説明

レンズ保持構造、光走査装置、画像形成装置、及びレンズ保持方法

【課題】後加工を不要とするレンズ保持構造を提供する。
【解決手段】レンズ保持構造は、レーザビームを照射するレーザダイオード305と、前記レーザダイオードから照射される前記レーザビームを通すレンズ303と、前記レンズの底面を保持する底部、及び前記底部から直角に立ち上がり、前記レンズの側面を保持する側壁を有する板金300と、前記底部に固定され、前記板金が保持する前記レンズの前記側面とは異なるもう一方の側面を保持する第1の樹脂部材301と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レンズ保持構造、光走査装置、画像形成装置、及びレンズ保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コリメータレンズを保持するホルダはアルミダイキャスト製であった。しかしながら、ホルダをアルミダイキャスト製とすると、アルミダイキャスト後、コリメータレンズの位置決めをするためにホルダを平面とする後加工や、ネジ穴を入れるといった後加工が必要となるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−60277公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、レンズ保持構造の後加工を不要とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態におけるレンズ保持構造は、レーザビームを照射するレーザダイオードと、前記レーザダイオードから照射される前記レーザビームを通すレンズと、前記レンズの底面を保持する底部、及び前記底部から直角に立ち上がり、前記レンズの側面を保持する側壁を有する板金と、前記底部に固定され、前記板金が保持する前記レンズの前記側面とは異なるもう一方の側面を保持する第1の樹脂部材と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第一の実施形態における、画像形成装置の構成図である。
【図2】第一の実施形態における、光走査装置の構成を示す斜視図である。
【図3】第一の実施形態における、光源を示す斜視図である。
【図4】第一の実施形態における、レンズ保持部を分解して示す斜視図である。
【図5】第一の実施形態における、レンズ保持部を組み立てた構造を示す斜視図である。
【図6】第二の実施形態における、光源を示す斜視図である。
【図7】第二の実施形態における、レンズ保持部を分解して示す斜視図である。
【図8】第二の実施形態における、レンズ保持部を組み立てた構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態の画像形成装置を説明する。
【0008】
(第一の実施形態)
第一の実施形態の画像形成装置が有する光走査装置のレンズ保持構造は、レンズの一方の側面を保持する部分を有するL字形状の板金と、レンズの他方の側面を保持する樹脂部材との組み合わせで構成される。
【0009】
図1は、画像形成装置100の正面図である。画像形成装置100は、例えば、画像読取手段としてのスキャナ部1、及び画像形成手段としてのプリンタ部2を備える。スキャナ部1は、第1キャリジ3、第2キャリジ4、結像レンズ5、及び光電変換素子6を備える。第1キャリジ3は、図示矢印方向に移動する。
【0010】
原稿台7上に載置した原稿Oの画像を、スキャナ部1が1ラインごとに順次読取る。読取り出力は、画像処理部が画像の濃淡を示す、例えば8ビットのデジタル画像信号に変換する。
【0011】
プリンタ部2は、光走査装置13、及び画像形成部14を備える。画像形成部14は、記録媒体である用紙P上に画像形成が可能な電子写真方式を組み合わせた構成である。用紙Pは保管部19に保管される。画像形成時、保管部19に保管される用紙Pは、ピックアップローラ20により、1枚ずつ搬送され、搬送ローラ21により、画像形成部14へ搬送される。
【0012】
原稿Oからスキャナ部1が読取った画像信号を、画像処理部が処理する。光走査装置13内の半導体レーザ発振器は、処理後の画像信号に対応するレーザビームを照射する。
【0013】
光走査装置13から照射するレーザビームは、像担持体としての感光体ドラム15上の露光位置Xにスポットの走査光として結像する。感光体ドラム15上には、画像信号に対応する静電潜像が形成される。
【0014】
感光体ドラム15上の静電潜像は、現像器17からのトナー(現像剤)によりトナー像となる。転写チャージャ18が感光体ドラム15のトナー像を、転写位置の地点で給紙系によりタイミングをとって供給される用紙P上に転写する。
【0015】
画像形成部14により画像形成された用紙Pは、定着装置22により、画像が定着される。定着装置22の下流に排紙部23を有し、用紙Pは排紙部23に排紙される。
【0016】
以上のプロセス動作を繰り返すことにより、画像形成動作が連続的に行なわれる。
【0017】
次に、光走査装置13について説明する。図2は、光走査装置13の斜視図である。光走査装置13はケーシング21を有する。ケーシング21は、底部22と、底部22の立ち上がる側壁23とを含み、例えば合成樹脂によって一体形成されている。
【0018】
ケーシング21の上面は、カバーによって覆われる。図2は、説明の便宜上、カバーを取り外した状態を示す。ケーシング21の内部には、光源24と、ポリゴンミラー25が収納されている。
【0019】
光源24は、レーザビームをポリゴンミラー25に向けて出力するレーザダイオード305、及びコリメータレンズ(以下、単にレンズという)303(図3)を備えている。レーザダイオード305及びレンズ303はレンズ保持部30により保持される。ポリゴンミラー25は、ポリゴンモータによって回転し、画像光を主走査方向に偏向する偏向部を構成する。光源24については後述する。
【0020】
図3は、光源24としてのレンズ保持部30を示す斜視図である。図4は、レンズ保持部30を分解して示す斜視図であり、図5は、レンズ保持部30を組み立てた構造を示す斜視図である。光源24は、レンズ保持部30、レンズ303、レーザダイオード305、レーザダイオード305及びレーザダイオード制御基板307を保持するレーザダイオード制御基板保持部306を有する。なお、レンズ303は、例えば、1枚のコリメータレンズを収納して保持した筒状体を含んだ構造を有している。或いは、複数枚のレンズを接合してなる複合レンズを収納し保持した筒状体を含んだ構造を有している。
【0021】
図3に示すようにレンズ保持部30は、L字型に曲げた板金300、レンズ303の上面303dを保持する板バネ304が取り付けられる第1の樹脂部材301、及びレーザダイオード制御基板保持部306と接続する樹脂部材302を有する。板金300は、底部300aと、底部の立ち上がる側壁300bとを含む。底部300aは第1の樹脂部材301及び第2の樹脂部材302の取り付け基準面である。板金300の底部300aにレンズ303の底部303aが当接し、側壁300bにレンズ303の一方の側面303bが当接し、レンズ303を保持する。第1の樹脂部材301は、板金300の底部300aに固定され、レンズ303のもう一方の側面303cに当接し、レンズ303を保持する。第2の樹脂部材302には、レーザダイオード制御基板保持部306が取り付けられる。
【0022】
この板金300の底部300aの取り付け基準面に、レンズ固定用の板バネ304が取り付けられる第1の樹脂部材301と、レーザダイオード制御基板保持部306が取り付けられた第2の樹脂部材302とを固定してレンズ303を保持する。この保持によって、レンズ303の中心軸位置決めをする。なお、板バネ304は、第1の樹脂部材301への取り付けに限らず、板金300や第2の樹脂部材302に取り付けられていても良い。
【0023】
図5に示すように、第1の樹脂部材301は、板金の側壁300bと所定間隔を介して平行に配置され、更に、第2の樹脂部材302、及び板金300の底部300aと直角となるように配置されて板金300に取り付けられる。第2の樹脂部材302は、板金300の側壁300b、及び板金300の底部300aと直角になるように配置されて板金300に取り付けられる。
【0024】
レーザダイオード制御基板保持部306は、レーザダイオード制御基板307、及びレーザダイオード305を保持する。レーザダイオード305は、レーザダイオード制御基板307からのレーザ発光制御信号に基づき、レーザビームを照射する。レーザビームはレンズ303を通して、ポリゴンミラー25に照射される。
【0025】
レンズ303の中心軸位置決めは取り付け基準底面と垂直面でレンズを当接して決定する。すなわち。板金の底部300a、及び板金の側壁300b及び、樹脂部材301によりレンズ303の中心軸の位置を決定する。
【0026】
上述のような、レンズ保持構造により、板金を300直角に曲げてL字形状にすると加工が簡単で、後加工を不要とすることができる。また、アルミダイキャストより材料費が安く、後加工が不要なため加工費が安くなる。樹脂部材301及び302は単純な形状で済むため、精度が出しやすい。
【0027】
(第二の実施形態)
第二の実施形態の画像形成装置が有する光走査装置のレンズ保持構造は、L字形状の板金とレンズ端部と側面を保持する樹脂部材の組み合わせで構成される。第一の実施形態と同一構成部分には同一符号を付す。
【0028】
図6は、光源24を示す斜視図である。図7は、レンズ保持部40を分解して示す斜視図であり、図8は、レンズ保持部40を組み立てた構造を示す斜視図である。光源24は、レンズ保持部40、レンズ402、レーザダイオード404、及びレーザダイオード制御基板406を保持するレーザダイオード制御基板保持部405を有する。
【0029】
図6に示すようにレンズ保持部40は、L字型に曲げた板金400、及びレーザダイオード制御基板保持部405、及びレンズ402の上面402dを保持する板バネ403が取り付けられる樹脂部材401を有する。図7に示すように、板金400は、底部400aと、底部から立ち上がる側壁400bとを含み、底部400aは樹脂部材401の取り付け基準面である。板金400の底部400aにレンズ402の底部402aが当接し、側壁400bにレンズ402の一方の側面402bが当接し、レンズ402を保持する。樹脂部材401にレンズ402の他方の側面402cが当接し、レンズ402を保持する。
【0030】
板金の底部400aの取り付け基準面に、レーザダイオード制御基板保持部405、及びレンズ固定用の板バネ403と接続する樹脂部材401を固定して組み合わせることで、レンズ402を保持し、レンズ402の中心軸位置決めをする。
【0031】
図7に示すように、樹脂部材401は、第1の実施例で説明された第1の樹脂部材301と第2の樹脂部材とを一体に形成してL字形状を有する。L字形状に形成された樹脂部材401は、板金400の側壁400b及び板金400の底部400aに対して直角となるように配置される。
【0032】
レーザダイオード制御基板保持部405は、レーザダイオード制御基板406、及びレーザダイオード404を保持する。レーザダイオード404は、レーザダイオード制御基板406からのレーザ発光制御信号に基づき、レーザビームを照射する。レーザビームはレンズ402を通して、ポリゴンミラー25に照射される。
【0033】
レンズ402の中心軸位置決めは取り付け基準底面と垂直面でレンズ402を当接して決定する。すなわち。板金400の底部400a、及び板金400の側壁400b及び、樹脂部材401によりレンズ402の中心軸の位置を決定する。
【0034】
上述のような、レンズ保持構造により、板金400を直角に曲げてL字形状にすると加工が簡単で、後加工を不要とすることができる。また、アルミダイキャストより材料費が安く、後加工が不要なため加工費が安くなる。樹脂部材401は単純な形状で済むため、精度が出しやすい。また、樹脂部材が複数ではなく、一体型であるため、部品が少なくてすむ。
【0035】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 スキャナ部
2 プリンタ部
3、4 キャリッジ
5 結像レンズ
6 光電変換素子
7 原稿台
13 光走査装置
14 画像形成部
15 感光体ドラム
18 転写チャージャ
23 排紙部
24 光源
25 ポリゴンミラー
30、40 レンズ保持部
100 画像形成装置
200 CPU
202 ROM
203 RAM
204 I/F
300、400 板金
301、302、401 樹脂部材
303、402 コリメータレンズ
304、403 板バネ
305、404 レーザダイオード
306、405 レーザダイオード制御基板保持部
307、406 レーザダイオード制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを照射するレーザダイオードと、
前記レーザダイオードから照射される前記レーザビームを通すレンズと、
前記レンズの底面を保持する底部、及び前記底部から直角に立ち上がり、前記レンズの側面を保持する側壁を有する板金と、
前記底部に固定され、前記板金が保持する前記レンズの前記側面とは異なるもう一方の側面を保持する第1の樹脂部材と、
を備えることを特徴とするレンズ保持構造。
【請求項2】
前記底部に固定され、レーザダイオード制御基板保持部が取り付けられる第2の樹脂部材をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のレンズ保持構造。
【請求項3】
前記レンズを上面から支持する板バネを備えることを特徴とする請求項1記載のレンズ保持構造。
【請求項4】
前記第1の樹脂部材と、前記第2の樹脂部材を一体とすることを特徴とする請求項2記載のレンズ保持構造。
【請求項5】
レーザビームを照射するレーザダイオードと、
前記レーザダイオードから照射される前記レーザビームを通すレンズと、
前記レンズの底面を保持する底部、及び前記底部から直角に立ち上がり、前記レンズの側面を保持する側壁を有する板金と、
前記底部に固定され、前記板金が保持する前記レンズの前記側面とは異なるもう一方の側面を保持する第1の樹脂部材と、
前記レンズを通ったレーザを走査するポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーから走査された走査線を反射するミラーと、
を備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
前記底部に固定され、レーザダイオード制御基板保持部が取り付けられる第2の樹脂部材をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の光走査装置。
【請求項7】
記録媒体を供給する給紙部と、
レーザビームを照射するレーザダイオードと、
前記レーザダイオードから照射される前記レーザビームを通すレンズと、
前記レンズの底面を保持する底部、及び前記底部から直角に立ち上がり、前記レンズの側面を保持する側壁を有する板金と、
前記底部に固定され、前記板金が保持する前記レンズの前記側面とは異なるもう一方の側面を保持する第1の樹脂部材と、
前記レンズを通ったレーザを走査するポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーで走査された前記レーザビームが照射される像担持体と、
前記像担持体上に形成された画像を、前記給紙部から供給された前記記録媒体上に転写するチャージャと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記底部に固定され、前記レーザダイオード制御基板保持部が取り付けられる第2の樹脂部材をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
レーザダイオードから照射されるレーザビームをレンズに通し、
板金の底部により前記レンズの底面を保持し、
前記底部から直角に立ち上がる側壁により前記レンズの側面を保持し、
前記底部に固定される第1の樹脂部材により、前記板金が保持する前記レンズの前記側面とは異なるもう一方の側面を保持する、
ことを特徴とするレンズ保持方法。
【請求項10】
前記底部に固定され、レーザダイオード制御基板保持部が取り付けられる第2の樹脂部材をさらに備えることを特徴とする請求項9記載のレンズ保持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−109304(P2013−109304A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260207(P2011−260207)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】