説明

レンズ駆動装置、及び、それを備えた光ピックアップ

【課題】ナット部材を用いてリードスクリュの回転を直線方向の動きに変換してレンズを移動させるレンズ駆動装置であって、不良部品が発生し難く、安定した動作が期待できるレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】レンズ駆動装置40は、ネジ部2aから非ネジ部2bへと外れたナット部材3をネジ部2aに押返して復帰させる復帰機構60を有する。復帰機構60には、ナット部材3に当接する部分を有し、ベース101に対して相対移動する押返し部61と、ネジ部2aに螺合するナット部材3が押返し部61に接近する向きとは逆向きの力を押返し部61に付与する弾性部62と、ベース101に固定配置され、弾性部62から付与される力による押返し部61の移動を制限するストッパー部63と、が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナット部材を用いてリードスクリュの回転を直線方向の動きに変換してレンズを移動させるレンズ駆動装置に関する。また、本発明は、そのようなレンズ駆動装置を備える光ピックアップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば光ピックアップやカメラ等の光学装置に、ナット部材を用いてリードスクリュの回転を直線方向の動きに変換してレンズを移動させるレンズ駆動装置が備えられている(例えば、特許文献1〜4参照)。例えば光ピックアップにおいては、球面収差の補正を行う目的等で、このレンズ駆動装置が使用される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、このレンズ駆動装置が光ピックアップに備えられる場合においては、例えば、コリメートレンズがレンズ駆動装置によって移動される。コリメートレンズの位置が光軸方向に移動されることで、コリメートレンズから出射されて対物レンズに入射する光の収束発散状態が変更される。このために、レンズ駆動装置によるコリメートレンズの駆動によって球面収差の補正が可能になる。なお、ここでいう対物レンズは、光源から出射された光を光記録媒体の情報記録面に集光するレンズのことで、コリメートレンズは光源と対物レンズとの間の光路中に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−117000号公報
【特許文献2】特開2007−287281号公報
【特許文献3】特開2007−232940号公報
【特許文献4】特開2002−287002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図15は、本出願人の先行開発の光ピックアップが備えるレンズ駆動装置100の構成を示す概略斜視図である。先行開発の光ピックアップのレンズ駆動装置100は、光ピックアップを構成するベース(図示せず)上に設けられる。なお、光ピックアップを構成するベースには、レンズ駆動装置100のほか、光源、光学部材、光検出器、対物レンズアクチュエータ、各種の回路基板等が取り付けられる。
【0006】
図15に示すように、レンズ駆動装置100は、ステッピングモータ1と、リードスクリュ2と、リードナット3と、レンズホルダ4と、ガイドシャフト5と、与圧バネ6と、リターンスプリング7と、を備える。
【0007】
ステッピングモータ1は、リードスクリュ2を回転する駆動源である。駆動源としてステッピングモータが用いられることで、リードスクリュ2の回転によって移動するレンズホルダ4の移動量を、ステップ数で管理することが可能になる。なお、レンズ駆動装置100は、レンズホルダ4が基準位置にあることを検知するフォトインタラプタ(図示せず)を備えている。そして、このフォトインタラプタからの情報とステッピングモータ1のステップ数とから、レンズホルダ4の位置を把握することが可能になっている。
【0008】
ステッピングモータ1の出力軸に取り付けられる金属製のリードスクリュ2には、螺旋状のネジが切られたネジ部2aが設けられている。なお、リードスクリュ2の両端部側には螺旋状のネジが切られていない非ネジ部2bが存在する。この非ネジ部2bは、リードスクリュ2の一部である場合もあるし、モータ1の出力軸の一部である場合もある。平面視(図15のX方向に沿って見た場合を想定)略十字形状に設けられる樹脂製のリードナット3は、その略中央部に、内面にネジが切られた貫通孔を有し、リードスクリュ2のネジ部2aと螺合する。リードナット3は、レンズホルダ4よりもステッピングモータ1側に配置されている。
【0009】
なお、リードナット3は、その下部が光ピックアップを構成するベースに設けられるガイド溝(図示せず)に係合するように配置される。このために、リードナット3は、リードスクリュ2が回転しても自身は回転することなく、リードスクリュ2の長手方向(図15のX方向)に移動可能である。
【0010】
レンズホルダ4は、コリメートレンズを保持するレンズ保持部4aを有する。また、レンズホルダ4は、リードナット3と当接可能となるように、レンズ保持部4aから延出する延出部4bを有する。延出部4bには、リードスクリュ2と略平行となるように配置されるガイドシャフト5が挿通される軸受け部4cが設けられている。この軸受け部4cに挿通するガイドシャフト5は、リードスクリュ2よりもレンズ保持部4a側に位置するように設けられている。
【0011】
また、レンズホルダ4は、レンズ保持部4aから延出部4bとは反対側に突出するガイド突起4dを有する。このガイド突起4dは、図16に示すように、ベース110(光ピックアップを構成する部材)に設けられるガイド溝8と係合する。なお、図16は、先行開発の光ピックアップが備えるレンズ駆動装置100における、ガイド突起4dとガイド溝8との関係を示す模式図である。
【0012】
レンズホルダ4は、その移動時には、軸受け部4cに挿通されるガイドシャフト5と、ガイド突起4dに係合するガイド溝8とにガイドされて移動する。なお、ガイドシャフト5とガイド溝8とによるガイド方向は、レンズホルダ4に保持されるコリメートレンズの光軸方向(図15のX方向が該当)と一致している。
【0013】
ガイドシャフト5に遊嵌される与圧バネ(圧縮コイルバネ)6は、その一端がレンズホルダ4に当接し、他端が光ピックアップを構成するベースに当接するようになっている。この与圧バネ6は、レンズホルダ4を、それが保持するコリメートレンズの光軸方向と平行な方向に付勢して、レンズホルダ4とリードナット3とが当接するようにしている。
【0014】
リードスクリュ2の回転により、リードナット3がステッピングモータ1から離れる方向に移動すると、レンズホルダ4はリードナット3によって押される。これにより、レンズホルダ4は、与圧バネ6の付勢力に反してステッピングモータ1から離れる方向に移動する。一方、リードナット3がステッピングモータ1に近づく方向に移動すると、レンズホルダ4は与圧バネ6の付勢力によって押され、リードナット3に当接しながらステッピングモータ1に近づく方向に移動する。
【0015】
リターンスプリング7は、ステッピングモータ1に近づく方向に移動するリードナット3がリードスクリュ2のネジ部2aから非ネジ部2bへと外れて(抜け落ちて)使用できなくなるのを防止するために設けられる。このリターンスプリング7は、板金を折り曲げ形成して得られる。
【0016】
例えば、ステッピングモータ1の動作を制御する制御ソフトが誤動作を起こした場合等に、リードナット3がステッピングモータ1に接近する動作が止まらなくなることがある。このような場合に、リードナット3は、リードスクリュ2のネジ部2aから一旦外れるが、制御ソフトが正常な状態に戻った場合に、リターンスプリング7の作用によってネジ部2aへと復帰可能である。すなわち、リターンスプリング7は、上述の誤動作等が起こった場合でも、リードナット3がリードスクリュ2に食い付く(噛み込む)ことを防止しつつ、リードナット3がリードスクリュ2のネジ部2aから非ネジ部2bへと外れて使用できなくなるという事態を防止する。
