説明

ロッカーシステム、ロッカー管理方法、携帯型送受信装置およびロッカー管理システム

【課題】全てのロッカーを解錠可能なマスターキーまたは使用済みリストバンドを使わなくとも、複数のロッカーの解錠が可能なロッカーシステム、ロッカー管理方法、携帯型送受信装置およびロッカー管理システムを提供すること。
【解決手段】ロッカー装置が第1のロッカー識別子を記憶する第1の記憶部とロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子を受信する第1の受信部と受信した鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第1の照合部と第1の照合部の照合の結果、第2のロッカー識別子の送信を要求するロッカー識別子要求部と第2のロッカー識別子を受信する第2の受信部と第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第2の照合部と、照合の結果、前記第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子と一致した場合に前記ロッカー装置の扉の施錠または解錠を行う制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカーシステム、ロッカー管理方法、携帯型送受信装置およびロッカー管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDタグを内蔵したリストバンドなどにより非接触でロッカーの施錠または解錠が行えるロッカー管理システムが知られている。
このようなロッカー管理システムにおいて、パソコンとロッカーをオンラインで接続し、ロッカーの使用状態をリアルタイムに把握し、空き状態となっているロッカーと固有のIDを備えたリストバンドなどを対応付ける技術が公開されている(例えば、特許文献1参照)。ロッカーと固有のIDを対応付けることでロッカーの使用を効率よく管理することができる。
また、パソコンとロッカーをオンラインで接続せずとも、ロッカーと固有のIDを備えるリストバンドなどをあらかじめ1対1で対応させ、利用者に配布したリストバンドの利用状況を管理してロッカーの使用状況を把握する技術も公開されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−306637号公報
【特許文献2】特開平3−202997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したロッカーシステムのうち、前者のオンラインでパソコンと接続されるロッカーシステムを構築するためには、ロッカー全てとの通信を可能とするネットワークシステムを構築する必要があるため、多大な費用が必要となる。
また後者のロッカーシステムにおいては、ロッカー清掃に使用済みリストバンドを用いる場合が多く、この場合にはロッカーとリストバンドの清掃を同時に行えないため、繁忙期などロッカーの利用回転数を上げたい場合に時間的なロスとなってしまうことがある。
この時間的なロスを無くすために、ロッカー清掃にマスターキーを使用することで対応可能であるが、この場合清掃員が誤って使用中のロッカーを開けてしまうという可能性があり、セキュリティ面において問題がある。
上記に鑑み、本発明は、全てのロッカーを解錠可能なマスターキーまたは使用済みリストバンドを使わなくとも、複数のロッカーの解錠が可能なロッカーシステム、ロッカー管理方法、携帯型送受信装置およびロッカー管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るロッカーシステムは、複数のロッカー装置で構成されるロッカーシステムであって、前記ロッカー装置はロッカー装置を識別するための第1のロッカー識別子を記憶する第1の記憶部と、前記ロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子を受信する第1の受信部と、前記受信した鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第1の照合部と、前記第1の照合部の照合の結果、前記鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とが一致しなかった場合、第2のロッカー識別子の送信を要求するロッカー識別子要求部と、前記第2のロッカー識別子を受信する第2の受信部と、前記受信した第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第2の照合部と、前記第2の照合部の照合の結果、前記第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子と一致した場合に前記ロッカー装置の扉の施錠または解錠を行う制御部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の一態様に係るロッカー管理方法は、ロッカー装置を識別するための第1のロッカー識別子を記憶する複数のロッカー装置で構成されるロッカーシステムのロッカー管理方法であって、前記ロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子を受信するステップと、前記受信した鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合するステップと、前記照合の結果、前記鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とが一致しなかった場合、第2のロッカー識別子の送信を要求するステップと、前記第2のロッカー識別子を受信するステップと、前記受信した第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合するステップと、前記照合の結果、前記第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子と一致した場合に前記扉の施錠または解錠を行うステップと
