説明

レーダ情報処理装置、レーダ画面表示プログラム

【課題】処理負荷を軽減した航空機等の位置表示を可能にする。
【解決手段】レーダ装置10により測定された航空機の位置を示すレーダ情報をもとに、航空機を表すシンボルをレーダ画面に表示するレーダ情報処理装置12であって、時間経過に伴うシンボルの変化を定義するパラメータを記憶するシンボルパラメータ記憶部27が設けられる。表示機能部24には、シンボルパラメータ記憶部27に記憶されたパラメータに応じてシンボルをレーダ画面に表示させるシンボル表示部421,422,423〜42nと、レーダ装置10により所定時間毎に測定された各レーダ情報に対応するレーダ画面の各位置において、個々にシンボル表示部421,422,423〜42nによってシンボルを表示させるシンボル表示制御部40とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空管制のためにレーダ情報に基づいて航空機等の位置表示を行うレーダ情報処理装置、レーダ画面表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機等の航空管制を行うシステムは、航空機等を安全で、能率的に航行させるために、レーダシステムにより航空機等の位置を測定してレーダ画面に表示させるとともに、他の航空機、障害物、および地上との衝突の可能性などを監視している。
【0003】
航空管制システムは、航空管制レーダシステムから受信したデータをもとに航空機等を検出し、この航空機等について追尾しながらレーダ画面において航空機等の位置表示を行う。
【0004】
航空機等を追尾する追尾機能は、例えば、追尾対象とする航空機の速度を推定し、この速度をもとにして所定時間後の位置を予測し、その予測位置において所定時間後にレーダシステムによって検出できた場合に同一の航空機であると判定する。
【0005】
レーダ画面における位置表示の更新は、先に位置表示されている航空機について、追尾機能によって正しく追尾していることが確認された場合に、先の位置表示を消去し、新たな検出位置に応じた位置表示をすることにより行われる。これにより、レーダシステムにより検出された航空機について、継続的に位置表示をすることができる。
【0006】
また、特許文献1には、航空管制のために航空機の位置を表示する航空機位置表示装置が開示されている。特許文献1の航空機位置表示装置では、航空機の新位置情報と旧位置情報から航空機の位置の変化分を計算し、航空機の表示位置を段階的に更新するための段階更新回数と段階的更新位置情報とを計算し、この段階更新回数と段階的更新位置情報にもとづいて航空機の旧表示位置を段階的に更新している。
【特許文献1】実開平2−101289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来では、航空機等の位置をレーダ画面に表示させる場合には、追尾機能によって、レーダシステムによって検出された航空機等が所定時間前に測定された航空機等と同一のものであると確認された場合に、所定時間前に測定された位置に対する表示を消去し、新たな位置において航空機等を表す位置表示をする処理が行われていた。
【0008】
また、特許文献1に記載された航空機位置表示装置においても、航空機の新位置情報と旧位置情報から航空機の位置の変化分を計算し、航空機の旧表示位置を段階的に更新しており、新旧の航空機位置に基づく処理を経て表示を行っていた。
【0009】
このように従来では、追尾機能による処理結果や、所定時間前に検出された航空機等の位置と現在の位置に基づいて位置情報の表示を更新しているため処理の負荷が大きかった。
【0010】
本発明の課題は、処理負荷を軽減した航空機等の位置表示が可能なレーダ情報処理装置、レーダ画面表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、レーダ装置により測定された航空機の位置を示すレーダ情報をもとに、航空機を表すシンボルをレーダ画面に表示するレーダ情報処理装置において、時間経過に伴う前記シンボルの変化を定義するパラメータを記憶するシンボルパラメータ記憶手段と、前記シンボルパラメータ記憶手段に記憶されたパラメータに応じて前記シンボルを前記レーダ画面に表示させるシンボル表示手段と、前記レーダ装置により所定時間毎に測定された各レーダ情報に対応する前記レーダ画面の各位置において、個々に前記シンボル表示手段によってシンボルを表示させるシンボル表示制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レーダ装置により所定時間毎に測定されるレーダ情報に応じたレーダ画面の各位置において、シンボルパラメータに応じて個々にシンボルを表示させることで、レーダ情報により測定される航空機等について追尾処理をすることなく表示機能のみによって、航空機等の飛行経路を表す表示更新が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における航空交通管制システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、航空交通管制システムには、レーダ装置10(航空管制レーダシステム)、及びレーダ情報処理装置12が含まれている。
【0014】
レーダ装置10は、航空機の位置を測定し、この航空機の位置に関するレーダ情報を出力する。レーダ装置10は、例えば複数のレーダシステムを含むものとし、ネットワークによりレーダ情報処理装置12と接続されている。
【0015】
レーダ情報処理装置12は、コンピュータシステムにより実現されるもので、レーダ装置10から航空機の位置に関するレーダ情報を入力して、このレーダ情報をもとにした航空機の位置表示をすることができる。本実施形態におけるレーダ情報処理装置12は、レーダ装置10から取得されたレーダ情報をもとに、表示機能部24によって処理負担が軽い簡易な位置表示を実行することができる。
【0016】
図1に示すように、レーダ情報処理装置12には、制御部20、レーダ情報取得部21、レーダ情報記憶部22、表示機能部24、シンボルパラメータ設定部26、シンボルパラメータ記憶部27、表示制御部29、表示メモリ30、及び表示装置31が設けられている。
【0017】
制御部20は、情報処理装置14全体の制御を司るもので、記憶媒体(メモリ、ハードディスク等)に記憶されたプログラムをCPUにより実行することで実現される。
【0018】
レーダ情報取得部21は、レーダ装置10から出力されるレーダ情報をネットワークを通じて直接取得する。
【0019】
レーダ情報記憶部22は、レーダ情報取得部21により取得されたレーダ情報を記憶する。
【0020】
表示機能部24は、レーダ装置10により測定された航空機の位置を示すレーダ情報をもとに、航空機等を表すシンボルをレーダ画面に表示するものであって、シンボル表示制御部40、シンボル表示部421,422,423〜42nの処理機能部が含まれている。
【0021】
シンボル表示制御部40は、レーダ装置10により所定時間毎に測定された各レーダ情報に対応するレーダ画面の各位置において、個々にシンボル表示部421,422,423〜42nによって航空機の位置を示すシンボルを表示させるための制御を行う。
【0022】
シンボル表示部421,422,423〜42nは、シンボル表示制御部40の制御のもとで、シンボルパラメータに応じてレーダ画面に航空機の位置を表すシンボルを表示させる。シンボル表示部421,422,423〜42nは、所定時間毎に測定されるレーダ情報に対応するレーダ画面の各位置において、個々にシンボルを表示させるため、シンボルを表示させる位置に応じた数が実行がされる。例えば、レーダ画面の4つの位置においてシンボルを表示させる場合には、シンボル表示制御部40によりシンボル表示部421〜424が実行される。
【0023】
シンボルパラメータ設定部26は、レーダ画面に表示される航空機の位置を示すシンボルに対する時間経過に伴う変化を定義するシンボルパラメータを設定する。シンボルパラメータ設定部26は、入力装置28に対する使用者の操作に応じて、シンボルパラメータの内容を設定変更することができる。
【0024】
シンボルパラメータ記憶部27は、シンボルパラメータ設定部26により設定されるシンボルパラメータを記憶する。シンボルパラメータ記憶部27に記憶されたシンボルパラメータは、表示機能部24のシンボル表示制御部40によって、シンボル表示のために起動されたシンボル表示部421〜42nに対して提供される。
【0025】
入力装置28は、キーボードやポインティングデバイスなどであり、各種の入力操作が行われる。
表示制御部29は、制御部20の制御のもとで表示制御を行うもので、表示メモリ30に記憶された表示データに応じた画像を表示装置31のレーダ画面において表示させる。
【0026】
表示メモリ30は、表示装置31により表示される画像の表示データが記憶される。
【0027】
表示装置31は、CRT(cathode-ray tube)あるいはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成されるもので、表示制御部29の制御のもとで表示メモリ30に記憶された表示データに応じた画像を表示する。
【0028】
図2は、シンボルパラメータ記憶部27に記憶されるシンボルパラメータの一例を示している。シンボルパラメータは、表示機能部24によるレーダ画面上での航空機の位置表示(シンボル表示)に用いられるもので、時間経過に伴うシンボルの変化を定義している。
【0029】
本実施形態におけるシンボルパラメータとしては、表示装置31において表示される航空機を表すシンボルのサイズ(形状)、色、及びシンボル消去のタイミングについて、シンボルを最初に表示してからの経過時間と対応付けて設定することができる。
【0030】
図2に示すシンボルパラメータの例では、最初にシンボルを表示する時間0から例えば2秒が経過するごとに表示するシンボルのサイズ(形状)と色が設定されている。図2に示すサイズについてのパラメータは、最初は大きなサイズでシンボル(円形)を表示して、時間が経過するに従って小さなシンボルを表示するように設定されている。また、シンボルの色については、最初に赤色によってシンボルを表示し、次の時間においてピンク色に変更し、その後、黒色にシンボルを表示するように設定されている。
また、図2に示すシンボルを消去するタイミングについては、時間8(8秒後)に設定されている。
【0031】
次に、本実施形態における航空交通管制システムの動作について説明する。
まず、シンボルパラメータ設定処理について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0032】
入力装置28に対する操作によりシンボルパラメータ処理の実行が指示されると、制御部20は、シンボルパラメータ設定部26を起動して、シンボルパラメータ処理を開始させる。
【0033】
まず、シンボルパラメータ設定部26は、設定対象とするパラメータ(設定パラメータ)の指定を制御部20を介して入力する(ステップS1)。ここでは、「サイズ(形状)」「色」または「消去タイミング」の何れかが指定されるものとする。
【0034】
次に、シンボルパラメータ設定部26は、設定パラメータの設定(変更)の対象とする時間の指定を入力する(ステップS2)。そして、設定変更しようとするパラメータの指定を入力する(ステップS3)。シンボルパラメータ設定部26は、指定されたパラメータを変更してシンボルパラメータ記憶部27に記憶させる。
【0035】
さらに、他のパラメータを変更する場合には、前述と同様の処理を繰り返し実行する(ステップS1〜S4)。設定の完了が指示されると(ステップS4、Yes)、シンボルパラメータ設定部26は、シンボルパラメータ設定処理を終了する。
【0036】
例えば、シンボルパラメータの「時間4」における色の設定を変更する場合には、設定パラメータとして「色」を指定し、さらに「時間4」を指定することにより、該当するパラメータの設定が可能となる。
【0037】
ここで、設定可能なサイズ(形状)や色の種類については、シンボルパラメータ設定部26において予め用意しておき、パラメータ指定時に一覧表示するなどして任意に選択できるようにしても良い。シンボルパラメータ設定部26は、一覧表示された中から任意に選択されたパラメータを変更後のパラメータとしてシンボルパラメータ記憶部27に記憶させる。
【0038】
なお、前述した説明では、時間については変更できないものとしているが、時間間隔についても外部からの入力によって変更可能としても良い。また、図2に示すシンボルパラメータの例では、シンボルのサイズ(形状)、色、シンボル消去のタイミングについて設定可能としているが、その他のパラメータを設定可能としても良い。
【0039】
次に、レーダ装置10による測定により得られるレーダ情報(航空機の位置情報)をもとにシンボルを表示するための処理について、図4(a)(b)に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0040】
レーダ情報処理装置12は、レーダ装置10により測定された各航空機等に対するレーダ情報をもとに、表示装置32において各航空機の位置を所定のシンボル(マーク)によりレーダ画面において表示させる。本実施形態におけるレーダ情報処理装置12では、追尾機能を用いることなく、表示機能部24によってレーダ情報(位置情報)をもとにレーダ画面中に航空機の位置を表すシンボルを表示する。
【0041】
なお、制御部20は、レーダ装置10によって測定されるR−θ座標系の位置情報を、レーダ画面上のシンボルを表示する位置を示すX−Y座標系の位置情報に変換して表示機能部24に対して出力するものとする。
【0042】
表示機能部24のシンボル表示制御部40は、制御部20を通じて入力される位置情報に応じて、レーダ画面の各位置において、シンボルパラメータに応じて個々にシンボルを表示させるためのシンボル表示制御処理を、図4(a)に示すフローチャートに従って実行する。
【0043】
まず、表示機能部24のシンボル表示制御部40は、レーダ情報(位置情報)を入力すると(ステップA1)、この入力された位置情報に対応するシンボル表示処理を起動する(ステップA2)。例えば、シンボル表示制御部40は、最初に入力された位置情報に対して、シンボル表示部421を起動したものとする。
【0044】
シンボル表示制御部40は、シンボル表示部421に対して、位置情報(A位置)とシンボルパラメータ記憶部27に記憶されたシンボルパラメータを提供する。
【0045】
シンボル表示部421は、シンボル表示制御部40により提供された位置情報をもとに、この位置情報が示す位置においてシンボルを表示するためのシンボル表示処理を、図4(b)に示すフローチャートに従って実行する。
【0046】
まず、シンボル表示部421は、入力された位置情報に対応するレーダ画面中の表示位置を設定し(ステップB1)、この表示位置においてシンボルパラメータの時間0に該当するサイズ、色のシンボルを表示させる。すなわち、シンボル表示部421は、表示位置においてシンボルを表示するための表示データを、表示制御部29を通じて表示メモリ30に記憶させる。表示制御部29は、表示メモリ30に記憶された表示データに応じた画像を表示装置31において表示させる。これにより、レーダ画面中の位置情報に対応する表示位置にシンボルが表示される。
【0047】
図5(a)〜(f)には、表示装置31におけるレーダ画面の一部を時系列的に示す図である。
【0048】
図5(a)には、最初に入力された位置情報が示すA位置において表示されたシンボルを示している。シンボルパラメータには、時間0(初期状態)に対して、大きなサイズのシンボルが設定されているために、図5(a)に示すように、A位置に大きなサイズのシンボルを表示させている(シンボルの色は赤)。
【0049】
その後、シンボル表示部421は、同じ表示位置(A位置)において、時間経過に伴ってシンボルパラメータが定義するシンボルを順次表示していく(A位置シンボル表示)。
【0050】
すなわち、シンボル表示部421は、シンボルパラメータに設定された時間が経過すると(ステップB3、Yes)、この時間経過(ここでは時間2)に該当するシンボルパラメータのサイズ、色のシンボルを、先に表示していたシンボルに代えて表示させる(ステップB5)。
【0051】
図5(b)には、初期状態から2秒が経過した後に位置情報が入力された時に表示されたシンボルを示している。シンボルパラメータには、時間2に対して、中サイズのシンボルが設定されているために、図5(b)に示すように、A位置に中サイズのシンボルを表示させている(シンボルの色はピンク)。
【0052】
以下、同様にして、シンボル表示部421は、時間の経過に伴って、シンボルパラメータが示すサイズ、色のシンボルを順次表示させる(ステップB3,B5)。
【0053】
図5(c)には、初期状態から4秒が経過した後に位置情報が入力された時に表示されたシンボルを示している。シンボルパラメータには、時間4に対して、小サイズのシンボルが設定されているために、図5(c)に示すように、A位置に小サイズのシンボルを表示させている(シンボルの色は黒)。
【0054】
また、図5(d)には、初期状態から6秒が経過した後に位置情報が入力された時に表示されたシンボルを示している。シンボルパラメータには、時間6に対して、小サイズのシンボルが設定されているために、図5(d)に示すように、A位置に小サイズのシンボルを表示させている(シンボルの色は黒)。
【0055】
そして、シンボル表示部421は、シンボルパラメータに設定された時間が経過し(ステップB3、Yes)、オブジェクトパラメータが示す消去タイミングに到達すると(ステップB4、Yes)、A位置におけるオブジェクトの表示を停止(すなわちオブジェクトを消去)する。
【0056】
図5(e)には、初期状態から8秒が経過した状態を示している。図5(e)に示すように、消去タイミングに到達したA位置ではオブジェクトが消去されている。
【0057】
このように、シンボル表示部421は、最初に入力された位置情報が示すA位置において、オブジェクトパラメータに従って時間の経過に伴ってシンボルを変化させながら表示する。
【0058】
一方、シンボル表示制御部40は、シンボル表示部421を起動してA位置におけるオブジェクトの表示を実行させた後、シンボルパラメータに設定された時間が経過した後に次の位置情報を入力すると(ステップA3,A1)、この入力された位置情報に対応するシンボル表示処理を起動する(ステップA2)。ここでは、シンボル表示制御部40は、シンボル表示部422を起動し、位置情報(B位置)とシンボルパラメータ記憶部27に記憶されたシンボルパラメータを提供する。
【0059】
シンボル表示部422は、シンボル表示制御部40により提供された位置情報をもとに、この位置情報が示すB位置においてシンボルを表示するためのシンボル表示処理を、前述したシンボル表示部421と同様にして、図4(b)に示すフローチャートに従って実行する。
【0060】
すなわち、シンボル表示部422は、最初に入力された位置情報が示すB位置において、シンボルパラメータの時間0に対して設定されているサイズ(形状)、色によってシンボルを表示させる。図5(b)には、シンボル表示部422によりB位置に表示されたシンボルを示している。
【0061】
シンボル表示部422は、B位置において、前述したシンボル表示部421と同様にして、時間経過に伴ってシンボルパラメータに従ってシンボルを変化させながら表示していく(図5(c)→図5(e))。そして、オブジェクトパラメータが示す消去タイミングに到達すると、B位置におけるオブジェクトの表示を停止(すなわちオブジェクトを消去)する(図5(f))。
【0062】
以下、同様にして、シンボル表示制御部40は、所定時間が経過した後に入力される位置情報のそれぞれに対して、シンボル表示部423,424…を順次起動し、各位置において個々にシンボルパラメータに従ってシンボルを表示させる。従って、シンボル表示制御部40は、レーダ画面にシンボルを表示させる位置の数分、シンボル表示部421〜42nを起動することになる。
【0063】
図5(a)〜(f)では、A〜E位置のそれぞれにシンボルを表示しているため、シンボル表示制御部40は、各位置に対応するシンボル表示部421〜425を起動して、それぞれ個々にシンボルを表示させる。
【0064】
図5に示すように、各位置において、シンボルパラメータに従って個々にシンボルを表示させることにより、レーダ装置10により測定される航空機の位置の変化をレーダ画面において表示させることができる。すなわち、追尾機能のような負荷が大きい処理を使用することなく、処理負荷が軽い表示機能のみを用いて、あたかも航空機を追尾しているようにシンボルを表示させることができる。
【0065】
このようにして、本実施形態におけるレーダ情報処理装置12では、処理負荷を軽減した航空機等の位置表示が可能となるため、例えば通常の動作モードでは追尾機能を用いた位置表示を行い、障害発生時など負荷を軽減する必要がある動作状態となった場合に、前述した表示機能部24のみによる位置表示に切り換えて実行するといった制御も可能となる。
【0066】
