説明

レーザー穿刺装置

【課題】レーザービームの照射による穿刺孔を最小限の大きさにし、かつ安定した採血をすることができるレーザー穿刺装置を提供する。
【解決手段】レーザー発振素子と、前記レーザー発振素子を励起するための光源とを含むレーザー穿刺装置において、前記レーザー発振素子から被照射面に照射されるレーザービームの照射形状を略矩形とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用に用いられるレーザー穿刺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、採血を行うための穿刺装置としては、金属針を用いるものが広く利用されている。この方法では、人の指先、手のひらまたは腕の皮膚に金属針を瞬間的に穿刺する。穿刺孔から滲み出る微量の血液、または穿刺孔を絞ることによって滲み出る微量の血液を測定センサに吸引させ、上記血液の血糖値等を測定する。
しかし、採血に金属針を用いる場合、針を穿刺させることに患者が恐怖を感じたり、穿刺した金属針に付着した血液や組織によって他者への感染が起こり得る等の問題がある。
【0003】
そこで、金属針に代わる穿刺方法として、レーザー光の照射による皮膚の穿刺方法が用いられている。この方法では、皮膚の吸収係数の高い波長のレーザー光を、レンズ等の集光手段を介して皮膚に瞬間的に照射する。レーザー光の光エネルギーは、主に皮膚組織内の水分によって吸収されて熱に変換される。
レーザー光を穿刺方法に用いると、針がないことから使用者が恐怖を感じることがなく、照射条件を最適化することで痛みも減少させることができる。また、レーザー光による穿刺は非接触であることから、感染の恐れがない。
【0004】
ここで、レーザーを発振させる装置は、一般的に、レーザー発振素子と、光源とを有する。レーザー発振素子としては、例えば、特許文献1では、角型のレーザー発振素子を用いることが提案されている。
【0005】
また、医療用のレーザー穿刺装置として、特許文献2では、レーザービームを皮膚表面にピンポイントで照射し、血液を採取することが開示されており、特許文献3では、照射形状が楕円形状であるレーザービームを皮膚表面に照射し、血液を得ることが開示されている。
【特許文献1】特開昭50−38488号公報
【特許文献2】特開平4−314428号公報
【特許文献3】米国特許5839446号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、励起効率のよいレーザー・ロッドの提供を目的としているだけで、角型のレーザー発振素子からのレーザービームの照射形状や用途については、特に言及されていない。また、特許文献2および3で提案されているレーザー穿刺装置は、数ml以上の大量の血液採取を目的としているため、金属針の穿刺孔をレーザーを用いて実現するために、照射形状が楕円状のものが提案されている。
ここで、数μlという微量の血液を採取する場合や、使用者が日に何度も使用することを想定した場合には、レーザービームの照射による穿刺孔は最小限の大きさであることが好ましいが、照射形状が楕円および円形の場合には、穿刺孔が小さすぎると、穿刺後に穿刺孔周辺の組織の弾性により塞がってしまうため、安定した採血を行うことが難しい。
そこで、本願発明は、レーザービームの照射による穿刺孔を最小限の大きさにしたとしても、安定して採血をすることができるレーザー穿刺装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレーザー穿刺装置は、レーザー発振素子と、前記レーザー発振素子を励起するための光源と、を含み、前記レーザー発振素子から被照射面に照射されるレーザービームの照射形状が略矩形であること、を特徴とする。
【0008】
本発明における「略矩形」において、角部は必ずしも完全な直角である必要はなく、鋭角または鈍角であってもよい。また、角部は曲線状であってもよい。さらに、略矩形を構成する辺の長さの比も特に限定されない。全ての辺の長さが同じでもよく、それぞれの長さが異なっていてもよい。被照射面に照射されるレーザーの照射形状が略矩形であることで、照射範囲が非常に小さい場合においても、安定した採血を行うことができる。被照射面は、レーザーの照射方向(光軸)に対して略垂直であることが好ましい。
【0009】
前記レーザー発振素子のうちの、レーザービーム出射面の形状は前記照射形状と略同一であることが好ましい。
また、レーザー穿刺装置は、前記照射形状と略同一の形状を有する開口部を具備するマスクを含むことが好ましい。
【0010】
前記略矩形を構成する辺の長さLは0.05〜0.2mmであることが好ましい。
