかかる活性薬剤の徐放および持続放出に利用してよい。
【0065】
非経口投与、特に注入による投与のための本発明にかかる医薬組成物および単位投薬形態としては、典型的には、前述のように、医薬的に認容可能な担体が挙げられる。液体の担体は植物油が好ましい。注入は、例えば、静脈注射、髄膜注射、筋肉注射、胃内注入、気管内注入または皮下注射であって構わない。
【0066】
レルカニジピン遊離塩基は、さらに、小さな単層ベシクル、大きな単層ベシクルおよび多層膜ベシクルなどのリポソームデリバリーシステムの形態による投与が可能である。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはフォスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から生成可能である。
【0067】
1つの好ましい実施の態様では、本発明は、本明細書中で述べた「Gelucire」材料、好ましくは、「Gelucire」50/13または「Gelucire」44/14もしくはそれらの組合せに溶解または懸濁させたレルカニジピンで満たされた、
ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくは他の適切なポリマー(例えば、ポリマルトトリオースまたはプルランとして知られる直鎖多糖類などの細胞外多糖体(exopolysaccharides))のカプセルを含む、放出制御された投薬形態を提供する。「Gelucire」とレルカニジピンの比率は、約1:500〜約1:5であることが好ましく、約1:250〜約1:10であることがさらに好ましく、約1:200〜約1:20であることがさらになお好ましい。「Gelucire」材料を1種類以上含む固体の経口投薬形態の場合、50/13:44/14の重量比は約1:99〜約99:1の範囲である。本発明にかかる放出制御されたレルカニジピン医薬組成物の製剤では、レルカニジピンは、ポリグリコール化グリセリドの融液に溶解させる。ポリグリコール化グリセリドおよびレルカニジピンおよび/またはその中に分散された他の賦形剤を含む融解物状の混合物を、ハードまたはソフトゼラチン、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、または他のポリマー成分(例えばプルラン)のカプセルに充填してよい。
【0068】
さらなる実施の形態では、ポリグリコール化グリセリドおよびレルカニジピンを含む医薬組成物を、低温で製粉化することにより粉末化し、次に、従来の手法を用いて錠剤、粒子(beads)または顆粒(beadlet)に取り込ませて構わない。粒子または顆粒は、低温を維持しつつ不混和の液体に融解物を滴下する、造粒工程により生成しても構わない。
【0069】
さらに別の実施の態様では、錠剤または丸薬もしくは顆粒は、表面をコーティングすることが可能であり、もしくは、調合により、好ましくは放出制御特性を有する、単位投薬形態を形成することが可能である。例えば、錠剤または丸薬は、内側の投薬成分と外側の投薬成分で構成することが可能であり、後者は層状または前者を包み込む形態をしている。二成分は、長時間にわたって中核成分から活性成分を溶解させる放出制御層によって隔てることが可能である。あるいは、放出制御剤は、ゆっくりと分解する基質である。さらなる放出制御製剤は、当業者にとって明らかであろう。
【0070】
活性薬剤の放出を制御する生分解性ポリマーとしては、限定はしないが、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびハイドロゲルの架橋体または両親媒性のブロック共重合体が挙げられる。
【0071】

投薬
本発明にかかる医薬組成物または単位投薬形態は、静脈、気管内、皮下、経口、粘膜非経口(mucosal parenteral)、口腔、舌下、眼内、肺内、経粘膜、経皮、および筋肉内などの様々なルートで投与して構わない。単位投薬形態は、当業者に既知の経皮貼布を用いて、適切な鼻腔内用の賦形剤の局所的使用、あるいは、経皮ルートでの経鼻投薬形態での投与もまた可能である。経口投与が好ましい。
【0072】
本発明にかかる医薬組成物または単位投薬形態は、降圧剤治療を必要としている動物、好ましくはヒトに投与してよい。本発明にかかる医薬組成物または単位投薬形態は、最適な降圧作用および血圧の降下をもたらすと同時に個々の患者に対する毒性または副作用を最小限にするため、上述の指標を踏まえて、規定の試験によって決定される用量および投薬計画に従って、投薬してよい。しかしながら、こういった治療計画の微調整は、本明細書で示す指標を踏まえて、規定のように行われる。
【0073】
本発明にかかる実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を含む組成物の投薬量は、基礎疾患の状態、個々の状態、体重、性別および年齢および投薬の形態などの多様な要因に従って、様々に変化するであろう。経口投薬用には、医薬組成物を、分割線入りまたは分割線のない固体の単位投薬形態の形態で提供可能である。
【0074】