なお、前述した説明では、シンボルパラメータ記憶部27に記憶されるシンボルパラメータが1種類のシンボルに対するものとなっていたが、複数種のシンボルのそれぞれに対するシンボルパラメータが設定されるようにしても良い。複数種類のシンボルは、例えば識別された航空機別に使い分けるなどしても良い。
【0067】
また、図2に示すシンボルパラメータは、一定時間ごとにサイズ(形状)、色について設定されているが、時間間隔は一定でなくても良い。また、シンボルの形状として、円形を例にして説明しているが、他の形状を用いることも可能である。また、時間経過に伴って相似形のサイズの小さいシンボルを表示するだけでなく、時間経過に伴って相似形ではない任意の形状のシンボルが表示されるようにパラメータを設定することも可能である。
【0068】
また、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態における航空交通管制システムの概略構成を示す図。
【図2】シンボルパラメータ記憶部27に記憶されるシンボルパラメータの一例を示す図。
【図3】シンボルパラメータ設定処理について説明するためのフローチャート。
【図4】レーダ装置10による測定により得られるレーダ情報(航空機の位置情報)をもとにシンボルを表示するための処理(シンボル表示制御処理、シンボル表示処理)を説明するためのフローチャート。
【図5】表示装置31におけるレーダ画面の一部を時系列的に示す図。
【符号の説明】
【0070】
10…レーダ装置、12…レーダ情報処理装置、20…制御部、21…レーダ情報取得部、22…レーダ情報記憶部、24…表示機能部、26…シンボルパラメータ設定部、27…シンボルパラメータ記憶部、28…入力装置、29…表示制御部、30…表示メモリ、31…表示装置、40…シンボル表示制御部、421,422,423〜42n…シンボル表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置により測定された航空機の位置を示すレーダ情報をもとに、航空機を表すシンボルをレーダ画面に表示するレーダ情報処理装置において、
時間経過に伴う前記シンボルの変化を定義するパラメータを記憶するシンボルパラメータ記憶手段と、
前記シンボルパラメータ記憶手段に記憶されたパラメータに応じて前記シンボルを前記レーダ画面に表示させるシンボル表示手段と、
前記レーダ装置により所定時間毎に測定された各レーダ情報に対応する前記レーダ画面の各位置において、個々に前記シンボル表示手段によってシンボルを表示させるシンボル表示制御手段と
を具備したことを特徴とするレーダ情報処理装置。
【請求項2】
前記シンボルパラメータ記憶手段に記憶されたパラメータを外部から入力される指示に応じて設定するパラメータ設定手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のレーダ情報処理装置。
【請求項3】
前記シンボルパラメータ記憶手段に記憶されるパラメータには、レーダ画面に表示されるシンボルのサイズ、シンボルの色、及び消去するタイミングを含むことを特徴とする請求項1記載のレーダ情報処理装置。
【請求項4】
レーダ装置により測定された航空機の位置を示すレーダ情報をもとに、航空機を表すシンボルをレーダ画面に表示するレーダ画面表示プログラムであって、
コンピュータを、
レーダ装置により測定された航空機の位置を示すレーダ情報をもとに、航空機を表すシンボルをレーダ画面に表示するレーダ情報処理装置において、
時間経過に伴う前記シンボルの変化を定義するパラメータを記憶するシンボルパラメータ記憶手段と、
前記シンボルパラメータ記憶手段に記憶されたパラメータに応じて前記シンボルを前記レーダ画面に表示させるシンボル表示手段と、
前記レーダ装置により所定時間毎に測定された各レーダ情報に対応する前記レーダ画面の各位置において、個々に前記シンボル表示手段によってシンボルを表示させるシンボル表示制御手段として機能させるためのレーダ画面表示プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−163425(P2007−163425A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363608(P2005−363608)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】