説明

レーザ走査顕微鏡およびその動作方法

【課題】レーザ走査顕微鏡およびその動作方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの検出チャネルを備えるレーザ走査顕微鏡およびその動作方法であって、該レーザ走査顕微鏡は、50:50の分割比とは異なる分割比で試料光を分割する少なくとも1つのビームスプリッタ(ST)、および検出チャネルでの分割比が50:50の場合には増幅率が異なって調整された検出器(DE)のうちの少なくとも一方を有し、または光分割比が同じ場合には少なくとも1つの検出チャネルに光減衰器を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ走査顕微鏡およびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
問題提起
物質試料と生物医学的試料は、しばしば大きなコントラスト比を有する。この大きなコントラスト比は、たとえばZEISS−LSM700によって個別の測定でカバーすることができない。そのためにHDR法(高ダイナミックレンジ)があり、この方法では、異なる照明強度または検出感度(PMTゲイン)による複数の個別の測定からの測定結果が合成される。しかし測定は順々に行われ、このことは以下の問題を引き起こす。
【0003】
物質領域では(トポグラフ決定):
・長い測定時間。少なくとも二重の走査が必要であるので、測定時間が少なくとも2倍になる。
・個別の測定において、たとえば振動または精確には走行しないスキャナにより、正確には同じ測定点が走査されないというおそれ。
・小さな強度のPSFの評価に基づき計算された高さが通例はより高いノイズ特性を示す。
【0004】
生物医学的領域では:
・長い測定時間。少なくとも二重の走査が必要であるので、測定時間が少なくとも2倍になる。
・個別の測定において、たとえば振動または精確には走行しないスキャナにより、正確には同じ測定点が走査されないというおそれ。
・二重走査により試料に比較的強く負荷がかかり、このことは試料のブリーチングを引き起こし得る。
・生細胞を観察する場合、個別の測定の間に細胞、すなわち試料が変化し得る。すなわち生細胞観察とHDRの組合せは、現在の方法によっては条件付でしか意味がない。
・一般的な方法では複数の測定が連続して行われ、その後計算される。個別の測定は部分的に1つの測定シーケンスにまとめられ、この測定シーケンスは外に対しては個別の測定のような印象を与える。部分的測定の間に、ミラーアレイまたはセンサパラメータのような光学的エレメントが変化する。
・HDRカメラ用の専用のカメラチップがあり、これは比較的大きなダイナミックレンジを検出することができる。しかしながら、このチップは、PMTの代用としては適さない。
【0005】
別の領域、すなわち眼科学(特許文献1)では、非対称分割比を備えるビームスプリッタと複数の画像センサとを用いて拡張されたダイナミクスにより、眼底画像が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開102007046210号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の問題を除去するレーザ走査顕微鏡およびその動作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の問題を除去するという課題は、独立請求項による構成および方法によって解決される。
本発明の一態様によれば、複数の焦点位置または高さ位置zで2次元水平画像走査(X/Y)が行われ、これにより少なくとも2つの検出チャネルで試料光が検出され、3次元画像積層体(X,Y,Z)が記録されるレーザ走査顕微鏡の動作方法において、該画像積層体の記録が検出器により同時に行われ、試料光が検出器間で不均等に分割され、個々の画素(X,Y)と所属のz位置に対して、検出チャネルの、測定された強度値を画素毎に計算し、そこから試料画像を形成し、当該試料画像の形成は、両検出チャネルの2つの強度値が両方ともそれぞれの検出チャネルの閾値領域内にある場合には、2つともの強度値の平均値を形成することにより、または強度値の1つしか検出チャネルの閾値領域内にない場合には、強度値の1つだけを試料画像の形成のために使用することにより、または強度値が検出チャネルの閾値領域内にない場合には、強度値を試料画像形成に使用しないことにより行われる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、複数の焦点位置または高さ位置zで2次元水平画像走査(X/Y)が行われ、これにより少なくとも2つの検出チャネルで試料光が