説明

レンズアレイ積層体及びその製造方法、並びに撮像ユニット集合体及びその製造方法

【課題】レンズアレイの各レンズ部と、それに対応するベースの素子とを高精度に位置あわせしてレンズアレイをベースに積層接合したレンズアレイ積層体、及び撮像ユニット集合体を提供する。
【解決手段】複数のレンズアレイを積層して一体に接合してなるレンズアレイ積層体の製造方法であって、前記レンズアレイは、1次元又は2次元の所定の並びに配列された複数のレンズ部と、これらのレンズ部と一体に形成され、これらのレンズ部を相互に連結する基板部と、を有しており、前記レンズアレイを、その表裏の面をそれぞれ成形する一対の型を用いて形成し、一つの前記レンズアレイ、又は複数の前記レンズアレイが積層接合された積層体をベースとして、該ベースの一面をその面を成形した型で保持すると共に、該ベースに積層接合される前記レンズアレイの該ベースとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持し、その状態で該ベースと該レンズアレイとを積層接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイ積層体及びその製造方法、並びに撮像ユニット集合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子の受光領域に結像するレンズと、を備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化、そして携帯端末の普及により、それに搭載される撮像ユニットにも更なる小型化・薄型化が要請され、そして生産性が要求される。かかる要求に対して、複数の固体撮像素子が配列されたセンサアレイに、複数のレンズ部が同様に配列されたレンズアレイを1又は複数重ね、それらを一体に接合し、個々に固体撮像素子及び対応する1又は複数のレンズ部を含むようにセンサアレイ及びレンズアレイを分断して撮像ユニットを量産する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された方法では、複数のレンズ成形面が配列された転写面を有する上型、及び上型の各レンズ成形面と対となるレンズ成形面が配列された転写面を有する下型を用いてレンズアレイを形成している。レンズアレイは、上型の転写面と下型の転写面との間で、光硬化性樹脂材料又は熱硬化性樹脂材料を圧縮して両転写面に倣って樹脂材料を変形させ、その状態で光を照射し又は熱を加えて樹脂材料を硬化させて形成される。上型及び下型の対となるレンズ成形面の間でレンズ部が形成され、また、上型及び下型のレンズ成形面を除く転写面の間で、これらのレンズ部を相互に連結する基板部が形成される。上記の用途に用いられるレンズアレイにあっては、全体として例えば直径が6インチ、8インチ、又は12インチのウエハ状(円板状)をなし、そこに例えば数千個のレンズ部が配列される。かかるレンズアレイを、以下では特にウエハレベルレンズアレイと称する。そして、特許文献1に開示された方法では、形成されたウエハレベルレンズアレイを上型及び下型から離型してセンサアレイないし他のウエハレベルレンズアレイに積層接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第08/153102号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、樹脂材料は硬化収縮を生じる。樹脂材料で形成されるレンズアレイでは、樹脂材料の硬化収縮は型に拘束されている間は残留応力として蓄積され、離型後に、蓄積された残留応力に起因して収縮を生じる。収縮に伴い、レンズアレイに反りが生じ、また、レンズ部のピッチに誤差が生じる。例えば、全体として12インチのウエハレベルレンズアレイでは、収縮に伴い、約50μmの反りが生じ、また、20〜30μmのピッチ誤差が生じる。レンズ部のピッチ誤差や反りに起因して、レンズアレイを、センサアレイ若しくは他のレンズアレイ又はそれらの積層体(以下、総称してベースという)に積層接合した際に、一部のレンズ部において、対応するベースの素子(センサアレイの固体撮像素子若しくはレンズアレイのレンズ部)に対して光軸の偏りや傾きが生じる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、その目的は、レンズアレイの各レンズ部と、それに対応するベースの素子とを高精度に位置あわせしてレンズアレイをベースに積層接合したレンズアレイ積層体、及び撮像ユニット集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 複数のレンズアレイを積層して一体に接合してなるレンズアレイ積層体の製造方法であって、前記レンズアレイは、1次元又は2次元の所定の並びに配列された複数のレンズ部と、これらのレンズ部と一体に形成され、これらのレンズ部を相互に連結する基板部と、を有しており、前記レンズアレイを、その表裏の面をそれぞれ成形する一対の型を用いて形成し、一つの前記レンズアレイ、又は複数の前記レンズアレイが積層接合された積層体をベースとして、該ベースの一面をその面を成形した型で保持すると共に、該ベースに積層接合される前記レンズアレイの該ベースとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持し、その状態で該ベースと該レンズアレイとを積層接合するレンズアレイ積層体の製造方法。
(2) 上記(1)の製造方法により製造されたレンズアレイ積層体を、センサアレイに積層し、一体に接合してなる撮像ユニット集合体の製造方法であって、前記センサアレイは、半導体基板に、前記レンズアレイの複数の前記レンズ部と同じ並びで複数の固体撮像素子が配列されており、前記レンズアレイ積層体の前記センサアレイとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持した状態で、該レンズアレイ積層体を該センサアレイに積層接合する撮像ユニット集合体の製造方法。
