説明

レーザアプリケータ

レーザアプリケータは、クラッドによって包囲されているコアを有する光ファイバを有して成る。クラッドは、放射エネルギーを外側で結合出力するための開口(40)を含有する。エネルギーの均一な分散を達成するために、開口のサイズは、近位端から遠位端へと増加する必要がある。本発明によれば、開口(40)は群(45)に組み合わせられ、群内部の開口の数は変化する。出力結合の領域(13)を容易な方法で製造することができるように、開口(40)は、均一なサイズである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部コアおよびそのコアを包囲するクラッドを有して成る細長いカテーテルを有するレーザアプリケータに関し、クラッドは、出力結合部分において一連の開口を有して成り、その開口表面は、遠位端に向かって増加する。
【背景技術】
【0002】
そのようなレーザアプリケータは、国際公開WO2007/118745号 A1(Vimecon)に記載されており、その開示は、参照することによって本願に組み込まれる。既知のレーザアプリケータは、ライトガイドを包含する細長い可撓性カテーテルを有して成る。遠位端セクションは、投げ縄状の形状に形成され、その平面は、カテーテルの主要部分に対して横向きに広がる。レーザ放射は、近位端にてライトガイドに投入される。出力結合部分は、カテーテルの遠位端に存在し、そこではエネルギーが、ライトガイドから側面(seitlich)方向に結合出力して、カテーテルから出る。
【0003】
特に、レーザアプリケータは、心房細動および他の種類の心臓の不整脈の治療に役立つ。それは、光エネルギーを熱エネルギーに変換することによって、心臓の組織を焼灼するために用いられ得る。ライトガイドから出るレーザ放射は、60℃以上の値まで周辺の組織を加熱し、タンパク質の変性および電気的に不活性な瘢痕の形成をもたらす。出力結合パスの長さにわたって出力結合エネルギーの均一な分散を達成するために、出力結合をもたらす円形クラッドセグメントの幅を出力結合パスにわたって変化させることができる。
【0004】
ドイツ国特許第10 2006 039 471 B3号は、ライトガイドと共にカテーテルを有して成るレーザアプリケータを記載する。カテーテルの遠位端セクションにおいて、ライトガイドのクラッドは切り欠きを有し、そこから光がライトガイドから側面方向に出る。ライトガイドの完全なままのクラッドは全内面反射をもたらし、光エネルギーをライトガイドの長手方向に輸送するようにするが、ライトガイドコアの縁部における切り欠きは屈折をもたらし、光エネルギーが結合出力される。切り欠き部は、円形断面の離散している開口である。それらの直径は、ライトガイドの遠位端の方向に開口から開口へと連続的に増加し、最初の開口のための20μmのサイズから、最後の開口のための100μmのサイズまで変化する。ある変化形において、2つのそれぞれ隣接する開口間の距離は、ライトガイドファイバの遠位端の方向に減少する。これは、その遠位端の方向に、光導ファイバにおける放射輝度の減少を補うためである。
【0005】
ライトガイドからのレーザエネルギーの側面方向の出力結合のために開口を提供することは、高い精度を必要とし、出口表面の拡大は、遠位端から近位端へ非常にわずかな増加でなされなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、出力結合部分の長さにわたって均一である出力結合放射のエネルギー密度を達成するために、ライトガイドのクラッドを開口することによって、ライトガイド内に出力結合パスを形成する問題に対処する。
【0007】
近位部から遠位端へ増大するレーザアプリケータの出力結合断面が、比較的シンプルな方法でかつ高い精度で実現されることができる、レーザアプリケータを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のレーザアプリケータは、請求項1にて規定される。開口は、均一なサイズであり、かつ間隔を空けた群に組み合わせられ、開口の数は、遠位端に向かって1つの群から次の群へと増加することを特徴とする。
【0009】
本発明は、均一な開口を作ることを提供する。一般的に、これらは、直径が等しい開口である。そのような開口は、レーザを用いてライトガイドのクラッドに焼付けられることができる。均一なサイズの開口は、線形構造、即ち単列チェーンの開口として形成される。本発明は、レーザビームを用いて容易に実現できる均一な開口を形成することを提供する。開口は群に組み合わせられ、開口の断面全体は、遠位方向に1つの群から次の群へと増加する。