検出され、3次元画像積層体(X,Y,Z)が記録されるレーザ走査顕微鏡の動作方法において、該画像積層体の記録が検出器により同時に行われ、検出器の増幅率が異なっており、個々の画素(X,Y)と所属のz位置に対して、検出チャネルの、測定された強度値を画素毎に計算し、そこから試料画像を形成し、当該試料画像の形成は、両検出チャネルの2つの強度値が両方ともそれぞれの検出チャネルの閾値領域内にある場合には、2つともの強度値の平均値を形成することにより、または強度値の1つしか検出チャネルの閾値領域内にない場合には、強度値の1つだけを試料画像の形成のために使用し、または強度値が検出チャネルの閾値領域内にない場合には、強度値を試料画像形成に使用しないことにより行われる。
【0010】
好ましい変形形態は従属請求項の対象である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、従来技術に対して複数の驚くべき改善をもたらす。
・1000:1または100:1のように高い分割比を備えるカラーニュートラルスプリッタを使用することができる。これにより格段に大きな強度ダイナミックレンジを検出することができる。
・実質的に50:50から異ならないカラーニュートラルスプリッタを使用することもできる。この場合は、コントラスト上昇のために利得(増幅率)だけが使用される。
・センサが2つだけである必要はない。さらなる光線分割により、スペクトル分解を後に接続するために、またはダイナミックレンジをさらに拡張するために別のセンサを接続することができる。
・PMTをセンサとして使用する必要はない。原則的に感光性のすべてのセンサ、たとえばCCDチップまたはCMOSチップも使用することができる。
・測定調整を手動で行う必要はなく、測定条件の自動化または部分自動化も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】レーザ走査顕微鏡の光線路が概略的に示す図である。
【図2】検出の部分光線路を抜粋して示す図である。
【図3】2つの検出器チャネルDE1、DE2に関して、一画素に対応する、Z方向に沿ったX/Y明度信号を例示的に示す図である。
【図4a】生物医学的画像記録とトポグラフ記録に対する共通の工程A1〜A3を示す図である。
【図4b】トポグラフ測定の際の工程A4〜A6の手順を示す図である。
【図4c】生物医学的画像形成の際の工程A5、A6を示す図である。
【図5】LSM700に存在する1つの経過フィルタ(VSDスライド)を示す図である。
【図6】チャネル1による、電極を備えた太陽電池のトポグラフを示す図である。
【図7】チャネル2による、電極を備えた太陽電池のトポグラフを示す図である。
【図8】2つのチャネルを計算した後のトポグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1にはレーザ走査顕微鏡の光線路が概略的に示されている。
LSMは実質的に図1に示すように複数のモジュール、すなわち光源、走査モジュール、検出ユニットおよび顕微鏡に分かれている。これらのモジュールについて以下詳細に説明する。参照として本明細書に引用されるドイツ特許出願公開19702753号を付加的に参照されたい。
【0014】
LSMでは波長の異なるレーザが光源モジュールで使用される。ここでは種々のレーザ(アルゴン、アルゴン・クリプトン、TiSaレーザ)が使用される。さらに光源モジュールでは波長の選択と所要の励起波長の強度調整が、たとえば音響光学的結晶(AOTF)を使用して行われる。引き続きレーザ光線が、ファイバまたは適切なミラー構成体を介して走査モジュールに達する。
【0015】
光源で形成されたレーザ光線は、対物レンズによって回折制限され、スキャナ、走査光学系および鏡筒レンズを介してプレパラートに集束される。焦点は試料をx−y方向で点状に走査する。スキャン時の試料上でのピクセル滞留時間は、通例、1μs未満から数100μsまでの範囲である。
【0016】
共焦点検出の場合、焦点面およびその上とその下の面から放射される光がスキャナを介してダイクロイックビームスプリッタに達する。ダイクロイックビームスプリッタは、試料光を励起光から分離する。引き続き、試料光が、焦点面に対して正確に共役の面にある絞り(共焦点絞り/ピンホール)にフォーカスされる。これにより、焦点外の光成分が抑圧される。絞りの大きさを変化させることにより、顕微鏡の光学的解像度を調整することができる。絞りの後方には通例、別のダイクロイックブロックフィルタがあり、これがさらに照明光線を抑圧する。ブロックフィルタを通過した後、試料光はポイント検出器(通例はPMT)によって測定される。
【0017】
