説明

レンタル用タイルカーペット及びその製造方法

【課題】洗濯・乾燥を繰り返しても収縮が発生せず、繰り返し使用できるレンタル用タイルカーペットおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、厚さ0.5〜2.0mmの熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び厚さ2.0〜3.5mmの熱架橋性合成ゴム層(B)をこの順に備えたレンタル用タイルカーペット、および、この順に積層し、一体化する工程を含むレンタル用タイルカーペットの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンタル用タイルカーペット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高層オフィス街などにあるビルの内部の床に敷かれるタイルカーペットは、一定期間使用されると塵や埃、靴底の土などが原因となり、汚れが生じる。通常、このような汚れは、タイルカーペットが一般的な業務用洗濯機での洗濯耐久性に劣ることから、タイルカーペットをビル内部の床に設置したまま、カーペット上を移動する移動式洗浄機にて除去される。また、特に汚れのひどいタイルカーペットは、新しいタイルカーペットに取り替えられる。取り除かれたタイルカーペットは、通常、廃棄処分される。
【0003】
一方、洗濯耐久性に優れたマットとして、ダストコントロールマットが知られている。しかしながら、公知のダストコントロールマットにおいても繰り返しの洗濯により、1%〜2%の収縮が発生する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3607264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、繰り返し洗濯が可能であり、洗濯による収縮が極僅かであるレンタル用タイルカーペットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、特定のバッキング材を備えたタイルカーペットにより、本発明の目的が達成されることを見出だした。
すなわち、第一の本発明は、基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、厚さ0.5〜2.0mmの熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び厚さ2.0〜3.5mmの熱架橋性合成ゴム層(B)をこの順に備えたレンタル用タイルカーペットに関する。
前記レンタル用タイルカーペットは、例えば、基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、厚さ0.5〜2.0mmの熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び厚さ2.0〜3.5mmの熱架橋性合成ゴム層(B)をこの順に積層し、一体化する工程を含むレンタル用タイルカーペットの製造方法により製造することができる。原反として、温度130〜220℃、時間10〜180秒の条件で熱処理した原反を用いることが好ましい。
また、第二の本発明は、基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、及び厚さ2.0〜4.0mmの熱架橋性合成ゴム層(C)を備え、熱架橋性合成ゴム層(C)に含まれる熱架橋性合成ゴムの加硫前のムーニー粘度が25〜45であり、加硫後の熱架橋性合成ゴム層(C)のロックウェル硬さ(Aスケール)が50〜70であるレンタル用タイルカーペットに関する。
前記レンタル用タイルカーペットは、基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、及び厚さ2.0〜4.0mmの熱架橋性合成ゴム層(C)を積層し、一体化する工程を含み、熱架橋性合成ゴム層(C)に含まれる熱架橋性合成ゴムの加硫前のムーニー粘度が25〜45であり、加硫後の熱架橋性合成ゴム層(C)のロックウェル硬さ(Aスケール)が50〜70であるレンタル用タイルカーペットの製造方法により製造することができる。原反として、温度130〜220℃、時間10〜180秒の条件で熱処理した原反を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、繰り返し洗濯が可能であり、洗濯による収縮が極僅かであるレンタル用タイルカーペットを提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
まず、第一の発明であるレンタル用タイルカーペットについて説明する。
