説明

レーザ溶接方法

【課題】溶接時の隙間管理を精度良く行うことができるレーザ溶接方法を提供する。
【解決手段】このレーザ溶接方法では、溶接前工程において、溶接予定領域Rを当接させたワーク41,42を伝搬した弾性波の振動強度を検出し、検出した振動強度に対応する出力信号の強度が所定時間内に閾値を超えた回数を積算する。そして、積算回数が予め設定した所定回数を超えるか否かによってワーク41,42間の隙間量Sの可否を判断する。このような手法によれば、画像処理を用いて隙間量Sを判断する場合とは異なり、ワーク41,42の当接部分が外部に露出していない場合であっても隙間量Sの判断が可能となる。したがって、突合せ溶接や重ね溶接といった種々の溶接形態について、溶接時の隙間管理Sを精度良く行うことができる。このことは、隙間量Sの異常による溶接後の製品の歩留まり低下の抑制を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームを照射することにより第1の被加工物に第2の被加工物を溶接するためのレーザ溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ溶接を行う際の前工程として、第1の被加工物と第2の被加工物との溶接予定領域を当接させる工程がある。この工程では、第1の被加工物と第2の被加工物との間の隙間管理を行うことが重要となっている。隙間管理が不十分である場合、例えば板材の突合せ溶接では溶接部分が肉薄化したり、レーザが貫通して板材が切断されたりすることがある。また、板材の重ね溶接では、溶け込み量が不十分で溶接強度が確保できなかったり、溶接部分の歪みが大きくなったりする場合もある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載のレーザ溶接装置では、被加工物であるブランク材の突き合わせ部の隙間量をCCDカメラによって検出している。そして、隙間量の検出結果を、ブランク材を載置している定盤の温度制御にフィードバックすることにより、定盤からの熱的影響による隙間量の増加を抑制している。
【特許文献1】特開2005−66604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のレーザ溶接装置のように、画像処理を用いる手法では、外部から視認できない部分の隙間量を検出することはできない。したがって、例えば重ね溶接を行う場合のように、第1の被加工物と第2の被加工物との当接部分が内側にあるような溶接形態に対しては、隙間管理を精度良く行うことが困難であった。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、溶接時に隙間管理を精度良く行うことができるレーザ溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係るレーザ溶接方法は、第1の被加工物及び第2の被加工物の溶接予定領域を互いに当接させる溶接前工程と、溶接予定領域に沿ってレーザビームを照射する溶接中工程と、溶接予定領域に形成された溶接部の溶接品質を検査する溶接後工程とを備えたレーザ溶接方法であって、溶接前工程は、溶接予定領域を互いに当接させた状態で、振動発生手段から発生した振動を第1の被加工物と第2の被加工物とに伝播させる工程と、第1の被加工物と第2の被加工物とを伝搬した振動を振動検出手段によって検出する工程と、振動検出手段からの出力信号に基づいて、第1の被加工物と第2の被加工物との間の隙間量の可否を判断する工程とを備えたことを特徴としている。
【0007】
このレーザ溶接方法では、溶接前工程において、溶接予定領域を互いに当接させた第1の被加工物と第2の被加工物とに伝搬させた所定周波数の振動に基づいて、第1の被加工物と第2の被加工物との間の隙間量の可否を判断する。このような手法によれば、画像処理を用いて隙間量を判断する場合とは異なり、第1の被加工物と第2の被加工物との当接部分が外部に露出していない場合であっても隙間量の判断が可能となる。したがって、突合せ溶接や重ね溶接といった種々の溶接形態について、溶接時の隙間管理を精度良く行うことができ、隙間量の異常による溶接の歩留まりの低下を抑えられる。
【0008】
また、出力信号が所定時間内に閾値を超えた回数を積算し、この積算回数が予め設定した所定回数に満たなかったときに、第1の被加工物と前記第2の被加工物との間の隙間量が異常であると判断することが好ましい。この判断方法では、出力信号の閾値を設定することにより、出力信号にノイズ等が多少混在している場合でも、隙間量の誤判断を抑止できる。
【0009】
また、出力信号は波形パターンであることが好ましい。出力信号を波形パターン化することにより、隙間量の状態を視覚的に把握することが可能となる。
【0010】
また、振動発生手段は、所定周波数の振動を発生可能な発振器であることが好ましい。この場合、発振器によって所定周波数の振動を発生させることが可能であるので、振動検出手段からの出力信号を安定化し、隙間量の可否判断を精度良く行うことができる。
【0011】
