説明

レーザ定着装置及び画像形成装置

【課題】記録媒体にレーザ光を照射するレーザ光照射部における記録媒体の搬送異常を短時間で検知することを可能とする技術を提供する。
【解決手段】定着装置(13)は、レーザ光照射部(133)と、レーザ光照射部よりも下流側に配置され、レーザ光照射部が照射するレーザ光と異なる波長の光を記録媒体に向けて発する発光部(136)と、レーザ光照射部よりも下流側にて搬送方向に間隔をおいて配置され、発光部から発せられ記録媒体によって遮られることなく搬送路を通過した光または記録媒体によって反射された光を受光して、受光した光の光量に応じた信号を各々出力する複数の受光素子(137)と、受光素子からの出力信号に基づき、複数の受光素子に対応した位置における記録媒体の有無を検知する第1検知部(115)と、複数の位置における記録媒体の有無に基づいて記録媒体の搬送異常を検知する第2検知部(116)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体を搬送しながら、電子写真プロセスを用いて、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、感光体ドラム等の像保持体に形成されたにトナー像を記録媒体に転写し、転写されたトナー像に熱を加えて溶融し記録媒体に定着させることにより、記録媒体に画像を形成する。特許文献1には、用紙上に転写されたトナー像にレーザ光を照射することによって当該トナー像を用紙に熱定着させるレーザ定着装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のレーザ定着装置は、レーザ光を照射することによって用紙上のトナー像を用紙に定着させるレーザ照射部(レーザアレイ)に加えて、レーザ定着装置における用紙の過剰加熱に起因する発煙を検出する光学センサ(透過型センサ)を有する。この透過型センサは、レーザアレイから射出されるレーザ光の光路を挟んで互いに対向するように配置された発光装置及び受光装置を有する。発光装置は、レーザアレイから照射されるレーザ光の波長とは異なる波長の光を出射し、受光装置は発光装置から射出されるレーザ光の波長と同一波長の光のみを受光し、受光した光を電圧に変換することにより、当該波長の光の受光量を示す信号を出力する。受光装置の出力値をモニタする定着制御部は、受光装置の出力値から煙が発生していると判定される場合、レーザアレイの駆動を停止する。
【0004】
また、特許文献1には、用紙のジャムが生じた場合、ジャムの態様(用紙の折れ曲がり方)によっては、発光装置と受光装置との間を用紙が遮蔽することがあるため、受光装置の出力値に基づいて用紙のジャムも検出できることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、電子写真プリンタなどに用いられるフラッシュ定着器において、用紙がジャムにより停止した状態でフラッシュ動作が繰り返されトナーが異常に加熱するのを防止するため、用紙に接触して回転される従動ローラによってロータリエンコーダの円板部を回転させ、このロータリエンコーダの出力信号が一定期間変化しないとき、ジャムによって用紙が停止したと判断してフラッシュ動作を停止させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−107215号公報
【特許文献2】特開平10−319773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、画像が転写された記録媒体にレーザ光を照射するレーザ光照射部における記録媒体の搬送異常を短時間で検知することを可能とする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本願の請求項1に係るレーザ定着装置は、画像が転写され搬送路に沿って搬送される記録媒体にレーザ光を照射するレーザ光照射部と、前記レーザ光照射部よりも前記記録媒体の搬送方向における下流側に配置され、前記レーザ光照射部が照射するレーザ光と異なる波長の光を前記記録媒体に向けて発する発光部と、前記レーザ光照射部よりも前記記録媒体の前記搬送方向における下流側において、前記搬送方向に間隔をおいて配置され、前記発光部から発せられ前記記録媒体によって遮られることなく前記記録媒体の前記搬送路を通過した光または前記発光部から発せられ前記記録媒体によって反射された光を受光して、受光した光の光量に応じた信号を各々出力する複数の受光素子と、前記複数の受光素子から出力された信号に基づき、前記複数の受光素子に対応した複数の位置における前記記録媒体の有無を検知する第1検知部と、前記第1検知部により検知された前記複数の位置における前記記録媒体の有無に基づいて、前記レーザ光照射部における前記記録媒体の搬送異常を検知する第2検知部とを有することを特徴とする。
【0009】
本願の請求項2に係るレーザ定着装置は、請求項1に記載の態様において、前記搬送方向に隣り合う前記受光素子の距離及び前記複数の受光素子のうち前記レーザ光照射部と隣り合う受光素子と前記レーザ光照射部との距離が、前記レーザ光照射部から照射されるレーザ光を静止状態の前記記録媒体に連続して照射可能な最長時間であるレーザ光照射可能時間と前記記録媒体の搬送速度を掛け合わせることによって求められる距離より小さいことを特徴とする。
【0010】
本願の請求項3に係るレーザ定着装置は、請求項1または2に記載の態様において、前記複数の受光素子が、前記記録媒体の前記搬送方向及び前記記録媒体の幅方向に並べられて配置されていることを特徴とする。
【0011】
本願の請求項4に係るレーザ定着装置は、請求項3に記載の態様において、前記搬送方向及び前記記録媒体の幅方向に並べられて配置された受光素子は、前記記録媒体の前記幅方向における寸法を越えて前記幅方向に配置されており、当該レーザ定着装置は、前記搬送方向及び前記記録媒体の幅方向に並べられて配置された受光素子のうち、前記記録媒体の前記幅方向の寸法に応じて選択された受光素子を動作状態とする受光素子制御部を有することを特徴とする。
