説明

レンズの検査装置および方法

【課題】検査設備を縮小するとともに検査工程を簡略化することができるレンズの検査装置を提供する。
【解決手段】検査対象とするレンズ10に対して光を照射してその反射光を撮影してレンズ10の検査を行なう装置であって、上記レンズ10の光軸Rの周りの第1の環状領域17からレンズ10に対して光を照射する第1の照明手段11と、上記第1の環状領域17の内側でレンズ10の光軸Rに沿ってレンズ10に対して光を照射する第2の照明手段12と、上記第1の環状領域17よりもレンズ10側において第1の環状領域17よりも外側の第2の環状領域18からレンズ10に対して光を照射する第3の照明手段13とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてプラスチックレンズのキズ、コーティング不良、異物等の品質を検査する際に用いることができるレンズの検査装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラスチックレンズのキズ、コーティング不良、異物等の品質を検査する場合、顕微鏡を使用した検査装置による目視検査が行なわれている。この場合、レンズ表面のキズ、内部の異物、コーティングはがれ等のコーティング不良等、不良の種類によって見え方が違うため、主としてキズや異物を発見するためのキズ・異物検査用の検査装置と、コーティング不良を発見するためのコーティング不良検査用の検査装置との2系統の装置を使用することが行なわれている。そして、所定の検査台に所定個数のレンズを並べ、まずキズ・異物検査用の検査装置でキズや異物のあるものを発見して検査台から除去し、ついで、コーティング不良検査用の検査装置でコーティング不良のあるものを発見して検査台から除去することが行なわれている。
【特許文献1】特開2006−329714号公報
【特許文献2】特開2008−020356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来の方法では、レンズ表面のキズ、内部の異物、コーティング不良等の不良の種類によって見え方が違うため、主としてキズや異物を発見するためのキズ・異物検査用の検査装置と、コーティング不良を発見するためのコーティング不良検査用の検査装置との2系統の検査装置を使用している。このため、検査設備が大掛かりになるうえ検査工程も多くなり、検査に要するコストを引き上げることとなっていた。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、検査設備を縮小するとともに検査工程を簡略化することができるレンズの検査装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のレンズの検査装置は、検査対象とするレンズに対して光を照射してその反射光を撮影してレンズの検査を行なう装置であって、
上記レンズの光軸の周りの第1の環状領域からレンズに対して光を照射する第1の照明手段と、
上記第1の環状領域の内側でレンズの光軸に沿ってレンズに対して光を照射する第2の照明手段と、
上記第1の環状領域よりもレンズ側において第1の環状領域よりも外側の第2の環状領域からレンズに対して光を照射する第3の照明手段とを備えたことを要旨とする。
【0006】
また、上記目的を達成するため、本発明のレンズの検査方法は、検査対象とするレンズに対して光を照射してその反射光を撮影してレンズの検査を行なう方法であって、
上記レンズの光軸の周りの第1の環状領域からレンズに対して光を照射し、
上記第1の環状領域の内側でレンズの光軸に沿ってレンズに対して光を照射し、
上記第1の環状領域よりもレンズ側において第1の環状領域よりも外側の第2の環状領域からレンズに対して光を照射することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のレンズの検査装置および方法は、上記レンズの光軸の周りの第1の環状領域からレンズに対して照射する光と、上記第1の環状領域の内側でレンズの光軸に沿ってレンズに対して照射する光と、上記第1の環状領域よりもレンズ側において第1の環状領域よりも外側の第2の環状領域からレンズに対して照射する光との3つの光によりレンズを照射することにより、レンズ表面のキズ、レンズ内部の異物、コーティング不良等を1系統の検査装置および工程で発見することが可能となった。したがって、検査設備を縮小するとともに検査工程を簡略化し、検査に要するコストを引き下げることができる。
【0008】
本発明において、上記第1の照明手段は、発光面の少なくとも一部が光軸に向かうよう傾斜した環状の導光拡散板からの面発光により光を照射するものである場合には、光源の写り込み等がなく、レンズ表面のキズ、レンズ内部の異物、コーティング不良等を容易に発見できる。
