説明

レーザダイオード光ダイレクト発生装置

【課題】所要の脱毛やしみ取が皮膚に火傷等の損傷を生じさせることなく安全に、効率よく行え、また、複雑で大きく重いコスト高のQスイッチ方式も大容量で高価なレーザダイオードも要せずして、小容量で安価なレーザダイオードを用いて、簡単な構造で、小型軽量で、使用が容易な低コストのレーザ発生装置を実現できるようにする。
【解決手段】先端にレーザ射出口9を有するケーシングの内部に、レーザ光を射出するレーザダイオード19を装備させて成るレーザ光発生装置において、上記レーザダイオード19にサブミクロン秒の短パルスで高ピークのレーザ光を発生させる高速ドライバ装置4をそのレーザダイオード19に近接させて配して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Qスイッチ方式によらないレーザ光の発生、照射の装置であって、美容等のための脱毛やしみ取に適した安全で容易に使用できる簡単な構造で小型軽量のレーザダイオード光ダイレクト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ光の発振形式には、CW(連続波)パルス、単一パルスなどのものがあり、1μs以下の短パルスで高ピークのレーザ光を発生させる場合、通常、Qスイッチ法が用いられているが、Qスイッチ法でのレーザ発生装置は、構造が複雑で、大きくなり、重くなって、人間が片手で持って使用するようにすることは容易ではない。
【0003】
ところで、レーザ光を利用した従来の脱毛装置に、小さいスポット径で照射するレーザ光を軸方向が90度異なる第1と第2の二つの調整型可傾式ミラーで順次に反射させることにより座標軸X軸方向及びY軸方向に走査させ、かつ、その照射状態を画像センサで検出してレーザ光の照射を目標位置に適合させるようにしたものがある(特許文献1)。しかし、レーザ光のパルス幅を1ms乃至100msとかなり大きくしており(レーザ源の具体的構造は明瞭に示されていない。)、操作上のミスなどで同一箇所へのレーザ光の照射が重複したり照射時間が長くなったりすれば、皮膚に炎症や火傷を生じる危険性がある。更に、レーザ光の不意の照射を防止する手段が無いので、この点での安全性に問題があり、しかも、構造が複雑で、大型化し、重量が大きくなるために、片手に持って長時間の作業をするには甚だ困難を伴い、人体の窪んでいる箇所等では使用し難い欠点もある。
【0004】
また、他のこの種の脱毛装置に、ケーシングの内部にミラー面を有する一つのポリゴンモータ若しくは電磁石駆動式振動板を配し、或いは、軸方向が90度異なる第1と第2の二つのポリゴンモータ若しくは電磁石駆動式振動板を配し、或いは、レーザダイオード自体をクランク機構でX軸方向に往復させるようにした走査手段を配し、或いはまた、光ファイバを束ねて内装するとともに、これらの光ファイバの後端部に外部のレーザ光走査装置を対向させることにより光学的走査手段を講じることでレーザダイオードから発するレーザ光を光学的に座標軸X軸方向照射するようにし、もって、一度に複数本の体毛にレーザ光を照射して脱毛作業を効率よく行えるようにしたものがある(特許文献2)。しかし、レーザ光のパルス幅やピークパワー等につき如何なる特性のレーザ光を用いるのかについては何ら示されておらず、場合によっては皮膚に炎症や火傷を生じる危険性があり、操作上のミスなどで同一箇所に強力なレーザ光の照射があったり照射時間が長引いたりしても皮膚に炎症や火傷を生じる危険性がある。勿論、この場合もレーザ光の不意の照射を防止する手段が無くて安全性に問題がある。しかも、レーザ源のレーザダイオードはドライバ装置と離間しているためにいわゆるパルス電流の鈍りが多くなって短パルスで高ピークなレーザ光が得られない欠点もある。
【0005】
その他、ケーシングのレーザ射出口の周りにインターロックセンサを装備させて、使用時にそのインターロックセンサが人体皮膚表面に押し当てられていればレーザ光発生装置が作動され、離間すればその作動が自動的に阻止されるようにしたものがある(特許文献3、特許文献4)。しかし、これらのインターロックセンサは圧力スイッチ方式を採用しているため、先端が押し込まれてレーザ光の照射距離や照射位置が変動し、安定した良好な照射が得られない欠点がある。
【0006】
