説明

レーザ接合方法および接合部品

【課題】2つの素材を、熱影響を最小限にしながら十分な強度を有するレーザ接合方法を提供すること。
【解決手段】第1および第2の素材(V1,V2)を重ね合わせ、第1の素材(V1)側から第1の素材(V1)の表面にレーザ光(103)を照射させることで、両素材(V1,V2)を接合する際、第1および第2の素材(V1,V2)との重ね合せ部に対して、レーザ光(103)を移動させながら間欠的に照射させることで第1の素材(V1)の表面に溶接ビード(1)を形成し、かつ、溶接ビード(1)の長さは、徐々に短く形成することで解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの素材をレーザ光により強固に接合するレーザ溶接方法ならびにそれによって形成された接合部品に関するものである。とりわけ、二次電池のような溶接時の熱影響を抑える必要のある製品に用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱影響を抑えたレーザ溶接方法としては、被溶接素材のそれぞれの厚みや材料を調整しながら被溶接素材を貫通しないようにレーザの出力を調整するが、その一例として、接合材の融点の違いを利用してレーザ接合している技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3と図4は、上記特許文献1に記載された、従来のレーザ溶接方法を示すものである。 以下、上記従来のレーザ接合方法を説明する。
【0004】
まず、融点の異なる2種類の材質からなる被溶接素材(W1、W2)に対して、レーザ光の光軸を融点の高い素材(W1)側に照射して、この素材の溶融物が持つ熱により融点の低い素材(W2)を融解させ、両被溶接素材を溶融接合することで異材の溶接が実施される。図3において、溶接ヘッド101は多関節ロボット( 図示せず)のアーム先端部又は直交移動する三次元直交移動体( 図示せず)の先端に取り付けられている。そして、溶接ヘッド101は先端のレーザ照射部102からレーザ光103が放射される。レーザ光103の光軸は、2枚の被溶接素材(W1、W2)となる融点の高い素材(W1)と、融点の低い素材(W2)の重ね合せ部(W1が上側であり、W1にレーザ光103が照射される)の溶接線105 に沿って移動するように照射され、溶接部(溶接ビード)104が形成される。
【0005】
そしてレーザ光103 の光軸は、図3を背面側から見た図4のように、融点の高い素材(W1)の端部位置Oから中央側へ適宜、離れた溶接位置O1に合わせられ、溶接部に照射される。その結果、溶接部104Aの溶接形状が得られる。レーザ光103の出力値は、融点の高い素材(W1)側の溶融液が金属間化合物や酸化膜を破って融点の低い側の素材(W2)内部まで適宜深さの楔状に溶け込んで両素材(W1、W2)の原子が融合して混ざり合う半練状態になるとされている。
【0006】
このように、異種金属材料間の接合にレーザを使用した結果、上記従来の技術は、レーザ光による熱が局所的に存在することで必要な部分以外に熱影響を与えにくく、かつ、薄板の溶接が効率的に行える技術であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−136489号公報(図1,図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術の構成では、重ね合わせた2つの薄板のうち、レーザ光が照射される面とは反対の面への熱影響が生じることになる。すなわち、上記反対の面への熱影響を抑えようとすると、被溶接素材の材質や、各々の厚みについての制約条件が多くなるという問題が生じることになる。特に近年では、省エネの観点から、利用が増加している二次電池(蓄電池)等の電極における接合では、電気抵抗が小さいが熱伝導率が高い銅やアルミニウムなどが使用されることが多く、このような熱伝導率の高い材料の使用により熱影響を与えたくない場所に伝熱してしまうことになる。例えば、レーザ光が照射側の薄板(素材)を厚くし、熱容量が大きくなったりするような接合では、熱影響を局所的に留めることが難しいという課題を有していた。
【0009】