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る携帯型送受信装置は、ロッカー装置を識別するための第1のロッカー識別子を記憶する複数のロッカー装置の鍵として機能する携帯型送受信装置であって、前記携帯型送受信装置は、前記ロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子と、前記鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とが一致しなかった場合、前記ロッカー装置を施錠または解錠するための第2のロッカー識別子を記憶する第2の記憶部と、前記鍵識別子を送信する第1の送信部と、前記第2のロッカー識別子の送信を要求する信号を受信する第3の受信部と、前記信号を受信したことに対応して、前記第2のロッカー識別子を送信する第2の送信部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係るロッカー管理システムは、複数のロッカー装置を備えるロッカーシステムと、前記ロッカー装置の施錠または解錠を行うための鍵である携帯型送受信装置を具備するロッカー管理システムであって、前記ロッカー装置はロッカー装置を識別するための第1のロッカー識別子を記憶する第1の記憶部と、前記携帯型送受信装置からロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子を受信する第1の受信部と、前記受信した鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第1の照合部と、前記第1の照合部の照合の結果、前記鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とが一致しなかった場合、第2のロッカー識別子の送信を前記携帯型送受信装置に要求するロッカー識別子要求部と、前記第2のロッカー識別子を受信する第2の受信部と、前記受信した第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第2の照合部と、前記第2の照合部の照合の結果、前記第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子と一致した場合に前記ロッカー装置の扉の施錠または解錠を行う制御部とを備え、前記携帯型送受信装置は、前記ロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子と、前記鍵識別子が前記第1のロッカー識別子と一致しない場合に前記ロッカー装置の鍵を施錠または解錠するための第2のロッカー識別子を記憶する第2の記憶部と、前記ロッカー装置に前記鍵識別子を送信する第1の送信部と、前記ロッカー装置から前記第2のロッカー識別子の送信を要求する信号を受信する第3の受信部と、前記信号を受信したことに対応して、前記第2のロッカー識別子を前記ロッカー装置に送信する第2の送信部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、全てのロッカーを解錠可能なマスターキー、使用済みリストバンドを使わなくとも、複数のロッカーの解錠が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ロッカー管理システム1を表す概念図である。
【図2】ロッカーシステム100を示す概念図である。
【図3】ロッカーシステム100を構成するロッカー装置100aの機能ブロック図である。
【図4A】顧客用リストバンド200に内蔵されるRFIDタグ200aの機能ブロック図である。
【図4B】清掃用リストバンド300に内蔵されるRFIDタグ300aの機能ブロック図である。
【図5】登録用カード450に内蔵されるRFIDタグ451の機能ブロック図である。
【図6】ロッカー管理端末510の機能ブロック図である。
【図7】ロッカー管理端末510が作成するロッカー状態情報テーブルT1を示す概念図である。
【図8】表示部516の表示の一例を示す概念図である。
【図9】清掃用リードライタ520の機能ブロック図である。
【図10】プリンタの機能ブロック図である。
【図11】プリンタが出力する清掃ロッカーリストの600一例を示す概略図である。
【図12】ロッカー装置100a〜100lのID0、マスターキーID登録時の動作を示すフローチャートである。
【図13】ロッカー管理端末500の動作を示すフローチャートである。
【図14】ロッカー装置100aの解錠処理を示すフローチャートである。
