説明

レンズシステム

【課題】本発明は、低色収差及び高解像度を同時に保証することができるレンズシステムを提供する。
【解決手段】本発明のレンズシステムは、物体側から像側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ、正の屈折力を有する第2レンズ、負の屈折力を有する第3レンズ、正の屈折力を有する第4レンズ及び負又は正の屈折力を有する第5レンズが順に配列され、前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第4レンズ及び前記第5レンズは、非球面レンズであるレンズシステムであって、
以下の条件式(1)を満たす。
0.9<F2/F<1.4 ・・・(1)
ここで、F2は前記第2レンズの有効焦点距離であり、Fは前記レンズシステムの有効焦点距離である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学技術に関するものであって、特にレンズシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、電子部品の小型化、軽量化及び多機能化が進んでいる。例えば、携帯電話及び携帯情報端末(PDA)などには、レンズシステムが内蔵されているが、現在このレンズシステムに対しても更なる高画質化及び低コスト化が求められている。
【0003】
球面ガラスレンズは、色収差を良好に補正することができるが、球面収差を補正し難いという問題がある。従来のレンズシステムは、非球面プラスチックレンズを使用することによって、結像品質を保証している。しかし、複数の非球面プラスチックレンズから構成されたレンズシステムは、低色収差及び高解像度を同時に保証することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、低色収差及び高解像度を同時に保証することができるレンズシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明に係るレンズシステムは、物体側から像側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ、正の屈折力を有する第2レンズ、負の屈折力を有する第3レンズ、正の屈折力を有する第4レンズ、及び負又は正の屈折力を有する第5レンズが順に配列され、前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第4レンズ及び前記第5レンズは、非球面レンズであり、該レンズシステムは、以下の条件式(1)を満たす。
0.9<F2/F<1.4 ・・・(1)
ここで、F2は前記第2レンズの有効焦点距離であり、Fは前記レンズシステムの有効焦点距離である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のレンズシステムにおいて、前記条件式(1)を満たすことによって、低色収差及び高解像度を同時に保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第一実施形態に係るレンズシステムの構造を示す図である。
【図2】図1に示す本発明の第一実施形態に係るレンズシステムの球面収差図である。
【図3】図1に示す本発明の第一実施形態に係るレンズシステムの像面湾曲図である。
【図4】図1に示す本発明の第一実施形態に係るレンズシステムの歪曲収差図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係るレンズシステムの構造を示す図である。
【図6】図5に示す本発明の第二実施形態に係るレンズシステムの球面収差図である。
【図7】図5に示す本発明の第二実施形態に係るレンズシステムの像面湾曲図である。
【図8】図5に示す本発明の第二実施形態に係るレンズシステムの歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態及び第二実施形態について説明する。
【0009】
(第一実施形態)
まず、図1乃至図4を参照して、本発明の第一実施形態を説明する。
図1に示したように、本発明の第一実施形態に係るレンズシステム100は、物体側(図1における左側)から像側(図1における右側)に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ10、正の屈折力を有する第2レンズ20、負の屈折力を有する第3レンズ30、正の屈折力を有する第4レンズ40、及び負の屈折力を有する第5レンズ50が順に配列されている。本実施形態において、前記第1レンズ10、前記第2レンズ20、前記第3レンズ30、前記第4レンズ40及び前記第5レンズ50は、非球面プラスチックレンズである。
【0010】
前記第1レンズ10は、物体側に面する第一表面S1と、像側に面する第二表面S2と、を備える。前記第2レンズ20は、物体側に面して前記第1レンズ10の第二表面S2に対向する第三表面S3と、像側に面する第四表面S4と、を備える。前記第3レンズ30は、物体側に面して前記第2レンズ20の第四表面S4に対向する第五表面S5と、像側に面する第六表面S6と、を備える。前記第4レンズ40は、物体側に面して前記第3レンズ30の第六表面S6に対向する第七表面S7と、像側に面する第八表面S8と、を備える。前記第5レンズ50は、物体側に面して前記第4レンズ40の第八表面S8に対向する第九表面S9と、像側に面する第十表面S10と、を備える。