【0017】
ところで、上述のレンズ駆動装置100に備えられるリターンスプリング7は、小型化の要求等の影響もあって、その形状が複雑なものとなっている。図17は、本出願人の先行開発の光ピックアップに備えられるレンズ駆動装置100が有するリターンスプリング7の概略側面図である。図17に示すように、リターンスプリング7のリードナット3に当接する弾性部7aは、光ピックアップのベースに固定される固定部7bに対して鋭角に折り曲げられた部分であるとともに、2回の折り曲げが必要な構成となっている。
【0018】
この複雑な形状のために、リターンスプリング7は、図17に矢印Dで示す方向(図15ではX方向に該当)のばらつきが生じ易い。例えば、弾性部7aが狙いの形状よりD1側へ大きく突出した形状になると、ステッピングモータ1に近づく方向に移動するリードナット3が、リードスクリュ2のネジ部2aから非ネジ部2bへと抜けきらず、ネジ部2aに食い付くという問題が発生する。また、例えば、弾性部7aが狙いの形状よりD2側へ縮まった形状となると、リターンスプリング7が、ネジ部2aから非ネジ部2bへと外れたリードナット3をネジ部2aに復帰できないという問題が発生する。すなわち、上述のばらつきの結果、先行開発のレンズ駆動装置100が備えるリターンスプリング7は、不良率が高くなるといった問題があった。
【0019】
以上の点に鑑みて、本発明の目的は、ナット部材を用いてリードスクリュの回転を直線方向の動きに変換してレンズを移動させるレンズ駆動装置であって、不良部品が発生し難く、安定した動作が期待できるレンズ駆動装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、そのようなレンズ駆動装置を備え、信頼性の高い光ピックアップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明のレンズ駆動装置は、リードスクリュの回転を該リードスクリュのネジ部に螺合するナット部材によって直線方向の動きに変換し、ベースに対してレンズを相対移動させるレンズ駆動装置であって、前記ネジ部から非ネジ部へと外れた前記ナット部材を前記ネジ部に押返して復帰させる復帰機構を有し、前記復帰機構には、前記ナット部材に当接する部分を有し、前記ベースに対して相対移動する押返し部と、前記ネジ部に螺合する前記ナット部材が前記押返し部に接近する向きとは逆向きの力を前記押返し部に付与する弾性部と、前記ベースに固定配置され、前記弾性部から付与される力による前記押返し部の移動を制限するストッパー部と、が含まれる構成(第1の構成)となっている。
【0021】
本構成によれば、レンズ駆動装置は、ネジ部から非ネジ部へと外れたナット部材をネジ部に押返して復帰させる復帰機構を有しているために、制御ソフトの異常等が発生しても、異常解消後に元の状態に復帰して、安定した動作を行うことが期待できる。そして、本構成では、この復帰機構が押返し部と、弾性部と、ストッパー部とを含む構成とし、復帰機構を板バネ部材のみで構成しない。このために、復帰機構に必要とされる部材(弾性部材含む)の形状が複雑となることを避けられ、部品不良が発生し難くなる。また、本構成では、復帰機構における動作不良が発生し難い。
【0022】
上記第1の構成のレンズ駆動装置において、前記ストッパー部は、前記ベースに一体的に設けられる構成(第2の構成)とするのが好ましい。この構成では、ストッパー部の寸法管理が行い易く、復帰機構の動作不良が更に発生し難くなる。
【0023】
上記第1及び第2の構成のレンズ駆動装置において、前記弾性部がコイルバネである構成(第3の構成)とするのが好ましい。コイルバネはバネ係数のばらつきを抑制しやすい。このために、本構成によれば、復帰機構の動作を安定させ易い。
【0024】
上記第1から第3のいずれかの構成のレンズ駆動装置において、前記リードスクリュを回転させるモータが備えられ、前記押返し部は、前記リードスクリュの長手方向に略直交する板面を有するプレート形状であり、前記弾性部は、前記モータと前記押返し部との間に配置される構成(第4の構成)としてもよい。本構成によれば、レンズ駆動装置の構成を単純な構造とし易い。これにより、レンズ駆動装置の動作性能を確保し易く、また、レンズ駆動装置の組み立て性も良くできる。
【0025】
上記第4の構成のレンズ駆動装置において、前記弾性部は、前記非ネジ部に遊嵌されるコイルバネであり、前記モータには、前記コイルバネの一端が取り付けられる第1の凸部が形成されており、前記押返し部には、前記コイルバネの他端が取り付けられる第2の凸部が形成されている構成(第5の構成)とするのが好ましい。本構成によれば、コイルバネによる押返し部の動作を安定させ易い。
【0026】
上記第1から第3のいずれかの構成のレンズ駆動装置において、前記復帰機構は、前記ベース上に設けられて前記押返し部が前記直線方向に移動するようにガイドするガイド部を更に含み、前記押返し部は、前記ナット部材及び前記ストッパー部に当接する部分を含み、前記リードスクリュの長手方向に略直交する板面を有する第1プレート部と、前記リードスクリュの長手方向に略平行な方向に延び、前記ガイド部に係合する第2プレート部と、を備える構成(第6の構成)とするのが好ましい。本構成では、板金の単純な折り曲げによって押返し部を得られるために、部品不良が発生しにくい。
【0027】
上記第6の構成のレンズ駆動装置において、前記第2プレート部には、前記ガイド部から突出するフック部を突出可能とする開口部が形成され、前記フック部は、前記ガイド部に係合する前記第2プレート部が前記ガイド部から浮き上がることを防止する構成(第7の構成)であるのが好ましい。これにより、押返し部の動作を安定させられ、レンズ駆動装置の動作に関する信頼性を向上できる。
【0028】
上記第6又は第7の構成のレンズ駆動装置において、前記弾性部は、一端が前記押返し部に設けられる第1の取付部に取り付けられ、他端が前記ベースに設けられる第2の取付部に取り付けられる引張りバネである構成(第8の構成)であるのが好ましい。引張りバネはバネ係数のばらつきを抑制しやすく、本発明の弾性部として好適である。また、引張りバネを使用すると、レンズ駆動装置の組み立て作業を容易とできる。
【0029】
上記第8の構成のレンズ駆動装置において、前記ベースの底面を基準として、前記第1の取付部の方が前記第2の取付部よりも高い位置に設けられる構成(第9の構成)としてもよい。これにより、引張りバネが衝撃等によって外れる可能性を低減可能であるとともに、押返し部の浮き上がりが発生し難くできる。
【0030】
上記目的を達成するために本発明は、上記第1から第9のいずれかの構成のレンズ駆動装置を備える光ピックアップであることを特徴としている。この光ピックアップは、光源と、前記光源から出射される光を光記録媒体の情報記録面に集光する対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に配置されるコリメートレンズと、を備え、前記レンズ駆動装置によって前記コリメートレンズの位置が移動される構成であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ナット部材を用いてリードスクリュの回転を直線方向の動きに変換してレンズを移動させるレンズ駆動装置であって、不良部品が発生し難く、安定した動作が期待できるレンズ駆動装置を提供可能である。また、本発明によれば、そのようなレンズ駆動装置を備えて信頼性の高い光ピックアップを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る光ピックアップの外観構成を示す概略斜視図