x−y平面にある複数の光学的切片を試料の異なる深さで記録することにより、試料の3次元画像をコンピュータ支援で生成することができる。
したがってLSMは、厚いプレパラートの検査に適する。
【0018】
生物医学的適用では、複数の異なる細胞領域が異なる色素により同時にマーキングされる(多重蛍光)。個々の色素は従来技術により、異なる吸収特性に基づいて、または異なる放射特性(スペクトル)に基づいて別個に検出することができる。そのために、複数の色素の蛍光光がサブビームスプリッタ(DBS)により付加的に分解され、個々の色素放射が別個のポイント検出器(PMT)で別個に検出される。
【0019】
図2には、検出の部分光線路が抜粋して示されている。この部分光線路は、ピンホールがその間に配置されたピンホール光学系と半透明ビームスプリッタSTとからなり、この半透明ビームスプリッタSTが検出器DE1、好ましくはPMTの方向に部分的に透過させ、ミラーSPを介して検出器DE2、好ましくはPMTの方向に部分的に反射する。
【0020】
図2の光線路は例であり、制限なしで図1の1つまたは複数の検出光線路の代わりをすることができる。
ここでビームスプリッタは50:50のビームスプリッタとして構成することもできるが、好ましくは方向DE1とDE2とで、対応する被覆によりたとえば70:30、または99:1までの異なる分割比を有することもできる。
【0021】
とくに有利にはビームスプリッタSTは光線路に対して移動可能に形成されており(矢印により示されている)、その経過に沿って異なる分割比を、たとえば異なる被覆によって有する。分割比は離散的に、または互いに連続的に移行するよう構成することもできる。したがって検出光線路に対してSTが角度をなして移動することにより、適用に応じて分割比を連続的にまたは離散的に変化させることができる。
【0022】
ビームスプリッタが50:50パーセントで構成されている場合、2つの検出器(PMT)の感度が異なって調整されるか、またはDE1およびDE2への光線路の一方で、たとえば透過率減少により、分割された光線を低減させる。
【0023】
図4にはフローチャートに基づいて、検出器チャネルDE1、DE2による、本発明に基づく有利な評価が、レーザ走査顕微鏡による試料走査と共同してどのように行われるかが示されている。
【0024】
公知のようにLSMとそのスキャナにより、試料が照明光線によって点毎に走査され、照明されたこの点に対応する反射信号または蛍光信号が記録され、それぞれの画素に割り当てられ、X値およびY値として記憶される。したがって1つの画像は記憶されたX/Y検出分布からなる。
【0025】
試料または対象物を(垂直方向)Z方向で走査走行することにより、異なるz値についてこのX/Y画像分布が記憶され、Z方向の走査走行とX/Yでの走査が終了すると、画像のX/Y積層体が存在する。
【0026】
図2によれば、記録は検出器DE1とDE2により平行して行われ、したがってこれら2つの検出チャネルについては、点毎に互いに割当て可能な、2つの別個の画像積層体が画像メモリに存在する。
【0027】
個別の測定を順々に行う代わりに、本発明により測定が同時に行われる。ここで検出光は、2つの異なる検出器に分割され、分割比は大きく異なる(たとえば100:1)。PMT増幅率を適切に選択すると、1つのチャネルで弱い信号成分を明瞭に可視化することができるが、強い信号成分に対しては露出過度または過大制御が生じる。しかしこの強い信号成分は、露出過度が生じないように調整された第2のチャネルで正確に測定される。最後の工程では、2つの信号を統合し適切に計算することができる。これにより、個々の各検出器が単独で可能とさせるだろうよりもダイナミクスの大きな画像またはエラー個所の少ないトポグラフ画像が得られる。
【0028】
測定すべき表面のトポグラフを計算する際には、通例以下の措置が取られる:
1)zスタック記録、異なるz位置について多数の2次元(x/y)画像信号が得られる。
2)各x−y画素について明度対zの曲線を生成する(図3参照)。
3)最大値の位置を見つける。これは位置x−yにおける表面のz位置を表す。
【0029】
検出器を1つしか使用しない場合には、制限されたダイナミックレンジしか得られず、これはたとえば図1に上限と下限のラインによって象徴されている。
さらなる詳細を図3と4に基づいて詳細に説明する。図3a〜e)は、2つの検出器チャネルDE1、DE2に関して、一画素に対応する、Z方向に沿ったX/Y明度信号を例示的に示し、このZ方向は画像を垂直方向に連続記録すること(上記参照)により発生した方向である。
【0030】
それぞれ設定された閾値SoとSuが図示されており、これらの閾値は使用される検出器、たとえば使用されるPMTとその測定領域に依存する。図3b)における比較的小さな最大値は検出器DE2によってのみ記録され、DE1ではこれは下方閾値Suより下にある。
