説明

レンズ製造方法およびレンズ製造装置

【課題】ひびや割れや曇り等の発生を低減し、精度を向上したレンズを製造できるレンズ製造方法およびレンズ製造装置を提供することを目的としている。
【解決手段】第1ヒータプレート群を加熱して、成形金型200を所定温度に予備加熱する予備加熱工程と、第2ヒータプレート群を加熱して、予備加熱工程における温度よりも高い所定温度に、成形金型200を本加熱する本加熱工程と、第2ヒータプレート群300cの上方ヒータプレート310を下方ヒータプレート320に向かって可動させ、上金型220でレンズ用素体400を加圧して、レンズを成形する成形工程を有しており、本加熱工程では、胴型210に設けた貫通孔250を介して成形金型200の温度を非接触型温度計500で測定しながら、上方ヒータプレート310、下方ヒータプレート320の温度を制御する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを製造するレンズ製造方法およびレンズ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやビデオムービ等には、ガラス製のレンズやプラスチック製のレンズが用いられている。高精度の撮影をするためには、レンズの高精度化が重要である。
【0003】
以下、従来のレンズ製造方法およびレンズ製造装置について図面を参照しながら説明する。図11は従来のレンズ製造装置の側面図、図12は同レンズ製造装置に用いる成形金型の断面図、図13は同成形金型の下金型の側面図、図14は同成形金型の下金型の平面図である。
【0004】
例えば、図11において、従来のレンズ製造装置10では、成形金型20と、この成形金型20を加熱したり冷却したりするヒータプレート群30を備えている。
【0005】
成形金型20は、筒形の胴型21と、胴型21の上方に配置した上金型22と、胴型21の下方に配置した下金型23を有する。これら胴型21と上金型22と下金型23によって、金型キャビティ24が形成される。図12〜図14に示すように、成形金型20は、下金型23が凹部形状であり、上金型22が凸部形状であり、上金型22の先端部でレンズ用素体40を押圧する。
【0006】
ヒータプレート群は、上金型22の上方に配置した上方ヒータプレート31と、下金型23の下方に配置した下方ヒータプレート32を有する。このレンズ製造装置10には第1ヒータプレート群30a〜第5ヒータプレート群30eが配置されている。図9に示すように、予備加熱工程(S1)および予備加熱工程(S2)において、段階的に、成形金型20を予備加熱し、レンズ用素体40に熱を加える。次に、本加熱工程(S3)において、成形金型20を本加熱する。このとき、上金型22でレンズ用素体40を押圧して、レンズ41を形成する。次に、冷却工程(S4)および冷却工程(S5)において、段階的に、成形金型20を冷却してレンズ41の熱を取る。このようにして最終的にレンズ41を製造している。
【0007】
なお、ヒータプレート群30を加熱したり冷却したりする温度制御には、熱電対を用いている。しかし、この方法では、成形金型20やレンズ硝材の大きさによって、正確な温度制御が難しく、成形条件が不安定となりやすい。そこで、成形金型20の温度を直接測定することによって、成形金型20やレンズ硝材の大きさに左右されず、温度測定をより正確に測定することが必要となる。成形金型20の温度を直接測定すれば、正確な温度制御が可能となり、成形条件を安定させることができる。このような成形金型20の温度を直接測定する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3497013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来のレンズ製造方法では、上方ヒータプレート31および下方ヒータプレート31の温度制御には熱電対を用いるので、正確な温度制御が難しい。特に、一眼レフカメラに用いるような直径の大きいレンズ41を製造する場合、温度制御が適切でなければ、レンズ41にひびや割れや曇りが発生する。温度制御を正確に行う技術としては、プラスチック製の射出成形品の製造方法において、成形金型20を直接測定することが知られている。しかし、この技術は射出成形に関する技術である。プラスチック製だけでなくガラス製等のレンズ41を扱うレンズ製造の分野では、射出成形ではなくプレス成形も必要としている。すなわち、従来の射出成形の技術をそのまま転用することは難しい。
【0010】
本発明は上記問題を解決するもので、レンズの製造時に温度制御を正確に行って、ひびや割れや曇り等の発生を低減し、精度を向上したレンズを製造できるレンズ製造方法およびレンズ製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明のレンズ製造方法は、筒形の胴型と、前記胴型の上方に配置した上金型と、前記胴型の下方に配置した下金型によって金型キャビティが形成された成形金型と、前記上金型の上方に配置した上方ヒータプレートおよび前記下金型の下方に配置した下方ヒータプレートを有する第1、第2ヒータプレート群とを備えたプレス成形機を用いて、レンズを製造するレンズ製造方法であって、前記金型キャビティの前記下金型にレンズ用素体を配置する配置工程と、前記第1ヒータプレート群の上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方を加熱して、前記成形金型を所定温度に予備加熱する予備加熱工程と、前記第2ヒータプレート群の上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方を加熱して、前記予備加熱工程における温度よりも高い所定温度に、前記成形金型を本加熱する本加熱工程と、前記第2ヒータプレート群の前記上方ヒータプレートを前記下方ヒータプレートに向かって可動させ、前記上金型で前記レンズ用素体を加圧して、前記レンズを成形する成形工程とを有しており、前記本加熱工程では、前記胴型に設けた貫通孔を介して前記成形金型の温度を非接触型温度計で測定しながら、前記上方ヒータプレートまたは前記下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方の温度を制御する構成である。