また、振動発生手段は、第1の被加工物又は第2の被加工物に当接したときに振動を発生可能な材料からなる押圧部を備えた治具であることが好ましい。この場合、例えば第1の被加工物及び第2の被加工物の固定に用いる固定治具をそのまま振動発生手段として用いることができるので、隙間量を検出するための構成を簡単化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るレーザ溶接方法によれば、溶接時の隙間管理を精度良く行うことができる。これにより、隙間量の異常による溶接後の製品の歩留まりの低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るレーザ溶接方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ溶接方法を実現するレーザ溶接システムを示す構成図である。図1に示すように、レーザ溶接システム1は、例えば鉄道車両構体に用いる外板パネルと骨部材(以下、これらを「ワーク」と称す)とを重ね溶接するためのシステムとして構成されており、ワークの溶接予定領域を互いに当接させる搬送装置10と、溶接予定領域に向けてレーザビームを照射する照射装置20と、形成した溶接部の溶接品質を検査する検査装置30とを備えている。搬送装置10、照射装置20、及び検査装置30のそれぞれは、全体の制御を行う上位の制御装置40に接続され、制御装置40から出力される動作指示情報に従って、溶接前工程、溶接中工程、及び溶接後工程の各工程を自動で実行するようになっている。
【0015】
搬送装置10は、機能的な構成要素として、ワーク搬送制御部101と、治具制御部102と、発振器制御部103と、振動強度検出センサ(振動検出手段)104と、隙間量判断部105と、判断結果出力部106とを有している。
【0016】
ワーク搬送制御部101は、ワークを搬送する搬送アーム(図示しない)の動作を制御する部分である。ワーク搬送制御部101は、制御装置40からワークの搬送開始を指示する開始指示情報を受信すると、搬送アームの制御を開始する。そして、図2に示すように、照射装置20の送り装置52(図4参照)上に載置された一方のワーク(第2の被加工物)41の上面に他方のワーク(第1の被加工物)42を重ね合わせ、溶接予定領域Rを互いに当接させる。ワーク搬送制御部101は、ワーク41,42の搬送が完了すると、治具制御部102に対して加圧治具43の動作開始を指示する開始指示情報を出力する。
【0017】
治具制御部102は、ワーク41,42を固定するための加圧治具43の動作を制御する部分である。治具制御部102は、ワーク搬送制御部101から開始指示情報を受け取ると、図2に示すように、ワーク42の上方から長尺の加圧治具43を下降させ、ワーク41,42の縁部をそれぞれ加圧する。これにより、溶接予定領域R近傍のワーク41,42の密着性が向上する。加圧治具43を下降させた後、治具制御部102は、発振器制御部103及び隙間量判断部105に対して、動作開始を指示する開始指示情報を出力する。
【0018】
発振器制御部103は、ワーク41,42間の隙間量Sの検出に用いる発振器(振動発生手段)44を制御する部分である。発振器44は、図2に示すように、例えばワーク42上面の一方端に配置される。発振器制御部103は、治具制御部102から開始指示情報を受け取ると、超音波領域(数10kHz〜数kHz)の周波数成分を有する弾性波を発振器44から発振させる。
【0019】
振動強度検出センサ104は、発振器44から発振した弾性波の振動強度を検出する部分である。振動強度検出センサ104は、図2に示すように、例えばワーク41上面において発振器44と反対側の端に配置され、ワーク42からワーク41に伝播した弾性波の振動強度に対応する出力信号を隙間量判断部105に出力する。
【0020】
隙間量判断部105は、ワーク41,42の間の隙間量Sの可否を判断する部分である。隙間量判断部105は、治具制御部102から開始指示情報を受け取ると、振動強度検出センサ104からの出力信号の取得を開始し、出力信号の時間軸に対する波形パターンを生成する。ここで、図3に隙間量判断部105によって生成される波形パターンの一例を示す。図3に示す例では、横軸は時間、縦軸は出力信号の強度を標準偏差に基づいて正規化した値となっており、波形パターン61は、ワーク41,42間の隙間量Sに逆比例している。
【0021】
隙間量判断部105は、所定時間tの間に波形パターン61が正規化値+2σを超えた回数を積算する。そして、積算回数が予め設定した所定回数(例えば10回)を超えている場合には、ワーク41,42間の隙間量Sが正常であると判断し、所定回数が所定回数未満であった場合には、ワーク41,42間の隙間量Sが異常であると判断する。そして、隙間量判断部105は、隙間量Sについての判断結果を示す判断結果情報を生成し、判断結果出力部106に出力する。判断結果出力部106は、受け取った判断結果情報を制御装置40に送信する。
【0022】
次に、照射装置20について説明する。照射装置20は、図1に示すように、機能的な構成要素として、レーザ発振制御部201と、ワーク送り制御部202と、アシストガス供給制御部203と、出力状態検出センサ群204と、動作環境検出センサ群205と、供給電力検出センサ206と、ガス圧力検出センサ207と、異常判断部208と、判断結果出力部209とを有している。