【0012】
本願の請求項5に係るレーザ定着装置は、請求項4に記載の態様において、前記受光素子制御部によって動作状態とされる受光素子は、前記記録媒体の各幅方向端部より前記幅方向の外側に位置する1または複数の受光素子のうち、前記記録媒体と隣り合う受光素子を含むことを特徴とする。
【0013】
本願の請求項6に係るレーザ定着装置は、請求項1乃至5に記載の態様において、前記発光部が、前記複数の受光素子に対応して、前記搬送方向に間隔をおいて配置された複数の光源を有し、当該レーザ定着装置が、前記複数の光源を制御する光源制御部を有することを特徴とする。
【0014】
本願の請求項7に係るレーザ定着装置は、請求項6に記載の態様において、隣り合う前記光源から発せられる光が異なる波長を有することを特徴とする。
【0015】
本願の請求項8に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段によって帯電させられた像保持体に対し、画像データに応じた露光を行って静電潜像を形成する露光手段と、前記露光手段により形成された静電潜像を現像して、前記像保持体の表面に画像を形成する現像手段と、前記像保持体の表面に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された画像を前記記録媒体上に定着させる請求項1乃至7のいずれかに記載のレーザ定着装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1及び請求項8に記載の構成によれば、レーザ光照射部よりも記録媒体の搬送方向における下流側において、記録媒体の搬送方向に間隔をおいて配置された複数の受光素子がない場合と比べて、画像が転写された記録媒体にレーザ光を照射するレーザ光照射部における記録媒体の搬送異常を短時間で検知することができる。
請求項2に記載の構成によれば、搬送方向に隣り合う受光素子の距離及び複数の受光素子のうちレーザ光照射部と隣り合う受光素子とレーザ光照射部との距離が、レーザ光照射部から照射されるレーザ光を静止状態の記録媒体に連続して照射可能な最長時間であるレーザ光照射可能時間と記録媒体の搬送速度を掛け合わせることによって求められる距離より小さくない場合と比べて、レーザ光照射可能時間内にレーザ光照射部における記録媒体の搬送異常を検知する可能性が高まる。
請求項3に記載の構成によれば、複数の受光素子が、記録媒体の搬送方向及び幅方向に並べられて配置されていない場合と比べて、記録媒体の破断がレーザ光照射部の上流側から下流側へと記録媒体の幅方向に対して傾いて延びる線に沿って生じた場合に、当該破断を短時間で検知することができる。
請求項4に記載の構成によれば、不要な受光素子を動作状態とするのを回避できる。
請求項5に記載の構成によれば、記録媒体の幅方向の位置のずれを検知することができる。
請求項6に記載の構成によれば、受光素子に対応した複数の光源を制御することができる。
請求項7に記載の構成によれば、隣り合う光源から発せられる光が異なる波長を有さない場合と比べて、ある光源に対応した受光素子の受光量が隣に位置する光源からの光によって影響されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の各部の構成を示す模式図。
【図3】本発明の実施形態に係る定着部の構成を示す模式図。
【図4】本発明の実施形態に係る制御部の機能ブロック図。
【図5】変形例1に係る定着部の構成を示す模式図。
【図6】変形例2に係る定着部の構成を示す模式図。
【図7】変形例3に係る定着部の構成を示す模式図。
【図8】変形例4に係る定着部の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
(構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。尚、図面間の関係が理解し易いように、いくつかの図にはX軸、Y軸、Z軸を示す座標記号を記した。座標記号のうち、内側が白い円の中に黒い円を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表している。各軸について、座標記号の矢印が示す方向を正方向、その反対方向を負方向と言う。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、例えばLAN(Local Area Network)やUSBケーブルを介して接続されたホストコンピュータ(図示せず)から受信した画像データに基づいて、記録媒体の一例として長手方向に連続した用紙(以下、連続紙と言う)に電子写真方式により画像を形成するプリンタである。画像形成装置10は、コピー機やファクシミリ装置でもよい。画像形成装置10は、プリンタ、コピー機、ファクシミリ装置の機能を兼備するものでもよい。画像形成装置10は、制御部11、画像形成部12、定着部13、及び搬送部14を有し、これら各部はバス15を介して接続されている。
【0019】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリとを有する。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部11と接続されている各部を制御する。具体的には、制御部11は、搬送部14を制御して連続紙を画像形成部12及び定着部13へと搬送すると共に、ホストコンピュータから受信した画像データに基づくトナー像を連続紙に形成する画像形成処理を画像形成部12に行わせ、画像形成処理後の連続紙にトナー像を定着させる処理を定着部13に行わせる。また、後述するように、定着部13の光センサ135及びロータリエンコーダ139からの信号に基づいて、定着部13における連続紙の搬送異常を検知し、検知結果に応じた処理を行う。
【0020】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の各部の構成を示す模式図である。図2に示すように、画像形成装置10の搬送部14は、画像形成時に連続紙Pに張力を付与しながら矢印A方向に搬送する複数のローラを有する。これらのローラには、ドライブローラ201、サブドライブローラ(排出ローラ)202、及び、連続紙Pの搬送に従動して回転する複数の従動ローラが含まれる。これらのローラ群や図示せぬガイド部材によって連続紙Pの搬送路が形成されている。図2では、搬送路に沿って延びる連続紙Pによって搬送路の形状が表されている。
【0021】
ドライブローラ201及びサブドライブローラ202は、モータ等の駆動手段(図示せず)によって駆動される。ドライブローラ201は、画像形成時に図中の矢印a方向に回転することで、用紙供給源(図示せず)から供給される連続紙Pを画像形成部12へと搬送する。サブドライブローラ202は矢印b方向に回転することで、連続紙Pを矢印Aの向きに画像形成装置10外へと搬送する。サブドライブローラ202により排出された連続紙Pは、用紙巻取り装置(図示せず)によって巻き取られる。或いは、排出された連続紙Pを裁断した後、スタッカ(図示せず)に収容してもよい。連続紙Pの裁断が容易なように、連続紙Pの搬送方向に予め決められた間隔で配置された、搬送方向と交差する方向(即ち、連続紙Pの幅方向)に延びるミシン目を予め形成してもよい。連続紙Pにミシン目が形成される場合、連続紙Pをミシン目に沿って折りたたんでスタッカに収容してもよい。
【0022】
画像形成部12は、それぞれ、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色及びブラック(K)色の各色のトナーを用いて画像形成を行う画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kを有する。画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの構成は、トナーの色が異なる点を除けば共通しているから、ここでは、画像形成ユニット12Yを例にして画像形成ユニットの構成を説明する。
【0023】
画像形成ユニット12Yは、感光体120、帯電装置121、露光装置122、現像装置123、転写装置124、クリーニング装置125を有する。感光体120は、表面に光導電膜が形成された円筒状の部材で構成され、表面の露光によって形成された静電潜像を保持し、図示しないモータにより駆動されて連続紙Pの幅方向(Y軸方向)に延びる軸を中心として図中矢印cの方向に回転する。感光体120は、本発明に係る像保持体の一例である。帯電装置121は、感光体120の表面に接触して配置され、感光体120の回転に従動して回転する帯電ロールを有し、図示しない電圧印加部により帯電ロールに電圧を印加することで感光体120の表面をある電位に帯電させる。帯電装置121は、本発明に係る帯電手段の一例である。露光装置122は、画像データに応じて感光体120の表面を露光して感光体120の表面に静電潜像を形成する。露光装置122は、本発明に係る露光手段の一例である。現像装置123は、感光体120の表面に形成された静電潜像を現像剤であるトナーにより現像し、感光体120の表面にトナー像を形成する。現像装置123は、本発明に係る現像手段の一例である。転写装置124は、連続紙Pを挟んで感光体120と対峙して配置され連続紙Pを感光体120へ押し付ける転写ロールを有する。図示しない電圧印加部により転写ロールに転写用電圧が印加されると、感光体120の表面に形成されたトナー像が連続紙Pに転写される。転写装置124は、本発明に係る転写手段の一例である。クリーニング装置125は、感光体120表面に押圧されて配置され、感光体120の表面において転写されずに残留したトナーを除去する。
【0024】
定着部13は、トナー像を連続紙Pに定着させるためのレーザ光134を発生するレーザ光発生装置133を有している。また、定着部13は、レーザ光発生装置133における連続紙Pの搬送異常を検知するため、レーザ光発生装置133に対し連続紙Pの搬送方向下流側に設けられた光センサ135とロータリエンコーダ139とを有する。
【0025】
レーザ光発生装置133は、搬送される連続紙Pの画像が転写される領域の全幅にわたってレーザ光134を照射する。レーザ光発生装置133は、連続紙Pの画像が転写される領域の全幅にわたってレーザ光134の照射エネルギーの変動が小さくなるように連続紙Pの幅方向(図のY軸方向)に配置された複数のレーザ光源(例えば、端面発光レーザ(Edge Emitting Laser:EEL)や垂直共振器面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting laser:VCSEL)などの半導体レーザ)を有するものであってよい。また、各レーザ光源から発せられたレーザ光を集束または拡散するレンズを有してもよい。レーザ光発生装置133から照射されたレーザ光134により、レーザ光134の照射領域を通過する連続紙P上に転写されたトナーが加熱・溶融され、連続紙P上に定着される。レーザ光発生装置133は、本発明に係るレーザ光照射部の一例である。
【0026】
ロータリエンコーダ139は、連続紙Pに接触して回転される、外周部に複数のスリットまたは溝が設けられた円板と、この円板の外周部に向けて光を照射する、例えば、発光ダイオードなどの光源(図示せず)と、この光源から照射され円板の外周部に設けられたスリットを通過した光を受光して信号(パルス)に変換する受光素子(図示せず)とを有し、円板の回転角に応じた数のパルスを出力する装置である。ロータリエンコーダ139の出力信号は制御部11に入力され、制御部11は、連続紙Pの搬送中にロータリエンコーダ139の出力信号に変化がないとき、連続紙Pにジャム(用紙詰まり)などの搬送異常が生じたと判定する。
【0027】
