説明

レーザ加工装置

【課題】装置の大型化を抑制しつつ、加工対象物の位置を検出することができるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザ加工装置10は、加工対象物Wを加工するためのレーザ光を出射するレーザ光源11と、可視光であるガイド光をレーザ光と同軸上に生成する可視光源20とダイクロイックミラー13と、加工対象物Wを含む照射領域Aにおいて、ガイド光を走査するガイド光制御部32と、ガイド光が照射された照射領域Aからの反射光を受光する受光素子22と、受光素子22における受光量の変化点に基づいて照射領域A内での加工対象物Wの位置を検出する検出部33と、検出部33が検出した加工対象物Wの位置に基づいて、照射領域Aに対するレーザ光の照射位置を制御するレーザ光制御部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光の照射により、加工対象物にマーキング、穴あけ、切断及び溶接等の加工を施すレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザ加工装置は、工場の生産ライン等に設置され、ベルトコンベア等の搬送装置によって搬送される加工対象物にレーザ光を照射して加熱することで、文字や図形のマーキングや切断、溶接等の目的で利用されている。
【0003】
搬送装置によって搬送される加工対象物は、その搬送中に回転する場合がある。このため、レーザ加工装置には、CCDカメラを備え、搬送装置によって搬送される加工対象物をCCDカメラにより撮像し、加工対象物の位置を確認するものがある(例えば、特許文献1参照)。このレーザ加工装置では、こうして確認された加工対象物の位置に基づいて、加工対象物のマーキングや穴開けなどの加工位置を決定することにより、加工対象物の所望の位置にレーザ光による加工を施すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−148739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザ加工装置にCCDカメラを搭載すると装置が大型化する。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化を抑制しつつ、加工対象物の位置を検出することができるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、加工対象物を加工するためのレーザ光を出射するレーザ光発生手段と、可視光であるガイド光を前記レーザ光と同軸上に生成するガイド光生成手段と、前記ガイド光の方向を可変に設定する光走査手段と、前記加工対象物が配置されるとともに同加工対象物よりも大きい照射領域に、前記光走査手段により方向が設定されたガイド光を集束して前記照射領域を照射する集束手段と、前記光走査手段を制御することにより前記照射領域においてガイド光を走査するガイド光制御手段と、前記ガイド光が照射された前記照射領域からの反射光を前記ガイド光及び前記レーザ光との光軸から分岐する分岐手段と、前記分岐手段により分岐した前記反射光を受光する単一の受光素子と、前記加工対象物の形状と同加工対象物に対するレーザ光の照射位置を記憶する記憶手段と、前記ガイド光の走査と前記受光素子における受光量の変化点とに基づいて前記照射領域内での前記加工対象物の位置を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した前記加工対象物の位置と前記記憶手段に記憶した前記レーザ光の照射位置とに応じて、前記照射領域に対するレーザ光の照射位置を制御するレーザ光制御手段とを備えることを要旨とする。
【0007】
この構成では、照射領域にガイド光を照射し、その反射光の光量の変化点に基づいて加工対象物の位置を検出する。レーザ加工装置に単一の受光素子を付加すれば照射領域内での加工対象物の位置を検出することができるため、CCDカメラを搭載する場合に比べてレーザ加工装置が大型になることを抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記集束手段は、テレセントリック型のfθレンズであることを要旨とする。
上記構成では、ガイド光が光走査手段によって設定された様々な方向で集束手段に入射しても、集束手段がテレセントリック型のfθレンズであるため、ガイド光は集束手段を通じて照射領域の表面に対して垂直に入射する。これにより、ガイド光は、照射位置に依らず照射領域にて垂直に反射するため、受光素子に到達する反射光の光量が減少することを抑制することができる。
【0009】
レーザ光制御手段が、レーザ光の照射位置を制御するにあたっては、具体的には、請求項3に記載の発明によるように、前記記憶手段は、前記照射領域における前記加工対象物の基準位置と、前記基準位置に対応するレーザ光の基準照射位置を記憶しており、前記検出手段は、前記基準位置に対する前記加工対象物の実際の位置のずれを検出し、前記レーザ光制御手段は、前記検出手段が検出したずれと前記基準照射位置とに基づいて、前記レーザ光の照射位置を補正するといった態様を採用することができる。この構成により、レーザ光の照射位置を容易に制御することができる。
【0010】
検出手段による位置ずれの検出にあたっては、請求項4及び5に記載の発明によるように、基準位置に対する加工対象物の実際の位置の回転角度や変位量を検出するといった態様を採用することができる。