【0012】
また、上記目的を達成するために本発明のレンズ製造装置は、筒形の胴型と、前記胴型の上方に配置した上金型と、前記胴型の下方に配置した下金型によって金型キャビティが形成された成形金型と、前記上金型の上方に配置した上方ヒータプレートおよび前記下金型の下方に配置した下方ヒータプレートを有する第1、第2ヒータプレート群とを備え、前記第1ヒータプレート群の上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方を加熱して、前記成形金型を所定温度に予備加熱する予備加熱部と、前記第2ヒータプレート群の上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方を加熱して、前記予備加熱工程における温度よりも高い所定温度に、前記成形金型を本加熱する本加熱部と、前記第2ヒータプレート群の前記上方ヒータプレートを前記下方ヒータプレートに向かって可動させ、前記金型キャビティの前記下金型に配置したレンズ用素体を前記上金型で加圧してレンズを成形する成形部を有し、前記胴型に設けた貫通孔を介して前記成形金型の温度を非接触型温度計で測定しながら、前記上方ヒータプレートまたは前記下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方の温度を制御する温度制御部を設けた構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、胴型に設けた貫通孔を介して成形金型の温度を非接触型温度計で測定しながら、上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方の温度を制御するので、適切に、成形金型を所定温度に維持できる。すなわち、成形金型が所定温度よりも高い場合は上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方の温度を低下させ、成形金型が所定温度よりも低い場合は上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方の温度を上昇させて温度を調整すればよい。
【0014】
また、予備加熱と本加熱が必要なので、成形金型を第1ヒータプレート群から第2ヒータプレート群に移動させる必要がある。この際、非接触型温度計を第1ヒータプレート群と第2ヒータプレート群に対応する位置に配置しておき、成形金型の移動前後において、胴型に設けた貫通孔を介して温度を測定すれば、容易で的確に成形金型の温度を測定できる。
【0015】
特に、例えば、プラスチック製のレンズに比べて、レンズ用素体の溶融温度が非常に高いガラス製のレンズを製造する場合は、成形金型を高温にするために予備加熱と本加熱が必要になる。この際、成形金型が高温になっても、胴型に設けた貫通孔を介して非接触型温度計で温度を測定するので、温度測定の精度が良い。すなわち、ひびや割れや曇りを低減した精度のよいレンズを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施の形態におけるレンズ製造装置の側面図
【図2】同レンズ製造装置の要部拡大断面図
【図3】同レンズ製造装置に用いる成形金型の下金型の側面図
【図4】同レンズ製造装置に用いる成形金型の下金型の平面図
【図5】同レンズ製造装置に用いる下方ヒータプレートの平面図
【図6】同レンズ製造装置に用いる下方ヒータプレートの側面図
【図7】同レンズ製造装置に用いる内胴型の正面図
【図8】同レンズ製造装置に用いる外胴型の正面図
【図9】同レンズ製造装置の製造工程を示すフローチャート
【図10】同レンズ製造装置に用いる成形金型による加工前後の断面図
【図11】従来のレンズ製造装置の側面図
【図12】同レンズ製造装置に用いる成形金型の断面図
【図13】同成形金型の下金型の側面図
【図14】同成形金型の下金型の平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、一実施の形態におけるレンズ製造方法およびレンズ製造装置について図面を参照しながら説明する。
【0018】
<レンズ製造装置100の概要について>
レンズ製造装置100の全体概要について説明する。図1において、レンズ製造装置100は、成形金型200と、この成形金型200を加熱したり冷却したりするヒータプレート群300を備えている。
【0019】
成形金型200は、筒形の胴型210と、胴型210の上方に配置した上金型220と、胴型210の下方に配置した下金型230を有する。これら胴型210と上金型220と下金型230によって、金型キャビティ240が形成される。ヒータプレート群300は、上金型220の上方に配置した上方ヒータプレート310と、下金型230の下方に配置した下方ヒータプレート320を有する。このレンズ製造装置100には第1ヒータプレート群300a、第2ヒータプレート群300b、第3ヒータプレート群300c、第4ヒータプレート群300d、第5ヒータプレート群300eが配置されている。