(3) センサアレイに、一つ以上のレンズアレイを順次積層して一体に接合してなる撮像ユニット集合体の製造方法であって、前記レンズアレイは、1次元又は2次元の所定の並びに配列された複数のレンズ部と、これらのレンズ部と一体に形成され、これらのレンズ部を相互に連結する基板部と、を有し、前記センサアレイは、半導体基板に、前記レンズアレイの複数の前記レンズ部と同じ並びで複数の固体撮像素子が配列されており、前記レンズアレイを、その表裏の面をそれぞれ成形する一対の型を用いて形成し、前記センサアレイ、又は前記センサアレイに一つ以上の前記レンズアレイが積層接合された積層体をベースとして、該ベースに積層接合される前記レンズアレイの該ベースとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持し、その状態で該レンズアレイを該ベースに積層接合する撮像ユニット集合体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レンズアレイの一面を型で保持した状態でレンズアレイをベースに積層接合しており、ベースとの接合が済むまでに、レンズアレイは型に拘束されて収縮を生じない。そこで、レンズアレイの各レンズ部と、対応するベースの素子との位置あわせの精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を説明するためのレンズアレイ積層体の一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1のレンズアレイ積層体の断面図である。
【図3】図1のレンズアレイ積層体に含まれるレンズアレイを形成する型の断面図である。
【図4】図4A〜図4Cは、図3の型を用いたレンズアレイの製造方法の一例を示す模式図である。
【図5】図5A〜図5Cは、図1のレンズアレイ積層体の製造方法の一例を示す模式図である。
【図6】図1のレンズアレイ積層体の変形例を示す断面図である。
【図7】図1のレンズアレイ積層体の製造方法の変形例を説明する模式図である。
【図8】図1のレンズアレイ積層体の製造方法の変形例を説明する模式図である。
【図9】図1のレンズアレイ積層体の製造方法の変形例を説明する模式図である。
【図10】本発明の実施形態を説明するためのレンズアレイ積層体の他の例を示す断面図である。
【図11】図11A〜図11Cは、図10のレンズアレイ積層体の製造方法の一例を示す模式図である。
【図12】本発明の実施形態を説明するための撮像ユニット集合体の一例を示す分解斜視図である。
【図13】図12の撮像ユニット集合体の断面図である。
【図14】図14A〜図14Cは、図12の撮像ユニット集合体の製造方法の一例を示す模式図である。
【図15】図15A〜図15Cは、図12の撮像ユニット集合体の製造方法の他の例を示す模式図である。
【図16】図16A〜図16Cは、図15A〜図15Cの撮像ユニット集合体の製造方法の続きを示す模式図である。
【図17】図17A〜図17Cは、撮像ユニットの製造方法の一例を示す模式図である。
【図18】撮像ユニットの製造方法の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2にレンズアレイ積層体の一例を示す。
【0012】
図1及び図2に示すレンズアレイ積層体1は、レンズアレイ2a、2bと、スペーサ3と、を備えている。
【0013】
レンズアレイ2aは、複数のレンズ部10と、これらのレンズ部10を相互に連結する基板部11とを有している。このレンズアレイ2aは、全体として所定のサイズのウエハ状をなし、そこに複数のレンズ部10が配列されたウエハレベルレンズアレイである。複数のレンズ部10は、図示の例では、行列状に配列されている。なお、レンズ部10の配列は、行列状の配列に限らず、他の2次元の配列、又は1次元の配列であってもよい。各レンズ部10は、その表裏に、所定のレンズ面12a、12bを有している。図示の例では、レンズ面12a、12bは、いずれも凸形状の球面となっているが、用途に応じて、凸形状の球面、凹形状の球面、非球面、又は平面の種々の組み合わせを採り得る。複数のレンズ部10及び基板部11は、透光性の材料で一体に形成されている。
【0014】
レンズアレイ2bは、上述のレンズアレイ2aと同様に、複数のレンズ部10と、これらのレンズ部10を相互に連結する基板部11とを有している。このレンズアレイ2bもまた、全体としてレンズアレイ2aと同サイズのウエハ状をなし、そこに複数のレンズ部10が配列されたウエハレベルレンズアレイである。複数のレンズ部10は、レンズアレイ2aの複数のレンズ部10と同じ並びで行列状に配列されている。複数のレンズ部10及び基板部11は、透光性の材料で一体に形成されている。各レンズ部10は、その表裏に、所定のレンズ面12a、12bを有している。以下で、レンズアレイ2a、2bについて、便宜的に、複数のレンズ面12aが並ぶ側の面を表側の面、また複数のレンズ面12bが並ぶ側の面を裏側の面とする。
【0015】
スペーサ3は、レンズアレイ2aと同サイズのウエハ状の部材であり、レンズアレイ2aとレンズアレイ2bとの間に介在して両レンズアレイ2a、2bとの間に所定の距離をおく厚みに形成されている。そして、スペーサ3には、厚さ方向に貫通する貫通孔13が複数形成されている。貫通孔13は、レンズアレイ2aの各レンズ部10と、それ対応するレンズアレイ2bのレンズ部10との間に位置するよう、レンズアレイ2a、2bの複数のレンズ部10と同じ並びで行列状に配列されている。
【0016】