【図2】本発明の実施形態に係る光ピックアップの光学構成を示す概略平面図
【図3】本発明の実施形態に係る光ピックアップが備える第1実施形態のレンズ駆動装置の構成を示す概略平面図
【図4】第1実施形態のレンズ駆動装置に備えられる押返しプレートの構成を示す概略斜視図
【図5】第1実施形態のレンズ駆動装置が備える押返しプレートとストッパー部とをリードナットがある側から見た場合の概略平面図
【図6】第1実施形態のレンズ駆動装置が備えるコイルバネの取り付け構成を説明するための概略側面図
【図7】第1実施形態のレンズ駆動装置を採用した場合の効果を説明するための模式図
【図8】第1実施形態のレンズ駆動装置を採用した場合の効果を説明するためのグラフ
【図9】第2実施形態のレンズ駆動装置の構成を示す概略平面図
【図10】第2実施形態のレンズ駆動装置に備えられる押返しプレートの構成を示す概略斜視図
【図11】第2実施形態の光ピックアップが備えるピックアップベースのうち、復帰機構が設けられる部分周辺の構成を説明するための図
【図12】図11(b)のA−A位置における概略断面図
【図13】図11(b)のB−B位置における概略断面図
【図14】第2実施形態のレンズ駆動装置が備える引張りバネの周辺を側面から見た場合の概略図
【図15】本出願人の先行開発の光ピックアップが備えるレンズ駆動装置の構成を示す概略斜視図
【図16】本出願人の先行開発の光ピックアップが備えるレンズ駆動装置における、ガイド突起とガイド溝との関係を示す模式図
【図17】本出願人の先行開発の光ピックアップに備えられるレンズ駆動装置が有するリターンスプリングの概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明のレンズ駆動装置が適用された光ピックアップの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施形態に係る光ピックアップは、ブルーレイディスク(BD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)といった3種類の規格の光ディスク(光記録媒体の一例)に対して情報の読み取りや書き込みを行うことが可能となっている。
【0034】
(光ピックアップの概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係る光ピックアップ10の外観構成を示す概略斜視図である。光ピックアップ10を構成するピックアップベース101には、光源、光学部材、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置、対物レンズアクチュエータ、光検出器(これらについては後述する)が搭載される。また、ピックアップベース101には、光ピックアップ10の動作を制御する上で必要となる各種の回路基板や配線部材(いずれも不図示)等も取り付けられる。
【0035】
なお、ピックアップベース101の左右の端部には軸受け部101a、101bが設けられている。ピックアップベース101は、この軸受け部101a、101bによって、光ディスク装置(光ディスクの再生や記録を行うための装置)に設けられるガイドシャフト(図示せず)に摺動可能に支持されることになる。そして、ガイドシャフトに対して摺動可能に設けられる光ピックアップ10は、回転する光ディスクの所望のアドレスにアクセスして情報の読み取りや書き込みを行える。
【0036】
図2は、本発明の実施形態に係る光ピックアップ10の光学構成を示す概略平面図である。光ピックアップ10には、第1の半導体レーザ11から出射される光を光ディスクの情報記録面に導くとともに、情報記録面で反射される反射光(戻り光)を光検出器23に導く、BD用の光路が形成されている。また、光ピックアップ10には、第2の半導体レーザ18から出射される光を光ディスクの情報記録面に導くとともに、情報記録面で反射される反射光(戻り光)を光検出器23に導く、DVD及びCD用の光路が形成されている。
【0037】
なお、光ピックアップ10においては、複数の光学部材が、BD用の光路と、DVD及びCD用の光路とで共用される構成となっている。このような構成を採用しているため、光ピックアップ10は、BD、DVD、及び、CDに対応する光ピックアップを少ない部品点数で形成可能になっている。
【0038】
まず、BD用の光路について説明する。第1の半導体レーザ11は、BD用のレーザ光(例えば波長405nm帯のレーザ光)を出射可能になっている。第1の半導体レーザ11から出射されたレーザ光は、回折素子12によって主光と2つの副光とに分けられる。回折素子12を経たレーザ光は偏光ビームスプリッタ13によって反射され、1/4波長板14及びコリメートレンズ15を透過する。コリメートレンズ15を透過したレーザ光は、第1の立ち上げミラー16によって反射されて、第1の立ち上げミラー16の上方にある第1の対物レンズ17へと至る。
【0039】
第1の対物レンズ17は、入射したレーザ光を光ディスクの情報記録面に集光する機能を有する。第1の対物レンズ17によって情報記録面に集光されたレーザ光は、情報記録面で反射される。この反射光(戻り光)は、第1の対物レンズ17を通過後、第1の立ち上げミラー16で反射され、コリメートレンズ15、1/4波長板14、偏光ビームスプリッタ13、ビームスプリッタ19を順に透過する。そして、ビームスプリッタ19を透過した戻り光は、センサーレンズ22によって非点収差を与えられて光検出器23の所定の受光領域に集光される。
【0040】
光検出器23は、受光した光信号を電気信号に変換する光電変換手段として機能する。光検出器23から出力された電気信号は図示しない信号処理部に送られ、この信号処理部で、再生信号、フォーカスエラー(FE)信号、トラッキングエラー(TE)信号等が生成される。
【0041】
次に、DVD及びCD用の光路について説明する。第2の半導体レーザ18は、DVD用のレーザ光(例えば波長650nm帯のレーザ光)とCD用のレーザ光(例えば波長780nm帯のレーザ光)とを切り換えて出射可能になっている。すなわち、第2の半導体レーザ18は2種類の光源を含む構成となっている。このようなレーザ光源は、例えばモノリシックタイプ或いはハイブリッドタイプの2波長レーザによって構成できる。
【0042】
第2の半導体レーザ18から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ19によって反射され、その後、偏光ビームスプリッタ13、1/4波長板14、コリメートレンズ15、及び、第1の立ち上げミラー16を順に透過する。第1の立ち上げミラー16を透過したレーザ光は、第2の立ち上げミラー20によって反射されて、第2の立ち上げミラー20の上方にある第2の対物レンズ21へと至る。
【0043】
なお、偏光ビームスプリッタ13は、BD用のレーザ光に作用する光学部材であり、DVD用のレーザ光及びCD用のレーザ光は、その偏光状態に関係なく透過する。また、第1の立ち上げミラー16はダイクロイックミラーであり、BD用のレーザ光は反射されるが、DVD用のレーザ光及びCD用のレーザ光は透過可能になっている。
【0044】
第2の対物レンズ21は、入射したレーザ光を光ディスクの情報記録面に集光する機能を有する。第2の対物レンズ21によって情報記録面に集光されたレーザ光は、情報記録面で反射される。この反射光(戻り光)は、第2の対物レンズ21を通過後、第2の立ち上げミラー20で反射され、第1の立ち上げミラー16、コリメートレンズ15、1/4波長板14、偏光ビームスプリッタ13、ビームスプリッタ19を順に透過する。そして、ビームスプリッタ19を透過した戻り光は、センサーレンズ22によって非点収差を与えられて光検出器23の所定の受光領域に集光される。
