説明

ロケーションアウェアコンテンツプッシュサービス及びロケーションベース動的アタッチメントのための方法、システム、及び装置

ロケーションアウェアコンテンツサービス及びロケーションベースコンテンツサービスを提供するための方法及びシステム。本システムは、好ましくは、複数の情報ゲートウェイサーバを含むオーバーレイサービスネットワークを備える。移動クライアントは、オーバーレイサービスネットワークのサーバを使用して情報を要求し、受信することができる。移動クライアントによって使用される特定のサーバは、その移動クライアントの地理的ロケーションに基づいて選択される。この方法は、地理的エリアを複数のサブエリアに区画すること、及びサブエリア内の移動ユニットのロケーションに基づいて、サブエリアに資源を関連付けることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、本願と同日に出願された同一出願人による「Method, Apparatus and System For a Location-Based Uniform Resource Locator」という発明の名称の米国特許出願第11/075,492号に関連する。この米国特許出願の開示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
インターネットは、さまざまなタイプの情報へのユビキタスアクセスを提供するネットワークのグローバルな集まりであり、ユーザが広範囲の地理的エリア、すなわち地球の地理にわたって通信することを可能にする。その点に関して、インターネットは、ユーザが情報にアクセスし、情報を収集し且つ情報を共有するための便利な手段を提供する。このような情報は、通常、地理的に分散したサーバの集まりに記憶される。これらのサーバは、インターネットを構成するパーソナルコンピュータ、すなわちクライアント及び他のサーバ等の他のマシンにサービスを提供する。通常、インターネットは、固定ロケーションのパーソナルコンピュータ、ラップトップ、携帯情報端末又は家庭用電気機器で実行されるウェブクライアントアプリケーションからアクセスされる。固定ロケーションには、たとえば、ユーザの家庭又はオフィスが含まれ得る。一方、モバイルアプリケーションでは、インターネットに存在するコンテンツ情報がますます要求されてきている。
【0003】
詳細には、高度道路交通システムでの新たなニーズは、テレマティックアプリケーション、路側緊急支援(roadside emergency assistance)、並びにさまざまな前部座席アプリケーション及び後部座席アプリケーション等、モバイル環境におけるロケーションベース情報又はロケーションアウェア情報にアクセスできる能力である。テレマティックは、一般に、移動プラットフォームとの間で情報を交換する車載能力を指す。ユーザは通常、外出中に自動車又は他の輸送システム等から情報にアクセスできる能力をますます必要としている。このような輸送システムは、一般に、移動プラットフォームと考えられる。このような移動プラットフォームのアプリケーションは、固定ロケーションプラットフォームのアプリケーションから発展してきたものである。固定ロケーションプラットフォームと言えば、本発明では、一般に非移動環境を指す。非移動環境では、デバイスは通常、有線接続を介して通信する。
【0004】
これらの移動プラットフォームは、通常、既存のアプリケーションとのシームレスな統合が必要であるとともに、移動性及び異種ネットワークに関連する問題に取り組むことも必要である。既存のアプリケーションには、通常、ウェブアクセス、電子メールの読み出し及び送信、映画や音楽の視聴が含まれる。加えて、緊急通報、ナビゲーション、リアルタイム道路状況報告、及び位置認識広告挿入(location-aware advertisement insertion)等のロケーションアウェア(location-aware)アプリケーション又はロケーションベース(location-based)アプリケーションが固定プラットフォーム用に存在し、移動プラットフォームによってサポートされる必要がある。
【0005】
移動デバイスに情報を提供することに関連する一般的な問題は、上述したように、ウェブページ及び他のファイルが、地理的に分散したサーバの集まりによって保持されているということである。これらのサーバの中には、ゲートウェイサーバと総称される一群のサーバが存在する。ゲートウェイサーバは通常、異なるネットワーク間でのアクセスを提供する、すなわち異なるネットワーク間で「ゲートウェイ」として動作するネットワークポ
イントと考えられる。たとえば、インターネットサービスプロバイダ(ISP)は、通常、顧客に1つ又は複数のゲートウェイサーバを通じてインターネットへのアクセスを提供する。各ゲートウェイサーバには、インターネットプロトコル(IP)アドレスが割り当てられる。また、サーバを含めて、ネットワーク上の各マシンにも、IPアドレスが提供される。各IPアドレスは、各マシン、すなわちサーバを一意に特定する働きをする。コンテンツの検索を人間にとってより容易に且つより分かりやすくするために、たとえばwww.telcordia.com等のURL(統一資源位置指定子)が、ウェブ上でコンテンツの位置を示すために使用される。しかしながら、あらゆるURLの背後には、インターネット上の1つ又は複数のサーバを一意に特定するIPアドレス又はIPアドレスの集まりが存在する。たとえば、URLwww.cnn.comは、12個のサーバが受け持っている。通常、コンテンツ情報は、マシンのメモリに記憶されるか、又は、マシンがアクセス可能なデータベース若しくはメモリに配置される場合もある。
【0006】
コンテンツ情報の固定ロケーションの要求とは対照的に、移動ユーザがインターネット上に存在する情報を要求する場合、情報がどれだけ迅速にユーザへルーティングされるか、ユーザがどのような種類の情報を必要とするか、及び要求されたコンテンツ情報のユーザへの提供に関連するコストがどれだけかかるかを求めることに、ユーザのロケーション及びコンテンツ情報のロケーションが影響を与える場合がある。たとえば、カリフォルニアの幹線道路を走行しているユーザは、具体的に彼/彼女の場所に関する情報、たとえば、その幹線道路が通っている場所又は近くの町といった情報を所望する場合がある。このような情報は、ローカルな交通状況、ローカルなレストランの選択、又はローカルな天気状況を含む場合がある。移動ユーザによってこのようなローカル情報が要求されても、たいていは、時期を失した情報になってしまい、ユーザにとってあまり価値がないものとなってしまう。すなわち、通常、要求されたコンテンツ情報は、ユーザのロケーションやコンテンツ情報のロケーションを無視して、メモリ又はデータベースから取り出される。この結果、情報が要求された時と情報が提供される時との間に遅延が生じる。この遅延の結果、ユーザがその場所を去った後に情報が提供されてしまう。この場合、その情報の価値は、比較的小さなものとなる。加えて、情報をユーザに提供するコストは、通常、ユーザのロケーションとコンテンツ情報のロケーションとの間の距離の増加に関係して増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、移動ユーザが、インターネットに存在するコンテンツ情報にアクセスしてコンテンツ情報の提供を受ける方法を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[発明の概要]