前記略矩形の角部はL/3以下の曲率半径を有することが好ましい。
【0011】
前記レーザービームは1.4〜11μmの波長を有することが好ましい。
前記レーザー発振素子は、ErをドープしたYAGを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、レーザービームの照射による穿刺孔を最小限の大きさにし、かつ安定した採血をすることができるレーザー穿刺装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、レーザー発振素子と、前記レーザー発振素子を励起するための光源と、を含むレーザー穿刺装置において、前記レーザー発振素子から被照射面に照射されるレーザービームの対する照射形状を略矩形とするものである。
【0014】
照射形状が略矩形であることで、穿刺孔が非常に小さい場合においても塞がりにくいため、安定した採血を行うことができる。
【0015】
[実施の形態1]
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明する。本発明は、これらのみに限定されるものではない。
図1は、本発明のレーザー穿刺装置の好適な実施の形態1を示す概略図である。また、図4は、図1に示すレーザー穿刺装置のレーザー発振素子から被照射面に照射されるレーザービームの照射形状を示す図である。まず、出射面の形状が略矩形であるレーザー発振素子を用いて、照射されるレーザー照射形状を図4に示す略矩形とする場合について、図1に示すレーザー穿刺装置の構成を説明する。
【0016】
図1に示すレーザー穿刺装置は、円筒状のランプハウス7の中空に、レーザー発振素子1と、レーザー発振素子1を励起する光源であるフラッシュランプ3と、ミラー膜5とを有する。レーザー発振素子1は、ランプハウス7の中空の一方の焦点位置に設置されている。レーザー発振素子1の出射面1aを含む光軸方向の両端面には、ミラー膜5が形成されている。ミラー膜5は、レーザー光共振器の役割を有する。レーザー発振素子1の光軸の出射面1a側には、集光レンズ9が設けられている。レーザー発振素子1から照射されるレーザービームは、集光レンズ9によって集光される。また、ランプハウス7の中空の他方の焦点位置には、フラッシュランプ3が設置されている。フラッシュランプ3は、電気回路(図示せず)と接続されている。電気回路は、制御回路(図示せず)と接続されている。
【0017】
フラッシュランプ3から発光された光は、ランプハウス7の楕円中空の内面で反射するかあるいは直接レーザー発振素子1の側面から入射し、レーザー発振素子1がこの光を吸収することで励起される。励起によって発生した自然放出光は、レーザー光共振器で誘導放出により増幅され、レーザー発振に至る。このとき、集光レンズ側のミラー膜5の反射率はおよそ80〜95%であり,他方のミラー膜5の反射率はおよそ98〜100%である。
【0018】
レーザー発振素子1より発振したレーザー光は、集光レンズ9により集光され集光光の焦点あるいはその近傍(例えば、最小集光サイズの二倍以下の範囲)に被照射面がくるように構成される。なお、集光レンズ9の焦点距離は5〜25mmであり、その形状は平凸型や両凸型や凸凹型(メニスカス)である。また、非球面レンズも使用可能である。大きさは、入射するレーザー光の二倍以上であることが望ましい。
【0019】
上記のレーザー穿刺装置によって照射されるレーザービームは、レーザー発振素子の出射面が略矩形であるため、被照射面に対する照射形状は略矩形となる。したがって、レーザービームを照射する際、被照射面がレーザービームの光軸に対して略垂直となるようにして、上記のレーザー穿刺装置を用いることが好ましい。
照射形状が略矩形である場合、穿刺孔周辺組織の弾性による塞がる力が不均一となるため完全には塞がりにくくなる。そのため、穿刺孔が小さくても、安定した採血を行うことができる。
【0020】
ここで、本願発明のレーザー穿刺装置によって得られる照射形状について、図4を参照しながら説明する。図4は、本願発明における略矩形の一例を示すものである。略矩形を構成する辺41の長さLは、0.05〜0.2mmであることが好ましい。Lが0.05mm以上であることで、血液中の血球成分で大きいものである赤血球(0.007〜0.008mm)や白血球(0.007〜0.018mm)によって採血が阻害されることがなく、安定した採血を行うことができる(安定した採血を行うことができる。)ため好ましい。また、穿刺による痛みは、皮膚の最表面である外皮の下の真皮にある自由神経終端への直接的な刺激に起因する。よって、穿刺の際の痛みをさらに低減するためには、穿刺孔の径(略矩形を構成する辺41の長さL)を自由神経終端の存在密度(0.1〜0.2mm間隔)以下の値とすることが好ましい。