レンズアレイ2aは、各レンズ部10の光軸を対応するレンズアレイ2bのレンズ部10の光軸と一致させるように、レンズアレイ2bとの間にスペーサ3を介在させてレンズアレイ2bに積層接合されている。
【0017】
図3に、上述のレンズアレイ2aを形成するための型の一例を示す。
【0018】
レンズアレイ2aは、上型20a及び下型30aを用いて形成される。
【0019】
上型20aは、複数のレンズ成形面22が配列された転写面21を有する。複数のレンズ成形面22は、レンズアレイ2aの複数のレンズ部10の配列に対応して、行列状に配列されている。そして、各レンズ成形面22は、レンズ部10のレンズ面12aを反転した形状となっており、図示の例では凸形状の球面であるレンズ面12aを反転した凹形状の球面となっている。即ち、上型20aは、レンズアレイ2aの表側の面を成形する。
【0020】
下型30aは、複数のレンズ成形面32が配列された転写面31を有する。複数のレンズ成形面32は、レンズアレイ2aの複数のレンズ部10の配列に対応して、行列状に配列されている。そして、各レンズ成形面32は、レンズ部10のレンズ面12bを反転した形状となっており、図示の例では凸形状の球面であるレンズ面12bを反転した凹形状の球面となっている。即ち、下型30aは、レンズアレイ2aの裏側の面を成形する。
【0021】
上型20aの外周部には、位置決め手段としてのマーク23が、複数箇所に設けられている。同様に、下型30aの外周部には、上型20aの各マーク23と対となるマーク33が複数箇所に設けられている。マーク23、33を合わせることで、両型20a、30aの位置決めがなされる。
【0022】
図4A〜図4Cを参照して、上述のレンズアレイ2aの製造方法の一例を説明する。
【0023】
図4Aに示すように、まず、下型30aの転写面31上に成形材料Mを供給し、成形材料Mを転写面31上に行き渡らせる。成形材料Mの流動性が比較的低い場合には、例えば、成形材料Mを予熱し、流動性を高めた状態で転写面31上に供給する。
【0024】
成形材料Mとしては、エネルギー硬化性の樹脂組成物を用いることができる。エネルギー硬化性の樹脂組成物は、熱により硬化する樹脂組成物、あるいは活性エネルギー線の照射(例えば紫外線)により硬化する樹脂組成物のいずれであってもよい。
【0025】
モールド形状の転写適性等、成形性の観点から硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には常温で液体であり、粘度が1000〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0026】
一方、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。該観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0027】
形状転写精度の観点からは硬化反応による体積収縮率が小さい樹脂組成物が好ましい。樹脂組成物の硬化収縮率としては10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。硬化収縮率の低い樹脂組成物としては、例えば(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)等)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)等)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0028】
また、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂組成物が望まれる。高アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。このような樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
【0029】
低アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’−ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0030】
また、樹脂組成物には、屈折率を高めたり、アッベ数を調整したりするために、無機微粒子をマトリックス中に分散させることが好ましい。無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。特に上記高アッベ数の樹脂に対しては、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂に対しては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)又は有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。無機微粒子の数平均粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えばX線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。無機微粒子の屈折率としては、22℃、589nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10〜70質量%が更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0031】
樹脂組成物に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
【0032】