【0011】
すなわち、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のレーザ加工装置において、前記ガイド光制御手段は、前記加工対象物の外縁によって前記受光量の変化点が2つ以上生ずるように走査し、前記検出手段は、前記受光量の変化点と前記照射領域の外縁との距離に基づいて、前記基準位置に対する前記加工対象物の実際の位置の回転角度を検出することを要旨とする。この構成では、受光量の変化点から求められる加工対象物の外縁と照射領域の外縁との距離により、加工対象物の実際の位置の回転角度を検出することができる。したがって、レーザ光制御手段が、基準照射位置を、検出された加工対象物の回転角度に応じて回転させることにより、レーザ光の照射位置を制御することができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のレーザ加工装置において、前記検出手段は、前記加工対象物の実際の位置での前記受光量の変化点と前記照射領域の基準点との距離とに基づいて、前記基準位置に対する前記加工対象物の実際の位置の変位量を検出することを要旨とする。
【0013】
この構成において、基準点としては、例えば照射領域の中心や照射領域の外縁などが挙げられる。こうした基準点から受光量の変化点との距離が基準位置と加工対象物とでどれだけずれているかを検出することにより、基準位置に対する加工対象物の実際の位置の変位量を検出することができる。これにより、レーザ光制御手段が、基準照射位置を、検出された加工対象物の変位量に応じて変位させることにより、レーザ光の照射位置を制御することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載のレーザ加工装置において、前記加工対象物は、前記加工対象物は、平面視が矩形状であるとともに、前記矩形の内部に前記照射領域の中心が位置するように配置され、前記ガイド光制御手段は、前記ガイド光の照射位置が前記照射領域の中心を通る直交2直線上を走査するように制御することを要旨とする。
【0015】
上記構成では、ガイド光の走査によって、照射領域内に配置される加工対象物の外縁の4点が照射され、この4点から加工対象物の位置を検出することができる。したがって、加工対象物の位置を検出するにあたって、ガイド光が照射領域の全域を照射する必要がないため、加工対象物の位置を検出するために要する時間を短くすることができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載のレーザ加工装置において、前記検出手段が検出した前記加工対象物の位置を表示する表示手段を備えることを要旨とする。この構成では、作業者が表示手段に表示される加工対象物の位置を確認しながら加工作業を行うことができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、前記レーザ光の照射に先立って前記ガイド光により前記レーザ光の照射位置を走査するガイドモードと、前記検出手段により前記加工対象物の位置を検出する位置検出モードとが選択可能に構成されていることを要旨とする。この構成によれば、作業者の所望のモードでガイド光による機能を利用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、装置の大型化を抑制しつつ、加工対象物の位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態にかかるレーザ加工装置を示す模式図。
【図2】第1実施形態において、照射領域における加工対象物の基準位置を示す平面図。
【図3】第1実施形態において、照射領域における加工対象物の搬送位置の一例を示す平面図。
【図4】第1実施形態において、照射領域における加工対象物の搬送位置の一例を示す平面図。
【図5】(a)〜(c)は、第1実施形態において、加工対象物が図2〜図4に示す位置にある場合のガイド光照射位置と受光素子の電流値との関係を示すグラフ。
【図6】第2実施形態にかかるレーザ加工装置おいて、照射領域におけるガイド光の照射位置を示す平面図。
【図7】第3実施形態にかかるレーザ加工装置おいて、照射領域におけるガイド光の照射位置を示す平面図。
【図8】第3実施形態において、ガイド光照射位置と受光素子の電流値との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図5を参照して説明する。図1に、第1実施形態のレーザ加工装置10を示す。第1実施形態のレーザ加工装置10は、ベルトコンベア50によって搬送される加工対象物Wの表面に文字・記号・図形等の所定の印字形状(本実施形態では、文字「ABCD」)をマーキング加工するものである。
【0021】
レーザ加工装置10は、加工用のレーザ光を出射するレーザ光発生手段としてのレーザ光源11を備えている。レーザ光源11は、レーザ発振器(例えばYAGレーザ)からなる。
【0022】
レーザ光源11の後段には、ビームエキスパンダ12が配設されている。ビームエキスパンダ12は、レーザ光源11から出射されたレーザ光のビーム径を拡大する。
ビームエキスパンダ12の後段には、ダイクロイックミラー13が配設されている。ダイクロイックミラー13は、レーザ光の光路上(光軸上)において、その光軸に対して所定角度(本実施形態では45°)傾斜させて配置されている。ダイクロイックミラー13は、レーザ光を透過する一方、後述するガイド光を反射するように構成されている。