本発明の一態様は、ロケーションベースサービスを提供するためのシステムである。本システムは、好ましくは、各ゲートウェイサーバが地理的エリアの所定のエリア内でサービスを提供することを担当するように、地理的エリアにわたって分散された複数のゲートウェイサーバと、複数の移動デバイスであって、当該複数の移動デバイスの所定のエリア内のロケーションに基づいて複数のゲートウェイサーバへ接続可能な複数の移動デバイスとを備える。
【0009】
さらに、本発明のこの態様によれば、所定のエリアは、好ましくは、地理的エリアを、重複しないサブ長方形エリアに区画することによって形成される。また、複数のゲートウェイサーバのそれぞれは、重複しないサブ長方形エリアに関連付けられることが好ましい。
【0010】
さらにまた、各サーバは、コンテンツ情報を記憶するためのキャッシュメモリを含み得る。
【0011】
さらに、本発明のこの態様によれば、複数の移動デバイスは、携帯電話、ラップトップコンピュータ、ポケットベル、及び携帯情報端末から成る群から選択され得る。
【0012】
さらに、本発明のこの態様によれば、ゲートウェイサーバのそれぞれは、望ましくは、ロケーションベースサービスに関連するコンテンツ情報の1つ又は複数のソースに結合されている。また、ゲートウェイサーバのそれぞれは、コンテンツソースのうちの1つからサーバが担当する所定のエリア内の移動デバイスへコンテンツ情報を自動的に配信することが好ましい。さらにまた、配信されるコンテンツ情報は、ロケーション情報を含むことが好ましい。
【0013】
さらに、本発明のこの態様によれば、コンテンツ情報を受信する各移動デバイスは、当該移動デバイスの地理的ロケーションに基づいてコンテンツ情報を受け取るかどうかを決定することが望ましい。地理的ロケーション情報は、好ましくは、グローバル測位システム又は衛星から得られる位置情報を含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、通信ネットワークでクライアントデバイスへ情報を提供するための方法である。本方法は、好ましくは、ネットワークによってカバーされる地理的エリアを複数の所定のサービスエリアに区画すること、及び少なくとも1つのサービスサーバを、所定のサービスエリアに関連付けることを含む。本方法は、好ましくは、クライアントデバイスが現在位置している所定のサービスエリアに関連付けられたサービスサーバを通じて、クライアントデバイスへの情報又はクライアントデバイスからの情報を方向付けることをさらに含む。
【0015】
さらに、本方法によれば、区画することは好ましくは、地理的エリアを、複数の重複しない長方形サービスエリアにセグメント化することを含む。
【0016】
さらに、本発明のこの態様によれば、本方法は、好ましくは、サービスサーバを複数の重複しない長方形サービスエリアのそれぞれに関連付けることをさらに含む。
【0017】
さらに、本方法によれば、方向付けることは好ましくは、クライアントデバイスに関連する居住エリアに基づいて、1次サービスサーバをクライアントデバイスに関連付けることを含む。また、方向付けることは、クライアントデバイスが居住エリア内に位置していない時に、2次サービスサーバをクライアントデバイスに関連付けることを含むことが望ましい。
【0018】
さらに、本発明のこの態様によれば、方向付けることは望ましくは、クライアントデバイスがサービスエリア内に位置していない時に、クライアントデバイスを宛先とする情報を2次サービスサーバを通じてルーティングすることを含み得る。
【0019】
さらに、本発明のこの態様によれば、本方法は、望ましくは、クライアントデバイスが現在位置している所定のサービスエリアに基づいて、クライアントデバイスに情報を提供することをさらに含み得る。
【0020】
さらにまた、本発明のこの態様によれば、本方法は、望ましくは、複数のコンテンツサーバを、当該コンテンツサーバのロケーションに基づいて、複数の所定のサービスエリアに関連付けることをさらに含み得る。
【0021】
本方法はまた、望ましくは、所定のサービスエリアのそれぞれを地理的エリアに関連付けることをさらに含み得る。
【0022】
さらに、本発明のこの態様によれば、本方法は、好ましくは、クライアントデバイスへコンテンツ情報の送信を開始するための、サービスサーバから分離された少なくとも1つのサーバをネットワークに設けることをさらに含み得る。
【0023】
さらにまた、本発明のこの態様によれば、本方法は、望ましくは、クライアントデバイスのロケーションに基づいて、コンテンツ情報へのアクセスを禁止することをさらに含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[詳細な説明]
本願のいくつかの態様に関連するさらなる詳細は、本願と同日に出願された同一出願人による「Method, Apparatus and System For A Location-Based Uniform Resource Locator」という発明の名称の米国特許出願第11/075,492号に説明されている。この米国特許出願の開示は、参照により本明細書に援用される。
【0025】
