説明

レーザ加工装置

【課題】簡易な構成で正確な加工を施すことができるレーザ加工装置を提供すること。
【解決手段】レーザ加工装置1は、ベルトコンベア50によって搬送されるワークWに対してレーザ光を照射することで、ワークW上に所定のパターンの加工を行う。加工制御手段13は、レーザ光源12をオンオフ制御するとともに、パターンに関する加工情報に基づいて生成された座標データに基づいて走査ユニット20のモータを制御する。加工制御手段13は、トリガセンサ18からの検出信号により算出されたワークWの搬送速度に基づき補正された座標データに基づいて、走査ユニット20を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベア等の搬送装置により搬送される加工対象物にレーザ光を照射して文字・記号等の所定のパターンの加工を行うレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、搬送される加工対象物にレーザ光を照射して加工を行うレーザ加工装置として、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。このレーザ加工装置は、ワークを一方向に搬送する搬送装置の途中に配置されており、レーザ光源から出射されるレーザ光を所定の加工エリア内で走査させるように構成されている。その加工エリア内をワークが順次通過することで、ワークの適切な位置に対して所定のパターンの印字が施される。
【0003】
このレーザ加工装置は、搬送されるワークに対して正確に加工を施すために、ベルトコンベアに近接して配置されたセンサにより、搬送方向におけるワークの先端位置を検出する。また、レーザ加工装置は、ベルトコンベアの軸部分に設けられたロータリエンコーダにより、ベルトの移動速度、即ちワークの搬送速度を検出する。そしれ、センサにより検出したワークと、ロータリエンコーダにより検出したワークの移動速度とに基づいて、ワークが加工エリアに進入するタイミング及び座標データを演算し、そのタイミング及び座標データにてレーザ光を走査するとともにオンオフ制御する。
【特許文献1】特開2005−211979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したレーザ加工装置であると、ロータリエンコーダにより検出される速度と、実際のワークの速度との間にずれが生じる場合があった。例えば、ベルトコンベアのプーリとベルトとの間の摩擦力が減少してプーリに対してベルトが滑り、プーリが固定された回転軸の回転に対してベルトコンベアによる搬送速度が遅くなる場合があった。そうすると、ロータリエンコーダの出力に基づいて制御されているレーザ光の出射タイミングとワークの位置とにずれが生じ、ワークの適切な位置及び形状に加工を施すことができない。そこで、ワークの搬送速度を直接計測するための速度センサを設け、制御に使用する搬送速度を補正することが考えられるが、そうすると構成部材が増え装置の全体構成が複雑化するとともに、補正のための作業が煩雑で時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な構成で正確な加工を施すことができるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、搬送手段によって搬送される加工対象物に対してレーザ光を照射して該加工対象物の加工を行うレーザ加工装置であって、前記レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されるレーザ光の方向を変えて前記加工対象物上で走査させる光学走査手段と、前記搬送手段の搬送方向に沿った所定の長さを設定する長さ設定手段と、前記搬送手段にて搬送される前記加工対象物の通過を検出したトリガセンサから出力される検出信号を前記加工対象物への加工を開始するための基準として取り込むトリガ入力手段と、加工情報に基づき生成された座標データにより前記光学走査手段を制御するとともに、前記加工対象物に照射する前記レーザ光を前記トリガ入力手段の出力信号に基づいてオンオフ制御する加工制御手段と、前記長さ設定手段にて設定された長さと、前記トリガ入力手段が入力した検出信号とに基づいて前記加工対象物の搬送速度を算出する搬送速度算出手段とを備え、前記加工制御手段は、前記搬送速度に基づいて補正された前記座標データを補正して前記光学走査手段を制御するものである。
【0007】