【図15】ロッカー装置100aの施錠処理を示すフローチャートである。
【図16】ロッカー装置100aの自動施錠処理を示すフローチャートである。
【図17】清掃用リストバンド300の他の形状を示す概念図である。
【図18】清掃用リストバンド300の他の形態を示す概念図である。
【図19】扉の施錠の動作の変更例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず図1を参照して本発明の一実施形態に係るロッカー管理システム1を説明する。図1はロッカー管理システム1を表す概念図である。
【0012】
同図に示すように、ロッカー管理システム1はロッカーシステム100、顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300、顧客管理システム400、登録用カード450、ロッカー管理システム500を備える。
ロッカー管理システム1は例えば、温浴施設やスポーツ施設などに設置される。
顧客管理システム400は、施設を利用する顧客(利用者)のチェックイン・チェックアウトの管理を行うためのものである。顧客管理システム400は例えば施設の受付などに設置される。
この受付で利用者は、施設利用の各種手続き(例えば、料金の支払いなど)を行い顧客用リストバンド200を手渡しされる。
【0013】
顧客管理システム400は、フロント端末410を備える。
フロント端末410は、ロッカー管理システム500とLANなどのネットワークで接続されている。
フロント端末410は、顧客のチェックイン・チェックアウトの管理情報をロッカー管理システム500に送信する。
具体的には顧客がチェックインしたことを示す情報またはチェックアウトしたことを示す情報と、顧客に渡された顧客用リストバンド200を特定するための情報を対応付けたテーブルデータ(以下、テーブルT0と称す。)をロッカー管理システム500へ送信する。
【0014】
「顧客用リストバンド200を特定するための情報」は顧客用リストバンド200に予め登録されたUID(Unique ID:固有のID)と呼ばれるID情報である。
「UID」は、顧客用リストバンド200だけでなく、清掃用リストバンド300、図示はしないマスターキーにも予め登録されており、ロッカーシステム100の鍵として識別されるための鍵識別子として機能する。UIDは、所定の文字数の英数字(例えば、100や101など)で表わされる。
【0015】
フロント端末410は例えば一般的なパーソナルコンピュータ(以下、PCと称す。)である。
フロント端末410は入力装置411を有している。入力装置411は顧客がチェックインしたことを示す情報、チェックアウトしたことを示す情報および顧客に渡された顧客用リストバンド200のUIDを入力するためのものである。
フロント端末410は入力されたこれらの情報を対応付けてテーブルT0を作成する。
【0016】
次に図2、図3を参照してロッカーシステム100について説明する。図2はロッカーシステム100を示す概念図である。図3はロッカーシステム100を構成するロッカー装置100aの機能ブロック図である。
ロッカーシステム100は、ロッカー装置100a〜100l(「100l」は100エル)から構成されている。ロッカーシステム100を構成するロッカー装置の数は特に限定されない。ここでは、一例としてロッカー装置100a〜100lを説明する。ロッカー装置100a〜100lはそれぞれ、個別のロッカー番号(例えば「100」、「101」)によって区分される。
ロッカー装置100a〜100lは施設の利用者である顧客が着替えなどを行う際に服や貴重品などを保管するために使用される。ロッカー装置100a〜100lは、顧客の使用した後で施設の従業員によって忘れ物の確認、清掃などが行われる。
【0017】
ロッカー装置100a〜100lは扉の施錠を行うための電子錠を有しており、この電子錠の施錠または解錠は顧客用リストバンド200または清掃用リストバンド300によって行われる。また、マスターキーでも電子錠の施錠または解錠が可能である。
ロッカー装置100a〜100lは、マスターキーを識別するためのマスターキーID、清掃用リストバンドを識別するための清掃用識別IDを備える。また、ロッカー装置100a〜100lはそれぞれ個別のロッカーID0を備える。
「ロッカーID0」はロッカー装置100a〜100lをそれぞれ識別するための第1のロッカー識別子として機能する。ロッカーID0は、顧客用リストバンド200に予め登録されたUIDにそれぞれ対応する。すなわち、ロッカーID0には、所定の文字数の英数字が適用される。
ロッカーID0、マスターキーID、清掃用識別IDは、ロッカー管理システム1が温浴施設やスポーツ施設などに設置された際に登録用カード450を用いて登録される。
ロッカー装置100a〜100lは、顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300と、扉の施錠または解錠を行う為の情報であるUID、清掃用ID、ロッカーID1の送受信を行う。これらの情報は、無線通信によって送受信される。
【0018】
「清掃用ID」は、ロッカー装置100a〜100lが、清掃用リストバンド300を識別するためのものである。ロッカー装置100a〜100lは、受信した清掃用IDと、予め備える清掃用識別IDとを比較することで清掃用リストバンドを識別できる。