【0023】
ダイクロイックミラー13の後段には、光走査手段としてのガルバノミラー14が配設されている。ガルバノミラー14は、一対のX軸ミラー14aとY軸ミラー14bで構成されている。X軸ミラー14aとY軸ミラー14bは、それぞれ、アクチュエータ15a,15bによって軸周りを回動可能に支持されており、ダイクロイックミラー13を透過したレーザ光を反射するとともに、反射されるレーザ光の方向をその回動角度に応じて変更する。すなわち、X軸ミラー14aとY軸ミラー14bを回動させることで、加工対象物Wに対するレーザ光の2次元走査が可能となっている。なお詳細には、レーザ光は、ガルバノミラー14によって、加工対象物Wが配置されるとともに、加工対象物Wよりも大きい照射領域A内を二次元走査可能に構成されている。
【0024】
ガルバノミラー14の後段には、集束手段としてのfθレンズ16が配設されている。fθレンズ16は、ビームエキスパンダ12にてビーム径が拡大されたレーザ光を加工対象物Wの表面において所定のスポット径となるまで集束させ、マーキング加工に適したエネルギ密度まで高める。このようにして、レーザ光が加工対象物Wに照射されることによって加工対象物Wの表面にマーキング加工が施される。また、本実施形態のfθレンズ16は、テレセントリック型である。したがって、レーザ光は、その照射位置に依らず、加工対象物Wに対して垂直に入射する。
【0025】
レーザ加工装置10は、ガイド光(破線で示す)を出射する可視光源20を備えている。可視光源20は、レーザダイオード(LD)若しくは発光ダイオード(LED)にて構成されている。ガイド光は、可視領域の波長を有する可視光である。
【0026】
可視光源20の後段には、分岐手段としての偏光ビームスプリッタ21が配設されている。偏光ビームスプリッタ21は、可視光源20が出射するガイド光を反射するとともに、後述する反射光を透過する。ガイド光は、偏光ビームスプリッタ21によって反射された後、ダイクロイックミラー13に45°の入射角で入射する。これにより、ガイド光の光軸が、ダイクロイックミラー13を透過したレーザ光の光軸と一致する。すなわち、可視光源20とダイクロイックミラー13とが、ガイド光生成手段を構成している。ダイクロイックミラー13で反射したガイド光は、ガルバノミラー14及びfθレンズ16を通じて、加工対象物Wに照射される。すなわち、ガイド光も、ガルバノミラー14によって、照射領域A内を2次元走査可能であり、fθレンズ16によって照射領域Aに対して垂直に入射する。
【0027】
ガイド光は可視光であるため、ガイド光を照射領域Aに照射することにより、作業者がレーザ光の照射位置をレーザ光の照射に先立って把握することができる。また、マーキング形状に沿ってガイド光を二次元走査させれば、作業者は、加工対象物Wに施されるマーキングの状態を予め把握することができる。レーザ加工装置10は、例えば、同装置10の稼働開始後の初回の加工対象物Wのマーキング時にのみ、ガイド光によってレーザ光の照射位置を作業者にガイドするガイドモードを実行する。
【0028】
レーザ加工装置10には、偏光ビームスプリッタ21が透過した光、つまり反射光を受光する受光素子22が設けられている。受光素子22は、フォトダイオードで構成されている。なお受光素子22として、フォトトランジスタを用いるようにしてもよい。上記したように、ガイド光はfθレンズ16を通じて照射領域A内の物体(加工対象物W及びベルトコンベア50)に垂直に入射する。照射領域Aの物体にて垂直に反射したガイド光(反射光、図2に一点鎖線で示す)は、fθレンズ16、Y軸ミラー14b、X軸ミラー14a、ダイクロイックミラー13、偏光ビームスプリッタ21を介して受光素子22に到達する。これにより、受光素子22が、反射光を受光し、受光素子22には、反射光の光量に応じた大きさの電流が流れる。
【0029】
レーザ加工装置10は、これらの各機構を制御するコントローラ30を備えている。コントローラ30は、レーザ光によって加工対象物Wをマーキングするのに先立って、照射領域Aでの加工対象物Wの位置を検出し、この位置に基づいて照射領域Aにレーザ光が照射されるように上記各機構を制御する。また、コントローラ30には、コントローラ30によって検出された加工対象物Wの位置を表示する表示手段としての表示部40が接続されている。
【0030】
コントローラ30の構成及びコントローラ30による上記各機構の制御について説明する。コントローラ30は、記憶手段としての記憶部31と、ガイド光制御手段としてのガイド光制御部32と、レーザ光制御手段としてのレーザ光制御部34と、検出手段としての検出部33とを備えている。
【0031】
記憶部31は、加工対象物Wの照射領域A内での基準位置、加工対象物Wが基準位置にあるときのレーザ光の照射位置である基準照射位置を記憶している。図2に、加工対象物Wの基準位置及び基準照射位置を示す。本実施形態では、図2に示すように、照射領域A及び加工対象物Wの平面視が矩形状である。記憶部31は、照射領域Aの平面視の中心Cと加工対象物Wの平面視の中心とが一致し、且つ照射領域Aの長辺と加工対象物Wの長辺とが平行で照射領域Aの短辺と加工対象物Wの短辺とが平行である状態の加工対象物Wの位置を、基準位置として記憶している。また、記憶部31では、作業者による入力等により加工対象物Wと印字形状との相対的位置関係が設定されており、記憶部31は、この相対的位置関係に基づいて、加工対象物Wが基準位置にあるときのレーザ光の照射位置である基準照射位置を記憶する。