【0009】
本発明において、上記レンズからの反射光を撮影するカメラは上記光軸上に存在し、上記第2の照明手段は、レンズとカメラの間の光軸上に傾斜状に配置したハーフミラーと、上記ハーフミラーに対して光軸の外側から光を供給する光源とを含んで構成されている場合には、カメラでの撮影の邪魔にならないように光源を配置してレンズの光軸に沿ってレンズに対して光を照射できる。
【0010】
本発明において、第3の照明手段からの光の輝度よりも第1の照明手段および第2の照明手段からの光の輝度の方が高くなるよう設定されている場合には、光源の写り込み等がなく、レンズ表面のキズ、レンズ内部の異物、コーティング不良をいずれも容易に発見できる。
【0011】
本発明において、第2の照明手段からの光の輝度よりも第1の照明手段からの光の輝度の方が高くなるよう設定されている場合には、光源の写り込み等がなく、レンズ表面のキズ、レンズ内部の異物、コーティング不良をいずれも容易に発見できる。
【0012】
本発明において、第2の環状領域の内径は、第1の環状領域の外径の1.8倍以上となるよう設定されている場合には、光源の写り込み等がなく、レンズ表面のキズ、レンズ内部の異物、コーティング不良をいずれも容易に発見できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明が適用される一実施形態のレンズの検査装置の主要部分の構成を説明する図である。
【0015】
図1に示すように、このレンズ10の検査装置は、検査対象とするレンズ10に対して光を照射してその反射光を撮影してレンズ10の検査を行なう装置である。検査対象のレンズ10は、レンズホルダ8に取り付けられてバックシート7を背景にして配置されている。
【0016】
上記レンズ10の検査装置は、レンズ10からの反射光を撮影するカメラ9と、上記カメラ9とレンズ10との間において、レンズ10に対して照明光を照射する第1ランプユニット15および第2ランプユニット16とを備えて構成されている。
【0017】
上記レンズ10は、レンズホルダ8に対して光軸Rがこの例では上下方向となるように取り付けられている。また、この例では、レンズ10の凸面がカメラ9側を向くように配置されている。
【0018】
上記カメラ9は、上記光軸R上に配置されて上記レンズ10からの反射光を撮影するようになっている。上記第1ランプユニット15は、上記カメラ9とレンズ10との間においてカメラ9側に配置され、上記第2ランプユニット16はレンズ10側に配置されている。
【0019】
図2は上記第1ランプユニット15をレンズ10側から見た図、図3は上記第2ランプユニット16をレンズ10側から見た図である。
【0020】
上記第1ランプユニット15は、大略円盤状を呈しており、上記レンズ10の光軸Rの周りの第1の環状領域17からレンズ10に対して光を照射する本発明の第1の照明手段11と、上記第1の環状領域17の内側でレンズ10の光軸Rに沿ってレンズ10に対して光を照射する本発明の第2の照明手段12とを含んで構成されている。
【0021】
上記第2ランプユニット16は、大略リング状を呈しており、上記第1の環状領域17よりもレンズ10側において第1の環状領域17よりも外側の第2の環状領域18からレンズ10に対して光を照射する本発明の第3の照明手段13として機能する。
【0022】
上記第1ランプユニット15は、カメラ9側に第2の照明手段12が配置され、レンズ10側に第1の照明手段11が配置される。
【0023】
上記第1ランプユニット15は、中央に開口部20が形成され、上記開口部20が光軸Rと同軸状になるように配置される。上記レンズ10からの反射光は、上記開口部20を通過してカメラ9に入射し、カメラ9によるレンズ10の撮影が行なわれる。
【0024】
上記第1ランプユニット15には、上記開口部20を塞ぐように、レンズ10とカメラ9の間の光軸R上に傾斜状にハーフミラー21が設けられている。この例では、上記ハーフミラー21は、光軸Rに対して45°の傾斜角をもって配置されている。そして、上記ハーフミラー21の下斜め45°を向いた面に臨む空間23に、上記ハーフミラー21に対して光軸Rの外側から光を供給する光源としてのLED22が設けられている。そして、第2の照明手段12は、上記ハーフミラー21およびLED22を含んで構成されている。
【0025】
上記第2の照明手段12は、LED22の光をハーフミラー21で反射して光軸Rに沿って照射される光でレンズ10を照射する。一方、レンズ10の反射光はハーフミラー21および開口部20を通過してカメラ9に入射する。これにより、レンズ10の光軸R上に配置したカメラ9によるレンズ10の撮影と、レンズ10の光軸Rに沿った光によるレンズ10の照明との双方を実現する。