「ロッカーID1」はロッカー装置100a〜100lのロッカーID0と比較される。ロッカーID1は第2のロッカー識別子として機能する。ロッカーID1は清掃用リストバンド300に記憶される。
【0019】
ロッカー装置100a〜100lは自身に設定されたロッカーID0と対応するUIDまたはロッカーID1の情報を受信したときにのみ扉の施錠または解錠を行う。
例えば、ロッカー装置100aに設定されたロッカーID0と対応するUIDを備える顧客用リストバンド200を用いた場合、ロッカー装置100aの扉の施錠または解錠は行えるが、ロッカー装置100bの扉の施錠または解錠は行えない。
同様に、例えば、ロッカー装置100aに設定されたロッカーID0と対応するロッカーID1を備える清掃用リストバンド300を用いた場合、ロッカー装置100aの施錠または解錠は行えるが、ロッカー装置100bの施錠または解錠は行えない。
【0020】
なお、マスターキーを用いれば全てのロッカー装置100a〜100lの扉の施錠または解錠を行うことが可能である。しかし、マスターキーを用いた場合、本来解錠する必要のないロッカー装置(例えば、顧客がまだ使用中のロッカー装置)を解錠してしまう畏れがある。
すなわち、マスターキーを用いてのロッカー装置100a〜100lの扉の施錠または解錠はセキリュティー上問題がある場合が多い。
そこで、施設の運営時にはマスターキーは使用しないことが望ましい。マスターキーは、例えば施設が休みの時にロッカーシステム100を点検するために使用するようにする。
【0021】
ロッカー装置100a〜100lはロッカー番号、ロッカーID0以外はほぼ同様の構成、機能を備える。以下、説明を分かりやすくするためロッカー装置100aについてのみ詳細に説明する。
図3に示すようにロッカー装置100aはRFIDタグ処理部101、データ書込部102、ロッカーID記憶部103、判別ID記憶部104、ID照合部105、扉部106、電子錠107、タイマ部108、フラグ保持部109を備える。
RFIDタグ処理部101はロッカー識別子要求部、ロッカー装置の扉の施錠または解錠を行う制御部および施解錠判別部、時間設定手段、記憶制御手段として機能する。
RFIDタグ処理部101は電子錠107の動作、非動作を制御することで扉部106の施錠または解錠を行う。すなわち電子錠107の動作中は施錠状態であり、電子錠107の非動作中は解錠状態となる。
【0022】
RFIDタグ処理部101は電子錠107の動作状態を常に監視している。
RFIDタグ処理部101はタイマ部108を動作させ所定の時間T1、T2を計時させる。時間T1、T2は計時時間情報としてRFIDタグ処理部101が備える図示はしないメモリにあらかじめ記憶されたものである。
「時間T1」は、ロッカー装置100aの施錠動作(扉部106を解錠状態から施錠状態に変更する動作)時に計時される。具体的には、扉部106を閉めてから、顧客用リストバンド200、マスターキー、または清掃用リストバンド300がかざされるまでのタイムアウトの時間を計時する。
【0023】
RFIDタグ処理部101はタイマ部108から時間T1のタイムアップを受信する。RFIDタグ処理部101は時間T1のタイムアップを受信すると、電子錠107を制御して扉部106を自動的に施錠する処理を行う(以下、自動施錠処理と称す)。
「時間T2」は自動施錠処理において計時される。時間T2は、ロッカー装置100aが顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300、マスターキーのいずれかで解錠されたかに応じて適宜設定される。
RFIDタグ処理部101は、ロッカー装置100aが顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300、マスターキーのどれかによって解錠されたかをフラグ(マスターキー解錠フラグ、清掃用キー解錠フラグ)を立てることで識別することができる。
【0024】
「マスターキー解錠フラグ」は、例えば0FF:マスターキーでは電子錠107は解錠されていない状態、ON:マスターキーによって電子錠107が解錠された状態を示す。
「清掃用キー解錠フラグ」は、例えば0FF:清掃用リストバンド300では電子錠107は解錠されていない状態、ON:清掃用リストバンド300によって電子錠107が解錠された状態をしめす。
RFIDタグ処理部101はマスターキー解錠フラグ、清掃用キー解錠フラグをフラグ保持部109に保持させる。
RFIDタグ処理部101は、データ書込部102を介して顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300などからUID、清掃用ID、ロッカーID1を読み込む。
【0025】
データ書込部102は無線信号の受信装置であり、回巻して形成されたアンテナを備えることで第1、第2、第5、第6の受信部として機能する。
ロッカーID記憶部103は、ロッカー装置100aに設定されたロッカーID0を記憶する。ロッカーID記憶部103は、第1の記憶部として機能する。
判別ID記憶部104は、清掃用リストバンド300に記憶された清掃用IDやマスターキーに記憶されたUIDとそれぞれ対応する「清掃用識別ID」、「マスターキーID」を記憶する。
【0026】