【0023】
レーザ発振制御部201は、ワーク41,42の溶接予定領域Rに照射する溶接用のレーザ装置51の動作を制御する部分である。レーザ装置51は、図4に示すように、ワーク41,42の上方に配置されており、例えば波長1.06μm、出力約4.0kWのYAGレーザが用いられる。レーザ発振制御部201は、制御装置40からレーザビームの照射開始を指示する開始指示情報を受信すると、レーザ装置51から溶接予定領域Rに向けてレーザビームを所定時間照射させる。
【0024】
ワーク送り制御部202は、ワーク41,42へのレーザビームの照射位置を走査するための送り装置52の動作を制御する部分である。ワーク送り制御部202は、制御装置40から走査開始を指示する開始指示情報を受信すると、一定の速度で送り装置52を矢印F方向に走査させる。これにより、レーザビームの照射位置がワーク41,42の溶接予定領域Rに沿って移動し、溶接予定領域Rに溶接部Wが順次形成される。
【0025】
アシストガス供給制御部203は、ガス供給装置(図示しない)からのアシストガスの供給量を制御する部分である。アシストガス供給制御部203は、制御装置40から供給開始を指示する開始指示情報を受信すると、所定の供給量でレーザビームの照射位置にアシストガスを供給する。アシストガスとしては、ワーク41,42の酸化防止及びスパッタ防止等を目的として、ヘリウムガス又はアルゴンガス等が用いられる。アシストガスは、図4に示すように、ワーク41,42に対して約45度に傾けられたガス供給装置の供給ノズル53の先端から、レーザビームの照射位置に向けて供給される。レーザ発振制御部201、ワーク送り制御部202、及びアシストガス供給制御部203のそれぞれは、動作の開始を指示する開始指示情報を異常判断部208に出力する。
【0026】
出力状態検出センサ群204は、レーザビームの出力状態の物理量の変化を検出する部分である。より具体的には、出力状態センサ群204は、図4に示すように、レーザ出力強度検出センサ204aと、プラズマ/プルーム光強度検出センサ204bと、反射光強度検出センサ204cと、加工温度検出センサ204dとによって構成されている。
【0027】
レーザ出力強度検出センサ204aは、ワーク41,42に照射するレーザビームの光強度を検出するフォトセンサである。レーザ出力強度検出センサ204aは、レーザビームの照射位置の近傍に配置され、レーザビームと同波長の光の強度に対応する出力信号を異常判断部208に出力する。プラズマ/プルーム光強度検出センサ204bは、レーザビームの照射によってワーク41,42の表面で発生するプラズマとプルームとの光強度を検出するフォトセンサである。プラズマ/プルーム光強度検出センサ204bは、レーザ出力強度検出センサ204aと同様にレーザビームの照射位置の近傍に配置され、レーザビームの波長を除く、約300nm〜約800nmの波長の光の強度に対応する出力信号を検出する。そして、プラズマ/プルーム光強度検出センサ204bは、プラズマの光強度に対応する出力信号と、プルームの光強度に対応する出力信号とを異常判断部208にそれぞれ出力する。なお、プラズマの光強度に対応する出力信号と、プルームの光強度に対応する出力信号とは、双方を併せて異常判断部208に出力してもよく、バンドパスフィルタ等によって切り分けて異常判断部208に出力してもよい。
【0028】
反射光強度検出センサ204cは、ワーク41,42の表面で反射するレーザビームの光強度を検出するフォトセンサである。反射光強度検出センサ204cは、レーザ装置51におけるレーザビームの出射端の近傍に配置され、レーザビームと同波長の光の強度に対応する出力信号を異常判断部208に出力する。加工温度検出センサ204dは、レーザ照射位置における温度を検出するためのフォトセンサである。加工温度検出センサ204dは、レーザ出力強度検出センサ204aと同様にレーザビームの照射位置の近傍に配置され、レーザビームの波長を除く赤外線領域の光の光強度に対応する出力信号を異常判断部208に出力する。
【0029】
また、溶接環境検出センサ群205は、溶接時の環境状態の物理量の変化を検出する部分である。より具体的には、溶接環境検出センサ群205は、図4に示すように、加工音検出センサ205aと、振動検出センサ205bとによって構成されている。
【0030】
加工音検出センサ205aは、レーザビームの照射位置においてワーク41,42表面で発生する音を検出する指向性マイクである。加工音検出センサ205aは、約20Hz〜約20kHzの周波数帯域を持つバンドパスフィルタ(図示しない)を内蔵しており、この周波数帯域の音の大きさに対応する出力信号を異常判断部208に出力する。振動検出センサ205bは、ワーク41,42を固定している加圧治具43における振動の大きさを検出する加速度センサである。振動検出センサ205bは、例えば加圧治具43の軸部分にそれぞれ取り付けられ、各加圧治具43におけるXYZ方向の各加速度に対応する出力信号を異常判断部208に出力する。
