説明

レーザアプリケータ

レーザアプリケータは、近位セクション(10a)、中央部(10b)および遠位端セクション(10c)を有するカテーテル(10)を有して成る。それは、ライトガイドを含み、その光は、出力結合部分(40)において排出される。ライトガイドは、カテーテル本体部の外側で長手方向の溝内を走る。ライトガイド(20)は連続的であるが、カテーテルは、カテーテルスプライス箇所(37)に結合されているカテーテル本体部から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲が閉鎖された少なくとも1つの内腔を含む細長いカテーテルを有し、かつカテーテルに沿って延在するライトガイドを有する、レーザアプリケータに関し、そのライトガイドは、カテーテルの遠位端セクションにおいて出力結合部分を有して成る。
【背景技術】
【0002】
そのようなレーザアプリケータは、国際公開WO2007/118745号 A1(Vimecon)に記載されており、その開示は、参照することによって本願に組み込まれる。既知のレーザアプリケータは、ライトガイドを包含する細長い可撓性カテーテルを有して成る。遠位端セクションは、投げ縄状の形状に形成され、その平面は、カテーテルの主要部分に対して横向きに広がる。レーザ放射は、近位端にてライトガイドに投入される。出力結合部分は、カテーテルの遠位端に存在し、そこではエネルギーが、ライトガイドから側面方向に結合出力して、カテーテルから出る。
【0003】
特に、レーザアプリケータは、心房細動および他の種類の心臓の不整脈の治療に役立つ。それは、光エネルギーを熱エネルギーに変換することによって、心臓の組織を焼灼するために用いられ得る。ライトガイドから出るレーザ放射は、60℃以上の値まで周辺の組織を加熱し、タンパク質の変性および電気的に不活性な瘢痕の形成をもたらす。
【0004】
ドイツ国特許第10 2006 039 471 B3号は、ライトガイドと共にカテーテルを有して成るレーザアプリケータを記載する。カテーテルの遠位端セクションにおいて、ライトガイドのクラッドは切り欠きを有し、そこから光がライトガイドから側面方向に出る。ライトガイドの完全なままのクラッドは全内面反射をもたらし、光エネルギーをライトガイドの長手方向に輸送するようにするが、ライトガイドコアの縁部における切り欠きは屈折をもたらし、光エネルギーが結合出力される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、レーザアプリケータの構造的なデザインに対処する。本発明の1つの目的は、製造するのにシンプルかつ経済的であり、それゆえ工業製品に特に良く適する、レーザアプリケータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレーザアプリケータは、請求項1によって規定される。ライトガイドの出力結合部分は、カテーテルの外側で溝内に延在することを特徴とし、溝は半透明な材料で充填されている。
【0007】
本発明に基づいて、ライトガイドの少なくとも出力結合部分を、カテーテルにおいて、側面方向に開口する溝の中に配置する。これは、ライトガイドをカテーテルの中へ挿入する前に、それを加工すること、特に、出力結合部分において、ライトガイドのクラッドの一部を除去することを可能にする。このようにして加工されたライトガイドを、次に、カテーテルの長手方向の溝内に側面方向に設置してよい。その後、それを、半透明材料、特に対応する接着剤を用いて固定する。カテーテルの外側溝内にライトガイドを取り付けることは、レーザアプリケータの製造方法の著しい簡素化をもたらす。
【0008】
一般的に、カテーテルの外側にある溝は、いずれかの選択的な断面、即ち例えば矩形または半円を有してよい。本発明の好ましい実施形態において、溝はV字形であり、反射層が設けられたフランクを有する。ライトガイドから側面方向に出て、周囲の半透明な材料内で反射される放射エネルギーは、反射層によって反射され、それによって束化および集束調節がもたらされる。溝のV字形は、文字通りに理解されるべきではない。2つの反射層が交わる隅部は、丸みを帯びていてもよい。放物状の溝も、「V字形」なる用語によって含まれるように理解すべきである。反射層が散乱した放射を集束し、かつカテーテル断面の外側の箇所にてそれの焦点を合わせるように、溝フランクは外側へ分岐することが重要である。半透明な材料の内側で散乱される放射は、分布させた分散粒子を半透明な材料に提供することによって生じさせることができる。
【0009】
また、好ましくは、カテーテルの中央部において、ライトガイドは、カテーテルの外側で溝に収容される。特に、ライトガイドの全長が、カテーテルの外側で溝に収容されてよい。それによって、ライトガイドをカテーテル内腔に引き込む必要を避ける。それどころか、ライトガイドをカテーテルの中に設置する前に、別個に処理することができる。ファイバのカテーテルの中への設置は、それを外側に開口する溝に配置することによって、外側から行なわれる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、カテーテルの中央部および遠位端セクションは、カテーテルスプライス箇所で接合された2つの別個のカテーテル構成要素から作られる。ライトガイドは、中央部および遠位端セクションを横断して一体的に延在する。カテーテルは、2つのカテーテル構成要素から構成されるが、ライトガイドは一体的である。それによって、エネルギーロスは最小限に抑えられる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、遠位端セクションにおいて、カテーテルが、排出穴が設けられた少なくとも1つの冷却チャネルを有して成ることを提供する。このようにして、冷却液体を熱的に治療した体内組織に直接輸送することができる。ライトガイドの両側に配置される2つの冷却チャネルが提供されることが好ましく、その排出穴は、互いの方を向いている。ここでは、2つの冷却フローは、体内組織の治療箇所にて結合され、それによって、僅かな冷却媒体しか用いず、有効な局所冷却を達成する。
【0012】
カテーテルの外側を滑らかにする目的のために、遠位端セクションには半透明のカバーホースが設けられてよく、かつ中央部には不透明なカバーホースが設けられてよく、2つのカバーホースは、ホーススプライス箇所で接合されている。
【0013】
以下は、図面を参照する本発明の1つの実施形態の詳細な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、ライトガイドの一般的な構造の概略図である。
【図2】図2は、カテーテルの中央部におけるラインII−IIに沿う断面である。
【図3】図3は、カテーテルの遠位端セクションにおけるラインIII−IIIに沿う断面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
レーザアプリケータは、細長いストランドの形態のカテーテル10を有して成る。カテーテルは、1つまたは複数の内腔を有する。それは、図1に図示されるように予め形成されており、近位セクション10a、中央部10bおよび遠位端セクション10cから構成される。セクション10aおよび10bは、実質的に直線的に延在するのに対し、遠位端セクション10cは、1箇所開いている円形として形作られたループに形成される。ループの面は横向きであり、特に、中央部10bの長手方向に対して直角である。それは、それがわずかな圧力で内側から血管の壁と接するような大きさである。ループの外径は、約20〜40mmである。
【0016】
位置Aは、近位セクション10aから中央部10bへの移行部を示す。位置Bは、中央部10bから遠位端セクション10cへの移行部を示す。
【0017】
図2は、中央部10bにおけるカテーテルの断面を図示する。カテーテルは、断面が実質的に円形であり、かつ長手方向に延在する実質的にV字形の溝13が設けられている、2〜3mmの直径を有する一体的な細長いカテーテル本体部12を有する。溝13は、弓形ベース部13cによって接続される外側へ分岐する2つのフランク13a、13bを有する。溝は、カテーテル本体部12の長手方向中央軸近くまで延在する。
【0018】
カテーテル本体部12は、成形ワイヤのための内腔14を有する。内腔14は、溝13とは正反対に配置される。更に、長手方向に延在する2つの冷却チャネル15、16が設けられ、それらは、カテーテルの全長にわたって延在し、対称面を形成し、かつ内腔14の中心および溝13の中心面を通る長手方向中心面Pに対して対称的に並べられる。カテーテル本体部12は、その全長にわたって一定のプロファイルを有する弾性プロファイルストランドである。
【0019】
ライトガイド20は、外側から溝13の中に配置される。ライトガイドは、ガラスファイバによって形成されたコア21、およびコア21を取り囲むクラッド22から構成され、そのクラッドの材料は、コア21よりも高い屈折率を有する。クラッド22は、耐破壊デバイスとして作用する保護シース23によって囲まれる。ライトガイド20全体は、それが、カテーテルの円形の輪郭を超えて突出せずに溝13に嵌るように直径を有する。
【0020】
溝全体を充填し、かつカテーテル本体部の円形の輪郭に対応する外側面を有する接着剤25によって、ライトガイド20は溝13に固定される。接着剤25は、放射に不透過性である。外側にて、カテーテルは、不透明のカバーホース26で覆われる。
【0021】
遠位部10cにおいて、カテーテルは、図3に図示される断面を有する。それは、中央部のカテーテル本体部12と同じプロファイルを有するカテーテル本体部12aを有して成る。成形ワイヤ30は、内腔14内に位置付けられており、ワイヤは、遠位端セクション10cに図1に示されたループ形状を提供するが、一方で、それは弾性を有し、伸張するように構成される。遠位端セクション10cにおいて、保護シース23はライトガイド20から除去されている。ここで、溝13には、溝のフランクおよびベース部13cを覆う反射層31が設けられている。遠位端セクションにおいて、ライトガイド20は、コア21およびシース22を含んで成るだけである。それは、溝に埋め込まれており、溝13は、半透明な材料33で充填されている。この材料は、光散乱粒子を含有する接着剤である。
【0022】
遠位端セクションにおいて、カテーテルにはカバーホース20aも設けられており、しかしながらこのセクションにおいて、それは半透明である。
【0023】
遠位端セクションにおいて、冷却チャネル15および16には、排出穴35、36が設けられている。排出穴35、36は、互いに集まり、冷却ジェットを外側へ放出する。排出穴は35、36は、互いに対して鋭角で延在する。
【0024】
それらは、冷却ジェットを熱放射の標的領域に衝突させる。排出穴35、36は、カバーホース内に対応する開口を有する。放射がライトガイド20から結合出力する出力結合部分40(図1)において、ライトガイドのクラッド22には開口41が設けられており、そこを通って、放射はコア21から結合出力する。出力結合部分40は、遠位端セクションのループに対して、半径方向外側へ向いている。対称面P(図2)は、ループの面上にある。
【0025】
ライトガイド20のコア21およびクラッド22は、カテーテル10の全長にわたって連続的であり、ライトガイドのガラスファイバは遮断されない。カテーテル本体部12および12aは、カテーテルスプライス箇所37にて接合されている。カバーホース26および26aは、本実施例の場合、カテーテルスプライス箇所37から先端に、ある距離を置いて配置されているホーススプライス箇所38にて接合されている。
【0026】
レーザアプリケータを製造する場合、まず、カテーテル本体部12、12aを同じホースプロファイルから切断する。次に、カテーテル本体部12aに反射層31を設ける。スパッタリングまたは蒸着によって形成される金属層も同様にする。
【0027】
始めに、保護シース23をそのセクションから除去することによって、ライトガイド20をカテーテルの外側で加工する。この出力結合部分において、レーザ加工によって小さな穴の形態の開口41を形成する。このようにして準備されたライトガイドを、カテーテル本体部12の側方溝13の中に配置する。次に、カテーテル本体部12aを、カテーテルスプライス箇所37にてカテーテル本体部12と接合させ、本体部はぴったり適合する。最後に、ライトガイド20の出力結合部分を、カテーテル本体部12aの側方溝の中に配置し、溝を材料33で充填する。
【0028】
最後に、カバーホース26および26aを、それぞれのカテーテルセクションに適用する。
【0029】
本発明は、スプライスによってカテーテル本体部のみが接合され、同様にしてカバーホースも接合されるという利点を提供する。それと対照的に、ライトガイドは連続的であり、出力結合部分においてのみ機械加工される。レーザアプリケータは、低いエネルギーロスを有し、それは、標的領域に高いエネルギー濃度を適用するように構成されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲が閉鎖された少なくとも1つの内腔を含む細長いカテーテル(10)、およびカテーテルに沿って延在するライトガイド(20)を有して成るレーザアプリケータであって、該ライトガイドは、カテーテル(10)の遠位端セクション(10c)において出力結合部分(40)を有しており、
ライトガイド(20)の出力結合部分(40)は、カテーテルの外側で溝(13)内に延在し、その溝は、半透明材料(33)で充填される
ことを特徴とするレーザアプリケータ。
【請求項2】
溝(13)はV字形であり、反射層(31)が設けられたフランク(13a、13b)を有することを特徴とする、請求項1のレーザアプリケータ。
【請求項3】
カテーテル(10)の中央部(10b)において、ライトガイド(20)もまた、カテーテルの外側で溝(13)内に延在することを特徴とする、請求項1または請求項2のレーザアプリケータ。
【請求項4】
カテーテル(10)は、中央部(10b)および遠位端セクション(10c)という、カテーテルスプライス箇所(37)にて接合されている2つの別個のカテーテル構成要素によって形成され、かつライトガイド(20)は、中央部(10b)および遠位端セクション(10c)に沿って一体的に延在することを特徴とする、請求項1〜請求項3の1つのレーザアプリケータ。
【請求項5】
双方のカテーテル構成要素が、同じプロファイルを有することを特徴とする、請求項4のレーザアプリケータ。
【請求項6】
ライトガイド(20)は、光を導くコア(21)およびコアを包囲するクラッド(22)を有して成り、かつそれに開口(41)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜請求項5の1つのレーザアプリケータ。
【請求項7】
ライトガイド(20)は、出力結合部分(40)においては除去されている保護シース(23)を有することを特徴とする、請求項1〜請求項6の1つのレーザアプリケータ。
【請求項8】
カテーテル(10)は、遠位端セクション(10c)において、排出穴(35、36)が設けられた少なくとも1つの冷却チャネル(15、16)を有して成ることを特徴とする、請求項1〜請求項7の1つのレーザアプリケータ。
【請求項9】
ライトガイド(20)の両側に配置される2つの冷却チャネル(15、16)が提供され、かつその排出穴は互いに向かって向けられていることを特徴とする、請求項8のレーザアプリケータ。
【請求項10】
双方の冷却チャネル(15,16)の排出穴(35、36)は、互いに対して鋭角で延在することを特徴とする、請求項9のレーザアプリケータ。
【請求項11】
カテーテル(10)は、少なくとも遠位端セクション(10c)において、カバーホース(26a)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜10の1つのレーザアプリケータ。
【請求項12】
遠位端セクション(10c)において、半透明なカバーホース(26a)が提供され、かつ中央部(10b)において、不透明のカバーホース(26)が提供されることを特徴とし、該2つのカバーホース(26、26a)は、ホーススプライス箇所(38)にて接合されている、請求項11のレーザアプリケータ。
【請求項13】
カテーテル(10)は、遠位端セクション(10c)を円形ループのように弾性的に形作る成形ワイヤ(30)を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項12の1つのレーザアプリケータ。
【請求項14】
成形ワイヤ(30)は、ワイヤ軸を有し、かつライトガイド(20)は、ライトガイド軸を有し、ならびにワイヤ軸およびライトガイド軸は、カテーテル断面の直径平面(P)にあり、成形ワイヤ(30)は、円形ループにおいて内側に配置されていることを特徴とする、請求項13のレーザアプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−509120(P2012−509120A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536797(P2011−536797)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059818
【国際公開番号】WO2010/057689
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(511122259)フィメコン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】VIMECON GMBH
【Fターム(参考)】