説明

レンズ位置検出装置及びレンズ装置

【課題】コンパクトな構成でレンズの絶対位置を高精度に検出することができ、比較的大きな移動量にも対応した広い検出範囲を実現することができるレンズ位置検出装置及びこれを適用したレンズ装置を提供する。
【解決手段】鏡胴本体(112)の内部にカム筒(130)が配置され、カム筒(130)の内部において光軸方向に移動可能に構成されるレンズ(116)の位置を検出するレンズ位置検出装置であって、レンズ枠(122)に第1のシートコイル(171)を設けるとともに、鏡胴本体(112)の第1のシートコイル(171)の対面する位置に第2のシートコイル(172)を設け、レンズ枠(122)の移動に伴い第1のシートコイル(171)が第2のシートコイル(172)との対面距離を保って移動することにより、当該移動位置に応じて検出コイルから出力される電気信号に基づきレンズ(116)の位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ位置検出装置及びレンズ装置に係り、特に焦点調節または変倍機構を有するレンズ装置における可動レンズの位置検出に好適な位置検出技術及びこれを適用したレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ位置を検出する手段として、レンズ駆動用モータの出力軸または動力伝達ギアの回転数を検出する方式が知られている(特許文献1)。この方式は、回転部に取り付けた円盤状のスリット板とフォトインタラプタによりパルス信号を発生させ、このパルス数をカウントすることによりレンズ位置を検出する構成である。
【0003】
しかし、当該方式は、移動対象であるレンズの位置を直接検出するものではなく、駆動機構の回転量から間接的にレンズの位置を把握するものであり、動力伝達系に多数のギアが存在するためバックラッシュ等の機構的要因により高精度の検出が難しい。
【0004】
また、他の検出手段として、レンズ鏡胴の固定枠部に発光素子と受光素子を配置する一方、移動枠部に回折格子を配置してパルス信号を発生させ、このパルス数をカウントする構成も提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかし、同文献2に記載の方式は、光学式であるため塵埃等の影響を受けやすく信頼性に欠けるとともに、回折格子の加工精度が検出精度に大きく影響し、高精度の検出を実現するための回折格子の製造が困難である。
【0006】
更に、特許文献1、2に記載の方式はいずれも、パルス数のカウントによる相対的な位置検出であるため、絶対位置を検出するためには、一度、原点復帰を行う必要がある。或いはまた、絶対位置を検出するために、別途、絶対位置を検出するための機構が必要であり、小型化、低コスト化に不利である。
【0007】
かかる課題に対し、平面インダクタ部材と導電部材との対面距離を変化させる構成により平面インダクタ部材から得られる電気信号の変化からレンズ位置を検出する方式が提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平1−217408号公報
【特許文献2】特開平2−77708号公報
【特許文献3】特許第4129411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載の方式は、平面インダクタ部材と導電部材との対面距離が大きくなるにつれて急激に信号が小さくなるため(同文献3の段落[0017]及び図5参照)、レンズ位置を検出できる範囲が狭く、位置が遠くなると検出精度が悪くなるという問題がある。かかる欠点に対して、特許文献3では、複数の平面インダクタ部材を用いることで検出範囲を拡張する構成が開示されているものの、平面インダクタ部材の個数が増えて検出部の構成が複雑になる上、拡張できる範囲も2〜3倍程度であり、例えば、テレビカメラ用のレンズ装置などレンズ移動量が数十ミリというオーダーの移動量に対して検出範囲を確保することは実際に困難である。
【0009】
また、特許文献3に記載の技術以外にレンズの位置を非接触で検出する手段として、磁気抵抗素子(MRセンサ)を用いる態様も知られている。MRセンサを用いる態様によれば、移動対象の摩擦の影響を低減することができ、耐久性が向上するなどの効果を得ることができる。
【0010】
図6は、MRセンサが適用されたレンズ装置の構成例を示す概略図である。同図に示すレンズ装置100の詳細構造については後で説明するが、このレンズ装置100のレンズ鏡胴110には、筒状に形成された鏡胴本体(固定筒)112の内側にカム筒(回転筒)130が回動自在に配置され、そのカム筒130の内側に保持枠122に保持された可動レンズ(群)が配置される。MRセンサ900は、マグネット902と、このマグネット902との相対移動による磁気変化を検出するセンサ904との対で構成される。図6に示した例では、マグネット902はカム筒130の内周面に配置され、センサ904は保持枠122の外周面に配置されている。