同構成によれば、トリガセンサからの検出信号を利用して加工対象物の実際の搬送速度が算出され、その搬送速度が光学走査手段を制御するための座標データに反映されるため、簡易な構成で正確な加工を施すことが可能となる。
【0008】
請求項2に記載のように、前記搬送方向に沿った長さは、前記加工対象物の長さであり、前記搬送速度算出手段は、前記検出信号に基づいて前記加工対象物が前記トリガセンサを通過する時間を検出し、該時間と前記加工対象物の長さとに基づいて前記搬送速度を算出する。同構成によれば、加工対象物の長さとその加工対象物がトリガセンサを通過する時間とに基づいて、加工対象物の実際の搬送速度が正確に算出される。
【0009】
請求項3に記載のように、前記搬送方向に沿った長さは、連続的に搬送される複数の加工対象物の搬送ピッチであり、前記搬送速度算出手段は、前記検出信号に基づいて加工対象物の先頭を検出してから次に搬送される加工対象物の先頭を検出するまでの時間を検出し、該時間と前記搬送ピッチとに基づいて前記搬送速度を算出する。同構成によれば、複数の加工対象物の搬送ピッチとその各加工対象物の先頭がトリガセンサを通過する時間間隔とに基づいて、複数の加工対象物の実際の搬送速度が正確に算出される。
【0010】
請求項4に記載のように、前記加工制御手段は、前記搬送速度の算出を所定数毎に行う。同構成によれば、搬送手段の動作にバラツキがあったとしても、所定数毎に搬送速度を算出して座標データの補正を行うため、バラツキに影響されることなく正確な加工を行うことができる。
【0011】
請求項5に記載のように、前記搬送速度を算出して記憶手段に記憶する算出モードを備え、前記算出モードにて算出された搬送速度を表示する表示手段を備えたてもよい。この場合、加工対象物の搬送により測定した搬送速度をユーザが確認し、その搬送速度を採用するか、異なる搬送速度を設定するかを容易に判断することができるようになる。
【0012】
請求項6に記載のように、前記レーザ光をオンオフする制御情報と、前記加工対象物に照射するレーザ光の座標値とを含む座標データを生成するデータ生成手段と、前記座標データを記憶する記憶手段と、を備え、前記加工制御手段は、前記トリガ入力手段が前記検出信号を取り込むことに基づいて、前記記憶手段に記憶した座標データを取り出し前記搬送速度に基づいて補正しつつ前記光学走査手段を駆動することにより前記レーザ光を移動中の前記加工対象物上で走査して加工対象物への加工動作を行わせる。同構成によれば、予め作成され記憶手段に記憶された座標データが読み出されて加工対象物が加工される。
【0013】
請求項7に記載のように、算出された前記搬送速度を記憶する記憶手段を備え、前記搬送速度算出手段により新たに算出された搬送速度と前記記憶手段から読み出した搬送速度とを比較し、前記記憶手段から読み出した搬送速度を含む所定範囲内に前記新たに算出された搬送速度が含まれる場合には前記記憶手段から読み出した搬送速度を用いて前記座標データの補正を行い、前記記憶手段から読み出した搬送速度を含む所定範囲内に前記新たに算出された搬送速度が含まれない場合には、新たに算出された搬送速度を前記記憶手段に記憶するようにした。同構成によれば、搬送速度の変化が大きい場合に、その搬送速度に応じて補正を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
従って、上記記載の発明によれば、簡易な構成で正確な加工を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施の形態にかかるレーザ加工装置1は、搬送手段としてのベルトコンベア50の上方に配設されている。レーザ加工装置1は、ベルトコンベア50により連続的に一方向(図中右から左に向かう方向)に搬送される加工対象物としてのワークWに対してレーザ光を照射することで、ワークW上に文字・記号等の所定のパターンの加工を行う。
【0016】
レーザ加工装置1は、レーザ光を出射するコントローラユニット10を備えている。また、レーザ加工装置1は、コントローラユニット10の下方に設けられ、コントローラユニット10からレーザ光を入射する光学走査手段としての走査ユニット20を備えている。走査ユニット20は、レーザ光の向きを変更し、レーザ光のワークW上における照射点を二次元的に走査させる。
【0017】
コントローラユニット10の筐体11には、レーザ光を出射するレーザ光源12が収容されている。レーザ光源12から出射されたレーザ光は、筐体11に形成された開口部を介して挿通された光ファイバケーブルを介して走査ユニット20に入射される。