【0011】
前記レンズシステム100は、絞りSt及びフィルター60をさらに備える。前記絞りStは、前記第1レンズ10と前記第2レンズ20との間に位置し、前記フィルター60は、前記第5レンズ50の像側に位置する。前記絞りStは、前記第2レンズ20の光通過量を制限するために用いられる。前記フィルター60は、前記第5レンズ50から通過してくる光線の中の赤外線をカットするために用いられ、且つ物体側に面して前記第5レンズ50の第十表面S10に対向する前表面62と、像側に面する後表面64と、を備える。
【0012】
本実施形態において、光線は、物体側から前記第1レンズ10に入射して、前記絞りSt、前記第2レンズ20、前記第3レンズ30、前記第4レンズ群40、前記第5レンズ群50及びフィルター60の順に通過した後、結像面101に集光されて、前記結像面に設置されたCCD又はCMOSなどの固体撮像素子によって、被写体の像が結像される。
【0013】
前記レンズシステム100は、以下の条件式(2)を満たす。
【0014】
0.9<F2/F<1.4 ・・・(2)
【0015】
ここで、F2は前記第2レンズ20の有効焦点距離であり、Fは前記レンズシステム100の有効焦点距離である。
【0016】
前記条件式(2)を満たせば、前記レンズシステム100の球面収差は良好に補正され、且つコマ収差が大きすぎることはない。
【0017】
前記レンズシステム100は、以下の条件式(3)を満たすことが好ましい。
【0018】
−0.3<F/f5<0.3 ・・・(3)
【0019】
ここで、f5は前記第5レンズ50の有効焦点距離である。
【0020】
前記条件式(3)を満たせば、前記レンズシステム100の画角、低歪曲収差及び小さいコマ収差を保証することができる。
【0021】
前記レンズシステム100は、以下の条件式(4)乃至(8)の全てを満たすことが好ましい。
【0022】
50<Vd1<60 ・・・(4)
【0023】
50<Vd2<60 ・・・(5)
【0024】
22<Vd3<28 ・・・(6)
【0025】
50<Vd4<60 ・・・(7)
【0026】
50<Vd5<60 ・・・(8)
【0027】
ここで、Vd1は、前記第1レンズ10のアッベ数であり、Vd2は前記第2レンズ20のアッベ数であり、Vd3は前記第3レンズ30のアッベ数であり、Vd4は前記第4レンズ40のアッベ数であり、Vd5は前記第5レンズ50のアッベ数である。
【0028】
前記条件式(4)乃至(8)を満たせば、前記レンズシステム100のコマ収差は良好に補正される。
【0029】
前記第1レンズ10、前記第2レンズ20、前記第3レンズ30、前記第4レンズ40及び前記第5レンズ50の非球面形状は以下の数式(9)によって表示される。
【0030】
【数1】

【0031】
ここで、cは、レンズ表面中心の曲率であり、hは、光軸からレンズ表面までの高さであり、kは、二次曲面係数であり、Aiは、第i次の非球面形状の係数である。
【0032】
以下の表1、表2の中のデータに基づく数値を前記数式(9)に代入することにより、第一実施形態の前記レンズシステム100の各々のレンズの表面の非球面形状を知ることができる。本実施形態において、前記レンズシステム100の各光学素子は、表1及び表2の条件を満たす。ここで、Rは対応する表面の曲率半径であり、Dは対応する表面から次の表面までの軸上距離であり、Ndは対応するレンズのd光線(波長が587nmである)に対する屈折率であり、Vdは対応するレンズのアッベ数である。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
第一実施形態において、F2/F=1.00、F/f5=−0.25、V1=56.8、V2=56.8、V3=26.6、V4=56.8、V5=56.8である。
【0036】
前記レンズシステム100の球面収差、像面湾曲及び歪曲収差は、図2乃至図4に示した。図2乃至図4に示した六本の各々の曲線は、それぞれa光線(波長が470nmである)、b光線(波長が510nmである)c光線(波長が555nmである)d光線(波長が610nmである)e光線(波長が650nmである)f光線(波長が588nmである)の収差曲線である。図2に示したように、前記レンズシステム100の可視光線に対する球面収差値は−0.2mm〜0.2mmの範囲である。図3のT及びSは、それぞれ光のメリディオナル方向の特性曲線(Tangential field curvature curve)及び光のサジタル方向の特性曲線(Sagittal field curvature curve)であり、全て−0.2mm〜0.2mmの範囲内に制御される。図4に示したように、前記レンズシステム100の歪曲収差は、−2.00%〜2.00%までの範囲内に制御される。
【0037】
(第二実施形態)
次に、図5乃至図8を参照して、本発明の第二実施形態を説明する。
図5は、本発明の第二実施形態のレンズシステム100aである。該第二実施形態のレンズシステム100aは、第5レンズ50が正の屈折力を有する点で、第一実施形態の前記レンズシステム100に対して相違している。なお、以下の第二実施形態についての説明において、第一実施形態と共通する部分については適宜説明を省略する。
【0038】
以下の表3、表4の中のデータに基づく数値を前記数式(9)に代入することにより、第二実施形態の前記レンズシステム100aの各々のレンズの表面の非球面形状を知ることができる。本実施形態において、前記レンズシステム100aの各光学素子は、表3及び表4の条件を満たす。ここで、Rは対応する表面の曲率半径であり、Dは対応する表面から次の表面までの軸上距離であり、Ndは対応するレンズのd光線(波長が587nmである)に対する屈折率であり、Vdは対応するレンズのアッベ数である。