【0021】
また、図4に示す略矩形において、角部42は完全な直角に限定されず、鋭角または鈍角であってもよい。この場合、角部42は45〜135°であることが、実効的に穿刺孔周辺組織の弾性により穿刺孔が塞がらず、安定した採血が可能であるため好ましい。
【0022】
ランプハウス7には、例えば、断面が楕円や円形である中空円筒状のものを用いることができ、例えば、金属の切削加工品や金属板やガラス管製のものが挙げられる。ランプハウス7の壁面には、フラッシュランプ3の光を反射するように金や銀、アルミなどの蒸着やメッキ処理や金属表面の電解研磨等による光沢処理加工されている。なお、ガラス管を用いた場合には、外周壁に銀のメッキ処理と銀の酸化防止処理が施される。
【0023】
レーザー発振素子1には、例えば、Erを媒質とした各種ホスト材料であるYAGやYLF、YVO、YSGG、GGGを使用することができ、Hoを媒質とした前記各種ホスト材料等を用いることができる。なかでも、Er:YAGを用いることが好ましい。レーザー発振素子1は略矩形の出射面1aを有する柱状とし、光軸方向の長さは、例えば35mmとする。また、出射面1aの寸法は、例えば、2.0mm角とする。
【0024】
フラッシュランプ3には、例えば、ミヤタエレバム製のMFT4044などの汎用スタジオ用フラッシュランプを用いることができる。
また、この電気回路には、例えば、使い捨てカメラなどで一般的に使用されているコンデンサの充放電回路を用いることができる。制御回路は、レーザー穿刺装置の動作を制御し、外部からの指示で電気回路を動作させる機能を有する。
【0025】
ミラー膜5は、集光レンズ9と反対面には反射率が99.0%以上の高反射率面が形成され、集光レンズ9側の面には反射率が80〜95%の部分透過面が形成される。ミラー膜5は屈折率の異なる2種以上の材料の多層膜で形成される。例えば、ZnSとYbFをレーザー波長に対して各層がλ/4厚となるように所望の反射率になるように交互に積層される。
【0026】
集光レンズ9には、例えば無水合成石英やCaF2などの各種フッ化物材料の、両凸、平凸、メニスカス曲面形状などを用いることができる。集光レンズ9の焦点距離は、例えば15mmとする。また、レーザー発振素子1と集光レンズ9との間の距離は、例えば20mmとする。
【0027】
レーザー発振素子1の光軸方向の長さは50mm以下であることが好ましく、30〜50mmであることで、レーザー発振器の全長を抑えることができ、小型で使用者の手に納めることが可能となるためであるためさらに好ましい。
出射面1aの寸法は、例えば1.5mm角〜2.5mm角であることで、穿刺に必要最小限の照射パターンサイズを得ることが可能となるため好ましい。
【0028】
また、レーザー発振素子1と集光レンズ9の間の距離は20mmであることが好ましく、10〜30mmであることまたは集光レンズ9の焦点距離以上で、集光レンズ9の集光位置からレーザー発振器までの全長を抑えることができ、小型で使用者の手に納めることが可能となるためさらに好ましい。
【0029】
さらに、集光レンズ9の焦点距離は25mm以下であることが好ましく、10〜25mmであることで、集光レンズ9の集光位置からレーザー発振器までの全長を抑えることが出来,小型で使用者の手に納めることが可能となるためさらに好ましい。
【0030】
レーザービームの波長は、1.4〜11μmの赤外光であることが好ましい。さらに、水のOH基の吸収係数が高い波長が好ましく、OH基の吸収ピーク帯である3μm帯が好ましい。さらに好ましくは、2.94〜2.97μmである。
【0031】
レーザービームのパルス幅は、0.02〜400μsの範囲であることが好ましい.パルス幅が1μs以下では、皮膚による光の吸収と温度上昇による加工の現象の制限から採血に必要な穿刺深さを1パルスで得ることが不可能であるため複数パルスとなる。このとき、各パルスのレーザービームのエネルギーは1パルスで除去可能な皮膚体積によるが1mJ以下であることが望ましく、これ以上のエネルギーでは不要なエネルギーが増えるだけで効率的でない。パルス幅が1μs以上では1パルスで採血に必要な穿刺深さを得ることが可能であり、レーザービームのエネルギーは10〜100mJであることが望ましい。必要なエネルギーは使用者の皮膚の厚さとレーザー光の吸収度に依存する。パルス幅が400μs以上では、照射中のレーザー光の吸収による皮膚の温度上昇が周囲に拡散してしまい、効率的な穿刺が不可能となるばかりでなく周囲の温度上昇による火傷の恐れも発生する。
【0032】