【0018】
走査ユニット20の筐体21には、一対のガルバノミラー22a,22bが収容されている。ガルバノミラー22a,22bは、それぞれモータ23a,23bに接続されており、モータ23a,23bにより駆動制御されて方向を変える。ガルバノミラー22a,22b及びモータ23a,23bは、光学走査手段を構成する。一方のガルバノミラー22aは、レーザ光源12の下方に配置され、レーザ光源12からレーザ光を入射するように設けられている。他方のガルバノミラー22bは、水平方向においてガルバノミラー22aに対向する位置に配置され、ガルバノミラー22aにて反射されたレーザ光を下方に向けて反射させるように設けられている。ガルバノミラー22bにて反射されたレーザ光は、筐体21の開口部に設けられた集束レンズ24において集束され、筐体21の下方に向けて出射される。
【0019】
また、コントローラユニット10の筐体11内には、レーザ光源12に接続された加工制御手段13が収容されている。加工制御手段13は、走査ユニット20を構成するモータ23a,23bに接続されている。加工制御手段13は、レーザ光源12をオンオフ制御するとともに、モータ23a,23bを駆動制御してガルバノミラー22a,22bの方向を変える。ガルバノミラー22aはモータ23aにより縦方向(図中上下方向)に角度が変更され、ガルバノミラー22bはモータ23bにより横方向(図中左右方向)に角度が変更される。両ガルバノミラー22a,22bの方向が変更されることで、走査ユニット20から出射されるレーザ光の照射点はベルトコンベア50の上面において二次元方向に走査され、加工エリアが形成されるようになっている。このため、ベルトコンベア50により連続的に搬送されるワークWには、レーザ光により所定のパターンの加工が施される。
【0020】
加工制御手段13には、筐体11に収容されたデータ生成手段14が接続されている。データ生成手段14は、図示しないディジタイザやデータスキャナ等の入力手段と、ワークWの搬送方向の長さや搬送ピッチ等を設定するための設定手段とが接続されている。データ生成手段14は、入力手段にて読み込まれたワークWに施す文字・記号等のパターン(加工情報)を入力し、設定手段から各種設定値を入力すると、それらの情報に基づいて加工制御手段13が走査ユニット20を制御するための座標データを生成する。そして、データ生成手段14は、生成した座標データを記憶手段としてのメモリ14aに記憶させる。このメモリ14aには、1種類又は複数種類の加工パターンの画像データが記憶される。データ生成手段14は、例えば図示しない操作部や上位装置からの指示に従ってメモリ14aに記憶された画像データを読み出し、加工制御手段13に出力する。加工制御手段13は、座標データに基づいてモータ23a,23bを駆動制御する。
【0021】
また、加工制御手段13には、筐体11に収容された搬送速度算出手段15が接続されており、搬送速度算出手段15には、筐体11に収容された長さ設定手段16が接続されている。ユーザにより長さ設定手段16にベルトコンベア50の搬送方向(図中、左右方向)の所定の長さが設定されると、その長さが搬送速度算出手段15に入力される。所定の長さは、ベルトコンベア50にて搬送される加工対象物としてのワークWにおいて、そのベルトコンベア50の搬送方向における加工対象物の前端及び後端間(所謂トリガセンサの出力信号の変化点(エッジ)間の長さ)であり、本実施形態では、長さ設定手段16においてワークWの搬送方向の長さLが入力される。
【0022】
また、コントローラユニット10は、筐体11に収容されたトリガ入力手段17を備えている。トリガ入力手段17は、ベルトコンベア50の途中に配置されたトリガセンサ18に接続されるとともに、加工制御手段13及び搬送速度算出手段15に接続されている。トリガセンサ18は、物体の有無を検出する透過型又は反射型の光センサ等により構成されており、図2に示すように、通過する物体が存在するときにオン信号を出力するようになっている。トリガ入力手段17は、トリガセンサ18から信号を入力し、加工制御手段13及び搬送速度算出手段15に出力する。
【0023】