第一の発明のレンタル用タイルカーペットは、基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、厚さ0.5〜2.0mmの熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び厚さ2.0〜3.5mmの熱架橋性合成ゴム層(B)をこの順に備えている。このレンタル用タイルカーペットは、さらに、任意の層を含んでいてもよい。第一の発明のレンタル用タイルカーペットは、基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、厚さ0.5〜2.0mmの熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び厚さ2.0〜3.5mmの熱架橋性合成ゴム層(B)をこの順に積層し、これらの層を一体化する工程を含む製造方法により製造することができる。この製造方法は、さらに任意の工程を含んでいてもよい。
【0008】
一般的に、基布にパイル糸を植毛して得られる原反は、植毛時のテンションや春夏秋冬の外気温のバラツキなども影響し、洗濯により収縮が発生する。しかし、第一の発明のレンタル用タイルカーペットは、厚さ0.5〜2.0mmの熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び厚さ2.0〜3.5mmの熱架橋性合成ゴム層(B)をこの順に有するバッキング材を用いることにより、洗濯しても収縮が極僅かである。
【0009】
パイル糸を植毛する基布としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維からなる織布若しくは不織布が使用される。寸法安定性の観点から、合成繊維はポリエステル繊維であることが好ましい。
【0010】
また、織布が使用される場合、その織り方については、平織り、綾織り等、通常の織り方でよく、特に限定されない。パイル糸を基布に植毛する方法としては、タフテッド、フック等、従来公知の手法が採用される。また、その形状は、レベルカット、カットアンドループ、ハイカットローカット、オールループ等が挙げられる。
【0011】
パイル糸としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ビニロン繊維等の合成繊維を挙げることができ、特に限定されない。好ましくは、ポリエステル繊維である。パイル糸には、通常、2〜100デニール、好ましくは8〜80デニールの単糸が使用される。パイル糸は、単糸の複数本からなるマルチフィラメントを撚ったものであり、その太さは、通常、1,000〜7,000デニールである。上記単糸の10倍ないし100倍の太さを有するモノフィラメントの1本若しくは複数本を、マルチフィラメントと撚ってパイル糸とすることもできる。また、単糸が200〜500デニールのモノフィラメントのみを複数本撚り合わせてパイル糸とすることもできる。
【0012】
基布へのパイル糸の植毛密度、すなわち、1インチ当りのゲージ数及びステッチ数は、それぞれ5〜13及び4〜15であることが好ましい。
【0013】
第一の発明のレンタル用タイルカーペットは、特定のバッキング材を用いているために、洗濯時の収縮が極僅かであるが、さらに、収縮防止、寸法安定性の観点から、熱処理した原反を用いることも可能である。
【0014】
熱処理条件は、温度130〜220℃、時間10〜180秒であることが好ましい。例えば、120℃、120秒、又は150℃、5秒にて熱処理した場合、収縮を十分に防止することができないことがある。また、温度230℃、10秒、又は220℃、190秒にて熱処理した場合、合成繊維が溶融する等の問題が生じることがある。
【0015】
熱処理条件として、特に、パイル糸がポリプロピレン繊維を用いて形成されている場合には、130〜160℃、10〜180秒であることが好ましい。また、パイル糸がポリアミド繊維を用いて形成されている場合には、130〜190℃、10〜180秒であることが好ましい。さらに、パイル糸がポリエステル及び/又は再生ポリエステル繊維を用いて形成されている場合には、130〜220℃、10〜180秒であることが好ましい。
【0016】
第一の発明におけるバッキング材である熱架橋性合成ゴム層(A)及び熱架橋性合成ゴム層(B)に用いる熱架橋性合成ゴムは、同一であっても、異なっていてもよいが、製造が容易であるという観点から、同一であることが好ましい。
【0017】
熱架橋性合成ゴム層(A)及び熱架橋性合成ゴム層(B)には、通常のダストコントロールマットに使用されている公知の熱架橋性の合成ゴムを用いることができる。熱架橋性合成ゴムとしては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(FRP、EPDM)、シリコンゴム等が挙げられる。特に、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)が耐久性の点から好ましい。
【0018】
