説明

レーダ基準方位補正装置、レーダ装置、レーダ基準方位補正プログラム、及びレーダ基準方位補正方法

【課題】レーダ装置の探知方向の基準である基準方位を高精度に補正するレーダ基準方位補正装置を提供する。
【解決手段】レーダ基準方位補正装置は、相対位置取得部と、絶対位置取得部と、演算部と、補正部と、を備える。相対位置取得部は、レーダ装置(レーダアンテナ)に対する物標の相対位置を取得する。絶対位置取得部は、レーダ装置の絶対位置及び物標の絶対位置を取得する。演算部は、相対位置に基づく、レーダ装置に対する物標の方向と、絶対位置に基づく、レーダ装置に対する物標の方向と、の差である誤差角を求める。補正部は、演算部が求めた誤差角に基づいて、基準方位を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、レーダ装置の探知方向の基準である基準方位を補正するレーダ基準方位補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶においてレーダ装置が使用される場合、電波の送受信に用いられるレーダアンテナは、当該レーダアンテナの正面方向が船首方向に一致するように設置される。しかし、レーダアンテナの取付向きの精度にも限界があるため、エコーが表示される方向と、物標の実際に存在する方向と、の間に生じるズレを厳密にゼロにすることは困難である。
【0003】
そのため、レーダアンテナの取付後には、通常、レーダ装置の探知方向の基準である基準方位を電子的に補正する処理が行われる。特許文献1及び2は、具体的な補正方法を開示する。
【0004】
特許文献1のレーダ装置は、船首線調整モードを有しており、この船首線調整モードにおいては、レーダ映像上にレーダアンテナの正面方向(船首線、基準方位)と、実際の船首方位と、を表示可能に構成されている。また、この船首線調整モードにおいては、ユーザは、船首線と船首方位とのズレ量を求めるために、レーダ映像に表示された船首方位を回転させることができる。ユーザは、レーダ映像上の船首方位を回転させる操作を行って、船首方位を船首線に一致させた後に、調整完了キーを押す。レーダ装置は、調整完了キーが押されたときの船首方位の回転量を求める。レーダ装置は、レーダ映像の作成時にこの回転量分だけエコーを回転させることにより、基準方位を補正することができる。
【0005】
特許文献2のレーダ装置では、基準方位を補正する場合、初めに、ユーザは、船首方位上に位置する物標(以下、目標物標)を見つけて、当該物標をレーダに指示する。すると、レーダ装置は、レーダ映像上において目標物標のエコー(以下、目標エコー)が表示される方向を求める。そして、レーダ装置は、目標エコーの方向と、レーダ映像に表示した船首線(基準方位)の方向(通常は真上方向)と、のズレ量を求める。その後、レーダ装置は、レーダ映像の作成時にこのズレ量だけエコーを回転させることにより、基準方位を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2618095号公報
【特許文献2】特開平10−96768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1の構成では、ユーザは、レーダ映像に表示された船首方位と船首線とを一致させる操作を行う必要があり、手間が掛かってしまう。また、この構成では、ユーザが手作業で操作を行うため、補正の精度が低くなる(ズレ量を精度良く求められない)ことも考えられる。
【0008】
また、上記特許文献2の構成は、船首方位上に位置する目標物標を見つける必要があるので、やはり作業の簡便さの観点から改善が望まれていた。なお、特許文献2では、この目標物標として自船のマストを用いる構成が開示されているが、レーダアンテナの前方にマストが配置されているとも限らないため、マストを目標物標として用いることができない場合も考えられる。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、レーダ装置の探知方向の基準である基準方位を高精度に補正するレーダ基準方位補正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のレーダ基準方位補正装置が提供される。即ち、電磁波の送受信によってレーダ装置の探知方向の基準である基準方位を補正する。このレーダ基準方位補正装置は、相対位置取得部と、絶対位置取得部と、演算部と、補正部と、を備える。前記相対位置取得部は、前記基準方位を基準にした前記レーダ装置の探知により取得された、当該レーダ装置に対する物標の相対位置を取得する。前記絶対位置取得部は、前記レーダ装置の絶対位置及び前記物標の絶対位置を取得する。前記演算部は、前記相対位置取得部が取得した前記相対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、前記絶対位置取得部が取得した前記絶対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、の差である誤差角を求める。前記補正部は、前記演算部が求めた誤差角に基づいて、前記基準方位を補正する。
【0012】
これにより、誤差角を自動的に求めることができるので、ユーザの手間を軽減できる。また、ユーザの目視を用いて誤差角を求める構成と比較して、誤差角を正確に求めることができるので、基準方位を高精度に補正することができる。