本発明にかかる医薬組成物または単位投薬形態は、毎日1回の投薬で差し支えなく、または、1日の総服用量を、分割して投薬しても良い。さらには、他の活性薬剤の同時投与または逐次的な投与も望ましいであろう。本発明にかかるそれらの非晶質の形態は、既知の薬物治療のいずれか、好ましくは高血圧の治療と組み合わせてもよい。例えば、本発明の医薬組成物は、米国特許出願公開第2003/00180355号明細書に開示されるエナラプリルなどのACE阻害剤、または、共同所有されている米国特許出願公開第2004/0147566号明細書に開示されるリシノプリルと組み合わせてもよい。実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を含む医薬組成物は、例えば、米国特許出願公開第2004/0198789号明細書に開示されるアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)と組み合わせてもよい。本発明がさらに意図しているのは、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を含む組成物に、利尿薬または受容体遮断薬を加えることである。典型的な利尿薬としては、ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、およびエタクリン酸などのそれぞれチアジド系利尿薬、カリウム保持性利尿薬、ループ利尿薬が挙げられる。
【0075】
併用療法のためには、化合物は、最適な投薬の組合せおよび投薬計画が得られるまで、最初のうちは分割投薬形態で提供されるであろう。したがって、患者の個々の高血圧の状態に適切な投薬量になるまで、徐々に増量して構わない。マイナスの副作用なしに血圧を降下させるための各化合物の適切な投薬量が決定された後、次に、患者は、適切な量の各活性薬剤を含む1回投薬の形態に切り替えてもよいし、2回投薬の形態を継続してもよい。
【0076】
本発明にかかる併用療法を用いた正確な投薬量および投薬計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別、および病状;治療すべき高血圧の重症度および病因;投薬ルート;患者の腎および肝機能;患者の治療歴;および患者の対応を含む様々な要因にしたがって選択される。毒性なしに効能を生じる範囲内の化合物の濃度を達成するのに最適な精度には、目標とする部位への薬物のアベイラビリティの反応速度に基づいた投薬計画が必要とされる。これには、薬の吸収、分散、代謝、排泄についての考慮、および用法・用量に対する患者の対応が含まれる。しかしながら、治療計画のこういった微調整は、本明細書の指標を踏まえて、規定のように行われる。
【0077】
一般に、非経口の投与のための投薬形態には、投薬形態の総重量を基礎とした実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基の重量で、0.1%以上含まれ、約0.5%〜約30%であることが好ましい。経皮的な投薬形態では、投薬量の総重量100%を基礎とした活性薬剤の重量で約0.01%〜約100%を含む。
【0078】
本発明の好ましい実施の態様では、組成物を患者に毎日投与している。さらに好ましい実施の態様では、医薬組成物または投薬形態は、実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を、約0.1〜400mg、さらに好ましくは約1〜200mg、さらになお好ましくは約5〜40mgの量で毎日投薬される。
【0079】
本発明にかかる実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基の投与では、患者の血圧は、所定の変化量で急速に降下することが好ましい。20mgの実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基の投与後の収縮期血圧の降下は、約20〜約30mmHgの範囲であることが好ましく、約25mmHgであることが最も好ましい。20mgの実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基の投与後の拡張期血圧の降下は、約10〜約20mmHgの範囲であることが好ましく、約15mmHgであることが最も好ましい。
【実施例】
【0080】
実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基、ならびに、遊離塩基および遊離塩基を含む放出制御された医薬組成物の調製方法についての以下の実施例について開示する。実施例は、本発明の様々な態様の性質を説明するものであり、いかなる方法によっても限定されることを意図するものではない。
【0081】
実施例1:実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基の調製
(a)ホウ酸ナトリウムを用いた塩酸レルカニジピンからの遊離塩基の調製
11.3gの塩酸レルカニジピン(レコルダッチ社(Recordati S.p.A.)(イタリア、ミラノ)製)を、室温で、50mlのメタノール(MeOH)と混合し、塩酸レルカニジピンの溶液を調製した。塩基性の媒質を、3.81gのホウ酸ナトリウム(Na・10HO)を1000mlの水と混合して調製し、pH9.2の塩基性媒質を生成した。塩酸レルカニジピン溶液を塩基性の媒質に加え、室温で約90分間攪拌した。攪拌後、混合物を、室温で一晩置いた。得られた黄色の固体を、ブフナー漏斗を用いて濾過することにより分離した。黄色の固体を水で3回洗浄し(200ml/洗浄)、次に室温で真空下、Pで乾燥させた。ウォーターズ(登録商標)1050HPLCシステム(ウォーターズ社(イタリア、ミラノ、ヴィモドローネ)製)を用いた測定では、反応収量は、HPLC純度100%のレルカニジピン遊離塩基が10.62gであった。遊離塩基の化学組成を下記の表1に示す。
【表1】

【0082】
(b)水酸化ナトリウムを用いた塩酸レルカニジピンからの遊離塩基の調製
11.3gの塩酸レルカニジピン(レコルダッチ社(イタリア、ミラノ)製)を、室温で、50mlのメタノール(MeOH)と混合し、塩酸レルカニジピンの溶液を調製した。水酸化ナトリウムを水で希釈して塩基性の媒質を調製し、水酸化ナトリウムの0.1N溶液を生成した。塩酸レルカニジピンの溶液を、210mlの上記塩基性の媒質に加え、室温で約90分間攪拌した。得られた黄色の固体を、ブフナー漏斗を用いて濾過することにより分離した。黄色の固体を水で3回洗浄し(200ml/洗浄)、次に室温で真空下、Pで乾燥させた。
【0083】
(c)炭酸カリウムを用いた塩酸レルカニジピンからの遊離塩基の調製
塩酸レルカニジピン(750g)、3000mlの酢酸エチルおよび1800mlの脱イオン水の混合物を室温で攪拌した。溶液に、25分以上かけて4回に分けて479gの炭酸カリウムを加えた。溶液を90分間攪拌し、その後、水層を廃棄し、有機溶液を750mlの脱イオン水で洗浄した。次に有機溶液を真空下(70℃、1×10Pa(100 mbar))で蒸発させて乾燥させ、粗レルカニジピン遊離塩基を回収した。
【0084】
粗レルカニジピン遊離塩基を1125mlのメタノールに溶解した。得られた溶液を約2時間、5℃で静置し、続いて攪拌下、7500mlの冷脱イオン水を加えた。さらに2時間攪拌の後、得られた沈殿を吸引により回収し、室温で96時間乾燥させ、さらに真空下(500Pa(5 mbar)、35℃)で20時間乾燥させた。収量は605g(85%)、融点44℃〜64℃、HPLC純度=99.55%であった。
【表2】

【0085】
(d)ナトリウムメトキシドを用いた塩酸レルカニジピンからの遊離塩基の調製
700gの塩酸レルカニジピン(レコルダッチ社(イタリア、ミラノ)製)を、2800mlのメタノール(MeOH)と混合し、塩酸レルカニジピンの溶液を調製した。この溶液に350mlの25%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液を室温で30分間にわたって加えた。得られたメタノール懸濁液を20℃〜25℃で2時間攪拌し、次に、18.4Lの脱イオン水を強攪拌下で60分間にわたり加えた。2時間ゆっくりと攪拌の後、得られた固体を、ブフナー漏斗を用いて濾過することにより分離し、1225mlの脱イオン水で3回洗浄した。生成物を、真空下、少量の窒素流下で、室温で恒量になるまで乾燥した。収量は509.4g(77.1%)であった。HPLC純度は99.8%であった。
【0086】
実施例2:実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基と粗レルカニジピン遊離塩基の比較
下記は、実施例1(a〜d)で述べたとおり調製された実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を、特許文献1の方法で調製した粗遊離塩基および市販の塩酸レルカニジピンと比較した比較例である。粗遊離塩基は下記のごとく調製した。塩酸レルカニジピンは、レコルダッチ社(イタリア、ミラノ)から入手した。
【0087】
15mlのイソプロパノールに2.37gの3−アミノクロトン酸メチルおよび10.29gの1,1,N−トリメチル−N−(3,3−ジフェニルプロピル)−2−アミノエチルα−アセチル−3−ニトロシンナメートを入れた溶液を環化する従来法により、粗レルカニジピン遊離塩基を調製した。混合物を3時間還流した。次に、混合物を冷却し、真空下、乾燥するまで蒸発させた。得られた油性残渣を、溶離剤としてのアセトンの量を増加させながら、クロロフォルムを用いたシリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。得られた粗レルカニジピン遊離塩基は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定で、およそ94%純度を有する、非晶質で低融点の固体組成物である。単一のTLC画分(クロロフォルム:アセトン、容量比9:1)を濃縮した。
【0088】
実施例1で述べたとおりに調製されたレルカニジピン遊離塩基は、従来技術での方法で調製された遊離塩基よりもHPLC純度が高かった(表2参照)。物理的性質の完全比較を表3に示す。
【表3】

【0089】
実施例3:実質的に純粋なレルカニジピン遊離塩基を含む放出制御された投薬形態の調製および患者への投与
様々な放出制御された固体投薬形態を下記のように調製して構わない。まず、「Gelucire」および「Compritol」を90℃に加熱して、レルカニジピン遊離塩基、「Gelucire」、「Compritol」の混合物を調製する。レルカニジピン遊離塩基およびBHTを加熱された塊に加え、レルカニジピン遊離塩基がすべて溶解するまで混合を続ける。溶解した塊にメトセル(Methocel)(登録商標)K4Mを攪拌下分散させる。レルカニジピン/「Gelucire」/「Compritol」/「メトセル」の混合物を、サイズ#0のハードゼラチンカプセルに充填する。およそ500mgのレルカニジピン/「Gelucire」/「Compritol」/「メトセル」を各カプセルに加えた。カプセルに充填されたレルカニジピン遊離塩基/「Gelucire」/「Compritol」/「メトセル」を室温に置き、凝固させる。
【0090】
