説明

レーザ加工装置

【課題】 人為的なミスが原因となってレーザ光源ユニットが破損してしまう事態を適切に回避する。
【解決手段】 レーザ加工装置1は、制御ユニット2の電源が投入されると、レーザ光源ユニット3に設定されているレーザ光源識別情報を読出し、その読出されたレーザ光源識別情報に含まれているレーザ発振器11の制御電圧レベルと、制御ユニット2に記憶されているレーザ光源制御電圧レベルとを比較し、両者が一致しない旨を検出すると、レーザ光源ユニット3への制御電圧の供給を禁止する。制御電圧レベルが適合しないレーザ光源ユニット3と制御ユニット2とが誤って接続された場合であっても、制御ユニット2からレーザ光源ユニット3へ異常な制御電圧が供給されてしまうことを適切に回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を出射するレーザ発振器を有するレーザ光源ユニットと、前記レーザ光源ユニットへ制御電圧を供給して前記レーザ光源ユニットを制御する制御ユニットとを備え、前記レーザ発振器の制御電圧レベルが互いに異なる複数の種類のうちから選択された前記レーザ光源ユニットと前記制御ユニットとが接続されて構成されるレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置としては、例えば下記の特許文献1に記載されているものがある。
【特許文献1】特開2002−336978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
各々がモジュール化された幾つかのユニットが組合わされてレーザ加工装置が構成されるものでは、レーザ発振器を有するレーザ光源ユニットと、レーザ光源ユニットへ制御電圧を供給してレーザ光源ユニットを制御する制御ユニットとが組合わされる構成が考えられる。ところが、レーザ光源ユニットでは、レーザ発振器の制御電圧レベルが製造メーカや型式により異なる場合があり、制御電圧レベルが適合しないレーザ光源ユニットと制御ユニットとが誤って接続されてしまうと、制御ユニットからレーザ光源ユニットへ異常な制御電圧が供給されて(印加されて)しまい、レーザ光源ユニットが破損する虞がある。そのため、従来では、このようなレーザ発振器の制御電圧レベルの相違に対しては、作業者が作業標準表などを用いて適切なレーザ光源ユニットを選択してレーザ加工装置を組立てていた。
【0004】
しかしながら、上記したように作業者がレーザ光源ユニットを逐一選択するものでは人為的なミスが完全には避けられず、制御電圧レベルが適合しないレーザ光源ユニットと制御ユニットとが誤って接続されてしまう事態を完全には回避することができない。そのため、人為的なミスが原因となってレーザ光源ユニットが破損してしまう事態を完全には回避することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、人為的なミスが原因となってレーザ光源ユニットが破損してしまう事態を適切に回避することができるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明は、
レーザ光を出射するレーザ発振器を有するレーザ光源ユニットと、前記レーザ光源ユニットへ制御電圧を供給して前記レーザ光源ユニットを制御する制御ユニットとを備え、前記レーザ発振器の制御電圧レベルが互いに異なる複数の種類のうちから選択された前記レーザ光源ユニットと前記制御ユニットとが接続されて構成されるレーザ加工装置において、
前記レーザ光源ユニットに設けられ、少なくとも前記レーザ発振器の制御電圧レベルを含むレーザ光源識別情報が設定されるレーザ光源識別情報設定手段と、
前記制御ユニットに設けられ、少なくとも前記制御ユニットが前記レーザ光源ユニットを制御可能なレーザ光源制御電圧レベルを含むレーザ光源制御情報を記憶するレーザ光源制御情報記憶手段と、
前記レーザ光源ユニットまたは前記制御ユニットに設けられ、前記制御ユニットの電源投入時に、前記レーザ光源識別情報設定手段に設定されているレーザ光源識別情報を読出し、その読出されたレーザ光源識別情報と前記レーザ光源制御情報記憶手段に記憶されているレーザ光源制御情報とを比較し、両者が一致しない旨を検出した場合に、前記レーザ光源ユニットへの制御電圧の供給を禁止するか或いは制御電圧を所定レベルに調整して前記レーザ光源ユニットへ供給させるレーザ光源接続異常検出手段とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