【0026】
上記第1ランプユニット15には、レンズ10側の周縁に枠状部24が突設され、上記枠状部24の内側面に光源としてのLED25が多数それぞれ中心を向くよう全周にわたって取り付けられている。そして、上記LED25の内側には、発光面の少なくとも一部が光軸Rに向かうよう傾斜した環状の導光拡散板26が設けられている。
【0027】
上記導光拡散板26には、上記開口部20と同じ径の開口部20aが形成されている。また、上記導光拡散板26は、LED25が埋設された周縁部は、枠状部24と略同等の厚みで、中心すなわち開口部20aの内周縁に近づくほど徐々に厚みが薄くなるよう設定され、レンズ10側に内側に傾斜する傾斜面を含む発光面が形成されている。上記導光拡散板26は、例えば、透明のエポキシ樹脂等により形成することができる。
【0028】
これにより、上記第1の照明手段11において、上記導光拡散板26のレンズ10側の面(すなわち傾斜面およびそれに続く平坦な部分で構成される発光面)が第1の環状領域17に形成され、上記発光面からの面発光により光を照射する。そして、上記第1の環状領域17から発光された光は、光軸R上に配置されたレンズ10に向かって照射され、レンズ10が照明されるようになっている。
【0029】
一方、上記第2ランプユニット16は、リング状の内周面が第2の環状領域18に形成され、光源としてのLED28が多数全面にわたって1列で取り付けられている。上記各LED28の上部には内側に向かって若干突出する内フランジ44が形成されている。また、上記各LED28のレンズ10側はカバー部材45で覆われている。これにより、LED28の光は内側に向かって照射される。そして、上記第2の環状領域18に設けられたLED28から発光された光は、光軸R上に配置されたレンズ10に向かって照射され、レンズ10が照明される。
【0030】
この装置では、光軸R上に配置されたレンズ10に対し、第1の照射手段11、第2の照射手段12、第3の照射手段13の3つの照射手段からの光が照射される。第1の照射手段11による光は、第1の環状領域17から面発光され、照射面積の広い光がやや内側に絞り込まれながらレンズ10に照射される。第2の照射手段12による光は、光軸Rに沿って進んでレンズ10に照射される。第3の照射手段13による光は、上記第1照射手段11および第2照射手段12よりもレンズ10側において、第1の環状領域17よりも外側の第2の環状領域18から内側に向かって照射され、レンズ10の側面寄りの位置からレンズ10の全周を照射する。
【0031】
このように、3つの光によりレンズ10を照射することにより、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良等を1系統の検査装置および工程で発見することが可能となる。また、光源の写り込みや干渉等もなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良等を鮮明に撮影して容易に発見できる。
【0032】
ここで、レンズ10のカメラ9側とカメラ9のレンズ10側との距離Hに対する、レンズ10のカメラ9側と第1の照明手段11との距離Hとの関係は、H≦H×0.5とするのが好ましい。また、上記距離Hに対する、レンズ10のカメラ9側と第2の照明手段12との距離Hとの関係は、H≦H×0.7とするのが好ましい。さらに、上記距離Hに対する、レンズ10のカメラ9側と第3の照明手段13との距離H3との関係は、H≦H×0.3とするのが好ましい。このようにすることにより、光源の写り込みや干渉等がなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良を鮮明に撮影して容易に発見できる。
【0033】
また、第2の環状領域18に形成された環状発光部の内径は、第1の環状領域17に形成された環状発光領域の外径の1.8倍以上3倍以下となるよう設定するのが好ましい。第2の環状領域18に形成された環状発光部の内径は、第1の環状領域17に形成された環状発光領域の外径の2倍以上3倍以下となるよう設定するのがさらに好ましい。このようにすることにより、光源の写り込み等がなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良をいずれも容易に発見できる。
【0034】
また、第1の照明手段11、第2の照明手段12、第3の照明手段13から照射させる光は、波長630〜680nmの赤色可視光であることが好ましい。このようにすることにより、光源の写り込みや干渉等がなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良を鮮明に撮影して容易に発見できる。
