レーザ加工装置
【課題】箱体のサイズが複数の場合であっても各箱体のサイズに合わせて簡単にレーザマーカにより製品表示を行うことが可能なレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】箱体14の互いに対向する2つの側面にそれぞれ対向して配設された2つのレーザ照射部25を有するレーザ加工部3と、加工前の箱体14をレーザ加工部3まで搬送する搬送部2と、加工後の箱体14をレーザ加工部3より排出する排出部4とを具備し、前記各側面にそれぞれ設けられた黒ベタ部14aに対して各レーザ照射部25から照射されたレーザによって所定の画像を同時に形成するレーザ加工装置1において、搬送部2は箱体14の搬送をガイドする少なくとも1対の搬入ガイド板7を有すると共に排出部4は箱体14の搬送をガイドする少なくとも1対の搬出ガイド31板を有し、各レーザ照射部25間の間隔及び各搬入ガイド板7間の間隔及び各搬出ガイド板31間の間隔を箱体14のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成した。
【解決手段】箱体14の互いに対向する2つの側面にそれぞれ対向して配設された2つのレーザ照射部25を有するレーザ加工部3と、加工前の箱体14をレーザ加工部3まで搬送する搬送部2と、加工後の箱体14をレーザ加工部3より排出する排出部4とを具備し、前記各側面にそれぞれ設けられた黒ベタ部14aに対して各レーザ照射部25から照射されたレーザによって所定の画像を同時に形成するレーザ加工装置1において、搬送部2は箱体14の搬送をガイドする少なくとも1対の搬入ガイド板7を有すると共に排出部4は箱体14の搬送をガイドする少なくとも1対の搬出ガイド31板を有し、各レーザ照射部25間の間隔及び各搬入ガイド板7間の間隔及び各搬出ガイド板31間の間隔を箱体14のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対してレーザ加工を行うレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
孔版印刷装置や電子写真式複写装置等の画像形成装置においては、それぞれインキやトナー等の消耗品を使用して画像形成を行っている。このような消耗品では、例えば国外向け製品等のそれぞれ異なる言語表示がなされた製品を生産する場合や、A社製品をOEMによってB社製品やC社製品として生産する場合がある。このとき、同じ製品の外箱にそれぞれ異なる製品表示を行う必要があるが、従来は各国の仕様に合わせて印刷された外箱を予め準備したり、インクジェット方式等により個々に画像形成を行ったり、それぞれ異なるシールを貼付したりして製品表示を行っていた。しかしこれらの方法では、インクジェットのインクやシール等のランニングコストが嵩むと共に、シールを用いる方法ではシールを貼付する工程が余計に加わるため、コストアップしてしまうと共に作業効率が悪化してしまうという問題点がある。そこで、箱体に対してレーザにより直接的に画像形成を行うことが考えられる。
【0003】
【特許文献1】特開平7−156539号公報
【特許文献2】特開平11−28588号公報
【特許文献3】特開2003−291535号公報
【特許文献4】特開2006−7312号公報
【特許文献5】特開2006−272355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上述の方法では箱体に対して直接レーザ照射を行うため、レーザを照射するレーザ照射部から画像形成が行われる箱体の面までの距離が常に同じでないと画像形成が行えず、さらに箱体として複数のサイズのものが存在することから、箱体の一つの面に画像形成を行う場合にはそれほど問題とはならないが、箱体の互いに対向する面に対して同時に画像形成を行う場合には、箱体のサイズが変化する場合にレーザ照射部や箱体の搬送をガイドするガイド板等を箱体のサイズに合わせて位置調整する必要があり、この調整動作が非常に面倒であるという問題点がある。箱体の互いに対向する面に対して同時に画像形成を行うのは、何れかの面に画像形成をしておけば輸送時や保管時に箱体を積載した際に、何れかの面を視認することができるので箱体の向きを気にする必要がなくなる等のメリットがあるからである。
【0005】
本発明は上述の問題点を解決し、箱体のサイズが複数の場合であっても各箱体のサイズに合わせて簡単にレーザマーカにより製品表示を行うことが可能なレーザ加工装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、箱体の互いに対向する2つの側面に同時にレーザ加工を行うレーザ加工装置であって、前記各側面にそれぞれ対向して配設された2つのレーザ照射部を有するレーザ加工部と、加工前の箱体を前記レーザ加工部まで搬送する搬送部と、加工後の箱体を前記レーザ加工部より排出する排出部とを具備し、前記各側面にそれぞれ設けられた黒ベタ部に対して前記各レーザ照射部から照射されたレーザによって所定の画像を同時に形成するレーザ加工装置において、前記搬送部は前記箱体の搬送をガイドする少なくとも1対の搬入ガイド板を有すると共に前記排出部は前記箱体の搬送をガイドする少なくとも1対の搬出ガイド板を有し、前記各レーザ照射部間の間隔及び前記各搬入ガイド板間の間隔及び前記各搬出ガイド板間の間隔は前記箱体のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のレーザ加工装置において、さらに搬送された箱体を挟持して前記レーザ加工部に受け渡す受け渡し手段と、レーザ加工された箱体を挟持して前記レーザ加工部より取り出す取り出し手段とを有し、前記受け渡し手段の挟持間隔及び前記取り出し手段の挟持間隔は前記箱体のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のレーザ加工装置において、さらに前記受け渡し手段及び前記取り出し手段に駆動力を伝達する駆動力伝達手段を有し、該駆動力伝達手段は前記受け渡し手段及び前記取り出し手段が箱体のサイズに応じて移動された際にこれに追従して移動可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各ガイド板間の間隔、各レーザ照射部間の間隔を簡単な操作で一括して調整することができ、複数のサイズの箱体に対しても各レーザ照射部により製品表示を行うことが可能となり、コストアップすることなくかつ作業効率を悪化させることなく製品表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の正面図を、図2は同側面図を、図3は同平面図を、図4は同正面断面図を、図5は同側断面図をそれぞれ示している。同図においてレーザ加工装置1は、搬送部2、レーザ加工部3、排出部4等を有しており、搬送部2、レーザ加工部3、排出部4はそれぞれ共通の装置本体5によって支持されている。
【0011】
搬送部2は、レーザ加工が行われるワークとしての箱体をレーザ加工部3に搬送する搬送コンベヤ6、搬送コンベヤ6上に載置された箱体をガイドする搬入ガイド板としての一対のガイド板7等を有している。図6に示すように、搬送コンベヤ6は駆動モータ8によって図6の矢印方向に走行駆動される一対の無端ベルト9を有しており、各無端ベルト9上に載置された箱体を図1及び図4において右方へと搬送する。各無端ベルト9の走行方向上流側端部上部には、搬送される箱体を載置する載置板10が設けられており、同走行方向下流側端部には搬送されてきた箱体を停止させる位置決め部材としての2つのストッパ11が設けられている。
【0012】
各ストッパ11は、図6に一方のみ示すストッパ支軸12に摺動自在に支持されており、一体的に設けられた位置決めピン13によってストッパ支軸12の適宜の位置に位置決めされる。本実施形態で示すレーザ加工装置1では、被加工物であるワークとして、例えばフレキソ印刷等により形成された図7に示す黒ベタ部14aを有する小さな箱体14から図8に示す黒ベタ部15aを有する大きな箱体15までの4種類の箱体に対応する構成を採用している。各黒ベタ部14a,15aは、それぞれ各箱体14,15の両側面右下の同一位置に同一面積で形成されている。上述の構成により、ワークとして図7に示すように小さな箱体14が搬送される場合及び図8に示すように大きな箱体15が搬送される場合の何れにおいても、各図の手前側に示すストッパ11から黒ベタ部14a,15aまでの距離を一定とすることができる。なお、各図の奥側に示すストッパ11から黒ベタ部14a,15aまでの距離は、箱体のサイズ毎にそれぞれ一定となる。また、各ストッパ支軸12は図示しないストッパ開閉手段にそれぞれ回動自在に支持されており、図示しないストッパ開閉手段は各ストッパ支軸12を同期して互いに逆方向に回動させる。この構成により各ストッパ11は、図9に示すように箱体を位置決めさせる位置決め位置と、図10に示すように箱体がレーザ加工部3へと平行移動する際にその移動を妨げない退避位置とを選択的に占める。