【0031】
また、供給電力検出センサ206は、レーザ装置51、送り装置52、及びガス供給装置に供給される電力量を検出する電力計である。供給電力検出センサ206は、検出した電力量に対応する出力信号を異常判断部208に出力する。ガス圧力検出センサ207は、ガス供給装置から溶接予定領域Rに供給されるアシストガスの圧力を検出する圧力センサである。ガス圧力検出センサ207は、ガス圧力に対応する出力信号を異常判断部208に出力する。
【0032】
異常判断部208は、レーザビームの出力状態、溶接時の環境状態、供給電力、及びアシストガス圧力の異常の有無を判断する部分である。異常判断部208は、レーザ発振制御部201、ワーク送り制御部202、及びアシストガス供給制御部203のそれぞれから開始指示情報を受け取ると、出力状態検出センサ群204、溶接環境検出センサ群205、供給電力検出センサ206、及びガス圧力検出センサ207からの各出力信号の取得を開始し、各出力信号の時間軸に対する波形パターンを生成する。
【0033】
ここで、図5に、出力状態検出センサ群204、溶接環境検出センサ群205、供給電力検出センサ206、及びガス圧力検出センサ207で検出する物理量と、この物理量によって検出可能な異常との関係の一例を示す。図5に示すように、レーザ出力強度が異常である場合、レーザ装置51の異常を検出できる。プラズマとプルームとの光強度及び反射光強度が異常である場合、溶接ビード、溶け込み量、アシストガス、ブローホール発生、ワーク状態の各項目の異常を検出できる。加工温度に異常がある場合、溶接ビード、溶け込み量、アシストガスの各項目の異常を検出できる。
【0034】
また、加工音に異常がある場合、溶接ビード、溶け込み量、ブローホール、送り装置52、加圧治具43の各項目の異常を検出できる。振動に異常がある場合、送り装置52、加圧治具43の異常を検出できる。供給電力に異常がある場合、送り装置52、レーザ装置51の異常を検出できる。ガス圧力に異常がある場合、ガス供給装置の異常を検出できる。
【0035】
図6〜図9に、異常判断部208によって生成される波形パターンの例を示す。各図においては、横軸は時間、縦軸は出力信号の強度となっている。図6は、レーザ出力強度検出センサ204aからの出力信号の波形パターンの一例を示す図である。図6に示す例では、異常判断部208は、レーザ出力強度の波形パターン62を監視し、レーザ出力強度が初期値の90%以下に減少した場合に、レーザ装置51が異常であると判断する。
【0036】
図7は、プラズマ/プルーム光強度検出センサ204b及び加工温度検出センサ204dからの出力信号の波形パターンの一例を示す図である。図7に示す例では、プラズマとプルームとの光強度の波形パターン63及び加工温度の波形パターン64は、例えばデータ点100点毎の移動平均値をとることによってそれぞれスムージング処理が施されている。異常判断部208は、波形パターン63,64を監視し、プラズマとプルームとの光強度及び加工温度がいずれも正常値の2倍を超えた場合に、アシストガス成分が異常であると判断する。
【0037】
図8は、反射光強度検出センサ204cからの出力信号の波形パターンの一例を示す図である。図8に示す例では、反射光強度の波形パターン65は、例えばデータ点50点毎の移動平均値をとることによってスムージング処理が施されている。また、波形パターン65の閾値を定めるため、予め反射光強度の上限測定値の波形パターン65a及び下限測定値の波形パターン65bが測定されており、波形パターン65aの最小値及び波形パターン65bの最大値が、反射光強度の波形パターン65の上限閾値及び下限閾値としてそれぞれ設定されている。波形パターン65が上限閾値を超える場合、照射位置におけるレーザビームのロスが大きく、溶け込み量が不十分になっていることが考えられ、波形パターン65が下限閾値を下回る場合、レーザビームのロスが小さすぎ、溶け込み量が過剰になっていることが考えられる。異常判断部208は、波形パターン65を監視し、反射光強度が予め設定した下限閾値を下回った場合又は上限閾値を超えた場合に、溶け込み量が異常であると判断する。
【0038】
図9は、送り装置52の供給電力検出センサ206からの出力信号の波形パターンの一例を示す図である。図9に示す例では、供給電力量の波形パターン66は、例えばデータ点100点毎の移動平均値をとることによってスムージング処理が施されている。異常判断部208は、例えば波形パターン66の立ち上がり部分66aの傾きが所定の閾値以下であった場合、又は波形パターン66の定常部分66bにおいて所定の閾値を超えるデータ点が検出された場合に、送り装置52が異常であると判断する。そして、異常判断部208は、レーザビームの出力状態、溶接時の環境状態、供給電力、アシストガス圧力に異常があった場合に、異常があった旨及びその項目を示す判断結果情報を生成し、判断結果出力部209に出力する。判断結果出力部209は、受け取った判断結果情報を制御装置40に送信する。
【0039】
次に、検査装置30について説明する。検査装置30は、図1に示すように、レーザ変位計制御部301と、レーザ変位計(第1の歪み量検出手段、第2の歪み量検出手段)302と、溶接品質判断部303と、判断結果格納部304とを有している。
【0040】
レーザ変位計制御部301は、ワーク41,42の歪み量を検出するためのレーザ変位計302の動作を制御する部分である。レーザ変位計制御部301は、制御装置40から溶接品質の検査開始を指示する開始指示情報を受信すると、この開始指示情報を溶接品質判断部303に出力する。次に、レーザ変位計制御部301は、レーザ変位計302から測距用のレーザビームを出射させ、図10に示すように、溶接部Wが露出したワーク42の表面で、溶接部Wを横断するようにレーザ変位計302を走査させる。さらに、レーザ変位計制御部301は、例えば搬送装置10の搬送アーム(図示しない)によってワーク41,42の上下が反転させられた後、図11に示すように、溶接部Wが露出していないワーク41の表面で、溶接部Wの対向部位Vを横断するようにレーザ変位計302を走査させる。レーザ変位計302は、検出した歪み量に対応する出力信号を溶接品質判断部303に出力する。
【0041】
溶接品質判断部303は、レーザ変位計302からの出力信号に基づいて、ワーク41,42における溶接部Wの溶接品質を判断する部分である。溶接品質の検査項目としては、溶接部Wのアンダーカット量・アンダーフィル量、及び対向部位Vの凹凸量・折れ量が設定されている。溶接品質判断部303は、レーザ変位計制御部301から開始指示情報を受け取ると、レーザ変位計302からの出力信号の取得を開始し、出力信号の走査位置に対する波形パターンを生成する。
【0042】
ここで、図12〜図15に、レーザ変位計302からの出力信号の波形パターンの一例を示す。各図においては、横軸は走査位置、縦軸は出力信号の強度から求めた歪み量となっており、各波形パターンには、例えばデータ点100点毎の移動平均値をとることによってそれぞれスムージング処理が施されている。図12(a)は、ワーク42における溶接部W近傍の歪み量に対応する波形パターンの一例を示す図である。この場合、溶接品質判断部303は、例えば波形パターン67の傾きの正負が変化する3つの変極点67a、67b、67cを検出することによって、溶接部Wにアンダーカットが生じていることを認識する。アンダーカットとは、図12(b)に示すように、溶接部Wの周囲に凹部が形成される欠陥をいう。そして、溶接品質判断部303は、例えば変極点67a(又は変極点67c)と変極点67bとにおける歪み量の差をアンダーカット量として算出し、この差が予め設定した閾値を超えている場合に、溶接部Wの溶接品質が異常であると判断する。
【0043】
図13(a)は、ワーク42における溶接部W近傍の歪み量に対応する波形パターンの別の例を示す図である。この場合、溶接品質判断部303は、図12の場合と同様に、波形パターン68の3つの変極点68a、68b、68cを検出するが、変極点68aから変極点68cまでの走査位置の間隔が所定幅以上である場合に、溶接部Wにアンダーフィルが生じていることを認識する。アンダーフィルとは、図13(b)に示すように、溶接部Wの頂部が凹状に形成される欠陥をいう。そして、溶接品質判断部303は、例えば変極点68a(又は変極点68c)と変極点68bとにおける歪み量の差をアンダーフィル量として算出し、この差が予め設定した閾値を超えている場合に、溶接部Wの溶接品質が異常であると判断する。
【0044】
図14(a)は、ワーク41における溶接部Wの対向部位Vの歪み量に対応する波形パターンの一例を示す図である。溶接品質判断部303は、波形パターン69の3つの変極点69a、69b、69cを検出することによって、図14(b)に示すように、対向部位Vに生じるワーク41,42の凹凸を認識する。そして、溶接品質判断部303は、例えば変極点69a(又は変極点69c)と変極点69bとにおける歪み量の差を凹凸量として算出し、この差が予め設定した閾値を超えている場合に、溶接部Wの溶接品質が異常であると判断する。
【0045】
図15(a)は、ワーク41における溶接部Wの対向部位Vの歪み量に対応する波形パターンの別の例を示す図である。図14の場合と同様に、波形パターン70の3つの変極点70a、70b、70cを検出するが、変極点70aから変極点70cまでの走査位置の間隔が所定幅以上である場合に、図15(b)に示すように、ワーク41,42に折れが生じていることを認識する。溶接品質判断部303は、例えば変極点70a(又は変極点70c)と変極点70bとにおける歪み量の差を折れ量として算出し、この差が予め設定した閾値を超えている場合に、溶接部Wの溶接品質が異常であると判断する。そして、溶接品質判断部303は、アンダーカット量、アンダーフィル量、凹凸量、及び折れ量の判断結果を示す判断結果情報を判断結果格納部304に出力する。
【0046】
判断結果格納部304は、溶接品質判断部303から出力される判断結果情報を、ワーク41,42の製品番号と関連付けて格納する部分である。判断結果格納部304に格納される情報の一例を図16に示す。図16に示す例では、ワーク41,42の製品番号「001−A」「001−B」に関連付けて、アンダーカット量「0.3mm」、アンダーフィル量「未検出」、凹凸量「0.2mm」、及び折れ量「未検出」が格納されている。また、ワーク41,42の製品番号「002−A」「002−B」に関連付けて、アンダーカット量「未検出」、アンダーフィル量「0.1mm」、凹凸量「0.2mm」、及び折れ量「0.1mm」が格納されている。