【0045】
BD対応の場合と同様に、光検出器23から出力された電気信号は図示しない信号処理部に送られ、この信号処理部で、再生信号、FE信号、TE信号等が生成される。
【0046】
なお、コリメートレンズ15は、詳細は後述するレンズ駆動装置によって、その光軸方向(図2のX方向)に移動可能となっている。そして、コリメートレンズ15の位置は、対応する光ディスク種の変更やレイヤージャンプ等に応じて適宜移動される。このようにコリメートレンズ15を移動可能とするのは、対物レンズ17、21に入射する光の収束・発散度合いを調節して、球面収差の影響を適切に抑制できるようにするためである。例えばBDは、情報記録面を厚み方向に複数有する多層ディスクが一般的となっている。このため、BD対応の場合にはレイヤージャンプが行われるのが一般的であり、その際に球面収差を適切に補正することが必要になる。コリメートレンズ15は、本発明のレンズ駆動装置によって移動されるレンズの一例である。
【0047】
また、第1の対物レンズ17及び第2の対物レンズ21は、ピックアップベース101に取り付けられる対物レンズアクチュエータ30(図1参照)に搭載された状態で、ピックアップベース101に搭載される。対物レンズアクチュエータ30は、光ピックアップ10に備えられる2つの対物レンズ17、21をフォーカス方向(図1のZ方向が該当)及びトラッキング方向(図1のY方向が該当)に移動可能とする装置である。
【0048】
光ピックアップ10においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、第1の対物レンズ17(或いは第2の対物レンズ21)の焦点位置が常に光ディスクの情報記録面に合うようにフォーカシング制御を行う必要がある。また、光ピックアップ10においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、第1の対物レンズ17(或いは第2の対物レンズ21)によって光ディスクの情報記録面に集光される光スポットの位置が、光ディスクのトラックに常に追随するようにトラッキング制御を行う必要がある。対物レンズアクチュエータ30は、例えば、これらフォーカシング制御及びトラッキング制御を行う際に駆動される。
【0049】
対物レンズアクチュエータ30は、対物レンズ17、21を保持するレンズホルダ31を有し、レンズホルダ31をワイヤ32で揺動可能に支持する構成のものである。そして、コイル及び磁石を利用して発生させた力でレンズホルダ31(すなわち対物レンズ17、21)を動かすものである。このようなタイプの対物レンズアクチュエータは公知であるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0050】
(レンズ駆動装置の構成)
1.第1実施形態
図3は、本発明の実施形態に係る光ピックアップ10が備える第1実施形態のレンズ駆動装置40の構成を示す概略平面図である。レンズ駆動装置40は、リードスクリュ2の回転をそのネジ部2aに螺合するリードナット3によって直線方向の動きに変換し、コリメートレンズ15をその光軸方向に移動(ピックアップベース101に対して相対移動)させる装置である。ピックアップベース101上に設けられるレンズ駆動装置40は、概ね図1の破線領域に内蔵される。
【0051】
光ピックアップ1が備える第1実施形態のレンズ駆動装置40の構成は、上述した先行開発の光ピックアップに備えられるレンズ駆動装置100(例えば図15参照)の構成と概ね同様である。このために、第1実施形態のレンズ駆動装置40のうち、その構成が上述したレンズ駆動装置100と重複する部分については同一の符号を付し、特に必要がない場合には、その説明を省略する。
【0052】
なお、レンズ駆動装置40が備えるモータ1は、ステッピングモータが好ましいが、場合によってはDCモータ等でもよい。モータ1をDCモータとする場合には、例えばエンコーダを利用することでレンズホルダ4の位置を把握可能である。また、ネジ部2aを有するリードスクリュ2は、本発明のリードスクリュの一例である。なお、上述のように、非ネジ部2bはリードスクリュ2の一部であってもよいし、モータ1の出力軸の一部であってもよい。
【0053】
また、リードナット3は本発明のナット部材の一例である。本実施形態ではリードナット3は平面視(図3のX方向に沿って見ること想定)略十字形状となっているが、その形状は適宜変更可能である。また、レンズ駆動装置40においては、ガイドシャフト5、及び、ガイド溝8(ピックアップベース101に設けられる)を用いてガイド機構を形成しているが、本発明のレンズ駆動装置は、この構成に限定されるものではない。前述の構成に代えて、例えば、2本のガイドシャフトを用いてガイド機構を形成する構成が採用されても構わない。
【0054】
図3に示すように、レンズ駆動装置40は、リードナット3がリードスクリュ2のネジ部2aから非ネジ部2bへと外れて使用できなくなるのを防止する復帰機構60を有する。この復帰機構60は、上述したレンズ駆動装置100が備えるリターンスプリング7と同様の目的で設けられるものであるが、その構成が全く異なる。以下、この復帰機構60について説明する。
【0055】
図3に示すように、復帰機構60には、モータ1の近傍に配置されるプレート形状の押返しプレート61と、モータ1と押返しプレート61との間に挟まれるように配置されるコイルバネ(圧縮コイルバネ)62と、ピックアップベース101に固定配置される柱状のストッパー部63と、が含まれる。コイルバネ62は、リードナット3が押返しプレート61に接近する向きとは逆向きの力を押返しプレート61に付与する。また、ストッパー部63は、コイルバネ62から付与される力によって移動(ピックアップベース101に対する相対移動)しようとする押返しプレート61の移動(移動量)を制限する。
【0056】
なお、押返しプレート61は、本発明の押返し部の一例である。また、コイルバネ62は、本発明の弾性部の一例である。また、ストッパー部63は、本発明のストッパー部の一例である。
【0057】
図4は、第1実施形態のレンズ駆動装置40に備えられる押返しプレート61の構成を示す概略斜視図である。なお、図4(a)では、リードナット3に当接する面(以下、前面61aとする)が主に見えており、図4(b)では、リードナット3に当接する面の裏面(以下、後面61bとする)が主に見えている。
【0058】
図4に示すように、押返しプレート61は平面視略十字形状に構成されている。押返しプレート61の中央部には、リードスクリュ2のネジ部2aや非ネジ部2bとの干渉が避けられるように、前後面61a、61b(押返しプレート61の板面)を貫通する貫通孔611が形成されている。また、押返しプレート61の後面61bには、貫通孔611を囲むようにリング状の凸部612が形成されている。なお、この押返しプレート61は、例えば金属や樹脂等によって形成することができる。また、押返しプレート61に凸部612が設けられる理由については後述する。
【0059】
図3に示すように、押返しプレート61は、その貫通孔611にリードスクリュ2が挿通されて、その前後面61a、61bがリードスクリュ2の長手方向(図3のX方向)に略直交する姿勢でモータ1の近傍に配置される。コイルバネ62は、押返しプレート61よりも先にリードスクリュ2に嵌められ、モータ1と押返しプレート61との間にある非ネジ部2bに遊嵌された状態とされる。なお、コイルバネ62によって付勢される押返しプレート61の移動を制限する一対のストッパー部63は、本実施形態では、ピックアップベース101に一体的に設けられている。
【0060】