このような構成によれば、制御ユニットの電源が投入されると、レーザ光源識別情報設定手段に設定されているレーザ光源識別情報が読出され、その読出されたレーザ光源識別情報に含まれているレーザ発振器の制御電圧レベルと、レーザ光源制御情報記憶手段に記憶されているレーザ光源制御情報に含まれている制御ユニットがレーザ光源ユニットを制御可能なレーザ光源制御電圧レベルとが比較され、両者が一致しない旨が検出されると、レーザ光源ユニットへの制御電圧の供給が禁止されるか或いは制御電圧が所定レベルに調整されてレーザ光源ユニットへ供給されることになる。
【0008】
したがって、制御電圧レベルが適合しないレーザ光源ユニットと制御ユニットとが誤って接続された場合であっても、制御ユニットからレーザ光源ユニットへ異常な制御電圧が供給されてしまうことを適切に回避することができ、これにより、人為的なミスが原因となってレーザ光源ユニットが破損してしまう事態を適切に回避することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明は、
請求項1に記載したレーザ加工装置において、
前記接続異常検出手段は、両者が一致しない旨を検出した場合に、前記制御ユニットから前記レーザ光源ユニットへの制御電圧の供給を禁止するか或いは制御電圧を所定レベルに調整して前記制御ユニットから前記レーザ光源ユニットへ供給させるところに特徴を有する。
【0010】
請求項3に記載した発明は、
請求項1または2に記載したレーザ加工装置において、
前記レーザ光源ユニットから出射されたレーザ光の照射方向を変化させるガルバノミラーを有するスキャニングユニットを備え、前記制御ユニットが前記スキャニングユニットへ制御電圧を供給して前記スキャニングユニットを制御し、前記ガルバノミラーの制御電圧レベルが互いに異なる複数の種類のうちから選択された前記スキャニングユニットと前記制御ユニットとが接続されて構成され、
前記スキャニングユニットに設けられ、少なくとも前記ガルバノミラーの制御電圧レベルを含むスキャニング識別情報が設定されるスキャニング識別情報設定手段と、
前記制御ユニットに設けられ、少なくとも前記制御ユニットが前記スキャニングユニットを制御可能なスキャニング制御電圧レベルを含むスキャニング制御情報を記憶するスキャニング制御情報記憶手段と、
前記スキャニングユニットまたは前記制御ユニットに設けられ、前記制御ユニットの電源投入時に、前記スキャニング識別情報設定手段に設定されているスキャニング識別情報を読出し、その読出されたスキャニング識別情報と前記スキャニング制御情報記憶手段に記憶されているスキャニング制御情報とを比較し、両者が一致しない旨を検出した場合に、前記スキャニングユニットへの制御電圧の供給を禁止するか或いは制御電圧を所定レベルに調整して前記スキャニングユニットへ供給させるスキャニング接続異常検出手段とを備えたところに特徴を有する。
【0011】
このような構成によれば、制御ユニットの電源が投入されると、スキャニング識別情報設定手段に設定されているスキャニング識別情報が読出され、その読出されたスキャニング識別情報に含まれているガルバノミラーの制御電圧レベルと、スキャニング制御情報記憶手段に記憶されているスキャニング制御情報に含まれている制御ユニットがスキャニングユニットを制御可能なスキャニング制御電圧レベルとが比較され、両者が一致しない旨が検出されると、スキャニングユニットへの制御電圧の供給が禁止されるか或いは制御電圧が所定レベルに調整されてスキャニングユニットへ供給されることになる。
【0012】
したがって、人為的なミスが原因となってレーザ光源ユニットが破損してしまう事態を適切に回避することができるのみならず、制御電圧レベルが適合しないスキャニングユニットと制御ユニットとが誤って接続された場合であっても、制御ユニットからスキャニングユニットへ異常な制御電圧が供給されてしまうことを適切に回避することもでき、これにより、人為的なミスが原因となってスキャニングユニットが破損してしまう事態を適切に回避することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1ないし図3を参照して説明する。まず、図1は、レーザ加工装置の全体構成を機能ブロック図として示している。レーザ加工装置1は、各々がモジュール化された制御ユニット2とレーザ光源ユニット3とが組合されて構成されている。制御ユニット2は、メイン制御回路4、サブ制御回路5(本発明でいうレーザ光源接続異常検出手段)、メイン電源回路6、レーザ電源回路7及びレーザ光源制御情報記憶部8(本発明でいうレーザ光源制御情報記憶手段)を備えて構成されている。