【0013】
レーザ加工部3は、図4及び図5に示す底部カバー16、レーザ加工ユニット17、カバー18等を有している。矩形板状の底部カバー16は昇降手段としての単軸ロボット19によって上下動自在に支持されており、図11に示すようにその上面には底部カバー16上において箱体を固定すべく挟持する開閉自在な昇降チャック20が配設されている。昇降チャック20は図示しない開閉手段により開閉され、箱体を挟持する挟持位置と箱体の挟持を解除する解除位置とを選択的に占める。
【0014】
単軸ロボット19は底部カバー16を任意の位置において位置決め可能に構成されており、本実施形態においては底部カバー16を、図4に示すように無端ベルト9上から平行移動される箱体に対して昇降チャック20が干渉しない待機位置、図12、図13に示すように無端ベルト9の上面と同じ高さであり昇降チャック20によって箱体の挟持及び解除が行われる挟持位置、図14、図15に示すように箱体へのレーザ加工が行われる加工位置の何れかに位置決めする。また単軸ロボット19は、底部カバー16の上昇時及び下降時における速度を任意に調整可能に構成されている。
【0015】
レーザ加工部17は、図16、図17、図18、図19に示すように、レーザ照射装置21、ベタ部位置検知手段としてのCCDカメラ22、符号情報読取装置としてのバーコードリーダ23、カバー部材24等を有しており、箱体の黒ベタ部が形成された各側面と対応すべく図2、図5に示すように2つ設けられている。
【0016】
レーザ照射装置21は、図18、図19に示すようにその内部にレーザ照射部としての周知のレーザマーカ25を有しており、箱体に形成された黒ベタ部に対してレーザマーカ25よりレーザを照射し、黒ベタ部を形成するインキを削り落として画像を形成する。レーザマーカ25は、図18に示すように小さな箱体14に加工を行う場合と図19に示すように大きな箱体15に加工を行う場合とでは各黒ベタ部14a,15aの位置が異なるため(箱体14aでは左右の黒ベタ部14aの位置が箱体14の左右対称である同じ位置にあるが、箱体15では左右の黒ベタ部15aの位置が左右対称ではない;図19において図示されているレーザマーカ25は図示されている黒ベタ部15aの反対側の側面に形成されている黒ベタ部15aを加工する)、各箱体の黒ベタ部の位置に応じて手動で位置決め可能(本実施形態では4種類)に構成されている。レーザマーカ25の位置は、ストッパ11により位置決めされた箱体が底部カバー16上に搬送されて昇降チャック20により挟持された後に単軸ロボット19により加工位置に位置決めされた際に、箱体に形成された黒ベタ部と対応する位置となるように位置決めされる。
【0017】
CCDカメラ22は、昇降チャック20により底部カバー16上に挟持された箱体が挟持位置から加工位置へと上昇する途中で黒ベタ部の位置を読み取り、レーザ照射装置21の動作を制御する図示しない制御手段に黒ベタ部の位置情報を送信する。位置情報を受けた図示しない制御手段は予め設定されている黒ベタ部の位置情報と送られた位置情報とから補正を行い、レーザマーカ25の動作補正を行う。これによりレーザマーカ25から黒ベタ部へとレーザが正確に照射され、箱体の正規の位置に画像が形成される。
【0018】
バーコードリーダ23は、昇降チャック20により底部カバー16上に挟持されレーザマーカ25により周知のバーコードを含む画像が形成された箱体が加工位置から挟持位置へと下降する途中で画像形成されたバーコードを読み取り、読み取った情報を図示しない制御手段に送信する。情報を受けた図示しない制御手段はバーコードが正常に形成されているか否かを判断し、バーコードが正常に形成されていない場合には図示しない制御手段が図示しない警報手段、例えばブザー等に動作信号を送り警告を報知する。図16において符号Lは、バーコード読み取りのためにバーコードリーダ23から発せられる半導体レーザやLEDからなる走査光を示している。本実施形態では箱体にバーコードが形成されこれをバーコードリーダで読み取る構成を示したが、箱体に2次元コードを形成してこれを専用の読取装置で読み取る構成、箱体に文字等を形成してこれをOCRで読み取る構成を採用してもよい。
【0019】
アクリル樹脂製のカバー部材24は、レーザ照射装置21の上部であってレーザマーカ25を覆う位置に取り付けられている。各カバー部材24の側面には、カバー部材24の内部と外気とを連通する通気口26aを有するダクト26がそれぞれ設けられている。
各カバー部材24の間の位置にはアクリル樹脂製の板材であるカバー18が配設されている。両側面及び下面が開放されたコ字形状を呈するカバー18は、図20に示すようにレーザ加工部3を構成する不動部材に固定されており、その上面には通気口27a,27b,27cを有するダクト27が配設されている。カバー18の開放された両側面には各カバー部材24が摺動自在に嵌入され、カバー18の開放された下面には加工位置を占めた底部カバー16が僅かな隙間を有して近接する。通気口27aは図示しない吸引手段に接続されており、通気口27b,27cは図2に示すように通気管28を介して各通気口26aに接続されている。この構成により、図示しない吸引手段が作動することでカバー18と各カバー部材24と底部カバー16とで囲まれた空間内の空気が吸引される。
【0020】
搬送部4は、レーザ加工が行われた箱体を排出する排出コンベヤ29、排出コンベヤ29によって排出された箱体を搬送するコロコンベヤ30、コロコンベヤ30上に載置された箱体をガイドする搬出ガイド板としての一対のガイド板31、箱体を受け止めるエンドフェンス32等を有している。図21に示すように、排出コンベヤ29は駆動モータ33によって図21の矢印方向に走行駆動される一対の無端ベルト34を有しており、各無端ベルト34上に載置された箱体を図1及び図4において右方へと搬送する。排出コンベヤ29の走行方向下流側端部には図示しない箱体検知センサが設けられており、この箱体検知センサによって排出コンベヤ29上を箱体が通り過ぎたことが検知される。
【0021】
図1において排出コンベヤ29の右方には一対のコロコンベヤ30が配設されている。コロコンベヤ30は、複数の回転自在なコロを有する周知の構成であり、箱体の搬送方向上流側から下流側にかけて下方に傾斜する態様で配設されている。この構成により、排出コンベヤ29によって搬送された箱体は自重によりコロコンベヤ30上を下流へと搬送される。コロコンベヤ30の長さは、箱体を複数載置可能である所定の長さに定められている。図1においてコロコンベヤ30の右側端部には、コロコンベヤ30上を搬送されてきた箱体を受け止めるエンドフェンス32が固定されている。
【0022】
ここで、各ガイド板7,31について説明する。図22、図23に示すように、ガイド板7は複数の支柱35を介してガイド支持板36に固定されており、ガイド板31も複数の支柱37を介してガイド支持板38に固定されている。ガイド支持板36の一端はレーザ照射装置21を支持するベースプレート39の一端に取り付けられており、その他端には装置本体6に箱体の搬送方向と直交する向きに取り付けられたリニアレール40に摺動自在に嵌合するリニアガイド41が取り付けられている。ガイド支持板38の一端もベースプレート39の他端に取り付けられており、その他端には装置本体6にリニアレール40と同じ向きに取り付けられたリニアレール42に摺動自在に嵌合するリニアガイド43が取り付けられている。ベースプレート39の底面にはリニアガイド44,45,46,47が取り付けられており、各リニアガイド44,45は装置本体6にリニアレール40と同じ向きに取り付けられたリニアレール48に、各リニアガイド46,47は同リニアレール49にそれぞれ摺動自在に嵌合している。図22及び図23では、箱体の搬送方向の一側(装置正面から見て奥側)に配置されたガイド板7,31及びレーザ照射装置21のみを示したが、箱体の搬送経路を介してこれと対称にもう一組のガイド板7,31及びレーザ照射装置21が配置されている。
【0023】
ベースプレート39の上面上には、受け渡し手段としての一対の受け渡しチャック50と取り出し手段としての一対の取り出しチャック51とが配設されている。受け渡しチャック50は図16及び図22に示すようにリニアガイド52を有しており、取り出しチャック51は図17及び図22に示すようにリニアガイド53を有している。ベースプレート39の上面には図16、図17、図22及び図23に示すように箱体の搬送方向と同じ向きにリニアレール54,55が設けられており、このリニアレール54,55には移動プレート56の底面に設けられたリニアガイド57,58,59,60が摺動自在に嵌合している。移動プレート56の上面には図16、図17及び図22に示すように箱体の搬送方向と直交する向きにリニアレール61,62が取り付けられており、このリニアレール61,62にはリニアガイド42,53が摺動自在に嵌合している。
【0024】