図1は、本発明の一態様によるシステムを例示として示している。図示するように、このシステム100は、オーバーレイサービスネットワーク120を構成するサーバ110、112及び114を含む。サーバ110、112及び114は、例示としてAとして示す地理的エリアにおける移動デバイスの移動(mobility;モビリティ)及びコンテンツ配信を管理するのに使用される。地理的エリアAは、例示として、米国を含むものとして示されているが、他の任意の国、領域、又は地理的場所を含むことができる。移動ユニットは、例示として自動車126として示されている。自動車126は、地理的エリアAを横断する間に、サーバ110、112又は114を通じてコンテンツ情報を要求したり受信したりすることができる。コンテンツ情報を提供するのに使用されるサーバは、好ましくは、移動ユニット126のロケーションに基づいて決定される。たとえば、移動ユニット126が、矢印1301によって示されるサブエリア内を移動している場合は、サーバ110が移動ユニット126にゲートウェイアクセスを提供する。移動ユニットが、サーバ112によってサービス提供されるサブエリア2(矢印1302参照)に入ると、アクセス及びコンテンツ配信は、サーバ110からサーバ112へ移される。したがって、サブエリア2にいる間は、サーバ112が、コンテンツ配信や移動ユニット126との間の要求を管理する。次に、移動ユニット126がサブエリア3に入ると、コンテンツ配信及び要求は、サーバ114によって管理される。サブエリア3は、矢印1303によって示されている。図1は、3つの地理的サブエリアに関連する3つのサーバしか含んでいないが、地理的エリアは、顧客の要求、投資コスト、地形、どのサービスプロバイダが特定の地理的エリア又はサブエリアを管理するか、システム又はサーバのタイプ及びそれらシステム又はサーバに関連する負荷容量等のビジネスニーズを含むさまざまなファクタに基づいて、3つのサブエリアよりも少ないサブエリアに細分することもできるし、3つのサブエリアよりも多くのサブエリアに細分することもできる。以下でさらに詳細に解説するように、サーバ110、112及び114のそれぞれは、たとえばインターネット又はプライベートネットワークといった既存のネットワークに接続されていることが好ましい。これにより、移動ユニットが地理的エリアを横断している間、既存のネットワークに存在する情報を移動ユニットに提供できるようになる。
【0026】
サーバ110、112又は114は、好ましくは、移動ユニットと既存のネットワーク又はサードパーティのネットワークとの間のゲートウェイとして動作するだけでなく、コンテンツソースのキャッシュサーバとしても動作する。これらのサーバの能力によって、たとえばhttp://www.cnn.comに関連するサーバ等のコンテンツサーバからのコンテンツ情
報は、コンテンツ取り出しに関連する待ち時間を削減することが可能になる。
【0027】
上述したように、移動ユニットはサーバと通信する。サーバは、オーバーレイサービスネットワークの一部として配備されている。移動ユニットは、好ましくは、ロケーションベース資源位置指定子を使用して、移動ユニットからの要求が方向付けられるべき、オーバーレイサービスネットワークにおける適切な検索サーバを特定する。移動ユニットによって要求されたコンテンツが、オーバーレイサービスネットワークにキャッシュされている場合、接続ゲートウェイサーバが、オーバーレイサービスネットワークのサーバを特定し、このようなサーバからコンテンツを取り出し、次いで、移動ユニットへこのコンテンツを転送することができる。要求されたコンテンツがオーバーレイサービスネットワークにキャッシュされていない場合、ゲートウェイサーバは、たとえば既存のネットワーク又はサードパーティのネットワークのコンテンツサーバへ要求を送信する。情報は、その後、既存のネットワーク又はサードパーティのネットワークのコンテンツソースから移動ユニットへルーティングされる。コンテンツ情報をオーバーレイネットワークにキャッシュすることによって、移動ユニットによる要求にサービス提供する際の待ち時間を削減することができる。コンテンツ情報のキャッシュは、所定の時間の間又はキャッシュサーバの負荷に基づいて維持しておくことができる。
【0028】
移動ユニット126には、図示するような自動車が含まれ得る。また、移動ユニットには、地理的エリア又は領域内を移動している間、オーバーレイサービスネットワークにアクセスでき、且つ、自身の地理ロケーションを求めたり、地理ロケーション情報を取得したりできるマイクロプロセッサを含む携帯電話、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、又は任意のデバイスも含まれ得る。
【0029】
移動ユニットは一般に、好ましくは、ブラウザと、データベースと、プロキシサービス及びグローバル測位システムと通信する機能を提供するソフトウェアプログラムとを含む。移動ユニットの好ましい機能的能力に関連するさらなる詳細は、上述した米国特許出願第11/075,492号に詳細に解説されている。ブラウザは、一般に、ユーザがワールドワイドウェブ又はインターネット上の情報を見て、それら情報と対話することを可能にするアプリケーションプログラムである。したがって、ブラウザは、好ましくは、ユーザがインターネット、既存のネットワーク、又はサードパーティのネットワーク上に存在するコンテンツ情報を要求することを可能にするインターフェースを提供する。また、ブラウザは、プロキシサービスを提供するソフトウェアプログラムに対するインターフェースも提供する。プロキシサービスソフトウェアプログラムは、ロケーションレゾルバ(location resolver)、すなわち移動端末の現在の地理的ロケーションをオーバーレイサービスネットワークにおけるサーバのIPアドレスに変換する役割を果たす。GPSブロックは、移動デバイスに関連するリアルタイムの地理的ロケーション情報又は地理的位置情報を更新し、その情報をソフトウェアプログラムに提供する。
【0030】
一般的事項として、移動ユニットは、ブラウザソフトウェア及びプロキシサービスソフトウェアに関連する命令を記憶するためのメモリ、並びに、これらの命令を実行するためのプロセッサに加えて、GPS関連情報を受信して処理するためのアンテナ及び関連の回路部を装備したデバイスを備えることができる。ゲートウェイサーバは、Microsoftプラットフォーム、Novellプラットフォーム、又はHewlett Packardプラットフォームを含むどの商用サーバプラットフォームでも実施することができる。
【0031】
上述したように、オーバーレイサービスネットワークは、既存のネットワークに接続されてコンテンツ配信及びモビリティ管理を提供する複数の地理的に分散したサーバを備える。本発明では、これらのサーバを情報ゲートウェイサーバと総称する。各情報ゲートウ
ェイサーバは、ローカルな交通情報、ローカルなホテル情報、ローカルなレストラン情報等の高度に局所化されたコンテンツの管理及びホスティングにおいて自律性を有する。加えて、各情報ゲートウェイサーバは、好ましくは、他の情報ゲートウェイサーバと情報を共有する柔軟性を有し、且つ、そのように適合されている。オーバーレイサービスネットワークを使用することによって、好都合なことに、あらゆるキャリア及び既存のネットワークインフラストラクチャで本発明のさまざまな態様を実施することが可能になる。加えて、システム負荷を複数の情報ゲートウェイサーバ間で共有することができる。また、このシステムは、起こり得る一時的な障害に対する信頼性及び回復力の改善を可能にする。