また、樹脂組成物には、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0033】
また、樹脂組成物には、必要に応じて硬化触媒又は開始剤を配合することができる。具体的には、例えば特開2005−92099号公報(段落番号〔0063〕〜〔0070〕)等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合あるいはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、あるいは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には硬化反応性樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%程度がより好ましい。
【0034】
また、樹脂組成物は上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより硬化性樹脂組成物を製造することができる。該硬化性樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解又は分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。硬化性組成物が溶剤を含む場合には該組成物を基板及び/又は型の上にキャストし溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
【0035】
次いで、図4Bに示すように、上型20aのマーク23と下型30aのマーク33とを合わせて両型20a、30aを位置決めし、上型20aを降下させる。上型20aの転写面21と下型30aの転写面31との間で成形材料Mを挟み、圧縮することによって両転写面21、31に倣って成形材料Mを変形させる。
【0036】
次いで、図4Cに示すように、上型20aが降下しきった後に、加熱又は活性エネルギー線の照射によって成形材料Mに硬化エネルギーを付与し、成形材料Mを硬化させてレンズアレイ2aを得る。上型20aの各レンズ成形面22と、これと対となる下型30aのレンズ成形面32との間でレンズ部10が形成される。また、レンズ成形面22、32を除く上型20aの転写面21と下型30aの転写面31との間で基板部11が成形される。
【0037】
レンズアレイ2bについても、同様に、その表側の面を成形する上型、及びその裏側の面を成形する下型を用い、両型の転写面に倣って上述の成形材料Mを変形させ、その後に成形材料Mに硬化エネルギーを付与し、これを硬化させて形成される。
【0038】
次に、図5A〜図5Cを参照して、上述のレンズアレイ積層体1の製造方法の一例を説明する。なお、レンズアレイ2aをベースとして、その上にレンズアレイ2bが積層され、レンズアレイ2bは、裏側の面において、また、レンズアレイ2aは、表側の面において相互に接合されるものとして説明する。
【0039】
図5Aに示すように、レンズアレイ2aは、レンズアレイ2bと接合される表側の面は露呈させ、反対側の裏側の面はその面を成形した下型30aによって保持されている。また、レンズアレイ2bは、レンズアレイ2aと接合される裏側の面を露呈させ、反対側の表側の面はその面を成形した上型20bによって保持されている。また、スペーサ3の表裏の面には、それぞれ接着剤が塗布されている。
【0040】
露呈したレンズアレイ2aの表側の面とレンズアレイ2bの裏側の面とが対向するようにレンズアレイ2a、2bを配置し、両者の間にスペーサ3を配置する。そして、レンズアレイ2aを保持している下型30aのマーク33と、レンズアレイ2bを保持している上型20bのマーク23とを合わせて、両型20b、30aを位置決めする。
【0041】
次いで、図5Bに示すように、スペーサ3を介してレンズアレイ2bをレンズアレイ2aに積層し、これらのレンズアレイ2a、2b、及びスペーサ3を一体に接合してレンズアレイ積層体1を得る。レンズアレイ2bは一面を上型20bに保持され、またレンズアレイ2aは一面を下型30aに保持されて、それぞれ拘束されており、収縮が規制されている。そこで、両型20b、30aの位置決めにより、レンズアレイ2bの各レンズ部10の光軸と、対応するレンズアレイ2aのレンズ部10の光軸とが一致し、その状態でレンズアレイ2a、2bは接合される。
【0042】
次いで、図5Cに示すように、上型20b及び下型30aを取外す。上型20b及び下型30aを取外すことで、拘束が解かれてレンズアレイ2a、2bに収縮が生じ得るが、レンズアレイ2a、2bは接合され一体となっているので、対応するレンズ部10の光軸がずれることはない。また、レンズアレイ2a、2bは、接合され一体となっていることで相互に拘束しあい、個々に分かれているときに比べて収縮を抑制される。
【0043】
図6に上述のレンズアレイ積層体1の変形例を示す。
【0044】
図6に示すレンズアレイ積層体1は、上述したスペーサ3に替えて、レンズアレイ2a、2bの接合面に複数のリブ14をそれぞれ設け、リブ14同士を当接させることによってレンズアレイ2a、2bの間に所定の距離を置くようにしたものである。
【0045】
各リブ14は、行列状に配列されたレンズ部10の隣り合う行の間又は隣り合う列の間で行又は列に沿ってのび、格子状に交わっている。各レンズ部10は、複数のリブ14によって周囲を囲まれている。
【0046】
レンズアレイ2a、2bを積層接合するに際しては、レンズアレイ2aは、レンズアレイ2bとの接合面である表側の面を露呈させ、裏側の面を下型30aによって保持される。また、レンズアレイ2bは、レンズアレイ2aとの接合面である裏側の面を露呈させ、表側の面を上型20bによって保持される。そして、レンズアレイ2aの表側の面、及びレンズアレイ2bの裏側の面にそれぞれ設けられた複数のリブ14の端面に接着剤が塗布される。その状態で、レンズアレイ2a、2bは、リブ14同士を当接させて積層され、またリブ14同士を接着されて一体に接合される。