受け渡しチャック50は図示しない受け渡し開閉手段により開閉され、箱体を挟持する挟持位置と箱体の挟持を解除する解除位置とを選択的に占める。取り出しチャック51も図示しない取り出し開閉手段により開閉され、箱体を挟持する挟持位置と箱体の挟持を解除する解除位置とを選択的に占める。移動プレート56の底面には図16に示すようにボールねじ63が設けられており、このボールねじ63に対して後述する駆動手段より駆動力を伝達されることにより移動プレート56は箱体の搬送方向と同じ向きに往復動される。この往復動により移動プレート56は、図4に示すようにその上面上に配設された受け渡しチャック50が搬送コンベヤ6の搬送方向下流側端部上に位置すると共に取り出しチャック51が底部カバー16のほぼ中央に位置する取り出し位置と、受け渡しチャック50が底部カバー16のほぼ中央に位置すると共に取り出しチャック51が排出コンベヤ29上に位置する排出位置と、取り出し位置と排出位置とのほぼ中間に位置する中間位置とを選択的に占める。
【0025】
装置本体5には、各移動プレート56を往復動させる駆動手段としての正逆回転可能なステッピングモータである駆動モータ64が配設されている。駆動モータ64は図示しないブラケットを介して装置本体5に固定されており、図24に示すようにその駆動力は出力軸に設けられた2段プーリを介して左右に配設された各移動プレート56に設けられたボールねじ63に対し、左右対称に配設された複数のプーリ及び無端ベルト及びテンション機構を有する駆動力伝達手段としての駆動力伝達機構65,65を介して伝達され、駆動モータ64が正逆転することにより各移動プレート56が互いに同期して往復動され、各移動プレートは取り出し位置、排出位置、中間位置の何れかに位置決めされる。
【0026】
図25、図26、図27に示すように、各ベースプレート39の中間に位置する装置本体5上には、各ベースプレート39間の間隔を変更させるリンク機構66が配設されている。リンク機構66は、一方のベースプレート39に接続された第1リンク67と、他方のベースプレート39に接続された第2リンク68と、各リンク67,68が接続された摺動体69と、装置本体5に固定され摺動体69を箱体の搬送方向と同じ向きに摺動自在に支持する摺動レール70と、摺動レール70上における摺動体69の位置を固定すべく摺動レール70上に設けられた図示しない位置決め穴に嵌合する位置決めピン71とを有している。
【0027】
上述の構成より、位置決めピン71を位置決め穴より抜き、摺動体69を図25に示す状態から左方に移動させることにより各リンク67,68が互いに広がる向きに移動し、各リニアレール40,42,48,49によりガイドされたベースプレート39及びこれと一体的に構成されたガイド支持板36,38が互いに広がる向きに移動する。また、摺動体69を図26に示す状態から右方に移動させることにより各リンク67,68が互いに狭まる向きに移動し、ベースプレート39及びガイド支持板36,38が互いに狭まる向きに移動する。位置決めピン71が嵌合する図示しない位置決め穴の位置は、このレーザ加工装置1で使用される箱体の幅に応じた位置にベースプレート39及びガイド支持板36,38が位置すべく、複数(本実施形態では4箇所)形成されている。なお、ベースプレート39及びガイド支持板36,38の移動に追従して駆動力伝達機構65を構成する各プーリや各無端ベルトが移動し、駆動モータ64からの駆動力が各ボールねじ63に等しく伝達される。
【0028】
これにより、箱体の大きさに応じて各ガイド板7,31を位置決めでき、箱体を良好に搬送することができると共に、ベースプレート39と一体的に移動可能に設けられたレーザマーカ25の位置を箱体の側面に対して一定の位置に位置決めでき良好な画像形成を行うことができ、さらにベースプレート39と一体的に移動可能に設けられた受け渡しチャック50及び取り出しチャック51を箱体の側面に対して一定の位置に位置決めでき良好な搬送を行うことができる。なお、図25では各ベースプレート39間の間隔が最小の状態を、図26は各ベースプレート39間の間隔が最大の状態を示しているが、図26に示す状態時においても各カバー部材24がカバー18の側面に対して入り込み、レーザマーカ25から照射されたレーザが外部に漏れないように構成されている。
【0029】
上述の構成に基づき、以下に本発明のレーザ加工装置1の動作を説明する。図示しない操作パネル上の始動スイッチが押下されると、駆動モータ8が作動して無端ベルト9が走行を開始する。オペレータにより載置板10上にその両側面に黒ベタ部を有する箱体が載置されると、箱体は無端ベルト9によって図4において右方へと搬送され、位置決め位置を占めているストッパ11に突き当たって位置決めされる。この後も無端ベルト9は箱体の底面を滑りながら走行を続行する。図示しないセンサにより箱体がストッパ11に突き当たったことが検知されると、取り出し位置を占めている受け渡しチャック50が図示しない受け渡し開閉手段の作動により箱体を挟持し、受け渡しチャック50が箱体を挟持すると図示しないストッパ開閉手段が作動してストッパ11が退避位置に変位される。
【0030】
ストッパ11が退避位置を占めると同時に駆動モータ8の作動が停止され、無端ベルト9の走行が停止する。その後、駆動モータ64が正転して移動プレート56が図4において右方へと移動し、移動プレート56と一体に設けられた受け渡しチャック50に挟持されている箱体がストッパ11を通過すると、図示しないストッパ開閉手段が作動してストッパ11が位置決め位置に変位される。
【0031】
移動プレート56が排出位置を占め、受け渡しチャック50に挟持されている箱体が底部カバー16のほぼ中央に位置すると、単軸ロボット19が作動して底部カバー16が待機位置から挟持位置に移動される。底部カバー16が挟持位置を占めると、図示しない開閉手段が作動して昇降チャック20が挟持位置を占め、箱体は受け渡しチャック50と昇降チャック20とによって挟持された状態となり、昇降チャック20が挟持位置を占めたことが確認されると、図示しない受け渡し開閉手段が作動して受け渡しチャック50による箱体の挟持が解除される。その後、駆動モータ64が逆転して移動プレート56が図4において左方へと移動して中間位置において停止する。
【0032】
移動プレート56が中間位置を占めると、単軸ロボット19が作動して底部カバー16が挟持位置から加工位置へと上昇する。この上昇時において、箱体の両側面に形成されている黒ベタ部がCCDカメラ22によって読み取られ、読み取られた黒ベタ部の位置情報が図示しない制御手段に送られる。位置情報を受けた図示しない制御手段はレーザマーカ25による書き込み開始位置補正等の動作補正を行い、箱体がストッパ11によって所定の位置に位置決めされたこととの相乗作用により箱体の正規の位置に画像形成を行うことが可能となり、良好な画像を得ることができる。CCDカメラ22による黒ベタ部読み取りの際に単軸ロボット19の上昇速度を減速させ、読み取りの確実性を向上させる構成としてもよい。
【0033】
CCDカメラ22による読取動作が完了した後に底部カバー16が加工位置を占めると、単軸ロボット19の作動が停止される。このとき底部カバー16はカバー18の開放された下面に対して僅かな隙間を有して近接する位置を占めている。その後、レーザマーカ25が作動して箱体の黒ベタ部に対してバーコードを含む画像形成が行われると共に、図示しない吸引手段が作動してカバー18と各カバー部材24と底部カバー16とで囲まれた空間内の空気が通気管28を介して吸引される。このとき、カバー18と各カバー部材24と底部カバー16とで囲まれた空間がほぼ密閉状態となり、底部カバー16とカバー18との間の僅かな隙間からカバー18内に空気が流入するので、レーザマーカ25より照射されたレーザが外部に及ぼす影響が低減されて安全性を高めることができると共に、図示しない吸引手段がレーザ照射時に空間内に発生する印字カス等の不要物をレーザ加工装置が設置されたエリアに漏らすことなく吸引するので環境に及ぼす悪影響を低減することができる。吸引された不要物は図示しないフィルタにより吸着される。
【0034】
レーザマーカ25によるバーコードを含んだ画像形成が終了すると、レーザマーカ25及び図示しない吸引手段の作動が停止される。このとき、画像形成直後の不要物がカバー18内に残留している場合があるので、時間差をおいて上述した吸引手段を停止させてもよい。その後、単軸ロボット19が作動して底部カバー16が加工位置から挟持位置へと下降し、この下降時において箱体の両側面に形成されたバーコードがバーコードリーダ23によって読み取られ、読み取られた情報が図示しない制御手段に送られる。このとき、バーコードが正常に形成されていない場合には警告が報知される。バーコードリーダ23によるバーコード読み取りの際に単軸ロボット19の下降速度を減速させ、読み取りの確実性を向上させる構成としてもよい。
【0035】