ここで熱影響とは、例えば電池の場合であれば絶縁用の樹脂部品が溶接時の熱によって劣化してしまったり最悪の場合熔解してしまう、あるいは電解液が溶接時の熱によって化学変化が起こって劣化してしまったり最悪の場合気化してしまったりすることである。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、熱伝導率の高い材料や照射側の板が厚く熱容量が大きくなったりするような接合でも、熱影響を抑えたレーザ溶接方法および接合部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のレーザ接合方法は、第1および第2の素材を重ね合わせ、第1の素材側から前記第1の素材の表面にレーザ光を照射させることで、前記両素材を接合するレーザ接合方法において、第1および第2の素材との重ね合せ部に対して、前記レーザ光を移動させながら間欠的に照射させることで前記第1の素材の表面に溶接ビードを形成し、かつ、前記溶接ビードの長さは、徐々に短く形成されることで、熱影響を抑える形状となっている。
【0012】
本構成によって、溶接ビードの形成による温度が所定になったところで一端溶接ビードの形成を中断することになり、徐々に被溶接素材に蓄積されていくエネルギーを、レーザの出力調整によってではなく、形状によって制御することが可能となり、重ね合わせた薄板の照射面反対側への熱影響を抑えた接合を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のレーザ接合方法によれば、従来は難しかった電気抵抗は小さいが熱伝導率が高い銅やアルミニウムなどを使用した接合において、重ね合わせた薄板の照射面反対側への熱影響を抑えながら、十分な接合強度を有する接合を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係るレーザ接合の様子を示す模式斜視図
【図2】本発明の実施の形態1に係る表面温度の変化を説明するための図
【図3】従来のレーザ接合の様子を示す模式斜視図
【図4】従来のレーザ接合部を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態2に係るレーザ接合の様子を示す模式斜視図
【図6】本発明の実施の形態3に係る簡易断面図
【図7】本発明の実施の形態3に係るレーザ接合の様子を示す模式斜視図
【図8】本発明の実施の形態3に係る同心円状の溶接ビードの模式図
【図9】本発明の実施の形態3に係る渦巻き状の溶接ビードの模式図
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る丸型蓄電池に金属板を接合する際のレーザ接合方法の様子を示す模式斜視図である。なお、図1において、前述の図3および図4と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0017】
図1において、101は溶接ヘッドであり、溶接ヘッド101の先端にレーザ光103を照射するレーザ照射部102を備える。レーザ照射部102から照射されるレーザ光103 の光軸は、2枚の被溶接素材(V1:金属板、V2:丸型蓄電池)のうち、板状の溶接素材V1の表面に向けられている。このとき、溶接素材V1と溶接素材V2とは重ね合わせて配置されており、レーザ光103は、溶接素材V1と缶状の溶接素材V2(内部に熱影響を避けたい溶液を密閉した素材)との重ね合せ部(V1が上側)上を移動するように照射される。レーザ光103は、連続的に照射されるものではなく、間欠的に照射し、途切れ途切れの溶接部(間欠溶接ビード)1が形成される。
【0018】
レーザ光103を板状の溶接素材V1に照射することで、局所的に温度が上昇し、溶接素材V1の融点を超えると、溶接素材V2の素材内部まで適宜、深さの楔状に溶け込んで両金属の原子が融合して混ざり合う半練状態になる。図4に示す、溶接部104A の溶接形状の通りである。レーザ光103の照射時間が長くなると、必然的に溶接部1が長くなり、溶接素材V1と溶接素材V2ともに蓄熱による温度上昇が起こることになる。このように、溶接部104Aの楔形状の深さが大きくなって行くと、溶接素材V2のうち溶接素材V1と接する面とは反対側の面の温度が上昇して行くことになる。
【0019】