加硫前の熱架橋性合成ゴムのムーニー粘度は、30〜50であることが好ましい。ムーニー粘度が30未満であると、パイル面へのゴムの染み出しが発生することがあり、ムーニー粘度が50を超えると、原反とゴム層の接着不良が発生することがある。また、加硫後の熱架橋性合成ゴム層((A)層及び/又は(B)層)のロックウェル硬さ(Aスケール)は、50〜65であることが好ましい。ロックウェル硬さが50未満であると、収縮が発生することがあり、ロックウェル硬さが65を超えると、洗濯時にゴム層の割れが発生することがある。
【0019】
熱架橋性合成ゴム層(A)及び熱架橋性合成ゴム層(B)は、例えば、熱架橋性合成ゴムをシート化する、又は熱架橋性合成ゴムを含有する組成物をシート化することにより形成することができる。この組成物には、必要に応じて、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、着色剤、老化防止剤、フィラー、分散剤等の公知の添加剤の1種又は2種以上が配合される。組成物の一例として、少なくとも熱架橋性合成ゴム、可塑剤、及び着色剤を含む組成物が挙げられ、その配合割合は、好ましくは、熱架橋性合成ゴム100重量部に対し、可塑剤10〜20重量部、着色剤40〜60重量部である。
【0020】
熱架橋性合成ゴム層(A)の厚さは0.5〜2.0mmであり、熱架橋性合成ゴム層(B)の厚さは2.0〜3.5mmである。熱架橋性合成ゴム層(A)の厚さが0.5mm未満である場合、原反との接着不良が発生する。また、熱架橋性合成ゴム層(A)の厚さが2.0mmを超える場合、厚みが増すことにより既設のタイルカーペットとの段差が生じる。熱架橋性合成ゴム層(B)の厚さが2.0mm未満である場合、洗濯時に収縮が生じる。また、熱架橋性合成ゴム層(B)の厚さが3.5mmを超える場合、熱架橋性合成ゴム層(A)と同じく、段差問題が発生する。
【0021】
補強材層に用いられる補強材としては、無機繊維、合成繊維、半合成繊維、天然繊維が挙げられるが、無機繊維が好ましく、とりわけガラス繊維が好ましい。補強材層の厚さは0.7〜1.5mmであることが好ましい。
【0022】
原反と、バッキング材である熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び熱架橋性合成ゴム層(B)とを積層し、一体化する際には、バッキング材を構成する熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び熱架橋性合成ゴム層(B)の3層を、原反と重ね合わせる前に予め重ね合わせておいても、又は、これらの3層を原反に1層ずつ重ね合せてもよい。一体化する方法は、公知の方法を採用できる。例えば、バッキング材と原反とを重ね合わせ、加圧し、加硫させる。加圧および加硫時の温度は任意に選択できる。
【0023】
次に、第二の発明であるレンタル用タイルカーペットについて説明する。
第二の発明のレンタル用タイルカーペットは、基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、及び厚さ2.0〜4.0mmの熱架橋性合成ゴム層(C)を備えている。このレンタル用タイルカーペットは、さらに、任意の層を含んでいてもよい。熱架橋性合成ゴム層(C)に含まれる熱架橋性合成ゴムの加硫前のムーニー粘度は25〜45であり、加硫後の熱架橋性合成ゴム層(C)のロックウェル硬さ(Aスケール)は50〜70である。第二の発明のレンタル用タイルカーペットは、基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、及び厚さ2.0〜4.0mmの熱架橋性合成ゴム層(C)を積層し、原反とバッキング材とを一体化する工程を含む製造方法により製造することができる。この製造方法は、さらに他の任意の工程を含んでいてもよい。
【0024】
第二の発明のレンタル用タイルカーペットは、特定のムーニー粘度及び特定のロックウェル硬さを有する熱架橋性合成ゴムを用いて形成された、厚さ2.0〜4.0mmのバッキング材を使用することにより、洗濯しても収縮が極僅かである。第二の発明のレンタル用タイルカーペットは、ガラス繊維などの補強材を用いることなく、単純な構造で洗濯時の収縮を防止することができる。
【0025】
原反としては、上述のものを用いることができる。また、上述と同様の条件にて原反を熱処理することも可能である。
【0026】
第二の発明におけるバッキング材は、厚さ2.0〜4.0mmの熱架橋性合成ゴム層(C)を備えている。熱架橋性合成ゴム層(C)に用いる熱架橋性合成ゴムとしては、上述のものを用いることができる。加硫前の熱架橋性合成ゴムのムーニー粘度が25未満であると、パイル面へのゴムの染み出しが発生し、ムーニー粘度が45を超えると、洗濯時に接着不良が発生する。また、加硫後の熱架橋性合成ゴム層のロックウェル硬さが50未満であると、洗濯時に波打ち等の問題が発生し、ロックウェル硬さが70を超えると、洗濯時に割れ等の問題が発生する。
【0027】