投薬形態が2.5、5、10または20mgのレルカニジピンを含むように、上述のように、放出制御されたレルカニジピン投薬形態を調製した。2.5、5、10または20mgのレルカニジピンを含む投薬形態を、軽度または中程度の高血圧症の患者に、1日1回、毎日同じ時間に、28日間投薬する。レルカニジピンの血漿中濃度を、各用量を投与後、その後に続く用量の投薬前に、24時間測定する。血圧を毎日モニターする。各用量の投薬後および次の投薬の直前の24時間、測定されるレルカニジピンの血漿中濃度は少なくとも0.5ng/mlであろうことが予想され、また、28日後の血圧は、少なくとも、収縮期血圧で約15mmHgおよび/または拡張期血圧で約10mmHg降下しているであろうことも予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも95%の純度を有するレルカニジピン遊離塩基。
【請求項2】
少なくとも99%の純度を有することを特徴とする請求項1記載のレルカニジピン遊離塩基。
【請求項3】
少なくとも99.8%の純度を有することを特徴とする請求項1記載のレルカニジピン遊離塩基。
【請求項4】
レルカニジピン遊離塩基の調製方法であって、
(a)レルカニジピン塩を有機溶媒に溶解して溶液を生成し;
(b)前記溶液を、pHが9〜14である水媒体と混合し;
(c)レルカニジピン遊離塩基を単離する、
各工程を有してなるレルカニジピン遊離塩基の調製方法。
【請求項5】
前記水媒体が有機塩基、無機塩基または陰イオンのイオン交換樹脂を含む塩基溶液であることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記有機塩基が、トリエチルアミン、ピペラジン、テトラエチルエチレンジアミン、エチレンジアミンまたは4−ジメチルアミノピリジンであることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記無機塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ホウ砂、炭酸ナトリウム、または炭酸カリウムであることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記陰イオンの交換樹脂が、四級アンモニウム、三級スルホニウム、四級ホスホニウム、またはアルキルピリジニウムの官能基を有することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記有機溶媒が、プロトン性の極性溶媒または非プロトン性の極性溶媒であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記プロトン性の極性溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノールまたはエチレングリコールであることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記非プロトン性の極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはジメチルアセトアミドであることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
レルカニジピン遊離塩基の調製方法であって、
(a)レルカニジピン塩を、水に不混和性の有機溶媒および水に溶解し、懸濁液を生成し;
(b)前記懸濁液を、無機塩基と混合し;
(c)水層から有機層を分離し;
(d)溶媒を前記有機層から蒸発させてレルカニジピン遊離塩基を生成し;
(e)前記レルカニジピン遊離塩基を、水に混和性の有機溶媒に溶解し、溶液を生成し;
(f)前記レルカニジピン遊離塩基を前記溶液から沈殿させ;
(g)レルカニジピン遊離塩基を単離する、
各工程を有してなるレルカニジピン遊離塩基の調製方法。
【請求項13】
前記水に不混和性の溶媒が、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステルまたはエーテルであることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記水に不混和性の溶媒が、トルエン、ジクロロメタン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテルまたはメチルt−ブチルエーテルであることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記無機塩基が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記水に混和性の有機溶媒が、プロトン性の極性溶媒または非プロトン性の極性溶媒であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記プロトン性の極性溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノールまたはエチレングリコールであることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記非プロトン性の極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはジメチルアセトアミドであることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