【0032】
また、記憶部31は、レーザ光によるマーキングに先立って、ガイド光で照射領域Aを二次元走査する際のガイド光の照射位置を記憶している。具体的には、記憶部31は、図2に示すように、ガイド光の照射位置として、照射領域Aの中心Cを通り、且つ互いに直交する2直線(X軸及びY軸)を記憶している。
【0033】
ガイド光制御部32は、照射領域Aに対するレーザ光の照射に先立って、ガイド光の照射位置が、図2に示すX軸及びY軸に沿って一定速度で変位するように、可視光源20とガルバノミラー14とを制御する。すなわち、ガイド光制御部32は、可視光源20の点灯及び消灯を制御し、ガルバノミラー14の各ミラー14a,14bを回動させるアクチュエータ15a,15bを駆動制御する。
【0034】
ガイド光が照射領域Aを照射すると、その反射光が受光素子22に到達する。検出部33は、ガイド光の照射位置と受光素子22の電流値とに基づいて照射領域A内での加工対象物Wの位置を検出する。すなわち、図2に示すように、照射領域Aは、加工対象物Wが存在する領域とベルトコンベア50の上面が露出する領域とを含み、ガイド光が加工対象物Wに照射される場合とベルトコンベア50に照射される場合とでは、反射面の状態、例えば反射率の差異によって反射光の光量が異なる。したがって、検出部33は、受光素子22が受光した反射光の光量に基づいて、X軸及びY軸上に加工対象物Wが存在する部位と存在しない部位とを判断することが可能となり、照射領域Aでの加工対象物Wの位置を検出することができる。なお詳細には、検出部33は、後に詳細に説明するように、基準位置に対する加工対象物Wの実際の位置の回転角度及び変位量を検出することにより、基準位置に対する加工対象物Wの実際の位置とのずれを検出する。
【0035】
レーザ光制御部34は、検出部33が検出した加工対象物Wの位置に基づいて、照射領域Aに対するレーザ光の照射位置を決定し、決定された照射位置にレーザ光を照射するようにレーザ光源11とガルバノミラー14とを制御する。すなわち、レーザ光制御部34は、レーザ光源11を構成するレーザ発信器の発振を制御して、照射領域Aにレーザ光を照射するとともに、ガルバノミラー14の各ミラー14a,14bの回動角度が、照射領域Aのマーキング位置に対応する角度となるようにアクチュエータ15a,15bを駆動制御する。具体的には、レーザ光制御部34は、検出部33が検出した基準位置と加工対象物Wの実際の位置のずれに応じて基準照射位置を補正することにより、レーザ光の照射位置を決定する。
【0036】
以上のよう構成されたレーザ加工装置10では、以下のようにして加工対象物Wのマーキングが行われる。図3及び図4は、ベルトコンベア50によって搬送された加工対象物Wを示す。なお、本実施形態では、ベルトコンベア50で加工対象物Wを搬送する際に、加工対象物Wが回転したり変位したりすることはあるものの、その度合はさほど大きくなく、加工対象物Wは、図3及び図4に示すように、常に照射領域A内に配置されており、且つ照射領域Aの中心Cが加工対象物Wの平面視である矩形の内部に位置しているものとする。図5(a)〜(c)は、加工対象物Wが、図2〜4に示す状態にあるときのガイド光の照射位置と受光素子22の電流値との関係を示している。
【0037】
まず、レーザ加工装置10による加工対象物Wの加工に先立って、図2に示す加工対象物Wが基準位置にある状態を検出部33で検出し、記憶部31がこの状態を記憶する。図2に示すように、加工対象物Wが基準位置にあるときに、X軸上で加工対象物Wが存在する領域とベルトコンベア50が露出する領域との境界を境界点x1,x2とし、Y軸上で加工対象物Wが存在する領域とベルトコンベア50が露出する領域との境を境界点y1,y2とする。なお、境界点x1,x2、y1,y2は、中心Cからの距離を表し、以下の境界点についても同様である。この場合、ガイド光の照射位置がX軸上を変位すると、図5(a)に示すように、ガイド光がベルトコンベア50を照射しているときには、受光素子22にベルトコンベア50による反射光の光量に応じた電流値Ibの電流が流れる。ガイド光の照射位置がベルトコンベア50と加工対象物Wの境界点x1に達してから2つめの境界点x2に達するまでは、受光素子22には加工対象物Wによる反射光の光量に応じた電流値Iwの電流が流れる。ガイド光の照射位置が、X軸上の境界点x2を通過すると、受光素子22には、再びベルトコンベア50による反射光の光量に応じた電流値Ibが流れる。ガイド光の照射位置がY軸上を変位する場合も、同様にして、加工対象物Wを照射しているときには(境界点y1から境界点y2まで)、受光素子22には電流値Iwの電流が流れ、ベルトコンベア50を照射しているときには、受光素子22には電流値Ibの電流が流れる。
【0038】
ガイド光制御部32は、ガイド光を一定速度で変位させるため、検出部33は、ガイド光の照射開始からの時間に基づき現在の照射位置を把握することができる。検出部33は、こうして把握される照射位置と受光素子22の電流値の変化点に基づいて境界点x1,x2,y1,y2を検出する。記憶部31は、検出部33が検出した境界点x1,x2,y1,y2に基づいて加工対象物Wの基準位置を記憶し、上記した加工対象物Wと印字形状との相対的位置関係に基づいて加工対象物Wが基準位置にあるときのレーザ光の基準照射位置を記憶する。なお、記憶部31は、検出部33が基準位置にある加工対象物Wを検出することにより基準位置を記憶することに代わりに、作業者等の入力により、基準位置の情報がコントローラ30に入力されることにより、基準位置を記憶するようにしてもよい。