連続紙Pのジャムにより、レーザ光発生装置133とロータリエンコーダ139の間で連続紙Pの破断が生じた場合、破断箇所より下流の連続紙Pは、サブドライブローラ202によって搬送されるので、破断箇所より下流の連続紙Pの後端がロータリエンコーダ139を通過するまで、ロータリエンコーダ139の円板は回転を続ける。そのため、破断箇所より下流の連続紙Pの後端がロータリエンコーダ139を通過するまで、連続紙Pのジャム(または破断)が検知されない。従って、レーザ光発生装置133とロータリエンコーダ139の間で生じた連続紙Pの破断をより早く検知するには、ロータリエンコーダ139をレーザ光発生装置133になるべく近づけて配置することが好ましい。一方、ロータリエンコーダ139をレーザ光発生装置133に近づけすぎると、レーザ光発生装置133から照射されたレーザ光134によって溶融されたトナーがロータリエンコーダ139の円板に付着し、汚損が生じ得る。従って、ロータリエンコーダ139は、レーザ光134によって溶融されたトナーが冷えてロータリエンコーダ139の円板に付着しないように、レーザ光発生装置133から十分な距離を離して配置する必要がある。
【0028】
光センサ135は、レーザ光発生装置133とロータリエンコーダ139の間に設けられ、レーザ光発生装置133とロータリエンコーダ139の間における連続紙Pの有無を検知する。本実施形態において、光センサ135は透過型光センサであり、連続紙Pの搬送路を挟んで対向するように配置された複数の光源136と複数の受光素子137とを有する。
【0029】
図3は、定着部13の構成を示す模式図である。図3は、Z軸負方向に見た定着部13を示している。図3において、連続紙Pの搬送用のローラは図示を省略した。図3に示すように、光センサ135の光源136は、連続紙Pの搬送方向に間隔をおいて一列に配置されている。また、光源136の列は、連続紙Pの幅方向の中心より幅方向にずれて位置している。各光源136は、例えば発光ダイオードやレーザダイオードなどの半導体光源であってよく、レーザ光発生装置133から発生されるレーザ光134と異なる波長の光138を発する。各光源136がレーザダイオードからなると、発せられた光が広がらないため好ましい。本実施形態において、光源136から発せられた光138の光路は、連続紙Pの搬送方向(X軸負方向)及び幅方向(Y軸方向)に対し交差する方向(Z軸方向)に沿って延びている。これら光源136は、本発明に係る発光部の一例である。尚、図3において、符号134aは、レーザ光発生装置133からのレーザ光134が照射される領域であるレーザ照射領域を示し、矢印Aは連続紙Pの搬送方向を示す。
【0030】
再度図2を参照すると、光センサ135の各受光素子137は、対応する光源136と連続紙Pの搬送路を挟んで対向するように、対応する光源136から発せられる光の光路上に配置されている。即ち、各受光素子137は、対応する光源136とX軸方向及びY軸方向に整合した位置に配置されている。受光素子137は、受光した光の光量に応じた信号を出力する。受光素子137の出力信号は制御部11に入力される。受光素子137は光源136の光138と同じ波長の光は通過させるがレーザ光発生装置133からのレーザ光134と同じ波長の光は遮断(または大幅に減衰させる)フィルタ(図示せず)を有しており、光源136からの光138のみを選択的に受光する。光源136と受光素子137との間に連続紙Pが存在する場合、光源136から発せられた光138は連続紙Pによって遮られるため、受光素子137の受光量は小さい。一方、例えば、連続紙Pがジャムなどにより破断して、光源136と受光素子137との間に連続紙Pが存在しない場合、光源136から発せられた光138は連続紙Pによって遮られることなく受光素子137に到達するため、間に連続紙Pが存在する場合と比べて、受光素子137の受光量は増加する。尚、図2及び図3においては、5つの光源136(受光素子137)が示されているが、あくまでも例示であり、光源136(受光素子137)の数は、様々に変更してよい。
【0031】
次に、制御部11の機能について説明する。図4は、制御部11が行う制御に関する機能ブロック図である。図4に示すように、制御部11は、画像形成制御部111、定着制御部112、搬送制御部113、光センサ制御部114、用紙有無検知部115、及び搬送異常検知部116を有する。これら、制御部11の各部の機能は、制御部11のROMに格納されたプログラムをCPUが実行することにより実現される。ホストコンピュータから画像データを受信すると、搬送制御部113は搬送部14を制御して連続紙Pの搬送を開始させ、画像形成制御部111は画像形成部12を制御して、受信した画像データに基づいた画像を搬送部14によって搬送されている連続紙P上に形成させる。定着制御部112は、連続紙Pの搬送の開始に応じて、レーザ光発生装置133からレーザ光134を連続紙P上に照射させ、連続紙Pに画像(トナー)を定着させる。
【0032】
光センサ制御部114は、連続紙Pの搬送の開始に応じて、光センサ135の光源136及び受光素子137を動作状態にする。即ち、光源136が搬送路に向けて光138を発するようにし、受光素子137が受光量に応じた信号を出力できるように動作電圧を供給する。光センサ制御部114は、本発明に係る受光素子制御部及び光源制御部の一例である。
【0033】
用紙有無検知部115は、光センサ135の受光素子137からの出力信号を受信し、受信した各受光素子137の出力信号に基づいて、これら受光素子137に対応して連続紙Pの搬送方向に離間した複数の位置(本例では、各受光素子137に対応する光源136から発せられた光138の光路と搬送路が交差する位置)における連続紙Pの有無を検知する。具体的には、用紙有無検知部115は、受光素子137からの出力信号によって示される受光素子137の受光量が予め定められた閾値以下の場合、その受光素子137に対応する位置に連続紙Pがあることを検知し、受光量が閾値より大きい場合にはその位置に連続紙Pがないことを検知する。用紙有無検知部115による連続紙Pの有無の検知結果を示す情報は、搬送異常検知部116に入力される。用紙有無検知部115は、本発明に係る第1検知部の一例である。
【0034】
搬送異常検知部116は、用紙有無検知部115から入力された情報と、ロータリエンコーダ139の出力信号と、搬送制御部113から受信する連続紙Pの搬送の開始/停止を表す信号である搬送信号とに基づいて、連続紙Pの搬送異常を検知する。搬送異常検知部116は、搬送信号に基づいて、連続紙Pが本来レーザ光発生装置133からロータリエンコーダ139に至る搬送路に存在するべきか否かを判定する。例えば、搬送信号によって連続紙Pの搬送の開始が示されてから予め定められた時間が経過した場合に、連続紙Pが本来レーザ光発生装置133からロータリエンコーダ139に至る搬送路に存在するべきと判定する。そして、連続紙Pがレーザ光発生装置133からロータリエンコーダ139に至る搬送路に存在するべきと判定される場合に、用紙有無検知部115から入力された情報が、受光素子137のいずれかに対応する位置に連続紙Pがないことを示す場合、連続紙Pの破断が発生したと判定し、連続紙Pの搬送異常を検知する。搬送異常検知部116は、本発明に係る第2検知部の一例である。
【0035】
また、搬送異常検知部116は、連続紙Pが本来レーザ光発生装置133からロータリエンコーダ139に至る搬送路に存在するべきと判定された(即ち、連続紙Pがロータリエンコーダ139まで到達したと判定された)後、搬送信号により連続紙Pの搬送がなされていることが示されている場合(即ち、搬送信号により搬送の開始が示された後、搬送の停止が示されていない場合)に、ロータリエンコーダ139の出力信号がロータリエンコーダが回転していないことを示すとき、連続紙Pのジャムまたは破断が生じたと判断し、連続紙Pの搬送異常を検知する。
【0036】
搬送異常検知部116は、連続紙Pの搬送異常を検知すると、搬送異常を示す情報を画像形成制御部111、定着制御部112及び搬送制御部113に送る。搬送異常を示す情報を受け取ると、画像形成制御部111は画像形成部12による画像の形成を停止させ、定着制御部112はレーザ光発生装置133からのレーザ光134の発生を停止させ、搬送制御部113は搬送部14による連続紙Pの搬送を停止させる。
【0037】
再度図3を参照すると、例えば、連続紙Pの搬送方向についてレーザ光発生装置133の上流側で連続紙Pのジャムが発生し、レーザ光発生装置133とロータリエンコーダ139の間の位置において、連続紙Pの幅方向に沿った点線R1に沿って連続紙Pの破断が発生した場合、連続紙Pの搬送方向について点線R1より上流側の連続紙Pは、その場で停止する。そのため、連続紙Pの一部はレーザ照射領域134aに位置し続ける。また、点線R1より上流側に位置する光源136から発せられた光138は連続紙Pにより遮られたままであり、対応する受光素子137の受光量は閾値より小さいままである。一方、点線R1より下流側の連続紙Pはサブドライブローラ202により搬送されて矢印Aの方向に移動される。そのため、破断した連続紙Pの後端が点線R1の下流側に位置する光源136を通過すると、その光源136から発せられた光138は連続紙Pによって遮られることなく対応する受光素子137に受光されるため、その受光素子137の受光量が閾値より大きくなる。上記したように、受光素子137の受光量が閾値より大きくなると、連続紙Pの破断(搬送異常)が検知され、レーザ光発生装置133からのレーザ光134の発生が停止されるので、レーザ照射領域134aに位置する連続紙Pの部分の過熱が防止される。
【0038】
ここで、レーザ光発生装置133(より詳細にはレーザ照射領域134a)とレーザ光発生装置133と隣り合う(即ち、最も上流側に位置する)光源136(または対応する受光素子137)との搬送方向の距離D1、搬送方向に隣り合う光源136(または対応する受光素子137)間の距離D2、及びロータリエンコーダ139と隣り合う(即ち、最も下流側に位置する)光源136(または対応する受光素子137)とロータリエンコーダ139との搬送方向の距離D3は、レーザ光発生装置133から照射されるレーザ光134を静止状態の連続紙Pに連続して照射可能な最長時間であるレーザ光照射可能時間T1と、連続紙Pの搬送速度V1とによって定められる条件を満たすように設定される。具体的には、上記距離D1、D2、D3は、レーザ光照射可能時間T1と搬送速度V1を掛け合わせることによって求められる距離より小さくなるように設定される。言い換えると、光源136及び受光素子137の数及び位置は、距離D1、D2、D3が、レーザ光照射可能時間T1と搬送速度V1を掛け合わせることによって求められる距離より小さくなるように選択される。これにより、連続紙Pの破断がレーザ光発生装置133とロータリエンコーダ139の間のどこで発生しても、破断が発生してからレーザ光照射可能時間T1が経過する前に、破断位置より下流側の連続紙Pの後端が光源136またはロータリエンコーダ139を通過し、連続紙Pの破断が検知される。即ち、連続紙Pの破断が発生してから検知されるまでの時間が、レーザ光照射可能時間T1以下となる。尚、レーザ光照射可能時間T1は、レーザ光発生装置133の出力によって決まり、通常、数msである。
【0039】
[変形例]
上記実施形態を次のように変形してもよい。以下に示す各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施されてもよい。
【0040】
(変形例1)
上述した実施形態では、光源136(受光素子137)を搬送方向に間隔をおいて一列に配置した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。光源136(受光素子137)を、連続紙Pの搬送方向及び連続紙Pの幅方向に並べて配置してもよい。
【0041】
図5は、変形例1に係る定着部13の構成を示す模式図である。図5は、Z軸負方向に見た定着部13を示している。図5において、図3と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図5に示す定着部13は、連続紙Pの搬送方向に間隔をおいて配置された複数(図示した例では5つ)の光源136を各々有し、互いに幅方向に離間して配置された複数(図示した例では3つ)の光源列を有する。これにより、図示した例では、光源136は3×5のマトリックス状に配置されている。光源136の各列の下流側にはロータリエンコーダ139が配置されている。尚、図5には示されないが、光源136とともに光センサ135を構成する受光素子137は、対応する光源136と連続紙Pの搬送路を挟んで対向するように、対応する光源136の光路上に配置されている。また、図5には3×5個の光源136(受光素子137)が例示されているが、これは例に過ぎず、光源136及び受光素子137の数及び位置は、上記した距離D1、D2、D3が、レーザ光照射可能時間T1と搬送速度V1を掛け合わせることによって求められる距離より小さくなるように選択される。
【0042】
図3を参照すると、光源136が一列のみ設けられた上記実施形態では、レーザ光発生装置133の上流側から下流側へと連続紙Pの幅方向に対して傾むいて延びる点線R2に沿って連続紙Pの破断が発生した場合、点線R2より下流側の連続紙Pの後端と光源136との間の搬送方向の距離D4は、レーザ光照射可能時間T1と搬送速度V1を掛け合わせることによって求められる距離より大きくなり得る。この場合、点線R2より下流側の連続紙Pの後端が光源136を通過して連続紙Pの破断が検知されるまでに、連続紙Pの破断発生からレーザ光照射可能時間T1が経過する可能性がある。
【0043】
これに対し、図5に示す例では、同様の点線R2に沿って連続紙Pの破断が発生した場合、点線R2より下流側の連続紙Pの後端と光源136との間の搬送方向の距離D5は、隣り合う光源136の距離D2より小さい。従って、連続紙Pの破断発生からレーザ光照射可能時間T1が経過する前に、点線R2より下流側の連続紙Pの後端が光源136を通過して連続紙Pの破断が検知される。
【0044】
(変形例2)
上述した変形例1では、2次元配置された光源136(受光素子137)は、連続紙Pの幅方向の両端より内側に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。光源136(受光素子137)を、連続紙Pの幅方向の両端部より外側に配置してもよい。
【0045】
図6は、変形例2に係る定着部13の構成を示す模式図である。図6は、Z軸負方向に見た定着部13を示している。図6において、図5と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図6に示す定着部13は、連続紙Pの幅方向の各端部の外側に、搬送方向に間隔をおいて配置された複数の光源136を有する点が、図5に示した定着部13と異なる。連続紙Pの幅方向の各端部の外側に配置された各光源136に対しても、他の光源136と同様に、対応する受光素子137が連続紙Pの搬送路を挟んで対向するように各光源136の光路上に配置され透過型の光センサを構成している。連続紙Pの幅方向の各端部の外側に位置する光源136及び受光素子137によって構成される光センサは、連続紙Pの幅方向の位置ずれを検知するスキュー検知センサとして使用される。この場合、図4に示した用紙有無検知部115は、連続紙Pの幅方向の各端部の外側に位置する受光素子137からの出力信号に基づいて、連続紙Pの位置が幅方向に予め決められた範囲を越えてずれていないか検知するスキュー検知部としても機能する。
【0046】
具体的には、連続紙Pの位置が幅方向にずれていない場合、連続紙Pの幅方向の各端部の外側に位置する各光源136から発せられた光は、連続紙Pに遮られることなく対応する受光素子137に到達し、一方、連続紙Pの位置が幅方向にずれると、連続紙Pの幅方向の各端部の外側に位置する各光源136から発せられた光は、連続紙Pに遮られ、対応する受光素子137の受光量が低下する。用紙有無検知部115は、連続紙Pの幅方向の各端部の外側に位置する受光素子137の受光量が予め定められた閾値より小さい場合、連続紙Pの位置が幅方向にずれたと判定する。
【0047】
尚、どの光源136及び受光素子137をジャム(用紙破断)の検知に用い、どの光源136及び受光素子137をスキュー検知センサとして用いるかは、用いられる連続紙Pの幅方向の寸法に応じて決めてよい。例えば、図6に示した例において、連続紙Pの代わりに、二点鎖線で示すように、連続紙Pより幅が狭い連続紙P1を用いる場合、幅方向の中央において搬送方向に延びる光源列の隣に位置する光源列が、連続紙P1の幅方向の各端部より外側に位置することがある。この場合、幅方向の中央の光源列に含まれる光源136及び対応する受光素子137を連続紙P1のジャムを検知するために用い、幅方向中央の光源列の隣に位置する光源列に含まれる光源136及び対応する受光素子137(即ち、連続紙P1の幅方向の端部の外側に位置し、且つ、連続紙P1と隣り合う光源136及び受光素子137)を連続紙P1の幅方向の位置ずれを検知するために用いてもよい。また、この場合、幅方向に一番外側に位置する光源列に含まれる光源136は使用されないので、光センサ制御部114は、これらの光源136の発光を停止し、また、対応する受光素子137の動作を停止(即ち、通電をオフ)してもよい。これにより、不要な光源136及び受光素子を動作状態とするのが避けられる。また、連続紙P1の幅方向の位置ずれを検知するための光源136と受光素子137は、連続紙P1の幅方向の各端部の外側に一対あれば十分であることが多いため、そのような場合、使用する光源136と受光素子137の対のみを動作状態とし、他の光源136と受光素子137の動作を停止させてもよい。
【0048】
(変形例3)
上記実施形態では、定着部13の光センサ135は、連続紙Pの搬送路を挟んで対向するように配置された複数の光源136と複数の受光素子137とを有するものとしたが、本発明はこれに限定されない。複数の光源136の代わりに、一つの光源を用いてもよい。
【0049】