【0035】
また、第3の照明手段13による光の輝度よりも第1の照明手段11および第2の照明手段12による光の輝度の方が高くなるよう設定するのが好ましい。さらに、第2の照明手段12による光の輝度よりも第1の照明手段11による光の輝度の方が高くなるよう設定するのが好ましい。このようにすることにより、光源の写り込み等がなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良を鮮明に撮影して容易に発見できる。
【0036】
このとき、第1の照明手段11による光の輝度は、656±50cd/m内に設定するのが好ましく、第2の照明手段12による光の輝度は、525±50cd/m内に設定するのが好ましく、第3の照明手段13による光の輝度は、394±50cd/m内に設定するのが好ましい。
【0037】
また、レンズ10のカメラ9と反対側に配置するバックシート7の色彩は、黒色で光沢のないものとすることが好ましい。このようにすることにより、光源の写り込みや干渉等がなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良を鮮明に撮影して容易に発見できる。
【0038】
図4は上記レンズ10の検査装置30を含む検査ラインの全体構成の一例を示す図である。
【0039】
この検査ラインは、上述した検査装置30と、上記検査装置30に対してトレイ状のレンズホルダ8を供給する供給装置31と、上記検査装置30での検査を終了したレンズホルダ8から不良レンズをピックアップして除去するピックアップ装置32と、上記ピックアップ装置32から排出されたレンズホルダ8をストックするストッカ33とを備えて構成されている。
【0040】
上記レンズホルダ8は、この例では長方形のトレイ状であり、検査対象とするレンズ10が縦横に配列されてセットされる。このようなレンズホルダ8は、供給装置31に重ねられてストックされており、ローダ装置34により1枚ずつ検査装置30に供給されるようになっている。
【0041】
検査装置30に供給されたレンズホルダ8は、X−Yテーブル35に載置される。X−Yテーブル35は、レンズホルダ8に配列された各レンズ10の光軸Rをカメラ9の光軸に順次合わせるようX−Y移動制御部36により移動制御される。第1ランプユニット15の第1の照明手段11と第2の照明手段12、第2ランプユニット16の第3の照明手段13は、照明コントローラ37で照射制御される。また、カメラ9は制御手段であるコンピュータ装置38で制御される。
【0042】
そして、X−Yテーブル35を移動制御し、レンズ10の光軸Rがカメラ9の光軸にあった時点でカメラ9による撮影を行なう。撮影が終了すると次のレンズ10の撮影のためにX−Yテーブル35を移動制御することを繰り返す。
【0043】
カメラ9で撮影された画像は、コンピュータ装置38に取り込まれ、画像解析処理を行なってレンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良等の不良を検知し、許容を超える不良レンズの位置を記憶する。また、撮影画像や不良レンズの位置情報、不良の内容等の情報は、モニタ39に表示される。
【0044】
レンズホルダ8上のすべてのレンズ10の撮影と解析が終了したら、レンズホルダ8をピックアップ装置32上に移動する。ピックアップ装置32は、不良レンズをピックアップして除去する除去アーム40と、上記除去アーム40を移動させるX−Yステージ41とを備えている。コンピュータ装置38から取得した不良レンズの位置情報に基づいて、X−Yコントローラ42が、X−Yステージ41を制御して除去アーム40を不良レンズの位置に移動させ、除去アーム40により不良レンズをピックアップしてレンズホルダ8から除去することが行なわれる。
【0045】
不良レンズが除去されたレンズホルダ8は、ストッカ33に移動されてストックされる。以上のようにして、レンズ10の検査と不良品のピックアップが自動的に行なわれる。
【0046】
以上のように、本実施形態のレンズ10の検査装置30および方法によれば、上記レンズ10の光軸Rの周りの第1の環状領域17からレンズ10に対して照射する光と、上記第1の環状領域17の内側でレンズ10の光軸Rに沿ってレンズ10に対して照射する光と、上記第1の環状領域17よりもレンズ10側において第1の環状領域17よりも外側の第2の環状領域18からレンズ10に対して照射する光との3つの光によりレンズ10を照射することにより、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良等を1系統の検査装置30および工程で発見することが可能となった。したがって、検査設備を縮小するとともに検査工程を簡略化し、検査に要するコストを引き下げることができる。