【0039】
次に、実際の加工対象物Wが、図3に示すようにベルトコンベア50で搬送される。図3に示す例では、加工対象物Wが、照射領域Aの中心Cを回転軸として角度θ回転した状態で搬送される。ガイド光制御部32は、照射領域A内をX軸及びY軸に沿ってガイド光を照射するように制御する。これにより、受光素子22の電流値は、図5(b)に示すように変化する。上記したように、ガイド光がベルトコンベア50によって反射されると、受光素子22にはこの反射光に応じた電流値Ibの電流が流れ、ガイド光が加工対象物Wによって反射されると、受光素子22にはこの反射光に応じた電流値Iwが流れる。したがって、検出部33は、照射領域Aをガイド光がX軸に沿って照射位置を変化させているときに、電流値が変化する位置(変化点)に、ベルトコンベア50が露出する部位と加工対象物Wとの境界点x1a,x2aがあると判断することができる。検出部33は、こうして検出された境界点x1a,x2aに基づいて基準位置に対する加工対象物Wの回転角度θを検出する。この回転角度θは、下式1を用いて、検出された境界点x1a,x2aの距離Δxaと、基準位置での境界点x1,x2との距離Δxとから求めることができる。
【0040】
θ=COS−1(Δx/Δxa)・・・式1
なお、距離Δxは、照射領域AのX軸上の一方の外縁から境界点x2までの距離から、この一方の外縁から境界点x1までの距離を減算した値であり、同様に、距離Δxaは、照射領域AのX軸上の一方の外縁から境界点x2aまでの距離と、この一方外縁から境界点x1aまでの距離を減算した値である。したがって、換言すれば、回転角度θは、受光量の変化点から求められる加工対象物Wの外縁の2点と照射領域Aの外縁との距離からも求めることができる。
【0041】
また、加工対象物Wの基準位置に対する回転角度θは、ガイド光をY軸に沿って変位させたときの境界点y1a,y2aの距離Δyaと、基準位置での境界点y1,y2との距離Δyから下式2を用いて求めるようにしてもよい。
【0042】
θ=COS−1(Δy/Δya)・・・式2
検出部33は、このようにして、受光素子22の電流値の変化点に基づいて、基準位置に対する加工対象物Wの回転角度θを検出する。これにより、レーザ光制御部34は、基準照射位置を照射領域Aの中心Cを回転軸として角度θ回転させた位置をレーザ光の照射位置に決定し、こうして決定された位置にレーザ光が照射されるように制御する。
【0043】
また、図4に示す例では、加工対象物Wが、照射領域Aに対してX軸方向及びY軸方向に所定量変移した状態で搬送される。この場合、ガイド光制御部32が、ガイド光の照射位置をX軸及びY軸に沿って変位させると、受光素子22の電流値は、図5(c)に示すように変化する。図4に示す例では、加工対象物Wは基準位置に対して回転変位はしていないため、ベルトコンベア50が露出する部位と加工対象物Wとの境界点x1bと境界点x2bとの距離Δxbが、基準位置での境界点x1,x2との距離Δxと等しい。したがって、検出部33は、上記式1により、基準位置に対する加工対象物Wの回転角度θを0°と検出する。
【0044】
次に、検出部33は、基準位置に対する加工対象物WのX軸方向の変位量及びY軸方向の変位量を検出する。X軸方向の変位量は、加工対象物Wとベルトコンベア50が露出する部位との境界点が基準位置における境界点からどれだけ変位しているかを算出することに求めることができる。具体的には、加工対象物Aの外縁(境界点)と照射領域の中心Cとの距離が、基準位置における加工対象物Wの外縁(境界点)と中心Cとの距離との差から、基準位置に対する加工対象物Wの変位量を検出する。したがって、検出部33は、X軸方向の変位量をΔ(x1b−x1)又はΔ(x2b−x2)と検出し、Y軸方向の変位量をΔ(y1b−y1)又はΔ(y2b−y2)と検出する。以上のようにして、図4に示す例では、検出部33が、加工対象物Wが基準位置に対して回転変位はしていないものの、X軸方向にΔ(x1b−x1)変位し、Y軸方向にΔ(y1b−y1)変位していると検出する。
【0045】
これにより、レーザ光制御部34は、こうして検出された変位量に基づいて基準照射位置を補正する。具体的には、レーザ光制御部34は、基準照射位置からX軸方向にΔ(x1b−x1)変位し、且つY軸方向にΔ(y1b−y1)変位した位置をレーザ光の照射位置に決定し、こうして決定された位置にレーザ光が照射されるように制御する。
【0046】
なお、加工対象物Wが、基準位置に対して回転変位し、且つX軸方向及びY軸方向に変位している場合にも、上記の回転角度及び変位量の検出を組み合わせることにより、加工対象物Wの基準位置に対する回転角度及び変位量を検出することができる。
【0047】
また、検出部33によって検出された加工対象物Wの位置が、表示部40で表示される。したがって、作業者は、表示部40に表示される加工対象物Wの位置を確認しながら、加工対象物Wのマーキングを行うことができる。
【0048】