【0014】
メイン制御回路4とサブ制御回路5とは、互いに連携して制御ユニット2の動作全般を制御する。メイン電源回路6は、AC電源が供給されると、+24ボルト、±24ボルト及び+5ボルトを生成し、+5ボルト及び+24ボルトをメイン制御回路4の動作電圧としてメイン制御回路4へ供給すると共に、+5ボルトをサブ制御回路5の動作電圧としてサブ制御回路5へ供給する。つまり、上記した構成では、メイン制御回路4は、メイン電源回路6から供給された+5ボルト及び+24ボルトを動作電圧として動作する。また、サブ制御回路5は、メイン電源回路6から供給された+5ボルトを動作電圧として動作すると共に、メイン電源回路6から供給された+5ボルトをレーザ光源ユニット3のCPU9を動作させるための動作電圧としてレーザ光源ユニット3のCPU9へ供給する。
【0015】
レーザ電源回路7は、AC電源がメイン電源回路6を介して供給されると、+24ボルトをレーザ光源ユニット3を制御するため制御電圧として生成し、+24ボルトをレーザ光源ユニット3のCPU9へ供給する。レーザ光源制御情報記憶部8は、制御ユニット2がレーザ光源ユニット3を制御可能なレーザ光源制御電圧レベルを含むレーザ光源制御情報を記憶している。
【0016】
レーザ光源ユニット3は、CPU9、レーザ光源識別情報設定部10(本発明でいうレーザ光源識別情報設定手段)及びレーザ発振器11を備えて構成されている。CPU9は、制御ユニット2のサブ制御回路5から動作電圧として供給された+5ボルトに基づいて動作し、制御ユニット2のレーザ電源回路7から制御電圧として供給された+24ボルトに基づいてレーザ発振器11を制御する。
【0017】
レーザ光源識別情報設定部10は、レーザ発振器11の制御電圧レベルや種類を含むレーザ光源識別情報が設定されている。この場合、レーザ光源識別情報設定部10は、EEPROMなどのメモリから構成されていても良いし、機械的なディップスイッチから構成されていても良いし、制御ユニット2と接続されるコネクタなどのピン配置(ピンの有無も含む)から構成されていても良い。レーザ発振器11は、CPU9からの動作指示に基づいて動作するもので、レーザ光を出射して被加工対象物12に照射することにより、被加工対象物12をレーザ加工する。
【0018】
次に、上記した構成の作用について、図2及び図3を参照して説明する。ここで、図2は、制御ユニット2のサブ制御回路5が行う処理をフローチャートとして示しており、図3は、制御ユニット2のメイン制御回路4が行う処理をフローチャートとして示している。
【0019】
制御ユニット2において、サブ制御回路5は、例えば制御ユニット2の所定部位に配設されているスイッチが操作されたことにより、AC電源がメイン電源回路6へ供給されて制御ユニット2の電源が投入され、メイン電源回路6から+5ボルトが供給されて起動すると(ステップS1にて「YES」)、メイン電源回路6から供給された+5ボルトをレーザ光源ユニット3のCPU9へ動作電圧として供給する。そして、サブ制御回路5は、レーザ光源識別情報読出コマンドをレーザ光源ユニット3へ通知し(ステップS2)、レーザ光源ユニット3からレーザ光源識別情報が通知される旨を待機する(ステップS3)。
【0020】
レーザ光源ユニット3において、CPU9は、制御ユニット2から+5ボルトが動作電圧として供給されて起動した後に、制御ユニット2からレーザ光源識別情報読出コマンドが通知されると、レーザ光源識別情報設定部10に設定されているレーザ光源識別情報を読出し、その読出されたレーザ光源識別情報を制御ユニット2のサブ制御回路5へ通知する。
【0021】
制御ユニット2において、サブ制御回路5は、レーザ光源ユニット3からレーザ光源識別情報が通知されると(ステップS3にて「YES」)、レーザ光源制御情報記憶部8に記憶されているレーザ光源制御情報のうちレーザ光源制御電圧レベルをメイン制御回路4を介して読出し(ステップS4)、レーザ光源ユニット3から通知されたレーザ光源識別情報に含まれているレーザ発振器11の制御電圧レベルと、レーザ光源制御情報記憶部8から読出されたレーザ光源制御電圧レベルとを比較する(ステップS5)。
【0022】