【0047】
上記第1の照明手段11は、発光面の少なくとも一部が光軸Rに向かうよう傾斜した環状の導光拡散板26からの面発光により光を照射するものである場合には、光源の写り込み等がなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良等を容易に発見できる。
【0048】
上記レンズ10からの反射光を撮影するカメラ9は上記光軸R上に存在し、上記第2の照明手段12は、レンズ10とカメラ9の間の光軸R上に傾斜状に配置したハーフミラー21と、上記ハーフミラー21に対して光軸Rの外側から光を供給するLED22とを含んで構成されている場合には、カメラ9での撮影の邪魔にならないようにLED22を配置してレンズ10の光軸Rに沿ってレンズ10に対して光を照射できる。
【0049】
第3の照明手段13からの光の輝度よりも第1の照明手段11および第2の照明手段12からの光の輝度の方が高くなるよう設定されている場合には、光源の写り込み等がなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良をいずれも容易に発見できる。
【0050】
第2の照明手段12からの光の輝度よりも第1の照明手段11からの光の輝度の方が高くなるよう設定されている場合には、光源の写り込み等がなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良をいずれも容易に発見できる。
【0051】
第2の環状領域18の内径は、第1の環状領域17の外径の1.8倍以上となるよう設定されている場合には、光源の写り込み等がなく、レンズ10表面のキズ、レンズ10内部の異物、コーティング不良をいずれも容易に発見できる。
【実施例】
【0052】
図1に示す検査装置30において、第1の照明手段11、第2の照明手段12、第3の照明手段13からそれぞれ赤色可視光を照射し、レンズ10のカメラ9側の位置と各照明手段との距離を変えて撮影テストを行なった結果を表1に示す。
【0053】
表1には、レンズ10と第3の照明手段13との距離Hを17mm、30mmとした結果、レンズ10と第1の照明手段11との距離Hを33mm、45mmとし、レンズ10と第2の照明手段12との距離Hを49mm、61mmとした結果、カメラ9側からの直接光である落射光でレンズ10との距離を33mmとした結果、カメラ9側からの直接光である落射光に拡散板を併用してレンズ10との距離を33mmとした結果を示す。
【0054】
第3の照明手段13で距離Hを17mmとし、第1の照明手段11で距離Hを33mm、第2の照明手段12で距離Hを49mmとしたときが最も良好な結果が得られた。これにより、第1の照明手段11、第2の照明手段12、第3の照明手段13を併用したときに良好な結果が得られることがわかる。
【表1】

【0055】
第1の照明手段11、第2の照明手段12、第3の照明手段13を併用し、距離Hを33mm、距離Hを49mm、距離Hを17mmとし、第1の照明手段11の発光面外径寸法を55mm、65mm、105mmとし、第3の照明手段13の発光部内径寸法を60mm、110mm、140mm、170mmとしたときの撮影テストを行なった結果を表2に示す。
【0056】
第1の照明手段11の発光面外径寸法を65mmとし、第3の照明手段13の発光部内径寸法を140mmとしたときが、最も良好な結果が得られた。
【表2】

【0057】
第1の照明手段11、第2の照明手段12、第3の照明手段13を併用し、距離Hを33mm、距離Hを49mm、距離Hを17mmとし、第1の照明手段11の発光面外径寸法を65mmとし、第3の照明手段13の発光部内径寸法を140mmとしたとき、発光する光の種類を変えて撮影テストを行なった結果を表3に示す。波長630〜680nmの赤色可視光において、最も良好な結果が得られた。
【表3】

【0058】
第1の照明手段11、第2の照明手段12、第3の照明手段13を併用し、距離Hを33mm、距離Hを49mm、距離Hを17mmとし、第1の照明手段11の発光面外径寸法を65mmとし、第3の照明手段13の発光部内径寸法を140mmとしたとき、各照明手段における光の輝度レベルを変えて撮影テストを行なった結果を表4に示す。
【0059】
レベルは1〜16の16段階であり、最大レベル16における輝度は2100cd/mである(室温20℃で50mmの距離で照射直後に測定。第1の照明手段11がレベル5(約656cd/m)、第2の照明手段12がレベル4(約525cd/m)、第3の照明手段13がレベル3(約394cd/m)であるとき、最も良好な結果が得られた。
【表4】

【0060】