加工制御手段13はトリガセンサ18の検出信号を制御開始の基準として入力し、搬送速度算出手段15はトリガセンサ18の検出信号に基づいてワークWの実際の搬送速度を算出する。詳しくは、コントローラユニット10は、図示しない基準クロック手段を備え、該基準クロック手段から基準クロック信号が加工制御手段13及び搬送速度算出手段15に供給される。加工制御手段13及び搬送速度算出手段15は、基準クロック信号に基づいて時間を計測する機能を有している。図2に示すようにトリガセンサ18の出力信号に基づいて、搬送速度算出手段15は時間tから時間tまでの間ワークWを検出し、ワークWの搬送方向の長さLをワークWの通過時間(t−t)で除することでワークWの実際の搬送速度vを算出する。そして、搬送速度算出手段15は、算出した搬送速度vを加工制御手段13に出力する。実際には、搬送速度算出手段15は、センサ出力の立ち上がりに応答して時間計測を開始し、センサ信号の立ち下がりに応答して時間計測を終了する。この時に計測した経過時間がセンサ信号のパルス幅であり、ワークWの長さ、つまり上記の通過時間に対応する。搬送速度算出手段15は、通過時間とワークWの長さとに基づいて搬送速度vを算出する。
【0024】
加工制御手段13は、搬送速度vを入力すると、ワークWがトリガセンサ18の測定点を通過してからレーザ光による照射点に到達するまでの時間を算出し、時間tを基準として制御を開始する時間を算出する。また、加工制御手段13は、搬送速度vを入力すると、メモリ14aに記憶された座標データを読み出し、ワークWの実際の搬送速度vに基づいて座標データを補正する。また、加工制御手段13は、補正された座標データに基づいて、レーザ光源12のオンオフ制御信号を生成する。
【0025】
なお、トリガセンサ18の設置位置は、ワークWの搬送速度を検出し、その搬送速度に基づいて座標データを補正した後に、その搬送速度を検出したワークWが加工エリアに進入するように、トリガセンサ18の測定点とレーザ光のワークWへの照射点との間の搬送方向に沿った距離は、ワークWの長さLよりも長くなるように設定されている。従って、レーザ加工装置1は、実際に搬送速度を測定したワークWに対して、補正した座標データにより適切な位置に加工を行うようになっている。
【0026】
そして、加工制御手段13は、補正された座標データに基づいて、レーザ光源及び走査ユニット20のモータ23a,23bを駆動制御する。なお、本実施形態では、レーザ加工装置1はベルトコンベア50にて搬送されるすべてのワークWに対して座標データの補正を行う。
【0027】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)トリガセンサ18からの検出信号を利用してワークWの実際の搬送速度vが算出され、その搬送速度vは加工制御手段13が走査ユニット20のモータ23a,23bを駆動制御するための座標データに反映される。このため、ワークWを検出するためのトリガセンサ18が1個設けられているという簡易な構成で、ワークWに対して正確な加工を施すことが可能となる。
【0028】
(2)搬送方向にトリガセンサ18の測定点とレーザ光の照射点との間の距離は、ワークWの長さLよりも長くなるように設定されている。このため、ベルトコンベア50を使用開始して先頭に搬送されるワークWであっても、測定点と照射点との間を通過する間に座標データの補正が行われ、正確な加工が施される。
【0029】
(3)レーザ加工装置1は、ベルトコンベア50にて搬送されるすべてのワークWに対して、ワークWの実際の搬送速度vに基づく補正処理を行うため、常にワークWの適切な位置にパターンの加工を行うことができる。
【0030】
(4)レーザ加工装置1は、ワークWの搬送方向の長さLに基づいてワークWの実際の搬送速度vを算出する。このため、例えばワークWの搬送ピッチが不規則となった場合や、ワークWの搬送速度が変化した場合でも、搬送速度算出手段15によりワークWの実際の搬送速度vが正確に算出されることとなり、レーザ加工装置1はワークWの搬送速度を適切に算出して加工を施すことができる。
【0031】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、搬送するワークWに対する加工とそのワークWの搬送速度の算出とを同時に行うようにしたが、搬送速度を算出する算出モードと、その算出モードにより算出された搬送速度に基づいて補正した座標データに基づいてワークWを加工する加工モードとを備えたレーザ加工装置に具体化してもよい。この場合、レーザ加工装置の搬送速度算出手段15は、算出した搬送速度をメモリ14aに記憶する。データ生成手段14は、メモリ14aに記憶された座標データと搬送速度とを読み出し加工制御手段13に出力し、加工制御手段13は座標データを搬送速度により補正してレーザ光源12及び走査ユニット20を制御する。尚、搬送速度に基づく補正をデータ生成手段14が行うようにしてもよい。