ここで、サブ制御回路5は、両者が一致すると(ステップS6にて「YES」)、つまり、制御ユニット2がレーザ光源ユニット3を制御可能な制御電圧レベルと、レーザ光源ユニット3内でCPU9がレーザ発振器11を制御するための制御電圧レベルとが同一であり、制御電圧レベルが両者の間で適合すると、制御電圧供給指令をレーザ電源回路7へ通知し、レーザ電源回路7から+24ボルトをレーザ光源ユニット3のCPU9へ制御電圧として供給させる(ステップS7)。このような一連の処理により、制御ユニット2は、接続されているレーザ光源ユニット3と制御ユニット2との間の制御電圧レベルが適合する旨を検出すると、予め規定されている制御電圧をレーザ光源ユニット3へ供給することになり、これ以降、レーザ発振器11は、制御ユニット2からレーザ光源ユニット3へ供給された制御電圧に基づいて制御されることになる。
【0023】
これに対して、サブ制御回路5は、両者が一致しない旨を検出すると(ステップS6にて「NO」)、つまり、制御ユニット2がレーザ光源ユニット3を制御可能な制御電圧レベルと、レーザ光源ユニット3内でCPU9がレーザ発振器11を制御するための制御電圧レベルとが同一でなく、制御電圧レベルが両者の間で適合しないと、制御電圧供給指令をレーザ電源回路7へ通知することなく、エラー出力をメイン制御回路4へ通知する(ステップS8)。
【0024】
メイン制御回路4は、上記したサブ制御回路5と同様にしてメイン電源回路6から+5ボルトが供給されて起動すると(ステップS11にて「YES」)、サブ制御回路5からエラー出力が通知されたか否かを監視する(ステップS12)。ここで、メイン制御回路4は、上記したサブ制御回路5の処理により、サブ制御回路5からエラー出力が通知されると(ステップS12にて「YES」)、エラー情報を表示装置(図示せず)に表示させる(ステップS13)。このような一連の処理により、制御ユニット2は、接続されているレーザ光源ユニット3と制御ユニット2との間の制御電圧レベルが適合しない旨を検出すると、レーザ光源ユニット3への制御電圧の供給を禁止することになる。
【0025】
ところで、以上は、接続されているレーザ光源ユニット3と制御ユニット2との間の制御電圧レベルが適合しない場合に、制御電圧の供給を禁止する場合を説明したものであるが、制御電圧を正常な(適合する)所定レベルに調整してレーザ光源ユニット3へ供給させるように構成しても良い。
【0026】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、レーザ加工装置1において、制御ユニット2の電源が投入されると、レーザ光源ユニット3に設定されているレーザ光源識別情報を読出し、その読出されたレーザ光源識別情報に含まれているレーザ発振器11の制御電圧レベルと、制御ユニット2に記憶されているレーザ光源制御電圧レベルとを比較し、両者が一致しない旨を検出すると、レーザ光源ユニット3への制御電圧の供給を禁止するように構成したので、制御電圧レベルが適合しないレーザ光源ユニット3と制御ユニット2とが誤って接続された場合であっても、制御ユニット2からレーザ光源ユニット3へ異常な制御電圧が供給されてしまうことを適切に回避することができ、人為的なミスが原因となってレーザ光源ユニット3が破損してしまう事態を適切に回避することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図4を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。上記した第1の実施形態は、制御ユニット2に対して複数のレーザ光源ユニット3のうちからいずれかのレーザ光源ユニット3が選択されて接続され、制御ユニット2がレーザ光源ユニット3との間の制御電圧の適合を判定する構成であるが、第2の実施形態は、制御ユニットに対して複数のレーザ光源ユニットのうちからいずれかのレーザ光源ユニットが選択されて接続されると共に複数のスキャニングユニットのうちからいずれかのスキャニングユニットが選択されて接続され、制御ユニットがレーザ光源ユニットとスキャニングユニットとの双方の間の制御電圧の適合を判定する構成である。
【0028】
すなわち、レーザ加工装置21は、各々がモジュール化された制御ユニット22とレーザ光源ユニット3とスキャニングユニット23とが組合されて構成されている。制御ユニット22は、メイン制御回路24(本発明でいうスキャニング接続異常検出手段)、サブ制御回路5、メイン電源回路6、レーザ電源回路7、レーザ光源制御情報記憶部8及びスキャニング制御情報記憶部25(本発明でいうスキャニング制御情報記憶手段)を備えて構成されている。
【0029】
この場合、メイン電源回路6は、AC電源が供給されると、+24ボルト、±24ボルト及び+5ボルトを制御電圧として生成し、±24ボルトをスキャニングユニット23の