【0047】
最後に、制御装置40について説明する。制御装置40は、物理的には、CPU、メモリ、通信インタフェイス、ハードディスクといった格納部、ディスプレイといった表示部、等を備えたコンピュータシステムである。制御装置40は、レーザ溶接システム1のユーザによる所定の操作を受け付けることにより、搬送装置10にワークの搬送開始を指示する開始指示情報を送信する。制御装置40は、溶接前工程において、搬送装置10から隙間量Sが正常である旨の判断結果情報を受信した場合には、レーザビームの照射開始を指示する開始指示情報を照射装置20に送信し、隙間量Sが異常である旨の判断結果情報を受信した場合には、レーザビームの照射開始を禁止する照射禁止情報を照射装置20に送信する。
【0048】
また、制御装置40は、溶接中工程において、照射装置20からレーザビームの出力状態、溶接時の環境状態、供給電力、アシストガス圧力に異常があった旨及びその項目を示す判断結果情報を受信しなかった場合には、溶接品質の検査開始を指示する開始指示情報を検査装置30に送信し、判断結果情報を受信した場合には、動作の停止を指示する動作停止情報を照射装置20に送信すると共に、溶接状態の検査の開始を禁止する検査禁止情報を検査装置に送信する。
【0049】
続いて、上述した構成を有するレーザ溶接システム1の動作について、図17〜図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0050】
まず、ユーザによる所定の操作の操作がなされると、制御装置40から搬送装置10に開始指示情報が送信され(ステップS01)、搬送装置10によって溶接前工程が実行される(ステップS02)。溶接前工程では、図18に示すように、まず、搬送アーム(図示しない)によってワーク41,42が重ね合わせられ、ワーク41,42の溶接予定領域Rが互いに当接させられる(ステップS21)。次に、加圧治具43によって溶接予定領域Rの周囲が押さえられ、ワーク41,42が固定される(ステップS22)。
【0051】
ワーク41,42が固定されると、発振器44から所定周波数の弾性波が発振される。溶接予定領域Rを互いに当接させたワーク41,42を伝播した弾性波は、振動強度検出センサ104によって検出され、振動強度検出センサ104は、検出した弾性波の信号強度に対応する出力信号を出力する(ステップS23)。そして、この出力信号の波形パターンに基づいて、ワーク41,42間の隙間量Sの可否が判断され(ステップS24)、判断結果情報が制御装置40に送信され、溶接前工程が終了する(ステップS25)。
【0052】
溶接前工程が終了すると、図17に示すように、制御装置40において搬送装置10から受信した判断結果情報の内容の判断がなされる(ステップS03)。隙間量Sが正常である場合、制御装置40から照射装置20に開始指示情報が送信され(ステップS04)、照射装置20によって溶接中工程が実行される(ステップS05)。一方、隙間量Sが異常である場合、制御装置40から照射装置20に照射禁止情報が送信され(ステップS09)、溶接中工程が実行されることなく処理が終了する。
【0053】
溶接中工程では、図19に示すように、まず、レーザ照射、ワーク送り、及びアシストガスの供給が開始され、溶接予定領域Rに沿ってワーク41,42に溶接部Wが順次形成される(ステップS31)。また、溶接を行っている間、出力状態検出センサ群204、溶接環境検出センサ群205、供給電力検出センサ206、及びガス圧力検出センサ207による各物理量の検出がなされ(ステップS32)、各物理量に対応する出力信号の波形パターンに基づいて、レーザビームの出力状態、溶接時の環境状態、供給電力、アシストガス圧力の異常の有無が判断される(ステップS33)。
【0054】
レーザビームの出力状態、溶接時の環境状態、供給電力、アシストガス圧力が正常であると判断された場合、溶接が完了したか否かの判断がなされる(ステップS34)。溶接が完了していればそのまま処理を終了し、溶接が完了していない場合には、上述したステップS32〜ステップS33の処理を繰り返し行う。また、レーザビームの出力状態、溶接時の環境状態、供給電力、アシストガス圧力が異常であると判断された場合、制御装置40によってレーザ照射、ワーク送り、及びアシストガス供給が直ちに停止させられる(ステップS35)。そして、照射装置20から制御装置40に判断結果情報が送信される(ステップS36)。
【0055】
溶接中工程が終了すると、図17に示すように、制御装置40において照射装置20から判断結果情報を受信したか否かの判断がなされる(ステップS06)。判断結果情報を受信していない場合、制御装置40から検査装置30に開始指示情報が送信され(ステップS07)、検査装置30によって溶接後工程が実行される(ステップS08)。一方、判断結果情報を受信した場合、制御装置40から検査装置30に検査禁止情報が送信され(ステップS10)、溶接後工程が実行されることなく処理が終了する。