【0047】
図7〜図9を参照して、上述のレンズアレイ積層体1の製造方法の変形例を説明する。
【0048】
図7に示す製造方法では、レンズアレイ2aの裏側の面を保持する下型30aに挿通孔34を複数設け、また、レンズアレイ2bの表側の面を保持する上型20bに、下型30aの各層通孔34と対となる挿通孔24を複数設け、両挿通孔24、34にまたがってピン40を挿通することで両型20b、30aの位置決めを行うようにしたものである。
【0049】
図8に示す製造方法では、レンズアレイ2aの裏側の面を保持する下型30aの外周部にテーパ面35を設け、また、レンズアレイ2bの表側の面を保持する上型20bの外周部に、下型30aのテーパ面35と整合するテーパ面25を設け、両テーパ面25、35を整合させることで両型20b、30aの位置決めを行うようにしたものである。
【0050】
図9に示す製造方法では、レンズアレイ2aの裏側の面を保持する下型30aの外周部に凸状の段部36を設け、また、レンズアレイ2bの表側の面を保持する上型20bの外周部に、下型30aの段部36と嵌合する凹状の段部26を設け、両段部26、36の嵌めあいによって両型20b、30aの位置決めを行うようにしたものである。
【0051】
図10に、レンズアレイ積層体の他の例を示す。
【0052】
図10に示すレンズアレイ積層体101は、上述のレンズアレイ積層体1に、スペーサ3を介して、更にレンズアレイ2cを積層接合したものである。
【0053】
レンズアレイ2cは、上述のレンズアレイ2a、2bと同様に、複数のレンズ部10と、これらのレンズ部10を相互に連結する基板部11とを有している。このレンズアレイ2cもまた、全体としてレンズアレイ2a、2bと同サイズのウエハ状をなし、そこに複数のレンズ部10が配列されたウエハレベルレンズアレイである。複数のレンズ部10は、レンズアレイ2a、2bの複数のレンズ部10と同じ並びで行列状に配列されている。各レンズ部10は、その表裏に、所定のレンズ面12a、12bを有している。複数のレンズ部10及び基板部11は、透光性の材料で一体に形成されている。以下で、レンズアレイ2cについて、便宜的に、複数のレンズ面12aが並ぶ側の面を表側の面、また複数のレンズ面12bが並ぶ側の面を裏側の面とする。
【0054】
図11A〜図11Cを参照して、上述のレンズアレイ積層体101の製造方法の一例を説明する。なお、レンズアレイ積層体1をベースとして、レンズアレイ2cが、レンズアレイ積層体1上に積層され、レンズアレイ2cは、その裏側の面において、また、レンズアレイ積層体1は、レンズアレイ積層体1を構成するレンズアレイ2bの表側の面において相互に接合されるものとして説明する。また、上述のレンズアレイ積層体1の製造方法において、レンズアレイ2a、2b及びスペーサ3の接合が済んだ後、レンズアレイ2bを保持する上型20b、及びレンズアレイ2aを保持する下型30aが、いずれも取外されるものとして説明したが、以下の説明では、上型20bのみ取外され、下型30aは、そのままレンズアレイ2aを保持した状態で残されているものとする。
【0055】
図11Aに示すように、レンズアレイ2cは、レンズアレイ積層体1と接合される裏側の面を露呈させ、反対側の表側の面はその面を成形した上型20cによって保持されている。また、レンズアレイ積層体1は、レンズアレイ2cと接合される表側の面、つまりはレンズアレイ2bの表側の面は露呈させ、反対側の裏側の面、つまりはレンズアレイ2aの裏側の面はその面を成形した下型30aによって保持されている。また、スペーサ3の表裏の面には、それぞれ接着剤が塗布されている。
【0056】
露呈したレンズアレイ2cの裏側の面とレンズアレイ積層体1のレンズアレイ2bの表側の面とが対向するようにレンズアレイ2c及びレンズアレイ積層体1を配置し、両者の間にスペーサ3を配置する。そして、レンズアレイ2cを保持している上型20cのマーク23と、レンズアレイ積層体1のレンズアレイ2aを保持している下型30aのマーク33とを合わせて、両型20c、30aを位置決めする。
【0057】
次いで、図11Bに示すように、スペーサ3を介してレンズアレイ2cをレンズアレイ積層体1に積層し、これらのレンズアレイ2c、レンズアレイ積層体1、及びスペーサ3を一体に接合してレンズアレイ積層体101を得る。レンズアレイ2cは一面を上型20cに保持され、またレンズアレイ積層体1は一面を下型30aに保持されて、それぞれ拘束されており、収縮が規制されている。そこで、両型20c、30aの位置決めにより、レンズアレイ2cの各レンズ部10の光軸と、対応するレンズアレイ積層体1のレンズアレイ2a、2bのレンズ部10の光軸とが一致し、その状態でレンズアレイ2cとレンズアレイ積層体1は接合される。
【0058】
次いで、図11Cに示すように、上型20c及び下型30aを取外す。上型20c及び下型30aを取外すことで、拘束が解かれてレンズアレイ2c、及びレンズアレイ積層体1のレンズアレイ2a、2bに収縮が生じ得るが、レンズアレイ2cとレンズアレイ積層対1のレンズアレイ2a、2bは接合され一体となっているので、対応するレンズ部10の光軸がずれることはない。また、レンズアレイ2a、2b、2cは、接合され一体となっていることで相互に拘束しあい、個々に分かれているときに比べて収縮を抑制される。
【0059】
なお、レンズアレイ積層体101に、更にレンズアレイを積層接合することも可能である。
【0060】
図12及び図13に、撮像ユニット集合体の一例を示す。
【0061】