レーザー発振素子1は、ErをドープしたYAG(Er:YAG)を含むことが好ましい。Erのドープ量は40〜60(約50)%であることで、3μm帯の発振が可能となり,また比較的効率の良いレーザー発振が可能となるため好ましい。
Er:YAGの構造としては、例えば、製造方法の違いによって単結晶とセラミック(微結晶の焼結体)とが挙げられる。
【0033】
単結晶のEr:YAGは、例えば、以下のようにして得ることができる。
まず、原料であるEr(エルビウム)、Y(イットリウム)、Al(アルミ)の各酸化物を最終混合比の濃度になるよう量を調整して混合し、電気炉を用いて溶融させる。この溶融池に種結晶を接触させて、インゴットを作製する(チョクラルスキー法)。このインゴットから切り出しを行い、出射面1aとして用いる面を研削して鏡面加工を行い、ミラー膜5を形成することでレーザー発振素子1を得ることができる。
【0034】
また、セラミックEr:YAGは、例えば、原材料である微結晶Er:YAGを圧縮して成形し、真空下で高温焼結を行うことで得ることができる。この原材料は、化学反応で得られる特定組成の微結晶であるため、焼結体全体でErドープ量の分布が生じにくい。また、焼結は数時間で済むため、上記の単結晶のEr:YAGよりもさらに製造コストが小さい。さらに、単結晶と違いセラミックは成長面がないことから、全面をレーザー発振素子として用いることができるためより好ましい。
本発明のレーザー発振素子としては特に限定されないが、製造コストの面からセラミックEr:YAGを用いることがより好ましい。
【0035】
出射面1aの形状が、照射形状と略同一の略矩形である柱状のレーザー発振素子1は、例えば、セラミックEr:YAGを用いる場合、以下のようにして得ることができる。
焼結後のセラミックEr:YAGは板状体として得られる。板状体のEr:YAGのうちの、出射面1aとして用いる面に対して、研削、鏡面加工を行う。さらに、ミラー膜5の形成させた後、切断することで柱状のレーザー発振素子1を得ることができる。
【0036】
上記のように、セラミックEr:YAGは、焼結の工程およびレーザー発振素子1の切り出し加工において、コスト面で非常に優れていることから好ましい。また、Er:YAGを用いることで、波長2.94〜2.97のレーザービームを得ることができる。
【0037】
[実施の形態2]
本実施の形態のレーザー穿刺装置は、レーザー発振素子1の出射面1a形状以外は上記実施の形態1のレーザー穿刺装置と同じである。以下、相違点について図を参照しながら説明する。図5は、角部が曲線状である略矩形の一例を示す図である。
図5に示す形状の出射面を有するレーザー発振素子1を用いた場合、図5に示す略矩形の照射形状が得られる。この場合、角部52は、L/3以下の曲率半径を有することが好ましい。曲率半径がL/3以下であることで、実効的に穿刺孔周辺組織の弾性により穿刺孔が塞がらず,安定した採血が可能ため好ましい。
【0038】
[実施の形態3]
本実施の形態は、出射面の形状によらず、マスクを用いて、マスクの開口部の形状によって照射形状を略矩形とするものである。まず、出射面の形状が略矩形である場合について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明のレーザー穿刺装置の好適な実施の形態3を示す概略図である。図2において、図1と同様の構成要素には同様の符号を用い、相違する構成要素のみ異なる符号を用いている。以下、本実施の形態において、実施の形態1との相違点のみ説明する。
【0039】
本実施の形態では、図2に示すレーザー穿刺装置のレーザー発振素子1と集光レンズ9との間の光軸上に、略矩形の開口部6aを具備するマスク6を設置する。開口部6aの寸法は、例えば、0.05〜0.2mmであることが好ましい。略矩形の出射面1aを有するレーザー発振素子1から出射されたレーザービームを、マスク6に入射させ、開口部6aの像を被照射面に投影することで、略矩形の照射形状を得ることができる(マスク投影法)。なお、開口部6aの形状は、図4または図5に示す略矩形のいずれであってもよい。
【0040】
[実施の形態4]
次に、上記のようにマスクを用いる実施の形態において、レーザー発振素子の出射面の形状が略矩形でない、例えば、円形である場合の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図3は、本発明のレーザー穿刺装置の好適な実施の形態4を示す概略図である。図3において図1および図2と同様の構成要素には同様の符号を用い、相違する構成要素のみ異なる符号を用いている。以下、本実施の形態において、実施の形態1との相違点のみ説明する。
【0041】