上記したように、第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)レーザ加工装置10は、照射領域Aを照射したガイド光の反射光を受光するとともに、その受光量に応じて電流値が変化する受光素子22を備え、加工対象物Wのマーキングに先立って、照射領域Aにガイド光を変位させながら照射し、その際の受光素子22の電流値の変化点に基づいて加工対象物Wの位置を検出する。そして、こうして検出された加工対象物Wの位置に基づいて決定されたレーザ光の照射位置に、レーザ光を照射する。ガイド光機能を備えたレーザ加工装置に、受光素子22を付加すれば照射領域Aでの加工対象物の位置を検出することができるため、CCDカメラを搭載する場合に比べてレーザ加工装置が10が大型になることを抑制することができる。
【0049】
(2)レーザ加工装置10は、集束手段として、テレセントリック型のfθレンズ16を備えている。これにより、ガイド光がガルバノミラー14によって設定された様々な方向でfθレンズ16に入射しても、ガイド光はfθレンズ16を通じて照射領域Aの表面に対して垂直に入射する。したがって、ガイド光は照射領域Aで垂直に反射するため、受光素子22に到達する反射光の光量が減少することを抑制することができる。
【0050】
(3)レーザ加工装置10のコントローラ30では、記憶部31が、加工対象物Wの基準位置と、レーザ光の基準照射位置を記憶しており、検出部33が、基準位置に対する加工対象物Wの実際の位置とのずれを検出し、レーザ光制御部34が、このずれに応じて基準照射位置を補正して、レーザ光の照射を行う。したがって、レーザ光制御部34が、レーザ光の照射位置を容易に決定することができる。
【0051】
(4)検出部33は、基準位置に対する加工対象物Wの実際の位置の回転角度及び変位量を検出することにより、基準位置に対する加工対象物Wのずれを検出する。回転角度及び変位量は、照射領域Aの中心Cを通る直交2直線(X軸、Y軸)上での加工対象物Wとベルトコンベア50が露出する領域との境界点と、基準位置における境界点とから容易に算出することができる。したがって、レーザ光制御部34が、レーザ光の照射位置を容易に決定することができる。
【0052】
(5)ガイド光制御部32は、ガイド光が照射領域Aの中心Cを通る直交2直線(X軸、Y軸)上を照射するようにガルバノミラー14を制御する。これにより、加工対象物Wの位置を検出するにあたって、ガイド光が照射領域の全域を照射する必要がなく、位置検出に要する時間を短縮化することができる。
【0053】
(6)コントローラ30には、検出部33が検出した加工対象物Wの位置を表示する表示部40が接続されている。これにより、作業者が表示部40に表示される加工対象物Wの位置を確認しながら加工作業を行うことができる。
【0054】
(第1実施形態の変形例)
この変形例は、基準位置に対する加工対象物Wの回転角度を求める方法が上記第1実施形態と異なる。ガイド光制御部32は、図3の破線矢印(Y1軸,Y2軸)に沿ってガイド光の照射位置を変位させる。検出部33は、受光素子22の電流値の変化点に基づいて、Y1軸上における照射領域Aの外縁から加工対象物Wまでの距離d1,d2を検出する。また、検出部33は、受光素子22の電流値の変化点に基づいて、Y2軸上における照射領域Aの外縁から加工対象物までの距離d3,d4を検出する。加工対象物Wが基準位置に対して回転していない場合には、距離d1と距離d3とは等しく、距離d2と距離d4とは等しい。したがって、検出部33は、距離d1と距離d3との差、又は距離d2と距離d4との差から、加工対象物Wの基準位置に対する回転角度を検出することができる。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態のレーザ加工装置10について、図6を参照して説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態とガイド光制御部32によって制御されるガイド光の照射位置が異なる。その他の構成は第1実施形態と同じである。なお、各部材については、第1実施形態と同じ符号を用いて説明する。
【0056】
第2実施形態では、図6に示すように、ガイド光制御部32が照射領域A内で同じ方向に傾斜している2直線M,N上を矢印の方向に沿って変位するように構成されている。直線M,Nは、矩形状の加工対象物Wの外縁を構成する4辺のそれぞれと交差するように設定されている。
【0057】
加工対象物Wが照射領域Aで図6に示す位置にあるとき、ガイド光の照射位置を直線M上に沿って変位させると、検出部33は、受光素子22の電流値の変化点に基づいてベルトコンベア50と加工対象物Wとの境界点m1,m2を検出する。また、ガイド光の照射位置を直線N上に沿って変位させると、検出部33は、受光素子22の電流値の変化点に基づいてベルトコンベア50と加工対象物Wとの境界点n1,n2を検出する。検出部33は、こうして検出される4つの境界点m1,m2,n1,n2に基づいて、加工対象物Wの位置を検出し、基準位置に対する検出位置のずれを検出する。レーザ光制御部34は、こうして検出された加工対象物Wの位置と基準位置とのずれ基づいて、レーザ光の照射位置を補正し、この補正により決定された位置にレーザ光が照射されるように制御する。
【0058】
なお、ガイド光の照射位置は、2直線M,Nに限らず、矩形状の加工対象物Wの外縁を構成する4辺とそれぞれ交差するように設定されていればよく、交差する2直線であってもよいし、2曲線であってもよい。
【0059】