熱架橋性合成ゴム層(C)は、上述と同様に、熱架橋性合成ゴムをシート化する、又は熱架橋性合成ゴムを含有する組成物をシート化することにより形成することができる。熱架橋性合成ゴム層(C)を形成するための組成物にも、上述と同様に、必要に応じて、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、着色剤、老化防止剤、フィラー、分散剤等の公知の添加剤の1種又は2種以上が配合される。組成物の一例として、少なくとも熱架橋性合成ゴム、可塑剤、及び着色剤を含む組成物が挙げられ、その配合割合は、好ましくは、熱架橋性合成ゴム100重量部に対し、可塑剤5〜15重量部、着色剤40〜60重量部である。
【0028】
熱架橋性合成ゴム層(C)の厚さは、2.0〜4.0mmである。熱架橋性合成ゴム層(A)の厚さが2.0mm未満である場合、原反との接着不良が発生する。また、熱架橋性合成ゴム層(A)の厚さが4.0mmを超える場合、厚みが増すことにより、既設のタイルカーペットとの段差が生じる。
【0029】
原反と、バッキング材である熱架橋性合成ゴム層(C)とを積層し、一体化する際には、上述と同様に、公知の方法を採用でき、例えば、バッキング材と原反とを重ね合わせ、加圧し、加硫させる方法がある。
【0030】
第一及び第二の発明であるレンタル用タイルカーペットは、ビル内の床などに敷いて用いることができる。これらのレンタル用タイルカーペットを用いることにより、床に置かれ使用されたタイルカーペットを、床から外して洗濯し、洗濯後、再度、床に置いて使用するタイルカーペットの使用方法を提供することが可能となる。洗濯後のタイルカーペットを、再度、床に置いて使用する際の配置場所は、当該タイルカーペットを外した元の場所でも、又は、他の場所でもよく、サイズが同一である限りタイルカーペットを任意の場所で使用することができる。本発明のレンタル用タイルカーペットは、一般的な業務用洗濯機を用いて洗濯しても、収縮することがないために、従来のように移動式の洗浄機を用いる必要がない。また、本発明のタイルカーペットでは、移動式洗浄機では落とすことのできなかったような汚れも、業務用洗濯機を用いて落とすことができるため、タイルカーペットを長期に亘り、繰返し使用することができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0032】
(実験例1)
[原反(1)の作成]
ポリエステル繊維からなる不織布基布に、ポリエステル繊維からなるパイルを、ゲージ:5/32インチ、ステッチ:8.0/インチ、パイル長:カットパイル7.0mm/ループパイル3.0mmの条件で植毛し、温度180℃、60秒の条件で熱処理を行い、原反(1)を作成した。
【0033】
[バッキング材(1)(上層用(1)−1及び下層用(1)−2)の作成]
ムーニー粘度40のNBR100重量部に対し、カーボンブラック(着色剤)50重量部、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOP)(可塑剤)15重量部、酸化亜鉛(加硫促進剤)、ステアリン酸(滑材)、オクチル化ジフェニルアミン(老化防止剤)、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン(加硫促進剤)、硫黄(加硫剤)、及び分散剤を配合し、混練し、NBR組成物を得た。その後、NBR組成物をシート化し、上層用バッキング材(1)−1(厚み:1.0mm)及び下層用バッキング材(1)−2(厚み:2.0mm)を作成した。実施例中、バッキング材上層とは、原反に接着される熱架橋性合成ゴム層を意味し、バッキング材下層とは、地面に対向する熱架橋性合成ゴム層を意味する。
なお、実施例中、ムーニー粘度の測定は、JIS K 6300−1に準じて行った(島津製作所製、ムーニービスコメータ)。
【0034】
[タイルカーペット(1)の作成]
原反(1)に、上層用バッキング材(1)−1(厚み:1.0mm)、ガラス繊維、下層用バッキング材(1)−2(厚み:2.0mm)をこの順に載せ、温度145℃〜150℃、圧力5kg/cm(490kPa)で、10分間プレスすることにより、接着・加硫を行なって、一体化タイルカーペット(1)を作成した。作成したタイルカーペットのサイズは50cm×50cmであった。なお、バッキング材((1)−1及び(1)−2)のロックウェル硬さ(Aスケール)は、58であった。
なお、実施例中、ロックウェル硬さ(Aスケール)の測定は、JIS K 6253に準じて行った(ASKER社製 MD−1)。
【0035】
(実験例2〜9)
原反を熱処理する条件、バッキング材の厚み、ガラス繊維の有無を、表1に従って変更した他は、実験例1と同様にして、一体化タイルカーペットを作成した。
なお、実験例6及び8は、原反を熱処理する際にパイルが溶融したため、タイルカーペットを作成することができなかった。
【0036】
(実験例10)
[原反(2)の作成]
ポリエステル繊維からなる不織布基布に、ポリエステル繊維からなるパイルを、ゲージ:5/32インチ、ステッチ:8.0/インチ、パイル長:カットパイル7.0mm/ループパイル3.0mmの条件で植毛し、温度180℃、60秒の条件で熱処理を行い、原反(2)を作成した。