そこで、溶接素材V2のうち、溶接素材V1と接する面とは反対側の面の温度が所定になったところで、レーザ光103の照射を止めれば、蓄積した熱は放散されて、溶接素材V1と溶接素材V2に生じる温度は共に低下する。すなわち、レーザ光103を照射する時間を所定時間おいて、本実施の形態では、溶接ヘッド101を所定速度で移動させる。その際、所定距離を空けて、再びレーザ光103の照射を始めて、溶接素材V2のうち溶接素材V1と接する面とは反対側の面の温度が所定になったところで、レーザ光103を止めることを繰り返すことで溶接部1を形成する。よって、溶接素材V1の表面に、連続ではなく途切れ途切れの溶接部(間欠溶接ビード)1が形成されることになる。
【0020】
図2は、上述のように動作させた場合の溶接素材V2のうち溶接素材V1と接する面とは反対側の面の表面温度の変化を説明するための図である。
【0021】
なお、図2において、縦軸の温度は、最低測定温度400℃の放射温度計の読み値をプロットしたものであり、特に400℃未満の温度が測定されていないこともあり、この温度が意味を持つものではない。つまり、図2の縦軸の温度は、あくまで温度変化の様子を説明するために記載するものであり、表面温度も、図2の上で読み取れる温度以下になるように制御した訳ではない。
【0022】
図2において、第一照射開始点S1で温度が上昇し、第一照射終了点S2で温度が下降している。そして、所定間隔を空けて第2照射開始点S3で再び温度が上昇しているが、放熱が十分では無いため第一照射開始点S1での温度上昇よりも急峻に温度上昇している。そのため、所定温度に達するまでの時間が短縮されて、第一照射開始点S1と第一照射終了点S2の間隔よりも、第2照射開始点S3と第2照射終了点S4との間隔の方が短くなっている。つまり、照射開始時の溶接ビードの長さに比べて、2つ目、3つ目の溶接ビードの長さは短く構成されることとなる。また、それぞれの溶接ビードは、照射開始時は細く、段々太くなるように照射条件を調整する。これは、短時間で材料内へ十分な蓄熱をさせて、後になるほど接合強度と接合面積を稼ぐためである。
【0023】
かかる構成によれば、上記の動作を繰り返すことにより、熱影響を最小限にしながら十分な接合強度を持つ、具体的には所定の強度を得るために十分な長さの溶接ビードを持つレーザ接合が可能となる。また、従来のレーザ接合方法では、熱影響を避けるために投入熱量を減少させることが必要になり、溶接素材V2に比較して照射側の溶接素材V1の熱容量が小さい、具体的には材料厚みが十分に小さいか材料の熱容量が小さいことが重要であったが、本実施の形態では溶接素材V2よりも照射側の溶接素材V1の材料厚みが大きかったにも拘らず、缶内部の温度上昇を最小限に抑えた接合が実現できている。
【0024】
なお、本実施の形態において、溶接部(間欠溶接ビード)1のそれぞれのビードを徐々に短くして行くことで、溶接素材V2のうち、溶接素材V1と接する面と反対の面の温度を所定以下に保つようにしたが、溶接部(間欠溶接ビード)1の非照射部を徐々に長くして、放熱時間を確保することで溶接部(間欠溶接ビード)1のそれぞれのビードを徐々に短くしていく割合を減らすようにしても良い。また、この実施例では溶接部(間欠溶接ビード)1は直線で構成されているが、曲線で構成されていても同じ効果を有する。
【0025】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2である通電する2枚の薄板を接合するときの模式斜視図である。図5において、図1および図3と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0026】
図5において、溶接ヘッド101は先端のレーザ照射部102から発射されるレーザ光103の光軸が、2枚の被溶接素材となる板状の溶接素材U1と裏側に熱影響を避けたい板状の溶接素材U2の重ね合せ部(U1が上側)上を移動するように照射される。このとき、レーザ光103は、連続ではなく途切れ途切れの溶接部(間欠溶接ビード)2A,2B,2Cが形成される。
【0027】
また、間欠溶接ビード2A,2B,2Cは、熱影響を避けたい部分(この実施の形態の場合には溶接素材U2の裏面)の温度を所定以下に保つ目的により、実施の形態1の溶接ビード1と同様に、連続ではなく途切れ途切れの溶接ビードを形成しており、照射開始時の溶接ビードの長さに比べて、2つ目、3つ目の溶接ビードの長さは同等もしくは短く構成されている。
【0028】
但し、実施の形態1の溶接ビード1とは違って、一直線上ではなく、複数列に構成されている。電気接点3は、溶接素材U2上の通電時の電気接点を示している。例えば電池の場合には、蓄積されたあるいは発電された電流がここを通って溶接素材U2、照射側の溶接素材U1の順に流れていき、電池外部に流れていくこととなる。