図5は、第1実施形態のレンズ駆動装置40が備える押返しプレート61とストッパー部63とをリードナット3がある側から見た場合の概略平面図である。なお、図5において、破線はリードナット3を示している。図5に示すように、押返しプレート61は、その中央側においてリードナット3に当接可能になっている。また、押返しプレート61は、その左右端側で2つあるストッパー部63との当接が可能になっている。
【0061】
なお、図5において符号1011は、ピックアップベース101に設けられる溝部で、リードナット3の下部側の一部が、この溝部1011と係合する。そして、これにより、リードナット3がリードスクリュ2とともに回転する事態が阻止される。また、本実施形態では、押返しプレート61の形状が平面視略十字形状とされているが、リードナット3及びストッパー部63との当接が確保される範囲で、その形状は適宜変形して構わない。更に、本実施形態では、リードスクリュ2との干渉を避けるべく、押返しプレート61に貫通孔611を設けているが、貫通孔611に代えて、例えば平面視かまぼこ状等の切り欠きが押返しプレート61に設けられる構成であっても構わない。
【0062】
図6は、第1実施形態のレンズ駆動装置40が備えるコイルバネ62の取り付け構成を説明するための概略側面図である。なお、図6において、コイルバネ62は断面図のような形態で示されている。
【0063】
図6に示すように、コイルバネ62の両端部には、密接巻きされた座巻き62aが形成されている。2つある座巻きのうちの一方は、モータ1に形成される円柱状の凸部1a(本発明の第1の凸部の一例)の外面を覆うように、凸部1aに嵌められる。また、他方は、押返しプレート61に形成される凸部612(本発明の第2の凸部の一例)の外面を覆うように、凸部612に嵌められる。なお、モータ1に形成される凸部1aは、例えば、モータ1に備えられるベアリングを覆うカバーに設けられる凸部を利用する構成とできる。
【0064】
図6における長さlは、コイルバネ62の一端がモータ1に当接する当接面と、コイルバネ62の他端がストッパー部63に当接した押返しプレート61に当接する当接面と、の距離を示す。この長さlは、コイルバネ62の自然長よりも短く設定されている。このために、押返しプレート61には、コイルバネ62からの付勢力が常に加わった状態となっている。
【0065】
このようにコイルバネ62が取り付けられることによって、リードスクリュ2(モータ1の出力軸)の回転中心と、コイルバネ62の中心及び押返しプレート61の貫通孔611の中心とは、ほぼ一致した状態で維持可能である。このために、コイルバネ62を利用した押返しプレート62の動作が安定したものとなる。なお、場合によっては、コイルバネ62は、モータ1及び押返しプレート61に固定されることなく配置される構成が採用されてもよい。また、例えばピックアップベース101に押返しプレート61の回転を抑制する回転抑制機構(回転抑制部)が設けられてもよい。
【0066】
以上のように構成される復帰機構60の作用効果について説明する。まず、図3に示すように、押返しプレート61がリードナット3に当接していない状態について説明する。この場合には、押返しプレート61は、コイルバネ62によって、ネジ部2aに螺合するリードナット3が押返しプレート61に接近する向きとは逆向き(図3において右向き)の力を受ける。ただし、ストッパー部63が存在するために、押返しプレート61は、ストッパー部63よって動きを制限されて一定位置に留まる。
【0067】
次に、例えば制御ソフトの誤動作等によって、リードナット3がステッピングモータ1に近づく方向に進み続ける場合について説明する。この場合、リードナット3は、まず、押返しプレート6に当接する。この当接は、リードナット3がネジ部2aに螺合した状態で起こる。その後もリードナット3はステッピングモータ1に近づく側に向けて進もうとするために、押返しプレート61もステッピングモータ1に近づく方向に移動を始める。
【0068】
押返しプレート61を押しながら進むリードナット3は、リードスクリュ2のネジ部2aから非ネジ部2bへと外れる。なお、この際、リードナット3は、コイルバネ62によって押圧される押返しプレート61から、その進行方向とは逆向きの力を受けているが、コイルバネ62の弾性力の調整により、リードナット3はネジ部2aから外れるようになっている。これは、リードスクリュ2のネジ部2aとリードナット3との間で食い付き(噛み込み)が生じるのを防止するためである。
【0069】
リードナット3がステッピングモータ1に近づく方向に進み続ける異常状態が発生している間は、リードナット3はリードスクリュ2のネジ部2aから外れて非ネジ部2bに存在する。異常状態が解消されると、リードナット3は、コイルバネ62に押圧される押返しプレート61から力(復元力)を受けて、ネジ部2a側に押される。このために、リードナット3がステッピングモータ1から離れる方向の回転をリードスクリュ2に与えることにより、リードナット3はネジ部2aと噛み合った状態になる(復帰する)。
【0070】
図7は、第1実施形態のレンズ駆動装置40を採用した場合の効果を説明するための模式図である。図7(a)は第1実施形態の復帰機構60が採用された場合について説明するための図である。図7(b)は復帰機構に上述のリターンスプリング7(図15等参照)が採用された場合について説明するため図で、理解を容易とするための比較図である。なお、図7(a)ではコイルバネ62の記載が省略されている。
【0071】
上述のように、リターンスプリング7は、その形状の複雑さから製造ばらつきを生じ易い。すなわち、図7(b)に示すように、復帰機構にリターンスプリング7を用いた場合、ステッピングモータ1と、リターンスプリング7がリーとナット3に作用する作用点との間の距離Lにばらつきが発生しやすい。なお、図7(b)の一点鎖線はリターンスプリング7の製造ばらつきが生じた状態を示すものである。この距離Lのばらつきが大きいと、復帰機構によってリードナット3の復帰ができなかったり、リードナット3とリードスクリュ2との間で噛み込みが発生したりする。
【0072】
この点、本実施形態の復帰機構60では、ステッピングモータ1と、押返しプレート61がリードナット3に作用する作用点との間の距離Lのばらつきは、非常に小さなものとできる。これは、次の2つの理由が挙げられる。1つ目として、押返しプレート61は、単純なプレート形状であり、その形状のばらつきは非常に小さなものとできることが挙げられる。2つ目として、押返しプレート61の作用点の位置を決めるストッパー部63は、樹脂成形によって形成されるピックアップベース101に一体的に形成されるものであり、その寸法管理が行い易いことが挙げられる。
【0073】
図8は、第1実施形態のレンズ駆動装置40を採用した場合の効果を説明するためのグラフである。図8(a)は第1実施形態の復帰機構60が採用された場合のグラフである。図8(b)は復帰機構に上述のリターンスプリング7(図15等参照)が採用された場合のグラフである。
【0074】
図8において、横軸はバネの変位を示し、縦軸はバネ力を示す。実線で示す直線K0は、バネ係数が設計値と略同一である場合のグラフである。破線で示す直線K1は、バネ係数が設計値から+20%程度ずれた場合のグラフであり、破線で示す直線K2はバネ係数が設計値から−20%程度ずれた場合のグラフである。
【0075】
また、図8において、太い破線は、リードナット3がリードスクリュ2のネジ部2aから抜け落ちる際のバネ変位の設計値(狙いの値)を示す。リードナット3が抜け落ちる際のバネ変位は、例えば、復帰機構の作用点位置のばらつき、ステッピングモータ1の出力軸のスラスト方向(リードスクリュ2の長手方向に同じ)の位置のばらつき、リードナット3の厚みのばらつきが原因となってばらつく。図8に矢印で示す範囲は、これらのばらつきが原因となって、リードナット3が抜け落ちる際のバネ変位がばらつく範囲を示すものである。
【0076】