【0032】
次に図2に移って、本発明の一態様によるシステム及び関連するフロー図が示されている。この説明例のために、システムは、オーバーレイサービスネットワーク212を構成し、移動ユニット216の移動及び移動ユニット216へのコンテンツ情報の配信を管理する一対の情報ゲートウェイサーバ204、208を含む。オーバーレイサービスネットワーク212内には、2つの異なるサービスエリア221(サービスエリア1)及び225(サービスエリア2)が存在する。サービスエリア1は、移動ユニット216に関連する1次サービスエリアを構成する。1次サービスエリアは、1次サーバ204に関連付けられている。好ましくは、1次サーバ204及び1次サービスエリアは、移動ユニットに関連付けられたユーザの居住エリアに基づいて決定又は選択される。たとえば、ユーザがニューヨーク市に居住していた場合、1次サーバは、たとえばニューヨーク市といったそのサービスエリア内におけるユーザの移動、コンテンツ要求、及びコンテンツ配信を管理することに関連するサーバから構成される。
【0033】
1次サーバ204は、1次サービスエリア221の居住者として登録されたユーザに関連するプロファイル情報又は嗜好情報(preference information)を記憶する。また、1次サーバ204は、オーバーレイサービスネットワーク212を構成するたとえばサーバ208といった他の情報ゲートウェイサーバの分布に関連する最新の地理的情報も記憶する。したがって、顧客が1次居住エリアの外部に移動すると、その顧客のロケーションが1次情報ゲートウェイサーバへ返信され、1次情報ゲートウェイサーバは、顧客が現在位置して訪問している地理的エリアに関連する情報ゲートウェイサーバのアドレス、好ましくはインターネットプロトコル(IP)アドレスを返す。
【0034】
詳細には、移動ユニット216が、1次サービスエリア221から訪問先のサービスエリア225へ移動すると、移動ユニット216は、自身のロケーション(228)を1次サーバ204へ送信する。1次サーバ204は、次に、移動ユニット216のロケーションに基づいて、サーバ208等のゲートウェイ情報サーバに関連するアドレスを送信する。サーバ208のアドレスの送信は、矢印232を使用して例示として示されている。移動ユニット216は、訪問先のサービスエリア(すなわちサービスエリア2)のサーバ208に関連するアドレス情報を一旦受信すると、サービスエリア2にいる間にコンテンツ情報を要求又は受信するためにサーバ208にアタッチする。サービスエリア1及び2は、一方のサービスエリアから他方のサービスエリアへユーザをトランスペアレントにハンドオフできるように、或る程度オーバーラップしていることが好ましい。したがって、ユーザがサービスエリアを変更しても、ユーザのサービスは中断されない。換言すれば、配信中のどのコンテンツも、サービスエリアの変更によって中断されない。図2は、ニューヨーク市及びロサンジェルス市に関連する2つの別々のサービスエリアを示しているが、サービスエリアには、コスト、ユーザの要求、及び上述した他のファクタに基づいて区画できる3つ以上の地理的エリアを含めることができるということが理解されるべきである。
【0035】
オーバーレイサービスネットワーク及びオーバーレイサービスネットワークに関連するサーバは、好ましくは、7レイヤの開放型システム相互接続参照モデル(OSIモデル)
の上位レイヤで動作し、ユーザの移動及びコンテンツ情報の管理を、OSI参照モデルを構成する他のレイヤにトランスペアレントに行うことができるようになっている。OSI参照モデルによれば、レイヤ1は物理レイヤであり、レイヤ2はデータリンクレイヤであり、レイヤ3はネットワークレイヤであり、レイヤ4はトランスポートレイヤであり、レイヤ5はセクションレイヤであり、レイヤ6はプレゼンテーションレイヤであり、レイヤ7はアプリケーションレイヤである。したがって、携帯電話ネットワークのセル間、又は、たとえばWLANから携帯電話ネットワークへ若しくは携帯電話ネットワークから衛星ネットワークへといった異なる携帯電話ネットワーク間の移動ユニットのハンドオフに関連する詳細は、このようなアクティビティがプロトコルスタックの下位レイヤによってすでに管理されているので、オーバーレイサービスネットワークにトランスペアレントに行うことができる。たとえば、図2の説明例では、ユーザが、サービスエリア1からサービスエリア2へ移動すると、セルタワー間でユーザをハンドオフすることができ、ユーザは、ホームの携帯電話ネットワークから移動先のネットワークへローミングすることができる。この点に関して、ユーザは、地理的エリアの特定のロケーションに存在する必要なく、ロケーションベース又はロケーションアウェアであるコンテンツ情報を好都合に受信することができる。すなわち、ロケーションベースサービス又はロケーションアウェアサービスは、通常、物理ネットワークを構成するタワー及び他の機器の配備に基づいて、指定された場所又はエリア内にユーザが存在することを必要とする。たとえば、ユーザは、特定の店に関連する広告を受信するには、その店の近くを歩いていることが必要な場合もあるし、繁華街のレストランに関する情報を受信するには、繁華街にいることが必要とされる場合もある。本発明のこの態様によれば、ユーザ又は移動ユニットのロケーションが情報ゲートウェイサーバに提供されるので、移動エリアが特定のセルタワー又は建物に近いかどうかにかかわらず、移動ユニットが特定の地理的エリアに入ると、これらのサーバは、その後、そのロケーション情報を使用して、ユーザ又は移動ユニットへメッセージをブロードキャストすることができる。また、本発明のこの態様は、特定の地理的エリアの外部のユーザが特定の地理的エリアに入るまで、それらユーザの受信を防止することも好都合に可能にする。
【0036】
加えて、地理的エリアをサブエリアに区画し、情報ゲートウェイサーバを各サブエリアに関連付けることによって、単一ロケーションにおける情報ゲートウェイの地理的分布の変化を1次サーバにおいて自動的に構成して、移動ユニットへトランスペアレントに通信することが可能になる。このようにして、地理的エリアの区画は、動的且つ各ユーザにトランスペアレントに行うことができる。
【0037】
その点に関して、図3は、ロケーションベース資源情報を管理するための方式を例示として示している。図3に示す特定の方式は、ボロノイ(Voroni)図に基づいている。ただし、他の方式を使用することもできる。図3によれば、各情報ゲートウェイサーバは、サービスエリアを構成する長方形エリアに関連付けることができる。換言すれば、エリア全体が、重複しない複数のサブ長方形エリア(sub-rectangular area)に区画され、資源が各サブ長方形エリアに関連付けられる。顧客が、サブ長方形エリアによって境界を定められたロケーションに入ると、そのサブ長方形エリアに関連付けられた資源に対する要求が自動的に開始される。エリアの区画及び資源の関連付けは、通常、ビジネス及び顧客に依存する。