【0032】
・上記実施の形態では、搬送速度算出手段15は、トリガ入力手段17からの信号に基づいて、センサ出力のパルス幅(立ち上がりエッジから立ち下がりエッジまで)の経過時間(時間tから時間tまで)を計測し、ワークWの通過時間としたが、搬送速度算出手段15がワークWの搬送速度を算出できるようにトリガセンサ18の検出信号を出力すればよい。例えば、各ワークWの搬送方向に先端部が通過してから次のワークの先端が通過するまでの時間(図2において、センサ出力の立ち上がりエッジから立ち上がりエッジまでの時間)を計測して、ワークWの搬送速度を算出するようにしてもよい。その場合、搬送速度算出手段15は、各ワークWが搬送される時間間隔と、長さ設定手段16に入力されたワークWの搬送ピッチとに基づいて、ワークWの実際の搬送速度を算出する。また、各ワークWの搬送方向に後端部が通過してから次のワークの先端が通過するまでの時間(図2において、センサ出力の立ち下がりエッジから立ち上がりエッジまでの時間)を計測して、ワークWの搬送速度を算出するようにしてもよい。その場合、搬送速度算出手段15は、各ワークWの間の時間間隔と、長さ設定手段16に入力されたワークWの搬送ピッチ(各ワークW間の間隔)とに基づいて、ワークWの実際の搬送速度を算出する。
【0033】
・上記実施の形態では、ベルトコンベア50にて搬送されるすべてのワークWに対して座標データの補正を行う場合について説明したが、ベルトコンベア50にて搬送されるワークWに対して一定の周期で座標データの補正処理を行うようにしてもよい。その場合、座標データが補正されると、メモリ14aに記憶されている座標データを順次書き換えるようにすればよい。そうすると、ベルトコンベア50によって搬送されるすべてのワークWに対して座標データの補正を行う場合と比較して、加工制御手段13における処理を簡略化することができる。
【0034】
・上記実施の形態において、搬送速度算出手段15によるワークWの実際の搬送速度vの算出を、オンオフ制御可能な構成としてもよい。つまり、ユーザが所望するときのみ、ワークWの実際の搬送速度を算出し、その搬送速度に基づく座標データの補正を行うようにしてもよい。そうすると、レーザ加工装置1の使用中にワークW上の加工位置がずれた場合にのみ座標データの補正を行うことが可能となり、ベルトコンベア50によって搬送されるすべてのワークWに対して座標データの補正を行う場合と比較して、加工制御手段13における処理を簡略化することができる。
【0035】
・上記実施の形態では、トリガセンサ18の測定点とレーザ光の照射点との間の搬送方向の長さはワークWの長さLよりも長く設定されているものとしたが、この長さをワークWの長さよりも短く設定してもよい。その場合、ワークWが一定の間隔で搬送されていれば、一旦トリガセンサ18の測定点をワークWの終端部が通過すれば、それ以降は座標データの補正が行われるため、正確に加工を施すことが可能となる。
【0036】
・上記実施の形態において、搬送速度を記憶する記憶手段を備え、その記憶手段に記憶された搬送速度に基づいて補正を行うようにしてもよい。この場合、搬送速度算出手段15により新たに算出された搬送速度と記憶手段から読み出した搬送速度とを比較し、記憶手段から読み出した搬送速度を含む所定範囲内に新たに算出された搬送速度が含まれる場合には記憶手段から読み出した搬送速度を用いて座標データの補正を行う。一方、記憶手段から読み出した搬送速度を含む所定範囲内に新たに算出された搬送速度が含まれない場合には、新たに算出された搬送速度を記憶手段に記憶し、以降その記憶した搬送速度に基づいて補正を行うようにする。このように構成することで、搬送速度の変化が大きい場合に、その搬送速度に応じて補正を行うことができる。
【0037】
・上記実施の形態において、搬送速度算出手段15により算出された搬送速度を表示する表示手段を備える構成としてもよい。表示手段としては、LCD,8セグメントLED、等の数値が表示可能なものであればよい。このように構成すると、加工対象物の搬送により測定した搬送速度をユーザが確認し、その搬送速度を採用するか、異なる搬送速度を設定するかを容易に判断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】レーザ加工装置の概略構成図。
【図2】トリガセンサの出力の説明図。
【符号の説明】
【0039】