なお、上述のように、復帰機構の作用点のばらつきは、本実施形態の復帰機構60は、復帰機構としてリターンスプリング7を用いる場合に比べて小さい。このために、図8(b)に比べ図8(a)では、リードナット3が抜け落ちる際のバネ変位がばらつく範囲が狭くなっている。
【0077】
復帰機構に用いられるバネは、図8に矢印で示すばらつき範囲内において、そのバネ力が、所定の下限値(図8に二点差線で示す)を超えるとともに、所定の上限値(図8に二点差線で示す)を下回ることが要求される。ここで、所定の下限値は、リードナット3がリードスクリュ2のネジ部2aから外れた場合に、リードナット3をネジ部2aに復帰させるために必要となる最低限の力である。また、所定の上限値は、ステッピングモータ1の駆動によって生じさせられるリードナット3の推力の最大値であり、ネジ部2aに螺合するリードナット3がネジ部2aから外れられるようにするための限界値である。この最大値は、モータの脱調限界によって決まる。
【0078】
板バネからなるリターンスプリング7では、バネ変位に対するバネ力の変化が大きくなり易い。また、リターンスプリング7は、上述のようにその形状にばらつきが発生しやすいために、バネ係数のばらつきが大きくなり易い。この結果、図8(b)に示すように、矢印で示すばらつき範囲内において、バネ力が限界値から外れてしまうことがある。なお、これには、矢印で示すばらつき範囲が広いことも関係している。
【0079】
この点、本実施形態の復帰機構60では、コイルバネ62を用いているために、バネ変位に対するバネ力の変化を小さく抑えることが可能である。また、コイルバネ62のバネ係数にばらつきが生じても、バネ変位とバネ力の関係が変動するのを小さく抑えられる。更に、本実施形態の復帰機構60では、矢印で示すばらつきの範囲を小さく抑制することができる。このために、図8(a)に示すように、矢印で示すばらつき範囲内において、バネ力が限界値から外れてしまうことがない。すなわち、復帰機構60を備えるレンズ駆動装置40では、ネジ部2aから外れたリードナット3の復帰動作を安定して行えるとともに、リードナット3とリードスクリュ2との間で噛み込みが発生する可能性を低く抑えられる。
【0080】
以上のように、第1実施形態のレンズ駆動装置40では、復帰機構60を構成する部品のばらつきが発生し難く、復帰機構60が安定した動作を行うことが期待できる。すなわち、第1実施形態のレンズ駆動装置40を備える光ピックアップ10は、その動作において信頼性が高いものと言える。また、部品不良が発生し難いためにコストの低減が期待できる。
【0081】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態のレンズ駆動装置40について説明する。第1実施形態のレンズ駆動装置と第2実施形態のレンズ駆動装置とでは、復帰機構(リードナット3がリードスクリュ2のネジ部2aから非ネジ部2bへと外れて使用できなくなるのを防止する機構)の構成が異なり、他の部分の構成は同じである。以下、第2実施形態のレンズ駆動装置40が備える復帰機構50に絞って説明を行う。なお、第1実施形態と重複する部分については同一の符号を付して説明する。
【0082】
図9は、第2実施形態のレンズ駆動装置40の構成を示す概略平面図である。図9に示すように、復帰機構50には、板金をプレス加工して得られる押返しプレート51が含まれる。この押返しプレート51は、リードナット3に当接する部分を有し、ピックアップベース101に対して相対移動する。この押返しプレート51は、本発明の押返し部の一例である。図10は、第2実施形態のレンズ駆動装置40に備えられる押返しプレート51の構成を示す概略斜視図である。図9及び図10を参照して、押返しプレート51の詳細を説明する。
【0083】
押返しプレート50は、リードスクリュ2の長手方向(図9及び図10のX方向)に略垂直な板面を有する第1プレート部511を備える。この第1プレート部511は、ステッピングモータ1に向かって近づいてくるリードナット3に当接する部分を含む。図10に示すように、第1プレート部511には、リードスクリュ2との干渉を回避するための切り欠き511aが形成される。また、第1プレート部511の上部には、強度向上のために、ステッピングモータ1側に向かって折り曲げられた折曲部511bが形成されている。
【0084】
また、第1プレート部511の上部には、上述の折曲部511bと並ぶように引張りバネ52の一端を取り付ける第1の取付部511cが形成されている。この第1の取付部511cも第1プレート部511の上部の一部を折り曲げて得られる。なお、引張りバネ52は、ネジ部2aに螺合するリードナット3が押返しプレート51に接近する向きとは逆向き(図9では右向き)の力を付与する。この引張りバネ52は、本発明の弾性部の一例である。
【0085】
押返しプレート50は、リードスクリュ2の長手方向に略平行な方向に延びる第2プレート部512を備える。この第2プレート部512は、第1プレート部511に対してステッピングモータ1が無い側に折れ曲った部分であり、第1プレート部511に対する折り曲げ角は略90°となっている。また、この第2プレート部512は、リードスクリュ2との干渉を回避するために、第1プレート部511の一端寄り(図10においてY方向の一端寄り)に設けられている。
【0086】
なお、この第2プレート部512との干渉を避けるべく、レンズホルダ4の端部には切り欠き(不図示)が形成されており、レンズホルダ4の構成は、図15に示す構成から若干変更されている。
【0087】
第2プレート部512における短手方向(図9及び図10のY方向)の両端には、端部を下向きに折り曲げてなる係合壁512aが形成されている。この係合壁512aの存在により、第2プレート部512は、ピックアップベース101に設けられるガイドレール(詳細は後述する)と係合する。
【0088】
また、第2プレート部512における長手方向(図9及び図10のX方向)の先端部には、端部の一部を上向きに折り曲げてなる把手部512bが形成されている。この把手部512bは、押返しプレート50をピンセット等で掴むための持ち手として使用される。この把手部512bは無くてもよいが、例えばレンズ駆動装置40を組み立てる作業の作業性を向上する目的で、本実施形態のように把手部512bが設けられるのが好ましい。
【0089】
図11は、第2実施形態の光ピックアップ10が備えるピックアップベース101のうち、復帰機構50が設けられる部分周辺の構成を説明するための図である。図11(a)は、ピックアップベース101に押返しプレート51が搭載されていない場合の図で、図11(b)は、ピックアップベース101に押返しプレート51が搭載されている場合の図である。
【0090】
なお、図11において、破線の太枠はステッピングモータ1が配置される箇所を示す。また、図11における符号1011は、リードナット3に係合する係合溝である。この係合溝1011により、リードナット3は、リードスクリュ2が回転しても自身は回転することなく、リードスクリュ2の長手方向(X方向)に沿って移動可能になっている。
【0091】
図11に示すように、ピックアップベース101には、ステッピングモータ1が配置される箇所近傍に、係合溝1011を挟んで対称配置される一対のストッパー部53が設けられている。この一対のストッパー部53は、本発明のストッパー部の一例である。この一対のストッパー部53は、ベース底面の一部を突出させることによって得られており、ピックアップベース101と一体的に設けられている。一対のストッパー部53は、押返しプレート51の第1プレート部511と当接して、押返しプレート51がステッピングモータ1から離れる方向に移動するのを制限(規制)する。
【0092】