【0031】
図3cでは、検出器DE1とDE2の両方により閾値内の信号が記録される。図3dでは、信号がDE2では上方閾値より上になるほど高く、チャネル1(DE1)でだけ信号が算出される。
【0032】
図3aでは、DE1でもDE2でも下方閾値を下回り、図3eでは両方のチャネルともで上方閾値を上回る。
この処理を図4のフローチャートに基づいても詳細に説明する。図4aは生物医学的画像記録とトポグラフ記録に対する共通の工程A1〜A3を示し、図4bはトポグラフ測定の際の工程A4〜A6の手順を、図4cは生物医学的画像形成の際の工程A5、A6を示す。
1.光が(少なくとも)2つのチャネルに分割され、これによりたとえばチャネル2ではチャネル1より高い信号が発生する。(図4の工程A1)そのためには(図4のA1)たとえば光を、50:50ではない比(たとえば99:1)で同じ感度の検出器に分割することができる。
【0033】
a.または50:50に分割する場合には、2つのチャネルの感度、またはPMTの場合は2つのチャネルの増幅率を異なって選択する。
b.または2つのチャネルの一方でニュートラスフィルタ等により減衰させる。
【0034】
c.または上記項目2または3を組み合わせる。
2.z積層体が記録される(図4の工程A2)、異なるz位置について多数の2チャネル2D(x/y)画像信号が得られる。
3.各チャネルDE1、DE1について、各x−y画素に対して個別に明度対zの曲線(図3と図4のA3)を生成する。
4.各チャネルについて、各x−y画素毎に最大値のz位置を決定する(図4のA4)。
5.信号曲線(図3)が設定された閾値(図4のA5)と比較され、以下の基準(図4のA6)にしたがい画素x−yに対して有効なz位置が選択される。
【0035】
a.2つのチャネルの一方でだけ、得られた最大値/強度が下限より大きく、上限より小さい場合、最大値/強度のz位置をこのチャネルから選択する(図3b、3d)。
b.2つのチャネルともで、得られた最大値/強度が下限より大きく、上限より小さい場合、最大値/強度のz位置を2つのチャネルの最大値/強度のz位置の平均値として選択する(図3c)。この場合、S/N比を低減するために、たとえば強度に応じて異なる重み付けをすることも考えられる。
【0036】
c.2つのチャネルのいずれでも、得られた最大値/強度が下限より大きくなく、上限より小さくない場合(両方のチャネルとも過大制御または過小制御される)、このx−y位置に対してはz位置が算出不能である(いわゆる「無効」または「ホール」図3a、3e)。
【0037】
光または感度の分割が適切に選択されている場合、比較的大きな総ダイナミクスが得られる。ここでさらに有利なことは、分割の正確な係数についての知識、さらには2つのチャネルの互いの較正がまったく必要ないことである。
【0038】
もちろんたとえばPMTが使用される場合、両方のPMT高電圧を前もって較正し、後で適切に選択することにより、できるだけ大きな有効ダイナミックレンジを得るために最適の比を達成することができる。この場合、たとえばユーザによりチャネル1の高電圧を選択する際に、チャネル2の高電圧を自動的に設定することができるかもしれない。
【0039】
PMTの増幅係数「利得」は印加される高電圧に依存し、したがってここでは同義に使用される。
驚くべきことに、図5に示したLSM700に存在する1つの経過フィルタ(VSDスライド)もまた本発明により使用することができる。
【0040】
このフィルタは(欧州特許公開第1882969号も参照のこと)、可変のスペクトル経過フィルタを備える中央部分の他に、その縁部にガラスプレート(プレート)を有し、このガラスプレートはこれまで、経過フィルタをいわば「遮断」するために使用されていた。このフィルタは、その他方の縁部に全鏡(ミラー)を有する。
【0041】
経過フィルタが光線路中で移動され、ガラスプレートが光学的に有効な光線路に達すると、ガラスプレートはその約99:1の分割比により、驚くべきことには図2、3で説明したビームスプリッタとして使用することができる。
【0042】
2つのチャネルに対する利得(増幅率)は、1%チャネルにおいて露光過度が生じないように選択すべきである。99%チャネルの利得(増幅率)は、2つのチャネルで露光過度でも露光過小でもない十分なボクセルが存在するように選択すべきである。
【0043】
好ましくはまず概要画像積層体が記録され、発生する最大強度と最小強度が決定される。概要積層体は比較的低い解像度(より少ないX/Y点またはZ点が読み出される)でもよい。
【0044】