底部カバー16が挟持位置を占めると単軸ロボット19の作動が停止され、次いで駆動モータ64が逆転して移動プレート56が中間位置から図4において左方へと移動して取り出し位置において停止する。移動プレート56が取り出し位置を占め取り出しチャック51が底部カバー16のほぼ中央に位置すると、図示しない取り出し開閉手段の作動により取り出しチャック51が挟持位置を占め、箱体は取り出しチャック51と昇降チャック20とによって挟持された状態となる。取り出しチャック51が挟持位置を占めたことが確認されると、図示しない開閉手段が作動して昇降チャック20による箱体の挟持が解除された後、駆動モータ64が正転して移動プレート56が図4において右方へと移動して排出位置において停止する。
【0036】
移動プレート56が排出位置を占め、取り出しチャック51に挟持されている箱体が排出コンベヤ29上に位置すると、図示しない取り出し開閉手段が作動して取り出しチャック51による箱体の挟持が解除されると共に、駆動モータ33が作動して各無端ベルト34が図21に矢印で示す向きへの走行を開始する。取り出しチャック51による挟持が解除された箱体は走行する各無端ベルト34によって図4において右方へと搬送され、各コロコンベヤ30へと受け渡される。コロコンベヤ30へと受け渡された箱体は、各コロコンベヤ30の傾斜と自重との作用によりさらに右方へと搬送され、エンドフェンス32に突き当たって停止する。図示しないセンサにより箱体が排出コンベヤ29上を通過したことが検知されると、駆動モータ33の作動が停止して各無端ベルト34の走行が停止する。その後、駆動モータ64が逆転して移動プレート56が図4において左方へと移動して取り出し位置において停止すると共に、単軸ロボット19が作動して底部カバー16が待機位置を占め、レーザ加工装置1が初期状態となる。
【0037】
レーザ加工装置1が初期状態となった後、図示しないセンサにより箱体がストッパ11に突き当たったことが検知されると上述の動作が繰り返され、この動作は図示しないセンサにより箱体11がストッパ11に突き当たったことが検知されなくなるまで繰り返される。また、バーコードが正常に形成されずに警告が報知された箱体は、排出部4に排出された時点でオペレータによって排除される。この構成により、ワークに対してレーザマーカ25により製品表示を行うことが可能となり、コストアップすることなくかつ作業効率を悪化させることなく製品表示を行うことができる。
【0038】
上記実施形態において、箱体のサイズが変更された場合には位置決めピン71を引いて摺動レール70上において摺動体69を摺動させ、ベースプレート39及びこれと一体的に移動する各ガイド板7,38を移動させ、使用する箱体のサイズに合わせた位置で位置決めピン71により摺動体69を固定する。これにより各ガイド板7,38間の間隔、各レーザ照射装置21間の間隔、各チャック50,51間の間隔を簡単な操作で一括して調整することができ、複数のサイズの箱体に対してもレーザマーカ25により製品表示を行うことが可能となり、コストアップすることなくかつ作業効率を悪化させることなく製品表示を行うことができる。
【0039】
上記実施形態では、各レーザ照射装置21によって箱体の両側面に形成される画像について特に言及しなかったが、各画像はそれぞれ同じ画像でもよいし互いに異なる画像であってもよい。また、上記実施形態では箱体の搬送経路の上方にレーザマーカ25を配置した例を示したが、レーザマーカ25を箱体の搬送経路の下方に配置した構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略側面図である。
【図3】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略平面図である。
【図4】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略正面断面図である。
【図5】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略側断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に用いられる搬送コンベヤを示す概略斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態における小さな箱体を用いた場合のストッパの位置を説明する概略斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態における大きな箱体を用いた場合のストッパの位置を説明する概略斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に用いられる位置決め位置を占めたストッパを説明する概略斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に用いられる退避位置を占めたストッパを説明する概略斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態に用いられる底部カバー及び単軸ロボット及び昇降チャックを示す概略斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態における挟持位置を占めた底部カバーを示す概略斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態における挟持位置を占めた底部カバーを示す概略正面断面図である。
【図14】本発明の一実施形態における加工位置を占めた底部カバーを示す概略斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態における加工位置を占めた底部カバーを示す概略正面断面図である。
【図16】本発明の一実施形態に用いられるレーザ加工部を示す概略側面図である。
【図17】本発明の一実施形態に用いられるレーザ加工部及び受け渡しチャック及び取り出しチャックを示す概略斜視図である。
【図18】本発明の一実施形態における小さな箱体を用いた場合のレーザマーカの位置を説明する概略正面図である。
【図19】本発明の一実施形態における大きな箱体を用いた場合のレーザマーカの位置を説明する概略正面図である。
【図20】本発明の一実施形態に用いられるカバー及びその周辺部材を説明する概略斜視図である。
【図21】本発明の一実施形態に用いられる排出コンベヤ及びコロコンベヤを示す概略斜視図である。
【図22】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の構成を説明する概略斜視図である。
【図23】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の構成を説明する概略斜視図である。
【図24】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の移動機構及びベースプレートの駆動手段並びに駆動力伝達機構を説明する概略斜視図である。
【図25】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の位置調整を説明する概略平面図である。
【図26】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の位置調整を説明する概略平面図である。
【図27】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の位置調整機構を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 レーザ加工装置
2 搬送部
3 レーザ加工部
4 排出部
7 搬入ガイド板(ガイド板)
14,15 箱体
14a,15a 黒ベタ部
25 レーザ照射部(レーザマーカ)
31 搬出ガイド板(ガイド板)
50 受け渡し手段(受け渡しチャック)
51 取り出し手段(取り出しチャック)
65 駆動力伝達手段(駆動力伝達機構)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対してレーザ加工を行うレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
孔版印刷装置や電子写真式複写装置等の画像形成装置においては、それぞれインキやトナー等の消耗品を使用して画像形成を行っている。このような消耗品では、例えば国外向け製品等のそれぞれ異なる言語表示がなされた製品を生産する場合や、A社製品をOEMによってB社製品やC社製品として生産する場合がある。このとき、同じ製品の外箱にそれぞれ異なる製品表示を行う必要があるが、従来は各国の仕様に合わせて印刷された外箱を予め準備したり、インクジェット方式等により個々に画像形成を行ったり、それぞれ異なるシールを貼付したりして製品表示を行っていた。しかしこれらの方法では、インクジェットのインクやシール等のランニングコストが嵩むと共に、シールを用いる方法ではシールを貼付する工程が余計に加わるため、コストアップしてしまうと共に作業効率が悪化してしまうという問題点がある。そこで、箱体に対してレーザにより直接的に画像形成を行うことが考えられる。