制御電圧としてスキャニングユニット23のCPU26へ供給する。メイン制御回路22は、メイン電源回路6から供給された+5ボルト及び+24ボルトを動作電圧として動作すると共に、メイン電源回路6から供給された+5ボルトをスキャニングユニット23のCPU26を動作させるための動作電圧としてスキャニングユニット23のCPU26へ供給する。スキャニング制御情報記憶部25は、制御ユニット2がスキャニングユニット23を制御可能なスキャニング制御電圧レベルを含むスキャニング制御情報を記憶している。
【0030】
スキャンニングユニット23は、CPU26、スキャニング識別情報設定部27(本発明でいうスキャニング識別情報設定手段)及びガルバノミラー28を備えて構成されている。CPU26は、制御ユニット22のメイン制御回路24から動作電圧として供給された+5ボルトに基づいて動作し、制御ユニット22のメイン電源回路6から制御電圧として供給された±24ボルトに基づいてガルバノミラー28を制御する。スキャニング識別情報設定部27は、ガルバノミラー28の制御電圧レベルや種類を含むスキャニング識別情報が設定されている。この場合も、スキャニング識別情報設定部27は、レーザ光源ユニット3のレーザ光源識別情報設定部10と同様にして、EEPROMなどのメモリから構成されていても良いし、機械的なディップスイッチから構成されていても良いし、制御ユニット22と接続されるコネクタなどのピン配置(ピンの有無も含む)から構成されていても良い。
【0031】
ガルバノミラー28は、サーボ回路29、X−ガルバノミラー30、X−ガルバノミラー30を駆動させるX−駆動モータ31、Y−ガルバノミラー32及びY−ガルバノミラー32を駆動させるY−駆動モータ33を備えて構成されている。この場合、レーザ発振器11から出射されたレーザ光は、X−ガルバノミラー30及びY−ガルバノミラー32により照射方向が所定方向に調整された後に収束レンズ34により収束されて被加工対象物12に照射される。
【0032】
次に、上記した構成の作用について説明する。尚、この場合、制御ユニット22は、レーザ光源ユニット3とスキャンニングユニット23との双方の間の制御電圧の適合を判定するが、レーザ光源ユニット3との間の制御電圧の適合については上記した第1の実施形態に記載した手順と同様の手順により判定し、スキャンニングユニット23との間の制御電圧の適合については以下に示す手順により判定する。また、本実施形態では、レーザ光源ユニット3との間の制御電圧の適合についてはサブ制御回路5が判定するが、スキャニングユニット23との間の制御電圧の適合についてはメイン制御回路4が判定する。
【0033】
制御ユニット22において、メイン制御回路24は、例えば制御ユニット2の所定部位に配設されているスイッチが操作されたことにより、AC電源がメイン電源回路6へ供給されて制御ユニット2の電源が投入され、メイン電源回路6から+5ボルトが供給されて起動すると、メイン電源回路6から供給された+5ボルトをスキャニングユニット23のCPU26へ動作電圧として供給し、スキャニング識別情報読出コマンドをスキャニングユニット23へ通知し、スキャニングユニット23からスキャニング識別情報が通知されたか否かを監視する。
【0034】
スキャニングユニット23において、CPU26は、制御ユニット2から+5ボルトが動作電力として供給されて起動し、制御ユニット2からスキャニング識別情報読出コマンドが通知されると、スキャニング識別情報設定部27に設定されているスキャニング識別情報を読出し、その読出されたスキャニング識別情報を制御ユニット22のメイン制御回路24へ通知する。
【0035】
制御ユニット22において、メイン制御回路24は、スキャニングユニット23からスキャニング識別情報が通知されると、スキャニング制御情報記憶部25に記憶されているスキャニング制御情報のうちスキャニング制御電圧レベルを読出し、スキャニングユニット23から通知されたスキャニング識別情報に含まれているガルバノミラー28の制御電圧レベルと、スキャニング制御情報記憶部25から読出されたスキャニング制御電圧レベルとを比較する。
【0036】
ここで、メイン制御回路24は、両者が一致すると、つまり、制御ユニット22がスキャニングユニット23を制御可能な制御電圧レベルと、スキャニングユニット23内でCPU26がガルバノミラー28を制御するための制御電圧レベルとが同一であり、制御電圧レベルが両者の間で適合すると、メイン電源回路6から±24ボルトをスキャニングユニット23のCPU26へ制御電圧として供給させる。このような一連の処理により、制御ユニット22は、接続されているスキャニングユニット23と制御ユニット22との間の制御電圧レベルが適合する旨を検出すると、予め規定されている制御電圧をスキャニングユニット23へ供給することになり、これ以降、ガルバノミラー28は、制御ユニット22からスキャニングユニット23へ供給された制御電圧に基づいて制御されることになる。