【0029】
図5においては、溶接部(間欠溶接ビード)2Aを形成した後、同等かより短い溶接ビードで構成された溶接部(間欠溶接ビード)2Bを形成し、更に、間欠溶接ビード2A、2Bと同等かより短い溶接ビードで構成された溶接部(間欠溶接ビード)2Cを形成している。構成する順序は間欠溶接ビード2A、間欠溶接ビード2B、間欠溶接ビード2Cの順であるが、構成する場所は、間欠溶接ビード2A、間欠溶接ビード2C、間欠溶接ビード2Bの順のように時系列に合わせる必要は無い。
【0030】
但し、一つ一つの構成溶接ビードがより長い間欠溶接ビード2Aは、電気接点3により近い側に配置される。抵抗値をR、材料の電気抵抗率をρ、電気の流れる長さをl、断面積をAとすると、
R = ρ×l/A
であり、今後、特に蓄電池などでは軽量化、低コスト化のために外殻を薄くしていく可能性が高く、Aは減っていく傾向にある。
【0031】
逆に、流れる電流が大きくなる傾向にあるため、抵抗値Rは小さくしたいので、必然的にlを短くする必要がある。電気接点3の近くに長いビードを配置することは、距離lを短くすることと同時に、電気の流路の断面積Aを増やすことになり、抵抗値Rを減らす効果がある。これにより、複数の蓄電池の電極を接合する時には、電気接点に近い場所に長い溶接ビードを配置することで、蓄電池の放電時や充電時に大電流が流れたときの発熱を抑えることができる。
【0032】
かかる構成によれば、上記の動作を繰り返すことにより、熱影響を最小限にしながら十分な接合強度を持つレーザ接合が可能となり、複数列に分割されていることで、実施の形態1に比較して、幅の狭い板の接合など適用できる範囲が広くなる。また、構成溶接ビードの長い列を電気接点側に配置することで、電気抵抗的にも有利になる。
【0033】
なお、それぞれの列は同じ長さである必要は無く、また一列に複数のビードを並べることが必要なわけでも無いので、1列に1つずつのビードとしても良いし、1列の中に存在するビード数を規定することは無い。また、この実施例では3列で構成されているが、2列でも、4列以上でも構わない。
【0034】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3である、丸型リチウムイオン蓄電池の正極端子に極板を接合するときの断面図である。また、図7はそのレーザ接合の様子を示す模式斜視図である。図6、図7において、図1および図3、図5と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0035】
近年、充電容量の大きさと充放電繰返し回数の多さから着実に生産量が増加している丸型リチウムイオン蓄電池であるが、より大容量、大電圧が必要な分野では、この丸型リチウムイオン蓄電池を複数個まとめて電池パックとして利用することが多い。このとき丸型リチウムイオン蓄電池の正負の各電極に極板を接合して電気的に一体化させるのであるが、リチウムイオン蓄電池の内容液は熱影響を非常に嫌うため、接合時にも缶内の温度上昇を最小限に抑える必要があり、本発明のレーザ接合が効果的である。
【0036】
図6において、蓄電部10は正負極板とセパレータが巻き取ってある構造で電解液12に浸っており、充電されると蓄電部10にリチウムイオンが蓄えられ、放電時にはこの蓄えられたリチウムイオンを用いて発電して電気が流れることになる。充放電時の電気はプラス側タブ11を通って溶接素材(正極側端子)U2に電気接点3を介して流れて行く。本発明の実施の形態3では、板状の溶接素材U1をこの溶接素材(正極側端子)U2に接合する場合について、図7を用いて説明する。
【0037】
図7において、レーザ照射部102から照射されるレーザ光103は、ガルバノミラー40で反射して、対物レンズ41で焦点を絞られて、板状の溶接素材U1と裏側に熱影響を避けたい溶接素材U2の重ね合せ部(U1が上側)上を移動するように照射され、連続ではなく途切れ途切れの溶接部(間欠溶接ビード)20A、20B、20Cが形成される。時系列的には溶接ビードは20A、20B、20Cの順に形成されるが、配置は時系列の順序と同じでなくても良い。
【0038】