本実施形態では、上記第1実施形態の(1)〜(3)及び(6)の作用効果を奏することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態のレーザ加工装置10について、図7及び図8を参照して説明する。本実施形態では、上記各実施形態とガイド光制御部32によって制御されるガイド光の照射位置が異なる。その他の構成は上記各実施形態と同じである。なお、各部材については、第1実施形態と同じ符号を用いて説明する。
【0060】
第3実施形態では、図7に示すように、ガイド光制御部32が、ガイド光を実線L1〜Lnを矢印に示す方向に沿って照射するように制御する。すなわち、本実施形態のガイド光制御部32は、ガイド光が照射領域Aの全域を二次元走査するラスタースキャンを行うように制御する。
【0061】
加工対象物Wが照射領域Aで図7に示す位置にあるとき、ガイド光の照射位置を直線L1〜Lnに沿って変位させると、受光素子22の電流値は、図8に示すように変化する。なお、図8では、直線L1〜L5に対応する電流値のみを図示している。検出部33は、図8に示す受光素子22の電流値の変化点に基づいて加工対象物Wの位置を検出し、検出された位置と基準位置とのずれを検出する。レーザ光制御部34は、こうして検出された加工対象物Wの位置と基準位置とのずれ基づいて、レーザ光の照射位置を補正し、この補正により決定された位置にレーザ光が照射されるように制御する。
【0062】
本実施形態では、上記第1実施形態の(1)〜(3)及び(6)の作用効果に加え、以下の(7)の作用効果を奏することができる。
(7)ガイド光制御部32が、ガイド光により照射領域Aをラスタースキャンするように制御する。したがって、検出部33が、加工対象物Wの大きさや形状に限らず、加工対象物Wの位置をより正確に検出することができる。
【0063】
(その他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように適宜変形してもよい。
・上記各実施形態のレーザ加工装置10は、検出部33が検出した加工対象物Wの位置を表示する表示部40を備えている。しかしながら、レーザ加工装置は表示部を備えていない構成であってもよい。
【0064】
・上記各実施形態では、ガイド光制御部32が、ガイド光を直交2直線(X軸、Y軸)上に照射したり、直線M,N上に照射したり、照射領域Aの全領域に照射したりするように制御している。しかしながら、ガイド光の二次元走査によって照射領域での加工対象物の位置を検出できればよく、ガイド光の照射位置は特に限定されない。
【0065】
・上記各実施形態では、検出部33が照射領域Aで加工対象物Wが存在する領域と存在しない領域との境界を検出するようにしている。しかしながら、例えば、加工対象物Wに位置検出用のマークが付されており、加工対象物におけるマークが付された領域の反射率とマーク付されていない領域の反射率が異なれば、検出部は、このマークの位置を検出することにより加工対象物の位置を検出するようにしてもよい。
【0066】
・上記各実施形態では、検出部33が基準位置に対する加工対象物の実際の位置のずれを検出するようにしている。しかしながら、検出部は、位置ずれを検出することなく、単に加工対象物の位置を検出し、レーザ光制御部は検出部によって検出された位置に応じて、レーザ光の照射位置を決定するようにすればよい。この場合、記憶部には、加工対象物と印字形状の相対的な位置関係を記憶していればよく、基準位置を記憶する必要はない。
【0067】
・上記各実施形態では、受光素子22が、ベルトコンベア50による反射光を受光すると電流値Ibの電流が流れ、加工対象物Wによる反射光を受光すると電流値Ibよりも高い電流値Iwが流れる。しかしながら、受光素子に流れる電流は、ベルトコンベアの反射光を受光したときよりも加工対象物の反射光を受光したときのほうが低くてもよい。
【0068】
・レーザ加工装置10では、ビームエキスパンダ12、ダイクロイックミラー13、ガルバノミラー14及びそのアクチュエータ15a,15b,fθレンズ16、可視光源20、偏光ビームスプリッタ21、及び受光素子22が、ヘッドに収容され、レーザ光源11がヘッドから分離されていてもよいし、これらが一体に収容される構成であってもよい。
【0069】
・上記各実施形態では、レーザ加工装置10が、集束手段として、テレセントリック型のfθレンズ16を備えている。しかしながら、fθレンズは、テレセントリック型に限定されない。fθレンズがテレセントリック型でない場合であっても、ガイド光が加工対象物やベルトコンベアで乱反射する場合には、その一部がfθレンズを通じて受光素子に到達するため、その受光量に基づいて加工対象物の位置を検出することができる。
【0070】
・上記各実施形態では、レーザ加工装置10の稼働開始後の初回の加工対象物Wのマーキング時にのみ、ガイド光によってレーザ光の照射位置を作業者にガイドするガイドモードが実行される。しかしながら、レーザ加工装置は、こうしたガイド機能を利用するためのガイドモードと、ガイド光の反射光によって加工対象物の位置を検出する位置検出モードとが選択可能に構成されていてもよい。すなわち、例えば、作業者によってコントローラにこれらの何れのモードを選択するかが入力設定されることにより、レーザ加工装置が、ガイドモードを実行したり、位置検出モードを実行したりする構成であってもよい。
【0071】
・上記各実施形態のレーザ加工装置10は、加工対象物Wにマーキングを施す装置であるが、レーザ光を照射して加熱することで、加工対象物に穴あけ、切断、溶接等の加工を施すものであってもよい。