【0056】
溶接後工程では、図20に示すように、レーザ変位計302の走査によって、ワーク42に露出する溶接部W近傍の歪み量の検出がなされる(ステップS41)。次に、ワーク41,42の上下が反転させられた後、ワーク41における溶接部Wの対向部位Vの歪み量の検出がなされる(ステップS42)。そして、各歪み量に対応する出力信号の波形パターンに基づいて、ワーク41,42の溶接品質、すなわち、アンダーカット量、アンダーフィル量、凹凸量、及び折れ量の各項目についての可否の判断がなされる(ステップS43)。判断結果は、ワーク41,42の製品番号に関連付けて判断結果格納部304に格納され(ステップS44)、溶接後工程が終了する。
【0057】
以上説明したように、このレーザ溶接方法では、溶接前工程において、溶接予定領域Rを当接させたワーク41,42を伝搬した弾性波の振動強度に基づいて、ワーク41,42間の隙間量Sの可否を判断する。このような手法によれば、画像処理を用いて隙間量Sを判断する場合とは異なり、ワーク41,42の当接部分が外部に露出していない場合であっても隙間量Sの判断が可能となる。したがって、突合せ溶接や重ね溶接といった種々の溶接形態について、溶接時の隙間管理を精度良く行うことができ、隙間量Sの異常による溶接の歩留まりの低下を抑えられる。
【0058】
隙間量Sの判断に際しては、出力信号の強度が所定時間内に閾値を超えた回数を積算し、この積算回数が予め設定した所定回数に満たなかったときに、ワーク41,42間の隙間量Sが異常であると判断する。このように、出力信号の強度の閾値を設定しておくことにより、出力信号にノイズ等が多少混在している場合でも、隙間量Sの誤判断を抑止できる。また、出力信号を波形パターン化しているので、隙間量Sの状態を視覚的に把握することも可能となる。
【0059】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係るレーザ溶接方法について説明する。図21は、本発明の第2実施形態に係るレーザ溶接方法を実現するためのレーザ溶接システムにおける搬送装置の構成を示す図である。
【0060】
第2実施形態に係るレーザ溶接方法は、ワーク41,42間の隙間量Sの検出にあたって加圧治具43そのものを振動発生手段として用いる点で、発振器44を振動発生手段として用いる第1実施形態と異なっている。すなわち、第2実施形態に係るレーザ溶接方法では、搬送装置10において、図21に示すように、発振器44をワーク42上面の一方端に配置せず、その代わりに、加圧治具43の先端に例えば金属製の長尺の押圧板(押圧部)43aをそれぞれ設けている。そして、治具制御部102によって加圧治具43が下降したときに、押圧板43aがワーク42における溶接予定領域Rに沿う両縁部に当接して発生する振動の強度を振動強度検出センサ104で検出し、振動強度出力センサ104からの出力信号の波形パターンに基づいて、ワーク41,42間の隙間量Sの可否を判断する。
【0061】
このようなレーザ溶接方法においても、第1実施形態と同様に、溶接前工程において、溶接予定領域Rを当接させたワーク41,42を伝搬した振動の強度に基づいて、ワーク41,42間の隙間量Sの可否を判断するので、ワーク41,42の当接部分が外部に露出していない場合であっても隙間量Sの判断が可能となる。したがって、突合せ溶接や重ね溶接といった種々の溶接形態について、溶接時の隙間管理を精度良く行うことができ、隙間量Sの異常による溶接の歩留まりの低下を抑えられる。
【0062】
また、このレーザ溶接方法では、金属製の長尺の押圧板43aがワーク42における溶接予定領域Rに沿う両縁部にそれぞれ当接して発生する振動を利用している。したがって、ワーク41,42に対して発振器44を配置する必要がなく、構成を簡単化することが可能となる。また、上記両縁部に沿って振動の発信源が存在するため、振動の減衰の影響を小さくすることができる。これにより、振動強度検出センサ104からの出力信号のS/N比を十分に確保することができ、隙間量の可否判断を精度良く行うことができる。このことは、ワーク41,42の長手方向の長さが数mを超え、発振器44を用いる場合ではワーク41,42に弾性波を十分に伝播させることが困難な場合に特に有効となる。
【0063】
なお、ワーク41,42の長手方向の長さが押圧板43aの長さに比べて長い場合には、ワーク42における溶接予定領域Rに沿う両縁部に沿って加圧治具43をそれぞれ複数配置してもよい。この場合、複数の押圧板43aを一度にワーク42における上記両縁部に当接させてもよく、例えば振動強度検出センサ104に近い方の押圧板43aから順番にワーク42における上記両縁部に当接させてもよい。また、押圧板43aは、ワーク42に当接したときに振動を発生可能な材料であれば金属製に限られず、例えば硬化プラスチック製、硬化ガラス製などであってもよい。