ID照合部105は第1、第2の照合部として機能する。
ID照合部105は顧客用リストバンド200、マスターキー、清掃用リストバンド300などから受信したUID、清掃用リストバンド300から受信したロッカーID1と、ロッカーID記憶部103に記憶されたロッカーID0を照合する。
また、ID照合部105は清掃用リストバンド300から受信した清掃用IDまたはマスターキーから受信したUIDと判別ID記憶部104に記憶された清掃用識別ID、マスターキーIDとを照合する。
ID照合部105は照合したID同士が一致するか否かをRFIDタグ処理部101に通知する。
【0027】
扉部106は顧客やロッカー装置100aを清掃する従業員によって開閉される。
電子錠107はRFIDタグ処理部101に制御されて扉部106の施錠または解錠を行う。
タイマ部108は所定時間(T1、T2)を計時する。タイマ部108はRFIDタグ処理部101の制御によって計時動作を開始し、所定時間を計時すると、タイムアップしたことをRFIDタグ処理部101に通知する。タイマ部108は、タイムアップ通知後、RFIDタグ処理部101によってリセットされる。なおタイムアップ通知後、タイマ部108が自らカウント値をリセットしてもよい。また、タイムアップ通知を行わずとも、RFIDタグ処理部101がタイマ部108を監視することで、タイマ部108が計時した所定時間を判別することもできる。
【0028】
次に図4A、図4Bを参照して顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300について説明する。図4Aは、顧客用リストバンド200に内蔵されるRFIDタグ200aの機能ブロック図である。図4Bは清掃用リストバンド300に内蔵されるRFIDタグ300aの機能ブロック図である。
顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300はリストバンド状に形成されている。顧客、従業員はこれらを例えば手首に巻きつけて携帯する。
【0029】
図4Aに示すように、顧客用リストバンド200は、RFIDタグ200aを内蔵する。顧客用リストバンド200は、携帯型鍵装置として機能する。顧客用リストバンド200は顧客によって携帯され、ロッカー装置100a〜100lのいずれか1つのロッカー装置の扉の施錠または解錠に使用される。
RFIDタグ200aは、メモリとして機能する記憶部210、タグ基材の表面に回巻して形成されたアンテナ220、制御部230、通信部240などを備えている。
記憶部210は、書き換え可能な情報が電気的に書き込まれるフラッシュメモリである。記憶部210はUID記憶領域211、清掃用ID記憶領域212、ロッカーID記憶領域213を有する。なお、記憶部210はUID記憶領域211のみを有する場合もある。
【0030】
UID記憶領域211は、第3の記憶部として機能する。UID記憶領域211は、UIDが記憶される領域である。このUIDは、ロッカー装置100a〜100lにロッカーID0として記憶される。
清掃用ID記憶領域212、ロッカーID記憶領域213にはそれぞれ清掃用ID、ロッカーIDを記憶させることができる。このことにより、顧客用リストバンド200を清掃用リストバンド300として使用(転用)することもできる。
【0031】
顧客用リストバンド200を清掃用リストバンド300として使用しない場合、清掃用ID記憶領域212には、清掃用IDは記憶されない。例えば、何も情報が記憶されていないことを示す情報が記憶される。また、UID記憶領域211に記憶されたUIDと同じIDが記憶される場合もある。
また、顧客用リストバンド200を清掃用リストバンド300として使用しない場合、ロッカーID記憶領域213には、例えば、何も情報が記憶されていないことを示す情報が記憶される。
制御部230は、ロッカー装置100a〜100lに対して、UIDなどの情報を送信する。制御部230と記憶部210はICチップとして一体形成されている。
アンテナ220は、第4の送信部として機能する。
【0032】
清掃用リストバンド300は携帯型送受信装置として機能する。
清掃用リストバンド300は、使用済みのロッカー装置100a〜100lを清掃する際に従業員によって携帯され、ロッカー装置100a〜100lのうち1以上のロッカー装置の扉の施錠または解錠が可能である
【0033】
清掃用リストバンド300はRFIDタグ300aを内蔵する。RFIDタグ300aは、メモリとして機能する記憶部310、タグ基材の表面に回巻して形成されたアンテナ320、制御部330、通信部340などを備えている。
制御部330はロッカー管理システム500からロッカーID0を受信してロッカーID1として記憶部310に記憶させる。すなわち制御部330は識別子書き込み部として機能する。
記憶部310と制御部330はICチップとして一体形成されている。
記憶部310は書き換え可能な情報が電気的に書き込まれるフラッシュメモリである。記憶部310はUID記憶領域311、清掃用ID記憶領域312、ロッカーID記憶領域313を有する。記憶部310は第2の記憶部として機能する。
【0034】
UID記憶領域311は、UIDが記憶される領域である。顧客用リストバンド200のUID記憶領域211にはロッカー装置100a〜100lがロッカーID0として記憶するUIDが記憶されるが清掃用リストバンド300ではロッカーID0とは対応しない所定のUIDが記憶される。