第1の照明手段11、第2の照明手段12、第3の照明手段13を併用し、レンズ10のカメラ9と反対側に配置するバックシート7の色彩を変えて撮影テストを行なった結果を表5に示す。黒色で光沢のないものにおいて、最も良好な結果が得られた。
【表5】

【0061】
なお、上記実施形態は、本発明の一実施形態を示したものにすぎす、本発明は、各種の変形例を含む趣旨である。例えば、第1の照明手段11と第2の照明手段12は、個別のランプユニットとすることもできる。光源はLEDに限定するものではなく、他の光源を使用することもできる。検査対象とするレンズ10はプラスチックレンズに限定するものではない。その他、必要に応じて各種の変形を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明が適用されるレンズの検査装置の主要部分の構成を説明する図である。
【図2】第1ランプユニットをレンズ側から見た図である。
【図3】第2ランプユニットをレンズ側から見た図である。
【図4】検査ラインの全体構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
7:バックシート
8:レンズホルダ
9:カメラ
10:レンズ
11:第1の照明手段
12:第2の照明手段
13:第3の照明手段
15:第1ランプユニット
16:第2ランプユニット
17:第1の環状領域
18:第2の環状領域
20:開口部
20a:開口部
21:ハーフミラー
22:LED
23:空間
24:枠状部
25:LED
26:導光拡散板
28:LED
30:検査装置
31:供給装置
32:ピックアップ装置
33:ストッカ
34:ローダ装置
35:X−Yテーブル
36:X−Y移動制御部
37:照明コントローラ
38:コンピュータ装置
39:モニタ
40:除去アーム
41:X−Yステージ
42:X−Yコントローラ
44:内フランジ
45:カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象とするレンズに対して光を照射してその反射光を撮影してレンズの検査を行なう装置であって、
上記レンズの光軸の周りの第1の環状領域からレンズに対して光を照射する第1の照明手段と、
上記第1の環状領域の内側でレンズの光軸に沿ってレンズに対して光を照射する第2の照明手段と、
上記第1の環状領域よりもレンズ側において第1の環状領域よりも外側の第2の環状領域からレンズに対して光を照射する第3の照明手段とを備えたことを特徴とするレンズの検査装置。
【請求項2】
上記第1の照明手段は、発光面の少なくとも一部が光軸に向かうよう傾斜した環状の導光拡散板からの面発光により光を照射するものである請求項1記載のレンズの検査装置。
【請求項3】
上記レンズからの反射光を撮影するカメラは上記光軸上に存在し、
上記第2の照明手段は、レンズとカメラの間の光軸上に傾斜状に配置したハーフミラーと、上記ハーフミラーに対して光軸の外側から光を供給する光源とを含んで構成されている請求項1または2記載のレンズの検査装置。
【請求項4】
第3の照明手段による光の輝度よりも第1の照明手段および第2の照明手段による光の輝度の方が高くなるよう設定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズの検査装置。
【請求項5】
第2の照明手段による光の輝度よりも第1の照明手段による光の輝度の方が高くなるよう設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズの検査装置。
【請求項6】
第2の環状領域の内径は、第1の環状領域の外径の1.8倍以上となるよう設定されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズの検査装置。
【請求項7】
検査対象とするレンズに対して光を照射してその反射光を撮影してレンズの検査を行なう方法であって、
上記レンズの光軸の周りの第1の環状領域からレンズに対して光を照射し、
上記第1の環状領域の内側でレンズの光軸に沿ってレンズに対して光を照射し、
上記第1の環状領域よりもレンズ側において第1の環状領域よりも外側の第2の環状領域からレンズに対して光を照射することを特徴とするレンズの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−288121(P2009−288121A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142089(P2008−142089)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(508162190)アークライト・ソフト株式会社 (1)
【Fターム(参考)】