【0038】
表1は、本発明の一態様に従って使用されるデータベース方式を示している。表1に識別されたフィールド及びデータは、本発明のさらに別の態様に従って移動を管理し、コンテンツ情報を配信する情報ゲートウェイサーバによって使用される情報のタイプを表している。
【0039】
【表1】

【0040】
表1に示すように、データベースは、数字データタイプに関連付けられたプログラムIDという名前のフィールドを含むことができる。このプログラムIDフィールドは、サブ長方形エリア、または一般には、地理的領域を区画したサブエリアを識別する。表1に含まれる別のフィールドは、テキストデータタイプに関連付けられたURL(統一資源位置指定子)である。URLフィールドに関連付けられたデータタイプは、好ましくは、上述したようなロケーションベースURLを含む。アクセス優先度フィールドは、数字データタイプに関連付けられている。
【0041】
このデータベーススキーマは、経度1、緯度1、経度2及び緯度2というフィールド名によって表される経度フィールド及び緯度フィールドも含む。これらの経度フィールド及び緯度フィールドのそれぞれは、10進形式の経度及び緯度の座標に関連付けられている。ボロノイ図が使用される場合、各長方形は、その左上角の点及び右下角の点によって表すことができる。これによって、リレーショナルデータベースにおける効率的な実施が可能になる。
【0042】
また、表1は、配信ネットワークに関連する媒体タイプのフィールド及び帯域幅容量のフィールドも含む。媒体タイプは、数字データタイプ情報に関連付けられている。この数字データタイプ情報は、好ましくは、光タイプ、有線タイプ、又は無線タイプの媒体資源を表す。帯域幅容量フィールドも数字に関連付けられ、この数字は、コンテンツ情報の配信に利用可能な帯域幅を提供する。
【0043】
また、表1は、タイトルのエントリー及びコンテンツのエントリーも含む。タイトルは、テキストデータタイプに関連付けられ、一般に、提供されているコンテンツのタイトルを指す。コンテンツフィールドも、テキストデータタイプに関連付けられ、一般に、配信されている情報のタイプを指す。このような情報には、テキスト、ビデオ、ウェブページ、オーディオ、又は上記のものの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0044】
表1の最後の2つのフィールドは、ステータス及びサーバ名のラベルが付けられ、テキストデータタイプに関連付けられている。サーバ名は、移動ユニットの要求により移動ユニットにサービス提供しているゲートウェイサーバの名前を含む。
【0045】
実際には、情報ゲートウェイサーバは、自身が現在サービス提供している各モバイルからGPSロケーション情報を定期的に受信する。サーバは、受信したロケーション情報を、その移動ユニットに関連付けられ且つ自身のメモリに記憶された緯度情報及び経度情報と照合する。情報ゲートウェイサーバが受信した最新の位置情報と情報ゲートウェイサーバのローカルデータベースに記憶された位置情報とが一致する限り、情報ゲートウェイサーバは、要求された情報を提供し、表1に示された情報に基づいて、データベースに記憶された他のデータの送信を開始する。モバイルの位置とサーバのメモリに記憶されたロケーション情報とが一致しない場合、サーバは、次に、移動ユニットが現在位置している適切なサブエリアを決定し、そのサブエリアに関連する資源を使用して、その後、移動ユニットにサービス提供する。
【0046】
図4に最も良く見られるように、オーバーレイネットワークは、エッジ410及びコア420を備えるものと考えることができる。エッジ410は、好ましくは、複数の地理的に分散した情報ゲートウェイ424を備える。コアは、1つ又は複数の情報ゲートウェイレジスタ428及び少なくとも1つのデータベース432を備える。オーバーレイサービスネットワークのコアを構成するサーバは、ユーザプロファイル管理、認証、認可、課金等の機能を提供する。また、コアサーバは、好ましくは、オーバーレイサービスネットワークのエッジを構成する情報ゲートウェイの地理的分布を追跡又は保持する機能も実行する。好ましくは、各情報ゲートウェイ424は、情報ゲートウェイレジスタ428に登録されている。このような登録は、サーバのIPアドレス及び担当する地理的エリア等の情報を含むことができる。
【0047】
加えて、コアネットワーク420は、好ましくは、データベース432を含む。データベース432は、上述した情報及び表1に関して解説した情報を収容又は記憶する。情報ゲートウェイ424の地理的分布のあらゆるトポロジー変化は、情報ゲートウェイレジスタ428によって取り込まれ、情報ゲートウェイレジスタ428は、その後、そのトポロジー変化を記憶し、このような変化をたとえばデータベース432といったデータベースへルーティングする。トポロジー変化は、その後、所望される場合には、情報ゲートウェイ424及び移動ユニットへ配布することができる。
【0048】
図4及び図5を参照して、地理的エリアを横断している移動ユニットのロケーションベース動的サービスアタッチメントを次に説明することにする。移動ユニット440は、移動クライアント510を含む。移動クライアント510は、衛星445として図示されているグローバル測位システムから移動情報を受信し、受信した移動情報を記憶するのに使用される。移動ユニット440は、好ましくは、必要なアンテナ、関連する回路部、及び衛星445からロケーション情報を受信するのに必要なソフトウェアを含む。図5に示すように、移動クライアント510は、好ましくは、受信されたロケーション情報を処理するGPSエージェント515を含む。GPSエージェント515は、好ましくは、ソフトウェア及び関連するメモリを備える。移動クライアント510は、好ましくは、GPSエージェント515から受信されたロケーションに関係する情報を処理するメディアダイアログコンポーネント517を含む。メディアダイアログコンポーネント517は、好ましくは、移動クライアント440が、移動ユニット440の現在のロケーションに基づいてオーバーレイサービスネットワークにアタッチするのに現在使用している情報ゲートウェイサーバ424のIPアドレスにロケーション情報を関連付けるソフトウェアを備える。図4に関して、この情報ゲートウェイサーバは、4241として示されている。情報ゲートウェイサーバ4241は、次に、情報ゲートウェイレジスタ428にアクセスして、移