清掃用ID記憶領域312は清掃用IDが記憶される領域である。
【0035】
ロッカーID記憶領域313は1以上のロッカーID1が記憶される領域である。ロッカーID記憶領域313に1以上のロッカーID1が記憶されることで、ロッカー装置100a〜100lのうち複数のロッカー装置の施錠または解錠が可能となる。
通信部340はアンテナ320を介してロッカーシステム100などと、ロッカーID1やUIDなどの送受信を行う。すなわち、通信部340は鍵識別子を送信する第1の送信部、第2のロッカー識別子を送信する第2の送信部、第2のロッカー識別子の送信を要求する信号を受信する第3の受信部、第1のロッカー識別子を受信する第4の受信部として機能する。
【0036】
なお、清掃用リストバンド300は、顧客用リストバンド200として使用(転用)することもできる。清掃用リストバンド300を顧客用リストバンド200として使用する場合、UID記憶領域311に記憶されたUIDが、UID0としてロッカー装置100a〜100lのいずれかに記憶される。
清掃用リストバンド300を顧客用リストバンド200として使用する場合、清掃用ID記憶領域312には、清掃用IDは記憶されない。例えば、何も情報が記憶されていないことを示す情報が記憶される。また、UID記憶領域311に記憶されたUIDと同じIDが記憶される場合もある。
また、清掃用リストバンド300を顧客用リストバンド200として使用する場合、ロッカーID記憶領域313には、ロッカーID1は記憶されない。清掃用ID記憶領域312と同様に、例えば、何も情報が記憶されていないことを示す情報が記憶される。また、UID記憶領域311に記憶されたUIDと同じIDが記憶される場合もある。
以上が顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300についての説明である。
【0037】
次に図5を参照して登録用カード450について説明する。登録用カード450は、携帯型識別子送信装置として機能する。登録用カード450は、ロッカー装置100a〜100lに対して、ロッカーID0、清掃用識別ID、マスターキーIDのいずれかを登録するためのものである。登録用カード450は、清掃用リストバンド300などとほぼ同様の構成を備える。
登録用カード450は、ロッカーID0登録用、清掃用識別ID登録用、マスターキーID登録用など複数に分別されて用いられる。
登録用カード450は、清掃用リストバンド300などと同様にリストバンド形状でもよい。
図5に示すように、登録用カード450は、RFIDタグ451を備える。
RFIDタグ451は、アンテナ452、制御部453、通信部454、記憶部455などを備える。
制御部453は、ロッカー装置100a〜100lのモードを制御する情報(ロッカー制御用コード)、マスターキーID、清掃用識別IDとして記憶される清掃用IDをロッカー装置100a〜100lに送信する。
通信部454は清掃用リストバンド300の通信部340ほぼ同じ構成、機能を備えているのでここでは詳細な説明は省略する。また、アンテナ452は、清掃用リストバンド300のアンテナ320とほぼ同じ構成、機能を備える。アンテナ452は、第5の送信部として機能する。
【0038】
記憶部455は、書き換え可能な情報が電気的に書き込まれるフラッシュメモリである。記憶部455はロッカー制御用コード記憶領域455a、ID記憶領域455bを有する。
ロッカー制御用コード記憶領域455aは、ロッカー装置100a〜100lのモード切り替えるための制御コードを記憶する。具体的には、ロッカーID0を記憶するモード、清掃用識別IDを記憶するモード、マスターキーIDを記憶するモード、通常のモードに切り替えるための制御コードである。
ID記憶領域455bには、マスターキーIDや、清掃用IDが記憶される。ID記憶領域455bに記憶されるマスターキーID、清掃用IDは1つでもよいし複数個でもよい。ID記憶領域455bに記憶されたマスターキーID、清掃用IDは、それぞれのIDを記憶するモードに切り替えられたロッカー装置100a〜100lに対して送信される。
なお、ロッカーID0登録用の登録用カード450は、ID記憶領域455bを備えずともよい。
【0039】
次に図6〜図11を参照してロッカー管理システム500について説明する。
図6はロッカー管理端末510の機能ブロック図である。図7はロッカー管理端末510が作成するロッカー状態情報テーブルT1を示す概念図である。図8は表示部516の表示の一例を示す概念図である。図9は清掃用リードライタ520の機能ブロック図である。図10はプリンタの機能ブロック図である。図11はプリンタが出力する清掃ロッカーリストの600一例を示す概略図である。
ロッカー管理システム500は、ロッカー管理端末510、清掃用リードライタ520、プリンタ540で構成される(図1参照)。
【0040】
図6に示すようにロッカー管理端末510は、ロッカーID記憶部511、制御部512、通信インターフェース513、メニュー作成部514、ロッカー状態テーブル記憶部515、表示部516、入力部517を備える。
ロッカー管理端末510は例えば一般的なPCである。ロッカー管理端末510は管理装置として機能する。