【0072】
次に、上記各実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(ア)請求項1〜3の何れか1項に記載のレーザ加工装置において、前記加工対象物の平面視が矩形状であり、前記ガイド光制御手段は、前記ガイド光が前記加工対象物の外縁を構成する4辺のそれぞれを通過する線上を走査するように制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【0073】
(イ)請求項1〜3の何れか1項に記載のレーザ加工装置において、前記ガイド光制御手段は、前記ガイド光が前記照射領域をラスタースキャンするように前記光走査手段を制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【符号の説明】
【0074】
10…レーザ加工装置、11…レーザ光源、12…ビームエキスパンダ、13…ダイクロイックミラー、14…ガルバノミラー、14a…X軸ミラー、14b…Y軸ミラー、15a,15b…アクチュエータ、16…fθレンズ、20…可視光源、21…偏光ビームスプリッタ、22…受光素子、30…コントローラ、31…記憶部、32…ガイド光制御部、33…検出部、34…レーザ光制御部、40…表示部、50…ベルトコンベア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物を加工するためのレーザ光を出射するレーザ光発生手段と、
可視光であるガイド光を前記レーザ光と同軸上に生成するガイド光生成手段と、
前記ガイド光の方向を可変に設定する光走査手段と、
前記加工対象物が配置されるとともに同加工対象物よりも大きい照射領域に、前記光走査手段により方向が設定されたガイド光を集束して前記照射領域を照射する集束手段と、
前記光走査手段を制御することにより前記照射領域においてガイド光を走査するガイド光制御手段と、
前記ガイド光が照射された前記照射領域からの反射光を前記ガイド光及び前記レーザ光との光軸から分岐する分岐手段と、
前記分岐手段により分岐した前記反射光を受光する単一の受光素子と、
前記加工対象物の形状と同加工対象物に対するレーザ光の照射位置を記憶する記憶手段と、
前記ガイド光の走査と前記受光素子における受光量の変化点とに基づいて前記照射領域内での前記加工対象物の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記加工対象物の位置と前記記憶手段に記憶した前記レーザ光の照射位置とに応じて、前記照射領域に対するレーザ光の照射位置を制御するレーザ光制御手段とを備えることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記集束手段は、テレセントリック型のfθレンズであることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザ加工装置において、
前記記憶手段は、前記照射領域における前記加工対象物の基準位置と、前記基準位置に対応するレーザ光の基準照射位置を記憶しており、
前記検出手段は、前記基準位置に対する前記加工対象物の実際の位置のずれを検出し、
前記レーザ光制御手段は、前記検出手段が検出したずれと前記基準照射位置とに基づいて、前記レーザ光の照射位置を補正することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
請求項3に記載のレーザ加工装置において、
前記ガイド光制御手段は、前記加工対象物の外縁によって前記受光量の変化点が2つ以上生ずるように走査し、
前記検出手段は、前記受光量の変化点と前記照射領域の外縁との距離に基づいて、前記基準位置に対する前記加工対象物の実際の位置の回転角度を検出することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のレーザ加工装置において、
前記検出手段は、前記加工対象物の実際の位置での前記受光量の変化点と前記照射領域の基準点との距離とに基づいて、前記基準位置に対する前記加工対象物の実際の位置の変位量を検出することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のレーザ加工装置において、
前記加工対象物は、平面視が矩形状であるとともに、前記矩形の内部に前記照射領域の中心が位置するように配置され、
前記ガイド光制御手段は、前記ガイド光の照射位置が前記照射領域の中心を通る直交2直線上を走査するように制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のレーザ加工装置において、
前記検出手段が検出した前記加工対象物の位置を表示する表示手段を備えることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のレーザ加工装置において、
前記レーザ光の照射に先立って前記ガイド光により前記レーザ光の照射位置を走査するガイドモードと、前記検出手段により前記加工対象物の位置を検出する位置検出モードとが選択可能に構成されていることを特徴とするレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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