【0013】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、前記演算部は、前記相対位置取得部が取得した前記相対位置に基づく画像と、前記絶対位置取得部が取得した前記絶対位置に基づく画像と、を比較することにより、前記誤差角を求めることが好ましい。
【0014】
これにより、相対位置取得部及び絶対値取得部が取得した複数の物標の位置を有効に活用できるので、単一の物標の位置同士を比較する構成と比較して、誤差角を高精度に求めることができる。
【0015】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、前記演算部は、前記相対位置取得部が取得した前記相対位置に基づくベクトルと、前記絶対位置取得部が取得した前記絶対位置に基づくベクトルと、がなす角を前記誤差角として求めることが好ましい。
【0016】
これにより、例えばある物標について、相対位置に基づくベクトルと絶対位置に基づくベクトルとを求め、両ベクトルのなす角を求めることで、誤差角を求めることができる。
【0017】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、前記補正部は、前記基準方位を自動的に補正することが好ましい。
【0018】
これにより、ユーザの指示に応じて補正を行う構成と比較して、ユーザの手間を一層軽減することができる。
【0019】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、前記補正部は、ユーザの指示に応じて、前記基準方位を補正することが好ましい。
【0020】
これにより、ユーザが必要と判断した場合にのみ補正を行うことができるので、基準方位が自動的に変化することを防止できる。
【0021】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、このレーダ基準方位補正装置は、前記誤差角が、設定された閾値よりも大きいか否かを判定する判定部を備える。前記補正部は、前記判定部が、前記誤差角が前記閾値よりも大きいと判定したときに、当該誤差角が小さくなるように前記基準方位を補正する。
【0022】
これにより、補正の必要性が高い状況においてのみ基準方位を補正することができるので、処理の効率化を実現できる。
【0023】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、移動体に搭載されることが好ましい。
【0024】
これにより、移動体に搭載されるレーダ装置の基準方位を、例えば基準方位と移動体の正面(船首方向)とが一致するように、高精度に補正することができる。
【0025】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、前記補正部は、前記レーダアンテナ又は自移動体の揺れが所定以上小さいときに、前記誤差角が小さくなるように前記基準方位を補正することが好ましい。
【0026】
即ち、レーダアンテナ又は自移動体が揺動している場合は、レーダアンテナが検出する物標の相対位置が不安定になり易いので、誤差角を適切に求められないことがある。この点、本発明においては、上記の構成にすることで、レーダアンテナが検出する物標の相対位置が安定しているタイミングで基準位置を補正することができる。
【0027】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、前記演算部は、方位センサから取得した自移動体の方位を考慮して、前記誤差角を求めることが好ましい。
【0028】
これにより、自移動体の向きを精度良く把握できるので、正確な誤差角を取得することができる。
【0029】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、前記演算部は、自移動体が真北へ向かっているときに、前記誤差角を求めることが好ましい。
【0030】
これにより、真北方向を上方向とした映像を表示可能な場合、ユーザは、自移動体を精度良く真北方向へ向かわせることができる。この結果、ユーザは、正確な誤差角を求めることができる。
【0031】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、船舶に搭載されることが好ましい。
【0032】
これにより、船舶用レーダ装置の基準方位を補正するレーダ基準方位補正装置において本発明の効果を発揮させることができる。
【0033】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、前記絶対位置取得部は、海図に基づいて前記物標の絶対位置を取得することが好ましい。
【0034】
これにより、AIS情報を利用する場合と異なり、周囲に船が存在しなくても陸等の絶対位置に基づいて誤差角を得ることができる。
【0035】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、前記絶対位置取得部は、AIS情報に基づいて前記物標の絶対位置を取得することが好ましい。
【0036】
即ち、AIS情報の対象となる物標は船舶であるが、エコーを画像で表したときに、通常は、船舶のエコーは陸等のエコーよりも小さくかつ単純な図形として現れる。従って、このエコーから得られる船舶の相対位置と、AIS情報より得られる船舶の絶対位置と、に基づいて、誤差角を精度良く求めることができる。
【0037】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記絶対位置取得部は、AIS情報に基づいて複数の物標の絶対位置を取得する。前記演算部は、複数の物標の相対位置及び絶対位置に基づいて、前記誤差角を求める。
【0038】
即ち、複数の物標があった場合、それぞれの物標について得られる誤差角は互いに等しいはずである。従って、仮に、ある船舶のエコーを上手く取得できなかった場合や、ある船舶が送信するAIS情報が誤っていた場合であっても、両ベクトルのなす角を適切に求めることができる。
【0039】
前記のレーダ基準方位補正装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記基準方位は、レーダアンテナが正面方向を向いたときに送信するヘディング信号に基づいて定められている。前記補正部は、前記演算部が求めた前記誤差角に基づいて、前記ヘディング信号の送信タイミングを補正する。
【0040】
これにより、ヘディング信号の送信タイミングを適切に補正することができる。
【0041】
本発明の第2の観点によれば、前記のレーダ基準方位補正装置を備えるレーダ装置が提供される。
【0042】
これにより、レーダ装置において、本発明の効果を発揮させることができる。
【0043】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成のレーダ基準方位補正プログラムが提供される。即ち、このプログラムは、電磁波の送受信によってレーダ装置の探知方向の基準である前記基準方位を補正するプログラムであり、コンピュータに、相対位置取得手順と、絶対位置取得手順と、演算手順と、補正手順と、を実行させる。前記相対位置取得手順では、前記基準方位を基準にした前記レーダ装置の探知により取得された、当該レーダ装置に対する物標の相対位置を取得する。前記絶対位置取得手順では、前記レーダ装置の絶対位置及び前記物標の絶対位置を取得する。前記演算手順では、前記相対位置取得手順で取得した前記相対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、前記絶対位置取得手順で取得した前記絶対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、の差である誤差角を求める。前記補正手順では、前記演算手順で求めた誤差角に基づいて、前記基準方位を補正する。
【0044】
これにより、誤差角を自動的に求めることができるので、ユーザの手間を軽減できる。また、ユーザの目視を用いて誤差角を求める構成と比較して、誤差角を正確に求めることができるので、基準方位を高精度に補正することができる。
【0045】
本発明の第4の観点によれば、以下のレーダ基準方位補正方法が提供される。即ち、この方法は、電磁波の送受信によってレーダ装置の探知方向の基準である前記基準方位を補正する方法であって、相対位置取得工程と、絶対位置取得工程と、演算工程と、補正工程と、を含む。前記相対位置取得工程では、前記基準方位を基準にした前記レーダ装置の探知により取得された、当該レーダ装置に対する物標の相対位置を取得する。前記絶対位置取得工程では、前記レーダ装置の絶対位置及び前記物標の絶対位置を取得する。前記演算工程では、前記相対位置取得工程で取得した前記相対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、前記絶対位置取得工程で取得した前記絶対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、の差である誤差角を求める。前記補正工程では、前記演算工程で求めた誤差角に基づいて、前記基準方位を補正する。
【0046】
これにより、誤差角を自動的に求めることができるので、ユーザの手間を軽減できる。また、ユーザの目視を用いて誤差角を求める構成と比較して、誤差角を正確に求めることができるので、基準方位を高精度に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】舶用機器ネットワークシステムの全体的な構成を示すブロック図。
【図2】表示装置の正面図。
【図3】エコーの表示方向と実際の物標の方向とがズレることを説明する図。
【図4】誤差角を補正するための構成を示すブロック図。
【図5】演算部が誤差角を求める方法を説明する図。
【図6】変形例に係る誤差角を補正するための構成を示すブロック図。
【図7】AIS情報を用いて画像の比較を行う方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、舶用機器ネットワークシステム1の全体的な構成を示すブロック図である。図2は、表示装置11の正面図である。
【0049】
本実施形態の舶用機器ネットワークシステム1は、舶用ネットワーク10に接続された複数の舶用機器等から構成される。舶用機器同士は、検出した情報等を、舶用ネットワーク10を介してやり取りすることができる。舶用ネットワーク10の規格としては、例えばLAN(Local Area Network)やCAN(Controller Area Network)を採用することができる。
【0050】
図1に示すように、本実施形態の舶用機器ネットワークシステム1は、表示装置11と、GPSアンテナ(GNSSセンサ)12と、レーダアンテナ13と、魚群探知機(音響センサ)14と、船首方位センサ15と、自動操舵装置16と、を備えている。
【0051】
表示装置11は、他の舶用機器(センサ)が検出した情報に基づいて映像(センサ映像)を作成して表示するとともに、ユーザの操作に応じた処理を行う構成である。具体的には、表示装置11は、表示部21と、操作部22と、記憶部23と、制御部25と、を備えている。なお、本実施形態の表示装置11は、当該表示装置11自身が操作部を備える構成であるが、マウスやキーボード等の操作部を外付けできる構成であっても良いし、ユーザのタッチ操作を検出できる構成であっても良い。
【0052】
表示部21は、液晶ディスプレイ等で構成されており、前述のように、センサ映像や、各種設定画面等を表示画面に表示することができる。
【0053】
操作部22は、例えば、時計回り又は反時計回りに回転させる操作が可能な回転キー、メニュー画面を呼び出すためのメニューキー、及びカーソルキー等で構成されている。
【0054】
記憶部23は、制御部25が実行するプログラムの内容、海図情報、及びユーザに設定された航海ルート等を記憶している。
【0055】
制御部25は、記憶部23の記憶内容及び他の舶用機器から受信した情報に基づいて前記センサ映像(レーダ映像や自船周囲の海図等)を作成し、表示部21に表示する。制御部25は、複数の舶用機器から情報を受信しており、複数のセンサ映像を作成する。制御部25は、この複数のセンサ映像のうち1つのみを表示画面に表示するモード(全画面モード)と、表示画面を分割して複数のセンサ映像を表示するモード(分割画面モード、図2を参照)と、を切替可能である。
【0056】
GPSアンテナ12は、GPS衛星(GNSS衛星)からの測位信号を受信して、舶用ネットワーク10を介して、表示装置11等へ出力している。表示装置11の制御部25は、この測位信号に基づいて自船の位置(詳細には、GPSアンテナの位置、地球基準の絶対位置)を求めている。なお、測位信号から位置を求める演算をGPSアンテナ12側で行い、自船の位置を表示装置11へ出力する構成であっても良い。
【0057】
表示装置11は、求めた自船の位置と、記憶部23に記憶された海図情報と、に基づいて、航法装置としての機能を発揮することができる。具体的には、制御部25は、取得した自船の位置と、記憶部23に記憶した海図情報と、に基づいて、海図上に自船の位置を重畳して表示部21に表示することができる(図2の第1センサ映像31を参照)。また、制御部25は、時刻に応じて変化する自船の位置を利用して、対地船速を求めたり、自船の航跡を求めたりして表示部21に表示することができる。
【0058】
レーダアンテナ13は、マイクロ波の送信を行うとともに、物標からの反射波を受信する。この反射波は、適宜の信号処理が行われた後に、表示装置11へ出力される。表示装置11は、この反射波に基づいてレーダ映像を作成する。具体的には、表示装置11の制御部25は、マイクロ波を送信してから反射波を受信するまでの時間から、物標の距離を求める。また、制御部25は、マイクロ波を送信した方向に基づいて、物標が存在する方向を求める。制御部25は、このようにしてレーダ映像を作成して、表示部21に表示する(図2に示す第2センサ映像32を参照)。
【0059】
魚群探知機14は、振動子と、分析部と、から構成される。振動子は、船底等に設置され、海中の真下方向に向けて超音波を発射するとともに、海底又は魚群からの反射波を受信する。分析部は、反射波に基づいて、魚探データ(魚群探知機によって取得されるデータ、魚群や海底のデータ)を作成する。また、本実施形態の魚群探知機14は、取得した魚探データに基づいて、海底の状態(底質)を判定する機能を有している。具体的には、分析部は、受信した反射波を分析することで、海底が岩、礫(石)、砂、及び泥の何れの可能性が高いかを判定することができる。この魚探データ及び判別した底質は、表示装置11へ出力される。そして、表示装置11の制御部25は、受信したデータに基づいて第3センサ映像33を作成し(図2を参照)、表示部21に表示する。第3センサ映像33は、縦軸が魚探データを示し、横軸が魚探データを取得した時間(画面の左端に行くほど古くなる)を示している。
【0060】
船首方位センサ15は、自船の船首方向(船首が向いている方向)を、地球基準の絶対的な方位で検出するように構成されている。一般的に船舶は、船首方向へ向かって前進する。従って、船首方位センサ15は、船体の前進方向の方位を検出していると言うこともできる。船首方位センサ15は、例えば磁気方位センサや、GPSコンパス等を利用することができる。
【0061】
自動操舵装置16は、設定された航海ルートに沿って自船が移動するように舵の操作を自動的に行う装置である。具体的には、自動操舵装置16は、船首方位センサ15から取得した船首方位と、表示装置11から取得した航海ルートと、に基づいて、自船の船首をどれだけ変化させれば良いかを求める。そして、自動操舵装置16は、求めた値に応じて舵角を変化させることにより、自船の針路を航海ルートに一致させる。
【0062】
本実施形態の舶用機器ネットワークシステム1は、以上のように構成される。なお、舶用機器ネットワークシステム1を構成する舶用機器は任意であり、上記で説明した以外の舶用機器が接続される構成であっても良いし、同種の舶用機器が複数接続される構成であっても良い。また、舶用機器が取得したデータの処理は、当該舶用機器で行う構成であっても良いし、表示装置11の制御部25で行う構成であっても良い。
【0063】
次に、レーダアンテナ13の取付後にレーダの探知方向の基準である基準方位を補正する補正処理について詳細に説明する。図3は、エコーの表示方向と実際の物標の方向とがズレることを説明する図である。図4は、誤差角を補正するための構成を示すブロック図である。図5は、演算部53が誤差角を求める方法を説明する図である。
【0064】
図4には、上記で説明したGPSアンテナ12、レーダアンテナ13、船首方位センサ15、表示装置11の記憶部23に加え、レーダ基準方位補正装置50が示されている。レーダ基準方位補正装置50は、レーダの探知方向の基準である基準方位を補正する装置である。なお、レーダ基準方位補正装置50は、独立した装置であっても良いし、他の舶用機器(例えば表示装置11)の内部に組み込まれていても良い。また、独立した装置である場合、レーダアンテナ13等に直接接続されていても良いし、舶用ネットワーク10を介して接続されていても良い。
【0065】
本実施形態のレーダアンテナ13は、所定の回転速度で回転しながら、電波の送受信を繰り返し行うことで、水平面内を、自船を中心として360°にわたってスキャンする構成である。また、レーダアンテナ13は、当該レーダアンテナ13の向きを知らせるために、正面を向く毎に(即ち1回転毎に)ヘディング信号と称される信号をレーダ基準方位補正装置50に対して送信する。本実施形態では、このヘディング信号に基づいて基準方位が定められている。
【0066】
理想的には、ヘディング信号の送信タイミングは、レーダアンテナ13が船首方位を向くタイミングと完全に一致していることが好ましい。しかし、レーダアンテナ13の取付向きの精度にも限界があるため、両者のタイミングを厳密に一致させることは困難である。そのため、本実施形態のレーダ基準方位補正装置50では、レーダアンテナ13の取付向きの誤差を自動的に計算して、当該誤差に基づいて基準方位を電子的に補正したレーダ映像を作成する構成になっている。
【0067】
例えば、図3(a)に示すように、ヘディング信号が送信された瞬間におけるレーダアンテナ13の向きと、船首方位と、が誤差角θだけズレている場合、物標が実際に存在する方向と、レーダ映像上の当該物標のエコーが表示される方向と、の間に誤差角θだけのズレが生じる(図3(b)を参照)。この表示のズレは、上記の誤差角θを求め、当該誤差角θを相殺するように全体を回転させたレーダ映像を作成することにより解消することができる。
【0068】
次に、レーダ基準方位補正装置50が誤差角θを求める処理、及び求めた誤差角θに基づいてレーダ基準方位補正装置50が行う処理について説明する。なお、本実施形態では、GPSアンテナ12が出力する位置情報に基づいて補正処理を行う構成であるため、GPSアンテナ12とレーダアンテナ13との位置が離れている場合は、それぞれの位置が一致するように予め設定しておく必要がある。
【0069】
図4に示すように、レーダ基準方位補正装置50は、相対位置取得部51と、絶対位置取得部52と、演算部53と、判定部54と、補正部55と、を備える。
【0070】
相対位置取得部51は、レーダアンテナ13から物標までの距離及び物標が存在する方向を取得する。具体的には、相対位置取得部51は、レーダアンテナ13がマイクロ波を送信したタイミングと、レーダエコーを受信したタイミングとの時間差から、物標までの距離を取得する。また、相対位置取得部51は、前記レーダエコーを受信したときのレーダアンテナ13の向きによって、物標が存在する方向を取得する。なお、このようにして得られる物標の位置は、自船に対する相対的な位置であるので、以下では、相対位置と称する。
【0071】
レーダアンテナ13の取付向きに誤差がある場合、相対位置取得部51によって取得される物標の方向は、当該物標が実際に存在する方向からズレてしまうので、相対位置取得部51が取得した物標の相対位置もズレることになる。相対位置取得部51は、こうして取得した物標の相対位置を演算部53へ出力する。
【0072】
絶対位置取得部52は、記憶部23が記憶する海図情報に基づいて、物標(具体的には陸や島等)の絶対位置(地球基準の位置、緯度及び経度で定められる位置)を取得する。また、絶対位置取得部52は、GPSアンテナ12が受信した測位信号に基づいて求められた自船の絶対位置を取得する。絶対位置取得部52は、こうして取得した物標及び自船の絶対位置は、演算部53へ出力する。
【0073】
演算部53には、前記相対位置及び前記絶対位置に加え、船首方位センサ15が取得した船首方位が入力される。演算部53は、入力されたこれらの情報に基づいて、前記誤差角θを求める。以下、誤差角の算出方法について例を挙げて説明する。
【0074】
本実施形態において、演算部53は、入力された情報に基づいて、エコーの位置を示す画像及び物標の実際の位置を示す画像を作成し、これらの画像をマッチング処理することにより、誤差角θを求めている。
【0075】
具体的に説明すると、演算部53は、前記相対位置に基づいて、上記ヘディング信号が発生するときのレーダアンテナ13の向きが画像の真上方向となるように、自船の位置を中心としたエコーの位置を示す画像を作成する(図5(a)を参照)。
【0076】
演算部53は更に、自船の絶対位置と物標の絶対位置との差に基づいて、船首方位センサ15から取得した船首方位が画像の真上方向となるように、自船の位置を中心とした物標の実際の位置を示す画像を作成する(図5(b)を参照)。
【0077】
ここで、船首方位センサ15は、その出力方位の誤差が十分小さくなるように予め調整されているものとする。ただし、演算部53が自船の船首方位を他の手段で高精度に取得できるのであれば、船首方位センサ15を省略することもできる。例えば、ユーザが対地針路等を参照しながら舵を操作し、自船を所定の方向(例えば真北方向)に向かわせた状態で上記の補正処理を開始させるように手順を定めておけば、自船が当該方向に向くことが予め分かっているので、そのことを利用して図5(b)の画像を作成しても良い。
【0078】
そして、演算部53は、エコーの位置を示す画像と、物標の位置を示す画像と、を比較する。図5(c)には、自船の位置を基準として図5(a)と図5(b)の画像を重ね合わせた状態が示されている。この図5に示すように、2つの画像の間には、レーダアンテナ13の取付向きの誤差分(誤差角θ)だけの回転ズレが生じることになる。
【0079】
図5(c)からわかるように、誤差角θは、同一の物標についての、エコーの位置(相対位置)に基づく方向A1と、自船と物標の絶対位置の差及び船首方位に基づいて作成される方向B1と、の差あると表現することができる。方向A1及び方向B1は、何れも自船を基準とした物標の方向を示すという点で共通するが、一方はレーダエコー(相対位置)に基づいて作成され、他方は絶対位置の情報等に基づいて作成される点で異なる。図5(c)には、複数ある物標のうち1つ(最も小さい島)を例にして、方向A1、方向B1、及び誤差角θが図示されているが、他の物標についてもそれぞれ、2つの方向及び誤差角θを把握することができる。
【0080】
本実施形態において、演算部53は、上記の2つのベクトルを実際に計算することはせず、画像処理によって誤差角θを算出している。具体的には、演算部53は、例えばエコーの位置を示す画像を所定の角度ずつ小刻みに回転させながら画像間の距離(類似度)を計算し、両画像が最も良く一致した角度を、誤差角θとして求める。演算部53は、以上のようにして求めた誤差角θを判定部54へ出力する。
【0081】
判定部54には、予め閾値が設定されている。判定部54は、演算部53から受信した誤差角θがこの閾値よりも大きいか否かの判定を行う。
【0082】
補正部55は、誤差角θが閾値よりも大きいと判定部54が判定した場合、当該誤差角θがゼロになるように基準方位の補正を行う。つまり、レーダ映像の作成時に、誤差角θ分だけエコーの位置をズラすように画像を回転させる処理を行う。一方、誤差角θが閾値よりも小さいと判定部54が判定した場合、補正部55は特に処理を行わない。これにより、必要な場合にのみ基準方位の補正を行うことができる。
【0083】
このように、本実施形態では、誤差角が閾値よりも大きい場合、自動で基準方位の補正を行う構成である。これに対し、例えば、演算部53が求めた誤差角を表示装置11に表示する構成とし、ユーザの指示に応じて、補正部55が基準方位を補正する構成とすることもできる。
【0084】
なお、この方向A1と方向B1に、物標までの距離の概念を付加することで、2つのベクトルを作成することができる。誤差角θは、この2つのベクトルがなす角と表現することもできる。従って、例えばある物標について、相対位置に基づくベクトルと、絶対位置に基づくベクトルと、を計算し、当該2つのベクトルがなす角を求めることで、誤差角θを求めることができる。
【0085】
以上に説明したように、本実施形態のレーダ基準方位補正装置50は、相対位置取得部51と、絶対位置取得部52と、演算部53と、補正部55と、を備える。相対位置取得部51は、レーダ装置(レーダアンテナ13)に対する物標の相対位置を取得する。絶対位置取得部52は、レーダ装置の絶対位置及び物標の絶対位置を取得する。演算部53は、相対位置に基づく、レーダ装置に対する物標の方向と、絶対位置に基づく、レーダ装置に対する物標の方向と、の差である誤差角を求める。補正部55は、演算部が求めた誤差角に基づいて、基準方位を補正する。
【0086】
これにより、誤差角を自動的に求めることができるので、ユーザの手間を軽減できる。また、誤差角を正確に求めることができるので、基準方位を高精度に補正することができる。
【0087】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。図6は、変形例に係る誤差角を補正するための構成を示すブロック図である。図7は、AIS情報を用いて画像の比較を行う方法を説明する図である。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0088】
図6に示すように、本変形例の構成は、上記実施形態の構成に加えて、AIS受信機17と、傾斜角センサ18と、を備えている。
【0089】
AIS受信機17は、他船に搭載されるAIS(Automatic Identification System、船舶自動識別装置)が出力するAIS情報を受信している。このAIS信号には、当該他船の位置、船速、及び針路等の情報が含まれている。AIS信号に含まれる他船の位置は、地球基準の絶対的な情報である。AIS受信機17は、取得した他船の絶対位置を絶対位置取得部52へ出力する。
【0090】
演算部53は、絶対位置取得部52から取得した他船の絶対位置に基づいて、上記実施形態と同様に、物標の実際の位置(図7のAISシンボル41)を示す画像を作成する。また、演算部53は、相対位置取得部51がレーダアンテナ13からのレーダエコーに基づいて取得した他船の相対位置に基づいて、船舶の位置を示す画像を作成する(図7の船舶を示すエコー42を参照)。そして演算部53は、上記実施形態と同様に、2つの画像を比較することで誤差角θを求める。
【0091】
なお、一般にレーダエコーから画像を作成した場合、船舶のエコーは陸等のエコーよりも小さい単純な図形として現れる傾向がある。また、AIS情報を用いることで、複数のエコーに対応する船舶の絶対位置を容易に取得できる。従って、演算部53は、両画像のマッチング処理を精度良く行うことができるので、正確な誤差角θを求めることができる。
【0092】
傾斜角センサ18は、船舶の船体の傾斜角度を検出するように構成されている。傾斜角センサ18が検出した傾斜角度は判定部54へ出力される。判定部54は、この傾斜角度に基づいて、自船の揺れが小さいか否かを判定する。この判定の方法としては、例えば、過去の数秒における傾斜角度の変化量の最大値が所定の閾値より小さいか否かを基準とすることが考えられる。
【0093】
本変形例において、補正部55が誤差角θの補正を実際に行うか否かは、当該誤差角θが閾値より大きいか否かの判定結果のほか、上記した揺れの大小の判定結果にも影響される。即ち、レーダアンテナ13又は自船が揺動している場合は、レーダアンテナ13により取得される物標の相対位置が正確でなくなるため、誤差角θを適切に求められないことがある。この点を考慮し、本変形例では、判定部54が自船の揺れが小さいと判定したときにのみ、補正部55が誤差角θの補正を行うように構成されている。この結果、適切な状況下で誤差角θの補正を行うことができるので、より正確なレーダ映像を提供することができる。
【0094】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0095】
海図情報に基づいて取得する物標としては、レーダアンテナ13が取得可能であって海図情報に含まれていれば良く、陸だけに限られない。例えば航路ブイ等であっても良い。
【0096】
本発明は、船舶用レーダ装置に限られず、航空機等の他の移動体に搭載される構成であっても良い。また、灯台等に配置され、周囲の状況を検出するレーダ装置にも本発明を適用することができる。この場合、例えばレーダ装置の基準方位が真北となるように、当該基準方位を補正することができる。
【0097】
本実施形態のレーダ基準方位補正装置50は、多数のセンサから情報を受信する汎用型の表示装置11に内蔵される構成であるが、レーダアンテナ13と、レーダ映像を表示可能な表示部と、で構成されるレーダ装置に内蔵される構成であっても良い。
【0098】
誤差角θを計算する方法としては、2つの画像を比較する方法に限定されない。例えば上記の変形例においては、相対位置に基づいて方向A1(又はベクトル)を実際に計算し、AIS情報と自船の絶対位置とに基づいて方向B1(又はベクトル)を実際に計算した上で、2つの方向に基づいて誤差角を求めれば良い。なお、上述したように船舶のエコーは小さい単純な図形として現れることが多いため、それぞれのエコーの正確な位置(例えば、エコーの図形の中心や重心の位置とすることが考えられる)を容易に計算することができる。この方法によれば、物標の絶対位置に基づく画像の生成処理や画像のマッチング処理を省略できるため、レーダ基準方位補正装置50の負荷を軽減することができる。
【0099】
なお、物標が複数あった場合、それぞれの物標について得られる誤差角は互いに等しくなるはずである。そのため、上記のように物標について2つの方向を実際に求めて誤差角θを算出する場合は、例えば、各物標について得られた誤差角θに極端な値が含まれていた場合にはそれを除外した上で、誤差角θの平均を計算するような処理を採用することができる。これにより、ある船舶のエコーを正確に取得できなかった場合や、ある船舶が送信するAIS情報が誤っていた場合であっても、その影響を受けにくくすることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 舶用機器ネットワークシステム
10 舶用ネットワーク
11 表示装置
12 GPSアンテナ(GNSSセンサ)
13 レーダアンテナ
14 魚群探知機
15 船首方位センサ
16 自動操舵装置
50 レーダ基準方位補正装置
51 相対位置取得部
52 絶対位置取得部
53 演算部
54 判定部
55 補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波の送受信によってレーダ装置の探知方向の基準である基準方位を補正するレーダ基準方位補正装置であって、
前記基準方位を基準にした前記レーダ装置の探知により取得された、当該レーダ装置に対する物標の相対位置を取得する相対位置取得部と、
前記レーダ装置の絶対位置及び前記物標の絶対位置を取得する絶対位置取得部と、
前記相対位置取得部が取得した前記相対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、前記絶対位置取得部が取得した前記絶対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、の差である誤差角を求める演算部と、
前記演算部が求めた誤差角に基づいて、前記基準方位を補正する補正部と、
を備えることを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記演算部は、前記相対位置取得部が取得した前記相対位置に基づく画像と、前記絶対位置取得部が取得した前記絶対位置に基づく画像と、を比較することにより、前記誤差角を求めることを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記演算部は、前記相対位置取得部が取得した前記相対位置に基づくベクトルと、前記絶対位置取得部が取得した前記絶対位置に基づくベクトルと、がなす角を前記誤差角として求めることを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記補正部は、前記基準方位を自動的に補正することを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項5】
請求項1に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記補正部は、ユーザの指示に応じて、前記基準方位を補正することを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記誤差角が、設定された閾値よりも大きいか否かを判定する判定部を備え、
前記補正部は、前記判定部が、前記誤差角が前記閾値よりも大きいと判定したときに、当該誤差角が小さくなるように前記基準方位を補正することを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
移動体に搭載されることを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項8】
請求項7に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記補正部は、レーダアンテナ又は自移動体の揺れが所定以上小さいときに、前記誤差角が小さくなるように前記基準方位を補正することを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記演算部は、方位センサから取得した自移動体の方位を考慮して、前記誤差角を求めることを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項10】
請求項7から9までの何れか一項に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記演算部は、自移動体が真北へ向かっているときに、前記誤差角を求めることを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項11】
請求項7から10までの何れか一項に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
船舶に搭載されることを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項12】
請求項11に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記絶対位置取得部は、海図に基づいて前記物標の絶対位置を取得することを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記絶対位置取得部は、AIS情報に基づいて前記物標の絶対位置を取得することを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項14】
請求項13に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記絶対位置取得部は、AIS情報に基づいて複数の物標の絶対位置を取得し、
前記演算部は、複数の物標の相対位置及び絶対位置に基づいて、前記誤差角を求めることを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項15】
請求項1から14までの何れか一項に記載のレーダ基準方位補正装置であって、
前記基準方位は、レーダアンテナが正面方向を向いたときに送信するヘディング信号に基づいて定められており、
前記補正部は、前記演算部が求めた前記誤差角に基づいて、前記ヘディング信号の送信タイミングを補正することを特徴とするレーダ基準方位補正装置。
【請求項16】
請求項1から15までの何れか一項に記載のレーダ基準方位補正装置を備えることを特徴とするレーダ装置。
【請求項17】
電磁波の送受信によってレーダ装置の探知方向の基準である基準方位を補正するレーダ基準方位補正プログラムであって、
コンピュータに、
前記基準方位を基準にした前記レーダ装置の探知により取得された、当該レーダ装置に対する物標の相対位置を取得する相対位置取得手順と、
前記レーダ装置の絶対位置及び前記物標の絶対位置を取得する絶対位置取得手順と、
前記相対位置取得手順で取得した前記相対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、前記絶対位置取得手順で取得した前記絶対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、の差である誤差角を求める演算手順と、
前記演算手順で求めた誤差角に基づいて、前記基準方位を補正する補正手順と、
を実行させるレーダ基準方位補正プログラム。
【請求項18】
電磁波の送受信によってレーダ装置の探知方向の基準である基準方位を補正するレーダ基準方位補正方法であって、
前記基準方位を基準にした前記レーダ装置の探知により取得された、当該レーダ装置に対する物標の相対位置を取得する相対位置取得工程と、
前記レーダ装置の絶対位置及び前記物標の絶対位置を取得する絶対位置取得工程と、
前記相対位置取得工程で取得した前記相対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、前記絶対位置取得工程で取得した前記絶対位置に基づく、レーダ装置に対する前記物標の方向と、の差である誤差角を求める演算工程と、
前記演算工程で求めた誤差角に基づいて、前記基準方位を補正する補正工程と、
を含むことを特徴とするレーダ基準方位補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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