図12及び図13に示す撮像ユニット集合体201は、上述のレンズアレイ積層体1と、センサアレイ202と、スペーサ203とを備えている。
【0062】
センサアレイ202は、複数の固体撮像素子210が形成された半導体ウエハ211を有している。半導体ウエハ211は、レンズアレイ積層体1のレンズアレイ2a、2bと同サイズに形成されている。複数の固体撮像素子210は、レンズアレイ2a、2bの複数のレンズ部10と同じ並びで行列状に配列されている。固体撮像素子210は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどであり、半導体ウエハ211に対して周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、不純物添加工程、等を繰り返し、半導体ウエハ211上に受光領域、絶縁膜、電極、配線、等を形成して構成されている。
【0063】
スペーサ203は、センサアレイ202と同サイズのウエハ状の部材であり、センサアレイ202とレンズアレイ積層体1との間に介在してセンサアレイ202とレンズアレイ積層体1との間に所定の距離をおく厚みに形成されている。ここでいう所定の距離とは、レンズアレイ積層体1においてレンズアレイ2a、2bの積層方向に並んだ各レンズアレイのレンズ部10で構成される光学系15が、センサアレイ202の固体撮像素子210の受光領域に結像するための距離をいう。スペーサ203には、厚さ方向に貫通する貫通孔212が複数形成されている。貫通孔212は、センサアレイ202の複数の固体撮像素子210と同じ並びで行列状に配列されている。
【0064】
レンズアレイ積層体1は、各光学系15の光軸をそれに対応するセンサアレイ202の固体撮像素子210の受光領域の中心に一致させるように、レンズアレイ2aとの間にスペーサ203を介在させてセンサアレイ202に積層接合されている。
【0065】
図14A〜図14Cを参照して、上述の撮像ユニット集合体201の製造方法の一例を説明する。なお、上述のレンズアレイ積層体1の製造方法において、レンズアレイ2a、2b及びスペーサ3の接合が済んだ後、レンズアレイ2bを保持する上型20b、及びレンズアレイ2aを保持する下型30aが、いずれも取外されるものとして説明したが、以下の説明では、下型30aのみ取外され、上型20bは、そのままレンズアレイ2bを保持した状態で残されているものとする。
【0066】
図14Aに示すように、レンズアレイ積層体1は、センサアレイ202と接合されるレンズアレイ2aの裏側の面を露呈させており、反対側の面、即ちレンズアレイ2bの表側の面はその面を成形した上型20bによって保持されている。また、スペーサ203の表裏の面には、それぞれ接着剤が塗布されている。
【0067】
レンズアレイ積層体1の露呈したレンズアレイ2aの裏側の面とセンサアレイ202の表側の面(固体撮像素子210が形成されている面)とが対向するようにレンズアレイ積層体1及びセンサアレイ202を配置し、両者の間にスペーサ203を配置する。
【0068】
次いで、図14Bに示すように、スペーサ203を介してレンズアレイ積層体1をセンサアレイ202に積層し、これらのレンズアレイ積層体1、センサアレイ202、及びスペーサ203を一体に接合して撮像ユニット集合体201を得る。レンズアレイ積層体1は一面を上型20bに保持されて拘束されており、収縮が規制されている。そこで、レンズアレイ積層体1の各光学系15の光軸と、対応するセンサアレイ202の固体撮像素子210の受光領域の中心とが一致し、その状態でレンズアレイ積層体1とセンサアレイ202とは接合される。
【0069】
次いで、図14Cに示すように、上型20bを取外す。レンズアレイ積層体1とセンサアレイ202とは接合され一体となっているので、各光学系15の光軸が対応する固体撮像素子210の受光領域の中心からずれることはない。
【0070】
図15A〜図15C、及び図16A〜図16Cを参照して、上述の撮像ユニット集合体201の製造方法の他の例を説明する。以下に説明する撮像ユニット集合体201の製造方法は、上述のセンサアレイ202に、レンズアレイ2a、2bを個別に順次積層して接合するようにしたものである。
【0071】
まず、図15Aに示すように、レンズアレイ2aは、センサアレイ202と接合される裏側の面は露呈させており、反対側の表側の面は、その面を成形した上型20aによって保持されている。また、スペーサ203の表裏の面には、それぞれ接着剤が塗布されている。
【0072】
露呈したレンズアレイ2aの裏側の面とセンサアレイ202の表側の面とが対向するようにレンズアレイ2a及びセンサアレイ202を配置し、両者の間にスペーサ203を配置する。
【0073】
次いで、図15Bに示すように、スペーサ203を介してレンズアレイ2aをセンサアレイ202に積層し、これらのレンズアレイ2a、センサアレイ202、及びスペーサ203を一体に接合して積層体201´を得る。レンズアレイ2aは一面を上型20aに保持されて拘束されており、収縮を規制されている。そこで、レンズアレイ2aの各レンズ部10の光軸と、対応するセンサレイ202の固体撮像素子210の受光領域の中心とが一致し、その状態でレンズアレイ2aとセンサアレイ202とは接合される。
【0074】
次いで、図15Cに示すように、上型20aを取外す。上型20aを取外すことで、レンズアレイ2aは、上型20aによる拘束から解かれるが、センサアレイ202に接合され、このセンサアレイ202によって拘束されるので、なお収縮を規制される。
【0075】
以上により得られる積層体201´をベースとして、これに、スペーサ3を介して、更にレンズアレイ2bを積層接合する。
【0076】
図16Aに示すように、レンズアレイ2bは、積層体201´と接合される裏側の面は露呈させており、反対側の表側の面は、その面を成形した上型20bによって保持されている。また、スペーサ3の表裏の面には、それぞれ接着剤が塗布されている。
