ロサルタンの経口医薬剤形態
【課題】本発明の分野はロサルタンの経口医薬品形態、また、これに関連する治療および投与の方法の分野である。
【解決手段】本発明は、ロサルタンを含む経口医薬品形態における、前記ロサルタンを含み、かつ個体の被験体に経口投与されたこの形態がこの個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させる前記ロサルタンの制御された放出を可能にし、同じ服用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬品形態と比較して医薬品形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるコーティングまたはマトリックスの使用に関する。本発明の別の目的は、1日1回投与されることが可能であり、「1日当たり1回の服用量摂取」形態および「1日当たり2回の服用量摂取」形態に実に効果的であるロサルタンの経口医薬品形態を提供することである。したがって本発明は服用量摂取後に図10に示されるタイプの血漿中プロファイルを得ることを可能にする複数のロサルタン微小単位(平均直径:50〜1000μm)を含む調節放出型のロサルタンの経口医薬品形態である。
【解決手段】本発明は、ロサルタンを含む経口医薬品形態における、前記ロサルタンを含み、かつ個体の被験体に経口投与されたこの形態がこの個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させる前記ロサルタンの制御された放出を可能にし、同じ服用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬品形態と比較して医薬品形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるコーティングまたはマトリックスの使用に関する。本発明の別の目的は、1日1回投与されることが可能であり、「1日当たり1回の服用量摂取」形態および「1日当たり2回の服用量摂取」形態に実に効果的であるロサルタンの経口医薬品形態を提供することである。したがって本発明は服用量摂取後に図10に示されるタイプの血漿中プロファイルを得ることを可能にする複数のロサルタン微小単位(平均直径:50〜1000μm)を含む調節放出型のロサルタンの経口医薬品形態である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野はロサルタンの経口医薬剤形態、また、これに関連する治療および投与方法の分野である。
【背景技術】
【0002】
ロサルタン(またはロサルタンカリウム)はアンギオテンシンII受容体拮抗薬(AT1型)である。これは経口で有効であり、レニン−アンギオテンシン系に作用することによって高血圧の制御に介在する。
【0003】
その化学式は以下の通りである:
{2−ブチル−4−クロロ−1−[4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]ベンジル]−1H−イミダゾール−5−イル}メタノール。
【0004】
医薬剤として有効であって許容されるこの製品のいくつかの塩またはエステルが存在する。したがって、本願明細書全体を通じて「ロサルタン」という用語はロサルタンそれ自体、および/またはこれの少なくとも1つの塩、エステル、または他の医薬剤として許容される形態を意味する。
【0005】
ロサルタンは、その効果を高めるための利尿薬(ヒドロクロロチアジド)と、または他のいずれかの心臓血管活性を有する薬剤と組み合わされることがあり得る。
【0006】
ロサルタンは特に、以下の病態:
・本態性動脈性高血圧、
・タンパク尿を伴うII型の糖尿病の症例における腎不全の治療、
・左心室肥大を伴う高血圧患者の症例における心臓血管の疾病率および死亡率の低減(普通はチアジド利尿薬との組み合わせ)、
・鬱血性心不全、
・腎臓移植患者の赤血球増加症
を治療するために使用される。
【0007】
経口投与されたロサルタンはチトクロムP450酵素系で大規模な初回通過代謝される。ロサルタンは部分的にカルボン酸(EXP3174)へと変換され、これは親分子であるロサルタンよりも強力な活性代謝産物であり、この点においてロサルタンはプロドラッグであると考えられる。
【0008】
上記で与えられる「ロサルタン」の定義は国際公開第03/035039号パンフレット(特許文献1)(3ページ、28行目から4ページ18行目)に述べられた定義によって都合よく補完されることが可能である。
【0009】
本願明細書の目的については、「ロサルタン」という用語はその代謝産物を含めて医薬剤として許容される形態のうちの少なくともいずれか1つの形態のロサルタンを意味する。
【0010】
<問題点>
治療の質および再現性の保証はいずれの医薬剤形態にとっても、特にロサルタンの経口形態にとって主要な必要条件である。
【0011】
しかしながら、ロサルタンの或る種の経口医薬剤形態がこの必要条件を満たさないことがあり、したがって、同じ用量で経口投与される同じ治療形態に関して或る種の患者は適切で有効な治療防護の恩恵を受け、それに対して或る種の他者は不適切に治療され、かつ/またはさらに重大な場合には有害な副作用の犠牲になる。
【0012】
ロサルタンのそのような経口医薬剤形態は一定しない血漿プロファイルに結び付き、すべての患者にとって均一で効果的でかつ許容可能な治療的処置を保証しない。
【0013】
これらの重大な欠点は、1日1回以上投与される可能性のある即時放出型経口医薬剤形態(IRF、immediate−release forms)について認められる。
【0014】
特に、ロサルタンの経口IR医薬剤形態の投与後に得られた血漿の濃度プロファイルが結果として患者のうちの5%から25%で大きい振幅の早期血漿濃度ピークにつながり、それに対して患者のうちの大多数で血漿の濃度ピーク(Cmax)がより遅く起こり、さらに小さい振幅であることが観察されている。挙動のこの顕著な差異は患者を2つの集団、すなわち「即効型」プロファイルを伴う集団(Pr)と「遅効型」プロファイルを伴う第2の集団(Ps)に分類することを可能にする。
【0015】
この抗高血圧薬、ロサルタンの早期で大量の放出と共にこの高いばらつきは重大な結果を有する可能性がある。
【0016】
第1に、早期に極めて大きい振幅の濃度ピークを有する患者は重大な低血圧症を患う可能性がある。
【0017】
第2に、このピーク後の血漿中濃度の早い低下は、2回の投与の間の期間の末期における極めて低いロサルタン濃度レベルによって反映される。したがって、このピークに相当するロサルタンの過剰濃度にさらされた後に、即効型集団Prの患者は2回の投与の間の期間の末期に不十分に治療される。
【0018】
最後に、この高いばらつきにより医師が製剤用量を制限し、或る種の患者は不適切に処置されることがあり得る。
【0019】
これはまた、医薬剤の有用な低用量形態の確立または認可を妨げる可能性もあり、
・これは、先行技術で知られている形態に関して上述のばらつきが理由で、低用量形態が特定の集団、例えば小児のケースについて治療的な値であることを登録当局を満足させる方式(プラセボまたは、基準に対する二重盲検試験まで統計学的有意差を示す)で立証することが不可能であると分かるときであり、
・そのような未解決の問題の別の例は、高血圧の軽度に発現した形態を治療するため、および患者が時々発現する低血圧症の症状、例えば起立性低血圧症を示すことがあり得る場合の低用量抗高血圧薬の問題であり、不適切な過剰の放出により低血圧症の症状発現の危険性を悪化させる危険性が無いことを前提にして低用量ARB形態が示されることが可能である。
【0020】
したがって、特に毎日投与可能な形態に関して、2つの患者集団の存在に伴う血漿中濃度プロファイルの一定しない挙動を回避することを可能にするロサルタンの利用可能な経口医薬剤形態を有することが好都合である。言い換えると、医薬剤形態がロサルタンの大量および/または早期および/または急速な放出を伴わない血漿中濃度プロファイルの均質な集団につながることが有利であろう。この目的はしたがってロサルタンの持続的放出を伴う形態に関する研究とは異なる。
【0021】
さらに、ARB、特にロサルタンは通常、1日1個の割合で錠剤形態で経口投与される。しかしながら、そのような治療が理想的でないことが判明する。特に、動脈圧の意図的な制御が殆どまたは全く得られないか、またはそうでなければ再現性の無い方式で得られることが明らかになる。副作用もやはり時々観察される。
【0022】
内在する問題は特に以下の(1、2、3)である。
【0023】
1)大部分の患者で用量は1日1回で50mgまたは100mgである。しかしながら或る著者は1日2回50mgの用量の摂取が1回100mgの用量の摂取よりもさらに効果的であると述べている(The Angiotensin II type 1 receptor antagonists:a new class of antihypertensive drugs,Bauer et al.,Arch.Inter.Med.1995,155,13,p1361〜1368)(非特許文献1)。
【0024】
したがって患者のうちの約20%については、毎日の例えば100mgの摂取は効果的な治療を可能にせず、1日2回の用量摂取(50mgを2回)が必要である。
【0025】
1日1回投与のこの不完全な性能は、ロサルタンの経口投与の後の患者の動脈圧が活性代謝産物E−3174の血漿中濃度に密接に関係するという事実によって説明される。しかしながら、1日1回用量の摂取のわずか12時間後に、活性代謝産物E−3174の血漿中濃度はすでに極めて低い。特に、E−3174の血漿中濃度の低下は用量摂取の2から4時間以内に起こり、付け加えるとこの低下は急速であり、E−3174の半減期は6〜9時間である。
【0026】
したがって、この薬剤を1日2回投与することが推奨されるであろう。しかしながら、患者のコンプライアンス、したがって治療の効果の点から見て1日当たり数回の摂取を含む投与が最も望ましいものでないことは共通して受け入れられている。
【0027】
したがって生体吸収時間を引き延ばし、薬剤が1日1回のみ投与されることを可能にするロサルタンの調節された放出を伴う利用可能な形態を有することが望ましい。しかしながら、先行技術で知られているそのような形態は以下に概説される問題を引き起こす。
【0028】
2)治療の安全性の確保はロサルタンなどの抗高血圧薬にとって主要な課題である。この理由は、いったん摂取されるとこれが含む有効成分が消化管の中に放出され、吸収窓で生体吸収されるように設計された利用可能な経口薬を有することが基本的に重要であり、そうでない場合には有効成分の用量は正しく吸収されることなく腸管通過によって排泄されるからである。したがって期待される治療効果を生み出さない。ロサルタンの場合では、錠剤を飲んだ患者の動脈圧が引き下げられることはなく、これは梗塞形成の危険性を大幅に高め、したがって患者の生命を危険に置く。
【0029】
文献は持続放出型の胃で保持されるロサルタン錠剤を述べている。この錠剤は幽門が閉じられる(すなわち摂食状態)ときの胃内容排出を阻止するサイズまで胃の中で膨らむ。したがって、有効成分は小腸の上側部分に位置する吸収窓の上流に徐々に放出される。したがってこれは正しく吸収される。
【0030】
しかしながら、無視し得ない割合の患者について幽門の閉塞は不安定である。付け加えて、患者が用量製剤を厳格に順守せず、幽門が閉じる前の食事前もしくは食事開始時に錠剤を摂取すれば、飲んだ錠剤は胃の中に留まらず、生体吸収窓の上流でロサルタンを放出することなく急速に排泄される可能性がある。
【0031】
したがって、これらの持続放出型の胃で保持される形態は信頼性が無く、なぜならば患者が摂食状態であっても絶食状態であってもロサルタンが必ずしも生体吸収されるとは限らないからである。
【0032】
したがって、調節放出型の経口形態が、いったん経口薬が摂取されると患者が摂食状態であっても絶食状態であってもロサルタンが生体吸収されることを保証することが可能であることが不可欠である。
【0033】
3)調節放出型のロサルタンの形態のケースで追加的な問題が生じる。この有効成分は水溶性を有し、これはpHの関数として大幅に変化する(以下の12頁の表参照)。
【0034】
ここで、絶食状態では胃のpHは1.4であり、それに対して食事後では5である。したがって、ロサルタンの放出がpH依存性(腸溶コーティング)、または有効成分の溶解性に依存性のどちらかである調節放出型のロサルタンの形態では放出の動態は患者が絶食しているか否かに極めて依存する可能性がある。
【0035】
したがって、理想的な状況は
・ロサルタンの大量および/または早期および/または急速な放出を伴うことのない血漿中濃度プロファイルの均質な集団につながり、
・1日1回投与されることが可能であり、
・即時放出型の「1日当たり1回用量摂取」の形態よりもさらに効果的であり、
・患者が摂食状態であっても絶食状態であっても、いったん経口医薬剤形態が摂取されるとこれが含む有効成分が消化管の中に放出されて胃腸の吸収窓で生体吸収され、すなわち胃内容排出の個体間のばらつきの有害な効果を制限する(または除外さえする)ことによって血漿中濃度の優れた再現性を可能にするようにされ、
・pHの関数としてのロサルタンの溶解性のばらつきの問題を克服する、
ロサルタンの利用可能な経口医薬剤形態を有することであろう。
【0036】
<先行技術>
一体型構造の経口医薬剤形態および多重微粒子の経口医薬剤形態が知られている。
(一体型構造の形態)
国際公開第98/24411号パンフレット(特許文献2)はブスピロンを使用する治療処置法を述べており、これはブスピロンの生体利用性を高めてその排出、代謝産物の形成、および薬学動態パラメータのばらつきも同様に低減するためにブスピロンと十分量のネファゾドンの両方を含む即時放出型の製剤の形態(例えば錠剤またはゲルカプセル)を経口投与することにある。ブスピロンとネファゾドンのこの組み合わせは、米国特許第5431922号明細書(特許文献3)に記述され、薬学動態パラメータの高い水準のばらつきを誘発する(国際公開第98/24411号パンフレット(特許文献2)の3ページ、7行目から16行目参照)主要な欠点を有するブスピロンの制御型/持続型放出の製剤によって解決されなかった問題を克服するはずである。
【0037】
米国特許第6248359号明細書(特許文献4)はオキシブチニンを使用した尿失禁の治療のための多重錠剤系を開示している。この系は短い時間(例えば6時間未満)にわたってオキシブチニンを放出する第1の錠剤と長時間(18から24時間)にわたってオキシブチニンを放出する第2の錠剤を含む。この系はオキシブチニンによる治療に応答して個体間のばらつきを補償することが可能であると提示される。これらの錠剤は、例えば各々がオキシブチニンの核と数層のコーティングを含む錠剤からなる。
【0038】
国際公開第98/24411号パンフレット(特許文献2)および米国特許第6248359号明細書(特許文献4)による一体型構造の形態はロサルタンに関係しない。
(多重微粒子の形態)
PCT出願国際公開第96/11675号パンフレット(特許文献5)は医薬および/または栄養上の有効成分(AP)の経口投与のためのマイクロカプセルを記述しており、これらは1000μm以下のサイズである。これらのマイクロカプセルは、それ自体が膜形成ポリマー(エチルセルロース)、疎水性可塑剤(ヒマシ油)、界面活性剤および/または潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム)、および含窒素ポリマー(ポリビニルピロリドン:PVP)の混合物からなるコーティング材料で被覆された粒子からなる。これらのマイクロカプセルはまた、小腸内に長時間(少なくとも5時間)留まり、この滞留時間の間、小腸内の自然な通過時間よりも長い期間にわたってAPの吸収を可能にするその能力によって特徴付けられる。
【0039】
国際公開第03/030878号パンフレット(特許文献6)はAPの遅延、制御、および限定された放出のための系を記述しており、製剤形態が腸に入るときにpHの変化を伴わない胃の中での制御された時間後に開始される「時間依存性」の放出、およびpHの上昇によって開始される「pH依存性」の放出というAPの放出の開始の二重のメカニズムによって特徴付けられる。200ミクロンと600ミクロンの間の直径を備えたこれらのマイクロカプセルは、40℃と90℃の間の融点を備えた植物ワックス(Lubritab(登録商標))などの疎水性化合物Bと組合されたEudragit(登録商標)L型の親水性ポリマーAを主成分とするコーティング膜によって特徴付けられ、B/A比は0.2と1.5の間である。
【0040】
これらの知られている経口医薬剤形態全部が、血漿中濃度プロファイルの個体間の再現性の点から見て、2回の用量摂取の間の全時間間隔にわたって早期および大量の放出の危険性の排除および治療的保護を伴って保証を提供するように提示されていない。
【0041】
したがって前記の経口形態は改善される可能性がある。
【0042】
発明者の知識によると、このようにして先行技術は一定しない血漿プロファイルにつながる経口医薬剤形態のこの問題に解決の出発点を提供するべきどのような技術的提案も欠いている。
【特許文献1】国際公開第03/035039号パンフレット
【特許文献2】国際公開第98/24411号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5431922号明細書
【特許文献4】米国特許第6248359号明細書
【特許文献5】国際公開第96/11675号パンフレット
【特許文献6】国際公開第03/030878号パンフレット
【非特許文献1】The Angiotensin II type 1 receptor antagonists:a new class of antihypertensive drugs,Bauer et al.,Arch.Inter.Med.1995,155,13,p1361〜1368
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
これらの観察に基づいて発明人らは以下の目的を設定した。
【0044】
本発明の本質的な目的は先行技術の不十分さおよび欠点を克服することである。
【0045】
本発明の別の本質的な目的は、経口医薬剤形態において、上記の目的のうちの少なくとも1つを満たすため、特に血漿プロファイルの個体間のばらつきを低減するためにロサルタン(ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックス)の放出を制御するための手段の新たな使用を提案することである。
【0046】
本発明の別の本質的な目的は、上記の目的のうちの少なくとも1つを満たすためにロサルタン、ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックスタイプの放出を制御するための手段を含む経口医薬剤形態の新たな使用を提案することである。
【0047】
本発明の別の本質的な目的は、経口医薬剤形態において、投与後の最大血漿の個体間の標準偏差を小さくするためにロサルタン(ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックス)の放出を制御するための手段の新たな使用を提案することである。
【0048】
本発明の別の本質的な目的は、血漿プロファイルの個体間のばらつきを低減するため、特に投与後の最大血漿中濃度の個体間の標準偏差を小さくするためにコーティングのロサルタンまたはロサルタンを含むマトリックスタイプの放出を制御するための手段を含む経口医薬剤形態の新たな使用を提案することである。
【0049】
本発明の1つの本質的な目的は、先行技術で提案されるよりも一層一様で一層再現性のある治療の質へのアクセスを患者それぞれに与えるように使用されるロサルタンの経口医薬剤形態を提供することである。
【0050】
本発明の別の本質的な目的は、血漿プロファイルの最大濃度Cmaxの個体間の標準偏差を小さくするための手段を提案することである。
【0051】
本発明の別の本質的な目的は、特に「即効型」プロファイルの潜在的に危険性を有する集団Prおよび「遅効型」プロファイルの集団Psの2つの血漿プロファイルの集団の出現を回避するために、知られているロサルタンの経口医薬剤形態の血漿プロファイルの個体間のばらつきの低減を可能にするロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0052】
本発明の別の本質的な目的は即効型集団Prを低減または解消さえするための手段を提案することである。
【0053】
本発明の別の本質的な目的は、治療の安全性すなわち或る種の患者での早期および/または大量および/または急速なロサルタンの放出に関する危険性の解消、および2回の用量摂取の間の時間間隔全体にわたる治療的保護の点に関して保証を提供するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0054】
本発明の別の本質的な目的は、ロサルタンの血漿中過剰濃度のどのような危険性に対しても患者を防護し、したがって彼らをどのような薬物治療に関する事故に対しても保護するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0055】
本発明の別の本質的な目的はロサルタンの血漿中濃度のピーク/トラフ比を小さくするための手段を提案することである。
【0056】
本発明の別の本質的な目的は、摂取されると、含まれているロサルタンが消化管の中に放出されて吸収窓で生体吸収されることを可能にするロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0057】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつ少なくとも現在使用中の即時放出型の1日1回の形態と同程度に効果的であるロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0058】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されると、例えば80%を上回る患者に関して治療的に有効であるロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0059】
本発明の別の本質的な目的は、ロサルタンの用量に関係無く生体外での溶解プロファイルを有するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0060】
本発明の別の本質的な目的は、ロサルタンの意図される治療的用量に関係無く同じ重量組成を有するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0061】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつ嚥下に困難を有する患者、特に小児または飲み込むことができないだけでなく投与用量が体重の関数として適合させられる必要もある乳幼児に関して適しているロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0062】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつ同じ経口形態中で1つまたは複数の有効成分とロサルタンの混合の可能性を提供し、様々な有効成分の容易で独立した放出時間の調節の可能性を備えたロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0063】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつロサルタンの局所的過剰濃度による組織の損傷の危険性を制限するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0064】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつpHの関数としてのロサルタンの水溶性のばらつきにかかわらず、患者が絶食していてもそうでなくても同じ動態に従ってロサルタンを放出するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0065】
本発明の別の本質的な目的は、特に錠剤、小袋、飲用サスペンジョン、ゲルカプセルなどを含めた様々な製剤形態で存在することが可能なロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0066】
本発明の別の本質的な目的は、上記の治療目的のうちの少なくとも1つを満たす経口形態の使用に存する治療方法を供給することである。
【0067】
上記で目標とされたすべての改善はロサルタンの即時放出型経口医薬剤形態に準拠している。
【課題を解決するための手段】
【0068】
この背景で、出願人は功績として、
−以下のことを理解した。
【0069】
・ロサルタンが胃のpHの関数として大幅に変わる溶解性を有すること。
【0070】
・この胃のpHが大きな変動にさらされ、その起源が多様な制御不可能なパラメータ、特に摂食もしくは絶食状態、個体間のばらつき、これらの消化管の状態に影響を及ぼす薬剤の作用などで変えられ、これらによって決まること。
【0071】
−患者毎の治療の質の再現性の欠如は胃のpHに関するロサルタンの溶解性の依存度に関係し、これは同一の個体の中および個体毎で用量摂取の時間の関数として変わり得るという仮説を提唱する。
【0072】
−最後に、この依存性を制限または解消さえするための技術的解決策が推定され、この解決策は、ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックスの使用を推奨することにあり、これは即効型血漿プロファイルの集団Prを低減または解消することさえ可能であり、かつ胃の酸性度に関係無く早期および/または大量および/または急速なロサルタンの放出を回避することが可能であり、これは血漿プロファイルの個体間のばらつきを小さくする性質である。その際、第1に治療の安全性が或る種の患者集団に関してロサルタンの経口投与の有害な影響を阻止することによって改善され、第2に治療の有効性が促進される。
【0073】
したがって本発明は、とりわけ以下を提案することによって上記の目的を達成する。
【0074】
・ロサルタンを含む経口医薬剤形態において、前記ロサルタンを含み、かつ個体の被験体に経口投与されたこの形態がこの個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させる前記ロサルタンの制御された放出を可能にし、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるコーティングまたはマトリックスの使用;および/または
・個体の被験体への経口投与の後にこの個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させ、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させる経口医薬剤形態を製造するための、前記ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックス内に含まれたロサルタンの使用。
【0075】
したがって本発明は、下記の実施例に与えられるものであってもよい実験条件下で医薬剤形態が個体の被験体に経口投与される基準の臨床試験によって規定される。この臨床試験は試験条件下で特定的に得られる薬物動態特性によって本発明を規定する。しかしながら、本発明はこの基準臨床試験の条件下での実施に限定されない。
【0076】
本発明による使用は患者毎の血漿中濃度プロファイルの一定しない性質を低減または解消さえし、その際、
・第1に、APの早期の放出、したがって副作用を伴ってそれにより引き起こされる血漿中の過剰濃度、および
・第2に、2回の用量摂取の間の治療的保護のいずれかのあり得る欠落、
を回避することを可能にする。
【0077】
したがって、本発明による活用および強調される技術的機能は放出時間の延長ではなく、患者に弊害をもたらしかねない治療のばらつきの低減である。したがって、本発明はより良い効果およびさらに高い治療的安全性を確実にすることを可能にする。
【0078】
本発明はまた、ロサルタンの新たな調節放出型の経口医薬剤形態を提案し、これは上述された使用に採用されたもの、および特許請求項(出願時)31または32で規定されたもののうちの1つであってもよい。
【0079】
この医薬剤形態は、いったん摂取されると微小単位が分散され、これらが胃に到達すると個別化されるように設計されることが有利であり、これは摂食状態または絶食状態のどちらでも微小単位の一様で漸進的な胃内容排出、したがって最終的に胃腸の生体吸収窓でのロサルタンの放出を確実にする。
【0080】
本発明の目的に関すると、「分散および個別化される」という用語はロサルタンを主成分とする微小単位が、これらが摂取直後に胃の中に到達するときにマトリックスの中に捕捉されないことを意味する。微小単位は、胃内に到着するとすぐに(例えば2分未満で)胃の中に分散する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
上記で与えられる「ロサルタン」の定義は国際公開第03/035039号パンフレット(3ページ、28行目から4ページ18行目)に述べられた定義によって都合良く補完されることが可能である。
【0082】
本願明細書では、「即時放出型」という用語は比較的短時間のうちのロサルタンの大部分の即時放出形態(Immediate−Release Form(IRF))による放出を意味し、例えば、
・経口摂取の後の1時間、好ましくは30分で少なくとも80%が生体内で放出され、
・または生体外溶解試験において1.4と7.4の間のいずれのpHでもロサルタンの少なくとも80%が1時間、好ましくは30分で放出される。
【0083】
本願明細書の中で考慮されるすべての溶解プロファイルは「Test of dissolution of solid oral forms」という表題のヨーロッパ薬局方第4編の指示に従って、37℃、100rpmで撹拌されるSINK条件下で実施されるタイプIIの溶解試験で作成される。
【0084】
そのようなIRFの例は飲用の標準的な錠剤、分散性の錠剤、噛む錠剤、小袋、およびカプセルを含む。
【0085】
本願明細書で、「制御された放出」という用語は経口医薬剤形態によるロサルタンの放出を意味し、この放出は胃のpHとは無関係に、かつ基準IRF*の「即時放出」製剤よりも低速度で生体内で起こる。そのような制御された放出型の製剤は、例えば即時相と持続放出型段階を含んでもよい。制御された放出型の製剤はこの分野でよく知られており、例えばRemingtonのThe science and practice of pharmacy、19th edition、Mack publishing Co.Pennsylvania、USAを参照されたい。制御された放出は特に、持続および/または制御、または遅延された放出であることさえあり得る。
【0086】
本願明細書で、「調節された放出」という用語は医薬剤製剤によるロサルタンの放出を意味し、この放出は飲用の標準的な錠剤またはゲルカプセルなどの基準IRF*の「即時放出型」製剤よりも低速度で起こる。そのような調節された放出の製剤は、例えば即時放出型段階と持続放出型段階を含んでもよい。そのような調節された放出の製剤はこの分野でよく知られており、例えばRemingtonのThe science and practice of pharmacy、19th edition、Mack publishing Co.Pennsylvania、USAを参照されたい。
【0087】
本発明の中で考慮される薬物動態パラメータは以下の方式で規定される。N個体の被験体への医薬剤形態の経口投与の後に、各々の患者に対して個々の血漿中濃度プロファイルが測定され、これらから通例の個別薬物動態パラメータであるTmax、Cmax、C24hが導き出される。