【0020】
<成形金型200および下方ヒータプレート320の概要について>
図2〜図4に示すように、成形金型200は、下金型230が凹部形状であり、上金型220が凸部形状であり、上金型220の先端部には、光学機能面として非球面あるいは球面の鏡面加工が施されている。この上金型220の先端部でレンズ用素体400を押圧する。下金型230の中心部分には、光学機能面として非球面あるいは球面の鏡面加工が施されている。成形金型200の材質は、機械的強度特性に優れている炭化ケイ素(Sic)を用いている。
【0021】
この成形金型200の胴型210は、内胴型210aと外胴型210bの2つで構成されている。この内胴型210aおよび外胴型210bには、上金型220に対向する貫通孔250と、下金型230に対向する貫通孔250とが配置されている。内胴型210aの側面には、上金型220および下金型230の温度を測定するための貫通孔250が2個配置されている。貫通孔250は上金型220の光学機能面に近い側面、下金型230の光学機能面に近い側面を赤外線放射温度計にて狙える位置に配置されている。特に、内胴型210aに設けた貫通孔250と上金型220および下金型230の組み合わせ時に側面から見て互いに重なる位置に配置されている。
【0022】
また、第1ヒータプレート群300aの下方ヒータプレート320と第2ヒータプレート群300bの下方ヒータプレート320と下金型230には、下金型230の回転方向のずれを規制する第1係合部を設け、下金型230と胴型210には、胴型210の回転方向のずれを規制する第2係合部を設けている。
【0023】
具体的には、図3〜図8に示すように、下金型230の鍔部232の外周の一部には、第1係合部としてDカット部234を設け、下方ヒータプレート320には、第1係合部として下金型230のDカット部234を沿わせるための溝部322を設けている。下金型230の鍔部232には第2係合部として突起部236を設け、内胴型210aおよび外胴型210bには第2係合部として下金型230の突起部236と噛合う切り欠き部212を設けている。
【0024】
<下方ヒータプレート320の詳細について>
図5〜図6に示すように、下方ヒータプレート320の上面(成形金型200が載る面)には、成形金型200が移動させられる方向に、溝部322が形成されている。溝部322の幅は、下金型230が回転せず、下金型230が下方ヒータプレート320に対して容易に摺動するように、Dカット部234の寸法との相対で決定される。溝部322の深さは、下金型230が溝部322を乗り上げず、下金型230の鍔部232の上面部を載り面基準としている内胴型210a、外胴型210bの載り面基準に影響しないような寸法に決定される。下方ヒータプレート320の材質としては、機械的強度特性に優れているものが良く、SUS、セラミック材料、超硬合金等がある。また、下方ヒータプレート320および上方ヒータプレート310は、4本のヒータ、表面の温度を測定する熱電対を内蔵している。
【0025】
<温度測定について>
このようなレンズ製造装置100において、上金型220に対向する位置に配置した貫通孔250を介して上金型220の温度を測定し、下金型230に対向する位置に配置した貫通孔250を介して下金型230の温度を測定する。この温度の測定には、非接触型温度計500を用いている。この非接触型温度計500によって、成形金型200の温度を検出しながら、上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320のいずれか一方の温度を制御し、成形金型200の温度を適切な温度に維持している。
【0026】
この非接触型温度計500は、レンズ製造装置100の外枠に取り付けアーム600を介して取り付けられた赤外線放射温度計である。上金型220用と下金型230用の2台が取付けられている。取付け位置は、内胴型210aの貫通孔250と外胴型210bの貫通孔250を狙える位置とする。赤外線放射温度はガラス窓を介して上金型220と下金型230の表面温度を測定する。具体的には、InGaAsのセンサーを搭載し、測定範囲がφ1mm、応答速度0.01secの赤外線放射温度計を用いる。ガラスを介して温度を測定するために、測定波長が2.5μm以下であるSiセンサーを搭載した赤外線放射温度計も使用可能である。赤外線放射温度計を用いる利点は、よりレンズ用素体400の近くの金型温度を測定できる点である。
【0027】
また、下方ヒータプレート320に成形金型200が配置されていることを検出するために、発光素子と受光素子からなる金型検出用センサー700が配置されている。成形金型200の温度を測っているのか、成形金型200以外の温度を測っているのかによって、温度制御をするかしないか決定しなければならないので、成形金型200の有無を検出する必要がある。
【0028】
<具体的なレンズ製造方法について>
レンズ製造方法について、具体的には次の通りである。
【0029】
図9は同レンズ製造装置の製造工程を示すフローチャート、図10は同レンズ製造装置に用いる成形金型による加工前後の断面図である。
【0030】
図1、図9に示すように、金型設置工程(S1)において、金型が設置される。
【0031】