【0077】
露呈したレンズアレイ2bの裏側の面と積層体201´の表側の面、即ちレンズアレイ2aの表側の面とが対向するようにレンズアレイ2b及び積層体201´を配置し、両者の間にスペーサ3を配置する。
【0078】
次いで、図16Bに示すように、スペーサ3を介してレンズアレイ2bを積層体201´に積層し、これらのレンズアレイ2b、積層体201´、及びスペーサ3を一体に接合して撮像ユニット集合体201を得る。積層体201´のレンズアレイ2aは、センサアレイ202に接合されて拘束されており、収縮を規制されている。また、レンズアレイ2bは一面を上型20bに保持されて拘束されており、収縮を規制されている。そこで、レンズアレイ2bの各レンズ部10の光軸と、対応する積層体201´のレンズアレイ2aのレンズ部10の光軸とが一致し、結果、対応するセンサアレイ202の固体撮像素子210の受光領域の中心に一致し、その状態でレンズアレイ2bと積層体201´とは接合される。
【0079】
次いで、図16Cに示すように、上型20bを取外す。レンズアレイ2b及びレンズアレイ2a、並びにセンサアレイ202は接合され一体となっているので、レンズアレイ2bの各レンズ部10の光軸と、対応するレンズアレイ2aのレンズ部10の光軸及びセンサアレイ202の固体撮像素子210の受光領域の中心とがずれることはない。
【0080】
次に、上述のレンズアレイ積層体1又は撮像ユニット集合体201を用いた撮像ユニットの製造方法を説明する。
【0081】
図17A〜図17Cは、レンズアレイ積層体1を用いて撮像ユニットを製造する方法の一例を示す。
【0082】
図17Aに示すように、上述のレンズアレイ積層体1を、個々にレンズアレイ2aの各レンズ部10、及び対応するレンズアレイ2bのレンズ部10を含む複数のレンズモジュール302に分離する。これとは別に、図17Bに示すように、上述のセンサアレイ202を、個々に固体撮像素子210を含む複数のセンサモジュール303に分離する。そして、図17Cに示すように、レンズモジュール302をセンサモジュール303に組み付けて撮像ユニット301を得る。この撮像ユニット301の製造方法によれば、レンズモジュール302に含む複数のレンズ部10の光軸が一致している。よって、これらのレンズ部10の光軸のズレに起因した光学系15の結像性能の低下を回避することができる。
【0083】
図18は、上述の撮像ユニット集合体201を用いて撮像ユニットを製造する方法の一例を示す。
【0084】
図18に示すように、上述の撮像ユニット集合体201を、個々にセンサアレイ202の各固体撮像素子210、及び対応するレンズアレイ2a、2bのレンズ部10を含むように格子状に切断することにより、撮像ユニット301を得る。この撮像ユニット301の製造方法によれば、レンズモジュール302をセンサモジュール303に個々に組み付ける場合に比べて、多数の撮像ユニット301を製造するのに要する手間を大幅に削減することができる。
【0085】
以上、説明した通り、本明細書に開示されたレンズアレイ積層体の製造方法は、複数のレンズアレイを積層して一体に接合してなるレンズアレイ積層体の製造方法であって、前記レンズアレイは、1次元又は2次元の所定の並びに配列された複数のレンズ部と、これらのレンズ部と一体に形成され、これらのレンズ部を相互に連結する基板部と、を有しており、前記レンズアレイを、その表裏の面をそれぞれ成形する一対の型を用いて形成し、一つの前記レンズアレイ、又は複数の前記レンズアレイが積層接合された積層体をベースとして、該ベースの一面をその面を成形した型で保持すると共に、該ベースに積層接合される前記レンズアレイの該ベースとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持し、その状態で該ベースと該レンズアレイとを積層接合する。
【0086】
また、本明細書に開示された撮像ユニット集合体の製造方法は、上記のレンズアレイ積層体の製造方法により製造されたレンズアレイ積層体を、センサアレイに積層し、一体に接合してなる撮像ユニット集合体の製造方法であって、前記センサアレイは、半導体基板に、前記レンズアレイの複数の前記レンズ部と同じ並びで複数の固体撮像素子が配列されており、前記レンズアレイ積層体の前記センサアレイとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持した状態で、該レンズアレイ積層体を該センサアレイに積層接合する。
【0087】
また、本明細書に開示された撮像ユニット集合体の製造方法は、センサアレイに、一つ以上のレンズアレイを順次積層して一体に接合してなる撮像ユニット集合体の製造方法であって、前記レンズアレイは、1次元又は2次元の所定の並びに配列された複数のレンズ部と、これらのレンズ部と一体に形成され、これらのレンズ部を相互に連結する基板部と、を有し、前記センサアレイは、半導体基板に、前記レンズアレイの複数の前記レンズ部と同じ並びで複数の固体撮像素子が配列されており、前記レンズアレイを、その表裏の面をそれぞれ成形する一対の型を用いて形成し、前記センサアレイ、又は前記センサアレイに一つ以上の前記レンズアレイが積層接合された積層体をベースとして、該ベースに積層接合される前記レンズアレイの該ベースとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持し、その状態で該レンズアレイを該ベースに積層接合する。
【0088】
また、本明細書に開示されたレンズアレイ積層体は、上記のレンズアレイ積層体の製造方法により製造される。
【0089】