【0088】
・Tmaxは、血漿中濃度が最大値Cmaxに達する時間である。
【0089】
・C24hは投与の24時間後の血漿中濃度である。
【0090】
これらの個々のパラメータから、当業者は慣習的にこれらのパラメータの平均値と標準偏差を計算する。これらのパラメータの考察に関連するさらなる詳細は書物:Pharmacokinetics and Pharmacodynamic Data Analysis 3rd ed.、J.Gabrelsson et al.、Kristianstads Bocktryckeri AB、Sweden、2000に見出されるであろう。
【0091】
胃のpHは、pH1.2からpH5.5のpH範囲にわたって内因的に変わり得る程度である。この変動は同一の個体に関して、特に摂食状態かまたは絶食状態かによって、および個体毎に観察される。付け加えると、或る種の患者は「人為的に」胃のpHを変える薬剤で治療することもできる。これは、例えばプロトンポンプ阻害薬(例えばオメプラゾール)または制酸薬の場合である。
【0092】
出願人は、その功績で、その溶解性が胃のpHに大幅に依存するロサルタンが患者毎の一定しない血漿中濃度プロファイルにつながることに気付いた。
【0093】
出願人はこの現象に関して十分な説明を提供することはできないが、血漿中濃度プロファイルのこのばらつきが胃のpHの関数としてのロサルタンの溶解性の変動から結果として生じると提唱されることが可能である。この理由は、吸収されるためにロサルタンは先ず最初に溶解される必要があることである。この溶解段階はしたがって胃のpHに大きく依存する。したがって、ロサルタンの同じ用量について、かつ患者の胃のpHに従って、ロサルタンはいくらかの患者では十分かつ急速に溶解され、反対に他の患者では胃の中で溶解されない。
【0094】
したがって、その溶解性が胃のpHに大幅に依存するロサルタン(下記の表参照)については溶解、したがって最終的には血漿中濃度プロファイルは個体毎および同一の個体に関して1日毎に大きな変動にさらされると考えられる。
【0095】
【表1】
したがって下記の実施例7に示されるように、20個体の被験体に100mgの用量で投与されたロサルタンの従来式のIRFは個体毎に10を上回る因数(70から800ng/ml)で変わるCmaxにつながる。
【0096】
血漿中濃度プロファイルのこの一定しない性質は参照される実施例にあるように2つのプロファイル集団、すなわち即効型集団(Pr)と遅効型集団(Ps)の出現によって反映される可能性がある。
【0097】
即効型集団については、ロサルタンの早期の放出は以下の3つの極めて有害な結果を有する。
【0098】
(a)即効型集団の患者はロサルタンの早期の血漿中過剰濃度に付随して低血圧症などの危険な副作用にさらされる可能性がある。
【0099】
(b)これらの危険性の存在は製剤される用量が制限されることにつながり、これは或る種の患者から適切な治療を奪うことになりかねない。
【0100】
(c)即効型プロファイルについては、2回の投与の間の時間的間隔の末期に血漿中濃度が極めて低い。これらの患者の治療的保護はしたがって不十分である。
【0101】
本発明の目的に関すると、「即効型集団Pr」という用語は、摂食状態でロサルタンのIRFの投与後にTmaxが1.5時間未満の全ての個体を意味する。この即効型集団Prについては、ロサルタンの最大血漿中濃度は早期に到達され、概して高い値をとる。
【0102】
したがって、本発明の本質的要素のうちの1つは、個体の被験体に経口投与された医薬剤形態が個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させ、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のよりばらつきを確実低下させるようにロサルタンの制御された放出を管理するように設計されたコーティングまたはマトリックスに含まれたロサルタンを含む経口医薬剤形態を治療目的のために使用すること、または使用を提案することにある。
【0103】
この標準偏差の減少因数(f)はIRF*形態のCmaxの標準偏差の、これに対応する本発明に従った使用に関する形態の標準偏差に対する比で規定される。
【0104】
Cmaxの個体間標準偏差に関する減少因数(f)は、f≧1.2、好ましくはf≧1.75、さらに優先的にはfが2.5と20の間にあるようにされることが好ましい。
【0105】
そのような経口医薬剤形態を製造するための前記コーティングまたは前記マトリックスの使用もやはり本発明によって目標とされる。
【0106】
前記使用が関係する経口医薬剤形態もやはり本発明の十分に成熟した対象である。
【0107】
したがって出願人は、その功績で、制御された放出型の膜内においてロサルタンをコーティングすること、または制御された放出型のマトリックス内にロサルタンを含ませることが個体毎のロサルタンの放出プロファイルの一定しない性質を解消または低減することを可能にすることを見出した。
【0108】
本発明は、それ自体で1日に1回投与されることが可能であるが血漿中プロファイルのこの一定しない挙動が難点であるロサルタンの使用を最適化するために特に重要であると思われる。したがって、本発明の目的は主として放出時間の延長ではなく、とりわけ、患者に弊害をもたらしかねない治療のばらつきの低減である。したがって本発明はより良い効果と治療の安全性を保証することを可能にする。
【0109】
要約すると、出願人の発明の功績は本質的に、胃のpHに従ったロサルタンの溶解性のばらつき、および胃のpHのばらつきの問題を明確に認識して対処するという事実に基づいている。これらの漠然とした要因から出発して、出願人はこれらの要因の影響を制限するための知られている一般的な手段の新規的で発明となる使用を提案した。これらの手段はロサルタンに関するコーティング膜または含有マトリックスである。これらはたとえロサルタンの溶解性が高くなるような胃のpHをもつ患者のケースでさえ胃の中での急速で早期の放出を阻止する。
【0110】
本発明の別の好都合な形態によると、医薬剤形態はすべてのタイプ(例えば錠剤、ゲルカプセル、粉末もしくは液体の体積単位)の1つまたは複数の用量単位で毎日投与されてもよいが、錠剤のうちの少なくとも1つが有効成分の即時放出性(6時間未満)を備えた錠剤であり、かつ錠剤のうちの少なくとも1つが同じ有効成分の持続放出性(18から24時間)を備えた錠剤である、用量摂取当たり数個の錠剤を含む系は除外される。
【0111】
ロサルタン顆粒上へのコーティングおよび/またはマトリックス内へのロサルタンの含有の使用はpHの関数としてのロサルタンの溶解性のばらつきを低下させることを可能にする。したがって、1と3の間のpHで溶解性は10の因数で変化するのに対して、本発明に従った使用による製剤はpHに殆どまたは全く影響されない、ロサルタン(D、%)に関する(時間単位の)時間Tの関数としての生体外の放出プロファイルを得ることを可能にする(添付の図2参照)。
【0112】
このコーティングまたはマトリックスは、第1にロサルタンのどのような早期および/または大量および/または急速な放出も回避し、その後にロサルタンのどのような有害な血漿中過剰濃度も回避し、第2に2回の用量摂取の間の治療的保護を確実にするためにロサルタンの制御された放出を可能にするように設計されることが有利である。
【0113】
本発明に従った使用によると、医薬剤形態のこのコーティングまたはマトリックスは個体の被験体へのこの形態の経口投与が、ロサルタンの即時放出型形態の同じ用量を投与した同一の個体の被験体に関する代謝産物EXP3174の平均ピーク/トラフ変調よりも小さい代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルの平均ピーク/トラフ変調が低下するように設計される。
【0114】
本発明の目的に関すると、血漿中濃度プロファイルの平均ピーク/トラフ変調は代謝産物EXP3174に関するCmax/C24h比の平均によって規定される。
【0115】
本発明に従った使用によると、医薬剤形態のこのコーティングまたはマトリックスは個体の被験体へのこの形態の経口投与が、ロサルタンの即時放出型形態の同じ用量を投与した同一の個体の被験体に関する代謝産物EXP3174の平均ピーク/トラフ変調のばらつきよりも少ない代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルの平均ピーク/トラフ変調のばらつきにつながるように設計される。
【0116】
本発明の目的に関すると、血漿中濃度プロファイルの平均ピーク/トラフ変調のばらつきは代謝産物EXP3174に関するCmax/C24h比の標準偏差によって規定される。
【0117】
得られる血漿中プロファイルはさらに一様である。それらの個体間のばらつきは低減される。
【0118】
強調する方式で本発明は以下を提案する。
【0119】
・ロサルタンを含む経口医薬剤形態において、(例えば摂食状態にある)個体の被験体に経口投与されたこの医薬剤形態が1時間以下、好ましくは1.5時間以下のTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの数の減少もしくは消失、1時間を超える、好ましくは1.5時間を超えるTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの利得につながり、これが同じ用量で(例えば摂食状態にある)この同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるように前記ロサルタンを含んでロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスの使用、
・または(例えば摂食状態にある)個体の被験体への経口投与の後に、1時間以下、好ましくは1.5時間以下のTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの数の減少もしくは消失、1時間を超える、好ましくは1.5時間を超えるTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの利得につながり、これが同じ用量で(例えば摂食状態にある)この同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させる医薬剤形態の製造のための、ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスに含まれたロサルタンの使用。
【0120】
本発明に従って使用されるロサルタンの制御された放出形態と即時放出型形態(IRF*)の比較、特にそれらの標準偏差の薬物動態パラメータの比較が或る数の、例えば15以上、好ましくは20以上の患者に同じ条件下および同じロサルタン用量で実施される。
【0121】
1つの変形例によると、本発明は
・ロサルタンを含む経口医薬剤形態における、個体の被験体へのこの医薬剤形態の投与中の血漿中プロファイルのばらつきを同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されるロサルタンの即時放出型医薬品形態IRF*に相対して低減し、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型を備えた医薬剤形態IRF*に相対して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させる、前記ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックスの使用、
・または個体の被験体へのこの医薬剤形態の投与中の血漿中プロファイルのばらつきの、同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されるロサルタンの即時放出型形態IRF*を備えた医薬品形態に相対した低減につながり、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型を備えた医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させる医薬剤形態の製造のための、コーティングまたはマトリックスの中に含まれたロサルタンの使用、
にもやはり向けられる。
【0122】
本発明に従った使用において目標とされる医薬剤形態は微小単位の形態のロサルタンを含むことが可能であり、これらは特に、
・それぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる微粒子(これ以降被覆微粒子とも称される)、
・および/またはそれぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる微細顆粒(これ以降マトリックス微細顆粒とも称される)、
・および/または即時放出型のロサルタン微細顆粒、
であってもよい。
【0123】
本発明に従った使用において目標とされる医薬剤形態は当業者に知られている形態のいずれか、すなわち、特にゲルカプセル、小袋、ロサルタンの微小単位を含むサスペンジョン、または錠剤であってもよい。
【0124】
これらの錠剤は、
・(i)ロサルタンの微小単位を含む錠剤か、
・(ii)またはそれぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる遊離の微粒子、および/またはそれぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる遊離の微細顆粒の錠剤、
であってもよい。
【0125】
これらの錠剤(ii)はマトリックスの錠剤または個々に被覆された錠剤であることが可能である。
【0126】
ロサルタンの微小単位(制御された放出型の被覆微粒子および/またはマトリックス微細顆粒または即時放出型微細顆粒)は平均直径(Dm、μm)で1000未満、好ましくは50と800の間、さらに優先的には50と500の間を有することが好ましい。
【0127】
本発明に従った使用において意図される経口医薬剤形態は、用量摂取の後に以下、すなわち
Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
好ましくは 1.5×Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
さらに優先的には2.0×Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*、
(ここで
・C24hは用量摂取24時間後のロサルタンの活性代謝産物EXP3174の平均血漿中濃度を表し、
・C24h*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でC24hと同じ条件下で得られるEXP3174の平均血漿中濃度を表し、
・Cmaxは用量摂取後のEXP3174の平均最大血漿中濃度を表し、
・Cmax*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でCmaxと同じ条件下で得られるEXP3174の平均最大血漿中濃度を表す。)
のように規定される血漿中プロファイルを得ることを可能にすることが有利である。
【0128】
第1の実施形態によると、この経口医薬剤形態は被覆されたまたはマトリックスの微粒子を含み、投与後の時間t(70%)(この時間後にロサルタンのうちの70%が放出される)が1時間と24時間の間、好ましくは2時間と12時間の間、さらに優先的には2時間と8時間の間になるように生体外溶解プロファイル[D%(t)]を有する。
【0129】
この第1の実施形態の1つの都合の良い特徴によると、2時間とt(70%)の間、好ましくは1時間とt(70%)の間のいずれの時間tについても溶解した(放出された)ロサルタンの割合[D%(t)]≧35×t/t(70%)である。
【0130】
第1の実施形態による経口医薬剤形態は、溶解試験での生体外のロサルタンの放出速度がpHと無関係であることを特徴とすることが好ましい。
【0131】
さらに特定して関係するpHの値は胃の中の生理学的pHであり、例えば1から7の範囲である。
【0132】
第1の実施形態による微粒子の個々のコーティングまたは個々のマトリックスの組成は以下の2つの群AおよびBのうちの1つに相当することが有利である。
【0133】
(A群)
A−1:消化管の流体に不溶性であり、コーティング組成物の合計質量に対して50から90、好ましくは50から80の比率(固体の重量%)で存在し、特に少なくとも1つの非水溶性セルロース誘導体を含む少なくとも1つの膜形成ポリマー(P1);
A−2:コーティング組成物の合計質量に対して固体が重量で2から25、好ましくは5から15の比率で存在(固体の重量%)し、少なくとも1つのポリアクリルアミドおよび/または1つのポリ−N−ビニルアミドおよび/または1つのポリ−N−ビニルラクタムからなる少なくとも1つの含窒素ポリマー(P2);
A−3:コーティング組成物の合計質量に対して固体が重量で2から20、好ましくは4から15の比率で存在(固体の重量%)し、以下の化合物、すなわちグリセロールエステル類、フタル酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、セチルアルコールエステル類、ヒマシ油のうちの少なくとも1つからなる少なくとも1つの可塑剤;
A−4:コーティング組成物の合計質量に対して固体が重量で2から20、好ましくは4から15の比率で存在(固体の重量%)し、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤および/または潤滑剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤および/または潤滑剤;であり、前記薬剤は上述の製品のうちの1つのみ、または混合物を含むこともあり得る。
【0134】
化合物A−1、A−2、A−3およびA−4の例が以下に引用される。
【0135】
A−1:エチルセルロースおよび/または酢酸セルロース;
A−2:ポリアクリルアミドおよび/またはポリビニルピロリドン;
A−3:ヒマシ油;
A−4:脂肪酸、好ましくはステアリン酸および/またはオレイン酸のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩、ソルビタンのポリオキシエチレン化されたエステル、ポリオキシエチレン化されたヒマシ油の誘導体、ステアリン酸塩、好ましくはカルシウム、マグネシウム、アルミニウムまたは亜鉛のステアリン酸塩。
【0136】
(B群)
B1:胃腸管の流体に不溶性である少なくとも1つの膜形成ポリマー、
B2:少なくとも1つの水溶性ポリマー、
B3:少なくとも1つの可塑剤、
B4:場合によっては、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤および/または少なくとも1つの非イオン性界面活性剤からなることが好ましい少なくとも1つの界面活性剤/潤滑剤。
【0137】
化合物B1、B2、B3およびB4の例が以下に引用される。
【0138】
B1:
非水溶性のセルロース誘導体、エチルセルロースおよび/または酢酸セルロースが特に好ましい、
アクリル酸誘導体、
ポリ酢酸ビニル、
およびこれらの混合物。
【0139】
B2:
水溶性セルロース誘導体、
ポリアクリルアミド、
ポリ−N−ビニルアミド、
ポリ−N−ビニルラクタム、
ポリビニルアルコール(PVA)、
ポリオキシエチレン(POE)、
ポリビニルピロリドン(PVP)(後者が好ましい)、
およびこれらの混合物。
【0140】
B3:
グリセロールおよびそのエステル、以下の下位群、すなわちアセチル化されたグリセリド、グリセリルモノステアレート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレートが好ましい、
フタル酸エステル、以下の下位群、すなわちフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチルが好ましい、
クエン酸エステル、以下の下位群、すなわちクエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチルが好ましい、
セバシン酸エステル、以下の下位群、すなわちセバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチルが好ましい、
アジピン酸エステル、
アゼライン酸エステル、
安息香酸エステル、
植物油、
フマル酸エステル、好ましくはフマル酸ジエチル、
リンゴ酸エステル、好ましくはリンゴ酸ジエチル、
シュウ酸エステル、好ましくはシュウ酸ジエチル、
コハク酸エステル、好ましくはコハク酸ジブチル、
酪酸エステル、
セチルアルコールエステル、
サリチル酸、
マロン酸エステル、好ましくはマロン酸ジエチル、
ヒマシ油(これが特に好ましい)、
およびこれらの混合物。
【0141】
B4:
脂肪酸、好ましくはステアリン酸および/またはオレイン酸のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩、
ポリオキシエチレン化された油、好ましくはポリオキシエチレン化された水素化ヒマシ油、
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、
ポリオキシエチレン化されたソルビタンエステル、
ポリオキシエチレン化されたヒマシ油の誘導体、
ステアリン酸塩、好ましくはカルシウム、マグネシウム、アルミニウムまたは亜鉛のステアリン酸塩、
ステアリルフマル酸エステル、好ましくはステアリルフマル酸ナトリウム、
グリセリルベヘネート、
およびこれらの混合物。
【0142】
このコーティングは、その質量が微粒子の合計質量のうちの重量で1%から50%、好ましくは重量で5%から40%に相当するただ1つの被覆からなることが好ましい。
【0143】
本発明に従った第1の実施形態による微粒子を得るための組成および方法の他の詳細および例は国際公開第03/084518号パンフレットに与えられており、その内容は本願明細書に参照で組入れられる。
【0144】
群A1およびA2のコーティング組成物に関するさらなる定性的および定量的詳細については参照は欧州特許第0709087号明細書および国際公開第2004/010984号パンフレットにそれぞれ為され、その内容は本願明細書に参照で組入れられる。
【0145】
第2の実施形態によると、この経口医薬剤形態は第1に被覆微粒子および/またはマトリックスの微粒子を含み、第2に、
−ロサルタンの放出が2つの異なる開始メカニズム、すなわち1つはpH変化に基づき、他方は胃の中での所定の滞留時間の後にロサルタンの放出を可能にするメカニズムによって管理され、
−一定のpH1.4で、溶解プロファイルが7時間以下、好ましくは5時間以内、さらに優先的には1時間と5時間の間続く遅滞期を含み、
−およびpH1.4からpH7.0への経過がいずれの遅滞時間も伴わずに始まる放出段階につながる
ようにされる。
【0146】
この第2の様式による経口医薬剤形態は生体外溶解試験で測定したときに下記に示されるような溶解プロファイルを有することが有利である。
【0147】
・ロサルタンのうちの20%未満がpH1.4で2時間後に放出され、
・ロサルタンのうちの少なくとも50%がpH1.4で16時間後に放出される。
【0148】
他の好ましい特徴によると、この第2の様式による経口医薬剤形態はその開始pHが6.0と6.5の間(両端を含む)にある制御された放出型ロサルタン微粒子を含む。
【0149】
第2の実施形態による制御された放出型ロサルタン微粒子は以下の特異的な特徴を有することが有利である。
【0150】
−ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスが、
・−中性pHでイオン化される化学基を担持する少なくとも1つの親水性ポリマーIと、
−少なくとも1つの疎水性化合物IIとを含み、
・質量画分(微粒子の合計質量に相対した重量%)≦40を示す複合材料を含み;および
−これらの平均直径は1000μm未満、好ましくは50μmと800μmの間、さらに優先的には50μmと500μmの間である。
【0151】
他の都合の良い特徴によると、ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスの複合材料I−IIは、
−重量比II/Iが0.2と1.5の間、好ましくは0.5と1.0の間であり、
−および疎水性化合物IIが、固体の形態の結晶であって融点TfII≧40℃、好ましくはTfII≧50℃、さらに優先的には40℃≦TfII≦90℃を有する製品から選択されるようにされる。
【0152】
1つの好ましい実施形態によると、親水性ポリマーIは、
−I.a:(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの共重合体およびこれらの混合物;
−I.b:セルロース誘導体、好ましくは酢酸セルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セルロース、およびこれらの混合物、さらに優先的にはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびこれらの混合物;
−およびこれらの混合物
から選択される。
【0153】
なおもさらに好ましいポリマーIは(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(例えばC1〜C6アルキル)の共重合体である。これらの共重合体は、例えば、Rohm Pharma Polymers社によって登録商標EudragitのL系およびS系で市販されているタイプ(例えばEudragit(登録商標)L100、S100、L30D−55およびL100−55)である。これらの共重合体は胃の中で遭遇するよりも高いpHで水性媒質に溶解性であるアニオン性の腸溶性共重合体である。
【0154】
好ましい実施形態にさらに従うと、化合物IIは製品の以下の群から選択される。
【0155】
II.a:単独または相互混合物として服用される植物ワックス、
II.b:単独または相互混合物として服用される水素化植物油、
II.c:少なくとも1つの脂肪酸のグリセリルモノ−および/またはジ−および/またはトリエステル、
II.d:少なくとも1つの脂肪酸のグリセリルモノエステル、ジエステル、およびトリエステルの混合物、
II.e:およびこれらの混合物。
【0156】
化合物IIは製品の以下の群、すなわち水素化綿実油、水素化大豆油、水素化ヤシ油、グリセリルベヘネート、水素化ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチン、黄蝋、坐剤の基剤として有用な硬質の脂肪質物質または脂肪、無水の乳製品脂肪、ラノリン、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルステアレート、ラウリルマクロゴールグリセリド、セチルアルコール、ポリグリセリルジイソステアレート、ジエチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノステアレート、オメガ3、およびこれらのいずれかの混合物から、
好ましくは製品の以下の下位群、すなわち水素化綿実油、水素化大豆油、水素化ヤシ油、グリセリルベヘネート、水素化ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチン、およびこれらのいずれかの混合物から選択されることがなおもさらに好ましい。
【0157】
実際には、これは限定ではないが、化合物IIは
−以下の商標名で市販されている製品の群、すなわちDynasan(登録商標)、Cutina(登録商標)、Hydrobase(登録商標)、Dub(登録商標)、Castorwax(登録商標)、Croduret(登録商標)、Compritol(登録商標)、Sterotex(登録商標)、Lubritab(登録商標)、Apifil(登録商標)、Akofine(登録商標)、Softtisan(登録商標)、Hydrocote(登録商標)、Livopol(登録商標)、Super Hartolan(登録商標)、MGLA(登録商標)、Corona(登録商標)、Protalan(登録商標)、Akosoft(登録商標)、Akosol(登録商標)、Cremao(登録商標)、Massupol(登録商標)、Novata(登録商標)、Suppocire(登録商標)、Wecobee(登録商標)、Witepsol(登録商標)、Lanolin(登録商標)、Incromega(登録商標)、Estaram(登録商標)、Suppoweiss(登録商標)、Gelucire(登録商標)、Precirol(登録商標)、Emulcire(登録商標)、Plurol diisostearique(登録商標)、Geleol(登録商標)、Hydrine(登録商標)、Monthyle(登録商標)、およびこれらの混合物から;
−および同様に以下のような記号の添加物の群、すなわちE901、E907、E903、およびこれらの混合物から;
−好ましくは以下の商標名で市販されている製品の群、すなわちDynasan(登録商標)P60、Dynasan(登録商標)114、Dynasan(登録商標)116、Dynasan(登録商標)118、Cutina(登録商標)HR、Hydrobase(登録商標)66〜68、Dub(登録商標)HPH、Compritol(登録商標)888、Sterotex(登録商標)NF、Sterotex(登録商標)K、Lubritab(登録商標)、およびこれらの混合物から
選択されることが好ましい。
【0158】
本発明の他の有利な特徴によると、ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスはタルクを含まない。
【0159】
必須の構成要素IおよびIIに加えて、微粒子のコーティングまたはマトリックスは当業者に知られている他の標準的な成分、特に
・染料、
・可塑剤、例えばセバシン酸ジブチル、
・親水性化合物、例えばセルロースとその誘導体、またはポリビニルピロリドンとその誘導体、
・およびこれらの混合物、
などを含むことが有利である。
【0160】
これは限定ではないが、なおもさらに好ましい実施形態によると、被覆された制御された放出型ロサルタン微粒子のコーティングは1層のみの複合コーティング膜I−IIを含む。
【0161】
本発明の第2の実施形態による微粒子を得るための組成物および方法の他の詳細および例は国際公開第03/030878号パンフレットに与えられており、その内容は本願明細書に参照で組入れられる。
【0162】
定量的な表現では、コーティング単層は微粒子の重量で例えば40%以下、好ましくは30%以下を意味する。そのような限定されたコーティング含有量は、嚥下に関して妨げとなるサイズを超えることなく各々が高い用量のロサルタンを含む製剤単位を製造することを可能にする。それによって治療のコンプライアンス、したがって治療の成功は疑う余地なく改善される。
【0163】
第3の実施形態によると、この経口医薬剤形態は微粒子の少なくとも2つの集団を含む。制御された放出型ロサルタン微粒子の各々の集団は上記に提示された第1または第2の実施形態によるものであってもよい。
【0164】
第3の実施形態と組み合わされた第2の実施形態の1つの変形例−2i−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は1.4と7.4の間の少なくとも1つのpHで異なる溶解プロファイルを有する少なくとも2つの微粒子の集団を含む。
【0165】
第3の実施形態と組み合わされた第2の実施形態の1つの変形例−2ii−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態はそれぞれの開始pHが異なる制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも2つの集団を含む。