本来の測定の際には2つのチャネルにより同時に測定される。測定に続いて、2つの個別のチャネルが1つのチャネルに清算される。
測定データの本来の融合の際には、生物医学的評価とトポグラフ評価とを有利には区別することができる。以下、2つのアプローチを説明する。
【0045】
生物医学的評価では、測定システムを前もって較正するのが有利である。このことはとりわけ、使用されるビームスプリッタおよび場合によりその波長依存性、または異なって調整される検出器増幅率に対して当てはまり、その場合、測定は波長に依存して評価される。
【0046】
図3の図示とは異なり、この評価の際には通例、測定された値が考慮されないままであることはなく、平均値の計算に用いることができるように、低い値は係数と乗算される。たとえばDE1とDE2との間の分割比または増幅比が99:1の場合、チャネルDE2の値が99により乗算され、それから初めてDE1とDE2との平均値が形成される。この係数は、すべての波長に対して同じ画像条件を設定するために、波長に依存して調整することができる。
【0047】
トポグラフ測定の場合、有利には高さ評価は各xy座標に対して別個に行われる。チャネル割当ては、高さ評価に指向すべきである。これは図6〜8に示されている。
図6は図2のチャネル1により撮影され、図7はチャネル2により撮影されたものである。
【0048】
図8には計算された画像が示されている。
図6には、ピラミッド構造を有する太陽電池のトポグラフが示されている。図右上の領域には太陽電池の電極が認められ、この電極は太陽電池マトリクスとは対照的に非常に高い反射率を有する。概要図に基づいて、電極上でのもっとも明るい反射がPMTのダイナミックレンジ内にあるように第1のチャネルが調整された。白い個所(とりわけ左下)は、それでもなお有意な評価のためには少なすぎる(または多すぎる)光が存在している個所を示す。
【0049】
チャネルの調整はたとえば、チャネル1と2の(例として)99:1の分割比に加えて、たとえばチャネル1に対する増幅率を変化させることにより行われ、これによりこのチャネルは、他方のチャネルよりもたとえば10倍高い感度を有し、したがって分割比が99:1であれば、できるだけ多数の画素をSuとSoの間の有効領域内に取り込み、ひいては計算された画像内に画素を形成することができるようにするために、感度変化によって2つのチャネル間の比が約1000:1に調整されている。
【0050】
図7には、太陽電池のトポグラフが新たに示されている。図6と図7との相違は、第2のチャネルによって測定されたことである。チャネル分割はVSDスライドのミラー位置を介して行われる。第2のチャネルは上記のように、後の計算のために、有効なピクセルの広い重なり領域が存在するように調整された。図7では、露光過大または露光過小のピクセルが再度白く図示されている。測定は両方のチャネルで同時に実施された。
【0051】
2つの画像では、それぞれ別の領域が無効であることが分かる。図6では主にピクセルが暗すぎたためであり、図7では主にピクセルが過大制御されたためである。
図8には、2つのチャネルの計算されたトポグラフが示されている。計算の際に、2つのチャネルの共通の有効領域内では、2つの高さの平均値が計算された。有効な高さが1つしか存在しなければ、この値が使用された。画像中の白い位置は、両方のチャネルともで露出過大または露光過小が存在する個所を示す。
【0052】
この例は迅速な測定の場合を示すものであり、最適化された測定条件によるシナリオを示すものではない。したがってさらなる改善が可能である。
【符号の説明】
【0053】
ST…ビームスプリッタ、DE1,DE2…検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の焦点位置または高さ位置zで2次元水平画像走査(X/Y)が行われ、これにより少なくとも2つの検出チャネルで試料光が検出され、3次元画像積層体(X,Y,Z)が記録されるレーザ走査顕微鏡の動作方法において、
該画像積層体の記録が検出器により同時に行われ、試料光が検出器間で不均等に分割され、
個々の画素(X,Y)と所属のz位置に対して、
検出チャネルの、測定された強度値を画素毎に計算し、そこから試料画像を形成し、
当該試料画像の形成は、
両検出チャネルの2つの強度値が両方ともそれぞれの検出チャネルの閾値領域内にある場合には、2つの強度値の平均値を形成することにより、
または
強度値の1つしか検出チャネルの閾値領域内にない場合には、強度値の1つだけを試料画像の形成のために使用することにより、
または
強度値が検出チャネルの閾値領域内にない場合には、強度値を試料画像形成に使用しないことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
複数の焦点位置または高さ位置zで2次元水平画像走査(X/Y)が行われ、これにより少なくとも2つの検出チャネルで試料光が検出され、3次元画像積層体(X,Y,Z)が記録されるレーザ走査顕微鏡の動作方法において、
該画像積層体の記録が検出器により同時に行われ、検出器の増幅率が異なっており、
個々の画素(X,Y)と所属のz位置に対して、
検出チャネルの、測定された強度値を画素毎に計算し、そこから試料画像を形成し、
当該試料画像の形成は、
両検出チャネルの2つの強度値が両方ともそれぞれの検出チャネルの閾値領域内にある場合には、2つの強度値の平均値を形成することにより、
または
強度値の1つしか検出チャネルの閾値領域内にない場合には、強度値の1つだけを試料画像の形成のために使用し、
または
強度値が検出チャネルの閾値領域内にない場合には、強度値を試料画像形成に使用しないことにより行われることを特徴とする方法。
【請求項3】
不均等な分割の分割比が調整可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
不均等な分割を行うために、50:50の分割とは異なる少なくとも1つのビームスプリッタが検出光線路に設けられている、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
ビームスプリッタが分割比の異なる領域を有し、光線路中を光軸に対して移動可能である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記検出チャネルにはPMTが設けられている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
不均等な分割と異なる増幅率とが組み合わされる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
検出チャネル毎に、測定された強度分布に依存して検出器増幅率を異なって制御する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
好ましくは低減された解像度により、分割および検出器増幅率のうちの少なくとも一方を調整するための概要画像積層体が記録される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
強度値として、強度最大値または強度分布の重心が、またはトポグラフ決定のための他のアルゴリズムにしたがい強度経過から得られた値が使用される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも2つの検出チャネルを読み出し、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法を実施するために構成された、レーザ走査顕微鏡の制御ユニット。
【請求項12】
とりわけ請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法を実施するためのレーザ走査顕微鏡であって、とりわけ、少なくとも2つの検出器チャネルを備える請求項11による制御ユニットと、
50:50の分割比とは異なる分割比で試料光を分割する少なくとも1つのビームスプリッタ、および検出チャネルでの分割比が50:50の場合には増幅率が異なって調整される検出器のうちの少なくとも一方とを有し、または光分割比が同じ場合には少なくとも1つの検出チャネルに光減衰器を有するレーザ走査顕微鏡。
【請求項13】
生物医学分野での、とりわけ生細胞の検知のための、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法または顕微鏡の使用。
【請求項14】
トポグラフ測定での、とりわけ表面状態もしくは高さ経過の決定または粗度測定のための、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法または顕微鏡の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−190021(P2012−190021A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−51912(P2012−51912)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(506151659)カール ツァイス マイクロイメージング ゲーエムベーハー (71)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss MicroImaging GmbH
【Fターム(参考)】