ロッカーID記憶部511は、清掃用リストバンド300にロッカーID1として記憶させるロッカーID0およびこのロッカーID0が対応するロッカー番号を記憶する。
【0041】
制御部512は通信インターフェース513を介して清掃用リードライタ520を制御し、清掃用リストバンド300に対してロッカーID記憶部511に記憶されたロッカーID0を送信する。清掃用リストバンド300に送信されたロッカーID0は、ロッカーID1として清掃用リストバンド300に記憶される。
制御部512は通信インターフェース513を介してフロント端末410から送信されたテーブルT0を受信する。
制御部512は、ロッカー状態情報テーブルT1(図7参照)を作成し、ロッカー状態テーブル記憶部515に保持させる。
【0042】
「ロッカー状態情報テーブルT1」はロッカー番号、ロッカーID0、ロッカーの使用状態が対応付けられて表される。
ロッカー状態情報テーブルT1に含まれる「ロッカー番号」、「ロッカーID0」は、それぞれロッカー装置100a〜100lに設定されたロッカー番号、ロッカーID0に対応する。すなわち、ロッカー状態情報テーブルT1に含まれる「ロッカーID0」はテーブルT0に含まれる「UID」とも対応する。
「ロッカーの使用状態」は、「空き」、「使用中」、「清掃指示」、「清掃中」、「忘れ物あり」、「故障中」、「使用停止」のいずれかである。
【0043】
制御部512は、入力部517によって入力された種々の情報を受信する。
制御部512は受信した入力部517の情報に基づいて通信インターフェース513を介して清掃用リードライタ520、プリンタ540に種々のコマンドを送信する。
具体的にはロッカーID0を清掃用リストバンド300に記憶させるための書き込み指示コマンド、従業員がロッカーシステム100の清掃の時に参照される清掃ロッカーリスト600の印刷を指示するコマンドである。
「書き込み指示コマンド」にはテーブルT1のロッカーID0が含まれる。
「印刷を指示するコマンド」には、テーブルT1のロッカー番号が含まれる。
【0044】
制御部512は、記憶部515に保持させたロッカー状態情報テーブルT1に基づいてメニュー作成部514を制御してロッカーステータス管理メニューを作成し、作成したロッカーステータス管理メニューを表示部516に表示させる。
メニュー作成部514は制御部512に制御され、図8に示すロッカーステータス管理メニューを作成する。
「ロッカーステータス管理メニュー」はテーブルT1の「ロッカー番号」と「ロッカーの使用状態」とが対応付けられたロッカー管理リストと、ロッカーID0を清掃用リストバンド300に記憶させまたは消去させるための各種ボタンとから構成される。ロッカーステータス管理メニューは、表示部516に表示される。
図8に示すようにロッカーステータス管理メニューは所定数の情報表示欄、ポインタで構成されている。
具体的にはロッカー番号表示欄516a、ロッカー使用状況表示欄516b、書き込みボタン表示欄516c、消去ボタン表示欄516d、リスト出力ボタン表示欄516e、ポインタ516fで構成されている。
【0045】
ロッカー番号表示欄516aにはロッカー状態情報テーブルT1の「ロッカー番号」を示す情報が表示される(例えば、「100」や「101」)。
ロッカー使用状況表示欄516bにはロッカー状態情報テーブルT1のロッカー番号に対応した「状態」を示す情報が表示される。具体的には、ロッカー番号表示欄516aに表示されたロッカー番号「100」の使用状態として、ロッカー状態情報テーブルT1のロッカー番号「100」に対応する「状態」(ここでは「空き」)が表示される。
【0046】
書き込みボタン表示欄516cは、清掃用リストバンド300に対してロッカーID1を記憶させるためのものである。
消去ボタン表示欄516dは、清掃用リストバンド300に対して、この清掃用リストバンド300が記憶するロッカーID1を消去するためのものである。
リスト出力ボタン表示欄516eは、清掃ロッカーリスト600の印刷を実行するためのものである。
ポインタ516f(ロッカー番号表示欄516a「100」上の太枠)は入力部517のボタン操作によりロッカー番号表示欄516aの各ロッカー番号上、書き込みボタン表示欄516c上、消去ボタン表示欄516d上、リスト出力ボタン表示欄516e上を順次移動する。
また、入力部517のボタン操作により、各表示欄を選択、各表示欄が対応する動作(例えば、リスト出力)の決定がおこなえる。
なお、ここではポインタ516fの形態を枠としたがポインタ516fの形態は特に限定されず例えば、入力部517がマウスを備える場合にはこのマウスで操作可能なマウスカーソルとしてもよい。
マウスカーソルは矢印で表され、マウスの動きと連動してロッカーステータス管理画面内の任意の箇所を移動する。
【0047】
ロッカーステータス管理メニューはロッカー管理システム1が立ち上がる際に作成され、それ以後はテーブルT1のロッカーの使用状態の変更に対応して適宜情報が更新される。
ここでテーブルT1のロッカーの使用状態の変更の例をA〜Eに示す。
A.チェックインを示す情報を含むテーブルT0を受信することで「空き」から「使用中」に更新される。
B.チェックアウトを示す情報を含むテーブルT0を受信することで「使用中」から「清掃指示」に更新される。
C.入力部517の操作によりロッカーステータス管理メニューの書き込みボタンが選択、決定されることでロッカーの使用状態が「清掃指示」から「清掃中」に更新される。