【0166】
第3の実施形態と組み合わされた第2の実施形態のさらに別の変形例−2iii−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態はそれぞれの開始時間で異なる制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも2つの集団を含む。
【0167】
第4の実施形態によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団および即時放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団を含む。
【0168】
第4の実施形態と組み合わされた第2の実施形態の1つの変形例−2iv−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は、
・即時放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団;
・制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団P1;および
・制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団P2;
を含み、さらに、P1およびP2のそれぞれの開始pH値は少なくとも0.5pH単位、好ましくは少なくとも0.8pH単位、さらに優先的には少なくとも0.9pH単位異なる。
【0169】
制御された放出型のロサルタン微粒子の様々な集団のそれぞれの開始pH値は5と7の間であることが好都合である。
【0170】
第4の実施形態と組み合わされた第2の実施形態の1つの変形例−2v−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は、
・即時放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団;
・制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団であってその開始pH値が5.5に等しい集団P1’;および
・制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団であってその開始pH値が6.0と6.5の間(両端を含む)にある集団P2’;
を含む。
【0171】
第2の実施形態の変形例−2iv−および−2v−の集団P1、P2、P1’、およびP2’は第2の実施形態に従って得られる制御された放出型のロサルタン微粒子を含む。
【0172】
即時放出型のロサルタンの微小単位が本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態の中に存在する本発明の変形例を具体的に示すために、これらの変形例が、この医薬剤形態が例えば即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団を含む場合に相当することが指摘されてもよい。
【0173】
第1の実施形態に従った使用で実施される経口医薬剤形態が制御された放出型のロサルタン微粒子を含む場合、pH1とpH5の間の前記微粒子の溶解プロファイルは算出された類似度因子f2によると、FDAの指示するSUPAC−MR−Modified Release Solid Oral Dosage Formsに示されるものと同様であり、すなわち即座にf2≧50%である。
【0174】
本発明に従った使用で採用される経口医薬剤形態はロサルタン以外の少なくとも1つの有効成分を含んでもよい。略語APはこれ以降、区別なくロサルタン以外の1つまたは複数の有効成分を意味する。
【0175】
APの生体内または生体外の放出は持続放出型であっても制御型であってもよい。APは、APの即時放出型を備えた微細顆粒タイプの微小単位の中、またはAPの制御された放出を備えた微粒子の中に含まれてもよい。
【0176】
このAPは、とりわけ、利尿薬、ベータ遮断薬、阻害薬、ナトリウムチャンネル遮断薬、アルファ遮断薬、アルファ−ベータ遮断薬、血管拡張薬、アルファ拮抗薬、およびアドレナリン作動性ニューロン遮断薬を含む群から選択してもよい。
【0177】
これらの付加的なAPに関するさらなる詳細については、例えば国際公開第03/035039号パンフレットの4ページ19行目から4ページ31行目の一節に参照が為されることが可能である。
【0178】
上記の目標とされる被覆微粒子はいくつかの構造を有することが可能である。
【0179】
したがって、被覆微粒子の構造の第1の形態によると、経口医薬剤形態の制御された放出型ロサルタン微粒子のうちの少なくともいくつかは、
・ロサルタンを含むコアおよび
・コアを覆って前記ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティング
を各々が含む。
【0180】
被覆微粒子の構造の第2の形態によると、経口医薬剤形態の前記制御された放出型ロサルタン微粒子のうちの少なくともいくつかは、
・・中性のコアおよび
・ロサルタンを含んで中性のコアを被覆する少なくとも1つの活性層を含むコア、
・およびコアを覆って前記ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティング
を各々が含む。
【0181】
微小単位の中のロサルタンの割合(微小単位の合計質量に相対した固体の重量パーセントで表される)は5と80の間、好ましくは10と75の間、さらに優先的には15と70の間であることが有利である。
【0182】
1つの可能性によると、即時放出型のロサルタン微細顆粒は制御された放出型ロサルタン微粒子の未コーティングのコアである。
【0183】
前に示されたように、本発明は上記で概して述べられた中でも経口医薬剤形態の特定の群にもやはり向けられる。この特定の群の医薬剤形態は被覆ロサルタン微粒子から形成された微小単位を含む形態である。この特定の群の各々の医薬剤形態は特許請求項(出願時)31または32に特徴付けられるようなロサルタンの調節放出型経口医薬剤形態である。
【0184】
請求項(出願時)31に権利主張されるこの医薬剤形態は、いったん摂取されると微小単位が分散し、それらが胃に到達すると個別化され、これが、摂食状態または絶食状態のどちらかで微小単位の一様で漸進的な胃内容排出、したがって最終的に胃腸の生体吸収窓でのロサルタンの放出を確実にするように設計される。
【0185】
請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態の説明の文脈において、
・微小単位は
・ロサルタンの調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆された微粒子、および
・即時放出型ロサルタン微細顆粒を意味し、
・それぞれ、ロサルタンを含み、かつロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる微細顆粒(これ以降マトリックスの微細顆粒とも称される)を例外とし、
・「分散および個別化された」という表現は、摂取直後に胃の中に入るとロサルタンを主成分とする微小単位がマトリックスの中に捕捉されないことを意味する。これらの微小単位は胃内に到着するとすぐに(例えば2分未満で)胃の中で分散状態になる。
【0186】
請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態の利点は特に以下である。
【0187】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、いったんこの経口医薬剤形態が摂取されると、それが含むロサルタンが消化管の中に放出されて消化管の吸収窓に生体吸収されることを確実にする。
【0188】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、いったんこの経口医薬剤形態が摂取されると、それが含むロサルタンが放出されることなく生体吸収窓の前を通り過ぎないことを確実にする。
【0189】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、いったんこの経口医薬剤形態が摂取されると、それが含むロサルタンが幽門の開閉状態と無関係に放出されることを確実にする。
【0190】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は現在使用されている即時放出型で1日1回の形態と少なくとも同程度に効果的である。
【0191】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、胃内容排出、および最終的にロサルタンとその活性代謝産物E3174の生体内での吸収の個体間のばらつきの現象にさらされないか、または極めてわずかにさらされるのみである。
【0192】
・ロサルタンのこの経口医薬剤形態は1日に1回投与されると、例えば80%を超える患者に治療として効果的である。
【0193】
・1日に1回投与されてもよく、かつ調節放出型のロサルタン微小単位を含むロサルタンのこの経口医薬剤形態は、これらの微小単位の小さいサイズ(50〜1000μm)と多い数(例えば用量当たり数千個)から利点の一部を引き出し、これは患者による食物の摂取と無関係に漸進的で良好に制御された胃内容排出を可能にする。
【0194】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、ロサルタンのTmax、および同様にロサルタンが治療的に無効になる血漿中基線ロサルタン濃度よりも血漿中ロサルタン濃度が高くなる期間を増加させることを可能にする。
【0195】
・ロサルタンのこの経口医薬剤形態はロサルタンの用量と無関係の生体内の溶解プロファイルを有する。
【0196】
・ロサルタンのこの経口医薬剤形態は同じ重量組成を有し、この組成が含むロサルタンの用量と無関係である。
【0197】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、嚥下に困難を有する患者、特に飲み込むことができないだけでなく投与用量が体重の関数として適合させられる必要もある小児または乳幼児に関して適している。
【0198】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は同じ経口形態中で1つまたは複数の他の有効成分とロサルタンの混合の可能性を提供し、これらの様々な有効成分のそれぞれの放出時間は互いと無関係に容易に調節されることが可能である。
【0199】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、pHの関数としての水中へのロサルタンの溶解性のばらつきに関係無く、患者が絶食していてもそうでなくても同じ動態に従ってロサルタンを放出することが可能である。
【0200】
・ロサルタンのこの経口医薬剤形態は、特に錠剤、小袋、飲用サスペンジョン、ゲルカプセルなどを含めた様々な製剤形態で存在することが可能である。
【0201】
・本発明によるこの経口製剤形態は多数(例えば約千から数千)の微小単位(ロサルタンの微粒子または微細顆粒)からなり、この多重度は統計学的に、消化管全域にわたるロサルタンの通過動態の優れた再現性、したがって生物学的利用能の優れた制御およびより良い効果を確実にする。
【0202】
・異なる調節放出プロファイルを有する微粒子の混合物の使用はいくつかの放出の波動を有する放出プロファイルを作り出すことを可能にし、または様々な画分の適切な調節によってロサルタンの血漿中濃度の一定のレベルを確実にする。
【0203】
・胃内容排出の変動に対する過敏性が低減される。なぜならばこの場合に多数の患者に起こる胃内容排出は統計学的に再現性がより高いからである。
【0204】
・組織をロサルタンの高い投与量と接触させること(「投与量の急速落下」)が避けられる。特に、各々の微小単位はロサルタンの極めて少ない投与量しか含まない。
【0205】
・この医薬剤形態はロサルタンのどのような劣化も誘発せず、始動ロサルタンの多形性を保持する。
【0206】
・この50μmと1000μmの間のサイズ、およびこれらのコーティングの特性もやはり、適切である場合は微小単位が消化管の上側部分における通過時間を増加させることを可能にし、これは吸収窓の前のロサルタンの通過の時間の増加を確実にし、したがってロサルタンの生物学的利用能を最大にする。
【0207】
好ましくは、請求項(出願時)31または32に権利主張されるこの医薬剤形態の微小単位のうちの少なくともいくつかは、それぞれ、ロサルタンを含み、かつロサルタンの調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる微粒子である。
【0208】
請求項(出願時)31または32に権利主張されるこの医薬剤形態の微粒子タイプの微小単位に関すると、ロサルタンの調節放出を制御するこれらのコーティングは本質的に医薬剤として許容される賦形剤を含むことに留意すべきである。
【0209】
請求項(出願時)31または32に権利主張されるこの医薬剤形態の微小単位のうちの少なくともいくつかが即時放出型のロサルタン微細顆粒からなることもやはり極めて有利であると見込まれる。
【0210】
請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態は、用量摂取後の時間(T)の関数となる活性代謝産物E3174の血漿中濃度の曲線下面積(AUC)のばらつきCV(%)が、同じ用量のロサルタンを含む基準の即時放出型経口医薬剤形態*の活性代謝産物E3174の血漿中濃度の、同一条件下での用量摂取後の時間(T)の関数となる曲線(AUC*)の下の面積の相当するばらつきCV*(%)の200%以下、好ましくは150%以下、さらに優先的には120%以下、すなわちCV≦1.5×CV*、好ましくはCV≦1.2×CV*であることを特徴とすることが好ましい。
【0211】
薬物動態パラメータCVおよびAUCは当業者によく知られている。
【0212】
本発明によるロサルタンの調節放出型形態とIRF*、特にCVとCV*、AUCとAUC*の比較は同じ条件下、および同じロサルタン用量で統計学的に意味のある方式で実施される。
【0213】
本願明細書に関する生体外溶解プロファイルのすべては「Test of the dissolution of solid oral forms」という表題のヨーロッパ薬局方第4編の指示に従って、37℃に維持され、100rpmで撹拌されるSINK条件下で実施されるタイプIIの溶解試験で実施される。
【0214】
第1の実施形態によると、請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態は、ロサルタンのうちの70%が投与後の1時間と24時間の間、好ましくは2時間と12時間の間、さらに優先的には2時間と8時間の間に放出されるような生体外溶解プロファイルを有する。
【0215】
請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態は、第1の実施形態において、溶解試験におけるロサルタンの生体外での放出速度がpHと無関係であることを特徴とすることが有利である。
【0216】
さらに特別に関与するpH値は胃の生理学的pH値であって、例えばこれらは1から7の範囲である。
【0217】
第1の実施形態にあり、請求項(出願時)31に権利主張される医薬剤形態のこの注目すべき特性はロサルタンにとってなおさら有利であり、なぜならば、上記で想起されたようにロサルタンはpHに高度に依存性である水中への溶解性で知られているからである。
【0218】
請求項(出願時)31または32に権利主張される微粒子を被覆するための組成(コーティング膜)はその第1の実施形態において、上記で規定された2つの群AおよびBのうちの一方に都合良く対応する。
【0219】
請求項(出願時)31または32に権利主張される微粒子のためのコーティング(コーティング膜)はその第1の実施形態において、本発明による微小単位の一般的な群について上述されたものに合致している。
【0220】
これは請求項(出願時)31または32に権利主張される第1の実施形態のこれらの微粒子を得るための組成と方法の詳細および例に関して、および群Aのコーティング組成物のための定性的および定量的データに関してもやはり同様のケースである。
【0221】
第2の実施形態によると、請求項(出願時)31に権利主張される医薬剤形態は、
・ロサルタンの放出が2つの別々の開始メカニズム、すなわち一方はpH変動に基づき、他方は胃の中の所定の滞留時間の後にAPの放出を可能にするメカニズムによって管理され、
・一定のpH1.4で、溶解プロファイルが7時間以下、好ましくは5時間以内、さらに優先的には1時間と5時間の持続時間を備えた遅滞期を含み、
・およびpH1.4からpH7.0への経過が遅滞時間を伴わずに始まる放出段階につながるようにされる。
【0222】
この第2の実施形態のさらに詳細な説明については、上記の本発明による一般的な群の微小単位の第2の実施形態の説明に参照が為されるであろう。
【0223】
同様に、「第3の実施形態」から「即時放出型のロサルタン微細顆粒が被覆の無い調節放出型ロサルタン微粒子のコアである」可能性までの本発明による一般的な群の微小単位を参照して上記に示された全てが請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態に直接置き換え可能および適用可能である。
【0224】
ロサルタンはいくつかの結晶形態で存在し、そのうちの1つは医薬剤の活性にとって特に重大であって、すなわち結晶形態Iである。結晶形態Iが保たれることが重要である。したがって、本発明による医薬剤形態を調製するために使用される方法はロサルタンをその初期の結晶形態に保全することを可能にする。本発明による医薬剤形態では、例えばロサルタンのうちの少なくとも50%がその結晶形態Iにある。
【0225】
本発明による被覆微粒子の調製に関すると、これは当業者が利用可能なマイクロカプセル化技術に関連し、その原理はC.DuverneyとJ.P.Benoitによる論文「L’actualite chimique」,December 1986に要約されている。さらに特定すると、考慮される技術は膜コーティングによるマイクロカプセル化であって、マトリックス系とは対照的に個別化された「貯蔵器」系に結び付く。
【0226】
さらなる詳細については、欧州特許第0953359号明細書に参照が為されるであろう。
【0227】
本発明による微粒子を製造するために必要な望ましい粒度分布のロサルタン粒子は従来の当該技術のうちの1つ、例えば少なくとも1つの標準的な結合剤および/またはロサルタンの固有の溶解性特性を変えるための薬剤の存在下での造粒を介して前処理を受けた純粋のロサルタン結晶および/または結晶であってもよい。ロサルタンは、例えば、当業者に知られている技術、例えば空気流動床での「スプレーコーティング」技術を介してコアの上に蒸着されてもよく、または湿式造粒法、圧縮法、押し出し−球体成形法などによって形成されてもよい。
【0228】
本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態はロサルタンを含む1000から500000個の微小単位を含む1日1回の経口量形態であることが好都合である。
【0229】
さらに特定すると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は1000から500000個の制御された放出型のロサルタン微粒子を含む1日1回の経口量形態であってもよい。
【0230】
本発明による経口医薬剤形態は制御された放出型のロサルタン微粒子の粉末のサシェ、制御された放出型のロサルタン微粒子の懸濁液、制御された放出型のロサルタン微粒子を含むこともあり得る錠剤、または制御された放出型のロサルタン微粒子を含むゲルカプセルの形態で供給されてもよい。
【0231】
本発明の主題はまた、本発明に従った使用の状況における上述されたような、かつ想定される用途とはそれ自体関係無く服用される経口医薬剤形態である。
【0232】
他の目的によると、本発明は微粒子の医薬剤もしくは食事経口製剤の形態、好ましくは口腔内分散可能な錠剤または粉末またはゲルカプセルの形態の調製のための、上記で規定されたような制御された放出型のロサルタン微粒子および場合によっては上記で規定されたような即時放出型のロサルタン微細顆粒の使用に向けられる。
【0233】
さらに別の目的によると、本発明は、いったん前記医薬剤形態が摂取されるとそれが含む微粒子が分散され、これらが胃に到達すると個別化され、これが、用量摂取の間で患者が摂食していても絶食していてもこれらの微粒子が一様で漸進的な胃内容排出を受けることを可能にし、したがって胃腸の生体吸収窓でのロサルタンの放出を確実にし、ロサルタンの血漿中プロファイルのばらつきの低減に向かって参画することができるように設計された、治療上安全な微粒子経口医薬品形態の調製のための、上記で規定されたような制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒、および場合によっては上記で規定されたような即時放出型のロサルタン微細顆粒の使用に向けられる。
【0234】
さらに別の主題によると、本発明はそれ自体が上記で規定されたような被覆微粒子および/またはマトリックスの微細顆粒に向けられる。
【0235】
本発明の他の主題によると、本発明は
・高血圧を治療するための方法であって、上記で規定されたような本発明に従った使用で実施される医薬剤形態を好ましくは1日1回の経口量として投与することにあることを特徴とする方法;
・ヒトまたは動物の経口治療処置のための再現性のある方法であって、本質的に、ロサルタンを含んでかつ前記ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスの中に含まれる前記ロサルタンを含む医薬剤形態を経口投与することにあり、それにより、個体の被験体に経口投与されたこの形態がこの個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間標準偏差を減少させ、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させることを特徴とする方法;
・ヒトまたは動物の経口治療処置のための再現性のある方法であって、本質的に、コーティングまたはマトリックスの中に含まれたロサルタンを含む医薬剤形態を経口投与することにあり、これが、個体の被験体への摂食状態でのこの医薬剤形態の経口投与が1時間以下、好ましくは1.5時間以下のTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの数の減少もしくは消失、1時間を超える、好ましくは1.5時間を超えるTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの利点につながり、これがこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるような特性をこの医薬剤形態に賦与することを特徴とする方法;
・ヒトまたは動物の経口治療処置のための再現性のある方法であって、本質的に、コーティングまたはマトリックスの中に含まれたロサルタンを含む医薬剤形態を経口投与することにあり、同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して個体の被験体へのこの医薬剤形態の経口投与の間の血漿中プロファイルのばらつきを低減し、これが医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させることを特徴とする方法;
・ヒトまたは動物の経口治療処置のための再現性のある方法であって、本質的に、溶解性が胃のpHに依存性であるロサルタンを含む医薬剤形態を経口投与することにあり、このロサルタンが、個体の被験体へのこの医薬剤形態の経口投与が同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較してTmaxの個体間のばらつきの係数の減少につながり、これが医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるような特性をこの医薬剤形態に賦与するコーティングまたはマトリックスに含まれることを特徴とする方法、
に向けられる。
【実施例】
【0236】
以下の実施例では、賦形剤はその商標名で示される。化学名との対応は以下の表に見出されるであろう。
【0237】
【表2】
<実施例1:ロサルタン顆粒の調製>
810gのロサルタンカリウムおよび90gのKlucel EF(登録商標)(Aqualon)が3000gのイソプロパノールの中に分散される。このサスペンジョンがGlatt GPCG1スプレーコーターの中で100gの中性のミクロスフィア(旭化成)に吹き付けられる。
【0238】
得られる顆粒は81%のロサルタンカリウム濃度を有する。
【0239】
<実施例2:ロサルタンカリウム微粒子の調製>
200gのエチルセルロース(Ethocel 20、Premium/Dow)、15gのPlasdone K29/32(登録商標)(ISP)、10gのCremophor RH40(BASF)および25gのヒマシ油が60%のイソプロパノールと40%のアセトンからなる混合液中に分散される。この溶液が750gの(実施例1で調製された)ロサルタンカリウム顆粒に吹き付けられる。
【0240】
得られた微粒子は次いで、サイズ2のゼラチンゲルカプセル内に置かれる。ゲルカプセル当たりのロサルタンカリウムの用量はこの試験では100mg(すなわち165mgの微粒子)に設定された。このゲルカプセルが薬剤の最終形態を構成する。
【0241】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH6.8(0.05MのKH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図1を参照されたい。
【0242】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH1.4(HCl)、4.5(KH2PO4/NaOH)、および6.8(KH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図2を参照されたい。
【0243】
ロサルタンの放出は事実上溶解媒質のpHに無関係であることが見出され、これは胃液のpHに左右されない生体内の放出を有することを可能にする。
【0244】
溶解プロファイルに対するロサルタンカリウムの用量の影響を調べるために、薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH6.8(KH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で微粒子によるロサルタンの放出が10、25、50、100、150および200mgの有効成分の用量について判定された。図3を参照されたい。
【0245】
溶解プロファイルはロサルタンの用量と無関係である。
【0246】
<実施例3:ロサルタンカリウム微粒子の調製>
100gの水素化綿実油(Penwest)および150gのEudragit(登録商標)L100−55(Rohm)が高温イソプロパノール中に溶解される。この溶液が750gの(実施例1で調製された)ロサルタンカリウム顆粒に吹き付けられる。
【0247】
得られた微粒子は次いで、サイズ2のゼラチンゲルカプセル内に置かれる。ゲルカプセル当たりのロサルタンカリウムの用量はこの試験では100mg(すなわち165mgの微粒子)に設定された。このゲルカプセルが薬剤の最終形態を構成する。
【0248】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH1.4(HCl)およびpH6.8(0.05MのKH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図4を参照されたい。
【0249】
<実施例4:ロサルタンカリウム微粒子の調製>
100gの水素化綿実油(Penwest)、50gのEudragit(登録商標)L100−55(Rohm)および100gのEudragit(登録商標)S100(Rohm)が高温イソプロパノール中に溶解される。この溶液が750gの(実施例1で調製された)ロサルタンカリウム顆粒に吹き付けられる。
【0250】
得られた微粒子は次いで、サイズ2のゼラチンゲルカプセル内に置かれる。ゲルカプセル当たりのロサルタンカリウムの用量はこの試験では100mg(すなわち165mgの微粒子)に設定された。このゲルカプセルが薬剤の最終形態を構成する。
【0251】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH1.4(HCl)およびpH6.8(0.05MのKH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図5を参照されたい。
【0252】
溶解プロファイルに対するロサルタンカリウムの用量の影響を調べるために、薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH1.4(KH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で微粒子によるロサルタンの放出が10、25、50、100、150および200mgの有効成分の用量について判定された。図6を参照されたい。
【0253】
溶解プロファイルはロサルタンの用量と無関係である。
【0254】
<実施例5:ロサルタンカリウム微粒子の調製>
120gのエチルセルロース(Ethocel 20、Premium/Dow)、9gのPlasdone K29/32(登録商標)(ISP)、6gのCremophor RH40(BASF)および15gのヒマシ油が60%のイソプロパノールと40%のアセトンからなる混合液中に分散される。この溶液が850gの(実施例1で調製された)ロサルタンカリウム顆粒に吹き付けられる。
【0255】
得られた微粒子は次いで、サイズ2のゼラチンゲルカプセル内に置かれる。ゲルカプセル当たりのロサルタンカリウムの用量はこの試験では100mg(すなわち145mgの微粒子)に設定された。このゲルカプセルが薬剤の最終形態を構成する。
【0256】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH6.8(0.05MのKH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図7を参照されたい。
【0257】
<実施例6:ロサルタンカリウム微粒子を主成分とする錠剤>
実施例4で得られた微粒子165g、280gのラクトース、40gのクロスポビドンおよび15gのステアリン酸マグネシウムがErweka実験室ミキサを使用して一緒に混合される。
【0258】
500mgの上記の混合物の用量を含む錠剤がKorsch錠剤圧縮機を使用して調製される。これらの錠剤が薬剤の最終形態を構成する。
【0259】
このようにして調製された錠剤のpH1.4における生体外溶解プロファイルは実施例4のゲルカプセルのものと同じである。図5を参照されたい。
【0260】
ロサルタンカリウムの放出が遅らされ、約10時間の期間にわたって維持されることが観察される。これはそのような薬剤の投与中に生体吸収の時間を増加させること、および患者の時間生物学に最適に応じることを可能にする。
【0261】
<実施例7:生体内のデータ>
(使用される医薬剤形態)
100mgのCozaar(登録商標)錠剤(商標名) C1
実施例2によるロサルタンの医薬剤形態 M1
実施例4によるロサルタンの医薬剤形態 M2
(試験の説明)