動ユニット440に関連するコンテンツ配信及び移動管理を引き継ぐべき次の情報ゲートウェイサーバを決定することができる。図5に示すように、情報ゲートウェイレジスタ428は、GPSマネージャ538及びサービスロケーションデータベース548を含むことができる。GPSマネージャ538は、好ましくは、移動ユニットが入る可能性が最も高い移動エリアである次のサービスエリアを決定する機能を実行する。このような決定は、ソフトウェアを使用して実施することができ、或る期間にわたって移動ユニット440から受信されたロケーション情報に基づいて行われる。すなわち、GPSロケーション情報を使用して、移動ユニット440が入る可能性が最も高い次のサブ長方形ボロノイエリアを予測することができる。GPSマネージャ538は、次に、サービスロケーションデータベースにアクセスして、移動ユニット440が入る次のサブエリアを担当する情報ゲートウェイサーバのIPアドレスを求めることができる。この例において、次の情報ゲートウェイサーバは、例示としてサーバ4242として示されている。情報ゲートウェイレジスタは、次に、使用される次の情報ゲートウェイサーバに関連するアドレスをサーバ4241へ返す。サーバ4241は、次に、このアドレス情報を移動ユニット440の移動クライアント510に提供する。移動ユニット440は、次に、受信したアドレス情報を使用して、情報ゲートウェイサーバ4242に接続することができる。
【0049】
加えて、情報ゲートウェイレジスタ428は、認証、認可、及び課金を行うことができるように、コアネットワークを通じて情報ゲートウェイサーバ4242と通信することができる。情報ゲートウェイサーバ4242は、適切な認証及び認可を一旦受信すると、次に、ロケーションベース情報又はロケーションアウェア情報を移動ユニット440へブロードキャストすることもできる。
【0050】
この点に関して、本発明の一態様は、ロケーションアウェアコンテンツプッシュサービスの提供である。本発明のこの態様によれば、コンテンツプッシュサービスは、その自動配信(時間依存性)、コンテンツの編成、及びユーザプロファイルによって特徴付けられる。詳細には、コンテンツは、望ましくは、ユーザの移動ユニットの地理的ロケーションに基づいてユーザに提供され、ユーザをアタッチできる特定のネットワーク又はユーザが特定の建物若しくは構造物に近接しているかどうかに基づいてユーザに提供されるのではない。本発明のこの態様によれば、コンテンツロケーションアウェアプッシュサービスも、望ましくは、プッシュコンテンツからプッシュイニシエータを分離し、キャリアから独立している。車両等の高度な移動環境では、情報は通常、ロケーションに依存する(location-sensitive)。たとえば、ロサンジェルスのリアルタイムの幹線道路の交通は、ニュージャージーのドライバーには意味がない。プッシュイニシエータをプッシュコンテンツから分離すること、及び、キャリア独立の付加的な利益によって、ユーザは、自身の現在のリアルタイムの地理的ロケーションに基づいて情報を受信することができる。
【0051】
上述したように、本発明の一態様は、ロケーションアウェアコンテンツプッシュサービスの提供である。この点に関して、ロケーションアウェアプッシュイニシエータにより、ロケーション依存型コンテンツ情報を、所定の時間間隔で、指定された地理的エリアの顧客にプッシュすることが可能になる一方、指定されたエリア以外の顧客へのこのようなコンテンツ情報へのアクセスを禁止することができる。ロケーションアウェアコンテンツプッシュサービスのサポートには、通常、クライアントのロケーション、移動ユニットのロケーション、又はユーザのロケーションの知識が必要とされる。加えて、コンテンツをクライアントへプッシュする方法は、キャリアネットワークに影響を与える場合がある。
【0052】
本発明のこの態様によれば、プッシュコンテンツメッセージは、プッシュコンテンツソース、プッシュコンテンツエリア、及びコンテンツ継続時間の3つの要素を含む。プッシュコンテンツソースは、以下でさらに詳細に解説するように、プッシュイニシエータとは機能的に異なり、プッシュイニシエータから分離されている。本発明のこの態様によれば
、プッシュコンテンツソース及びプッシュイニシエータが分離しているという点で、プッシュイニシエータ及びプッシュコンテンツソース又はプロバイダが通常は同じ機能要素若しくは物理的構造を備える従来のコンテンツプッシュサービスと異なっている。コンテンツ継続時間パラメータは、一般に、コンテンツの有効期間すなわち寿命を指し、コンテンツを使用できる期間を示す。コンテンツプッシュエリアパラメータは、プッシュコンテンツが方向付けられるターゲットエリアを指す。表1に示すデータ構造体は、プッシュコンテンツメッセージのフォーマットを構成することができる。
【0053】
ロケーションベースコンテンツプッシュサービスは、(1)サーバ開始型コンテンツプッシュ(server-initiated content push)、及び、(2)クライアント開始型コンテンツプッシュ(client-initiated content push)の2つの変形を含むものと考えることができる。サーバ開始型コンテンツプッシュでは、プッシュイニシエータが、特定の地理的エリア内のすべてのクライアントにコンテンツをプッシュする。コンテンツメッセージは、表1に示す形を取ることができる。この点に関して、ボロノイ図が使用される場合、エリアは、左上角の点及び右下角の点によって表すことができる。各クライアントは、コンテンツプッシュメッセージを受信すると、そのメッセージを自身の現在のロケーションと照合する。クライアントの現在のロケーションが、プッシュメッセージに指定されたサブ長方形エリア内に含まれる場合、そのクライアントは、次に、プッシュメッセージに指定されたコンテンツソースへ要求を送信することができ、その後、コンテンツメッセージを受信することができる。図6は、サーバ開始型プッシュサービスに関連するフロー図を示している。
【0054】
図6に示すように、プッシュイニシエータ610は、好ましくは、オーバーレイサービスネットワークに登録されたクライアントへメッセージをブロードキャストする。ブロック616に示すようなプッシュコンテンツソース、プッシュエリア、及びコンテンツ継続時間を特定する情報を少なくとも含むプッシュメッセージ(ライン613)を受信すると、移動ユニット620は、プッシュエリアを特定する情報を、自身の地理的ロケーション情報と比較する。このような地理的ロケーション情報は、リンク623を介して衛星622から受信することができる。移動ユニット620がプッシュエリア内に位置している場合、移動ユニット620は、次に、プッシュメッセージ616によって特定されたプッシュコンテンツソース630へメッセージ(ライン627)を送信する。プッシュコンテンツソース630は、次に、ライン637を介して示すように、プッシュされたコンテンツ情報を移動ユニット620へ送信する。プッシュメッセージ616に含まれるプッシュエリア情報を使用して、プッシュされるコンテンツ情報を要求するかどうかを決定することに加えて、移動ユニットは、このような決定を行う際に、プッシュメッセージ616のコンテンツ継続時間情報も使用することができる。詳細には、コンテンツ継続時間が特定の期間を指定しており、且つ、移動ユニットが、その期間が過ぎていると判断したか又はまだ来ていないと判断した場合、そのプッシュコンテンツ情報は利用可能であると予想されないので、移動ユニットはこのような情報を要求しない。
【0055】
サーバ開始型コンテンツプッシュは、各クライアントのロケーションを知る必要なく必要な時にのみこのようなコンテンツプッシュを開始できることから、いくつかの状況では望ましい場合がある。さらに、このタイプのサービスは、キャリアに依存する場合があり、ネットワークのセキュリティを優先する実用的な設定では制限を受ける場合がある。たとえば、ネットワークプロバイダが、不要なメッセージ又はスパムがそのネットワーク上のクライアントに届くのを防止するファイアウォールを含んでいた場合、プッシュイニシエータによって開始されたプッシュメッセージは、ファイアウォールによってブロックされる場合がある。
【0056】
しかしながら、セキュリティに関する問題は、クライアント開始型コンテンツプッシュ
サービスを使用することによって対処することができる。このようなサービスでは、各クライアント又はホストは、自身のロケーションをプッシュサービスへ定期的に送信する。プッシュサーバは、このようなロケーション情報を受信すると、各クライアントのロケーションをチェックして、クライアントのロケーションがターゲットエリア内に含まれる場合には、各クライアントによって確立された接続を介してプッシュコンテンツ情報を返す。クライアントは、プッシュサーバによって指定されたコンテンツソースを通じてコンテンツ情報の要求を開始することができる。クライアント開始型コンテンツプッシュサービスのフロー図は、図7及び図8に示されている。
【0057】
図7及び図8を参照して、移動ユニット810は、自身のロケーション情報813をプッシュイニシエータ816へ送信する(ライン821)ことによってプロセスを開始する。図7に最も良く見られるように、ライン821は、通常、ファイアウォールサーバによって定義されたセキュリティパラメータを含む下位の(low)ローカルエリアネットワーク(LAN)を横断する。プッシュイニシエータ816は、移動ユニット810からのロケーション情報813を受信すると、次に、プッシュコンテンツメッセージ826をリンク831を介して移動ユニットへ送信する。図7に見られるように、リンク831は、好ましくは、リンク821と同様にインターネット及びローカルエリアネットワークを横断する。移動ユニット810は、次に、プッシュコンテンツメッセージ826を使用して、プッシュコンテンツ要求を、プッシュコンテンツメッセージ826によって特定された848のコンテンツソースへ発行する(リンク841)。移動ユニットによるロケーション情報の定期的な送信は、多くのコストを要する可能性がある。したがって、このような情報の送信は、定期的に行われ、システムアーキテクチャに従って実装されても良い。クライアント開始型コンテンツプッシュサービスは、キャリアから独立している。クライアント開始型コンテンツプッシュサービス及びサーバ開始型プッシュサービスの双方は、ネットワークにおいて補完的に使用することができ、異なるネットワーク環境に適するようにカスタマイズすることができる。
【0058】
次に図9に移って、移動ユニットで使用できるグラフィックネットワークユーザ(GNU)システムが示されている。図9のGNUは、プロトタイプシステムのユーザインターフェースを備える。本発明では、このユーザインターフェースをMediaDialogと呼ぶ。図9に見られるように、ユーザインターフェース1000は、経度1010及び緯度1020の情報を表示することができる。加えて、インターフェース1000は、望ましくは、1つ又は複数のタッチセンシティブボタン1030を含むことができる。これらのボタンのそれぞれは、上記説明に従って移動ユニットからのロケーションベース情報を要求するのに使用することができる。たとえば、交通ボタン1031を選択することによって、ユーザは、エリア1010に示された経度情報及びエリア1020に示された緯度情報に基づいて交通状況に関する情報を受信することができる。加えて、音楽、ビデオ、ニュース、及びビジネス情報を要求するためのボタンも設けられる。一般に、このユーザインターフェースを介して、ワールドワイドウェブ上で現在入手可能なあらゆる情報にアクセスすることができる。
【0059】
本明細書では本発明を特定の実施の形態に関して説明したが、これらの実施の形態は、本発明の原理及び適用の単なる例示にすぎないことが理解されるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これら例示の実施の形態に対して多数の変更を行うことができること、及び、他の配置を考案できることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一態様によるシステムを例示として示す図である。
【図2】本発明の一態様によるシステムを例示として示す図である。
【図3】本発明の一態様によるロケーションベース資源管理の区画を例示として示す図である。
【図4】本発明の一態様によるロケーションベース動的サービスのフロー図を例示として示す図である。
【図5】本発明の一態様によるロケーションベース動的サービスアタッチメントのフロー図を例示として示す図である。
【図6】本発明の一態様によるサーバ開始型コンテンツプッシュサービスのフローシーケンスを例示として示す図である。
【図7】本発明の一態様によるクライアントポーリングベースのコンテンツプッシュのフローシーケンスを例示として示す図である。
【図8】本発明の一態様によるクライアント開始型コンテンツプッシュサービスのフローシーケンスを例示として示す図である。
【図9】本発明の一態様によるユーザインターフェースの一例を例示として示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケーションベースサービスを提供するためのシステムであって、
各ゲートウェイサーバが地理的エリアの所定のエリア内でサービスを提供することを担当するように、前記地理的エリアにわたって分散された複数のゲートウェイサーバと、