次に、配置工程(S2)において、ガラスのプリフォーム材であるレンズ用素体400が金型キャビティ240の下金型230に充填される。
【0032】
次に、予備加熱工程(S3)および予備加熱工程(S4)において、予備加熱部が、段階的に、成形金型200を予備加熱し、レンズ用素体400に熱を加える。このレンズ用素体400は、成形金型200の金型キャビティ240の下金型230に配置されている。第1ヒータプレート群300aの上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320の少なくともいずれか一方を加熱して、成形金型200を所定温度に予備加熱する。その後、第2プレード群の上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320の少なくともいずれか一方を加熱して、成形金型200をさらに高温の所定温度に予備加熱する。
【0033】
次に、本加熱工程(S5)において、本加熱部が、成形金型200を本加熱する。第3プレート群の上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320の少なくともいずれか一方を加熱して、予備加熱工程における温度よりも高い所定温度、例えば、500〜600度に、成形金型200を本加熱する。同時に図10(a)、(b)に示すように、成形部が、第3プレート群の上方ヒータプレート310を下方ヒータプレート320に向かって可動させ、金型キャビティ240内の下金型230に配置したレンズ用素体400を上金型220で加圧してレンズ410を成型する。
【0034】
このとき、胴型210に設けた貫通孔250を介して成形金型200の温度を非接触型温度計500で測定しながら、上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320の少なくともいずれか一方の温度を制御する。この非接触型温度計500によって、成形金型200の温度を検出しながら、上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320のいずれか一方の温度を制御し、成形金型200の温度を適切な温度に維持している。この温度制御では、所定温度に対して、±2度程度の精度で温度制御することが望ましい。
【0035】
次に、冷却工程(S6)および冷却工程(S7)において、冷却部が、段階的に、成形金型200を冷却してレンズ410の熱を取る。
【0036】
次に、金型取出工程(S8)において、上金型220が取り出され、レンズ取出工程(S9)において、レンズが取り出される。
【0037】
このような経過を経て、レンズ410は製造される。
【0038】
<一実施の形態のまとめ>
本発明によれば、胴型210に設けた貫通孔250を介して成形金型200の温度を非接触型温度計500で測定しながら、上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320の少なくともいずれか一方の温度を制御するので、適切に、成形金型200を所定温度に維持できる。すなわち、成形金型200が所定温度よりも高い場合は上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320の少なくともいずれか一方の温度を低下させ、成形金型200が所定温度よりも低い場合は上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320の少なくともいずれか一方の温度を上昇させて調整すればよい。
【0039】
また、予備加熱と本加熱が必要なので、成形金型200を第1ヒータプレート群300aから第2ヒータプレート群300bに移動させる必要がある。この際、非接触型温度計500を第1ヒータプレート群300aと第2ヒータプレート群300bに対応する位置に配置しておき、成形金型200の移動前後において、胴型210に設けた貫通孔250を介して温度を測定すれば、容易で的確に成形金型200の温度を測定できる。
【0040】
特に、例えば、プラスチック製のレンズ410に比べて、レンズ用素体400の溶融温度が非常に高いガラス製のレンズ410を製造する場合は、成形金型200を高温にするために予備加熱と本加熱が必要になる。この際、成形金型200が高温になっても、胴型210に設けた貫通孔250を介して非接触型温度計500で温度を測定するので、温度測定の精度が良い。すなわち、ひびや割れや曇りを低減した精度のよいレンズを製造することができる。
【0041】
なお、成形金型200の温度制御は、上方ヒータプレート310または下方ヒータプレート320の一方だけを温度制御してもよいし、上方ヒータプレート310および下方ヒータプレート320の両方を温度制御してもよい。特に、胴型210に設けた貫通孔250を介して成形金型200の上方ヒータプレート310の温度を非接触型温度計500で測定しながら、上方ヒータプレート310の温度を制御する、または、胴型210に設けた貫通孔250を介して成形金型200の下方ヒータプレート320の温度を非接触型温度計500で測定しながら、下方ヒータプレート320の温度を制御すると、より微妙な温度制御が可能となる。その結果、高精度なレンズを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、デジタルスチルカメラやビデオムービのレンズを製造する製造方法や製造装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
100 レンズ製造装置
200 成形金型
210 胴型
210a 内胴型
210b 外胴型
212 切り欠き部
220 上金型
230 下金型
232 鍔部
234 Dカット部
236 突起部
240 金型キャビティ
250 貫通孔
300 ヒータプレート群
300a 第1ヒータプレート群
300b 第2ヒータプレート群
300c 第3ヒータプレート群
300d 第4ヒータプレート群
300e 第5ヒータプレート群
310 上方ヒータプレート
320 下方ヒータプレート
322 溝部
400 レンズ用素体
410 レンズ
500 非接触型温度計
600 取り付けアーム
700 金型検出用センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形の胴型と、前記胴型の上方に配置した上金型と、前記胴型の下方に配置した下金型によって金型キャビティが形成された成形金型と、
前記上金型の上方に配置した上方ヒータプレートおよび前記下金型の下方に配置した下方ヒータプレートを有する第1、第2ヒータプレート群とを備えたプレス成形機を用いて、
レンズを製造するレンズ製造方法であって、
前記金型キャビティの前記下金型にレンズ用素体を配置する配置工程と、
前記第1ヒータプレート群の上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方を加熱して、前記成形金型を所定温度に予備加熱する予備加熱工程と、
前記第2ヒータプレート群の上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方を加熱して、前記予備加熱工程における温度よりも高い所定温度に、前記成形金型を本加熱する本加熱工程と、
前記第2ヒータプレート群の前記上方ヒータプレートを前記下方ヒータプレートに向かって可動させ、前記上金型で前記レンズ用素体を加圧して、前記レンズを成形する成形工程を有しており、
前記本加熱工程では、前記胴型に設けた貫通孔を介して前記成形金型の温度を非接触型温度計で測定しながら、前記上方ヒータプレートまたは前記下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方の温度を制御する
レンズの製造方法。
【請求項2】
前記第1、第2ヒータプレート群の前記下方ヒータプレートと前記下金型に、前記下金型の回転方向のずれを規制する第1係合部を設け、
前記下金型と前記胴型に、前記胴型の回転方向のずれを規制する第2係合部を設け、
前記下方ヒータプレートに対して前記胴型の回転方向のずれを規制した請求項1に記載のレンズの製造方法。
【請求項3】
前記本加熱工程では、前記胴型に設けた貫通孔を介して前記成形金型の上方ヒータプレートの温度を非接触型温度計で測定しながら、前記上方ヒータプレートの温度を制御する、または、前記胴型に設けた貫通孔を介して前記成形金型の下方ヒータプレートの温度を非接触型温度計で測定しながら、前記下方ヒータプレートの温度を制御する請求項1に記載のレンズの製造方法。
【請求項4】
筒形の胴型と、前記胴型の上方に配置した上金型と、前記胴型の下方に配置した下金型によって金型キャビティが形成された成形金型と、
前記上金型の上方に配置した上方ヒータプレートおよび前記下金型の下方に配置した下方ヒータプレートを有する第1、第2ヒータプレート群とを備え、
前記第1ヒータプレート群の上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方を加熱して、前記成形金型を所定温度に予備加熱する予備加熱部と、
前記第2ヒータプレート群の上方ヒータプレートまたは下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方を加熱して、前記予備加熱工程における温度よりも高い所定温度に、前記成形金型を本加熱する本加熱部と、
前記第2ヒータプレート群の前記上方ヒータプレートを前記下方ヒータプレートに向かって可動させ、前記金型キャビティの前記下金型に配置したレンズ用素体を前記上金型で加圧してレンズを成形する成形部を有し、
前記胴型に設けた貫通孔を介して前記成形金型の温度を非接触型温度計で測定しながら、前記上方ヒータプレートまたは前記下方ヒータプレートの少なくともいずれか一方の温度を制御する温度制御部を設けたレンズ製造装置。
【請求項5】
前記第1、第2ヒータプレート群の前記下方ヒータプレートと前記下金型に、前記下金型の回転方向のずれを規制する第1係合部を設け、
前記下金型と前記胴型に、前記胴型の回転方向のずれを規制する第2係合部を設け、
前記下方ヒータプレートに対して前記胴型の回転方向のずれを規制した請求項4に記載のレンズ製造装置。
【請求項6】
前記本加熱工程では、前記胴型に設けた貫通孔を介して前記成形金型の上方ヒータプレートの温度を非接触型温度計で測定しながら、前記上方ヒータプレートの温度を制御する、または、前記胴型に設けた貫通孔を介して前記成形金型の下方ヒータプレートの温度を非接触型温度計で測定しながら、前記下方ヒータプレートの温度を制御する請求項4に記載のレンズ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−189551(P2011−189551A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55715(P2010−55715)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】