【0011】
しかしながら、MRセンサを用いる態様の場合、マグネットとセンサの間隔(エアギャップ)を管理する必要があり、しかも両者を近接して配置(概ね100μm程度の距離内に配置)する必要があるため、図6に示した例のようにマグネットやセンサを配置する場所が限定される。また、調整及び確認を行うために移動部材の外側部材に切り欠きなどを設ける必要がある。特に、放送用レンズで採用される3本宙吊り方式のカム機構では、マグネットとセンサを近接配置することが難しく、移動部材の位置をダイレクトに検出することができないか、又は、検出誤差が大きくなってしまうという問題がある。
【0012】
このようにMRセンサが適用された従来の装置構成では、装置全体の小型化に伴い、MRセンサの取り付けが困難になってきた。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、コンパクトな構成でレンズの絶対位置を高精度に検出することができ、比較的大きな移動量にも対応した広い検出範囲を実現することができるレンズ位置検出装置及びこれを適用したレンズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は前記目的を達成するために、筒状に形成された固定筒の内部に中間筒が配置され、前記中間筒の内部において光軸方向に移動可能に構成されるレンズの位置を検出するレンズ位置検出装置であって、前記レンズを保持するレンズ枠に設けられた第1のシートコイルと、前記固定筒の前記第1のシートコイルに対面する位置に設けられた第2のシートコイルと、前記第1のシートコイル及び前記第2のシートコイルのいずれか一方を励磁コイル、他方を検出コイルとし、前記励磁コイルに励磁信号を与える励磁回路と、前記レンズ枠の移動に伴い前記第1のシートコイルが前記第2のシートコイルとの対面距離を保って前記第2のシートコイルに平行な面内で移動することにより、当該移動位置に応じて前記検出コイルから出力される電気信号により前記レンズの位置を検出する信号処理回路と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、平面状のコイル(シートコイル)を用い、コイル面間の距離を変えずに、レゾルバの原理によってレンズ位置を検出するため、検出部の薄型化、小型化が可能であり、レンズの絶対位置を高精度に検出することができる。また、コイルの長さの設計によって広い検出範囲にも対応することができる。
【0016】
特に本発明によれば、第1のシートコイルと第2のシートコイルとの間隔(エアギャップ)を長くとれるため、これらのシートコイル間に中間部材が配置される場合でもレンズの位置をダイレクトに検出可能となり、配置自由度が増し、装置全体の小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0018】
<検出装置の原理>
図1は、本発明の実施形態に係るレンズ位置検出装置における検出部の構成例を示す図である。ここでは、平面状のシートコイル10、20を利用したリニアタイプのレゾルバ30を例に説明する。図示のレゾルバ30は、一次側の励磁コイル32と、二次側の検出コイル36の対から構成される。一次側の励磁コイル32は、第1の励磁信号(sin波)を入力する第1励磁コイルパターン32Aと、第2の励磁信号(cos波)を入力する第2励磁コイルパターン32Bとを有し、両者は互いに絶縁されている。
【0019】
第1励磁コイルパターン32Aと第2励磁コイルパターン32Bは、それぞれ図1のように、矩形のつづら折り(メアンダ)状導体パターンからなり、両者のコイルパターンにおける折り返しピッチは等しく、両者は互いに電気角で90°位相を異ならせた空間的な位置関係で配置されている。
【0020】
この励磁コイル32に対向して配置される二次側の検出コイル36は、一次側の第1励磁コイルパターン32A(又は第2励磁コイルパターン32B)と同様に、矩形のつづら折り(メアンダ)状導体パターンからなり、折り返しピッチも励磁コイルパターン32A、32Bと同等である。
【0021】
励磁コイル32に励磁信号を与えることにより、コイル面の垂直方向に折り返しピッチを反映した正負の磁界が発生し、検出コイル36と鎖交する磁束の変化に応じて検出コイル36から出力信号が得られる。
【0022】