複数の移動デバイスであって、該複数の移動デバイスの前記所定のエリア内のロケーションに基づいて前記複数のゲートウェイサーバへ接続可能な複数の移動デバイスと
を備える、ロケーションベースサービスを提供するためのシステム。
【請求項2】
前記所定のエリアは、前記地理的エリアを、重複しないサブ長方形(sub-rectangular)エリアに区画することによって形成される、請求項1に記載のロケーションベースサービスを提供するためのシステム。
【請求項3】
前記複数のゲートウェイサーバのそれぞれは、前記重複しないサブ長方形エリアに関連付けられる、請求項2に記載のロケーションベースサービスを提供するためのシステム。
【請求項4】
前記ゲートウェイサーバのそれぞれは、コンテンツ情報を記憶するためのメモリキャッシュを含む、請求項3に記載のロケーションベースサービスを提供するためのシステム。
【請求項5】
前記複数の移動デバイスは、携帯電話、ラップトップコンピュータ、ポケットベル、及び携帯情報端末から成る群から選択される、請求項1に記載のロケーションベースサービスを提供するためのシステム。
【請求項6】
前記ゲートウェイサーバのそれぞれは、前記ロケーションベースサービスに関連するコンテンツ情報の1つ又は複数のソースに結合されている、請求項1に記載のロケーションベースサービスを提供するためのシステム。
【請求項7】
前記ゲートウェイサーバのそれぞれは、前記コンテンツソースのうちの1つから前記所定のエリア内の前記移動デバイスへコンテンツ情報を自動的に配信する、請求項6に記載のロケーションベースサービスを提供するためのシステム。
【請求項8】
配信される前記コンテンツ情報は、ロケーション情報を含む、請求項7に記載のロケーションベースサービスを提供するためのシステム。
【請求項9】
前記コンテンツ情報を受信する前記移動デバイスはそれぞれ、該移動デバイスの地理的ロケーションに基づいて前記コンテンツ情報を受け取るかどうかを決定する、請求項7に記載のロケーションベースサービスを提供するためのシステム。
【請求項10】
通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法であって、
前記ネットワークによってカバーされる地理的エリアを複数の所定のサービスエリアに区画すること、
少なくとも1つのサービスサーバを、前記所定のサービスエリアのそれぞれに関連付けること、及び
前記クライアントデバイスが現在位置している前記所定のサービスエリアに関連付けられた前記サービスサーバを通じて、前記クライアントデバイスへの情報及び該クライアントデバイスからの情報を方向付けること
を含む、通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。
【請求項11】
前記区画することは、前記エリアを、複数の重複しない長方形サービスエリアにセグメント化することを含む、請求項10に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイス
へ情報を提供するための方法。
【請求項12】
サービスサーバを前記複数のオーバーラップしない長方形サービスエリアのそれぞれに関連付けることをさらに含む、請求項11に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。
【請求項13】
前記方向付けることは、前記クライアントデバイスに関連する居住エリアに基づいて、1次サービスサーバを前記クライアントデバイスに関連付けることを含む、請求項10に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。
【請求項14】
前記方向付けることは、前記クライアントデバイスが前記居住エリア内に位置していない時に、2次サービスサーバを前記クライアントデバイスに関連付けることを含む、請求項13に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。
【請求項15】
前記方向付けることは、前記クライアントデバイスが前記居住エリア内に位置していない時に、該クライアントデバイスを宛先とする情報を前記2次サービスサーバを通じてルーティングすることを含む、請求項14に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。
【請求項16】
前記クライアントデバイスが現在位置している所定のサービスエリアに基づいて、該クライアントデバイスに情報を提供することをさらに含む、請求項10に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。
【請求項17】
複数のコンテンツサーバを、該コンテンツサーバのロケーションに基づいて、前記複数の所定のサービスエリアに関連付けることをさらに含む、請求項10に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。
【請求項18】
前記所定のサービスエリアのそれぞれを地理的エリアに関連付けることをさらに含む、請求項10に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。
【請求項19】
前記クライアントデバイスへコンテンツ情報を送信するための、前記サービスサーバから分離された少なくとも1つのサーバを前記ネットワークに設けることをさらに含む、請求項10に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。
【請求項20】
前記クライアントデバイスの前記ロケーションに基づいて、前記コンテンツ情報へのアクセスを禁止することを含む、請求項18に記載の通信ネットワーク上でクライアントデバイスへ情報を提供するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−536206(P2008−536206A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500953(P2008−500953)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/008537
【国際公開番号】WO2006/096826
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(399047921)テルコーディア テクノロジーズ インコーポレイテッド (61)
【出願人】(507302900)トヨタ インフォテクノロジー センター,ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】