【0037】
[バッキング材(2)の作成]
ムーニー粘度45のNBR100重量部に対し、カーボンブラック(着色剤)50重量部、フタル酸ジイソノニル(DINP)(可塑剤)10重量部、酸化亜鉛(加硫促進剤)、ステアリン酸(滑材)、オクチル化ジフェニルアミン(老化防止剤)、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン(加硫促進剤)、硫黄(加硫剤)、及び分散剤重量部を配合し、混練し、NBR組成物(2)を得た。その後、NBR組成物(2)をシート化し、バッキング材(2)(厚み:2.0mm)を作成した。
【0038】
[タイルカーペット(2)の作成]
原反(2)に、バッキング材(2)(厚み:2.0mm)を載せ、温度145℃〜150℃、圧力5kg/cm(490kPa)で、10分間プレスすることにより、接着・加硫を行なって、一体化タイルカーペット(2)を作成した。作成したタイルカーペットのサイズは50cm×50cmであった。なお、バッキング材のロックウェル硬さ(Aスケール)は、65であった。
【0039】
(実験例11〜16)
原反を熱処理する条件、バッキング材の厚み、ガラス繊維の有無を、表2に従って変更した他は、実験例10と同様にして、一体化タイルカーペットを作成した。
なお、実験例13では、原反とバッキング材の間にガラス繊維を挟んだ。
【0040】
[タイルカーペット収縮試験]
作成した各上記タイルカーペットに対して、洗濯及び乾燥前後のサイズを測定した。洗濯には、洗剤としてクラリアントジャパン(株)製の商品名「サンドクリーンLS」を溶解し(3重量%)、メタ珪酸ソーダを用いてpHを12に調整し、温度を50℃に保った水溶液を使用した。各タイルカーペットを、洗濯機にて10分間洗濯し、次いで、バッチ式洗濯機にてすすぎを2回行なった後、バッチ式乾燥機にて100℃で30分間乾燥するという工程を50回繰り返した。結果を、表1及び表2に記す。
【0041】

【0042】

【0043】
第一及び第二の発明のレンタル用タイルカーペットは、繰り返しの洗濯及び乾燥後においても良好なレンタルタイルカーペットの状態を保つことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、厚さ0.5〜2.0mmの熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び厚さ2.0〜3.5mmの熱架橋性合成ゴム層(B)をこの順に備えたレンタル用タイルカーペット。
【請求項2】
基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、厚さ0.5〜2.0mmの熱架橋性合成ゴム層(A)、補強材層、及び厚さ2.0〜3.5mmの熱架橋性合成ゴム層(B)をこの順に積層し、一体化する工程を含むレンタル用タイルカーペットの製造方法。
【請求項3】
温度130〜220℃、時間10〜180秒の条件で熱処理した原反を用いる請求項2に記載のレンタル用タイルカーペットの製造方法。
【請求項4】
基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、及び厚さ2.0〜4.0mmの熱架橋性合成ゴム層(C)を備え、熱架橋性合成ゴム層(C)に含まれる熱架橋性合成ゴムの加硫前のムーニー粘度が25〜45であり、加硫後の熱架橋性合成ゴム層(C)のロックウェル硬さ(Aスケール)が50〜70であるレンタル用タイルカーペット。
【請求項5】
基布及び基布に植毛されたパイルを有する原反、及び厚さ2.0〜4.0mmの熱架橋性合成ゴム層(C)を積層し、一体化する工程を含み、熱架橋性合成ゴム層(C)に含まれる熱架橋性合成ゴムの加硫前のムーニー粘度が25〜45であり、加硫後の熱架橋性合成ゴム層(C)のロックウェル硬さ(Aスケール)が50〜70であるレンタル用タイルカーペットの製造方法。
【請求項6】
温度130〜220℃、時間10〜180秒の条件で熱処理した原反を用いる請求項5に記載のレンタル用タイルカーペットの製造方法。
【請求項7】
請求項1又は4記載のレンタル用タイルカーペット、又は、請求項2、3、5又は6記載のレンタル用タイルカーペットの製造方法により製造されたレンタル用タイルカーペットの使用方法であって、床に置かれ使用されたレンタル用タイルカーペットを、床から外して洗濯し、洗濯後、再度、床に置いて使用するレンタル用タイルカーペットの使用方法。

【公開番号】特開2008−245825(P2008−245825A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89549(P2007−89549)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(591276396)株式会社サニクリーン (8)
【出願人】(000104939)クリーンテックス・ジャパン株式会社 (13)
【Fターム(参考)】