検出コイル36と励磁コイル32は、一定の対面距離dを隔てて対向配置され、この対面距離dを保ったまま、両者が面方向(図1の矢印Hで示す直進方向)に相対移動することにより、その位置関係に対応した変位量(図中のθ)に応じて、二次側の検出信号の位相が変化する。
【0023】
第1励磁コイルパターン32Aに励磁波V1=A・sin(ωt)を入力し、第2励磁コイルパターン32Bに励磁波V2=A・cos(ωt)を入力すると、検出コイル36に誘起される二次側信号Eは、変位量θに相当する回転角に応じてE=a・sin(ωt±θ)の信号が得られる。
【0024】
本例では、励磁信号(V1)により高周波信号を振幅変調し、かつ当該高周波信号の極性を励磁信号の極性反転位置で反転させた変調信号(V1を包絡線とする高周波励磁信号)V1’=Asin(ωt)×sin(n・ωt)を第1励磁コイルパターン32Aに入力させる。また、第2励磁コイルパターン32Bには、励磁信号(V2)により高周波信号を振幅変調し、かつ当該高周波信号の極性を励磁信号の極性反転位置で反転させた変調信号(V2を包絡線とする高周波励磁信号)高周波励磁信号V2’=Acos(ωt)×sin(n・ωt)を入力させる。
【0025】
検出コイル36に誘起される電圧信号を復調することにより、励磁コイル32に対する検出コイル36の変位量θに相当する位相差を求めることができる。
【0026】
このように変調した高周波励磁を利用する2相励磁1相検出方式の原理及び回路構成については、特許第3047231号の明細書に記載されている。
【0027】
なお、レゾルバの原理から1相励磁2相検出方式も可能であり(例えば、特開平8−292066号公報参照)、本発明の実施に際しては、対向して配置されるコイルの役割について入れ替えが可能である。
【0028】
<レンズ装置への適用例>
図2は、レンズ装置の構成例を示した構成図である。また、図3は、図2に示したレンズ装置を光軸方向から見た断面図である。
【0029】
図2及び図3に示すように、レンズ装置100のレンズ鏡胴110には、筒状に形成された鏡胴本体(固定筒)112の内側にカム筒(回転筒)130が回動自在に配置され、そのカム筒130の内側に保持枠(レンズ枠)122に保持された可動レンズ(群)116が配置される。可動レンズ116は、光軸方向に移動可能なレンズであり、例えば、ズーム(変倍)レンズ(群)、フォーカスレンズ(群)、マスターレンズ(群)などに相当する。
【0030】
鏡胴本体112の周面には光軸方向の直線状の直進溝140が形成されるとともに、カム筒130にはカム溝136が形成されている。また、可動レンズ116の保持枠122の外周部には、周方向に沿って3本の係合ピン(カムピン)134が等間隔で突設されている(図2において2本は図示せず)。これらの係合ピン134は、カム筒130のカム溝136を挿通して鏡胴本体112の直進溝140に係合されている。これによって保持枠122は、回動が規制された状態で光軸方向に前後移動するとともに、係合ピン134がカム溝136に係合する位置に保持される。カム筒130が回動すると、カム筒130のカム溝136と鏡胴本体112の直進溝140との交差位置がカム形状に応じた位置に変化し、その交差位置への係合ピン134の移動によって保持枠122が光軸方向に前後移動する。
【0031】
一方、鏡胴本体112の外周部には、操作リング150が回動可能に配置されており、その操作リング150の内周面の径方向内向きに棒状の連結軸142が取り付けられている。この連結軸142は、鏡胴本体112に形成された周方向のスリット(長孔)144を挿通してカム筒130に連結されている。これにより、操作リング150を回動操作すると、それに連動してカム筒130が回動する。カム筒130が回動すると、上述のように保持枠122が光軸方向に前後移動する。なお、スリット144の周方向における長さに応じて操作リング150の回動範囲が規制されており、それによって保持枠122の移動可能な範囲が決定されている。
【0032】
このように構成されるレンズ装置100に対して、可動レンズ116の光軸方向における移動位置を検出する手段として、図1で説明したレゾルバ30を適用した構成例について説明する。
【0033】
図4は、レゾルバ30が適用されたレンズ装置100の構成例を示した概略図である。図4中、図2及び図3に示した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0034】
図4に示した構成では、保持枠122の周面部である外周面に、リニア(直動)タイプのレゾルバ30を構成する第1シートコイル171(例えば、図1の符号10に相当)が配設され、これと対向する鏡胴本体112の周面部である外周面に第2シートコイル172(図1の符号20に相当)が配設される。図示は省略するが、各シートコイル171、172には、それぞれ電気的接続を得るための配線部材が接続されている。