また、間欠溶接ビード20A、20B、20Cは、熱影響を避けたい部分(この実施の形態の場合には溶接素材U2の裏面)の温度を所定以下に保つ目的により、実施の形態1の溶接ビード1と同様に連続ではなく途切れ途切れの溶接ビードを形成している。照射開始時の溶接ビードの長さに比べて、2つ目、3つ目の溶接ビードの長さは同等もしくは短く構成されている。但し、実施の形態1の溶接ビード1とは違って、一直線上ではなく、円周上に構成されている。なお、循環する形状として円周上に構成された場合を例として挙げているが、これは多角形であっても構わない。
【0039】
また、最初の長い溶接ビード20Aは、電気接点3に近い側に配置されている。これは、実施の形態2と同様に、構成溶接ビードの長い列を電気接点側に配置することで、電気抵抗的にも有利になることからこのような配置となっている。
【0040】
このとき、十分な接合強度を得るためにトータルの溶接ビード長さを長くしようとすると、円周上への配置では溶接素材U1と溶接素材U2の重ね合せ部の大きさが制約条件となってしまうが、溶接ビードを図8のように同心円上に配置したり、図9のように渦巻き状に配置したりすることで、長い溶接ビードを形成することができるようになる。
【0041】
かかる構成によれば、リチウムイオン蓄電池のような熱条件の厳しい製品においても、熱影響を最小限にしながら十分な接合強度を持つ、具体的には所定の強度を得るために十分な長さの溶接ビードを持つレーザ接合が可能となり、また、構成溶接ビードの長い列を電気接点側に配置することで、電気抵抗的にも有利になる。
【0042】
なお、実施の形態3では、溶接ビードの形状が自由形状に近くなるので、そのようなレーザ照射に有利なガルバノミラーを使用した照射方式を用いて説明しているが、実施の形態1、2のように照射ヘッドを機械的に動作させて照射しても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のレーザ接合方法は、熱影響を抑えながら十分な接合強度を持った接合できる効果を有する。特に、電気抵抗が小さいが熱伝導率が高い銅やアルミニウムなどが使用されることが多い蓄電池の正負極端子と、金属板の接合や複数の蓄電池を接続して使用する場合の蓄電池間の接合の用途、また熱影響により外観が悪化するためにこれまで溶接ができなかったような薄い金属製の外装カバーの接合等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 溶接ビード
101 溶接ヘッド
102 照射部
103 レーザ光
V1 溶接素材
V2 溶接素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の素材を重ね合わせ、第1の素材側から前記第1の素材の表面にレーザ光を照射させることで、前記両素材を接合するレーザ接合方法において、
第1および第2の素材との重ね合せ部に対して、前記レーザ光を移動させながら間欠的に照射させることで前記第1の素材の表面に溶接ビードを形成し、かつ、前記溶接ビードの長さは、徐々に短く形成されること、
を特徴とするレーザ接合方法。
【請求項2】
隣り合う溶接ビード間の間隔は所定である、請求項1記載のレーザ接合方法。
【請求項3】
前記第1の素材の表面上に、一方向に延びる溶接ビードが並列に複数本形成される、請求項1又は2に記載のレーザ接合方法。
【請求項4】
前記第1の素材には電気接点が形成されており、前記第1の素材の表面に複数本形成される溶接ビードのうち、前記電気接点に近い溶接ビードを最も長く形成した、請求項3に記載のレーザ接合方法。
【請求項5】
前記溶接ビードは、渦巻き状又は同心円状に複数並べて配置されるものである、請求項1又は2に記載のレーザ接合方法。
【請求項6】
渦巻きあるいは同心円の中に電気接点を配置し、前記第1の素材表面のうち、前記電気接点に近い側の溶接ビードを最も長く形成した、請求項5に記載のレーザ接合方法。
【請求項7】
溶接ビードは、レーザ光の照射開始点から徐々に太くなる形状である、請求項1〜6の何れか一項に記載のレーザ接合方法。
【請求項8】
第1の素材および第2の素材とが接合されてなる接合部品において、
前記第1の素材および前記第2の素材とが重ね合う領域のうち、前記第1の素材表面に溶接ビードが間欠に複数形成され、かつ、前記溶接ビードの長さは徐々に短く形成されてなること、
を特徴とする接合部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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