【0010】
開口は均一なサイズで形成されるが、本発明は、種々の種類の開口を、開口の列の個々の部分にて実現することを排除しない。しかしながら、いずれの場合でも、1つの群の開口は、同じ直径を有する。出力結合部分のすべての開口が、同じ直径を有することが好ましい。
【0011】
本発明は、開口の群が互いに間隔を空けていてよく、それによって、連続的なラインに沿って熱組織処理の効率が実質的に影響を受けることがないという着想に基づく。熱処理は、玉状線(schweisslinie)の短い遮断に耐える。これは、開口の列を、500μm未満の相互距離を有する開口の群へと分割するために用いられる。群の間の距離は、実質的に等しいことが好ましい。
【0012】
群内の開口は、線に沿って配置される。すべての群の開口は、直線に沿って配置される。
【0013】
群の開口は、互いにかなり接近して配置される必要がある。それらの相互距離は、開口の直径よりも小さいことが好ましい。
【0014】
出力結合セクションの近位方向において穴表面の増大を微細に等級付けするために、群の少なくとも2つの開口は、互いに部分的に重複することを提供してよく、それによって、融合穴が形成される。融合穴の表面は、遠位方向により大きくなるように、重複の程度は、遠位単の方向に1つの群から次の群へとより小さくなり得る。これは、断面積の準連続的な増加を可能にし、その増加は穴のサイズから独立している。融合穴が、群の遠位端に提供されることが好ましい。
【0015】
以下は、添付図面を参照して本発明の1つの実施形態の詳細な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、レーザアプリケータの一般的な構造体の概略的な図である。
【図2】図2は、図1のラインII-IIに沿う断面図である。
【図3】図3は、近位端から出力結合部分の遠位端までのライトガイドのクラッドにおける開口の群の概略図である。
【図4】図4は、開口の隣接する群の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
レーザアプリケータは、細長いストランドの形態のカテーテル10を有して成る。カテーテルは、1つまたは複数の内腔を有する。図1に図示されるように実施することが好ましく、近位セクション11および遠位端セクション12から構成される。近位セクション11は、実質的に直線的に延在するのに対して、遠位端セクション12は、1箇所で開いている円形として形成されるループに形成される。ループの平面は、近位セクションの長手方向に対して横向き、特に直角である。それが、僅かな圧力で内側から血管の壁と接触するように寸法付けられる。ループの外径は、約4〜6mmである。
【0018】
位置Aは、近位セクション11から端セクション12への移行部を示す。位置Bは、遠位端セクションの遠位端を示す。レーザエネルギーがカテーテルから側面方向に結合出力される出力結合部分13は、位置Aから位置Bまで広がる。
【0019】
出力結合部分13にて、レーザアプリケータは、図2に図示される断面を有する。それは、略円形断面で、かつ略V字形の溝が設けられた、一体的な細長いカテーテル本体部15を有する。溝16は、反射層17で覆われた、2つの外側に分岐したフランクを有する。溝16は、カテーテル本体部15の長手中央軸の付近まで延在する。
【0020】
カテーテル本体部15は、カテーテルの全長に沿って延在する、フォームワイヤ19のための内腔18ならびに2つの長手冷却チャネル20および21を含む。
【0021】
ライトガイド25は、外側から溝16の中に設置される。それは、コア26およびコアを包囲するクラッド27を有し、クラッドの材料は、コアよりも低い屈折率を有する。ライトガイド25は、透明な接着剤28によって溝16内に固定される。外側では、カテーテルは、透明なカバーホース29によって覆われる。
【0022】
出力結合部分において、冷却チャネル20、21には、互いに向かって集まり外側へ冷却ジェットを押し出す、排出穴35、36が設けられている。排出穴は、互いに対して鋭角で延在する。それらは、冷却ジェットを熱放射の標的領域に作用させる。排出穴は、カバーハウスにおいて対応する開口を有する。
【0023】
ライトガイド25は、まず、出力結合部分13において、小さな穴の形態で開口40を作ることによって、カテーテルの外側で機械加工される。穴は、集束させたレーザビームによってクラッドの材料に熱的に焼付けられる。このようにして調整されたライトガイドは、カテーテル本体部15の側面溝16の中に設置され、次に、接着剤28によって固定される。その後、カバーホース29が適用される。