【0035】
第2シートコイル172は、保持枠122が移動可能な範囲にわたって光軸方向と平行に直線的に延在する形で配設されている。また、本例では、第2シートコイル172が鏡胴本体112の外周面に配設されているが、これに限らず、鏡胴本体112の内周面に配設されていてもよい。
【0036】
なお、どちらのシートコイルを励磁側(一次側)、検出側(二次側)とする構成も可能であるが、図1の例において、励磁側は2相の励磁巻線となるため配線の関係上、移動する保持枠122に検出側(二次側)のシートコイルを取り付ける態様が好ましい。
【0037】
図4に示した構成では、カム筒130を光軸周りに回動することにより保持枠122が光軸方向に前後移動可能に構成されている。そして、この保持枠122の移動に伴い、第1シートコイル171が第2シートコイル172に平行な面内で移動することにより、当該位置に応じて検出コイル(本例では、第1シートコイル171)から出力される電気信号により可動レンズ116の位置を検出する。
【0038】
図4に示した構成によれば、第1シートコイル171と第2シートコイル172との間隔(エアギャップ)を長くとれるため、これらシートコイル171、172間にカム筒130に代表されるような中間部材が配置される場合でもレンズ位置をダイレクトに検出することが可能となり、配置自由度が増して、装置全体の小型化が可能となる。
【0039】
特に、ズームレンズに連動してフォーカスレンズが動作するズームフォーカスレンズの場合、ズームレンズの位置検出を高精度化することにより、フォーカス精度が向上する。
【0040】
<レンズ装置のブロック図>
図5は、レンズ装置100の回路構成の例を示すブロック図である。
【0041】
同図における二相の励磁コイル202、204は、図1で説明した符号32A、32Bに相当する。また、図5における検出コイル206は、図1で説明した符号36に相当し、図2で説明した可動レンズ116の保持枠122に取り付けられる。
【0042】
図5に示したように、二相の励磁コイル202、204は、それぞれ励磁回路212、214から励磁信号が入力される。励磁回路212、214の詳細な構成は図示しないが、例えば、特許第3047231号に開示されているように、発振回路、カウンタパルス回路、高周波信号生成回路、励磁信号生成回路、極性反転回路、変調回路等を含んで構成される。
【0043】
励磁回路212、214が搭載される検出回路部220には、検出コイル206から出力される電気信号を処理する信号処理回路230が含まれている。信号処理回路230の詳細な構成は図示しないが、信号処理回路230は変調信号を復調して検出信号を得る復調回路と、復調された検出信号から、検出コイル206と励磁コイル202、204の相対位置(変位量、回転角度)を検出してレンズの位置情報を出力する位置演算回路を含む。
【0044】
信号処理回路230で得られた位置情報はレンズ位置制御回路240に通知され、レンズ位置制御回路240はこの位置情報からレンズの現在位置(絶対位置)を把握する。
【0045】
レンズ位置制御回路240は、駆動回路242を制御し、モータ244の駆動によって可動レンズ(例えば、フォーカスレンズやズームレンズなど)を移動させる。
【0046】
レンズ位置制御回路240は、信号処理回路230から取得する位置情報に基づいて、モータ244を自動制御することができ、オートフォーカス制御やオートズーム制御が可能である。また、レンズ位置制御回路240は、不図示の表示部にレンズ位置の情報を表示させることができる。
【0047】
<本実施形態の他の利点について>
上述した実施形態によれば、以下のような利点がある。
【0048】
[1]従来のポテンショメータやフォトインタラプタなどの位置検出器が不要となり、省スペース化を図ることができる。
【0049】
[2]レンズの絶対位置を検出することができる。
【0050】
[3]磁気を利用した検出のため、光学式に比べて、ゴミ等の影響によるノイズが少なく、信頼性が高い。
【0051】
[4]コイル間の対面距離が不変であるため検出信号が安定しており、高精度の検出が可能である。
【0052】
[5]直進方向の位置(変位)検出、回転方向の位置(角度)検出のいずれの形態も設計可能であり、コイル長の設計により検出範囲の拡張も容易である。
【0053】
[6]コイルのプリントパターン化により、微細化が可能であり、小型化、高分解能化、低コスト化が可能である。
【0054】
[7]励磁コイル及び検出コイルに変調信号による高周波電流が流れるため、平面状のシートコイル(巻数の少ないコイル)でも十分な検出信号が得られる。
【0055】
[8]温度の変化に対して検出信号の変動が少なく、安定した検出が可能である。
【0056】
[9]検出回路のIC化により、回路の小型化が可能である。
【0057】
<他の変形例1>
図4では、鏡胴本体(固定筒)112の内側にカム筒(回転筒)130が配置された構成を例示したが、本発明の実施に際して、レンズ装置の構造は、図4に示した例に限定されない。例えば、カム筒130の代わりに(或いは、カム筒130の内側又は外側に)、鏡胴本体112に対して回動不能に構成された筒部材が配置されていてもよい。
【0058】
<他の変形例2>
平面状のコイルパターンの形態は、メアンダ形状に限らず、スパイラル形状でもよい。
【0059】
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0060】
(発明1):筒状に形成された固定筒の内部に中間筒が配置され、前記中間筒の内部において光軸方向に移動可能に構成されるレンズの位置を検出するレンズ位置検出装置であって、前記レンズを保持するレンズ枠に設けられた第1のシートコイルと、前記固定筒の前記第1のシートコイルに対面する位置に設けられた第2のシートコイルと、前記第1のシートコイル及び前記第2のシートコイルのいずれか一方を励磁コイル、他方を検出コイルとし、前記励磁コイルに励磁信号を与える励磁回路と、前記レンズ枠の移動に伴い前記第1のシートコイルが前記第2のシートコイルとの対面距離を保って前記第2のシートコイルに平行な面内で移動することにより、当該移動位置に応じて前記検出コイルから出力される電気信号により前記レンズの位置を検出する信号処理回路と、を備えたことを特徴とするレンズ位置検出装置。
【0061】
(発明2):発明1に記載のレンズ位置検出装置において、前記第1のシートコイル及び前記第2のシートコイルのいずれか一方は、電気角で90°位相を異ならせた空間位置に形成された第1のコイルパターンと第2のコイルパターンとを有する二相のコイルであり、他方のシートコイルは、第3のコイルパターンが形成された一相のコイルであることを特徴とするレンズ位置検出装置。
【0062】
二相励磁一相検出方式を採用することも可能であるし、一相励磁二相検出方式を採用することも可能である。
【0063】
(発明3):発明2に記載のレンズ位置検出装置において、前記二相のコイルを前記励磁コイルとして用い、前記一相のコイルを前記検出コイルとして用いることを特徴とするレンズ位置検出装置。
【0064】
(発明4):発明2又は3に記載のレンズ位置検出装置において、前記第1のシートコイルが前記一相のコイルであり、前記第2のシートコイルが前記二相のコイルであることを特徴とするレンズ位置検出装置。
【0065】
電気的接続を得るための配線数などを考慮すると、固定部に二相のコイルを配置し、可動部に一相のコイルを配置する形態が好ましい。
【0066】
(発明5):発明1乃至4のいずれか1項に記載のレンズ位置検出装置において、前記中間筒は、前記固定筒に対して回動可能に構成された回転筒であることを特徴とするレンズ位置検出装置。
【0067】
(発明6):筒状に形成された固定筒と、前記固定筒の内部に配置された中間筒と、前記中間筒の内部において光軸方向に移動可能に構成されたレンズを保持するレンズ枠と、 前記レンズ枠を光軸方向に移動させる駆動機構と、前記レンズ枠に設けられた第1のシートコイルと、前記固定筒の前記第1のシートコイルに対面する位置に設けられた第2のシートコイルと、前記第1のシートコイル及び前記第2のシートコイルのいずれか一方を励磁コイル、他方を検出コイルとし、前記励磁コイルに励磁信号を与える励磁回路と、前記レンズ枠の移動に伴い前記第1のシートコイルが前記第2のシートコイルとの対面距離を保って前記第2のシートコイルに平行な面内で移動することにより、当該移動位置に応じて前記検出コイルから出力される電気信号により前記レンズの位置を検出する信号処理回路と、を備えたことを特徴とするレンズ装置。
【0068】
本発明によれば、コンパクトな構成でレンズの絶対位置を高精度に検出することができる信頼性の高いレンズ装置を実現できる。なお、本発明はテレビカメラ用のレンズ装置、ビデオカメラ用のレンズ装置、写真カメラ用のレンズ装置など、様々なレンズ装置に適用可能である。
【0069】
(発明7):発明6に記載のレンズ装置において、前記中間筒は、前記固定筒に対して回動可能に構成された回転筒であることを特徴とするレンズ装置。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態に係るレンズ位置検出装置における検出部の構成例を示す斜視図
【図2】レンズ装置の構成例を示す構成図