【0064】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、所定時間内に波形パターンが正規化値+2σを超えた回数が所定回数を超えているか否かによって隙間量Sの可否を判断しているが、ワーク41,42間で発生する弾性波の干渉(うねり)等を考慮し、波形パターンが正規化値±0となる値の出現回数が所定回数以上であるか否かによって隙間量Sの可否を判断するようにしてもよい。
【0065】
また、隙間量Sの可否の判断に加え、レーザ装置51のヘッドからワーク41,42までの間隔を、非接触式又は接触式の距離測定手段(図示しない)によって測定し、レーザ照射時の焦点位置及び送り装置52の異常の有無を管理するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザ溶接方法を実現するためのレーザ溶接システムの構成を示す図である。
【図2】搬送装置の構成を示す図である。
【図3】隙間量判断部によって生成される波形パターンの一例を示す図である。
【図4】照射装置の構成を示す図である。
【図5】出力状態検出センサ群、溶接環境検出センサ群、供給電力検出センサ、及びガス圧力検出センサで検出する物理量と、この物理量によって検出可能な異常との関係の一例を示した図である。
【図6】レーザ出力強度検出センサからの出力信号の波形パターンの一例を示す図である。
【図7】プラズマ/プルーム光強度検出センサ及び加工温度検出センサからの出力信号の波形パターンの一例を示す図である。
【図8】反射光強度検出センサからの出力信号の波形パターンの一例を示す図である。
【図9】供給電力検出センサからの出力信号の波形パターンの一例を示す図である。
【図10】溶接部近傍の歪み量を検出する際の検査装置の動作を示す図である。
【図11】対向部位の歪み量を検出する際の検査装置の動作を示す図である。
【図12】溶接部近傍の歪み量に対応する波形パターンの一例を示す図である。
【図13】溶接部近傍の歪み量に対応する波形パターンの別の例を示す図である。
【図14】対向部位の歪み量に対応する波形パターンの一例を示す図である。
【図15】対向部位の歪み量に対応する波形パターンの別の例を示す図である。
【図16】溶接結果格納部に格納される情報の一例を示す図である。
【図17】図1に示したレーザ溶接システムの動作を示すフローチャートである。
【図18】溶接前工程のフローチャートである。
【図19】溶接中工程のフローチャートである。
【図20】溶接後工程のフローチャートである。
【図21】本発明の第2実施形態に係るレーザ溶接方法を実現するためのレーザ溶接システムにおける搬送装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1…レーザ溶接システム、41…ワーク(第2の被加工物)、42…ワーク(第1の被加工物)、43…加圧治具(振動発生手段)、43a…押圧板(押圧部)、44…発振器(振動発生手段)、104…振動強度検出センサ(振動検出手段)、61…波形パターン、R…溶接予定領域、S…隙間量、W…溶接部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被加工物及び第2の被加工物の溶接予定領域を互いに当接させる溶接前工程と、前記溶接予定領域に沿って前記レーザビームを照射する溶接中工程と、前記溶接予定領域に形成された溶接部の溶接品質を検査する溶接後工程とを備えたレーザ溶接方法であって、
前記溶接前工程は、
前記溶接予定領域を互いに当接させた状態で、振動発生手段から発生した振動を前記第1の被加工物と前記第2の被加工物とに伝播させる工程と、
前記第1の被加工物と前記第2の被加工物とを伝搬した前記振動を振動検出手段によって検出する工程と、
前記振動検出手段からの出力信号に基づいて、前記第1の被加工物と前記第2の被加工物との間の隙間量の可否を判断する工程とを備えたことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項2】
前記出力信号が所定時間内に閾値を超えた回数を積算し、この積算回数が予め設定した所定回数に満たなかったときに、前記第1の被加工物と前記第2の被加工物との間の隙間量が異常であると判断することを特徴とする請求項1記載のレーザ溶接方法。
【請求項3】
前記出力信号は波形パターンであることを特徴とする請求項1又は2記載のレーザ溶接方法。
【請求項4】
前記振動発生手段は、所定周波数の振動を発生可能な発振器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のレーザ溶接方法。
【請求項5】
前記振動発生手段は、前記第1の被加工物又は前記第2の被加工物に当接したときに振動を発生可能な材料からなる押圧部を備えた治具であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のレーザ溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−283398(P2007−283398A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241774(P2006−241774)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】