レルカニジピン遊離塩基の調製方法であって、
(a)レルカニジピン塩を第1有機溶媒に溶解して溶液を生成し;
(b)前記工程(a)の溶液を、第2有機溶媒に塩基を入れた溶液と混合し;
(c)前記工程(b)の溶液を水と混合し;
(d)レルカニジピン遊離塩基を単離する、
各工程を有してなるレルカニジピン遊離塩基の調製方法。
【請求項20】
前記第1有機溶媒が、(C〜C)−アルカノールであることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第2有機溶媒が、(C〜C)−アルカノールであることを特徴とする請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記塩基が、ナトリウム、カリウム、リチウム(C〜C)−アルコキシドであることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記レルカニジピン塩が、酸対イオンが、無機酸、スルホン酸、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、および、芳香族スルホンイミドから選択される酸付加塩であることを特徴とする請求項4〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記レルカニジピン塩が、酸対イオンが、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、酢酸、(+)−L−乳酸、DL−乳酸、DL−マンデル酸、グルコン酸、ケイヒ酸、サリチル酸、ゲンチシン酸、シュウ酸、2−オキソ−グルタル酸、マロン酸、(−)−L−リンゴ酸、粘液酸、(+)−L−酒石酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、クエン酸、およびサッカリンから選択される酸付加塩であることを特徴とする請求項4〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記レルカニジピン塩が、塩酸レルカニジピンであることを特徴とする請求項4〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
請求項1〜3のいずれか1項記載のレルカニジピン遊離塩基、または、請求項4〜25のいずれか1項記載の方法により調製されたレルカニジピン遊離塩基、および医薬的に認容可能な希釈剤、担体および/または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項27】
前記組成物が、医薬的に認容可能な希釈剤、香味料、甘味料、保存料、染料、結合剤、懸濁剤、増粘剤、分散剤、着色料、錠剤分解物質、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、および食用油から選択される少なくとも1つの成分を含むことを特徴とする請求項26記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記組成物が、放出調節に適応可能であり、少なくとも1種類のロウ状物質を含むことを特徴とする請求項26記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記ロウ状物質が、1種類のポリアルコール脂肪酸アシルエステル、または、複数種類のポリアルコール脂肪酸アシルエステルの混合物であることを特徴とする請求項28記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記または各ポリアルコール脂肪酸アシルエステルが、ポリエチレングリコールエステル、ポリプロピレングリコールエステル、または脂肪酸グリセリドであることを特徴とする請求項29記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記ロウ状の物質が、脂肪酸エステルおよびポリエチレングリコールエステルを含むポリグリコール化グリセリドであり、該ポリグリコール化グリセリドが33℃〜64℃の融点および1〜14のHLB値を有することを特徴とする請求項28記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、放出調節に適合し、単位投薬形態であり、および、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはプルランカプセルに充填されることを特徴とする請求項26〜31のいずれか1項記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2008−531516(P2008−531516A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556566(P2007−556566)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001783
【国際公開番号】WO2006/089788
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507061708)レコルダーティ アイルランド リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】RECORDATI IRELAND LIMITED
【Fターム(参考)】