【0003】
【特許文献1】特開平7−156539号公報
【特許文献2】特開平11−28588号公報
【特許文献3】特開2003−291535号公報
【特許文献4】特開2006−7312号公報
【特許文献5】特開2006−272355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上述の方法では箱体に対して直接レーザ照射を行うため、レーザを照射するレーザ照射部から画像形成が行われる箱体の面までの距離が常に同じでないと画像形成が行えず、さらに箱体として複数のサイズのものが存在することから、箱体の一つの面に画像形成を行う場合にはそれほど問題とはならないが、箱体の互いに対向する面に対して同時に画像形成を行う場合には、箱体のサイズが変化する場合にレーザ照射部や箱体の搬送をガイドするガイド板等を箱体のサイズに合わせて位置調整する必要があり、この調整動作が非常に面倒であるという問題点がある。箱体の互いに対向する面に対して同時に画像形成を行うのは、何れかの面に画像形成をしておけば輸送時や保管時に箱体を積載した際に、何れかの面を視認することができるので箱体の向きを気にする必要がなくなる等のメリットがあるからである。
【0005】
本発明は上述の問題点を解決し、箱体のサイズが複数の場合であっても各箱体のサイズに合わせて簡単にレーザマーカにより製品表示を行うことが可能なレーザ加工装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、箱体の互いに対向する2つの側面に同時にレーザ加工を行うレーザ加工装置であって、前記各側面にそれぞれ対向して配設された2つのレーザ照射部を有するレーザ加工部と、加工前の箱体を前記レーザ加工部まで搬送する搬送部と、加工後の箱体を前記レーザ加工部より排出する排出部とを具備し、前記各側面にそれぞれ設けられた黒ベタ部に対して前記各レーザ照射部から照射されたレーザによって所定の画像を同時に形成するレーザ加工装置において、前記搬送部は前記箱体の搬送をガイドする少なくとも1対の搬入ガイド板を有すると共に前記排出部は前記箱体の搬送をガイドする少なくとも1対の搬出ガイド板を有し、前記各レーザ照射部間の間隔及び前記各搬入ガイド板間の間隔及び前記各搬出ガイド板間の間隔は前記箱体のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のレーザ加工装置において、さらに搬送された箱体を挟持して前記レーザ加工部に受け渡す受け渡し手段と、レーザ加工された箱体を挟持して前記レーザ加工部より取り出す取り出し手段とを有し、前記受け渡し手段の挟持間隔及び前記取り出し手段の挟持間隔は前記箱体のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のレーザ加工装置において、さらに前記受け渡し手段及び前記取り出し手段に駆動力を伝達する駆動力伝達手段を有し、該駆動力伝達手段は前記受け渡し手段及び前記取り出し手段が箱体のサイズに応じて移動された際にこれに追従して移動可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各ガイド板間の間隔、各レーザ照射部間の間隔を簡単な操作で一括して調整することができ、複数のサイズの箱体に対しても各レーザ照射部により製品表示を行うことが可能となり、コストアップすることなくかつ作業効率を悪化させることなく製品表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の正面図を、図2は同側面図を、図3は同平面図を、図4は同正面断面図を、図5は同側断面図をそれぞれ示している。同図においてレーザ加工装置1は、搬送部2、レーザ加工部3、排出部4等を有しており、搬送部2、レーザ加工部3、排出部4はそれぞれ共通の装置本体5によって支持されている。
【0011】
搬送部2は、レーザ加工が行われるワークとしての箱体をレーザ加工部3に搬送する搬送コンベヤ6、搬送コンベヤ6上に載置された箱体をガイドする搬入ガイド板としての一対のガイド板7等を有している。図6に示すように、搬送コンベヤ6は駆動モータ8によって図6の矢印方向に走行駆動される一対の無端ベルト9を有しており、各無端ベルト9上に載置された箱体を図1及び図4において右方へと搬送する。各無端ベルト9の走行方向上流側端部上部には、搬送される箱体を載置する載置板10が設けられており、同走行方向下流側端部には搬送されてきた箱体を停止させる位置決め部材としての2つのストッパ11が設けられている。
【0012】
各ストッパ11は、図6に一方のみ示すストッパ支軸12に摺動自在に支持されており、一体的に設けられた位置決めピン13によってストッパ支軸12の適宜の位置に位置決めされる。本実施形態で示すレーザ加工装置1では、被加工物であるワークとして、例えばフレキソ印刷等により形成された図7に示す黒ベタ部14aを有する小さな箱体14から図8に示す黒ベタ部15aを有する大きな箱体15までの4種類の箱体に対応する構成を採用している。各黒ベタ部14a,15aは、それぞれ各箱体14,15の両側面右下の同一位置に同一面積で形成されている。上述の構成により、ワークとして図7に示すように小さな箱体14が搬送される場合及び図8に示すように大きな箱体15が搬送される場合の何れにおいても、各図の手前側に示すストッパ11から黒ベタ部14a,15aまでの距離を一定とすることができる。なお、各図の奥側に示すストッパ11から黒ベタ部14a,15aまでの距離は、箱体のサイズ毎にそれぞれ一定となる。また、各ストッパ支軸12は図示しないストッパ開閉手段にそれぞれ回動自在に支持されており、図示しないストッパ開閉手段は各ストッパ支軸12を同期して互いに逆方向に回動させる。この構成により各ストッパ11は、図9に示すように箱体を位置決めさせる位置決め位置と、図10に示すように箱体がレーザ加工部3へと平行移動する際にその移動を妨げない退避位置とを選択的に占める。
【0013】
レーザ加工部3は、図4及び図5に示す底部カバー16、レーザ加工ユニット17、カバー18等を有している。矩形板状の底部カバー16は昇降手段としての単軸ロボット19によって上下動自在に支持されており、図11に示すようにその上面には底部カバー16上において箱体を固定すべく挟持する開閉自在な昇降チャック20が配設されている。昇降チャック20は図示しない開閉手段により開閉され、箱体を挟持する挟持位置と箱体の挟持を解除する解除位置とを選択的に占める。
【0014】
単軸ロボット19は底部カバー16を任意の位置において位置決め可能に構成されており、本実施形態においては底部カバー16を、図4に示すように無端ベルト9上から平行移動される箱体に対して昇降チャック20が干渉しない待機位置、図12、図13に示すように無端ベルト9の上面と同じ高さであり昇降チャック20によって箱体の挟持及び解除が行われる挟持位置、図14、図15に示すように箱体へのレーザ加工が行われる加工位置の何れかに位置決めする。また単軸ロボット19は、底部カバー16の上昇時及び下降時における速度を任意に調整可能に構成されている。
【0015】
レーザ加工部17は、図16、図17、図18、図19に示すように、レーザ照射装置21、ベタ部位置検知手段としてのCCDカメラ22、符号情報読取装置としてのバーコードリーダ23、カバー部材24等を有しており、箱体の黒ベタ部が形成された各側面と対応すべく図2、図5に示すように2つ設けられている。
【0016】
レーザ照射装置21は、図18、図19に示すようにその内部にレーザ照射部としての周知のレーザマーカ25を有しており、箱体に形成された黒ベタ部に対してレーザマーカ25よりレーザを照射し、黒ベタ部を形成するインキを削り落として画像を形成する。レーザマーカ25は、図18に示すように小さな箱体14に加工を行う場合と図19に示すように大きな箱体15に加工を行う場合とでは各黒ベタ部14a,15aの位置が異なるため(箱体14aでは左右の黒ベタ部14aの位置が箱体14の左右対称である同じ位置にあるが、箱体15では左右の黒ベタ部15aの位置が左右対称ではない;図19において図示されているレーザマーカ25は図示されている黒ベタ部15aの反対側の側面に形成されている黒ベタ部15aを加工する)、各箱体の黒ベタ部の位置に応じて手動で位置決め可能(本実施形態では4種類)に構成されている。レーザマーカ25の位置は、ストッパ11により位置決めされた箱体が底部カバー16上に搬送されて昇降チャック20により挟持された後に単軸ロボット19により加工位置に位置決めされた際に、箱体に形成された黒ベタ部と対応する位置となるように位置決めされる。
【0017】