また、ピックアップベース101には、係合溝1011が延びる方向(リードスクリュ2の長手方向に平行な方向、X方向)と平行な方向に延びるガイドレール54が設けられている。このガイドレール54は、ベース底面の一部を突出させることによって得られており、ピックアップベース101と一体的に設けられている。このガイドレール54は、本発明のガイド部の一例である。
【0093】
図12に示すように、このガイドレール54には、上述の係合壁512aの存在によって断面視略コの字状となる第2プレート部512が係合配置される。ガイドレール54の幅(Y方向の長さ)や高さ(Z方向の長さ)は、第2プレート部512のサイズに合わせて適宜設計される。なお、図12は、図11(b)のA−A位置における概略断面図である。
【0094】
図13は、図11(b)のB−B位置における概略断面図である。図11及び図13に示すように、ガイドレール54の上面には断面視略L字状(正確にはL字が横を向いた形状)のフック部55が突出している。このフック部55は、ガイドレール54の、ステッピングモータ1が配置される側の端部(長手方向の端部)寄りに設けられている。なお、このフック部55は、本発明のフック部の一例である。
【0095】
押返しプレート51の第2プレート部512には、第2プレート部512がガイドレール54に係合配置される際に、フック部55を第2プレート部512から突出させるための開口部512cが形成されている。開口部512cから突出するフック部55は、ガイドレール54に係合する第2プレート部512を上から押さえる機能を有し、第2プレート部512(押返しプレート51)がガイドレール54から浮き上がるのを防止する。
【0096】
また、ピックアップベース101には、図9及び図11に示すように、一端が押返しプレート51の第1の取付部511cに取り付けられる引張りバネ52の他端を取り付けるための第2の取付部56が形成されている。図14は、第2実施形態のレンズ駆動装置40が備える引張りバネ52の周辺を側面から(Y方向に沿って)見た場合の概略図である。図14に示すように、第2の取付部56は、ピックアップベース101の側壁から水平方向に突出する突出部の先端が下向きに折れ曲ったフック状となっている。
【0097】
図14に示すように、ピックアップベース101の底面を基準として、第2の取付部56は、押返しプレート51に設けられる第1の取付部511cよりも低い位置に設けられている。このために、一端が第1の取付部511cに、他端が第2の取付部56に取り付けられる引張りバネ52は、水平方向から傾いた(上下方向に傾いた)状態となっている。
【0098】
ところで、引張りバネ52の両端はリング形状になっており、このリング部分が第1の取付部511c及び第2の取付部56に引っ掛けられることで引張りバネ52の取付は完了する。引張りバネ52が上下方向に傾いて配置されているために、第2の取付部56において、引張りバネ52のリング部分には上方向の力が加わることになる。したがって、リング部分が第2の取付部56に下から上に向かって引っ掛けられる引張りバネ52の端部は、第2の取付部56から外れ難くなっている。
【0099】
また、引張りバネ52が上下方向に傾いて配置されているために、第1の取付部511cには、引張りバネ52によって下向きの力が加えられる。このために、押返しプレート51は、ガイドレール54から浮き上がり難くなっている。
【0100】
以上のように構成される復帰機構50の作用効果について説明する。まず、図9に示すように、押返しプレート51がリードナット3に当接していない状態について説明する。この場合には、押返しプレート51は、引張りバネ52によって、ネジ部2aに螺合するリードナット3が押返しプレート51に接近する向きとは逆向き(図9において右向き)の力を受ける。ただし、ストッパー部53が存在するために、押返しプレート51は、ストッパー部53よって動きを制限されて一定位置に留まる。
【0101】
次に、例えば制御ソフトの誤動作等によって、リードナット3がステッピングモータ1に近づく方向に進み続ける場合について説明する。この場合、リードナット3は、まず、押返しプレート51の第1プレート部511に当接する。この当接は、リードナット3がネジ部2aに螺合した状態で起こる。その後もリードナット3はステッピングモータ1に近づく側に向けて進もうとするために、押返しプレート51もステッピングモータ1に近づく方向に移動を始める。この際、第2プレート部512がガイドレール54に係合しているために、押返しプレート51は、リードスクリュ2の長手方向(X方向)と略平行な方向に移動する。
【0102】
押返しプレート51を押しながら進むリードナット3は、リードスクリュ2のネジ部2aから非ネジ部2bへと外れる。なお、この際、リードナット3は、引張りバネ52によって引っ張られる押返しプレート51から、その進行方向とは逆向きの力を受けているが、引張りバネ52の弾性力の調整により、リードナット3はネジ部2aから外れるようになっている。これは、リードスクリュ2のネジ部2aとリードナット3との間で食い付き(噛み込み)が生じるのを防止するためである。
【0103】
リードナット3がステッピングモータ1に近づく方向に進み続ける異常状態が発生している間は、リードナット3はリードスクリュ2のネジ部2aから外れて非ネジ部2bに存在する。異常状態が解消されると、リードナット3は、引張りバネ52によって引っ張られる押返しプレート51から力(復元力)を受けて、ネジ部2a側に押される。このために、リードナット3がステッピングモータ1から離れる方向の回転をリードスクリュ2に与えることにより、リードナット3はネジ部2aと噛み合った状態になる(復帰する)。
【0104】
第2実施形態の復帰機構50では、ステッピングモータ1と、押返しプレート51がリードナット3に作用する作用点との間の距離L(図7(a)参照;符号61を51(511)に、符号63を53に置換えればよい)のばらつきは、非常に小さなものとできる。これは、次の2つの理由が挙げられる。1つ目として、押返しプレート51は、単純な折り曲げ(略90°の折り曲げ)のみで形成されるものであり、その形状のばらつきは非常に小さなものとできることが挙げられる。2つ目として、押返しプレート51の作用点の位置を決めるストッパー部53は、樹脂成形によって形成されるピックアップベース101に一体的に形成されるものであり、その寸法管理が行い易いことが挙げられる。
【0105】
このために、第2実施形態のレンズ駆動装置40が備える復帰機構50の場合も、上述の図8を用いた説明で述べたのと同様の効果が得られる。なお、第1実施形態の復帰機構60ではバネが圧縮コイルバネ62であり、第2実施形態の復帰機構50ではバネが引張りバネ52であるが、その違いにおける差は大きなものではない。
【0106】
以上のように、第2実施形態のレンズ駆動装置40では、復帰機構50を構成する部品のばらつきが発生し難く、復帰機構50が安定した動作を行うことが期待できる。すなわち、第2実施形態のレンズ駆動装置40を備える光ピックアップ10は、その動作において信頼性が高いものと言える。また、部品不良が発生し難いためにコストの低減が期待できる。
【0107】
(その他)
以上に示した実施形態は本発明の一例であり、本発明の適用範囲は、以上に示した実施形態の構成に限定されるものではない。
【0108】
例えば、以上に示した第1実施形態のレンズ駆動装置40では、押返しプレート61に所定方向の力を付与する弾性部が圧縮コイルバネ62である構成とした。このコイルバネ62は本発明の弾性部の例示にすぎず、他の弾性部材が用いられても構わない。また、第2実施形態のレンズ駆動装置40では、押返しプレート51に所定方向の力を付与する弾性部が引張りバネ52である構成を示した。この引張りバネ52は本発明の弾性部の例示にすぎず、他の弾性部材が用いられても構わない。なお、いずれの実施形態の場合においても、安定したバネ係数を得やすい等の理由からコイルバネを用いるのが好ましい。第1実施形態の圧縮コイルバネ62を引張りバネを用いる構成に変更してもよく、また、第2実施形態の引張りバネ52を圧縮コイルバネを用いる構成に変更してもよい。ただし、このような変更を行う場合には、バネ位置を上述した実施形態の位置から変更する必要がある。