1…レーザ加工装置、12…レーザ光源、13…加工制御手段、14…データ生成手段、15…搬送速度算出手段、16…長さ設定手段、17…トリガ入力手段、18…トリガセンサ、20…光学走査手段としての走査ユニット、22a,22b…光学走査手段を構成するガルバノミラー、23a,23b…光学走査手段を構成するモータ、50…ベルトコンベア、L…長さ、v…搬送速度、t1,t2…時間、W…加工対象物としてのワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段によって搬送される加工対象物に対してレーザ光を照射して該加工対象物の加工を行うレーザ加工装置であって、
前記レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されるレーザ光の方向を変えて前記加工対象物上で走査させる光学走査手段と、
前記搬送手段の搬送方向に沿った所定の長さを設定する長さ設定手段と、
前記搬送手段にて搬送される前記加工対象物の通過を検出したトリガセンサから出力される検出信号を前記加工対象物への加工を開始するための基準として取り込むトリガ入力手段と、
加工情報に基づき生成された座標データにより前記光学走査手段を制御するとともに、前記加工対象物に照射する前記レーザ光を前記トリガ入力手段の出力信号に基づいてオンオフ制御する加工制御手段と、
前記長さ設定手段にて設定された長さと、前記トリガ入力手段が入力した検出信号とに基づいて前記加工対象物の搬送速度を算出する搬送速度算出手段と
を備え、
前記加工制御手段は、前記搬送速度に基づいて補正された前記座標データを補正して前記光学走査手段を制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記搬送方向に沿った長さは、前記加工対象物の長さであり、
前記搬送速度算出手段は、前記検出信号に基づいて前記加工対象物が前記トリガセンサを通過する時間を検出し、該時間と前記加工対象物の長さとに基づいて前記搬送速度を算出する、ことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記搬送方向に沿った長さは、連続的に搬送される複数の加工対象物の搬送ピッチであり、
前記搬送速度算出手段は、前記検出信号に基づいて加工対象物の先頭を検出してから次に搬送される加工対象物の先頭を検出するまでの時間を検出し、該時間と前記搬送ピッチとに基づいて前記搬送速度を算出する、ことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記加工制御手段は、前記搬送速度の算出を所定数毎に行うことを特徴とする請求項2記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記搬送速度を算出して記憶手段に記憶する算出モードを備え、前記算出モードにて算出された搬送速度を表示する表示手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1〜4のうちの何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記レーザ光をオンオフする制御情報と、前記加工対象物に照射するレーザ光の座標値とを含む座標データを生成するデータ生成手段と、前記座標データを記憶する記憶手段と、を備え、前記加工制御手段は、前記トリガ入力手段が前記検出信号を取り込むことに基づいて、前記記憶手段に記憶した座標データを取り出し前記搬送速度に基づいて補正しつつ前記光学走査手段を駆動することにより前記レーザ光を移動中の前記加工対象物上で走査して加工対象物への加工動作を行わせる、ことを特徴とする請求項1〜5のうちの何れか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
算出された前記搬送速度を記憶する記憶手段を備え、
前記搬送速度算出手段により新たに算出された搬送速度と前記記憶手段から読み出した搬送速度とを比較し、前記記憶手段から読み出した搬送速度を含む所定範囲内に前記新たに算出された搬送速度が含まれる場合には前記記憶手段から読み出した搬送速度を用いて前記座標データの補正を行い、前記記憶手段から読み出した搬送速度を含む所定範囲内に前記新たに算出された搬送速度が含まれない場合には、新たに算出された搬送速度を前記記憶手段に記憶するようにした、ことを特徴とする請求項1〜6のうちの何れか1項に記載のレーザ加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate