説明

レール付き架台及びその布設方法

【課題】トンネル内にレールを簡易な装置で容易に布設することができるレール付き架台及びその布設方法を提供する。
【解決手段】トンネル48内に軸方向に複数並べて配置されシールド掘進機1の後方台車3を走行させるためのレール付き架台12において、板状に形成されトンネル48内に載置される架台本体36と、架台本体36上にトンネル軸方向に延びて設けられ後方台車3を走行させるためのレール材37とを備え、架台本体36が、トンネル幅方向の両端部39を屈曲自在に構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内に軸方向に複数並べて設けられシールド掘進機の後方台車を走行させるためのレール付き架台及びその布設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機で構築したトンネル内で後方台車を走行させる場合、レール材、枕木及び締結ボルト等の各部品をセグメント搬送用の搬送台車でシールド掘進機後部まで搬送し、トンネル内の所定位置に枕木とレール材をセグメント搬送用のホイスト等を用いて載置し、トンネル内面に枕木を締結ボルト等で固定すると共に枕木にレール材を固定して後方台車用のレールを布設していた。
【0003】
また、トンネル内にレールを布設する技術としては、特許文献1記載のものが知られている。この技術は、図9に示すように、二つ折りに屈曲自在に形成された枕木50に複数のレール材51を固定してなるレールユニット52をトンネル53外で予め組み立てて多数用意しておく一方、シールド掘進機本体(図示せず)と後方台車(図示せず)との間に、門型のレール延設台車54を設けておき、レール延設台車54にレールユニット52を搬送し、レール延設台車54で既設レールユニット55の前側にレールユニット52を順次連結して布設するものである。
【0004】
この技術によれば、既設レールユニット55の前側にレールユニット52を連結するだけで複数本のレール材51を同時に布設することができ、レールの布設作業を簡略化して工期を短縮できると共に、レール布設作業の安全性を向上できる。
【0005】
【特許文献1】特開平6−108403号公報
【特許文献2】特開2002−47898号公報
【特許文献3】特開2003−232196号公報
【特許文献4】特開平6−146797号公報
【特許文献5】特開2001−288992号公報
【特許文献6】特開2002−295195号公報
【特許文献7】特開2004−204536号公報
【特許文献8】特開平11−62500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トンネル内に枕木等の部品を順次を固定してレールを布設する方法には、作業が大変で時間がかかるという課題があった。また、トンネル内にレールユニット52を順次設置してレールを布設する方法であっても、レールユニット52が幅方向の中央を山折りに折り畳むものであるため、ホイスト等の既存の装置ではレールユニット52を展開することはできず、レールユニット52を吊り上げつつ展開する専用の布設作業装置(レール延設台車54)を用意する必要があり、作業が複雑になり、制御が大変になるという課題があった。またさらに、枕木50にセグメントより遙かに長いレール材51を設けるレールユニット52の構造では、カーブに対応することはできず、撤収するのも難しいという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、トンネル内にレールを簡易な装置で容易に布設することができるレール付き架台及びその布設方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、トンネル内に軸方向に複数並べて配置されシールド掘進機の後方台車を走行させるためのレール付き架台において、板状に形成されトンネル内に載置される架台本体と、該架台本体上にトンネル軸方向に延びて設けられ上記後方台車を走行させるためのレール材とを備え、上記架台本体が、トンネル幅方向の両端部を屈曲自在に構成されたものである。
【0009】
上記架台本体が、トンネルの内面形状に沿うように円弧状に形成されると共に上記両端部に上方に突起する突起部を有し、これら突起部上に上記レール材が設けられるとよい。
【0010】
上記トンネルは、地山を掘削して形成したトンネル穴内にセグメントを組み立てて構築され、上記架台本体の軸方向の長さがセグメント1リング分の長さ、又はセグメント1リング分の長さより若干短い長さにされるとよい。
【0011】
また、シールド掘進機の後方台車を走行させるためのレール付き架台をトンネル内に軸方向に複数並べて配置するレール付き架台の布設方法において、上記レール付き架台の架台本体を板状に形成すると共に、その幅方向の両端部を中央部に対して屈曲自在に構成し、これら両端部を上記中央部の上側に折り重ねるように屈曲させてレール付き架台を折り畳んだのち、該レール付き架台を上記後方台車の前方位置に移送すると共にトンネル内の所定位置に載置し、上記両端部をそれぞれ吊り上げて展開してトンネル内に配置するものである。
【0012】
上記両端部を吊り上げて展開するとき、後方台車の前部に設けられたセグメント搬送用の吊上装置を用いるとよい。
【0013】
上記レール付き架台を上記後方台車の前方位置に移送するとき、シールド掘進機本体のセグメント組立装置にセグメントを供給するためのセグメント供給装置を用いるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トンネル内にレールを簡易な装置で容易に布設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好適実施の形態を添付図面を用いて説明する。
【0016】
図1に示すように、シールド掘進機1は、シールド掘進機本体2と、シールド掘進機本体2に牽引される複数台の後方台車3、4とを備えて構成されている。
【0017】
シールド掘進機本体2は、筒状に形成されたシールドフレーム5と、シールドフレーム5の前端に設けられた隔壁6と、隔壁6に回転自在に設けられ掘進方向前方の地山を掘削するカッタ7と、シールドフレーム5に設けられセグメント15を組み立てるセグメント組立装置たるエレクタ8と、シールドフレーム5に設けられ既設セグメントから反力をとってシールド掘進機本体2を掘進させるシールドジャッキ9とを備えて構成されており、カッタ7で前方の地山を掘削してトンネル穴63を形成しつつ、カッタ7後方のトンネル穴63内にエレクタ8でセグメント15を組み立ててトンネル48を構築するようになっている。
【0018】
後方台車3、4には、それぞれシールド掘進機本体2の各装置に油圧を供給するものや電気等を供給するもの、各装置を制御するためのもの等があり、具体的には、シールド掘進機本体2に連結フレーム10を介して連結される第1後方台車3と、第1後方台車3に後述するセグメント搬送装置11を介して連結される第2後方台車4と、第2後方台車4に連結される第3後方台車(図示せず)とからなる。
【0019】
図1及び図2に示すように、第1後方台車3は、両側に後述するレール付き架台たるインバートレール12のレール13上を走行する車輪14を有する。第1後方台車3の下部には、後方から移送されるセグメント15を前方のエレクタ8に供給するためのセグメント供給装置16が牽引杆17を介して接続されている。セグメント供給装置16は、第1後方台車3の後方から前方に延びて形成されたコンベアからなり第1後方台車3に牽引されてインバートレール12上を走行するように形成されている。セグメント供給装置16は、同時に1リング分のセグメント15と、1つのインバートレール12を載置できるように形成されている。セグメント供給装置16の後端部には、セグメント15又はインバートレール12を載置するための載置エリア18が形成され、この載置エリア18の後方には、セグメント供給装置16が通過した後のインバートレール12を吊り上げて回収するためのインバートレール回収エリア19が形成されている。
【0020】
また、第1後方台車3と第2後方台車4には、後述するセグメント搬送台車20からセグメント供給装置16にセグメント15を搬送するセグメント搬送装置11が掛け渡して設けられている。セグメント搬送装置11は、第2後方台車4の後端部から第1後方台車3の後部まで延びる第1走行レール21と、第1走行レール21に走行自在に設けられた第1走行部22と、第1走行部22に昇降自在に設けられセグメント15を複数枚重ねた状態で把持する把持部23とを備えて構成されている。
【0021】
第1後方台車3の後部には、セグメント供給装置16上に複数枚重ねて載置されたセグメント15を1枚ずつ吊り上げてセグメント供給装置16上に載置し直すための吊上装置たる第2ホイスト24が設けられている。図5及び図6に示すように、第2ホイスト24は、第1後方台車3の上部両側に前後に延びて設けられた第2走行レール25と、第2走行レール25に前後走行自在に設けられた第2走行部26と、第2走行部26に設けられ車幅方向に延びる横行レール27と、横行レール27に横行自在に設けられた第2ホイスト本体部28とからなる。
【0022】
図1、図7及び図8に示すように、第1後方台車3の前部には、セグメント供給装置16上のセグメント15を吊り上げて所定の位置に移載する吊上装置たる第1ホイスト29が設けられている。所定の位置とは、エレクタ8がセグメント15を把持する位置であり、最前端に位置する既設セグメント30上に設定される。第1ホイスト29は、第1後方台車3の両側に前方に延びて設けられた延出レール31と、これら延出レール31にそれぞれ走行自在に設けられた第1ホイスト本体部32とからなる。
【0023】
第2後方台車4及び第3後方台車は、門型に形成されると共に両側に車輪33を有し、後述するプレキャスト34上のレール(図示せず)に沿って走行するように形成されている。プレキャスト34は、第2後方台車4に前方に延出して設けられるプレキャスト組立装置35によって順次組み立てられるようになっている。また、第2後方台車4は、トンネル48の起点からセグメント搬送装置11までセグメント15を搬送するためのセグメント搬送台車20を門型の中央に乗り入れさせるように形成されている。セグメント搬送台車20は、複数枚のセグメント15を上下に重ねて積載するように形成されると共に、プレキャスト34上を走行するように形成されている。また、第2後方台車4は、門型の上部中央にセグメント搬送装置11を有し、セグメント搬送台車20上のセグメント15をセグメント搬送装置11で直接吊り上げられるようになっている。
【0024】
図2、図3及び図4に示すように、インバートレール12は、トンネル48の軸方向に延びると共に幅方向に延びる板状に形成されると共に既設セグメント30の内周形状に沿う円弧状に形成され、既設セグメント30上に載置される架台本体36と、架台本体36上にトンネル幅方向に離間して一対設けられると共にトンネル軸方向に延びて設けられた後方台車用レール材37と、これら後方台車用レール材37の内側の架台本体36上にトンネル幅方向に離間して一対設けられると共にトンネル軸方向に延びて設けられたセグメント供給装置用レール材38とを備えて構成されている。架台本体36は、トンネル48内に配置するときトンネル幅方向の中央に位置される中央部60と、中央部60のトンネル幅方向の両端にそれぞれヒンジ61を介して回動自在に設けられる端部39とからなり、両端部39を屈曲自在に構成されている。また、両端部39には、上方に突起する突起部62が形成されており、突起部62上に後方台車用レール材37が設けられている。突起部62は、峰状に軸方向に延びて形成されており、後方台車用レール材37からの荷重を安定して受けるようになっている。また、インバートレール12は、両端部39を折り畳んだときの寸法がセグメント15と略同じになるように形成されており、セグメント搬送台車20、セグメント搬送装置11、第2ホイスト24、セグメント供給装置16及び第1ホイスト29等のセグメント搬送設備をセグメント15と共用できるようになっている。また、架台本体36のトンネル軸方向の長さはセグメント1リング分の長さより若干短い長さに設定されており、軸方向に若干の間隔を隔てて配置されるようになっている。これにより、トンネル48がカーブするとき、そのカーブに沿って順次向きを変えて配置できる(既設インバートレール12に対して微少角度斜めに配置できる)ようになっている。架台本体36の両端部39には、それぞれフック40が設けられており、フック40を引き上げることで両端部39を周方向の内側に折り曲げられるようになっている。また、架台本体36の中央部60の前端面には、前方に突出する凸部41が形成されると共に、後端面に凸部を嵌合するように窪む凹部42を有する。凸部41は、突端側を幅方向に窄めるように三角板状に形成されており、凹部42は、凸部41と嵌合するように凸部41より若干大きな相似形に形成されている。これにより、既設のインバートレール12の前方に他のインバートレール12を仮設するとき、前側のインバートレール12の凹部42が後側の既設インバートレール12の凸部41に案内されて前側のインバートレール12が幅方向に位置決めされるようになっている。また、架台本体36の前後両端には前後に隣接する架台本体36同士を図示しないピン等を介して結合するためのブラケット43が設けられている。
【0025】
また、シールド掘進機1は、第1後方台車3が通過したインバートレール12を既設セグメント30上から回収する架台回収手段44と、架台回収手段44で回収したインバートレール12を第1後方台車3の前方に移送する架台移送手段45と、架台移送手段45で移送したインバートレール12を既設セグメント30上に仮設する架台仮設手段46とを備える。架台回収手段44は第2ホイスト24からなり、架台移送手段45はセグメント供給装置16からなり、架台仮設手段46は第1ホイスト29からなり、それぞれセグメント搬送設備と兼用となっている。また特に、第1ホイスト29の車幅方向の位置は、インバートレール12の両側に形成された折り曲げ部47よりも車幅方向外側に配置されており、フック40を引き上げて折り畳まれた状態の両端部39を開くことで、両端部39の重心Gを折り曲げ部47の外側まで移動できるようになっている。
【0026】
次に、インバートレール12の布設方法について述べる。
【0027】
予め既設セグメント30上に複数のインバートレール12が載置されて仮設され、これらインバートレール12上に第1後方台車3が配置された状態からシールド掘進機1を掘進させる場合、シールド掘進機本体2のカッタ7を回転させつつシールドジャッキ9を伸長させて既設セグメント30から反力をとり、シールド掘進機本体2を掘進させると共に、セグメント供給装置16に1リング分のセグメント15を供給する。セグメント15の供給は、セグメント搬送台車20及びセグメント搬送装置11を用いて行う。具体的には、セグメント搬送台車20上に複数枚重ねて積載されたセグメント15を、セグメント搬送装置11の把持部23で複数枚重ねた状態のまま把持し、これらセグメント15を載置エリア18にてセグメント供給装置16上に載置したのち、積み重なったセグメント15を第2ホイスト24でセグメント供給装置16の空き位置に積み直すことで行う。このとき、空き位置は、平置きとなったセグメント15を順次前方へ送るようにセグメント供給装置16を作動させて形成する。
【0028】
シールド掘進機本体2がセグメント1リング分掘進し、これに牽引される第1後方台車3が前進したら、シールド掘進機本体2の掘進を一旦停止し、セグメント供給装置16から供給される1リング分のセグメント15を順次既設セグメント30に組み付けると共に、図5及び図6に示すように、セグメント供給装置16の後方に位置される最後部のインバートレール12を第2ホイスト24で吊り上げて回収し、セグメント供給装置16上に載置する。インバートレール12を回収する場合、まず、中央部60の上側に両端部39を折り重ねるように屈曲させてインバートレール12を折り畳む。具体的には、インバートレール12の一端部39のフック40に第2ホイスト24を係合させ、第2ホイスト24でフック40を引き上げることでインバートレール12の一端部39を折り曲げ部47の車幅方向内側まで回動させ、第2ホイスト24の巻き上げ力を緩めることで一端部39を自重で回動させ、周方向の内側に折り畳む。また、インバートレール12の他端部39も同様の手順で折り畳む。この後、インバートレール12の中央部60を第2ホイスト24で吊り上げて回収する。このとき、セグメント供給装置16上には、1リング分のセグメント15が載置されており、順次エレクタ8で組み立て中であるため、セグメント供給装置16上に載置されたインバートレール12はセグメント15と共に順次前方へ送られることとなる。
【0029】
1リング分のセグメント15を全て組み立てたら、シールド掘進機本体2の掘進を再開すると共に、セグメント供給装置16上のインバートレール12を既設セグメント30上に仮設する。この場合、図7に示すように、セグメント供給装置16上のインバートレール12を第1ホイスト29で既設セグメント30上に載置した後、インバートレール12を展開し、既設のインバートレール12に若干の間隔を隔ててピン(図示せず)で固定することにより行う。具体的には、インバートレール12の中央部60を第1ホイスト29で吊り上げたのち、第1ホイスト29を前方に走行させて既設のインバートレール12の前方位置に移送し、インバートレール12を既設セグメント30上に降ろしつつ後方の既設インバートレール12に隙間をあけて配置する。このとき、インバートレール12の軸方向の長さとインバートレール12間の隙間の長さの合計がセグメント1リング分の長さと同じとなるように間隔を決定する。トンネルがセグメント1リング分延びたときインバートレール12も同じ長さだけ前方に進めることができる。また、既設インバートレール12の凸部41が新設するインバートレール12の凹部42に若干の遊びをもって嵌合され、凹部42が幅方向に案内されるため、インバートレール12の位置合わせを容易に行うことができる。この後、第1ホイスト29からインバートレール12を外し、図8に示すように、インバートレール12の両端部39に設けられたフック40にそれぞれ第1ホイスト29を係合させ、フック40を引き上げる。このとき、第1ホイスト29は、それぞれインバートレール12の折り曲げ部47よりも車幅方向外側に位置されているため、フック40を引き上げて両端部39を起立させることで両端部39の重心Gを折り曲げ部47の外側まで移動させることができる。両端部39の重心Gが折り曲げ部47の外側に移動されたら第1ホイスト29の巻き上げ力を緩めて両端部39をそれぞれ自重で回動させ、既設セグメント30上に載置する。これにより、第1後方台車3用のレール13とセグメント供給装置16用のレールを同時に延長することができ、第1後方台車3とセグメント供給装置16を安定して走行させることができる。なお、インバートレール12が展開されたら、インバートレール12の後端側のブラケット43と既設インバートレール12の前端側のブラケット43にピン(図示せず)を挿通し、固定してもよい。
【0030】
以降、シールド掘進機本体2の掘進に応じてインバートレール12を順次循環させるという上述と同様の作業を繰り返してシールド掘進機1を掘進させる。
【0031】
このように、インバートレール12が、板状に形成されトンネル48内に載置される架台本体36と、架台本体36上にトンネル軸方向に延びて設けられ第1後方台車3を走行させるための後方台車用レール材37とを備え、架台本体36が、トンネル幅方向の両端部39を屈曲自在に構成されるものとしたため、第1ホイスト29のような簡易な装置で容易にインバートレール12を展開することができ、レールを容易に布設することができる。
【0032】
架台本体36が、トンネル48の内面形状に沿うように円弧状に形成されると共に両端部39に上方に突起する突起部62を有し、これら突起部62上に後方台車用レール材37が設けられるものとしたため、接地面積が増えると共に、荷重が集中する部分(後方台車用レール材37が設けられる部分)を厚く形成することができ、後方台車用レール材37からの荷重を安定して受けることができる。そして、第1後方台車3の大型化(重量化)にも耐えることができる。また、荷重が集中しない部分は薄い構造にできるため、全体として軽量化でき、容易に取り扱えるものにできる。
【0033】
架台本体36のトンネル軸方向の長さがセグメント1リング分の長さより若干短い長さ(例えば、セグメント1リング分の長さが1000mmの場合、架台本体36の軸方向の長さが990mm)にされるものとしたため、インバートレール12を既設インバートレール12に対して若干の間隔を隔てて配置することができ、インバートレール12を既設インバートレール12に対して微少角度斜めに配置することができ、トンネル48がカーブするとき、そのカーブに合わせて配置することができ、カーブにも対応できる。また、インバートレール12の両端部39を折り畳み可能に形成したことと相まってインバートレール12の取り扱いをセグメント15と同程度に容易にでき、仮設・回収を容易にできる。
【0034】
また、インバートレール12の架台本体36を、板状に形成すると共に、幅方向の両端部39を中央部60に対して屈曲自在に構成し、これら両端部39を中央部60の上側に折り重ねるように屈曲させてインバートレール12を折り畳んだのち、インバートレール12を第1後方台車3の前方位置に移送すると共にトンネル48内の所定位置に載置し、両端部39をそれぞれ吊り上げて展開してトンネル48内に配置するものとしたため、第1ホイスト29のような簡易な装置で容易にインバートレール12を展開することができ、レールを容易に布設することができる。
【0035】
両端部39を吊り上げて展開するとき、第1ホイスト29を用いるものとしたため、インバートレール専用の仮設装置を省くことができ、トンネル48内の空間を有効に利用でき、シールド掘進機1を安価にできる。
【0036】
インバートレール12を第1後方台車3の前方位置に移送するとき、セグメント供給装置16を用いるものとしたため、インバートレール専用の移送装置を省くことができ、トンネル48内の空間を有効に利用でき、シールド掘進機1を安価にできる。
【0037】
なお、インバートレール12は、両端部39を折り畳んだときセグメント15と略同じ寸法となるものとしたが、セグメント供給装置16で搬送可能な寸法であればよい。
【0038】
また、架台回収手段44は第2ホイスト24からなり、架台移送手段45はセグメント供給装置16からなり、架台仮設手段46は第1ホイスト29からなるものとするのが好ましいが、それぞれインバートレール専用の装置からなるものとしてもよい。
【0039】
また、カッタ7は揺動式であってもよく、シールドフレーム5は断面非円形の筒状(例えば、断面矩形状の筒状、断面楕円形の筒状、断面異形状の筒状等)であってもよい。
【0040】
またさらに、架台本体36のトンネル軸方向の長さはセグメント1リング分の長さより若干短い長さにされるものとしたが、カーブのないトンネルを構築する場合、架台本体のトンネル軸方向の長さをセグメント1リング分の長さにしてもよい。この場合、インバートレール12間に間隔を設けず、インバートレール12同士を密着させて配置するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の好適実施の形態を示すシールド掘進機の側断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】レール付き架台の後面図である。
【図4】レール付き架台の平面図である。
【図5】レール付き架台を回収中のシールド掘進機の側断面図である。
【図6】図5のB−B線矢視断面図である。
【図7】レール付き架台を仮設中のシールド掘進機の側断面図である。
【図8】図7のC−C線矢視断面図である。
【図9】従来のレール延設台車でレールユニットを布設する状態を示す正面説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 シールド掘進機
3 第1後方台車(後方台車)
12 インバートレール(レール付き架台)
15 セグメント
16 セグメント供給装置
29 第1ホイスト(吊上装置)
36 架台本体
37 後方台車用レール材(レール材)
39 端部
48 トンネル
60 中央部
62 突起部
63 トンネル穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内に軸方向に複数並べて配置されシールド掘進機の後方台車を走行させるためのレール付き架台において、板状に形成されトンネル内に載置される架台本体と、該架台本体上にトンネル軸方向に延びて設けられ上記後方台車を走行させるためのレール材とを備え、上記架台本体が、トンネル幅方向の両端部を屈曲自在に構成されたことを特徴とするレール付き架台。
【請求項2】
上記架台本体が、トンネルの内面形状に沿うように円弧状に形成されると共に上記両端部に上方に突起する突起部を有し、これら突起部上に上記レール材が設けられた請求項1記載のレール付き架台。
【請求項3】
上記トンネルは、地山を掘削して形成したトンネル穴内にセグメントを組み立てて構築され、上記架台本体のトンネル軸方向の長さがセグメント1リング分の長さ、又はセグメント1リング分の長さより若干短い長さにされた請求項1又は2記載のレール付き架台。
【請求項4】
シールド掘進機の後方台車を走行させるためのレール付き架台をトンネル内に軸方向に複数並べて配置するレール付き架台の布設方法において、上記レール付き架台の架台本体を板状に形成すると共に、その幅方向の両端部を中央部に対して屈曲自在に構成し、これら両端部を上記中央部の上側に折り重ねるように屈曲させてレール付き架台を折り畳んだのち、該レール付き架台を上記後方台車の前方位置に移送すると共にトンネル内の所定位置に載置し、上記両端部をそれぞれ吊り上げて展開してトンネル内に配置することを特徴とするレール付き架台の布設方法。
【請求項5】
上記両端部を吊り上げて展開するとき、後方台車の前部に設けられたセグメント搬送用の吊上装置を用いる請求項4記載のレール付き架台の布設方法。
【請求項6】
上記レール付き架台を上記後方台車の前方位置に移送するとき、シールド掘進機本体のセグメント組立装置にセグメントを供給するためのセグメント供給装置を用いる請求項4又は5記載のレール付き架台の布設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−248605(P2008−248605A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92338(P2007−92338)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】