図7は、変形例3に係る定着部13の構成を示す模式図である。図7において、図2と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図7に示す定着部13は、光センサ135が、複数の光源136の代わりに、一つの光源136を有する点が、図2に示した定着部13と異なる。この光源136aは、連続紙Pの搬送路を挟んで光源136aに対向するよう連続紙Pの搬送方向に間隔をおいて配置された複数の受光素子137の配置範囲を覆う光を連続紙Pへ向けて発する。
【0050】
上記構成において、レーザ光発生装置133とロータリエンコーダ139との間の搬送路上に連続紙Pが破断なく存在する場合、光源136aと受光素子137の間に連続紙Pが位置するため、光源136aから発せられた光138は連続紙Pによって遮られ、受光素子137の受光量は小さい。一方、連続紙Pの破断によって光源136aと受光素子137との間に連続紙Pが存在しない場合、光源136aから発せられた光138は連続紙Pによって遮られることなく受光素子137に到達するため、連続紙Pが存在する場合と比べて、受光素子137の受光量は増加する。従って、図7に示した例においても、上記実施形態と同様に、制御部11により、受光素子137からの出力信号に基づいて、搬送路上の連続紙Pの有無が検知され、連続紙Pの搬送異常が検知される。
【0051】
図7に示した構成では、複数の光源136と対応する受光素子137の位置合わせを個々に行う必要がないので、図2に示した構成と比べて組み立てが容易である。一方、受光素子137がない領域(即ち、隣り合う受光素子137の間の領域)や、動作状態にない受光素子137に対しても光を照射することになるため、図2に示した構成と比べてエネルギー消費が増大し易い。尚、発光部として、一つの光源136aの代わりに、受光素子137より少ない数の光源を用いて、少なくとも一つの光源が複数の受光素子137に対応するものとしてもよい。
【0052】
(変形例4)
上記実施形態では、定着部13の光センサ135は、透過型の光センサとしたが、本発明はこれに限定されない。光センサ135を反射型の光センサとしてもよい。
【0053】
図8は、変形例4に係る定着部13の構成を示す模式図である。図8において、図2と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図8に示す定着部13では、各光源136に対応する受光素子137は、連続紙Pに関して、光源136と同じ側に配置され、光源136から発せられている。各受光素子137は、対応する光源136から発せられ、連続紙Pで反射された光138を受光する。
【0054】
図8に示した構成では、レーザ光発生装置133とロータリエンコーダ139との間の搬送路上に連続紙Pが破断なく存在する場合、光源136から発せられた光138は連続紙Pの表面によって反射され対応する受光素子137によって受光されるため、受光素子137の受光量は大きい。一方、連続紙Pの破断によってレーザ光発生装置133とロータリエンコーダ139との間の搬送路上に連続紙Pが存在しない領域が生じると、その領域に向けて光源136から発せられた光138は連続紙Pによって反射されないため、連続紙Pが存在する場合と比べて、当該光源136に対応する受光素子137の受光量は減少する。従って、この場合、用紙有無検知部115は、受光素子137からの出力信号によって示される受光素子137の受光量が予め定められた閾値以上の場合、その受光素子137に対応する位置に連続紙Pがあることを検知し、受光量が閾値より小さい場合にはその位置に連続紙Pがないことを検知する。
【0055】
(変形例5)
上記実施形態では、連続紙Pの破断検知用の各光源136は、連続紙Pにトナーを定着させるためのレーザ光発生装置133から発生されるレーザ光134と異なる波長の光138を発するものとした。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、隣り合う光源136が異なる波長の光138を発し、各光源136に対応する受光素子137は、対応する光源136から発せられる光と同じ波長の光を選択的に受光するものとしてもよい。これにより、ある光源136に対応する受光素子137の受光量が、隣に位置する光源136からの光138によって影響されるのが抑制される。
【0056】
また、図5及び図6に示すように、光センサ135が複数列の光源136を有する場合、ある列の光源136が発する光の波長を、別の列の光源が発する波長と異なるようにしてもよい。更に、各光源136が他の光源136と異なる波長の光を発するものとしてもよい。これらの場合も、ある光源136に対応する受光素子137の受光量が、他の光源136からの光138によって影響されるのが抑制される。
【0057】
(変形例6)
上記実施形態では、連続紙Pの搬送異常を検知したが、本発明はこれに限定されない。記録媒体として、連続紙Pの代わりに、予め定められたサイズに裁断されたカット紙を用いてもよい。図2に示した光センサ135において、光源136と対応する受光素子137との間にカット紙が存在すると、その受光素子137の受光量は、カット紙が存在しない場合と比べて低下する。従って、用紙有無検知部115は、各受光素子137の受光量を予め定められた閾値と比較することによってその受光素子137に対応する位置にカット紙が存在するか否かを検知する。
【0058】
カット紙が定着部13内の搬送路に沿って搬送される場合、カット紙の搬送に伴い、搬送方向上流側に位置する受光素子137から順に受光量が低下することとなり、用紙有無検知部115は受光量が低下した受光素子137に対応する位置にカット紙が存在することを検知する。搬送異常検知部116は、用紙有無検知部115によってある受光素子137に対応する位置にカット紙が存在すると検知されてから、その受光素子137の下流において隣に位置する受光素子137に対応する位置にカット紙が存在すると検知されるまでの時間を計測し、その時間が予め定められた時間より長い場合、カット紙のジャムが発生したと判断する。