【図3】図2に示したレンズ装置を光軸方向から見た断面図
【図4】レゾルバが適用されたレンズ装置の構成を示す概略図
【図5】二相励磁一相検出方式のレンズ位置検出装置を適用したレンズ装置の回路構成の例を示すブロック図
【図6】MRセンサが適用されたレンズ装置の構成を示す概略図
【符号の説明】
【0071】
10…シートコイル、20…シートコイル、30…レゾルバ、32…励磁コイル、32A…第1励磁コイルパターン、32B…第2励磁コイルパターン、36…検出コイル、100…レンズ装置、110…レンズ鏡胴、112…鏡胴本体(固定筒)、116…可動レンズ、122…保持枠、130…カム筒、142…連結軸、171…第1シートコイル、172…第2シートコイル、212,214…励磁回路、220…検出回路、230…信号処理回路、240…レンズ位置制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された固定筒の内部に中間筒が配置され、前記中間筒の内部において光軸方向に移動可能に構成されるレンズの位置を検出するレンズ位置検出装置であって、
前記レンズを保持するレンズ枠に設けられた第1のシートコイルと、
前記固定筒の前記第1のシートコイルに対面する位置に設けられた第2のシートコイルと、
前記第1のシートコイル及び前記第2のシートコイルのいずれか一方を励磁コイル、他方を検出コイルとし、前記励磁コイルに励磁信号を与える励磁回路と、
前記レンズ枠の移動に伴い前記第1のシートコイルが前記第2のシートコイルとの対面距離を保って前記第2のシートコイルに平行な面内で移動することにより、当該移動位置に応じて前記検出コイルから出力される電気信号により前記レンズの位置を検出する信号処理回路と、
を備えたことを特徴とするレンズ位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ位置検出装置において、
前記第1のシートコイル及び前記第2のシートコイルのいずれか一方は、電気角で90°位相を異ならせた空間位置に形成された第1のコイルパターンと第2のコイルパターンとを有する二相のコイルであり、
他方のシートコイルは、第3のコイルパターンが形成された一相のコイルであることを特徴とするレンズ位置検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレンズ位置検出装置において、
前記二相のコイルを前記励磁コイルとして用い、前記一相のコイルを前記検出コイルとして用いることを特徴とするレンズ位置検出装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のレンズ位置検出装置において、
前記第1のシートコイルが前記一相のコイルであり、
前記第2のシートコイルが前記二相のコイルであることを特徴とするレンズ位置検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズ位置検出装置において、
前記中間筒は、前記固定筒に対して回動可能に構成された回転筒であることを特徴とするレンズ位置検出装置。
【請求項6】
筒状に形成された固定筒と、
前記固定筒の内部に配置された中間筒と、
前記中間筒の内部において光軸方向に移動可能に構成されたレンズを保持するレンズ枠と、
前記レンズ枠を光軸方向に移動させる駆動機構と、
前記レンズ枠に設けられた第1のシートコイルと、
前記固定筒の前記第1のシートコイルに対面する位置に設けられた第2のシートコイルと、
前記第1のシートコイル及び前記第2のシートコイルのいずれか一方を励磁コイル、他方を検出コイルとし、前記励磁コイルに励磁信号を与える励磁回路と、
前記レンズ枠の移動に伴い前記第1のシートコイルが前記第2のシートコイルとの対面距離を保って前記第2のシートコイルに平行な面内で移動することにより、当該移動位置に応じて前記検出コイルから出力される電気信号により前記レンズの位置を検出する信号処理回路と、
を備えたことを特徴とするレンズ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のレンズ装置において、
前記中間筒は、前記固定筒に対して回動可能に構成された回転筒であることを特徴とするレンズ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−151986(P2010−151986A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328393(P2008−328393)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】