【0037】
これに対して、メイン制御回路24は、両者が一致しない旨を検出すると、つまり、制御ユニット22がスキャニングユニット23を制御可能な制御電圧レベルと、スキャニングユニット23内でCPU26がガルバノミラー28を制御するための制御電圧レベルとが同一でなく、制御電圧レベルが両者の間で適合しないと、上記した第1の実施形態に記載したものと同様にして、エラー情報を表示装置(図示せず)に表示させる。このような一連の処理により、制御ユニット22は、接続されているスキャニングユニット23と制御ユニット22との間の制御電圧レベルが適合しない旨を検出すると、スキャニングユニット23への制御電圧の供給を禁止することになる。尚、この場合も、制御電圧を正常な(適合する)所定レベルに調整してスキャニングユニット23へ供給させるように構成しても良い。
【0038】
以上に説明したように第2の実施形態によれば、レーザ加工装置21において、制御ユニット2の電源が投入されると、スキャニングユニット23に設定されているスキャニング識別情報を読出し、その読出されたスキャニング識別情報に含まれているガルバノミラー28の制御電圧レベルと、制御ユニット22に記憶されているスキャニング制御電圧レベルとを比較し、両者が一致しない旨を検出すると、スキャニングユニット23への制御電圧の供給を禁止するように構成したので、制御電圧レベルが適合しないスキャニングユニット23と制御ユニット22とが誤って接続された場合であっても、制御ユニット2からスキャニングユニット23へ異常な制御電圧が供給されてしまうことを適切に回避することができ、人為的なミスが原因となってスキャニングユニット23が破損してしまう事態を適切に回避することもできる。
【0039】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
本発明のレーザ光源接続異常検出手段に相当するサブ制御回路が行う機能をレーザ光源ユニットが行う構成であっても良く、つまり、レーザ光源ユニットと制御ユニットとが接続された場合に、一方のユニットが他方のユニットの制御電圧の適合を判定し、レーザ光源ユニットの制御電圧の供給を制御する構成であれば良い。また、これと同様にして、本発明のスキャニング接続異常検出手段に相当するメイン制御回路が行う機能をスキャニングユニットが行う構成であっても良く、つまり、スキャニングユニットと制御ユニットとが接続された場合に、一方のユニットが他方のユニットの制御電圧の適合を判定し、スキャニングユニットの制御電圧の供給を制御する構成であれば良い。
【0040】
レーザ光源識別情報として設定される情報は、レーザ発振器の制御電圧の他に、レーザ発振器の種類(YAG、CO2)やレーザ発振器の駆動方式(連続波方式、パルス方式)などが含まれていても良い。
レーザ光源ユニットのレーザ発振器への制御電圧の供給を禁止する方法やスキャニングユニットのガルバノミラーへの制御電圧の供給を禁止する構成としては、制御ユニットからレーザ光源ユニットやスキャニングユニットへの制御電圧の供給を禁止する構成に限らず、制御ユニットからレーザ光源ユニットやスキャニングユニットへ制御電圧を供給するもののレーザ光源ユニットの内部でレーザ発振器への制御電圧の供給を禁止したりスキャニングユニットの内部でガルバノミラーへの制御電圧の供給を禁止したりする構成であっても良い。
【0041】
制御ユニットにおいて、レーザ光源ユニットとスキャンニングユニットとの双方の間の制御電圧の適合を判定する場合、レーザ光源ユニットとの間の制御電圧の適合を判定する処理とスキャンニングユニットとの間の制御電圧の適合を判定する処理とを連続して(シリアルに)行う構成であっても良いし、それらの処理を並列して同時に(パラレルに)行う構成であっても良い。
【0042】
制御ユニットにおいて、レーザ光源ユニットやスキャンニングユニットとの間の制御電圧の適合を判定する機能がサブ制御回路やメイン制御回路とは別の機能ブロックとして設けられている構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す機能ブロック図
【図2】制御ユニットのサブ制御回路が行う処理を表すフローチャート