【0059】
(変形例7)
上記実施形態では、画像形成装置10は画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの感光体120から直接、連続紙P上に画像を転写したが、中間転写ベルトを介して転写してもよい。即ち、転写手段は、中間転写ベルトを含むものであってもよい。
【0060】
(変形例8)
制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有していてもよい。この場合、制御部10の機能は、ASICにより実現されてもよいし、CPUとASICとで実現されてもよい。
【0061】
(変形例9)
制御部10の機能を実現するプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、画像形成装置10にインストールしてもよい。また、通信回線を介してダウンロードしてインストールしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…画像形成装置、11…制御部、12…画像形成部、12Y、12M、12C、12K…画像形成ユニット、13…定着部、14…搬送部、15…バス、111…画像形成制御部、112…定着制御部、113…搬送制御部、114…光センサ制御部、115…用紙有無検知部、116…搬送異常検知部、120…感光体、121…帯電装置、122…露光装置、123…現像装置、124…転写装置、125…クリーニング装置、133…レーザ光発生装置、134…レーザ光、134a…レーザ照射領域、135…光センサ、136、136a…光源、137…受光素子、138…光、139…ロータリエンコーダ、201…ドライブローラ、202…サブドライブローラ(排出ローラ)、P、P1…連続紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が転写され搬送路に沿って搬送される記録媒体にレーザ光を照射するレーザ光照射部と、
前記レーザ光照射部よりも前記記録媒体の搬送方向における下流側に配置され、前記レーザ光照射部が照射するレーザ光と異なる波長の光を前記記録媒体に向けて発する発光部と、
前記レーザ光照射部よりも前記記録媒体の前記搬送方向における下流側において、前記搬送方向に間隔をおいて配置され、前記発光部から発せられ前記記録媒体によって遮られることなく前記記録媒体の前記搬送路を通過した光または前記発光部から発せられ前記記録媒体によって反射された光を受光して、受光した光の光量に応じた信号を各々出力する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子から出力された信号に基づき、前記複数の受光素子に対応した複数の位置における前記記録媒体の有無を検知する第1検知部と、
前記第1検知部により検知された前記複数の位置における前記記録媒体の有無に基づいて、前記レーザ光照射部における前記記録媒体の搬送異常を検知する第2検知部と
を有するレーザ定着装置。
【請求項2】
前記搬送方向に隣り合う前記受光素子の距離及び前記複数の受光素子のうち前記レーザ光照射部と隣り合う受光素子と前記レーザ光照射部との距離が、前記レーザ光照射部から照射されるレーザ光を静止状態の前記記録媒体に連続して照射可能な最長時間であるレーザ光照射可能時間と前記記録媒体の搬送速度を掛け合わせることによって求められる距離より小さいことを特徴とする請求項1に記載のレーザ定着装置。
【請求項3】
前記複数の受光素子が、前記記録媒体の前記搬送方向及び前記記録媒体の幅方向に並べられて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ定着装置。
【請求項4】
前記搬送方向及び前記記録媒体の幅方向に並べられて配置された受光素子は、前記記録媒体の前記幅方向における寸法を越えて前記幅方向に配置されており、
当該レーザ定着装置は、前記搬送方向及び前記記録媒体の幅方向に並べられて配置された受光素子のうち、前記記録媒体の前記幅方向の寸法に応じて選択された受光素子を動作状態とする受光素子制御部を有することを特徴とする請求項3に記載のレーザ定着装置。
【請求項5】
前記受光素子制御部によって動作状態とされる受光素子は、前記記録媒体の各幅方向端部より前記幅方向の外側に位置する1または複数の受光素子のうち、前記記録媒体と隣り合う受光素子を含むことを特徴とする請求項4に記載のレーザ定着装置。
【請求項6】
前記発光部が、前記複数の受光素子に対応して、前記搬送方向に間隔をおいて配置された複数の光源を有し、
当該レーザ定着装置が、前記複数の光源を制御する光源制御部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレーザ定着装置。
【請求項7】
隣り合う前記光源から発せられる光が異なる波長を有することを特徴とする請求項6に記載のレーザ定着装置。
【請求項8】
像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段によって帯電させられた像保持体に対し、画像データに応じた露光を行って静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段により形成された静電潜像を現像して、前記像保持体の表面に画像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された画像を前記記録媒体上に定着させる請求項1乃至7のいずれかに記載のレーザ定着装置と
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−45023(P2013−45023A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184107(P2011−184107)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】