【0109】
また、以上に示した第2実施形態のレンズ駆動装置40では、押返しプレート51を構成する第2プレート部512が、第1プレート部511に対してステッピングモータ1が無い側に折り曲げられる構成とした。しかし、この構成に限定される趣旨ではなく、第2プレート部512は、第1プレート部511に対してステッピングモータ1が有る側に折り曲げられる構成であってもよい。この構成を採用する場合には、ガイドレール54の構成位置等も変更する必要がある。
【0110】
また、以上に示した実施形態では、レンズ駆動装置40を構成するベースがピックアップベース101である構成とした。しかし、この構成に限らず、レンズ駆動装置40を構成するベースをピックアップベース101とは別に設けて、これをピックアップベース101に取り付けるようにしても構わない。
【0111】
また、以上に示した実施形態では、ストッパー部53、ストッパー部63、ガイドレール(ガイド部)54、及び第2の取付部56が、ピックアップベース101と一体的に形成される構成とした。しかし、本発明はこの構成に限定されるものではなく、これらの少なくとも一つが、ベースとは別部材とされても構わない。
【0112】
また、以上に示した実施形態では、復帰機構50、60がステッピングモータ1側の端部(リードスクリュ2のネジ部2aの端部を指す)に適用される構成とした。しかし、本発明の適用範囲はこの構成に限定される趣旨ではない。以上に示した実施形態とは反対側の端部に、復帰機構が設けられる場合にも、本発明は適用可能である。
【0113】
また、以上に示した実施形態では、レンズ駆動装置40によって移動されるレンズがコリメートレンズ15である場合を示した。しかし、本発明の適用範囲はこの構成に限らず、他のレンズが移動される場合にも本発明は適用可能である。例えば、球面収差の補正を行うためにビームエキスパンダーが使用される場合に、これに対して本発明のレンズ駆動装置を適用することも可能である。また、本発明のレンズ駆動装置は、光ピックアップに限らず、例えばカメラ等の他の光学装置にも適用可能である。
【0114】
また、以上に示した実施形態では、光ピックアップ10はBD、DVD、CDに対応する構成とした。しかしながら、本発明は、光ピックアップが対応可能な光ディスクの種類が、以上の実施形態で示したもの以外の場合(対応可能な光ディスクの種類が複数の場合ばかりでなく単数の場合も含む)でも適用できるのは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のレンズ駆動装置は、例えば光ピックアップ等の光学装置に好適である。
【符号の説明】
【0116】
1 ステッピングモータ(モータ)
1a 凸部(第1の凸部)
2 リードスクリュ
2a ネジ部
2b 非ネジ部
3 リードナット(ナット部材)
10 光ピックアップ
11 第1の半導体レーザ(光源)
15 コリメートレンズ(レンズ)
17 第1の対物レンズ
18 第2の半導体レーザ(光源)
21 第2の対物レンズ
40 レンズ駆動装置
50、60 復帰機構
51、61 押返しプレート(押返し部)
61a、61b 板面
52 引張りバネ(弾性部)
53、63 ストッパー部
54 ガイドレール(ガイド部)
55 フック部
56 第2の取付部
62 コイルバネ(弾性部)
101 ピックアップベース(ベース)
511 第1プレート部
511c 第1の取付部
512 第2プレート部
512c 開口部
612 凸部(第2の凸部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードスクリュの回転を該リードスクリュのネジ部に螺合するナット部材によって直線方向の動きに変換し、ベースに対してレンズを相対移動させるレンズ駆動装置であって、
前記ネジ部から非ネジ部へと外れた前記ナット部材を前記ネジ部に押返して復帰させる復帰機構を有し、
前記復帰機構には、
前記ナット部材に当接する部分を有し、前記ベースに対して相対移動する押返し部と、
前記ネジ部に螺合する前記ナット部材が前記押返し部に接近する向きとは逆向きの力を前記押返し部に付与する弾性部と、
前記ベースに固定配置され、前記弾性部から付与される力による前記押返し部の移動を制限するストッパー部と、
が含まれる、レンズ駆動装置。
【請求項2】
前記ストッパー部は、前記ベースに一体的に設けられる、請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記弾性部はコイルバネである、請求項1又は2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記リードスクリュを回転させるモータを備え、
前記押返し部は、前記リードスクリュの長手方向に略直交する板面を有するプレート形状であり、
前記弾性部は、前記モータと前記押返し部との間に配置される、請求項1から3のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記弾性部は、前記非ネジ部に遊嵌されるコイルバネであり、
前記モータには、前記コイルバネの一端が取り付けられる第1の凸部が形成されており、
前記押返し部には、前記コイルバネの他端が取り付けられる第2の凸部が形成されている、請求項4に記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記復帰機構は、前記ベース上に設けられて前記押返し部が前記直線方向に移動するようにガイドするガイド部を更に含み、
前記押返し部は、
前記ナット部材及び前記ストッパー部に当接する部分を含み、前記リードスクリュの長手方向に略直交する板面を有する第1プレート部と、
前記リードスクリュの長手方向に略平行な方向に延び、前記ガイド部に係合する第2プレート部と、
を備える、請求項1から3のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記第2プレート部には、前記ガイド部から突出するフック部を突出可能とする開口部が形成され、
前記フック部は、前記ガイド部に係合する前記第2プレート部が前記ガイド部から浮き上がることを防止する、請求項6に記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
前記弾性部は、一端が前記押返し部に設けられる第1の取付部に取り付けられ、他端が前記ベースに設けられる第2の取付部に取り付けられる引張りバネである、請求項6又は7に記載のレンズ駆動装置。
【請求項9】
前記ベースの底面を基準として、前記第1の取付部の方が前記第2の取付部よりも高い位置に設けられる、請求項8に記載にレンズ駆動装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のレンズ駆動装置を備える、光ピックアップ。
【請求項11】
光源と、
前記光源から出射される光を光記録媒体の情報記録面に集光する対物レンズと、
前記光源と前記対物レンズとの間の光路中に配置されるコリメートレンズと、を備え、
前記レンズ駆動装置によって前記コリメートレンズの位置が移動される、請求項10に記載の光ピックアップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−37739(P2013−37739A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172594(P2011−172594)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】