【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
第二実施形態において、F2/F=1.30、F/f5=0.27、V1=55.8、V2=55.8、V3=23.2、V4=55.8、V5=55.8である。
【0042】
前記レンズシステム100aの球面収差、像面湾曲及び歪曲収差は、図6乃至図8に示した。図6乃至図8に示した六本の各々の曲線は、それぞれa光線(波長が470nmである)、b光線(波長が510nmである)c光線(波長が555nmである)d光線(波長が610nmである)e光線(波長が650nmである)f光線(波長が588nmである)の収差曲線である。図6に示したように、前記レンズシステム100aの可視光線に対する球面収差値は−0.05mm〜0.05mmの範囲である。図7のT及びSは、それぞれ光のメリディオナル方向の特性曲線(Tangential field curvature curve)及び光のサジタル方向の特性曲線(Sagittal field curvature curve)であり、全て−0.20mm〜0.20mmの範囲内に制御される。図8に示したように、前記レンズシステム100aの歪曲収差は、−2.00%〜2.00%までの範囲内に制御される。
【0043】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能であることは勿論であって、本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲から決まる。
【符号の説明】
【0044】
10 第1レンズ
20 第2レンズ
30 第3レンズ
40 第4レンズ
50 第5レンズ
60 フィルター
62 前表面
64 後表面
100、100a レンズシステム
101 結像面
S1 第一表面
S2 第二表面
S3 第三表面
S4 第四表面
S5 第五表面
S6 第六表面
S7 第七表面
S8 第八表面
S9 第九表面
S10 第十表面
St 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって、負の屈折力を有する第1レンズ、正の屈折力を有する第2レンズ、負の屈折力を有する第3レンズ、正の屈折力を有する第4レンズ及び負又は正の屈折力を有する第5レンズが順に配列され、前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第4レンズ及び前記第5レンズは、非球面レンズであるレンズシステムであって、
以下の条件式(1)を満たすことを特徴とするレンズシステム。
0.9<F2/F<1.4 ・・・(1)
ここで、F2は前記第2レンズの有効焦点距離であり、Fは前記レンズシステムの有効焦点距離である。
【請求項2】
前記レンズシステムは、以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズシステム。
−0.3<F/f5<0.3 ・・・(2)
ここで、f5は前記第5レンズ50の有効焦点距離である。
【請求項3】
前記レンズシステムは、以下の条件式(3)乃至(7)の全てを満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズシステム。
50<Vd1<60 ・・・(3)
50<Vd2<60 ・・・(4)
22<Vd3<28 ・・・(5)
50<Vd4<60 ・・・(6)
50<Vd5<60 ・・・(7)
ここで、Vd1は、前記第1レンズのアッベ数であり、Vd2は前記第2レンズのアッベ数であり、Vd3は前記第3レンズのアッベ数であり、Vd4は前記第4レンズのアッベ数であり、Vd5は前記第5レンズのアッベ数である。
【請求項4】
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第4レンズ及び前記第5レンズは、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載のレンズシステム。
【請求項5】
前記レンズシステムは、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に位置する絞りをさらに備え、前記絞りは、前記第2レンズの光通過量を制限するために用いられることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載のレンズシステム。
【請求項6】
前記レンズシステムは、前記第5レンズの像側に位置するフィルターをさらに備え、前記フィルターは、前記第5レンズから通過してきた光線の中の赤外線をカットするために用いられることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載のレンズシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−92775(P2013−92775A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231567(P2012−231567)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】