本実施の形態では、図3に示すレーザー穿刺装置のレーザー発振素子11と集光レンズ9との間の光軸上に、略矩形の開口部6aを具備するマスク6を設置する。円形の出射面11aを有するレーザー発振素子11から出射されたレーザービームを、マスク6に入射させ、開口部6aの像を被照射面に投影することで、略矩形の照射形状を得ることができる。なお、開口部6aの形状は、図4または図5に示す略矩形のいずれであってもよい。また、レーザー発振素子11の出射面11aの形状は特に限定されず、円形の他にも、例えば楕円形等、他の形状であってもよい。
本実施の形態によれば、開口部6aの像を集光レンズ9によって被照射面に照射するため、レーザー発振素子11の出射面11aの形状にかかわらず、略矩形の照射形状を得ることができる。
【0042】
上記において、本発明の代表的な実施の形態について説明したが、例えば上記実施の形態1および2において、マスクを利用しても構わない。すなわち、略矩形の形状を有する開口部を具備するマスクを、被照射面付近に配置する方法が挙げられる(コンタクトマスク法)。
【0043】
コンタクトマスク法は、上記実施の形態1〜4のいずれと組み合わせても、好適に実施することができる。すなわち、実施の形態3および4において、マスクを着脱可能とし、被照射面付近に配置しても構わない。例えば、円形の出射面を有するレーザー発振素子を用いた場合においても、被照射面付近に配置したマスクの開口部に入射させることで、被照射面に対して、図4または図5に示すような略矩形の照射形状を得ることができる。
なお、本発明において、レーザー発振素子以外の構成部材の寸法は、本発明の効果を得られる範囲であれば、適宜選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のレーザー穿刺装置によれば、より小さな穿刺孔で安定した採血を行うことができるため、病院における採血装置や、糖尿病患者が自身で血液を採取し、血糖値を測定するための装置に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のレーザー穿刺装置の実施の形態1を示す概略図である。
【図2】本発明のレーザー穿刺装置の実施の形態3を示す概略図である。
【図3】本発明のレーザー穿刺装置の実施の形態4を示す概略図である。
【図4】本発明における略矩形の一例を示す概略図である。
【図5】本発明における略矩形の他の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1 レーザー発振素子
1a 出射面
3 フラッシュランプ
5 ミラー膜
6 マスク
6a 開口部
7 ランプハウス
9 集光レンズ
11 レーザー発振素子
11a 出射面
41 辺
42 角部
51 辺
52 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー発振素子と、前記レーザー発振素子を励起するための光源と、を含み、
前記レーザー発振素子から被照射面に照射されるレーザービームの照射形状が略矩形であること、を特徴とするレーザー穿刺装置。
【請求項2】
前記レーザー発振素子のうちの、レーザービーム出射面の形状が前記照射形状と略同一であること、を特徴とする請求項1記載のレーザー穿刺装置。
【請求項3】
前記照射形状と略同一の形状を有する開口部を具備するマスクを含むこと、を特徴とする請求項1または2記載のレーザー穿刺装置。
【請求項4】
前記略矩形を構成する辺の長さLは0.05〜0.2mmであること、を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザー穿刺装置。
【請求項5】
前記略矩形の角部がL/3以下の曲率半径を有すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレーザー穿刺装置。
【請求項6】
前記レーザービームが1.4〜11μmの波長を有すること、を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレーザー穿刺装置。
【請求項7】
前記レーザー発振素子は、ErをドープしたYAGを含むこと、を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のレーザー穿刺装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−136650(P2008−136650A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325744(P2006−325744)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】