【図3】制御ユニットのメイン制御回路が行う処理を表すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施形態を示す機能ブロック図
【符号の説明】
【0044】
図面中、1はレーザ加工装置、2は制御ユニット、3はレーザ光源ユニット、5はサブ制御回路(レーザ光源接続異常検出手段)、8はレーザ光源制御情報記憶部(レーザ光源制御情報記憶手段)、10はレーザ光源識別情報設定部(レーザ光源識別情報設定手段)、11はレーザ発振器、21はレーザ加工装置、22は制御ユニット、23はスキャニングユニット、24はメイン制御回路(スキャニング接続異常検出手段)、25はスキャニング制御情報記憶部(スキャニング制御情報記憶手段)、27はスキャニング識別情報設定部(スキャニング識別情報設定手段)、28はガルバノミラーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ発振器を有するレーザ光源ユニットと、前記レーザ光源ユニットへ制御電圧を供給して前記レーザ光源ユニットを制御する制御ユニットとを備え、前記レーザ発振器の制御電圧レベルが互いに異なる複数の種類のうちから選択された前記レーザ光源ユニットと前記制御ユニットとが接続されて構成されるレーザ加工装置において、
前記レーザ光源ユニットに設けられ、少なくとも前記レーザ発振器の制御電圧レベルを含むレーザ光源識別情報が設定されるレーザ光源識別情報設定手段と、
前記制御ユニットに設けられ、少なくとも前記制御ユニットが前記レーザ光源ユニットを制御可能なレーザ光源制御電圧レベルを含むレーザ光源制御情報を記憶するレーザ光源制御情報記憶手段と、
前記レーザ光源ユニットまたは前記制御ユニットに設けられ、前記制御ユニットの電源投入時に、前記レーザ光源識別情報設定手段に設定されているレーザ光源識別情報を読出し、その読出されたレーザ光源識別情報と前記レーザ光源制御情報記憶手段に記憶されているレーザ光源制御情報とを比較し、両者が一致しない旨を検出した場合に、前記レーザ光源ユニットへの制御電圧の供給を禁止するか或いは制御電圧を所定レベルに調整して前記レーザ光源ユニットへ供給させるレーザ光源接続異常検出手段とを備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載したレーザ加工装置において、
前記接続異常検出手段は、両者が一致しない旨を検出した場合に、前記制御ユニットから前記レーザ光源ユニットへの制御電圧の供給を禁止するか或いは制御電圧を所定レベルに調整して前記制御ユニットから前記レーザ光源ユニットへ供給させることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載したレーザ加工装置において、
前記レーザ光源ユニットから出射されたレーザ光の照射方向を変化させるガルバノミラーを有するスキャニングユニットを備え、前記制御ユニットが前記スキャニングユニットへ制御電圧を供給して前記スキャニングユニットを制御し、前記ガルバノミラーの制御電圧レベルが互いに異なる複数の種類のうちから選択された前記スキャニングユニットと前記制御ユニットとが接続されて構成され、
前記スキャニングユニットに設けられ、少なくとも前記ガルバノミラーの制御電圧レベルを含むスキャニング識別情報が設定されるスキャニング識別情報設定手段と、
前記制御ユニットに設けられ、少なくとも前記制御ユニットが前記スキャニングユニットを制御可能なスキャニング制御電圧レベルを含むスキャニング制御情報を記憶するスキャニング制御情報記憶手段と、
前記スキャニングユニットまたは前記制御ユニットに設けられ、前記制御ユニットの電源投入時に、前記スキャニング識別情報設定手段に設定されているスキャニング識別情報を読出し、その読出されたスキャニング識別情報と前記スキャニング制御情報記憶手段に記憶されているスキャニング制御情報とを比較し、両者が一致しない旨を検出した場合に、前記スキャニングユニットへの制御電圧の供給を禁止するか或いは制御電圧を所定レベルに調整して前記スキャニングユニットへ供給させるスキャニング接続異常検出手段とを備えたことを特徴とするレーザ加工装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−95538(P2006−95538A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281748(P2004−281748)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】