【0024】
ライトガイドのクラッドにおける開口40は、カテーテル本体部15の中央軸に対して半径方向外側に向けられている。接着剤28は分散粒子を含む。放射が体内組織に作用する焦点42に、放射が焦点を合わせられるように、ライトガイドのコア26から脱する放射は、粒子にて散乱され、反射層17によって屈折される。
【0025】
図3は、出力結合部分の長さに沿う、ライトガイド25の長手方向における開口40のアレンジメントを図示する。位置Aは近位端を示し、位置Bは出力結合部分13の遠位端を示す。可能な限り均一である、側面方向に脱するエネルギーの分散を達成するために、出力結合断面は、遠位端に向かって拡大する必要がある。
【0026】
ライトガイド25のクラッド27における開口40は、対応するレーザビームを用いて熱的に形成された、直径75μmの穴である。開口40は、サイズが均一である。それらはすべて同じ直径を有する。開口40はすべて、線形配列で配置されている。それらは、群45に組み合わせられる。群45の開口の数は変化する。それは、近位端Aから遠位端Bに向かって増加する。第1群は、ただ1つの開口によって形成されることが明らかである。その後、群は更に大きくなる、即ち、それらはより多くの開口を含む。群内の開口は、ほぼ等間隔である。それらは、ちょうど融合しないように配置される。群45は、相隔てられている。ここでは、その距離が400μmである。従って、群間の距離は、出力結合部分に沿って一定である。
【0027】
図4は、一連の群45a、45b、45cの拡大図である。ここでは、群の最後の開口が、融合穴46に組み合わせられる。融合穴は、2つの穴の重複によって形成され、群45aと群45bとでは重複の程度が異なる。尚、ここでは、群間の距離が400μmである。2つの開口を融合させることによって、群の断面全体を微細な等級付けで変化させる。このようにして、断面全体は、群45aから群45bを経て群45cに向かって、ある程度連続的に増加する。融合穴46は、それぞれの群の遠位端に位置付けられる。
【0028】
本発明は、均一な開口として開口を形成するのを可能にし、排出断面の変化のための変動するパラメータは、開口の線形配置である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部コア(26)および該コアを包囲するクラッド(27)を有して成る細長いライトガイド(25)を有するレーザアプリケータであって、該クラッドは、出力結合部分(13)において一連の開口(40)を有するレーザアプリケータであり、
該開口(40)は、サイズが均一であり、かつ相互に間隔を空けた群(45)に組み合わせられ、開口の数は、遠位端に向かって1つの群から次の群へと増加する
ことを特徴とするレーザアプリケータ。
【請求項2】
群内の開口(40)は、直線に沿って配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザアプリケータ。
【請求項3】
群(45)の開口(40)は、開口の直径よりも小さな距離によって互いに間隔を空けていることを特徴とする、請求項1または請求項2のレーザアプリケータ。
【請求項4】
群の少なくとも2つの開口は一部で重なり、それによって、融合穴(46)が形成されることを特徴とする、請求項1〜請求項3の1つのレーザアプリケータ。
【請求項5】
融合穴の表面が、遠位方向において増加するように、重複の程度は、遠位端(B)に向かって1つの群から次の群へと減少することを特徴とする、請求項4のレーザアプリケータ。
【請求項6】
融合穴(46)は、それぞれの群(45a、45b)の遠位端に配置されていることを特徴とする、請求項4または請求項5のレーザアプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−510084(P2012−510084A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537966(P2011−537966)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065822
【国際公開番号】WO2010/060924
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(511122259)フィメコン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】VIMECON GMBH
【Fターム(参考)】