CCDカメラ22は、昇降チャック20により底部カバー16上に挟持された箱体が挟持位置から加工位置へと上昇する途中で黒ベタ部の位置を読み取り、レーザ照射装置21の動作を制御する図示しない制御手段に黒ベタ部の位置情報を送信する。位置情報を受けた図示しない制御手段は予め設定されている黒ベタ部の位置情報と送られた位置情報とから補正を行い、レーザマーカ25の動作補正を行う。これによりレーザマーカ25から黒ベタ部へとレーザが正確に照射され、箱体の正規の位置に画像が形成される。
【0018】
バーコードリーダ23は、昇降チャック20により底部カバー16上に挟持されレーザマーカ25により周知のバーコードを含む画像が形成された箱体が加工位置から挟持位置へと下降する途中で画像形成されたバーコードを読み取り、読み取った情報を図示しない制御手段に送信する。情報を受けた図示しない制御手段はバーコードが正常に形成されているか否かを判断し、バーコードが正常に形成されていない場合には図示しない制御手段が図示しない警報手段、例えばブザー等に動作信号を送り警告を報知する。図16において符号Lは、バーコード読み取りのためにバーコードリーダ23から発せられる半導体レーザやLEDからなる走査光を示している。本実施形態では箱体にバーコードが形成されこれをバーコードリーダで読み取る構成を示したが、箱体に2次元コードを形成してこれを専用の読取装置で読み取る構成、箱体に文字等を形成してこれをOCRで読み取る構成を採用してもよい。
【0019】
アクリル樹脂製のカバー部材24は、レーザ照射装置21の上部であってレーザマーカ25を覆う位置に取り付けられている。各カバー部材24の側面には、カバー部材24の内部と外気とを連通する通気口26aを有するダクト26がそれぞれ設けられている。
各カバー部材24の間の位置にはアクリル樹脂製の板材であるカバー18が配設されている。両側面及び下面が開放されたコ字形状を呈するカバー18は、図20に示すようにレーザ加工部3を構成する不動部材に固定されており、その上面には通気口27a,27b,27cを有するダクト27が配設されている。カバー18の開放された両側面には各カバー部材24が摺動自在に嵌入され、カバー18の開放された下面には加工位置を占めた底部カバー16が僅かな隙間を有して近接する。通気口27aは図示しない吸引手段に接続されており、通気口27b,27cは図2に示すように通気管28を介して各通気口26aに接続されている。この構成により、図示しない吸引手段が作動することでカバー18と各カバー部材24と底部カバー16とで囲まれた空間内の空気が吸引される。
【0020】
搬送部4は、レーザ加工が行われた箱体を排出する排出コンベヤ29、排出コンベヤ29によって排出された箱体を搬送するコロコンベヤ30、コロコンベヤ30上に載置された箱体をガイドする搬出ガイド板としての一対のガイド板31、箱体を受け止めるエンドフェンス32等を有している。図21に示すように、排出コンベヤ29は駆動モータ33によって図21の矢印方向に走行駆動される一対の無端ベルト34を有しており、各無端ベルト34上に載置された箱体を図1及び図4において右方へと搬送する。排出コンベヤ29の走行方向下流側端部には図示しない箱体検知センサが設けられており、この箱体検知センサによって排出コンベヤ29上を箱体が通り過ぎたことが検知される。
【0021】
図1において排出コンベヤ29の右方には一対のコロコンベヤ30が配設されている。コロコンベヤ30は、複数の回転自在なコロを有する周知の構成であり、箱体の搬送方向上流側から下流側にかけて下方に傾斜する態様で配設されている。この構成により、排出コンベヤ29によって搬送された箱体は自重によりコロコンベヤ30上を下流へと搬送される。コロコンベヤ30の長さは、箱体を複数載置可能である所定の長さに定められている。図1においてコロコンベヤ30の右側端部には、コロコンベヤ30上を搬送されてきた箱体を受け止めるエンドフェンス32が固定されている。
【0022】
ここで、各ガイド板7,31について説明する。図22、図23に示すように、ガイド板7は複数の支柱35を介してガイド支持板36に固定されており、ガイド板31も複数の支柱37を介してガイド支持板38に固定されている。ガイド支持板36の一端はレーザ照射装置21を支持するベースプレート39の一端に取り付けられており、その他端には装置本体6に箱体の搬送方向と直交する向きに取り付けられたリニアレール40に摺動自在に嵌合するリニアガイド41が取り付けられている。ガイド支持板38の一端もベースプレート39の他端に取り付けられており、その他端には装置本体6にリニアレール40と同じ向きに取り付けられたリニアレール42に摺動自在に嵌合するリニアガイド43が取り付けられている。ベースプレート39の底面にはリニアガイド44,45,46,47が取り付けられており、各リニアガイド44,45は装置本体6にリニアレール40と同じ向きに取り付けられたリニアレール48に、各リニアガイド46,47は同リニアレール49にそれぞれ摺動自在に嵌合している。図22及び図23では、箱体の搬送方向の一側(装置正面から見て奥側)に配置されたガイド板7,31及びレーザ照射装置21のみを示したが、箱体の搬送経路を介してこれと対称にもう一組のガイド板7,31及びレーザ照射装置21が配置されている。
【0023】
ベースプレート39の上面上には、受け渡し手段としての一対の受け渡しチャック50と取り出し手段としての一対の取り出しチャック51とが配設されている。受け渡しチャック50は図16及び図22に示すようにリニアガイド52を有しており、取り出しチャック51は図17及び図22に示すようにリニアガイド53を有している。ベースプレート39の上面には図16、図17、図22及び図23に示すように箱体の搬送方向と同じ向きにリニアレール54,55が設けられており、このリニアレール54,55には移動プレート56の底面に設けられたリニアガイド57,58,59,60が摺動自在に嵌合している。移動プレート56の上面には図16、図17及び図22に示すように箱体の搬送方向と直交する向きにリニアレール61,62が取り付けられており、このリニアレール61,62にはリニアガイド42,53が摺動自在に嵌合している。
【0024】
受け渡しチャック50は図示しない受け渡し開閉手段により開閉され、箱体を挟持する挟持位置と箱体の挟持を解除する解除位置とを選択的に占める。取り出しチャック51も図示しない取り出し開閉手段により開閉され、箱体を挟持する挟持位置と箱体の挟持を解除する解除位置とを選択的に占める。移動プレート56の底面には図16に示すようにボールねじ63が設けられており、このボールねじ63に対して後述する駆動手段より駆動力を伝達されることにより移動プレート56は箱体の搬送方向と同じ向きに往復動される。この往復動により移動プレート56は、図4に示すようにその上面上に配設された受け渡しチャック50が搬送コンベヤ6の搬送方向下流側端部上に位置すると共に取り出しチャック51が底部カバー16のほぼ中央に位置する取り出し位置と、受け渡しチャック50が底部カバー16のほぼ中央に位置すると共に取り出しチャック51が排出コンベヤ29上に位置する排出位置と、取り出し位置と排出位置とのほぼ中間に位置する中間位置とを選択的に占める。
【0025】
装置本体5には、各移動プレート56を往復動させる駆動手段としての正逆回転可能なステッピングモータである駆動モータ64が配設されている。駆動モータ64は図示しないブラケットを介して装置本体5に固定されており、図24に示すようにその駆動力は出力軸に設けられた2段プーリを介して左右に配設された各移動プレート56に設けられたボールねじ63に対し、左右対称に配設された複数のプーリ及び無端ベルト及びテンション機構を有する駆動力伝達手段としての駆動力伝達機構65,65を介して伝達され、駆動モータ64が正逆転することにより各移動プレート56が互いに同期して往復動され、各移動プレートは取り出し位置、排出位置、中間位置の何れかに位置決めされる。
【0026】
図25、図26、図27に示すように、各ベースプレート39の中間に位置する装置本体5上には、各ベースプレート39間の間隔を変更させるリンク機構66が配設されている。リンク機構66は、一方のベースプレート39に接続された第1リンク67と、他方のベースプレート39に接続された第2リンク68と、各リンク67,68が接続された摺動体69と、装置本体5に固定され摺動体69を箱体の搬送方向と同じ向きに摺動自在に支持する摺動レール70と、摺動レール70上における摺動体69の位置を固定すべく摺動レール70上に設けられた図示しない位置決め穴に嵌合する位置決めピン71とを有している。
【0027】