実施例2および4の製剤M1およびM2、および製剤C1が交差試験の期間中に20人の健常ボランティアに対して100mgの用量で1日に1回、朝食後に投与される。ロサルタンと(その主な活性代謝産物である)EXP3174の血漿中濃度が投与の0、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、16、18、20、24、36、48時間後の時間に測定される。
【0262】
(薬物動態の結果)
M1、M2、およびC1の投与後のロサルタンの個々の薬物動態プロファイルが図10、12および8にそれぞれ記述されている。M1、M2、およびC1の投与後の代謝産物EXP3174の個々の薬物動態プロファイルが図11、13および9にそれぞれ記述されている。
【0263】
本発明の状況に含まれない製剤C1がロサルタンおよびその代謝産物のEXP3174に関する血漿中濃度プロファイルの2つの集団(即効型Prと遅効型Ps)に結び付くことに留意されたい。
【0264】
製剤C1がCmaxの極めて広い分散(高い標準偏差)に結び付くことにも留意されたい。
【0265】
他方で、本発明による製剤M1およびM2は遅効型プロファイルの集団Psのみ、および低い標準偏差のCmax値に結び付く。
【0266】
C1、M1およびM2投与後のロサルタンのプロファイルに関して1時間未満および1.5時間未満のTmaxを有する個体の数の分布が下記の表1に与えられる。
【0267】
【表3】
本発明による製剤M1およびM2が、基準の形態C1に相対して短いTmaxを伴う個体の割合を大幅に低減することを可能にすることが見出される。
【0268】
ロサルタン(CmaxとTmax)およびその代謝産物EXP3174(Cmax、Tmax、C24h、Cmax/C24h)の平均の薬物動態パラメータ±SDが下記の表2に与えられる。
【0269】
【表4】
本発明に属さない基準の形態C1に相対して、本発明による製剤M1およびM2は
a)Cmax値の標準偏差を小さくすること、
b)平均ピーク/トラフ変調を小さくすること、
c)ピーク/トラフ変調の標準偏差を小さくすること
を可能にすることが見出される。
【図面の簡単な説明】
【0270】
【図1】実施例2による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図2】実施例2による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH1.4、4.5および6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図3】10mgと200mgの間の範囲のロサルタン用量について実施例2による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図4】実施例3による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH1.4および6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図5】実施例4による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH1.4および6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図6】10mgと200mgの間の範囲のロサルタン用量について実施例4による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH1.4での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図7】実施例5による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図8】本発明の状況に含まれない製剤C1の投与後のロサルタンの個々の薬物動態プロファイルを表す図である。即効型集団Prと遅効型集団Psの存在がこの図8から分かるであろう。
【図9】本発明の状況に含まれない製剤C1の投与後のEXP3174の個々の薬物動態プロファイルを表す図である。即効型集団Prと遅効型集団Psの存在がこの図8から分かるであろう。
【図10】本発明の状況に含まれる実施例2による製剤M1の投与後のロサルタンの個々の薬物動態プロファイルを表す図である。この製剤M1が血漿中濃度プロファイルの単一の遅効型集団Psにつながることが分かるであろう。
【図11】実施例2による製剤M1の投与後のEXP3174の個々の薬物動態プロファイルを表す図である。
【図12】実施例4による製剤M2の投与後のロサルタンの個々の薬物動態プロファイルを表す図である。
【図13】実施例4による製剤M2の投与後のEXP3174の個々の薬物動態プロファイルを表す図である。これらの図全体を通して、溶解プロファイルは時間単位での時間(t)の関数としての溶解したロサルタンの重量パーセントに相当する。
【技術分野】
【0001】
本発明の分野はロサルタンの経口医薬剤形態、また、これに関連する治療および投与方法の分野である。
【背景技術】
【0002】
ロサルタン(またはロサルタンカリウム)はアンギオテンシンII受容体拮抗薬(AT1型)である。これは経口で有効であり、レニン−アンギオテンシン系に作用することによって高血圧の制御に介在する。
【0003】
その化学式は以下の通りである:
{2−ブチル−4−クロロ−1−[4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]ベンジル]−1H−イミダゾール−5−イル}メタノール。
【0004】
医薬剤として有効であって許容されるこの製品のいくつかの塩またはエステルが存在する。したがって、本願明細書全体を通じて「ロサルタン」という用語はロサルタンそれ自体、および/またはこれの少なくとも1つの塩、エステル、または他の医薬剤として許容される形態を意味する。
【0005】
ロサルタンは、その効果を高めるための利尿薬(ヒドロクロロチアジド)と、または他のいずれかの心臓血管活性を有する薬剤と組み合わされることがあり得る。
【0006】
ロサルタンは特に、以下の病態:
・本態性動脈性高血圧、
・タンパク尿を伴うII型の糖尿病の症例における腎不全の治療、
・左心室肥大を伴う高血圧患者の症例における心臓血管の疾病率および死亡率の低減(普通はチアジド利尿薬との組み合わせ)、
・鬱血性心不全、
・腎臓移植患者の赤血球増加症
を治療するために使用される。
【0007】
経口投与されたロサルタンはチトクロムP450酵素系で大規模な初回通過代謝される。ロサルタンは部分的にカルボン酸(EXP3174)へと変換され、これは親分子であるロサルタンよりも強力な活性代謝産物であり、この点においてロサルタンはプロドラッグであると考えられる。
【0008】
上記で与えられる「ロサルタン」の定義は国際公開第03/035039号パンフレット(特許文献1)(3ページ、28行目から4ページ18行目)に述べられた定義によって都合よく補完されることが可能である。
【0009】
本願明細書の目的については、「ロサルタン」という用語はその代謝産物を含めて医薬剤として許容される形態のうちの少なくともいずれか1つの形態のロサルタンを意味する。
【0010】
<問題点>
治療の質および再現性の保証はいずれの医薬剤形態にとっても、特にロサルタンの経口形態にとって主要な必要条件である。
【0011】
しかしながら、ロサルタンの或る種の経口医薬剤形態がこの必要条件を満たさないことがあり、したがって、同じ用量で経口投与される同じ治療形態に関して或る種の患者は適切で有効な治療防護の恩恵を受け、それに対して或る種の他者は不適切に治療され、かつ/またはさらに重大な場合には有害な副作用の犠牲になる。
【0012】
ロサルタンのそのような経口医薬剤形態は一定しない血漿プロファイルに結び付き、すべての患者にとって均一で効果的でかつ許容可能な治療的処置を保証しない。
【0013】
これらの重大な欠点は、1日1回以上投与される可能性のある即時放出型経口医薬剤形態(IRF、immediate−release forms)について認められる。
【0014】
特に、ロサルタンの経口IR医薬剤形態の投与後に得られた血漿の濃度プロファイルが結果として患者のうちの5%から25%で大きい振幅の早期血漿濃度ピークにつながり、それに対して患者のうちの大多数で血漿の濃度ピーク(Cmax)がより遅く起こり、さらに小さい振幅であることが観察されている。挙動のこの顕著な差異は患者を2つの集団、すなわち「即効型」プロファイルを伴う集団(Pr)と「遅効型」プロファイルを伴う第2の集団(Ps)に分類することを可能にする。
【0015】
この抗高血圧薬、ロサルタンの早期で大量の放出と共にこの高いばらつきは重大な結果を有する可能性がある。
【0016】
第1に、早期に極めて大きい振幅の濃度ピークを有する患者は重大な低血圧症を患う可能性がある。
【0017】
第2に、このピーク後の血漿中濃度の早い低下は、2回の投与の間の期間の末期における極めて低いロサルタン濃度レベルによって反映される。したがって、このピークに相当するロサルタンの過剰濃度にさらされた後に、即効型集団Prの患者は2回の投与の間の期間の末期に不十分に治療される。
【0018】
最後に、この高いばらつきにより医師が製剤用量を制限し、或る種の患者は不適切に処置されることがあり得る。
【0019】
これはまた、医薬剤の有用な低用量形態の確立または認可を妨げる可能性もあり、
・これは、先行技術で知られている形態に関して上述のばらつきが理由で、低用量形態が特定の集団、例えば小児のケースについて治療的な値であることを登録当局を満足させる方式(プラセボまたは、基準に対する二重盲検試験まで統計学的有意差を示す)で立証することが不可能であると分かるときであり、
・そのような未解決の問題の別の例は、高血圧の軽度に発現した形態を治療するため、および患者が時々発現する低血圧症の症状、例えば起立性低血圧症を示すことがあり得る場合の低用量抗高血圧薬の問題であり、不適切な過剰の放出により低血圧症の症状発現の危険性を悪化させる危険性が無いことを前提にして低用量ARB形態が示されることが可能である。
【0020】
したがって、特に毎日投与可能な形態に関して、2つの患者集団の存在に伴う血漿中濃度プロファイルの一定しない挙動を回避することを可能にするロサルタンの利用可能な経口医薬剤形態を有することが好都合である。言い換えると、医薬剤形態がロサルタンの大量および/または早期および/または急速な放出を伴わない血漿中濃度プロファイルの均質な集団につながることが有利であろう。この目的はしたがってロサルタンの持続的放出を伴う形態に関する研究とは異なる。
【0021】
さらに、ARB、特にロサルタンは通常、1日1個の割合で錠剤形態で経口投与される。しかしながら、そのような治療が理想的でないことが判明する。特に、動脈圧の意図的な制御が殆どまたは全く得られないか、またはそうでなければ再現性の無い方式で得られることが明らかになる。副作用もやはり時々観察される。
【0022】
内在する問題は特に以下の(1、2、3)である。
【0023】
1)大部分の患者で用量は1日1回で50mgまたは100mgである。しかしながら或る著者は1日2回50mgの用量の摂取が1回100mgの用量の摂取よりもさらに効果的であると述べている(The Angiotensin II type 1 receptor antagonists:a new class of antihypertensive drugs,Bauer et al.,Arch.Inter.Med.1995,155,13,p1361〜1368)(非特許文献1)。
【0024】
したがって患者のうちの約20%については、毎日の例えば100mgの摂取は効果的な治療を可能にせず、1日2回の用量摂取(50mgを2回)が必要である。
【0025】
1日1回投与のこの不完全な性能は、ロサルタンの経口投与の後の患者の動脈圧が活性代謝産物E−3174の血漿中濃度に密接に関係するという事実によって説明される。しかしながら、1日1回用量の摂取のわずか12時間後に、活性代謝産物E−3174の血漿中濃度はすでに極めて低い。特に、E−3174の血漿中濃度の低下は用量摂取の2から4時間以内に起こり、付け加えるとこの低下は急速であり、E−3174の半減期は6〜9時間である。
【0026】
したがって、この薬剤を1日2回投与することが推奨されるであろう。しかしながら、患者のコンプライアンス、したがって治療の効果の点から見て1日当たり数回の摂取を含む投与が最も望ましいものでないことは共通して受け入れられている。
【0027】
したがって生体吸収時間を引き延ばし、薬剤が1日1回のみ投与されることを可能にするロサルタンの調節された放出を伴う利用可能な形態を有することが望ましい。しかしながら、先行技術で知られているそのような形態は以下に概説される問題を引き起こす。
【0028】
2)治療の安全性の確保はロサルタンなどの抗高血圧薬にとって主要な課題である。この理由は、いったん摂取されるとこれが含む有効成分が消化管の中に放出され、吸収窓で生体吸収されるように設計された利用可能な経口薬を有することが基本的に重要であり、そうでない場合には有効成分の用量は正しく吸収されることなく腸管通過によって排泄されるからである。したがって期待される治療効果を生み出さない。ロサルタンの場合では、錠剤を飲んだ患者の動脈圧が引き下げられることはなく、これは梗塞形成の危険性を大幅に高め、したがって患者の生命を危険に置く。
【0029】
文献は持続放出型の胃で保持されるロサルタン錠剤を述べている。この錠剤は幽門が閉じられる(すなわち摂食状態)ときの胃内容排出を阻止するサイズまで胃の中で膨らむ。したがって、有効成分は小腸の上側部分に位置する吸収窓の上流に徐々に放出される。したがってこれは正しく吸収される。
【0030】
しかしながら、無視し得ない割合の患者について幽門の閉塞は不安定である。付け加えて、患者が用量製剤を厳格に順守せず、幽門が閉じる前の食事前もしくは食事開始時に錠剤を摂取すれば、飲んだ錠剤は胃の中に留まらず、生体吸収窓の上流でロサルタンを放出することなく急速に排泄される可能性がある。
【0031】
したがって、これらの持続放出型の胃で保持される形態は信頼性が無く、なぜならば患者が摂食状態であっても絶食状態であってもロサルタンが必ずしも生体吸収されるとは限らないからである。
【0032】
したがって、調節放出型の経口形態が、いったん経口薬が摂取されると患者が摂食状態であっても絶食状態であってもロサルタンが生体吸収されることを保証することが可能であることが不可欠である。
【0033】
3)調節放出型のロサルタンの形態のケースで追加的な問題が生じる。この有効成分は水溶性を有し、これはpHの関数として大幅に変化する(以下の12頁の表参照)。
【0034】
ここで、絶食状態では胃のpHは1.4であり、それに対して食事後では5である。したがって、ロサルタンの放出がpH依存性(腸溶コーティング)、または有効成分の溶解性に依存性のどちらかである調節放出型のロサルタンの形態では放出の動態は患者が絶食しているか否かに極めて依存する可能性がある。
【0035】
したがって、理想的な状況は
・ロサルタンの大量および/または早期および/または急速な放出を伴うことのない血漿中濃度プロファイルの均質な集団につながり、
・1日1回投与されることが可能であり、
・即時放出型の「1日当たり1回用量摂取」の形態よりもさらに効果的であり、
・患者が摂食状態であっても絶食状態であっても、いったん経口医薬剤形態が摂取されるとこれが含む有効成分が消化管の中に放出されて胃腸の吸収窓で生体吸収され、すなわち胃内容排出の個体間のばらつきの有害な効果を制限する(または除外さえする)ことによって血漿中濃度の優れた再現性を可能にするようにされ、
・pHの関数としてのロサルタンの溶解性のばらつきの問題を克服する、
ロサルタンの利用可能な経口医薬剤形態を有することであろう。
【0036】
<先行技術>
一体型構造の経口医薬剤形態および多重微粒子の経口医薬剤形態が知られている。
(一体型構造の形態)
国際公開第98/24411号パンフレット(特許文献2)はブスピロンを使用する治療処置法を述べており、これはブスピロンの生体利用性を高めてその排出、代謝産物の形成、および薬学動態パラメータのばらつきも同様に低減するためにブスピロンと十分量のネファゾドンの両方を含む即時放出型の製剤の形態(例えば錠剤またはゲルカプセル)を経口投与することにある。ブスピロンとネファゾドンのこの組み合わせは、米国特許第5431922号明細書(特許文献3)に記述され、薬学動態パラメータの高い水準のばらつきを誘発する(国際公開第98/24411号パンフレット(特許文献2)の3ページ、7行目から16行目参照)主要な欠点を有するブスピロンの制御型/持続型放出の製剤によって解決されなかった問題を克服するはずである。
【0037】
米国特許第6248359号明細書(特許文献4)はオキシブチニンを使用した尿失禁の治療のための多重錠剤系を開示している。この系は短い時間(例えば6時間未満)にわたってオキシブチニンを放出する第1の錠剤と長時間(18から24時間)にわたってオキシブチニンを放出する第2の錠剤を含む。この系はオキシブチニンによる治療に応答して個体間のばらつきを補償することが可能であると提示される。これらの錠剤は、例えば各々がオキシブチニンの核と数層のコーティングを含む錠剤からなる。
【0038】
国際公開第98/24411号パンフレット(特許文献2)および米国特許第6248359号明細書(特許文献4)による一体型構造の形態はロサルタンに関係しない。
(多重微粒子の形態)
PCT出願国際公開第96/11675号パンフレット(特許文献5)は医薬および/または栄養上の有効成分(AP)の経口投与のためのマイクロカプセルを記述しており、これらは1000μm以下のサイズである。これらのマイクロカプセルは、それ自体が膜形成ポリマー(エチルセルロース)、疎水性可塑剤(ヒマシ油)、界面活性剤および/または潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム)、および含窒素ポリマー(ポリビニルピロリドン:PVP)の混合物からなるコーティング材料で被覆された粒子からなる。これらのマイクロカプセルはまた、小腸内に長時間(少なくとも5時間)留まり、この滞留時間の間、小腸内の自然な通過時間よりも長い期間にわたってAPの吸収を可能にするその能力によって特徴付けられる。
【0039】
国際公開第03/030878号パンフレット(特許文献6)はAPの遅延、制御、および限定された放出のための系を記述しており、製剤形態が腸に入るときにpHの変化を伴わない胃の中での制御された時間後に開始される「時間依存性」の放出、およびpHの上昇によって開始される「pH依存性」の放出というAPの放出の開始の二重のメカニズムによって特徴付けられる。200ミクロンと600ミクロンの間の直径を備えたこれらのマイクロカプセルは、40℃と90℃の間の融点を備えた植物ワックス(Lubritab(登録商標))などの疎水性化合物Bと組合されたEudragit(登録商標)L型の親水性ポリマーAを主成分とするコーティング膜によって特徴付けられ、B/A比は0.2と1.5の間である。
【0040】
これらの知られている経口医薬剤形態全部が、血漿中濃度プロファイルの個体間の再現性の点から見て、2回の用量摂取の間の全時間間隔にわたって早期および大量の放出の危険性の排除および治療的保護を伴って保証を提供するように提示されていない。
【0041】
したがって前記の経口形態は改善される可能性がある。
【0042】
発明者の知識によると、このようにして先行技術は一定しない血漿プロファイルにつながる経口医薬剤形態のこの問題に解決の出発点を提供するべきどのような技術的提案も欠いている。
【特許文献1】国際公開第03/035039号パンフレット
【特許文献2】国際公開第98/24411号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5431922号明細書
【特許文献4】米国特許第6248359号明細書
【特許文献5】国際公開第96/11675号パンフレット
【特許文献6】国際公開第03/030878号パンフレット
【非特許文献1】The Angiotensin II type 1 receptor antagonists:a new class of antihypertensive drugs,Bauer et al.,Arch.Inter.Med.1995,155,13,p1361〜1368
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
これらの観察に基づいて発明人らは以下の目的を設定した。
【0044】
本発明の本質的な目的は先行技術の不十分さおよび欠点を克服することである。
【0045】
本発明の別の本質的な目的は、経口医薬剤形態において、上記の目的のうちの少なくとも1つを満たすため、特に血漿プロファイルの個体間のばらつきを低減するためにロサルタン(ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックス)の放出を制御するための手段の新たな使用を提案することである。
【0046】
本発明の別の本質的な目的は、上記の目的のうちの少なくとも1つを満たすためにロサルタン、ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックスタイプの放出を制御するための手段を含む経口医薬剤形態の新たな使用を提案することである。
【0047】
本発明の別の本質的な目的は、経口医薬剤形態において、投与後の最大血漿の個体間の標準偏差を小さくするためにロサルタン(ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックス)の放出を制御するための手段の新たな使用を提案することである。
【0048】
本発明の別の本質的な目的は、血漿プロファイルの個体間のばらつきを低減するため、特に投与後の最大血漿中濃度の個体間の標準偏差を小さくするためにコーティングのロサルタンまたはロサルタンを含むマトリックスタイプの放出を制御するための手段を含む経口医薬剤形態の新たな使用を提案することである。
【0049】
本発明の1つの本質的な目的は、先行技術で提案されるよりも一層一様で一層再現性のある治療の質へのアクセスを患者それぞれに与えるように使用されるロサルタンの経口医薬剤形態を提供することである。
【0050】
本発明の別の本質的な目的は、血漿プロファイルの最大濃度Cmaxの個体間の標準偏差を小さくするための手段を提案することである。
【0051】
本発明の別の本質的な目的は、特に「即効型」プロファイルの潜在的に危険性を有する集団Prおよび「遅効型」プロファイルの集団Psの2つの血漿プロファイルの集団の出現を回避するために、知られているロサルタンの経口医薬剤形態の血漿プロファイルの個体間のばらつきの低減を可能にするロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0052】
本発明の別の本質的な目的は即効型集団Prを低減または解消さえするための手段を提案することである。
【0053】
本発明の別の本質的な目的は、治療の安全性すなわち或る種の患者での早期および/または大量および/または急速なロサルタンの放出に関する危険性の解消、および2回の用量摂取の間の時間間隔全体にわたる治療的保護の点に関して保証を提供するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0054】
本発明の別の本質的な目的は、ロサルタンの血漿中過剰濃度のどのような危険性に対しても患者を防護し、したがって彼らをどのような薬物治療に関する事故に対しても保護するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0055】
本発明の別の本質的な目的はロサルタンの血漿中濃度のピーク/トラフ比を小さくするための手段を提案することである。
【0056】
本発明の別の本質的な目的は、摂取されると、含まれているロサルタンが消化管の中に放出されて吸収窓で生体吸収されることを可能にするロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0057】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつ少なくとも現在使用中の即時放出型の1日1回の形態と同程度に効果的であるロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0058】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されると、例えば80%を上回る患者に関して治療的に有効であるロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0059】
本発明の別の本質的な目的は、ロサルタンの用量に関係無く生体外での溶解プロファイルを有するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0060】
本発明の別の本質的な目的は、ロサルタンの意図される治療的用量に関係無く同じ重量組成を有するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0061】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつ嚥下に困難を有する患者、特に小児または飲み込むことができないだけでなく投与用量が体重の関数として適合させられる必要もある乳幼児に関して適しているロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0062】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつ同じ経口形態中で1つまたは複数の有効成分とロサルタンの混合の可能性を提供し、様々な有効成分の容易で独立した放出時間の調節の可能性を備えたロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0063】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつロサルタンの局所的過剰濃度による組織の損傷の危険性を制限するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0064】
本発明の別の本質的な目的は、1日に1回投与されることが可能であり、かつpHの関数としてのロサルタンの水溶性のばらつきにかかわらず、患者が絶食していてもそうでなくても同じ動態に従ってロサルタンを放出するロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0065】
本発明の別の本質的な目的は、特に錠剤、小袋、飲用サスペンジョン、ゲルカプセルなどを含めた様々な製剤形態で存在することが可能なロサルタンの経口医薬剤形態を供給することである。
【0066】
本発明の別の本質的な目的は、上記の治療目的のうちの少なくとも1つを満たす経口形態の使用に存する治療方法を供給することである。
【0067】
上記で目標とされたすべての改善はロサルタンの即時放出型経口医薬剤形態に準拠している。
【課題を解決するための手段】
【0068】
この背景で、出願人は功績として、
−以下のことを理解した。
【0069】
・ロサルタンが胃のpHの関数として大幅に変わる溶解性を有すること。
【0070】
・この胃のpHが大きな変動にさらされ、その起源が多様な制御不可能なパラメータ、特に摂食もしくは絶食状態、個体間のばらつき、これらの消化管の状態に影響を及ぼす薬剤の作用などで変えられ、これらによって決まること。
【0071】
−患者毎の治療の質の再現性の欠如は胃のpHに関するロサルタンの溶解性の依存度に関係し、これは同一の個体の中および個体毎で用量摂取の時間の関数として変わり得るという仮説を提唱する。
【0072】
−最後に、この依存性を制限または解消さえするための技術的解決策が推定され、この解決策は、ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックスの使用を推奨することにあり、これは即効型血漿プロファイルの集団Prを低減または解消することさえ可能であり、かつ胃の酸性度に関係無く早期および/または大量および/または急速なロサルタンの放出を回避することが可能であり、これは血漿プロファイルの個体間のばらつきを小さくする性質である。その際、第1に治療の安全性が或る種の患者集団に関してロサルタンの経口投与の有害な影響を阻止することによって改善され、第2に治療の有効性が促進される。
【0073】
したがって本発明は、とりわけ以下を提案することによって上記の目的を達成する。
【0074】
・ロサルタンを含む経口医薬剤形態において、前記ロサルタンを含み、かつ個体の被験体に経口投与されたこの形態がこの個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させる前記ロサルタンの制御された放出を可能にし、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるコーティングまたはマトリックスの使用;および/または
・個体の被験体への経口投与の後にこの個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させ、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させる経口医薬剤形態を製造するための、前記ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックス内に含まれたロサルタンの使用。
【0075】
したがって本発明は、下記の実施例に与えられるものであってもよい実験条件下で医薬剤形態が個体の被験体に経口投与される基準の臨床試験によって規定される。この臨床試験は試験条件下で特定的に得られる薬物動態特性によって本発明を規定する。しかしながら、本発明はこの基準臨床試験の条件下での実施に限定されない。
【0076】
本発明による使用は患者毎の血漿中濃度プロファイルの一定しない性質を低減または解消さえし、その際、
・第1に、APの早期の放出、したがって副作用を伴ってそれにより引き起こされる血漿中の過剰濃度、および
・第2に、2回の用量摂取の間の治療的保護のいずれかのあり得る欠落、
を回避することを可能にする。
【0077】
したがって、本発明による活用および強調される技術的機能は放出時間の延長ではなく、患者に弊害をもたらしかねない治療のばらつきの低減である。したがって、本発明はより良い効果およびさらに高い治療的安全性を確実にすることを可能にする。
【0078】
本発明はまた、ロサルタンの新たな調節放出型の経口医薬剤形態を提案し、これは上述された使用に採用されたもの、および特許請求項(出願時)31または32で規定されたもののうちの1つであってもよい。
【0079】
この医薬剤形態は、いったん摂取されると微小単位が分散され、これらが胃に到達すると個別化されるように設計されることが有利であり、これは摂食状態または絶食状態のどちらでも微小単位の一様で漸進的な胃内容排出、したがって最終的に胃腸の生体吸収窓でのロサルタンの放出を確実にする。
【0080】
本発明の目的に関すると、「分散および個別化される」という用語はロサルタンを主成分とする微小単位が、これらが摂取直後に胃の中に到達するときにマトリックスの中に捕捉されないことを意味する。微小単位は、胃内に到着するとすぐに(例えば2分未満で)胃の中に分散する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
上記で与えられる「ロサルタン」の定義は国際公開第03/035039号パンフレット(3ページ、28行目から4ページ18行目)に述べられた定義によって都合良く補完されることが可能である。
【0082】
本願明細書では、「即時放出型」という用語は比較的短時間のうちのロサルタンの大部分の即時放出形態(Immediate−Release Form(IRF))による放出を意味し、例えば、
・経口摂取の後の1時間、好ましくは30分で少なくとも80%が生体内で放出され、
・または生体外溶解試験において1.4と7.4の間のいずれのpHでもロサルタンの少なくとも80%が1時間、好ましくは30分で放出される。
【0083】
本願明細書の中で考慮されるすべての溶解プロファイルは「Test of dissolution of solid oral forms」という表題のヨーロッパ薬局方第4編の指示に従って、37℃、100rpmで撹拌されるSINK条件下で実施されるタイプIIの溶解試験で作成される。
【0084】
そのようなIRFの例は飲用の標準的な錠剤、分散性の錠剤、噛む錠剤、小袋、およびカプセルを含む。
【0085】
本願明細書で、「制御された放出」という用語は経口医薬剤形態によるロサルタンの放出を意味し、この放出は胃のpHとは無関係に、かつ基準IRF*の「即時放出」製剤よりも低速度で生体内で起こる。そのような制御された放出型の製剤は、例えば即時相と持続放出型段階を含んでもよい。制御された放出型の製剤はこの分野でよく知られており、例えばRemingtonのThe science and practice of pharmacy、19th edition、Mack publishing Co.Pennsylvania、USAを参照されたい。制御された放出は特に、持続および/または制御、または遅延された放出であることさえあり得る。
【0086】
本願明細書で、「調節された放出」という用語は医薬剤製剤によるロサルタンの放出を意味し、この放出は飲用の標準的な錠剤またはゲルカプセルなどの基準IRF*の「即時放出型」製剤よりも低速度で起こる。そのような調節された放出の製剤は、例えば即時放出型段階と持続放出型段階を含んでもよい。そのような調節された放出の製剤はこの分野でよく知られており、例えばRemingtonのThe science and practice of pharmacy、19th edition、Mack publishing Co.Pennsylvania、USAを参照されたい。
【0087】
本発明の中で考慮される薬物動態パラメータは以下の方式で規定される。N個体の被験体への医薬剤形態の経口投与の後に、各々の患者に対して個々の血漿中濃度プロファイルが測定され、これらから通例の個別薬物動態パラメータであるTmax、Cmax、C24hが導き出される。
【0088】
・Tmaxは、血漿中濃度が最大値Cmaxに達する時間である。
【0089】
・C24hは投与の24時間後の血漿中濃度である。
【0090】
これらの個々のパラメータから、当業者は慣習的にこれらのパラメータの平均値と標準偏差を計算する。これらのパラメータの考察に関連するさらなる詳細は書物:Pharmacokinetics and Pharmacodynamic Data Analysis 3rd ed.、J.Gabrelsson et al.、Kristianstads Bocktryckeri AB、Sweden、2000に見出されるであろう。
【0091】
胃のpHは、pH1.2からpH5.5のpH範囲にわたって内因的に変わり得る程度である。この変動は同一の個体に関して、特に摂食状態かまたは絶食状態かによって、および個体毎に観察される。付け加えると、或る種の患者は「人為的に」胃のpHを変える薬剤で治療することもできる。これは、例えばプロトンポンプ阻害薬(例えばオメプラゾール)または制酸薬の場合である。
【0092】
出願人は、その功績で、その溶解性が胃のpHに大幅に依存するロサルタンが患者毎の一定しない血漿中濃度プロファイルにつながることに気付いた。
【0093】
出願人はこの現象に関して十分な説明を提供することはできないが、血漿中濃度プロファイルのこのばらつきが胃のpHの関数としてのロサルタンの溶解性の変動から結果として生じると提唱されることが可能である。この理由は、吸収されるためにロサルタンは先ず最初に溶解される必要があることである。この溶解段階はしたがって胃のpHに大きく依存する。したがって、ロサルタンの同じ用量について、かつ患者の胃のpHに従って、ロサルタンはいくらかの患者では十分かつ急速に溶解され、反対に他の患者では胃の中で溶解されない。
【0094】
したがって、その溶解性が胃のpHに大幅に依存するロサルタン(下記の表参照)については溶解、したがって最終的には血漿中濃度プロファイルは個体毎および同一の個体に関して1日毎に大きな変動にさらされると考えられる。
【0095】
【表1】
したがって下記の実施例7に示されるように、20個体の被験体に100mgの用量で投与されたロサルタンの従来式のIRFは個体毎に10を上回る因数(70から800ng/ml)で変わるCmaxにつながる。
【0096】
血漿中濃度プロファイルのこの一定しない性質は参照される実施例にあるように2つのプロファイル集団、すなわち即効型集団(Pr)と遅効型集団(Ps)の出現によって反映される可能性がある。
【0097】
即効型集団については、ロサルタンの早期の放出は以下の3つの極めて有害な結果を有する。
【0098】
(a)即効型集団の患者はロサルタンの早期の血漿中過剰濃度に付随して低血圧症などの危険な副作用にさらされる可能性がある。
【0099】
(b)これらの危険性の存在は製剤される用量が制限されることにつながり、これは或る種の患者から適切な治療を奪うことになりかねない。
【0100】
(c)即効型プロファイルについては、2回の投与の間の時間的間隔の末期に血漿中濃度が極めて低い。これらの患者の治療的保護はしたがって不十分である。
【0101】
本発明の目的に関すると、「即効型集団Pr」という用語は、摂食状態でロサルタンのIRFの投与後にTmaxが1.5時間未満の全ての個体を意味する。この即効型集団Prについては、ロサルタンの最大血漿中濃度は早期に到達され、概して高い値をとる。
【0102】
したがって、本発明の本質的要素のうちの1つは、個体の被験体に経口投与された医薬剤形態が個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させ、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のよりばらつきを確実低下させるようにロサルタンの制御された放出を管理するように設計されたコーティングまたはマトリックスに含まれたロサルタンを含む経口医薬剤形態を治療目的のために使用すること、または使用を提案することにある。
【0103】
この標準偏差の減少因数(f)はIRF*形態のCmaxの標準偏差の、これに対応する本発明に従った使用に関する形態の標準偏差に対する比で規定される。
【0104】
Cmaxの個体間標準偏差に関する減少因数(f)は、f≧1.2、好ましくはf≧1.75、さらに優先的にはfが2.5と20の間にあるようにされることが好ましい。
【0105】
そのような経口医薬剤形態を製造するための前記コーティングまたは前記マトリックスの使用もやはり本発明によって目標とされる。
【0106】
前記使用が関係する経口医薬剤形態もやはり本発明の十分に成熟した対象である。
【0107】
したがって出願人は、その功績で、制御された放出型の膜内においてロサルタンをコーティングすること、または制御された放出型のマトリックス内にロサルタンを含ませることが個体毎のロサルタンの放出プロファイルの一定しない性質を解消または低減することを可能にすることを見出した。
【0108】
本発明は、それ自体で1日に1回投与されることが可能であるが血漿中プロファイルのこの一定しない挙動が難点であるロサルタンの使用を最適化するために特に重要であると思われる。したがって、本発明の目的は主として放出時間の延長ではなく、とりわけ、患者に弊害をもたらしかねない治療のばらつきの低減である。したがって本発明はより良い効果と治療の安全性を保証することを可能にする。
【0109】
要約すると、出願人の発明の功績は本質的に、胃のpHに従ったロサルタンの溶解性のばらつき、および胃のpHのばらつきの問題を明確に認識して対処するという事実に基づいている。これらの漠然とした要因から出発して、出願人はこれらの要因の影響を制限するための知られている一般的な手段の新規的で発明となる使用を提案した。これらの手段はロサルタンに関するコーティング膜または含有マトリックスである。これらはたとえロサルタンの溶解性が高くなるような胃のpHをもつ患者のケースでさえ胃の中での急速で早期の放出を阻止する。
【0110】
本発明の別の好都合な形態によると、医薬剤形態はすべてのタイプ(例えば錠剤、ゲルカプセル、粉末もしくは液体の体積単位)の1つまたは複数の用量単位で毎日投与されてもよいが、錠剤のうちの少なくとも1つが有効成分の即時放出性(6時間未満)を備えた錠剤であり、かつ錠剤のうちの少なくとも1つが同じ有効成分の持続放出性(18から24時間)を備えた錠剤である、用量摂取当たり数個の錠剤を含む系は除外される。
【0111】
ロサルタン顆粒上へのコーティングおよび/またはマトリックス内へのロサルタンの含有の使用はpHの関数としてのロサルタンの溶解性のばらつきを低下させることを可能にする。したがって、1と3の間のpHで溶解性は10の因数で変化するのに対して、本発明に従った使用による製剤はpHに殆どまたは全く影響されない、ロサルタン(D、%)に関する(時間単位の)時間Tの関数としての生体外の放出プロファイルを得ることを可能にする(添付の図2参照)。
【0112】
このコーティングまたはマトリックスは、第1にロサルタンのどのような早期および/または大量および/または急速な放出も回避し、その後にロサルタンのどのような有害な血漿中過剰濃度も回避し、第2に2回の用量摂取の間の治療的保護を確実にするためにロサルタンの制御された放出を可能にするように設計されることが有利である。
【0113】
本発明に従った使用によると、医薬剤形態のこのコーティングまたはマトリックスは個体の被験体へのこの形態の経口投与が、ロサルタンの即時放出型形態の同じ用量を投与した同一の個体の被験体に関する代謝産物EXP3174の平均ピーク/トラフ変調よりも小さい代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルの平均ピーク/トラフ変調が低下するように設計される。
【0114】
本発明の目的に関すると、血漿中濃度プロファイルの平均ピーク/トラフ変調は代謝産物EXP3174に関するCmax/C24h比の平均によって規定される。
【0115】
本発明に従った使用によると、医薬剤形態のこのコーティングまたはマトリックスは個体の被験体へのこの形態の経口投与が、ロサルタンの即時放出型形態の同じ用量を投与した同一の個体の被験体に関する代謝産物EXP3174の平均ピーク/トラフ変調のばらつきよりも少ない代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルの平均ピーク/トラフ変調のばらつきにつながるように設計される。
【0116】
本発明の目的に関すると、血漿中濃度プロファイルの平均ピーク/トラフ変調のばらつきは代謝産物EXP3174に関するCmax/C24h比の標準偏差によって規定される。
【0117】
得られる血漿中プロファイルはさらに一様である。それらの個体間のばらつきは低減される。
【0118】
強調する方式で本発明は以下を提案する。
【0119】
・ロサルタンを含む経口医薬剤形態において、(例えば摂食状態にある)個体の被験体に経口投与されたこの医薬剤形態が1時間以下、好ましくは1.5時間以下のTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの数の減少もしくは消失、1時間を超える、好ましくは1.5時間を超えるTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの利得につながり、これが同じ用量で(例えば摂食状態にある)この同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるように前記ロサルタンを含んでロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスの使用、
・または(例えば摂食状態にある)個体の被験体への経口投与の後に、1時間以下、好ましくは1.5時間以下のTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの数の減少もしくは消失、1時間を超える、好ましくは1.5時間を超えるTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの利得につながり、これが同じ用量で(例えば摂食状態にある)この同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させる医薬剤形態の製造のための、ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスに含まれたロサルタンの使用。
【0120】
本発明に従って使用されるロサルタンの制御された放出形態と即時放出型形態(IRF*)の比較、特にそれらの標準偏差の薬物動態パラメータの比較が或る数の、例えば15以上、好ましくは20以上の患者に同じ条件下および同じロサルタン用量で実施される。
【0121】
1つの変形例によると、本発明は
・ロサルタンを含む経口医薬剤形態における、個体の被験体へのこの医薬剤形態の投与中の血漿中プロファイルのばらつきを同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されるロサルタンの即時放出型医薬品形態IRF*に相対して低減し、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型を備えた医薬剤形態IRF*に相対して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させる、前記ロサルタンを含むコーティングまたはマトリックスの使用、
・または個体の被験体へのこの医薬剤形態の投与中の血漿中プロファイルのばらつきの、同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されるロサルタンの即時放出型形態IRF*を備えた医薬品形態に相対した低減につながり、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型を備えた医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させる医薬剤形態の製造のための、コーティングまたはマトリックスの中に含まれたロサルタンの使用、
にもやはり向けられる。
【0122】
本発明に従った使用において目標とされる医薬剤形態は微小単位の形態のロサルタンを含むことが可能であり、これらは特に、
・それぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる微粒子(これ以降被覆微粒子とも称される)、
・および/またはそれぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる微細顆粒(これ以降マトリックス微細顆粒とも称される)、
・および/または即時放出型のロサルタン微細顆粒、
であってもよい。
【0123】
本発明に従った使用において目標とされる医薬剤形態は当業者に知られている形態のいずれか、すなわち、特にゲルカプセル、小袋、ロサルタンの微小単位を含むサスペンジョン、または錠剤であってもよい。
【0124】
これらの錠剤は、
・(i)ロサルタンの微小単位を含む錠剤か、
・(ii)またはそれぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる遊離の微粒子、および/またはそれぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる遊離の微細顆粒の錠剤、
であってもよい。
【0125】
これらの錠剤(ii)はマトリックスの錠剤または個々に被覆された錠剤であることが可能である。
【0126】
ロサルタンの微小単位(制御された放出型の被覆微粒子および/またはマトリックス微細顆粒または即時放出型微細顆粒)は平均直径(Dm、μm)で1000未満、好ましくは50と800の間、さらに優先的には50と500の間を有することが好ましい。
【0127】
本発明に従った使用において意図される経口医薬剤形態は、用量摂取の後に以下、すなわち
Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
好ましくは 1.5×Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
さらに優先的には2.0×Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*、
(ここで
・C24hは用量摂取24時間後のロサルタンの活性代謝産物EXP3174の平均血漿中濃度を表し、
・C24h*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でC24hと同じ条件下で得られるEXP3174の平均血漿中濃度を表し、
・Cmaxは用量摂取後のEXP3174の平均最大血漿中濃度を表し、
・Cmax*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でCmaxと同じ条件下で得られるEXP3174の平均最大血漿中濃度を表す。)
のように規定される血漿中プロファイルを得ることを可能にすることが有利である。
【0128】
第1の実施形態によると、この経口医薬剤形態は被覆されたまたはマトリックスの微粒子を含み、投与後の時間t(70%)(この時間後にロサルタンのうちの70%が放出される)が1時間と24時間の間、好ましくは2時間と12時間の間、さらに優先的には2時間と8時間の間になるように生体外溶解プロファイル[D%(t)]を有する。
【0129】
この第1の実施形態の1つの都合の良い特徴によると、2時間とt(70%)の間、好ましくは1時間とt(70%)の間のいずれの時間tについても溶解した(放出された)ロサルタンの割合[D%(t)]≧35×t/t(70%)である。
【0130】
第1の実施形態による経口医薬剤形態は、溶解試験での生体外のロサルタンの放出速度がpHと無関係であることを特徴とすることが好ましい。
【0131】
さらに特定して関係するpHの値は胃の中の生理学的pHであり、例えば1から7の範囲である。
【0132】
第1の実施形態による微粒子の個々のコーティングまたは個々のマトリックスの組成は以下の2つの群AおよびBのうちの1つに相当することが有利である。
【0133】
(A群)
A−1:消化管の流体に不溶性であり、コーティング組成物の合計質量に対して50から90、好ましくは50から80の比率(固体の重量%)で存在し、特に少なくとも1つの非水溶性セルロース誘導体を含む少なくとも1つの膜形成ポリマー(P1);
A−2:コーティング組成物の合計質量に対して固体が重量で2から25、好ましくは5から15の比率で存在(固体の重量%)し、少なくとも1つのポリアクリルアミドおよび/または1つのポリ−N−ビニルアミドおよび/または1つのポリ−N−ビニルラクタムからなる少なくとも1つの含窒素ポリマー(P2);
A−3:コーティング組成物の合計質量に対して固体が重量で2から20、好ましくは4から15の比率で存在(固体の重量%)し、以下の化合物、すなわちグリセロールエステル類、フタル酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、セチルアルコールエステル類、ヒマシ油のうちの少なくとも1つからなる少なくとも1つの可塑剤;
A−4:コーティング組成物の合計質量に対して固体が重量で2から20、好ましくは4から15の比率で存在(固体の重量%)し、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤および/または潤滑剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤および/または潤滑剤;であり、前記薬剤は上述の製品のうちの1つのみ、または混合物を含むこともあり得る。
【0134】
化合物A−1、A−2、A−3およびA−4の例が以下に引用される。
【0135】
A−1:エチルセルロースおよび/または酢酸セルロース;
A−2:ポリアクリルアミドおよび/またはポリビニルピロリドン;
A−3:ヒマシ油;
A−4:脂肪酸、好ましくはステアリン酸および/またはオレイン酸のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩、ソルビタンのポリオキシエチレン化されたエステル、ポリオキシエチレン化されたヒマシ油の誘導体、ステアリン酸塩、好ましくはカルシウム、マグネシウム、アルミニウムまたは亜鉛のステアリン酸塩。
【0136】
(B群)
B1:胃腸管の流体に不溶性である少なくとも1つの膜形成ポリマー、
B2:少なくとも1つの水溶性ポリマー、
B3:少なくとも1つの可塑剤、
B4:場合によっては、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤および/または少なくとも1つの非イオン性界面活性剤からなることが好ましい少なくとも1つの界面活性剤/潤滑剤。
【0137】
化合物B1、B2、B3およびB4の例が以下に引用される。
【0138】
B1:
非水溶性のセルロース誘導体、エチルセルロースおよび/または酢酸セルロースが特に好ましい、
アクリル酸誘導体、
ポリ酢酸ビニル、
およびこれらの混合物。
【0139】
B2:
水溶性セルロース誘導体、
ポリアクリルアミド、
ポリ−N−ビニルアミド、
ポリ−N−ビニルラクタム、
ポリビニルアルコール(PVA)、
ポリオキシエチレン(POE)、
ポリビニルピロリドン(PVP)(後者が好ましい)、
およびこれらの混合物。
【0140】
B3:
グリセロールおよびそのエステル、以下の下位群、すなわちアセチル化されたグリセリド、グリセリルモノステアレート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレートが好ましい、
フタル酸エステル、以下の下位群、すなわちフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチルが好ましい、
クエン酸エステル、以下の下位群、すなわちクエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチルが好ましい、
セバシン酸エステル、以下の下位群、すなわちセバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチルが好ましい、
アジピン酸エステル、
アゼライン酸エステル、
安息香酸エステル、
植物油、
フマル酸エステル、好ましくはフマル酸ジエチル、
リンゴ酸エステル、好ましくはリンゴ酸ジエチル、
シュウ酸エステル、好ましくはシュウ酸ジエチル、
コハク酸エステル、好ましくはコハク酸ジブチル、
酪酸エステル、
セチルアルコールエステル、
サリチル酸、
マロン酸エステル、好ましくはマロン酸ジエチル、
ヒマシ油(これが特に好ましい)、
およびこれらの混合物。
【0141】
B4:
脂肪酸、好ましくはステアリン酸および/またはオレイン酸のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩、
ポリオキシエチレン化された油、好ましくはポリオキシエチレン化された水素化ヒマシ油、
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、
ポリオキシエチレン化されたソルビタンエステル、
ポリオキシエチレン化されたヒマシ油の誘導体、
ステアリン酸塩、好ましくはカルシウム、マグネシウム、アルミニウムまたは亜鉛のステアリン酸塩、
ステアリルフマル酸エステル、好ましくはステアリルフマル酸ナトリウム、
グリセリルベヘネート、
およびこれらの混合物。
【0142】
このコーティングは、その質量が微粒子の合計質量のうちの重量で1%から50%、好ましくは重量で5%から40%に相当するただ1つの被覆からなることが好ましい。
【0143】
本発明に従った第1の実施形態による微粒子を得るための組成および方法の他の詳細および例は国際公開第03/084518号パンフレットに与えられており、その内容は本願明細書に参照で組入れられる。
【0144】
群A1およびA2のコーティング組成物に関するさらなる定性的および定量的詳細については参照は欧州特許第0709087号明細書および国際公開第2004/010984号パンフレットにそれぞれ為され、その内容は本願明細書に参照で組入れられる。
【0145】
第2の実施形態によると、この経口医薬剤形態は第1に被覆微粒子および/またはマトリックスの微粒子を含み、第2に、
−ロサルタンの放出が2つの異なる開始メカニズム、すなわち1つはpH変化に基づき、他方は胃の中での所定の滞留時間の後にロサルタンの放出を可能にするメカニズムによって管理され、
−一定のpH1.4で、溶解プロファイルが7時間以下、好ましくは5時間以内、さらに優先的には1時間と5時間の間続く遅滞期を含み、
−およびpH1.4からpH7.0への経過がいずれの遅滞時間も伴わずに始まる放出段階につながる
ようにされる。
【0146】
この第2の様式による経口医薬剤形態は生体外溶解試験で測定したときに下記に示されるような溶解プロファイルを有することが有利である。
【0147】
・ロサルタンのうちの20%未満がpH1.4で2時間後に放出され、
・ロサルタンのうちの少なくとも50%がpH1.4で16時間後に放出される。
【0148】
他の好ましい特徴によると、この第2の様式による経口医薬剤形態はその開始pHが6.0と6.5の間(両端を含む)にある制御された放出型ロサルタン微粒子を含む。
【0149】
第2の実施形態による制御された放出型ロサルタン微粒子は以下の特異的な特徴を有することが有利である。
【0150】
−ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスが、
・−中性pHでイオン化される化学基を担持する少なくとも1つの親水性ポリマーIと、
−少なくとも1つの疎水性化合物IIとを含み、
・質量画分(微粒子の合計質量に相対した重量%)≦40を示す複合材料を含み;および
−これらの平均直径は1000μm未満、好ましくは50μmと800μmの間、さらに優先的には50μmと500μmの間である。
【0151】
他の都合の良い特徴によると、ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスの複合材料I−IIは、
−重量比II/Iが0.2と1.5の間、好ましくは0.5と1.0の間であり、
−および疎水性化合物IIが、固体の形態の結晶であって融点TfII≧40℃、好ましくはTfII≧50℃、さらに優先的には40℃≦TfII≦90℃を有する製品から選択されるようにされる。
【0152】
1つの好ましい実施形態によると、親水性ポリマーIは、
−I.a:(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの共重合体およびこれらの混合物;
−I.b:セルロース誘導体、好ましくは酢酸セルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セルロース、およびこれらの混合物、さらに優先的にはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびこれらの混合物;
−およびこれらの混合物
から選択される。
【0153】
なおもさらに好ましいポリマーIは(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(例えばC1〜C6アルキル)の共重合体である。これらの共重合体は、例えば、Rohm Pharma Polymers社によって登録商標EudragitのL系およびS系で市販されているタイプ(例えばEudragit(登録商標)L100、S100、L30D−55およびL100−55)である。これらの共重合体は胃の中で遭遇するよりも高いpHで水性媒質に溶解性であるアニオン性の腸溶性共重合体である。
【0154】
好ましい実施形態にさらに従うと、化合物IIは製品の以下の群から選択される。
【0155】
II.a:単独または相互混合物として服用される植物ワックス、
II.b:単独または相互混合物として服用される水素化植物油、
II.c:少なくとも1つの脂肪酸のグリセリルモノ−および/またはジ−および/またはトリエステル、
II.d:少なくとも1つの脂肪酸のグリセリルモノエステル、ジエステル、およびトリエステルの混合物、
II.e:およびこれらの混合物。
【0156】
化合物IIは製品の以下の群、すなわち水素化綿実油、水素化大豆油、水素化ヤシ油、グリセリルベヘネート、水素化ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチン、黄蝋、坐剤の基剤として有用な硬質の脂肪質物質または脂肪、無水の乳製品脂肪、ラノリン、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルステアレート、ラウリルマクロゴールグリセリド、セチルアルコール、ポリグリセリルジイソステアレート、ジエチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノステアレート、オメガ3、およびこれらのいずれかの混合物から、
好ましくは製品の以下の下位群、すなわち水素化綿実油、水素化大豆油、水素化ヤシ油、グリセリルベヘネート、水素化ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチン、およびこれらのいずれかの混合物から選択されることがなおもさらに好ましい。
【0157】
実際には、これは限定ではないが、化合物IIは
−以下の商標名で市販されている製品の群、すなわちDynasan(登録商標)、Cutina(登録商標)、Hydrobase(登録商標)、Dub(登録商標)、Castorwax(登録商標)、Croduret(登録商標)、Compritol(登録商標)、Sterotex(登録商標)、Lubritab(登録商標)、Apifil(登録商標)、Akofine(登録商標)、Softtisan(登録商標)、Hydrocote(登録商標)、Livopol(登録商標)、Super Hartolan(登録商標)、MGLA(登録商標)、Corona(登録商標)、Protalan(登録商標)、Akosoft(登録商標)、Akosol(登録商標)、Cremao(登録商標)、Massupol(登録商標)、Novata(登録商標)、Suppocire(登録商標)、Wecobee(登録商標)、Witepsol(登録商標)、Lanolin(登録商標)、Incromega(登録商標)、Estaram(登録商標)、Suppoweiss(登録商標)、Gelucire(登録商標)、Precirol(登録商標)、Emulcire(登録商標)、Plurol diisostearique(登録商標)、Geleol(登録商標)、Hydrine(登録商標)、Monthyle(登録商標)、およびこれらの混合物から;
−および同様に以下のような記号の添加物の群、すなわちE901、E907、E903、およびこれらの混合物から;
−好ましくは以下の商標名で市販されている製品の群、すなわちDynasan(登録商標)P60、Dynasan(登録商標)114、Dynasan(登録商標)116、Dynasan(登録商標)118、Cutina(登録商標)HR、Hydrobase(登録商標)66〜68、Dub(登録商標)HPH、Compritol(登録商標)888、Sterotex(登録商標)NF、Sterotex(登録商標)K、Lubritab(登録商標)、およびこれらの混合物から
選択されることが好ましい。
【0158】
本発明の他の有利な特徴によると、ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスはタルクを含まない。
【0159】
必須の構成要素IおよびIIに加えて、微粒子のコーティングまたはマトリックスは当業者に知られている他の標準的な成分、特に
・染料、
・可塑剤、例えばセバシン酸ジブチル、
・親水性化合物、例えばセルロースとその誘導体、またはポリビニルピロリドンとその誘導体、
・およびこれらの混合物、
などを含むことが有利である。
【0160】
これは限定ではないが、なおもさらに好ましい実施形態によると、被覆された制御された放出型ロサルタン微粒子のコーティングは1層のみの複合コーティング膜I−IIを含む。
【0161】
本発明の第2の実施形態による微粒子を得るための組成物および方法の他の詳細および例は国際公開第03/030878号パンフレットに与えられており、その内容は本願明細書に参照で組入れられる。
【0162】
定量的な表現では、コーティング単層は微粒子の重量で例えば40%以下、好ましくは30%以下を意味する。そのような限定されたコーティング含有量は、嚥下に関して妨げとなるサイズを超えることなく各々が高い用量のロサルタンを含む製剤単位を製造することを可能にする。それによって治療のコンプライアンス、したがって治療の成功は疑う余地なく改善される。
【0163】
第3の実施形態によると、この経口医薬剤形態は微粒子の少なくとも2つの集団を含む。制御された放出型ロサルタン微粒子の各々の集団は上記に提示された第1または第2の実施形態によるものであってもよい。
【0164】
第3の実施形態と組み合わされた第2の実施形態の1つの変形例−2i−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は1.4と7.4の間の少なくとも1つのpHで異なる溶解プロファイルを有する少なくとも2つの微粒子の集団を含む。
【0165】
第3の実施形態と組み合わされた第2の実施形態の1つの変形例−2ii−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態はそれぞれの開始pHが異なる制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも2つの集団を含む。
【0166】
第3の実施形態と組み合わされた第2の実施形態のさらに別の変形例−2iii−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態はそれぞれの開始時間で異なる制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも2つの集団を含む。
【0167】
第4の実施形態によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団および即時放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団を含む。
【0168】
第4の実施形態と組み合わされた第2の実施形態の1つの変形例−2iv−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は、
・即時放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団;
・制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団P1;および
・制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団P2;
を含み、さらに、P1およびP2のそれぞれの開始pH値は少なくとも0.5pH単位、好ましくは少なくとも0.8pH単位、さらに優先的には少なくとも0.9pH単位異なる。
【0169】
制御された放出型のロサルタン微粒子の様々な集団のそれぞれの開始pH値は5と7の間であることが好都合である。
【0170】
第4の実施形態と組み合わされた第2の実施形態の1つの変形例−2v−によると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は、
・即時放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団;
・制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団であってその開始pH値が5.5に等しい集団P1’;および
・制御された放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団であってその開始pH値が6.0と6.5の間(両端を含む)にある集団P2’;
を含む。
【0171】
第2の実施形態の変形例−2iv−および−2v−の集団P1、P2、P1’、およびP2’は第2の実施形態に従って得られる制御された放出型のロサルタン微粒子を含む。
【0172】
即時放出型のロサルタンの微小単位が本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態の中に存在する本発明の変形例を具体的に示すために、これらの変形例が、この医薬剤形態が例えば即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団を含む場合に相当することが指摘されてもよい。
【0173】
第1の実施形態に従った使用で実施される経口医薬剤形態が制御された放出型のロサルタン微粒子を含む場合、pH1とpH5の間の前記微粒子の溶解プロファイルは算出された類似度因子f2によると、FDAの指示するSUPAC−MR−Modified Release Solid Oral Dosage Formsに示されるものと同様であり、すなわち即座にf2≧50%である。
【0174】
本発明に従った使用で採用される経口医薬剤形態はロサルタン以外の少なくとも1つの有効成分を含んでもよい。略語APはこれ以降、区別なくロサルタン以外の1つまたは複数の有効成分を意味する。
【0175】
APの生体内または生体外の放出は持続放出型であっても制御型であってもよい。APは、APの即時放出型を備えた微細顆粒タイプの微小単位の中、またはAPの制御された放出を備えた微粒子の中に含まれてもよい。
【0176】
このAPは、とりわけ、利尿薬、ベータ遮断薬、阻害薬、ナトリウムチャンネル遮断薬、アルファ遮断薬、アルファ−ベータ遮断薬、血管拡張薬、アルファ拮抗薬、およびアドレナリン作動性ニューロン遮断薬を含む群から選択してもよい。
【0177】
これらの付加的なAPに関するさらなる詳細については、例えば国際公開第03/035039号パンフレットの4ページ19行目から4ページ31行目の一節に参照が為されることが可能である。
【0178】
上記の目標とされる被覆微粒子はいくつかの構造を有することが可能である。
【0179】
したがって、被覆微粒子の構造の第1の形態によると、経口医薬剤形態の制御された放出型ロサルタン微粒子のうちの少なくともいくつかは、
・ロサルタンを含むコアおよび
・コアを覆って前記ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティング
を各々が含む。
【0180】
被覆微粒子の構造の第2の形態によると、経口医薬剤形態の前記制御された放出型ロサルタン微粒子のうちの少なくともいくつかは、
・・中性のコアおよび
・ロサルタンを含んで中性のコアを被覆する少なくとも1つの活性層を含むコア、
・およびコアを覆って前記ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティング
を各々が含む。
【0181】
微小単位の中のロサルタンの割合(微小単位の合計質量に相対した固体の重量パーセントで表される)は5と80の間、好ましくは10と75の間、さらに優先的には15と70の間であることが有利である。
【0182】
1つの可能性によると、即時放出型のロサルタン微細顆粒は制御された放出型ロサルタン微粒子の未コーティングのコアである。
【0183】
前に示されたように、本発明は上記で概して述べられた中でも経口医薬剤形態の特定の群にもやはり向けられる。この特定の群の医薬剤形態は被覆ロサルタン微粒子から形成された微小単位を含む形態である。この特定の群の各々の医薬剤形態は特許請求項(出願時)31または32に特徴付けられるようなロサルタンの調節放出型経口医薬剤形態である。
【0184】
請求項(出願時)31に権利主張されるこの医薬剤形態は、いったん摂取されると微小単位が分散し、それらが胃に到達すると個別化され、これが、摂食状態または絶食状態のどちらかで微小単位の一様で漸進的な胃内容排出、したがって最終的に胃腸の生体吸収窓でのロサルタンの放出を確実にするように設計される。
【0185】
請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態の説明の文脈において、
・微小単位は
・ロサルタンの調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆された微粒子、および
・即時放出型ロサルタン微細顆粒を意味し、
・それぞれ、ロサルタンを含み、かつロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる微細顆粒(これ以降マトリックスの微細顆粒とも称される)を例外とし、
・「分散および個別化された」という表現は、摂取直後に胃の中に入るとロサルタンを主成分とする微小単位がマトリックスの中に捕捉されないことを意味する。これらの微小単位は胃内に到着するとすぐに(例えば2分未満で)胃の中で分散状態になる。
【0186】
請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態の利点は特に以下である。
【0187】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、いったんこの経口医薬剤形態が摂取されると、それが含むロサルタンが消化管の中に放出されて消化管の吸収窓に生体吸収されることを確実にする。
【0188】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、いったんこの経口医薬剤形態が摂取されると、それが含むロサルタンが放出されることなく生体吸収窓の前を通り過ぎないことを確実にする。
【0189】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、いったんこの経口医薬剤形態が摂取されると、それが含むロサルタンが幽門の開閉状態と無関係に放出されることを確実にする。
【0190】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は現在使用されている即時放出型で1日1回の形態と少なくとも同程度に効果的である。
【0191】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、胃内容排出、および最終的にロサルタンとその活性代謝産物E3174の生体内での吸収の個体間のばらつきの現象にさらされないか、または極めてわずかにさらされるのみである。
【0192】
・ロサルタンのこの経口医薬剤形態は1日に1回投与されると、例えば80%を超える患者に治療として効果的である。
【0193】
・1日に1回投与されてもよく、かつ調節放出型のロサルタン微小単位を含むロサルタンのこの経口医薬剤形態は、これらの微小単位の小さいサイズ(50〜1000μm)と多い数(例えば用量当たり数千個)から利点の一部を引き出し、これは患者による食物の摂取と無関係に漸進的で良好に制御された胃内容排出を可能にする。
【0194】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、ロサルタンのTmax、および同様にロサルタンが治療的に無効になる血漿中基線ロサルタン濃度よりも血漿中ロサルタン濃度が高くなる期間を増加させることを可能にする。
【0195】
・ロサルタンのこの経口医薬剤形態はロサルタンの用量と無関係の生体内の溶解プロファイルを有する。
【0196】
・ロサルタンのこの経口医薬剤形態は同じ重量組成を有し、この組成が含むロサルタンの用量と無関係である。
【0197】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、嚥下に困難を有する患者、特に飲み込むことができないだけでなく投与用量が体重の関数として適合させられる必要もある小児または乳幼児に関して適している。
【0198】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は同じ経口形態中で1つまたは複数の他の有効成分とロサルタンの混合の可能性を提供し、これらの様々な有効成分のそれぞれの放出時間は互いと無関係に容易に調節されることが可能である。
【0199】
・1日に1回投与されてもよいロサルタンのこの経口医薬剤形態は、pHの関数としての水中へのロサルタンの溶解性のばらつきに関係無く、患者が絶食していてもそうでなくても同じ動態に従ってロサルタンを放出することが可能である。
【0200】
・ロサルタンのこの経口医薬剤形態は、特に錠剤、小袋、飲用サスペンジョン、ゲルカプセルなどを含めた様々な製剤形態で存在することが可能である。
【0201】
・本発明によるこの経口製剤形態は多数(例えば約千から数千)の微小単位(ロサルタンの微粒子または微細顆粒)からなり、この多重度は統計学的に、消化管全域にわたるロサルタンの通過動態の優れた再現性、したがって生物学的利用能の優れた制御およびより良い効果を確実にする。
【0202】
・異なる調節放出プロファイルを有する微粒子の混合物の使用はいくつかの放出の波動を有する放出プロファイルを作り出すことを可能にし、または様々な画分の適切な調節によってロサルタンの血漿中濃度の一定のレベルを確実にする。
【0203】
・胃内容排出の変動に対する過敏性が低減される。なぜならばこの場合に多数の患者に起こる胃内容排出は統計学的に再現性がより高いからである。
【0204】
・組織をロサルタンの高い投与量と接触させること(「投与量の急速落下」)が避けられる。特に、各々の微小単位はロサルタンの極めて少ない投与量しか含まない。
【0205】
・この医薬剤形態はロサルタンのどのような劣化も誘発せず、始動ロサルタンの多形性を保持する。
【0206】
・この50μmと1000μmの間のサイズ、およびこれらのコーティングの特性もやはり、適切である場合は微小単位が消化管の上側部分における通過時間を増加させることを可能にし、これは吸収窓の前のロサルタンの通過の時間の増加を確実にし、したがってロサルタンの生物学的利用能を最大にする。
【0207】
好ましくは、請求項(出願時)31または32に権利主張されるこの医薬剤形態の微小単位のうちの少なくともいくつかは、それぞれ、ロサルタンを含み、かつロサルタンの調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる微粒子である。
【0208】
請求項(出願時)31または32に権利主張されるこの医薬剤形態の微粒子タイプの微小単位に関すると、ロサルタンの調節放出を制御するこれらのコーティングは本質的に医薬剤として許容される賦形剤を含むことに留意すべきである。
【0209】
請求項(出願時)31または32に権利主張されるこの医薬剤形態の微小単位のうちの少なくともいくつかが即時放出型のロサルタン微細顆粒からなることもやはり極めて有利であると見込まれる。
【0210】
請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態は、用量摂取後の時間(T)の関数となる活性代謝産物E3174の血漿中濃度の曲線下面積(AUC)のばらつきCV(%)が、同じ用量のロサルタンを含む基準の即時放出型経口医薬剤形態*の活性代謝産物E3174の血漿中濃度の、同一条件下での用量摂取後の時間(T)の関数となる曲線(AUC*)の下の面積の相当するばらつきCV*(%)の200%以下、好ましくは150%以下、さらに優先的には120%以下、すなわちCV≦1.5×CV*、好ましくはCV≦1.2×CV*であることを特徴とすることが好ましい。
【0211】
薬物動態パラメータCVおよびAUCは当業者によく知られている。
【0212】
本発明によるロサルタンの調節放出型形態とIRF*、特にCVとCV*、AUCとAUC*の比較は同じ条件下、および同じロサルタン用量で統計学的に意味のある方式で実施される。
【0213】
本願明細書に関する生体外溶解プロファイルのすべては「Test of the dissolution of solid oral forms」という表題のヨーロッパ薬局方第4編の指示に従って、37℃に維持され、100rpmで撹拌されるSINK条件下で実施されるタイプIIの溶解試験で実施される。
【0214】
第1の実施形態によると、請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態は、ロサルタンのうちの70%が投与後の1時間と24時間の間、好ましくは2時間と12時間の間、さらに優先的には2時間と8時間の間に放出されるような生体外溶解プロファイルを有する。
【0215】
請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態は、第1の実施形態において、溶解試験におけるロサルタンの生体外での放出速度がpHと無関係であることを特徴とすることが有利である。
【0216】
さらに特別に関与するpH値は胃の生理学的pH値であって、例えばこれらは1から7の範囲である。
【0217】
第1の実施形態にあり、請求項(出願時)31に権利主張される医薬剤形態のこの注目すべき特性はロサルタンにとってなおさら有利であり、なぜならば、上記で想起されたようにロサルタンはpHに高度に依存性である水中への溶解性で知られているからである。
【0218】
請求項(出願時)31または32に権利主張される微粒子を被覆するための組成(コーティング膜)はその第1の実施形態において、上記で規定された2つの群AおよびBのうちの一方に都合良く対応する。
【0219】
請求項(出願時)31または32に権利主張される微粒子のためのコーティング(コーティング膜)はその第1の実施形態において、本発明による微小単位の一般的な群について上述されたものに合致している。
【0220】
これは請求項(出願時)31または32に権利主張される第1の実施形態のこれらの微粒子を得るための組成と方法の詳細および例に関して、および群Aのコーティング組成物のための定性的および定量的データに関してもやはり同様のケースである。
【0221】
第2の実施形態によると、請求項(出願時)31に権利主張される医薬剤形態は、
・ロサルタンの放出が2つの別々の開始メカニズム、すなわち一方はpH変動に基づき、他方は胃の中の所定の滞留時間の後にAPの放出を可能にするメカニズムによって管理され、
・一定のpH1.4で、溶解プロファイルが7時間以下、好ましくは5時間以内、さらに優先的には1時間と5時間の持続時間を備えた遅滞期を含み、
・およびpH1.4からpH7.0への経過が遅滞時間を伴わずに始まる放出段階につながるようにされる。
【0222】
この第2の実施形態のさらに詳細な説明については、上記の本発明による一般的な群の微小単位の第2の実施形態の説明に参照が為されるであろう。
【0223】
同様に、「第3の実施形態」から「即時放出型のロサルタン微細顆粒が被覆の無い調節放出型ロサルタン微粒子のコアである」可能性までの本発明による一般的な群の微小単位を参照して上記に示された全てが請求項(出願時)31または32に権利主張される医薬剤形態に直接置き換え可能および適用可能である。
【0224】
ロサルタンはいくつかの結晶形態で存在し、そのうちの1つは医薬剤の活性にとって特に重大であって、すなわち結晶形態Iである。結晶形態Iが保たれることが重要である。したがって、本発明による医薬剤形態を調製するために使用される方法はロサルタンをその初期の結晶形態に保全することを可能にする。本発明による医薬剤形態では、例えばロサルタンのうちの少なくとも50%がその結晶形態Iにある。
【0225】
本発明による被覆微粒子の調製に関すると、これは当業者が利用可能なマイクロカプセル化技術に関連し、その原理はC.DuverneyとJ.P.Benoitによる論文「L’actualite chimique」,December 1986に要約されている。さらに特定すると、考慮される技術は膜コーティングによるマイクロカプセル化であって、マトリックス系とは対照的に個別化された「貯蔵器」系に結び付く。
【0226】
さらなる詳細については、欧州特許第0953359号明細書に参照が為されるであろう。
【0227】
本発明による微粒子を製造するために必要な望ましい粒度分布のロサルタン粒子は従来の当該技術のうちの1つ、例えば少なくとも1つの標準的な結合剤および/またはロサルタンの固有の溶解性特性を変えるための薬剤の存在下での造粒を介して前処理を受けた純粋のロサルタン結晶および/または結晶であってもよい。ロサルタンは、例えば、当業者に知られている技術、例えば空気流動床での「スプレーコーティング」技術を介してコアの上に蒸着されてもよく、または湿式造粒法、圧縮法、押し出し−球体成形法などによって形成されてもよい。
【0228】
本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態はロサルタンを含む1000から500000個の微小単位を含む1日1回の経口量形態であることが好都合である。
【0229】
さらに特定すると、本発明に従った使用で実施される経口医薬剤形態は1000から500000個の制御された放出型のロサルタン微粒子を含む1日1回の経口量形態であってもよい。
【0230】
本発明による経口医薬剤形態は制御された放出型のロサルタン微粒子の粉末のサシェ、制御された放出型のロサルタン微粒子の懸濁液、制御された放出型のロサルタン微粒子を含むこともあり得る錠剤、または制御された放出型のロサルタン微粒子を含むゲルカプセルの形態で供給されてもよい。
【0231】
本発明の主題はまた、本発明に従った使用の状況における上述されたような、かつ想定される用途とはそれ自体関係無く服用される経口医薬剤形態である。
【0232】
他の目的によると、本発明は微粒子の医薬剤もしくは食事経口製剤の形態、好ましくは口腔内分散可能な錠剤または粉末またはゲルカプセルの形態の調製のための、上記で規定されたような制御された放出型のロサルタン微粒子および場合によっては上記で規定されたような即時放出型のロサルタン微細顆粒の使用に向けられる。
【0233】
さらに別の目的によると、本発明は、いったん前記医薬剤形態が摂取されるとそれが含む微粒子が分散され、これらが胃に到達すると個別化され、これが、用量摂取の間で患者が摂食していても絶食していてもこれらの微粒子が一様で漸進的な胃内容排出を受けることを可能にし、したがって胃腸の生体吸収窓でのロサルタンの放出を確実にし、ロサルタンの血漿中プロファイルのばらつきの低減に向かって参画することができるように設計された、治療上安全な微粒子経口医薬品形態の調製のための、上記で規定されたような制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒、および場合によっては上記で規定されたような即時放出型のロサルタン微細顆粒の使用に向けられる。
【0234】
さらに別の主題によると、本発明はそれ自体が上記で規定されたような被覆微粒子および/またはマトリックスの微細顆粒に向けられる。
【0235】
本発明の他の主題によると、本発明は
・高血圧を治療するための方法であって、上記で規定されたような本発明に従った使用で実施される医薬剤形態を好ましくは1日1回の経口量として投与することにあることを特徴とする方法;
・ヒトまたは動物の経口治療処置のための再現性のある方法であって、本質的に、ロサルタンを含んでかつ前記ロサルタンの制御された放出を可能にするコーティングまたはマトリックスの中に含まれる前記ロサルタンを含む医薬剤形態を経口投与することにあり、それにより、個体の被験体に経口投与されたこの形態がこの個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間標準偏差を減少させ、これが同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させることを特徴とする方法;
・ヒトまたは動物の経口治療処置のための再現性のある方法であって、本質的に、コーティングまたはマトリックスの中に含まれたロサルタンを含む医薬剤形態を経口投与することにあり、これが、個体の被験体への摂食状態でのこの医薬剤形態の経口投与が1時間以下、好ましくは1.5時間以下のTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの数の減少もしくは消失、1時間を超える、好ましくは1.5時間を超えるTmaxを有する個体の血漿中プロファイルの利点につながり、これがこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるような特性をこの医薬剤形態に賦与することを特徴とする方法;
・ヒトまたは動物の経口治療処置のための再現性のある方法であって、本質的に、コーティングまたはマトリックスの中に含まれたロサルタンを含む医薬剤形態を経口投与することにあり、同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して個体の被験体へのこの医薬剤形態の経口投与の間の血漿中プロファイルのばらつきを低減し、これが医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させることを特徴とする方法;
・ヒトまたは動物の経口治療処置のための再現性のある方法であって、本質的に、溶解性が胃のpHに依存性であるロサルタンを含む医薬剤形態を経口投与することにあり、このロサルタンが、個体の被験体へのこの医薬剤形態の経口投与が同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較してTmaxの個体間のばらつきの係数の減少につながり、これが医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実低下させるような特性をこの医薬剤形態に賦与するコーティングまたはマトリックスに含まれることを特徴とする方法、
に向けられる。
【実施例】
【0236】
以下の実施例では、賦形剤はその商標名で示される。化学名との対応は以下の表に見出されるであろう。
【0237】
【表2】
<実施例1:ロサルタン顆粒の調製>
810gのロサルタンカリウムおよび90gのKlucel EF(登録商標)(Aqualon)が3000gのイソプロパノールの中に分散される。このサスペンジョンがGlatt GPCG1スプレーコーターの中で100gの中性のミクロスフィア(旭化成)に吹き付けられる。
【0238】
得られる顆粒は81%のロサルタンカリウム濃度を有する。
【0239】
<実施例2:ロサルタンカリウム微粒子の調製>
200gのエチルセルロース(Ethocel 20、Premium/Dow)、15gのPlasdone K29/32(登録商標)(ISP)、10gのCremophor RH40(BASF)および25gのヒマシ油が60%のイソプロパノールと40%のアセトンからなる混合液中に分散される。この溶液が750gの(実施例1で調製された)ロサルタンカリウム顆粒に吹き付けられる。
【0240】
得られた微粒子は次いで、サイズ2のゼラチンゲルカプセル内に置かれる。ゲルカプセル当たりのロサルタンカリウムの用量はこの試験では100mg(すなわち165mgの微粒子)に設定された。このゲルカプセルが薬剤の最終形態を構成する。
【0241】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH6.8(0.05MのKH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図1を参照されたい。
【0242】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH1.4(HCl)、4.5(KH2PO4/NaOH)、および6.8(KH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図2を参照されたい。
【0243】
ロサルタンの放出は事実上溶解媒質のpHに無関係であることが見出され、これは胃液のpHに左右されない生体内の放出を有することを可能にする。
【0244】
溶解プロファイルに対するロサルタンカリウムの用量の影響を調べるために、薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH6.8(KH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で微粒子によるロサルタンの放出が10、25、50、100、150および200mgの有効成分の用量について判定された。図3を参照されたい。
【0245】
溶解プロファイルはロサルタンの用量と無関係である。
【0246】
<実施例3:ロサルタンカリウム微粒子の調製>
100gの水素化綿実油(Penwest)および150gのEudragit(登録商標)L100−55(Rohm)が高温イソプロパノール中に溶解される。この溶液が750gの(実施例1で調製された)ロサルタンカリウム顆粒に吹き付けられる。
【0247】
得られた微粒子は次いで、サイズ2のゼラチンゲルカプセル内に置かれる。ゲルカプセル当たりのロサルタンカリウムの用量はこの試験では100mg(すなわち165mgの微粒子)に設定された。このゲルカプセルが薬剤の最終形態を構成する。
【0248】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH1.4(HCl)およびpH6.8(0.05MのKH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図4を参照されたい。
【0249】
<実施例4:ロサルタンカリウム微粒子の調製>
100gの水素化綿実油(Penwest)、50gのEudragit(登録商標)L100−55(Rohm)および100gのEudragit(登録商標)S100(Rohm)が高温イソプロパノール中に溶解される。この溶液が750gの(実施例1で調製された)ロサルタンカリウム顆粒に吹き付けられる。
【0250】
得られた微粒子は次いで、サイズ2のゼラチンゲルカプセル内に置かれる。ゲルカプセル当たりのロサルタンカリウムの用量はこの試験では100mg(すなわち165mgの微粒子)に設定された。このゲルカプセルが薬剤の最終形態を構成する。
【0251】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH1.4(HCl)およびpH6.8(0.05MのKH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図5を参照されたい。
【0252】
溶解プロファイルに対するロサルタンカリウムの用量の影響を調べるために、薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH1.4(KH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で微粒子によるロサルタンの放出が10、25、50、100、150および200mgの有効成分の用量について判定された。図6を参照されたい。
【0253】
溶解プロファイルはロサルタンの用量と無関係である。
【0254】
<実施例5:ロサルタンカリウム微粒子の調製>
120gのエチルセルロース(Ethocel 20、Premium/Dow)、9gのPlasdone K29/32(登録商標)(ISP)、6gのCremophor RH40(BASF)および15gのヒマシ油が60%のイソプロパノールと40%のアセトンからなる混合液中に分散される。この溶液が850gの(実施例1で調製された)ロサルタンカリウム顆粒に吹き付けられる。
【0255】
得られた微粒子は次いで、サイズ2のゼラチンゲルカプセル内に置かれる。ゲルカプセル当たりのロサルタンカリウムの用量はこの試験では100mg(すなわち145mgの微粒子)に設定された。このゲルカプセルが薬剤の最終形態を構成する。
【0256】
微粒子を含むこのゲルカプセルが薬局方に従って37℃、100rpmで撹拌しながらpH6.8(0.05MのKH2PO4/NaOH)にてタイプII溶解試験で試験された。図7を参照されたい。
【0257】
<実施例6:ロサルタンカリウム微粒子を主成分とする錠剤>
実施例4で得られた微粒子165g、280gのラクトース、40gのクロスポビドンおよび15gのステアリン酸マグネシウムがErweka実験室ミキサを使用して一緒に混合される。
【0258】
500mgの上記の混合物の用量を含む錠剤がKorsch錠剤圧縮機を使用して調製される。これらの錠剤が薬剤の最終形態を構成する。
【0259】
このようにして調製された錠剤のpH1.4における生体外溶解プロファイルは実施例4のゲルカプセルのものと同じである。図5を参照されたい。
【0260】
ロサルタンカリウムの放出が遅らされ、約10時間の期間にわたって維持されることが観察される。これはそのような薬剤の投与中に生体吸収の時間を増加させること、および患者の時間生物学に最適に応じることを可能にする。
【0261】
<実施例7:生体内のデータ>
(使用される医薬剤形態)
100mgのCozaar(登録商標)錠剤(商標名) C1
実施例2によるロサルタンの医薬剤形態 M1
実施例4によるロサルタンの医薬剤形態 M2
(試験の説明)
実施例2および4の製剤M1およびM2、および製剤C1が交差試験の期間中に20人の健常ボランティアに対して100mgの用量で1日に1回、朝食後に投与される。ロサルタンと(その主な活性代謝産物である)EXP3174の血漿中濃度が投与の0、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、16、18、20、24、36、48時間後の時間に測定される。
【0262】
(薬物動態の結果)
M1、M2、およびC1の投与後のロサルタンの個々の薬物動態プロファイルが図10、12および8にそれぞれ記述されている。M1、M2、およびC1の投与後の代謝産物EXP3174の個々の薬物動態プロファイルが図11、13および9にそれぞれ記述されている。
【0263】
本発明の状況に含まれない製剤C1がロサルタンおよびその代謝産物のEXP3174に関する血漿中濃度プロファイルの2つの集団(即効型Prと遅効型Ps)に結び付くことに留意されたい。
【0264】
製剤C1がCmaxの極めて広い分散(高い標準偏差)に結び付くことにも留意されたい。
【0265】
他方で、本発明による製剤M1およびM2は遅効型プロファイルの集団Psのみ、および低い標準偏差のCmax値に結び付く。
【0266】
C1、M1およびM2投与後のロサルタンのプロファイルに関して1時間未満および1.5時間未満のTmaxを有する個体の数の分布が下記の表1に与えられる。
【0267】
【表3】
本発明による製剤M1およびM2が、基準の形態C1に相対して短いTmaxを伴う個体の割合を大幅に低減することを可能にすることが見出される。
【0268】
ロサルタン(CmaxとTmax)およびその代謝産物EXP3174(Cmax、Tmax、C24h、Cmax/C24h)の平均の薬物動態パラメータ±SDが下記の表2に与えられる。
【0269】
【表4】
本発明に属さない基準の形態C1に相対して、本発明による製剤M1およびM2は
a)Cmax値の標準偏差を小さくすること、
b)平均ピーク/トラフ変調を小さくすること、
c)ピーク/トラフ変調の標準偏差を小さくすること
を可能にすることが見出される。
【図面の簡単な説明】
【0270】
【図1】実施例2による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図2】実施例2による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH1.4、4.5および6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図3】10mgと200mgの間の範囲のロサルタン用量について実施例2による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図4】実施例3による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH1.4および6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図5】実施例4による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH1.4および6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図6】10mgと200mgの間の範囲のロサルタン用量について実施例4による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH1.4での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図7】実施例5による制御された放出型ロサルタン微粒子のpH6.8での生体外溶解プロファイルを表す図である。
【図8】本発明の状況に含まれない製剤C1の投与後のロサルタンの個々の薬物動態プロファイルを表す図である。即効型集団Prと遅効型集団Psの存在がこの図8から分かるであろう。
【図9】本発明の状況に含まれない製剤C1の投与後のEXP3174の個々の薬物動態プロファイルを表す図である。即効型集団Prと遅効型集団Psの存在がこの図8から分かるであろう。
【図10】本発明の状況に含まれる実施例2による製剤M1の投与後のロサルタンの個々の薬物動態プロファイルを表す図である。この製剤M1が血漿中濃度プロファイルの単一の遅効型集団Psにつながることが分かるであろう。
【図11】実施例2による製剤M1の投与後のEXP3174の個々の薬物動態プロファイルを表す図である。
【図12】実施例4による製剤M2の投与後のロサルタンの個々の薬物動態プロファイルを表す図である。
【図13】実施例4による製剤M2の投与後のEXP3174の個々の薬物動態プロファイルを表す図である。これらの図全体を通して、溶解プロファイルは時間単位での時間(t)の関数としての溶解したロサルタンの重量パーセントに相当する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロサルタンを含む経口医薬剤形態において、該ロサルタンを含み、個体の被験体に経口で投与されたこの形態が該個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させるように該ロサルタンの制御された放出を可能とし、同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実に低下させるコーティングまたはマトリックスの使用。
【請求項2】
個体の被験体への経口投与の後に該個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させ、同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実に低下させる経口医薬剤形態を製造するための、該ロサルタンの制御された放出を可能とするコーティングまたはマトリックス内に含まれるロサルタンの使用。
【請求項3】
前記Cmaxの個体間標準偏差の減少に関する因数(f)が以下の通り、f≧1.2、好ましくはf≧1.75、さらに優先的にはfが2.5および20の間にあると定義されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記医薬剤形態の前記コーティングまたはマトリックスが、第1にロサルタンのどのような早期および/または大量および/または急速な放出、およびその後のロサルタンのどのような有害な血漿中過剰濃度も回避し、第2に2回の用量摂取の間の治療的保護を確実にするロサルタンの制御された放出を可能にするように設計されることを特徴とする、請求項1から3の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項5】
個体の被験体への医薬剤形態の経口投与が、ロサルタンの即時放出型形態の同じ用量を投与した同一の個体の被験体に関する代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルの平均ピーク/トラフ変調より代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルの平均ピーク/トラフ変調を低下させるように前記医薬剤形態の前記コーティングまたはマトリックスが設計されることを特徴とする、請求項1から4の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項6】
個体の被験体への医薬剤形態の経口投与が、ロサルタンの即時放出型形態の同じ用量を投与した同一の個体の被験体に関する代謝産物EXP3174のピーク/トラフ変調のばらつきよりも代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルのピーク/トラフ変調のばらつきを低下させるように前記医薬剤形態の前記コーティングまたはマトリックスが設計されることを特徴とする、請求項1から5の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項7】
前記経口医薬剤形態が、
・それぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる微粒子;
・および/またはそれぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる微細顆粒;
・および/または即時放出型のロサルタン微細顆粒
であってもよい微小単位の形態でロサルタンを含むことを特徴とする、請求項1から6の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項8】
前記経口医薬剤形態が、それぞれロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる遊離の微粒子、および/またはそれぞれロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる遊離の微細顆粒の錠剤であることを特徴とする、請求項1から6の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項9】
前記経口医薬剤形態が、用量摂取の後に以下、すなわち
Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
好ましくは 1.5×Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
さらに優先的には2.0×Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
(ここで、
・C24hは用量摂取24時間後のロサルタンの活性代謝産物EXP3174の平均血漿中濃度を表し、
・C24h*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でC24hと同じ条件下で得られるEXP3174の平均血漿中濃度を表し、
・Cmaxは用量摂取後のEXP3174の平均最大血漿中濃度を表し、
・Cmax*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でCmaxと同じ条件下で得られるEXP3174の平均最大血漿中濃度を表す。)
のように規定される血漿中プロファイルを得ることを可能にすることを特徴とする、請求項1から8の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項10】
前記経口医薬剤形態が微粒子を含み、投与後の時間t(70%)(この時間の終了時にロサルタンのうちの70%が放出される)が1時間および24時間の間、好ましくは2時間および12時間の間、さらに優先的には2時間および8時間の間になるような生体外溶解プロファイル[D%(t)]を有することを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項11】
前記経口医薬剤形態の前記生体外溶解プロファイル[D%(t)]が、2時間およびt(70%)の間のいずれかの時間t値、好ましくは1時間およびt(70%)の間のいずれかの時間t値についても、溶解した(放出された)ロサルタンの割合[D%(t)]≧35×t/t(70%)となるようであることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
生体外溶解試験でのロサルタンの放出速度がpHと無関係であることを特徴とする、請求項1から11の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項13】
前記経口医薬剤形態が、
−ロサルタンの放出が2つの異なる開始メカニズム、すなわち1つがpH変化に基づき、他方が胃の中での所定の滞留時間の後にロサルタンの放出を可能にするメカニズムによって管理され、
−一定のpH1.4で、溶解プロファイルが7時間以下、好ましくは5時間以下、さらに優先的には1時間と5時間の間続く遅滞期を含み、
−およびpH1.4からpH7.0への経過が遅滞時間を伴わずに始まる放出段階につながるよう
であることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項14】
生体外溶解試験で測定したときに前記経口医薬剤形態が下記に示される、すなわち
・ロサルタンのうちの20%未満がpH1.4で2時間後に放出され、
・ロサルタンのうちの少なくとも50%がpH1.4で16時間後に放出される
溶解プロファイルを有することを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記経口医薬剤形態が、その開始pHが6.0および6.5の間(両端を含む)にある制御された放出型ロサルタン微粒子を含むことを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記経口医薬剤形態が微粒子の少なくとも2つの集団を含むことを特徴とする、請求項7および10から15の一項に記載の使用。
【請求項17】
前記経口医薬剤形態が制御された放出型の微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団、および/または即時放出型の微細顆粒の少なくとも1つの集団を含むことを特徴とする、請求項7および10から16の一項に記載の使用。
【請求項18】
前記経口医薬剤形態が、1.4および7.4の間の少なくとも1つのpH値に関して異なる溶解プロファイルを有する少なくとも2つの制御された放出型の微粒子および/または微細顆粒の集団を含むことを特徴とする、請求項7および13から17の一項に記載の使用。
【請求項19】
前記経口医薬剤形態が、それぞれの開始pHが異なる少なくとも2つの制御された放出型の微粒子および/または微細顆粒の集団を含むことを特徴とする、請求項7および13から18の一項に記載の使用。
【請求項20】
前記経口医薬剤形態が、それぞれの開始時間で異なる少なくとも2つの制御された放出型の微粒子および/または微細顆粒の集団を含むことを特徴とする、請求項7および13から19の一項に記載の使用。
【請求項21】
前記経口医薬剤形態が、
・即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団と;
・制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団P1と、
・制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団P2と;
を含み、P1およびP2のそれぞれの開始pHが少なくとも0.5pH単位、好ましくは少なくとも0.8pH単位、さらに優先的には少なくとも0.9pH単位異なることを特徴とする、請求項7および13から20の一項に記載の使用。
【請求項22】
制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の様々な集団のそれぞれの開始pHが5および7の間にあることを特徴とする、請求項7および13から21の一項に記載の使用。
【請求項23】
前記経口医薬剤形態が、
・即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団と;
・制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団であってその開始pHが5.5に等しい集団P1’と;
・制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団であってその開始pHが6.0および6.5の間(両端を含む)である集団P2’と、
を含むことを特徴とする、請求項7および13から22の一項に記載の使用。
【請求項24】
前記経口医薬剤形態が、ロサルタンのうちの少なくとも80%が1.4および7.4の間の任意のpHで1時間以内に放出される生体外溶解試験での挙動を有する少なくとも1つの即時放出型のロサルタン微細顆粒の集団を含むことを特徴とする、請求項7から23の一項に記載の使用。
【請求項25】
前記経口医薬剤形態が、ロサルタンを含む1000から500000個の微小単位を含む1日1回の経口量の形態であることを特徴とする、請求項7から24の一項に記載の使用。
【請求項26】
前記経口医薬剤形態が、1000から500000個の制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒を含む1日1回の経口量の形態であることを特徴とする、請求項7から25の一項に記載の使用。
【請求項27】
前記経口医薬剤形態が粉末のサシェ、懸濁液、錠剤またはゲルカプセルの形態にあることを特徴とする、請求項1から26の一項に記載の使用。
【請求項28】
前記経口医薬剤形態がロサルタン以外の少なくとも1つの有効成分APを含むことを特徴とする、請求項1から27の一項に記載の使用。
【請求項29】
前記経口医薬剤形態が制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒を含み、これらのために前記コーティングまたはマトリックスの組成が以下に述べられる製剤Aと製剤B、すなわち
(製剤A)
A−1:消化管の流体に不溶性であり、コーティング組成物の合計質量に対して固体が50%から90重量%、好ましくは50%から80重量%の比率で存在し、特に少なくとも1つの非水溶性セルロース誘導体を含む少なくとも1つの膜形成ポリマー(P1);
A−2:コーティング組成物の合計質量に対して固体が2%から25重量%、好ましくは5%から15重量%の比率で存在し、少なくとも1つのポリアクリルアミドおよび/または1つのポリ−N−ビニルアミドおよび/または1つのポリ−N−ビニルラクタムからなる少なくとも1つの含窒素ポリマー(P2);
A−3:コーティング組成物の合計質量に対して固体が2%から20重量%、好ましくは4%から15重量%の比率で存在し、以下の化合物、すなわちグリセロールエステル類、フタル酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、セチルアルコールエステル類、ヒマシ油のうちの少なくとも1つからなる少なくとも1つの可塑剤;
A−4:コーティング組成物の合計質量に対して固体が2%から20重量%、好ましくは4%から15重量%の比率で存在し、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤および/または潤滑剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤および/または潤滑剤(前記薬剤は上述の製品のうちの1つのみ、または混合物を含んでもよい);
または
(製剤B)
B1:胃腸管の流体に不溶性である少なくとも1種類の膜形成ポリマー;
B2:少なくとも1種類の水溶性ポリマー;
B3:少なくとも1種類の可塑剤;
B4:場合によって、少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤および/または少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤からなることが好ましい少なくとも1種類の界面活性剤/潤滑剤
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7および10から12の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項30】
前記制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒が1000未満、好ましくは50および800の間、さらに優先的には50および500の間の平均直径(Dm、μm)を有することを特徴とする、請求項7から29の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項31】
ロサルタンの調節放出型経口医薬剤形態であって、
・ロサルタンを含む複数の微小単位を含むこと、
・前記微小単位の平均直径(Dm、μm)が50および1000の間、好ましくは100および600の間、さらに優先的には150および500の間であること、
・および、用量摂取の後に以下、すなわち
C18h*≦C18h
好ましくは 1.5×C18h*≦C18h≦Cmax*/2
さらに優先的には2.0×C18h*≦C18h≦Cmax*/2
(ここで、
・C18hは用量摂取18時間後のロサルタンの活性代謝産物(EXP3174)の血漿中濃度を表し、
・C18h*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でC18hと同じ条件下で得られるE3174の血漿中濃度を表し、
・Cmaxは用量摂取後のE3174の最大血漿中濃度を表し、
・Cmax*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でCmaxと同じ条件下で得られるE3174の最大血漿中濃度を表す。)
のように規定される血漿中プロファイルを得ることを可能にすること
を特徴とする形態。
【請求項32】
ロサルタンの調節放出型経口医薬剤形態であって、
・ロサルタンを含む複数の微小単位を含むこと、
・前記微小単位の平均直径(Dm、μm)が50および1000の間、好ましくは100および600の間、さらに優先的には150および500の間であること、
・用量摂取の後に以下、すなわち
−a− C18h*≦C18h
好ましくは 1.5×C18h*≦C18h≦Cmax*/2
さらに優先的には2.0×C18h*≦C18h≦Cmax*/2
−b− 1.1×Tmax*≦Tmax
好ましくは 1.2×Tmax*≦Tmax
さらに優先的には 1.5×Tmax*≦Tmax
なおさらに優先的には1.7×Tmax*≦Tmax≦6×Tmax
(ここで、
・C18hは用量摂取18時間後のロサルタンの活性代謝産物(E3174)の血漿中濃度を表し、
・C18h*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でC18hと同じ条件下で得られるE3174の血漿中濃度を表し、
・Cmaxは用量摂取後のE3174の最大血漿中濃度を表し、
・Tmaxは用量摂取の後に経過し、Cmaxに対応する時間を表し、
・Cmax*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でCmaxと同じ条件下で得られるE3174の最大血漿中濃度を表し、
・Tmax*は用量摂取の後に経過し、Cmax*に対応する時間を表す。)
のように規定される血漿中プロファイルを得ることを可能にすること
を特徴とする形態。
【請求項33】
前記微小単位のうちの少なくともいくつかがロサルタンを含むことが可能であり、前記ロサルタンの調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されるコアで個々に構成される微粒子であることを特徴とする、請求項31または32に記載の経口医薬剤形態。
【請求項34】
含まれる前記微小単位のうちの少なくともいくつかが即時放出型ロサルタン微細顆粒で構成されることを特徴とする、請求項31から33のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項35】
前記ロサルタンのうちの70%が投与後1時間および24時間の間、好ましくは2時間および12時間の間、さらに優先的には2時間および8時間の間に放出されるような生体外溶解プロファイルで特徴付けられる、請求項34に記載の経口医薬剤形態。
【請求項36】
−ロサルタンの放出が2つの異なる開始メカニズム、すなわち1つがpH変化に基づき、他方が胃の中での所定の滞留時間の後にロサルタンの放出を可能にするメカニズムによって管理されること;
−一定のpH1.4で、溶解プロファイルが7時間以下、好ましくは5時間以下、さらに優先的には1時間および5時間の間続く遅滞期を含むこと、
−および、pH1.4からpH7.0への経過が遅滞時間を伴わずに始まる放出段階につながること
を特徴とする、請求項31または32および33に記載の経口医薬剤形態。
【請求項37】
生体外溶解試験で測定したときに溶解プロファイルが下記に示される通りである、すなわち
・ロサルタンのうちの20%未満がpH1.4で2時間後に放出され、
・ロサルタンのうちの少なくとも50%がpH1.4で16時間後に放出される
ことを特徴とする、請求項36および場合によって請求項40から46の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項38】
用量摂取後の時間(T)の関数としての活性代謝産物E3174の血漿中濃度の曲線下面積(AUC)のばらつきCV(%)が、同じ用量のロサルタンを含む基準の即時放出型経口医薬剤形態*の活性代謝産物E3174の血漿中濃度の、同一条件下での用量摂取後の時間(T)の関数としての曲線下面積(AUC*)の相当するばらつきCV*(%)の200%以下、好ましくは150%以下、さらに優先的には120%以下、すなわちCV≦2.0×CV*、CV≦1.5×CV*、好ましくはCV≦1.2×CV*であることを特徴とする請求項31から37のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項39】
溶解試験におけるロサルタンの生体外の放出速度がpHと無関係であることを特徴とする請求項31、33または35の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項40】
pH1およびpH5の間の前記微粒子の溶解プロファイルが同様であることを特徴とする請求項39に記載の経口医薬剤形態。
【請求項41】
請求項33に記載の微粒子の少なくとも2つの集団を含むことを特徴とする請求項31から40のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項42】
請求項33に記載の微粒子の少なくとも1つの集団および請求項34に記載の微細顆粒の少なくとも1つの集団を含むことを特徴とする請求項31から41のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項43】
1.4および7.4の間の少なくとも1つのpH値に関して異なる溶解プロファイルを有する少なくとも2つの微粒子の集団を含むことを特徴とする請求項36、場合によっては請求項41に記載の経口医薬剤形態。
【請求項44】
それぞれの開始pHが異なる少なくとも2つの調節放出型ロサルタン微粒子の集団を含むことを特徴とする請求項36、場合によっては請求項41および43の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項45】
それぞれの開始時間が異なる有効成分の調節放出を伴う少なくとも2つの微粒子の集団を含むことを特徴とする請求項36、場合によっては請求項41、43および44の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項46】
・即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団と;
・調節放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団P1と、および
・調節放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団P2と;
を含むこと、
および、P1およびP2のそれぞれの開始pHが少なくとも0.5pH単位、好ましくは少なくとも0.8pH単位、さらに優先的には少なくとも0.9pH単位異なることを特徴とする、請求項36、場合によっては請求項41および43から45の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項47】
調節放出型ロサルタン微粒子の様々な集団のそれぞれの開始pHが5および7の間であることを特徴とする、請求項36、場合によっては請求項41および43から46の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項48】
・即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団と;
・調節放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団であってその開始pHが5.5に等しい集団P1’と;
・調節放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団であってその開始pHが6.0および6.5の間(両端を含む)である集団P2’と、
を含むことを特徴とする、請求項36、場合によっては請求項41から47の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項49】
生体外溶解試験での挙動が、ロサルタンのうちの少なくとも80%が1.4および7.4の間のpHで1時間以内に放出されるようにされる即時放出型の前記ロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団を含むことを特徴とする、請求項34から48のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項50】
前記ロサルタンのうちの少なくとも50%が結晶形態Iにあることを特徴とする、請求項31から49のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項51】
前記調節放出型ロサルタン微粒子のうちの少なくともいくつかが各々、
・ロサルタンを含むコアと、
・前記コアを覆い、前記ロサルタンの前記調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングと
を含むことを特徴とする、請求項33から50の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項52】
前記調節放出型ロサルタン微粒子のうちの少なくともいくつかが各々、
・以下を含むコアと、
・中性のコアと、
・前記ロサルタンを含み該中性のコアを被覆する少なくとも1つの活性層と、
・および、該コアを覆い、前記ロサルタンの前記調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングと
を含むことを特徴とする、請求項32から50のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項53】
前記微小単位の中のロサルタンの比率(前記微小単位の合計重量に対する固体の重量パーセントとして表される)が5および80の間、好ましくは10および70の間、さらに優先的には15および60の間であることを特徴とする、請求項1から52のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項54】
前記即時放出型ロサルタン微細顆粒が請求項34に記載の被覆されていない微粒子のコアであることを特徴とする、請求項33、場合によっては請求項34から52のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項55】
ロサルタンを含む1000から500000個の微小単位を含む1日1回の経口量の形態であることを特徴とする、請求項1から54のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項56】
1000から500000個の調節放出型のロサルタン微粒子を含む1日1回の経口量の形態であることを特徴とする、請求項1から55のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項57】
微小単位の粉末のサシェ、微粒子の懸濁液、微小単位から得られる錠剤、または微小単位を含むゲルカプセルの形態にあることを特徴とする、請求項31から56のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項58】
医薬剤または食用の微粒子の経口製剤形態、好ましくは有利に口腔内分散可能な錠剤、粉末、またはゲルカプセルの形態の調製のための、請求項31から57のいずれか一項に記載の前記調節放出型ロサルタン微粒子、および場合によっては請求項34から57のいずれか一項に記載の前記即時放出型ロサルタン微細顆粒の使用。
【請求項59】
治療的に安全な微粒子の経口医薬剤形態であって、前記医薬剤形態が摂取された後、含まれる微粒子が胃に到達すると、分散され、個別化されて、患者が摂食状態であっても絶食状態であっても、用量摂取の間にこれらの微粒子が均一に漸進的に胃内容排出を受けることを可能にし、したがって胃腸の生体吸収窓で前記ロサルタンが確実に放出されるように設計された医薬剤形態の調製のための、請求項31から58のいずれか一項に記載の前記調節放出型ロサルタン微粒子、および場合によっては請求項34から58のいずれか一項に記載の前記即時放出型ロサルタン微細顆粒の使用。
【請求項60】
前記請求項のいずれか一項に規定される微粒子。
【請求項1】
ロサルタンを含む経口医薬剤形態において、該ロサルタンを含み、個体の被験体に経口で投与されたこの形態が該個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させるように該ロサルタンの制御された放出を可能とし、同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実に低下させるコーティングまたはマトリックスの使用。
【請求項2】
個体の被験体への経口投与の後に該個体の摂食状態または絶食状態に関係無くCmaxの個体間の標準偏差を減少させ、同じ用量でこの同一の個体の被験体に投与されたロサルタンの即時放出型医薬剤形態と比較して医薬剤形態の効果および治療的安全性のばらつきを確実に低下させる経口医薬剤形態を製造するための、該ロサルタンの制御された放出を可能とするコーティングまたはマトリックス内に含まれるロサルタンの使用。
【請求項3】
前記Cmaxの個体間標準偏差の減少に関する因数(f)が以下の通り、f≧1.2、好ましくはf≧1.75、さらに優先的にはfが2.5および20の間にあると定義されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記医薬剤形態の前記コーティングまたはマトリックスが、第1にロサルタンのどのような早期および/または大量および/または急速な放出、およびその後のロサルタンのどのような有害な血漿中過剰濃度も回避し、第2に2回の用量摂取の間の治療的保護を確実にするロサルタンの制御された放出を可能にするように設計されることを特徴とする、請求項1から3の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項5】
個体の被験体への医薬剤形態の経口投与が、ロサルタンの即時放出型形態の同じ用量を投与した同一の個体の被験体に関する代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルの平均ピーク/トラフ変調より代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルの平均ピーク/トラフ変調を低下させるように前記医薬剤形態の前記コーティングまたはマトリックスが設計されることを特徴とする、請求項1から4の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項6】
個体の被験体への医薬剤形態の経口投与が、ロサルタンの即時放出型形態の同じ用量を投与した同一の個体の被験体に関する代謝産物EXP3174のピーク/トラフ変調のばらつきよりも代謝産物EXP3174の血漿中プロファイルのピーク/トラフ変調のばらつきを低下させるように前記医薬剤形態の前記コーティングまたはマトリックスが設計されることを特徴とする、請求項1から5の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項7】
前記経口医薬剤形態が、
・それぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる微粒子;
・および/またはそれぞれ、ロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる微細顆粒;
・および/または即時放出型のロサルタン微細顆粒
であってもよい微小単位の形態でロサルタンを含むことを特徴とする、請求項1から6の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項8】
前記経口医薬剤形態が、それぞれロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されたコアからなる遊離の微粒子、および/またはそれぞれロサルタンを含み、ロサルタンの制御された放出を可能にするマトリックスからなる遊離の微細顆粒の錠剤であることを特徴とする、請求項1から6の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項9】
前記経口医薬剤形態が、用量摂取の後に以下、すなわち
Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
好ましくは 1.5×Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
さらに優先的には2.0×Cmax/C24h≦Cmax*/C24h*
(ここで、
・C24hは用量摂取24時間後のロサルタンの活性代謝産物EXP3174の平均血漿中濃度を表し、
・C24h*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でC24hと同じ条件下で得られるEXP3174の平均血漿中濃度を表し、
・Cmaxは用量摂取後のEXP3174の平均最大血漿中濃度を表し、
・Cmax*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でCmaxと同じ条件下で得られるEXP3174の平均最大血漿中濃度を表す。)
のように規定される血漿中プロファイルを得ることを可能にすることを特徴とする、請求項1から8の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項10】
前記経口医薬剤形態が微粒子を含み、投与後の時間t(70%)(この時間の終了時にロサルタンのうちの70%が放出される)が1時間および24時間の間、好ましくは2時間および12時間の間、さらに優先的には2時間および8時間の間になるような生体外溶解プロファイル[D%(t)]を有することを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項11】
前記経口医薬剤形態の前記生体外溶解プロファイル[D%(t)]が、2時間およびt(70%)の間のいずれかの時間t値、好ましくは1時間およびt(70%)の間のいずれかの時間t値についても、溶解した(放出された)ロサルタンの割合[D%(t)]≧35×t/t(70%)となるようであることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
生体外溶解試験でのロサルタンの放出速度がpHと無関係であることを特徴とする、請求項1から11の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項13】
前記経口医薬剤形態が、
−ロサルタンの放出が2つの異なる開始メカニズム、すなわち1つがpH変化に基づき、他方が胃の中での所定の滞留時間の後にロサルタンの放出を可能にするメカニズムによって管理され、
−一定のpH1.4で、溶解プロファイルが7時間以下、好ましくは5時間以下、さらに優先的には1時間と5時間の間続く遅滞期を含み、
−およびpH1.4からpH7.0への経過が遅滞時間を伴わずに始まる放出段階につながるよう
であることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項14】
生体外溶解試験で測定したときに前記経口医薬剤形態が下記に示される、すなわち
・ロサルタンのうちの20%未満がpH1.4で2時間後に放出され、
・ロサルタンのうちの少なくとも50%がpH1.4で16時間後に放出される
溶解プロファイルを有することを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記経口医薬剤形態が、その開始pHが6.0および6.5の間(両端を含む)にある制御された放出型ロサルタン微粒子を含むことを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記経口医薬剤形態が微粒子の少なくとも2つの集団を含むことを特徴とする、請求項7および10から15の一項に記載の使用。
【請求項17】
前記経口医薬剤形態が制御された放出型の微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団、および/または即時放出型の微細顆粒の少なくとも1つの集団を含むことを特徴とする、請求項7および10から16の一項に記載の使用。
【請求項18】
前記経口医薬剤形態が、1.4および7.4の間の少なくとも1つのpH値に関して異なる溶解プロファイルを有する少なくとも2つの制御された放出型の微粒子および/または微細顆粒の集団を含むことを特徴とする、請求項7および13から17の一項に記載の使用。
【請求項19】
前記経口医薬剤形態が、それぞれの開始pHが異なる少なくとも2つの制御された放出型の微粒子および/または微細顆粒の集団を含むことを特徴とする、請求項7および13から18の一項に記載の使用。
【請求項20】
前記経口医薬剤形態が、それぞれの開始時間で異なる少なくとも2つの制御された放出型の微粒子および/または微細顆粒の集団を含むことを特徴とする、請求項7および13から19の一項に記載の使用。
【請求項21】
前記経口医薬剤形態が、
・即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団と;
・制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団P1と、
・制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団P2と;
を含み、P1およびP2のそれぞれの開始pHが少なくとも0.5pH単位、好ましくは少なくとも0.8pH単位、さらに優先的には少なくとも0.9pH単位異なることを特徴とする、請求項7および13から20の一項に記載の使用。
【請求項22】
制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の様々な集団のそれぞれの開始pHが5および7の間にあることを特徴とする、請求項7および13から21の一項に記載の使用。
【請求項23】
前記経口医薬剤形態が、
・即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団と;
・制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団であってその開始pHが5.5に等しい集団P1’と;
・制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒の少なくとも1つの集団であってその開始pHが6.0および6.5の間(両端を含む)である集団P2’と、
を含むことを特徴とする、請求項7および13から22の一項に記載の使用。
【請求項24】
前記経口医薬剤形態が、ロサルタンのうちの少なくとも80%が1.4および7.4の間の任意のpHで1時間以内に放出される生体外溶解試験での挙動を有する少なくとも1つの即時放出型のロサルタン微細顆粒の集団を含むことを特徴とする、請求項7から23の一項に記載の使用。
【請求項25】
前記経口医薬剤形態が、ロサルタンを含む1000から500000個の微小単位を含む1日1回の経口量の形態であることを特徴とする、請求項7から24の一項に記載の使用。
【請求項26】
前記経口医薬剤形態が、1000から500000個の制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒を含む1日1回の経口量の形態であることを特徴とする、請求項7から25の一項に記載の使用。
【請求項27】
前記経口医薬剤形態が粉末のサシェ、懸濁液、錠剤またはゲルカプセルの形態にあることを特徴とする、請求項1から26の一項に記載の使用。
【請求項28】
前記経口医薬剤形態がロサルタン以外の少なくとも1つの有効成分APを含むことを特徴とする、請求項1から27の一項に記載の使用。
【請求項29】
前記経口医薬剤形態が制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒を含み、これらのために前記コーティングまたはマトリックスの組成が以下に述べられる製剤Aと製剤B、すなわち
(製剤A)
A−1:消化管の流体に不溶性であり、コーティング組成物の合計質量に対して固体が50%から90重量%、好ましくは50%から80重量%の比率で存在し、特に少なくとも1つの非水溶性セルロース誘導体を含む少なくとも1つの膜形成ポリマー(P1);
A−2:コーティング組成物の合計質量に対して固体が2%から25重量%、好ましくは5%から15重量%の比率で存在し、少なくとも1つのポリアクリルアミドおよび/または1つのポリ−N−ビニルアミドおよび/または1つのポリ−N−ビニルラクタムからなる少なくとも1つの含窒素ポリマー(P2);
A−3:コーティング組成物の合計質量に対して固体が2%から20重量%、好ましくは4%から15重量%の比率で存在し、以下の化合物、すなわちグリセロールエステル類、フタル酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、セチルアルコールエステル類、ヒマシ油のうちの少なくとも1つからなる少なくとも1つの可塑剤;
A−4:コーティング組成物の合計質量に対して固体が2%から20重量%、好ましくは4%から15重量%の比率で存在し、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤および/または潤滑剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤および/または潤滑剤(前記薬剤は上述の製品のうちの1つのみ、または混合物を含んでもよい);
または
(製剤B)
B1:胃腸管の流体に不溶性である少なくとも1種類の膜形成ポリマー;
B2:少なくとも1種類の水溶性ポリマー;
B3:少なくとも1種類の可塑剤;
B4:場合によって、少なくとも1種類のアニオン性界面活性剤および/または少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤からなることが好ましい少なくとも1種類の界面活性剤/潤滑剤
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7および10から12の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項30】
前記制御された放出型のロサルタン微粒子および/または微細顆粒が1000未満、好ましくは50および800の間、さらに優先的には50および500の間の平均直径(Dm、μm)を有することを特徴とする、請求項7から29の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項31】
ロサルタンの調節放出型経口医薬剤形態であって、
・ロサルタンを含む複数の微小単位を含むこと、
・前記微小単位の平均直径(Dm、μm)が50および1000の間、好ましくは100および600の間、さらに優先的には150および500の間であること、
・および、用量摂取の後に以下、すなわち
C18h*≦C18h
好ましくは 1.5×C18h*≦C18h≦Cmax*/2
さらに優先的には2.0×C18h*≦C18h≦Cmax*/2
(ここで、
・C18hは用量摂取18時間後のロサルタンの活性代謝産物(EXP3174)の血漿中濃度を表し、
・C18h*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でC18hと同じ条件下で得られるE3174の血漿中濃度を表し、
・Cmaxは用量摂取後のE3174の最大血漿中濃度を表し、
・Cmax*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でCmaxと同じ条件下で得られるE3174の最大血漿中濃度を表す。)
のように規定される血漿中プロファイルを得ることを可能にすること
を特徴とする形態。
【請求項32】
ロサルタンの調節放出型経口医薬剤形態であって、
・ロサルタンを含む複数の微小単位を含むこと、
・前記微小単位の平均直径(Dm、μm)が50および1000の間、好ましくは100および600の間、さらに優先的には150および500の間であること、
・用量摂取の後に以下、すなわち
−a− C18h*≦C18h
好ましくは 1.5×C18h*≦C18h≦Cmax*/2
さらに優先的には2.0×C18h*≦C18h≦Cmax*/2
−b− 1.1×Tmax*≦Tmax
好ましくは 1.2×Tmax*≦Tmax
さらに優先的には 1.5×Tmax*≦Tmax
なおさらに優先的には1.7×Tmax*≦Tmax≦6×Tmax
(ここで、
・C18hは用量摂取18時間後のロサルタンの活性代謝産物(E3174)の血漿中濃度を表し、
・C18h*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でC18hと同じ条件下で得られるE3174の血漿中濃度を表し、
・Cmaxは用量摂取後のE3174の最大血漿中濃度を表し、
・Tmaxは用量摂取の後に経過し、Cmaxに対応する時間を表し、
・Cmax*は同じロサルタンの用量を含む基準の即時放出型経口医薬剤形態でCmaxと同じ条件下で得られるE3174の最大血漿中濃度を表し、
・Tmax*は用量摂取の後に経過し、Cmax*に対応する時間を表す。)
のように規定される血漿中プロファイルを得ることを可能にすること
を特徴とする形態。
【請求項33】
前記微小単位のうちの少なくともいくつかがロサルタンを含むことが可能であり、前記ロサルタンの調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングで被覆されるコアで個々に構成される微粒子であることを特徴とする、請求項31または32に記載の経口医薬剤形態。
【請求項34】
含まれる前記微小単位のうちの少なくともいくつかが即時放出型ロサルタン微細顆粒で構成されることを特徴とする、請求項31から33のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項35】
前記ロサルタンのうちの70%が投与後1時間および24時間の間、好ましくは2時間および12時間の間、さらに優先的には2時間および8時間の間に放出されるような生体外溶解プロファイルで特徴付けられる、請求項34に記載の経口医薬剤形態。
【請求項36】
−ロサルタンの放出が2つの異なる開始メカニズム、すなわち1つがpH変化に基づき、他方が胃の中での所定の滞留時間の後にロサルタンの放出を可能にするメカニズムによって管理されること;
−一定のpH1.4で、溶解プロファイルが7時間以下、好ましくは5時間以下、さらに優先的には1時間および5時間の間続く遅滞期を含むこと、
−および、pH1.4からpH7.0への経過が遅滞時間を伴わずに始まる放出段階につながること
を特徴とする、請求項31または32および33に記載の経口医薬剤形態。
【請求項37】
生体外溶解試験で測定したときに溶解プロファイルが下記に示される通りである、すなわち
・ロサルタンのうちの20%未満がpH1.4で2時間後に放出され、
・ロサルタンのうちの少なくとも50%がpH1.4で16時間後に放出される
ことを特徴とする、請求項36および場合によって請求項40から46の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項38】
用量摂取後の時間(T)の関数としての活性代謝産物E3174の血漿中濃度の曲線下面積(AUC)のばらつきCV(%)が、同じ用量のロサルタンを含む基準の即時放出型経口医薬剤形態*の活性代謝産物E3174の血漿中濃度の、同一条件下での用量摂取後の時間(T)の関数としての曲線下面積(AUC*)の相当するばらつきCV*(%)の200%以下、好ましくは150%以下、さらに優先的には120%以下、すなわちCV≦2.0×CV*、CV≦1.5×CV*、好ましくはCV≦1.2×CV*であることを特徴とする請求項31から37のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項39】
溶解試験におけるロサルタンの生体外の放出速度がpHと無関係であることを特徴とする請求項31、33または35の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項40】
pH1およびpH5の間の前記微粒子の溶解プロファイルが同様であることを特徴とする請求項39に記載の経口医薬剤形態。
【請求項41】
請求項33に記載の微粒子の少なくとも2つの集団を含むことを特徴とする請求項31から40のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項42】
請求項33に記載の微粒子の少なくとも1つの集団および請求項34に記載の微細顆粒の少なくとも1つの集団を含むことを特徴とする請求項31から41のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項43】
1.4および7.4の間の少なくとも1つのpH値に関して異なる溶解プロファイルを有する少なくとも2つの微粒子の集団を含むことを特徴とする請求項36、場合によっては請求項41に記載の経口医薬剤形態。
【請求項44】
それぞれの開始pHが異なる少なくとも2つの調節放出型ロサルタン微粒子の集団を含むことを特徴とする請求項36、場合によっては請求項41および43の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項45】
それぞれの開始時間が異なる有効成分の調節放出を伴う少なくとも2つの微粒子の集団を含むことを特徴とする請求項36、場合によっては請求項41、43および44の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項46】
・即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団と;
・調節放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団P1と、および
・調節放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団P2と;
を含むこと、
および、P1およびP2のそれぞれの開始pHが少なくとも0.5pH単位、好ましくは少なくとも0.8pH単位、さらに優先的には少なくとも0.9pH単位異なることを特徴とする、請求項36、場合によっては請求項41および43から45の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項47】
調節放出型ロサルタン微粒子の様々な集団のそれぞれの開始pHが5および7の間であることを特徴とする、請求項36、場合によっては請求項41および43から46の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項48】
・即時放出型のロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団と;
・調節放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団であってその開始pHが5.5に等しい集団P1’と;
・調節放出型のロサルタン微粒子の少なくとも1つの集団であってその開始pHが6.0および6.5の間(両端を含む)である集団P2’と、
を含むことを特徴とする、請求項36、場合によっては請求項41から47の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項49】
生体外溶解試験での挙動が、ロサルタンのうちの少なくとも80%が1.4および7.4の間のpHで1時間以内に放出されるようにされる即時放出型の前記ロサルタン微細顆粒の少なくとも1つの集団を含むことを特徴とする、請求項34から48のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項50】
前記ロサルタンのうちの少なくとも50%が結晶形態Iにあることを特徴とする、請求項31から49のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項51】
前記調節放出型ロサルタン微粒子のうちの少なくともいくつかが各々、
・ロサルタンを含むコアと、
・前記コアを覆い、前記ロサルタンの前記調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングと
を含むことを特徴とする、請求項33から50の一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項52】
前記調節放出型ロサルタン微粒子のうちの少なくともいくつかが各々、
・以下を含むコアと、
・中性のコアと、
・前記ロサルタンを含み該中性のコアを被覆する少なくとも1つの活性層と、
・および、該コアを覆い、前記ロサルタンの前記調節放出を可能にする少なくとも1つのコーティングと
を含むことを特徴とする、請求項32から50のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項53】
前記微小単位の中のロサルタンの比率(前記微小単位の合計重量に対する固体の重量パーセントとして表される)が5および80の間、好ましくは10および70の間、さらに優先的には15および60の間であることを特徴とする、請求項1から52のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項54】
前記即時放出型ロサルタン微細顆粒が請求項34に記載の被覆されていない微粒子のコアであることを特徴とする、請求項33、場合によっては請求項34から52のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項55】
ロサルタンを含む1000から500000個の微小単位を含む1日1回の経口量の形態であることを特徴とする、請求項1から54のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項56】
1000から500000個の調節放出型のロサルタン微粒子を含む1日1回の経口量の形態であることを特徴とする、請求項1から55のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項57】
微小単位の粉末のサシェ、微粒子の懸濁液、微小単位から得られる錠剤、または微小単位を含むゲルカプセルの形態にあることを特徴とする、請求項31から56のいずれか一項に記載の経口医薬剤形態。
【請求項58】
医薬剤または食用の微粒子の経口製剤形態、好ましくは有利に口腔内分散可能な錠剤、粉末、またはゲルカプセルの形態の調製のための、請求項31から57のいずれか一項に記載の前記調節放出型ロサルタン微粒子、および場合によっては請求項34から57のいずれか一項に記載の前記即時放出型ロサルタン微細顆粒の使用。
【請求項59】
治療的に安全な微粒子の経口医薬剤形態であって、前記医薬剤形態が摂取された後、含まれる微粒子が胃に到達すると、分散され、個別化されて、患者が摂食状態であっても絶食状態であっても、用量摂取の間にこれらの微粒子が均一に漸進的に胃内容排出を受けることを可能にし、したがって胃腸の生体吸収窓で前記ロサルタンが確実に放出されるように設計された医薬剤形態の調製のための、請求項31から58のいずれか一項に記載の前記調節放出型ロサルタン微粒子、および場合によっては請求項34から58のいずれか一項に記載の前記即時放出型ロサルタン微細顆粒の使用。
【請求項60】
前記請求項のいずれか一項に規定される微粒子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−530185(P2008−530185A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555640(P2007−555640)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060158
【国際公開番号】WO2006/087394
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(593125160)フラメル・テクノロジー (22)
【氏名又は名称原語表記】FLAMEL TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060158
【国際公開番号】WO2006/087394
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(593125160)フラメル・テクノロジー (22)
【氏名又は名称原語表記】FLAMEL TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】
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