また、本明細書に開示されたレンズモジュールは、上記のレンズアレイ積層体から分離されたレンズモジュールであって、前記レンズアレイ積層体を構成する複数の前記レンズアレイの積層方向に並ぶ、複数の前記レンズアレイそれぞれの前記レンズ部で構成された光学系を含んでいる。
【0090】
また、本明細書に開示された撮像ユニットは、上記のレンズモジュールと、固体撮像素子を含むセンサモジュールと、を備え、前記光学系が前記固体撮像素子の受光領域に結像するように前記レンズモジュールが前記センサモジュールに組み付けられている。
【0091】
また、本明細書に開示された撮像ユニット集合体は、上記の撮像ユニット集合体の製造方法により製造される。
【0092】
また、本明細書に開示された撮像ユニットは、上記の撮像ユニット集合体から分離された撮像ユニットであって、前記撮像ユニット集合体を構成する前記センサアレイ及び一つ以上の前記レンズアレイの積層方向に並ぶ、前記センサアレイの固体撮像素子及び前記レンズアレイそれぞれの前記レンズ部を含んでいる。
【符号の説明】
【0093】
1 レンズアレイ積層体
2a、2b、2c レンズアレイ
3 スペーサ
10 レンズ部
11 基板部
12a、12b レンズ面
13 貫通孔
14 リブ
15 光学系
20a、20b 上型
21 転写面
22 レンズ成形面
23 マーク
24 挿通孔
25 テーパ面
26 段部
30a 下型
31 転写面
32 レンズ成形面
33 マーク
34 挿通孔
35 テーパ面
36 段部
40 ピン
101 レンズアレイ積層体
201 撮像ユニット集合体
202 センサアレイ
203 スペーサ
210 固体撮像素子
211 半導体ウエハ
212 貫通孔
301 撮像ユニット
302 レンズモジュール
303 センサモジュール
M 成形材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズアレイを積層して一体に接合してなるレンズアレイ積層体の製造方法であって、
前記レンズアレイは、1次元又は2次元の所定の並びに配列された複数のレンズ部と、これらのレンズ部と一体に形成され、これらのレンズ部を相互に連結する基板部と、を有しており、
前記レンズアレイを、その表裏の面をそれぞれ成形する一対の型を用いて形成し、
一つの前記レンズアレイ、又は複数の前記レンズアレイが積層接合された積層体をベースとして、該ベースの一面をその面を成形した型で保持すると共に、該ベースに積層接合される前記レンズアレイの該ベースとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持し、その状態で該ベースと該レンズアレイとを積層接合するレンズアレイ積層体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法により製造されたレンズアレイ積層体を、センサアレイに積層し、一体に接合してなる撮像ユニット集合体の製造方法であって、
前記センサアレイは、半導体基板に、前記レンズアレイの複数の前記レンズ部と同じ並びで複数の固体撮像素子が配列されており、
前記レンズアレイ積層体の前記センサアレイとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持した状態で、該レンズアレイ積層体を該センサアレイに積層接合する撮像ユニット集合体の製造方法。
【請求項3】
センサアレイに、一つ以上のレンズアレイを順次積層して一体に接合してなる撮像ユニット集合体の製造方法であって、
前記レンズアレイは、1次元又は2次元の所定の並びに配列された複数のレンズ部と、これらのレンズ部と一体に形成され、これらのレンズ部を相互に連結する基板部と、を有し、
前記センサアレイは、半導体基板に、前記レンズアレイの複数の前記レンズ部と同じ並びで複数の固体撮像素子が配列されており、
前記レンズアレイを、その表裏の面をそれぞれ成形する一対の型を用いて形成し、
前記センサアレイ、又は前記センサアレイに一つ以上の前記レンズアレイが積層接合された積層体をベースとして、該ベースに積層接合される前記レンズアレイの該ベースとの接合面とは反対側の面をその面を成形した型で保持し、その状態で該レンズアレイを該ベースに積層接合する撮像ユニット集合体の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の製造方法により製造されたレンズアレイ積層体。
【請求項5】
請求項4に記載のレンズアレイ積層体から分離されたレンズモジュールであって、
前記レンズアレイ積層体を構成する複数の前記レンズアレイの積層方向に並ぶ、複数の前記レンズアレイそれぞれの前記レンズ部で構成された光学系を含むレンズモジュール。
【請求項6】
請求項5に記載のレンズモジュールと、固体撮像素子を含むセンサモジュールと、を備え、
前記光学系が前記固体撮像素子の受光領域に結像するように前記レンズモジュールが前記センサモジュールに組み付けられた撮像ユニット。
【請求項7】
請求項2又は請求項3に記載の製造方法により製造された撮像ユニット集合体。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像ユニット集合体から分離された撮像ユニットであって、
前記撮像ユニット集合体を構成する前記センサアレイ及び一つ以上の前記レンズアレイの積層方向に並ぶ、前記センサアレイの固体撮像素子及び前記レンズアレイそれぞれの前記レンズ部を含む撮像ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−65040(P2011−65040A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217165(P2009−217165)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】