上述の構成より、位置決めピン71を位置決め穴より抜き、摺動体69を図25に示す状態から左方に移動させることにより各リンク67,68が互いに広がる向きに移動し、各リニアレール40,42,48,49によりガイドされたベースプレート39及びこれと一体的に構成されたガイド支持板36,38が互いに広がる向きに移動する。また、摺動体69を図26に示す状態から右方に移動させることにより各リンク67,68が互いに狭まる向きに移動し、ベースプレート39及びガイド支持板36,38が互いに狭まる向きに移動する。位置決めピン71が嵌合する図示しない位置決め穴の位置は、このレーザ加工装置1で使用される箱体の幅に応じた位置にベースプレート39及びガイド支持板36,38が位置すべく、複数(本実施形態では4箇所)形成されている。なお、ベースプレート39及びガイド支持板36,38の移動に追従して駆動力伝達機構65を構成する各プーリや各無端ベルトが移動し、駆動モータ64からの駆動力が各ボールねじ63に等しく伝達される。
【0028】
これにより、箱体の大きさに応じて各ガイド板7,31を位置決めでき、箱体を良好に搬送することができると共に、ベースプレート39と一体的に移動可能に設けられたレーザマーカ25の位置を箱体の側面に対して一定の位置に位置決めでき良好な画像形成を行うことができ、さらにベースプレート39と一体的に移動可能に設けられた受け渡しチャック50及び取り出しチャック51を箱体の側面に対して一定の位置に位置決めでき良好な搬送を行うことができる。なお、図25では各ベースプレート39間の間隔が最小の状態を、図26は各ベースプレート39間の間隔が最大の状態を示しているが、図26に示す状態時においても各カバー部材24がカバー18の側面に対して入り込み、レーザマーカ25から照射されたレーザが外部に漏れないように構成されている。
【0029】
上述の構成に基づき、以下に本発明のレーザ加工装置1の動作を説明する。図示しない操作パネル上の始動スイッチが押下されると、駆動モータ8が作動して無端ベルト9が走行を開始する。オペレータにより載置板10上にその両側面に黒ベタ部を有する箱体が載置されると、箱体は無端ベルト9によって図4において右方へと搬送され、位置決め位置を占めているストッパ11に突き当たって位置決めされる。この後も無端ベルト9は箱体の底面を滑りながら走行を続行する。図示しないセンサにより箱体がストッパ11に突き当たったことが検知されると、取り出し位置を占めている受け渡しチャック50が図示しない受け渡し開閉手段の作動により箱体を挟持し、受け渡しチャック50が箱体を挟持すると図示しないストッパ開閉手段が作動してストッパ11が退避位置に変位される。
【0030】
ストッパ11が退避位置を占めると同時に駆動モータ8の作動が停止され、無端ベルト9の走行が停止する。その後、駆動モータ64が正転して移動プレート56が図4において右方へと移動し、移動プレート56と一体に設けられた受け渡しチャック50に挟持されている箱体がストッパ11を通過すると、図示しないストッパ開閉手段が作動してストッパ11が位置決め位置に変位される。
【0031】
移動プレート56が排出位置を占め、受け渡しチャック50に挟持されている箱体が底部カバー16のほぼ中央に位置すると、単軸ロボット19が作動して底部カバー16が待機位置から挟持位置に移動される。底部カバー16が挟持位置を占めると、図示しない開閉手段が作動して昇降チャック20が挟持位置を占め、箱体は受け渡しチャック50と昇降チャック20とによって挟持された状態となり、昇降チャック20が挟持位置を占めたことが確認されると、図示しない受け渡し開閉手段が作動して受け渡しチャック50による箱体の挟持が解除される。その後、駆動モータ64が逆転して移動プレート56が図4において左方へと移動して中間位置において停止する。
【0032】
移動プレート56が中間位置を占めると、単軸ロボット19が作動して底部カバー16が挟持位置から加工位置へと上昇する。この上昇時において、箱体の両側面に形成されている黒ベタ部がCCDカメラ22によって読み取られ、読み取られた黒ベタ部の位置情報が図示しない制御手段に送られる。位置情報を受けた図示しない制御手段はレーザマーカ25による書き込み開始位置補正等の動作補正を行い、箱体がストッパ11によって所定の位置に位置決めされたこととの相乗作用により箱体の正規の位置に画像形成を行うことが可能となり、良好な画像を得ることができる。CCDカメラ22による黒ベタ部読み取りの際に単軸ロボット19の上昇速度を減速させ、読み取りの確実性を向上させる構成としてもよい。
【0033】
CCDカメラ22による読取動作が完了した後に底部カバー16が加工位置を占めると、単軸ロボット19の作動が停止される。このとき底部カバー16はカバー18の開放された下面に対して僅かな隙間を有して近接する位置を占めている。その後、レーザマーカ25が作動して箱体の黒ベタ部に対してバーコードを含む画像形成が行われると共に、図示しない吸引手段が作動してカバー18と各カバー部材24と底部カバー16とで囲まれた空間内の空気が通気管28を介して吸引される。このとき、カバー18と各カバー部材24と底部カバー16とで囲まれた空間がほぼ密閉状態となり、底部カバー16とカバー18との間の僅かな隙間からカバー18内に空気が流入するので、レーザマーカ25より照射されたレーザが外部に及ぼす影響が低減されて安全性を高めることができると共に、図示しない吸引手段がレーザ照射時に空間内に発生する印字カス等の不要物をレーザ加工装置が設置されたエリアに漏らすことなく吸引するので環境に及ぼす悪影響を低減することができる。吸引された不要物は図示しないフィルタにより吸着される。
【0034】
レーザマーカ25によるバーコードを含んだ画像形成が終了すると、レーザマーカ25及び図示しない吸引手段の作動が停止される。このとき、画像形成直後の不要物がカバー18内に残留している場合があるので、時間差をおいて上述した吸引手段を停止させてもよい。その後、単軸ロボット19が作動して底部カバー16が加工位置から挟持位置へと下降し、この下降時において箱体の両側面に形成されたバーコードがバーコードリーダ23によって読み取られ、読み取られた情報が図示しない制御手段に送られる。このとき、バーコードが正常に形成されていない場合には警告が報知される。バーコードリーダ23によるバーコード読み取りの際に単軸ロボット19の下降速度を減速させ、読み取りの確実性を向上させる構成としてもよい。
【0035】
底部カバー16が挟持位置を占めると単軸ロボット19の作動が停止され、次いで駆動モータ64が逆転して移動プレート56が中間位置から図4において左方へと移動して取り出し位置において停止する。移動プレート56が取り出し位置を占め取り出しチャック51が底部カバー16のほぼ中央に位置すると、図示しない取り出し開閉手段の作動により取り出しチャック51が挟持位置を占め、箱体は取り出しチャック51と昇降チャック20とによって挟持された状態となる。取り出しチャック51が挟持位置を占めたことが確認されると、図示しない開閉手段が作動して昇降チャック20による箱体の挟持が解除された後、駆動モータ64が正転して移動プレート56が図4において右方へと移動して排出位置において停止する。
【0036】
移動プレート56が排出位置を占め、取り出しチャック51に挟持されている箱体が排出コンベヤ29上に位置すると、図示しない取り出し開閉手段が作動して取り出しチャック51による箱体の挟持が解除されると共に、駆動モータ33が作動して各無端ベルト34が図21に矢印で示す向きへの走行を開始する。取り出しチャック51による挟持が解除された箱体は走行する各無端ベルト34によって図4において右方へと搬送され、各コロコンベヤ30へと受け渡される。コロコンベヤ30へと受け渡された箱体は、各コロコンベヤ30の傾斜と自重との作用によりさらに右方へと搬送され、エンドフェンス32に突き当たって停止する。図示しないセンサにより箱体が排出コンベヤ29上を通過したことが検知されると、駆動モータ33の作動が停止して各無端ベルト34の走行が停止する。その後、駆動モータ64が逆転して移動プレート56が図4において左方へと移動して取り出し位置において停止すると共に、単軸ロボット19が作動して底部カバー16が待機位置を占め、レーザ加工装置1が初期状態となる。
【0037】
レーザ加工装置1が初期状態となった後、図示しないセンサにより箱体がストッパ11に突き当たったことが検知されると上述の動作が繰り返され、この動作は図示しないセンサにより箱体11がストッパ11に突き当たったことが検知されなくなるまで繰り返される。また、バーコードが正常に形成されずに警告が報知された箱体は、排出部4に排出された時点でオペレータによって排除される。この構成により、ワークに対してレーザマーカ25により製品表示を行うことが可能となり、コストアップすることなくかつ作業効率を悪化させることなく製品表示を行うことができる。
【0038】
上記実施形態において、箱体のサイズが変更された場合には位置決めピン71を引いて摺動レール70上において摺動体69を摺動させ、ベースプレート39及びこれと一体的に移動する各ガイド板7,38を移動させ、使用する箱体のサイズに合わせた位置で位置決めピン71により摺動体69を固定する。これにより各ガイド板7,38間の間隔、各レーザ照射装置21間の間隔、各チャック50,51間の間隔を簡単な操作で一括して調整することができ、複数のサイズの箱体に対してもレーザマーカ25により製品表示を行うことが可能となり、コストアップすることなくかつ作業効率を悪化させることなく製品表示を行うことができる。