【特許文献1】特表2002−541906号公報
【特許文献2】特開2003−174922号公報
【特許文献3】特開2003−126276号公報
【特許文献4】特開2001-327323号公報
【0007】
換言すれば、今日、多くのレーザ光発生装置が開発されているが、レーザダイオードをレーザ源とする小型のもので、サブミクロン秒の短パルスで高ピークなレーザ光を発生させるようにしたものも、そのサブミクロン秒の短パルスで高ピークなレーザ光をオートスキャンニング装置により広い範囲(2mm乃至10mm角程度)に均一にかつ安全に連続照射させるようにしたものも見当たらず、勿論、レーザ源の上記レーザダイオードと該レーザダイオードにサブミクロン秒の短パルスで高ピークなレーザ光を発生させる高速ドライバと上記オートスキャンニング装置とをいわゆるパルス電流の鈍りが少ない状態に効率良くまとめたものも見当たらない。
【0008】
更には、手動のスタートストップスイッチだけではレーザ光が不意に射出される可能性があるため、人体皮膚表面に接触したことを検知して接触態勢においてのみレーザ光が射出されるようにすることが安全上必要であり、そのレーザ光の照射に距離や位置の変動が生じないようにして安定した良好な照射が得られるようにする必要もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来のそれらの不具合などを解決しようとするものであり、複雑で大きく重いコスト高のQスイッチ方式によらずに、小容量で安価なレーザダイオードを用いるとともに、該レーザダイオードに小型化した高速ドライバ装置を用いることにより、サブミクロン秒の短パルスで高ピークなレーザ光の発生を可能にして、そのレーザ源のレーザダイオードと、該レーザダイオード用の小型化した高速ドライバ装置と、そのレーザ光のオートスキャンニング装置とを効率よく配備させることによりレーザ発生装置の小型軽量化、操作性向上等を図り、また、人体皮膚表面に接触したことを検知してその接触態勢においてのみレーザ光の射出を可能にするインターロックセンサ装置若しくは目標位置へのレーザ光の照射状態を検出する光学的電子的検出手段を持たせることで、レーザ光を皮膚のメラミン色素に安全に吸収させることを可能にしようとするものであり、総じて、レーザ発生装置を安価な製造コストで容易に実現できるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる観点から、本発明の請求項1のレーザダイオード光ダイレクト発生装置は、先端にレーザ射出口を有するケーシングの内部に、レーザ光を射出するレーザダイオードを装備させて成るレーザ光発生装置において、上記レーザダイオードにサブミクロン秒の短パルスで高ピークなレーザ光を発生させる高速ドライバ装置をそのレーザダイオードに近接させて配したことを特徴とする。
【0011】
請求項2は、請求項1に記載したレーザダイオード光ダイレクト発生装置にあって、上記ケーシングの内部に、上記レーザ光を広い範囲に均一にかつ連続的に照射させるオートスキャンニング装置を装備させるとともに、上記レーザ射出口の外縁部に、人体皮膚表面に接触しない限り上記高速ドライバ装置の作動を阻止するインターロックセンサ装置を装備させ、また、上記ケーシングの適所に、外部から操作できるスタートストップスイッチを設け、該スタートストップスイッチを介して外部の電源装置から上記高速ドライバ装置へと給電するよう構成して成る。
【0012】
請求項3は、請求項2に記載したレーザダイオード光ダイレクト発生装置にあって、上記高速ドライバ装置は、上記レーザダイオードに隣接させて設けたレーザ電源部を該レーザ電源部の近くに配したCPU部により電気的に制御するよう構成するとともに、該CPU部により上記オートスキャンニング装置も一定の関連で電気的に制御するよう構成し、かつ、そのCPU部を上記インターロックセンサ装置により電気的に制御するよう構成して成る。
【0013】
請求項4は、請求項1に記載したレーザダイオード光ダイレクト発生装置にあって、上記ケーシングの内部には、上記レーザ光を広い範囲に均一にかつ連続的に照射させるオートスキャンニング装置を装備させるとともに、そのレーザ光の照射状態を検出する光学的電子的検出装置を装備させ、また、上記レーザ射出口の外縁部に照明手段を講じて成る。
【0014】
請求項5は、請求項4に記載したレーザダイオード光ダイレクト発生装置にあって、上記レーザダイオード光ダイレクト発生装置をヘッド装置と制御装置とに二分し、該ヘッド装置では、上記レーザ射出口を供えた当該ヘッド装置用ケーシングの内部に、上記レーザダイオードと、該レーザダイオードに近接させた上記高速ドライバ装置のレーザ電源部と、上記オートスキャンニング装置の駆動鏡と、上記光学的電子的検出装置とをそれぞれ配備させ、また、上記制御装置では、当該制御装置用ケーシングの内部に、中央制御部と、上記駆動鏡を電気的に制御する駆動制御部とを配備させるとともに、その中央制御部により上記レーザ電源部及び駆動制御部を電気的に制御するよう構成し、更に、上記制御装置用ケーシングの適所に、外部から操作できるスタートストップスイッチを設けて、該スタートストップスイッチにより上記中央制御部に作動停止動作を与えるよう構成して成る。
【0015】
請求項6は、請求項5に記載したレーザダイオード光ダイレクト発生装置にあって、上記ヘッド装置用ケーシングのレーザ射出口の外縁部に、人体皮膚表面に接触しない限り上記高速ドライバ装置の作動を阻止するインターロックセンサ装置を装備させて成る。
【0016】
請求項7は、請求項2、請求項3又は請求項6に記載したレーザダイオード光ダイレクト発生装置にあって、上記インターロックセンサ装置を微小電気的接触スイッチ方式として成る。
【0017】
請求項8は、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7に記載したレーザダイオード光ダイレクト発生装置にあって、上記オートスキャンニング装置を電磁コイル方式として成る。
【0018】
また、請求項9は、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7に記載したレーザダイオード光ダイレクト発生装置にあって、上記オートスキャンニング装置を機械カム方式として成る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発明が解決しようとする課題の項で述べた各種不具合などを解決できて、所要の脱毛やしみ取が皮膚に火傷等の損傷を生じさせることなく安全に、効率よく行え、また、複雑で大きく重いコスト高のQスイッチ方式も大容量で高価なレーザダイオードも要せず、小容量で安価なレーザダイオードを用いて、簡単な構造で、小型軽量で、使用が容易な低コストのレーザ発生装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態は、レーザダイオードによるレーザ光を、周波数16kHz内外、パルス幅1μs以下程度で、ピークパワー25W内外、ピークエネルギー25μJ内外、平均パワー0.4W内外の短パルスにし、これを更にスポット径0.1mm乃至0.3mm程度に集光して微細レーザ光すなわちスポットレーザ光にし、このスポットレーザ光を0.02mmから0.08mm間隔で座標軸X軸方向及びY軸方向に往復走査させるか、又は、そのスポットレーザ光に換えて長さ2mm乃至10mm程度のラインレーザ光で、これを幅2mm乃至10mm程度に座標軸X軸方向に往復走査させることによって、2mm乃至10mm角程度のスクエアレーザ光にして照射させる。
【実施例1】
【0021】
図1乃至図3は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項7、請求項8及び請求項9のレーザダイオード光ダイレクト発生装置に係る実施例を示すものであり、以下、これを詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、レーザダイオード光ダイレクト発生装置1は、外部の電源装置7と給電ケーブル6を介して接続され、該電源装置7は、家庭用交流電源より供給された交流を適値の直流電流に変換して給電ケーブル6を介してレーザダイオード光ダイレクト発生装置1に供給する。
【0023】
図1、図2に示すように、レーザダイオード光ダイレクト発生装置1は、先端にレーザ射出口9を有して片手の掌で把持できるよう形成されたケーシング20の内部に、所要のレーザ光を射出するレーザダイオード装置3と、該レーザダイオード装置3に近接させたレーザダイオード装置用高速ドライバ装置4と、そのレーザダイオード装置3からレーザ射出口9を通じて外部へと射出されるレーザ光を座標軸X軸方向及びY軸方向に走査させるオートスキャンニング装置2とがそれぞれ装備され、ケーシング20の適所に、高速ドライバ装置4に電源装置7から給電される適値の直流電源電流を外部からの手動でON・OFFさせるスタートストップスイッチ5が装備され、レーザ射出口9に、レーザ光の走査用レンズ17が装備され、かつ、レーザ射出口9の外縁部に、人体皮膚表面に接触しない限り高速ドライバ装置4の作動を電気的に阻止するインターロックセンサ装置8が装備されている。
【0024】
図3に示すように、レーザダイオード装置3は、高速ドライバ装置4による制御の下にレーザ光を射出するレーザダイオード19と、そのレーザ光のための焦点距離調整用レンズ18とから成り、その高速ドライバ装置4は、レーザダイオード19の直近に配されてレーザダイオード19に所要の短パルスで高ピークな微細レーザ光すなわちスポットレーザ光を放出させるレーザ電源部16と、該レーザ電源部16を制御するCPU部12とから成る。また、該CPU部12は、レーザ電源部16に対するパルス幅制御部13及び周波数制御部14と、スタートストップスイッチ5並びにインターロックセンサ装置8によりON・OFFされてレーザ電源部16、周波数制御部13、パルス幅制御部14及びオートスキャンニング装置2をON・OFF制御するセンサ制御/スイッチ部15とから成る。
【0025】
オートスキャンニング装置2は、レーザダイオード装置3から射出されるレーザ光を座標軸X軸方向及びY軸方向に往復走査(図5参照)させる電磁コイル式駆動部10と、レーザ光の走査用レンズ17と、電磁コイル式駆動部10を制御する電磁コイル式駆動制御部11とから成り、オートスキャンニング装置2における上記センサ制御/スイッチ部15によるON・OFF制御は、電磁コイル式駆動制御部11で行われるよう構成されている。なお、オートスキャンニング装置2は、ピエゾ(圧電)式駆動、機械カム式駆動のものであってもよく、これらには適合する駆動部と駆動制御部を設ける。
【0026】
図1乃至図3に示すインターロックセンサ装置8は、機械的な動きを伴わないで、レーザ光の照射に距離や位置の変動を生じない安定かつ良好な照射が得られる微小電気的接触スイッチ方式にしている。
【0027】
そして、高速ドライバ装置4において、レーザ電源部16に外部の電源装置7から適値の直流電流を投入し、これにCPU部12の周波数制御部14による制御で16kHz内外の周波数を与えるとともに、パルス幅制御部13による制御で1μs以下程度のパルス幅を与えて(図4参照)、その周波数及びパルス幅での最大30Aのパルス電流を生じさせ、このパルス電流をレーザダイオード装置3のレーザダイオード19に供給して該レーザダイオード19を点灯させることにより該レーザダイオード19からピークパワー25W、ピークエネルギー25μJ、平均パワー0.4W内外の短パルスのレーザ光を出力させ、これを焦点距離調整用レンズ18により集光してスポット径0.1mm乃至0.3mm程度の短パルスの微細レーザ光すなわちスポットレーザ光を得、更に、スキャンニング装置2において、電磁コイル式駆動制御部11により制御される電磁コイル式駆動部10の作動でそのスポットレーザ光を2mm乃至10mm角程度の範囲に座標軸X軸方向及びY軸方向に0.02mmから0.08mmの間隔で往復走査させて(図5参照)、スクエアレーザ光としてレーザ射出口9から外部へと射出させるようにしている。
【0028】
使用に当っては、当該レーザダイオード光ダイレクト発生装置1のケーシング20を掌で把持し、先端の微小電気的接触スイッチ方式のインターロックセンサ装置8を皮膚面に当接させ、かつ、レーザ射出口9をその皮膚面の脱毛やシミ取をすべき処理箇所に対峙させて、スタートストップスイッチ5をONさせる。この時、皮膚面に当接された微小電気的接触スイッチ方式のインターロックセンサ装置8は、その当接に伴って電気信号を発し、この電気信号により高速ドライバ装置4においてCPU部12が作動してレーザ電源部16が働き、かつ、レーザダイオード装置3及びオートスキャンニング装置2が作動して上述のスクエアレーザ光が生じ、このスクエアレーザ光がレーザ射出口9から外部へと射出される。なお、レーザ射出口9をその処理箇所の状況に応じて適宜に移動させる必要がある。
【0029】
そして、高速ドライバ装置4のレーザ電源部16がレーザダイオード装置3のレーザダイオード19の直近に配されているので、相互間がパルス電流の鈍りが少ない状態に効率良くまとめられて、レーザダイオード装置3においてはレーザダイオード19が小電力の安価なものであっても該レーザダイオード19から短パルスで高ピークのレーザ光の放出が得られるとともに、このレーザ光が焦点距離調整用レンズ18により集光されて、レーザダイオード装置3からは所要の短パルスで高ピークなスポットレーザ光を効率良く射出させることができ、このスポットレーザ光がオートスキャンニング装置2により座標軸X軸方向及びY軸方向に往復走査されて、上述のスクエアレーザ光が得られ、このスクエアレーザ光が走査用レンズ17を経てレーザ射出口9から皮膚の脱毛やシミ取の処理箇所へと照射される。このスクエアレーザ光は、皮膚のメラニン色素のある場所においてそのメラニン色素に効率よく吸収させることができ、かつ、人間の目に赤く見える波長800nm付近のレーザ光として照射させることができることとなる。つまり、パルス幅を1μs以下に短くすることによって、投入電流30Aでの高ピークのレーザ光を照射してもメラニン色素からある程度離れた位置にある組織が熱伝導のために過剰に熱せられることはなく、しかも、そのレーザ光は微小電気的接触スイッチ方式のインターロックセンサ装置8により照射距離や位置の変動もなく安定かつ良好に照射させることができて、皮膚に火傷等の損傷を生じさせることはなく、所要の脱毛やしみ取が効率よく安全に行える。また、短パルスであるからレーザダイオードに大電流を流しても端面の温度上昇に至らないため、大容量で高価なレーザダイオードも複雑で大きく重いコスト高のQスイッチ方式も用いる必要はなく、小容量で安価なレーザダイオードを支障なく用いることができるから、簡単な構造で、小型軽量で、使用が容易な低コストのレーザ発生装置を実現できる。
【0030】
使用中に何らかの理由でレーザダイオード光ダイレクト発生装置1が人体から離れたときは、インターロックセンサ装置8が皮膚面から離間して、該インターロックセンサ装置8からの電気信号が止まるので、高速ドライバ装置4及びオートスキャンニング装置2が止まり、レーザダイオード光ダイレクト発生装置1が全体的に休止態勢になる。したがって、スクエアレーザ光の射出も止まって、安全性を確保できる。
【実施例2】
【0031】
実施例2は、実施例1におけるスポットレーザ光をラインレーザ光としたものであり、長さ2mm乃至10mm程度のラインレーザ光を幅2mm乃至10mm程度に座標軸X軸方向に往復走査させることにより2mm乃至10mm角程度のスクエアレーザ光を得、該スクエアレーザ光をレーザ射出口から照射させる。この場合、実施例1の電磁コイル式駆動部10において座標軸Y軸方向への走査手段を要しない。
【実施例3】
【0032】
次に、図6は、請求項1、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8及び請求項9のレーザダイオード光ダイレクト発生装置に係る実施例を示すものであり、以下、これを詳細に説明する。
【0033】
図6に示すように、レーザダイオード光ダイレクト発生装置21は、片手の掌に把持して操作するヘッド装置22と該ヘッド装置22を電気的に制御する制御装置23との二体から成る。
【0034】
ヘッド装置22では、先端にレーザ射出口(実施例1参照)を有して片手の掌で把持できるよう形成されたヘッド装置用ケーシング24の内部に、レーザ光を射出するレーザダイオード装置(実施例1参照)のレーザダイオード25と、該レーザダイオード25に近接させた高速ドライバ装置(実施例1参照)のレーザ電源部26と、レーザダイオード25から放出されるレーザ光を座標軸X軸方向及びY軸方向に往復走査させるオートスキャンニング装置(実施例1参照)としての機械カム式駆動鏡27と、該機械カム式駆動鏡27からのレーザ光を直角に方向変換させる映像透過性固定反射鏡28と、該映像透過性固定反射鏡28を透して上記レーザ射出口から入る映像を電気信号に変換する光学的電子的検出装置29とがそれぞれ配備され、更に、上記レーザ射出口に、射出レーザ光のための焦点距離調整用レンズ30が配され、かつ、そのレーザ射出口の外縁部に、照明装置の照明用LED31が配されている。なお、該照明用LED31をその他の照明灯にしてもよく、この場合には下記LED電源部35に換えて相応の照明灯用電源部を用いればよい。また、上記レーザ射出口の外縁部に実施例1に示す微小電気的接触スイッチ方式等のインターロックセンサを配して、該インターロックセンサからの電気信号により実施例1の場合と同様にして制御装置23がON・OFFされるようにしてもよい。
【0035】
制御装置23では、当該制御装置用ケーシング32の内部に、レーザ電源部26へとリード線36を介して連ねた上記高速ドライバ装置の中央制御部33と、機械カム式駆動鏡27へとリード線37を介して連ねた機械カム式駆動制御部34と、照明用LED31へとリード線38を介して連ねたLED電源部35とがそれぞれ配備されて、その中央制御部33によりレーザ電源部26並びにそれらの機械カム式駆動制御部34及びLED電源部35が電気的に制御されるよう回路構成され、かつ、制御装置用ケーシング32の適所に、外部から操作できるスタートストップスイッチ39及び電源スイッチ40が配されて、そのスタートストップスイッチ39のON・OFFにより中央制御部33に始動停止動作を与えるよう回路構成されている。また、制御装置用ケーシング32の内部には、電源スイッチ40が配され、該電源スイッチ40のONに伴い該電源スイッチ40を介して受電した家庭用商用交流を適値の直流電流に変換して出力する電源装置41が内装されて、その直流出力電流が給電ケーブル42,43を介してレーザ電源部26及び光学的電子的検出装置29(下記カメラ部45)に給電されるよう回路構成されている。
【0036】
機械カム式駆動鏡27は、レーザダイオード25から放出されて焦点距離調整用レンズ30により集光された短パルスの微細レーザ光すなわちスポットレーザ光を座標軸X軸方向に偏向させるX軸駆動鏡27xと、それを更に座標軸Y軸方向に偏向させるY軸駆動鏡27yとから成る。なお、この機械カム式駆動鏡27は、電磁コイル式駆動鏡、ピエゾ(圧電)式駆動鏡等であってもよく、これらの駆動鏡の場合には、上記機械カム式駆動制御部34に換えてその駆動鏡に適した駆動制御部を用いればよい。
【0037】
また、光学的電子的検出装置29は、映像を受け入れる映像集光用レンズ44と、該映像集光用レンズ44を経た映像を電気信号に変換して出力するカメラ部45とから成る。該カメラ部45からの映像出力信号は、外部のモニタ46に送って画像化させ、これを観察する。なお、カメラ部45は、小型のCCD、CMOSカメラ等から成るものがよい。
【0038】
中央制御部33は、レーザ電源部26に対するパルス幅制御部47及び周波数制御部48と、スタートストップスイッチ39によりON・OFFされてレーザ電源部26、パルス幅制御部47、周波数制御部48及びオートスキャンニング装置を電気的にON・OFF制御する制御/スイッチ部49とから成る。なお、この中央制御部33は、CPUにより構成されたものでもよい。
【0039】
そして、実施例1の場合と同様に、電源装置41からレーザ電源部26に適値な直流電流を供給し、中央制御部33の周波数制御部48とパルス幅制御部47とによりそのレーザ電源部26を制御して、該レーザ電源部26において周波数16kHz内外、パルス幅1μs以下(図4参照)、最大電流30Aのパルス電流を生じさせ、次いで、このパルス電流でレーザダイオード25を点灯させて、該レーザダイオード25からピークパワー25W、ピークエネルギー25μJ、平均パワー0.4W内外の短パルスのレーザ光を出力させ、これを焦点距離調整用レンズ30により集光してスポット径0.1mm乃至0.3mm程度の短パルスのスポットレーザ光を得、更に、オートスキャンニング装置の機械カム式駆動制御部34によって電気的に制御される機械カム式駆動鏡27において、X軸駆動鏡27x及びY軸駆動鏡27yによりそのスポットレーザ光を2mm乃至10mm角程度の範囲に、ゆっくりと座標軸X軸方向及びY軸方向に往復走査させてスクエアレーザ光を得、このスクエアレーザ光をレーザ射出口から外部へと射出させるようにしている。
【0040】
使用に当っては、当該レーザダイオード光ダイレクト発生装置21のヘッド装置用ケーシング24を掌で把持し、先端のレーザ射出口を脱毛若しくはシミ取する皮膚面の処理箇所に当接させて、スタートストップスイッチ39をONさせる。これにより中央制御部33が作動してレーザ電源部26及びレーザダイオード25が働き、該レーザダイオード25から短パルスのスポットレーザ光が放出されると同時に、機械カム式駆動鏡27が作動してそのスポットレーザ光がX軸駆動鏡27x及びY軸駆動鏡27yにより座標軸X軸方向及びY軸方向に往復走査され、レーザ射出口から上述のスクエアレーザ光として射出される。また、その際、LED電源部35により照明用LED31が点灯されて、処理箇所が照明されるとともに、その処理箇所の映像が映像透過性固定反射板28を透って光学的電子的検出装置29に入り、該光学的電子的検出装置29においてその処理箇所の映像が映像集光用レンズ44により集光されてカメラ部45で映像信号に変換される。このカメラ部45からの映像出力信号は、外部のモニタ46に送って画像化させ、この画像で処理位置、処理状況等を確認しながら脱毛若しくはシミ取を行う。この処理位置、処理状況等の確認手段の存在によりレーザ光を照射距離や位置の変動もなく安定かつ良好に射出させることができるので、実施例1におけるインターロックセンサ装置8を省略できる。したがって、この実施例3の場合も実施例1の場合と同様の効果を奏する。なお、この実施例3の場合も実施例1の場合と同様に皮膚面の処理箇所の状況に応じてレーザ射出口を移動させる必要がある。
【実施例4】
【0041】
実施例4は、実施例3におけるスポットレーザ光をラインレーザ光としたものであり、長さ2mm乃至10mm程度のラインレーザ光を機械カム式駆動鏡27中のX軸駆動鏡27xにより幅2mm乃至10mm程度に座標軸X軸方向に往復走査させることで2mm乃至10mm角程度のスクエアレーザ光を得、該スクエアレーザ光をレーザ射出口から照射させる。この場合、実施例3において座標軸Y軸方向に走査させている機械カム式駆動鏡27中のY軸駆動鏡27yを要しない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のレーザダイオード光ダイレクト発生装置は、美容だけでなく医療の分野でも使用でき、歯科医療、動物医療に加えて金属マーキング等の各種の分野にも広く応用が可能である。
【0043】
上述の実施例1及び実施例2のレーザダイオード光ダイレクト発生装置1は、簡易型として、また、上述の実施例3及び実施例4のレーザダイオード光ダイレクト発生装置21は、業務用として使用するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るレーザダイオード光ダイレクト発生装置の実施例1を示す構成要領説明図である。
【図2】同実施例1を示す装置先端面の構成要領説明図である。
【図3】同実施例1を示す電気回路のブロック図である。
【図4】同実施例1のパルス電流波形図である。
【図5】同実施例1のレーザ光走査波形図である。
【図6】本発明に係るレーザダイオード光ダイレクト発生装置の実施例3を示す電気回路のブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1 レーザダイオード光ダイレクト発生装置
2 オートスキャンニング装置
3 レーザダイオード装置
4 高速ドライバ装置
5 スタートストップスイッチ
6 給電ケーブル
7 電源装置
8 インターロックセンサ装置
9 レーザ射出口
10 電磁コイル式駆動部
11 電磁コイル式駆動制御部
12 CPU部
13 パルス幅制御部
14 周波数制御部
15 センサ制御/スイッチ部
16 レーザ電源部
17 走査用レンズ
18 焦点距離調整用レンズ
19 レーザダイオード
20 ケーシング
21 レーザダイオード光ダイレクト発生装置
22 ヘッド装置
23 制御装置
24 ヘッド装置用ケーシング
25 レーザダイオード
26 レーザ電源部
27 機械カム式駆動鏡
27x X軸駆動鏡
27y Y軸駆動鏡
28 映像透過性固定反射鏡
29 光学的電子的検出装置
30 焦点距離調整用レンズ
31 照明用LED
32 制御装置用ケーシング
33 中央制御部
34 機械カム式駆動制御部
35 LED電源部
36,37,38 リード線
39 スタートストップスイッチ
40 電源スイッチ
41 電源装置
42,43 給電ケーブル
44 映像集光用レンズ
45 カメラ部
46 モニタ
47 パルス幅制御部
48 周波数制御部
49 制御/スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にレーザ射出口を有するケーシングの内部に、レーザ光を射出するレーザダイオードを装備させて成るレーザ光発生装置において、上記レーザダイオードにサブミクロン秒の短パルスで高ピークのレーザ光を発生させる高速ドライバ装置をそのレーザダイオードに近接させて配したことを特徴とするレーザダイオード光ダイレクト発生装置。
【請求項2】
上記ケーシングの内部に、上記レーザ光を広い範囲に均一にかつ連続的に照射させるオートスキャンニング装置を装備させるとともに、上記レーザ射出口の外縁部に、人体皮膚表面に接触しない限り上記高速ドライバ装置の作動を阻止するインターロックセンサ装置を装備させ、また、上記ケーシングの適所に、外部から操作できるスタートストップスイッチを設け、該スタートストップスイッチを介して外部の電源装置から上記高速ドライバ装置へと給電するよう構成した請求項1記載のレーザダイオード光ダイレクト発生装置。
【請求項3】
上記高速ドライバ装置は、上記レーザダイオードに隣接させて設けたレーザ電源部を該レーザ電源部の近くに配したCPU部により電気的に制御するよう構成するとともに、該CPU部により上記オートスキャンニング装置も一定の関連で電気的に制御するよう構成し、かつ、そのCPU部を上記インターロックセンサ装置により電気的に制御するよう構成した請求項2記載のレーザダイオード光ダイレクト発生装置。
【請求項4】
上記ケーシングの内部には、上記レーザ光を広い範囲に均一にかつ連続的に照射させるオートスキャンニング装置を装備させるとともに、そのレーザ光の照射状態を検出する光学的電子的検出装置を装備させ、また、上記レーザ射出口の外縁部に照明手段を講じた請求項1記載のレーザダイオード光ダイレクト発生装置。
【請求項5】
上記レーザダイオード光ダイレクト発生装置をヘッド装置と制御装置とに二分し、該ヘッド装置では、上記レーザ射出口を供えた当該ヘッド装置用ケーシングの内部に、上記レーザダイオードと、該レーザダイオードに近接させた上記高速ドライバ装置のレーザ電源部と、上記オートスキャンニング装置の駆動鏡と、上記光学的電子的検出装置とをそれぞれ配備させ、また、上記制御装置では、当該制御装置用ケーシングの内部に、中央制御部と、上記駆動鏡を電気的に制御する駆動制御部とを配備させるとともに、その中央制御部により上記レーザ電源部及び駆動制御部を電気的に制御するよう構成し、更に、上記制御装置用ケーシングの適所に、外部から操作できるスタートストップスイッチを設けて、該スタートストップスイッチにより上記中央制御部に作動停止動作を与えるよう構成した請求項4記載のレーザダイオード光ダイレクト発生装置。
【請求項6】
上記ヘッド装置用ケーシングのレーザ射出口の外縁部に、人体皮膚表面に接触しない限り上記高速ドライバ装置の作動を阻止するインターロックセンサ装置を装備させた請求項5記載のレーザダイオード光ダイレクト発生装置。
【請求項7】
上記インターロックセンサ装置を微小電気的接触スイッチ方式とした請求項2、請求項3又は請求項6記載のレーザダイオード光ダイレクト発生装置。
【請求項8】
上記オートスキャンニング装置を電磁コイル方式とした請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7記載のレーザダイオード光ダイレクト発生装置。
【請求項9】
上記オートスキャンニング装置を機械カム方式とした請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6又は請求項7記載のレーザダイオード光ダイレクト発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−103654(P2008−103654A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355450(P2006−355450)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(592042543)株式会社ユニタック (3)
【Fターム(参考)】