【0039】
上記実施形態では、各レーザ照射装置21によって箱体の両側面に形成される画像について特に言及しなかったが、各画像はそれぞれ同じ画像でもよいし互いに異なる画像であってもよい。また、上記実施形態では箱体の搬送経路の上方にレーザマーカ25を配置した例を示したが、レーザマーカ25を箱体の搬送経路の下方に配置した構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略側面図である。
【図3】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略平面図である。
【図4】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略正面断面図である。
【図5】本発明の一実施形態を採用したレーザ加工装置の概略側断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に用いられる搬送コンベヤを示す概略斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態における小さな箱体を用いた場合のストッパの位置を説明する概略斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態における大きな箱体を用いた場合のストッパの位置を説明する概略斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に用いられる位置決め位置を占めたストッパを説明する概略斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に用いられる退避位置を占めたストッパを説明する概略斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態に用いられる底部カバー及び単軸ロボット及び昇降チャックを示す概略斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態における挟持位置を占めた底部カバーを示す概略斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態における挟持位置を占めた底部カバーを示す概略正面断面図である。
【図14】本発明の一実施形態における加工位置を占めた底部カバーを示す概略斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態における加工位置を占めた底部カバーを示す概略正面断面図である。
【図16】本発明の一実施形態に用いられるレーザ加工部を示す概略側面図である。
【図17】本発明の一実施形態に用いられるレーザ加工部及び受け渡しチャック及び取り出しチャックを示す概略斜視図である。
【図18】本発明の一実施形態における小さな箱体を用いた場合のレーザマーカの位置を説明する概略正面図である。
【図19】本発明の一実施形態における大きな箱体を用いた場合のレーザマーカの位置を説明する概略正面図である。
【図20】本発明の一実施形態に用いられるカバー及びその周辺部材を説明する概略斜視図である。
【図21】本発明の一実施形態に用いられる排出コンベヤ及びコロコンベヤを示す概略斜視図である。
【図22】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の構成を説明する概略斜視図である。
【図23】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の構成を説明する概略斜視図である。
【図24】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の移動機構及びベースプレートの駆動手段並びに駆動力伝達機構を説明する概略斜視図である。
【図25】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の位置調整を説明する概略平面図である。
【図26】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の位置調整を説明する概略平面図である。
【図27】本発明の一実施形態に用いられるレーザ照射装置及び受け渡しチャック及び取り出しチャック及び各ガイド板の位置調整機構を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 レーザ加工装置
2 搬送部
3 レーザ加工部
4 排出部
7 搬入ガイド板(ガイド板)
14,15 箱体
14a,15a 黒ベタ部
25 レーザ照射部(レーザマーカ)
31 搬出ガイド板(ガイド板)
50 受け渡し手段(受け渡しチャック)
51 取り出し手段(取り出しチャック)
65 駆動力伝達手段(駆動力伝達機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の互いに対向する2つの側面に同時にレーザ加工を行うレーザ加工装置であって、
前記各側面にそれぞれ対向して配設された2つのレーザ照射部を有するレーザ加工部と、加工前の箱体を前記レーザ加工部まで搬送する搬送部と、加工後の箱体を前記レーザ加工部より排出する排出部とを具備し、前記各側面にそれぞれ設けられた黒ベタ部に対して前記各レーザ照射部から照射されたレーザによって所定の画像を同時に形成するレーザ加工装置において、
前記搬送部は前記箱体の搬送をガイドする少なくとも1対の搬入ガイド板を有すると共に前記排出部は前記箱体の搬送をガイドする少なくとも1対の搬出ガイド板を有し、前記各レーザ照射部間の間隔及び前記各搬入ガイド板間の間隔及び前記各搬出ガイド板間の間隔は前記箱体のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーザ加工装置において、
搬送された箱体を挟持して前記レーザ加工部に受け渡す受け渡し手段と、レーザ加工された箱体を挟持して前記レーザ加工部より取り出す取り出し手段とを有し、前記受け渡し手段の挟持間隔及び前記取り出し手段の挟持間隔は前記箱体のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項2記載のレーザ加工装置において、
前記受け渡し手段及び前記取り出し手段に駆動力を伝達する駆動力伝達手段を有し、該駆動力伝達手段は前記受け渡し手段及び前記取り出し手段が箱体のサイズに応じて移動された際にこれに追従して移動可能に構成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項1】
箱体の互いに対向する2つの側面に同時にレーザ加工を行うレーザ加工装置であって、
前記各側面にそれぞれ対向して配設された2つのレーザ照射部を有するレーザ加工部と、加工前の箱体を前記レーザ加工部まで搬送する搬送部と、加工後の箱体を前記レーザ加工部より排出する排出部とを具備し、前記各側面にそれぞれ設けられた黒ベタ部に対して前記各レーザ照射部から照射されたレーザによって所定の画像を同時に形成するレーザ加工装置において、
前記搬送部は前記箱体の搬送をガイドする少なくとも1対の搬入ガイド板を有すると共に前記排出部は前記箱体の搬送をガイドする少なくとも1対の搬出ガイド板を有し、前記各レーザ照射部間の間隔及び前記各搬入ガイド板間の間隔及び前記各搬出ガイド板間の間隔は前記箱体のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーザ加工装置において、
搬送された箱体を挟持して前記レーザ加工部に受け渡す受け渡し手段と、レーザ加工された箱体を挟持して前記レーザ加工部より取り出す取り出し手段とを有し、前記受け渡し手段の挟持間隔及び前記取り出し手段の挟持間隔は前記箱体のサイズに応じて互いに連動して一括で変更可能に構成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項2記載のレーザ加工装置において、
前記受け渡し手段及び前記取り出し手段に駆動力を伝達する駆動力伝達手段を有し、該駆動力伝達手段は前記受け渡し手段及び前記取り出し手段が箱体のサイズに応じて移動された際にこれに追従して移動可能に構成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2009−183960(P2009−183960A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24321(P2008−24321)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
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