D.入力部517の操作によりロッカーステータス管理メニューの消去ボタンが選択、決定されることでロッカーの使用状態が「清掃中」から「空き」に更新される。
E.入力部517が備える故障中、使用停止、忘れ物ありのいずれかのボタンが押下されることでロッカーの使用状態が「清掃中」から適宜これらの状態に更新される。
以上が図8を用いたロッカーステータス管理メニューの説明である。
【0048】
再び図6を参照して説明を続ける。通信インターフェース513は第3の送信部の一部である。
通信インターフェース513はフロント端末410とネットワークで接続される為のLANポートを備える。通信インターフェース513は清掃用リードライタ520、プリンタ540と電気的に接続されるためのポート(例えばUSBポート:Universal Serial Busポート)も備える。
ロッカー状態テーブル記憶部515は、ロッカー状態情報テーブルT1を保持する。すなわち、ロッカー状態テーブル記憶部515はテーブルデータ記憶部として機能する。
表示部516は、液晶表示パネル等からなるディスプレイ装置であり、ロッカーステータス管理メニューなどを表示する。
【0049】
入力部517は、例えば、タッチパネルや押下式のボタン群、キーボード、マウスなどである。入力部517は、表示部516に表示されたロッカーステータス管理メニューのボタンなどを選択、決定するための装置である。入力部517が選択、決定したボタンの情報は制御部512に通知される。
入力部517は「故障中」、「使用停止」、「忘れ物あり」などのボタンを備える。
【0050】
清掃用リードライタ520は、清掃用リストバンド300にロッカーID0をロッカーID1として記憶させる装置である。
図9に示すように清掃用リードライタ520は、RFID処理部521、通信インターフェース522、情報読み書き部523を備えている。
RFID処理部521は情報読み書き部523などを制御する。
RFID処理部521は、通信インターフェース522を介してロッカー管理端末510からロッカーID0を含む書き込み指示コマンドを受信する。
RFID処理部521は、受信した書き込み指示コマンドに基づき、情報読み書き部523を介して清掃用リストバンド300にロッカーID0を含む書き込み指示コマンドを送信する。このコマンドによってロッカーID0をロッカーID1として清掃用リストバンド300に記憶させることができる。
通信インターフェース522は、ロッカー管理端末510と電気的に接続されるためのものである。
情報読み書き部523は回巻して形成されたアンテナを備えることで清掃用リストバンド300に対してロッカーID0の記憶、消去の指示を行う信号を送信する第3の送信部の他部として機能する。
【0051】
図10、図11に示すようにプリンタ540は、清掃用リストバンド300に記憶されたロッカーID1に対応付けられたロッカー番号を含む清掃ロッカーリスト600を出力するための出力装置である。
プリンタ540は、プリント制御部542、通信インターフェース543、プリント実行部544を備えている。
プリント制御部542は情報読み書き部523などを制御する。プリント制御部542は、通信インターフェース543を介してロッカー管理端末510から印刷を指示するコマンドを受信する。
プリント制御部542は、受信したコマンドに基づきプリント実行部544を制御し、清掃ロッカーリスト600を印刷させる。
【0052】
通信インターフェース543は、ロッカー管理端末510と電気的に接続されるためのものである。
プリント実行部544は例えば、印刷用紙を載置するための載置部やリスト印刷のためのトナー、給紙装置から構成される。
清掃ロッカーリスト600はロッカー番号の隣にチェックボックスを設けることで、従業員がどのロッカーの清掃が終わったかを記録・確認することを可能とする。
従業員は、この清掃ロッカーリスト600と清掃用リストバンド300を持って対象ロッカーの清掃を行う。
【0053】
(各装置の動作の説明)
次に、図12〜15を参照して各装置の動作を説明する。
まず図12を参照して、ロッカー装置100a〜100lにロッカーID0、マスターキーID、清掃用識別IDを登録させる際のロッカー装置100a〜100lの動作を説明する。図12は、各IDの登録時のロッカー装置100a〜100lの動作を示すフローチャートである。
【0054】
(1)ロッカー制御用コード受信(ステップS10〜S11)
ロッカー装置100a〜100lのデータ書込部102に対して作業者(例えば、ロッカー装置100a〜100lを施設に設置した作業者や施設の従業員)が登録用カード450をかざす(ステップS10)。
このとき、RFID処理部101は、登録用カード450からロッカー制御用コードを受信する。RFID処理部101は、ロッカー制御用コードの内容によって、ロッカーID0、清掃用識別ID、マスターキーIDのいずれかを登録するためのモードとなる(ステップS11)。
【0055】
(2)ID登録(ステップS12、S13)
次に、各ID登録用モードに切り替わったロッカー装置100a〜100lにロッカーID0、清掃用識別ID、マスターキーIDが登録される。
【0056】
以下、ロッカーID0、清掃用識別ID、マスターキーIDの登録の具体例A〜Cを示す。
A.ロッカーID0を登録する場合
ステップS11において、ロッカーID0登録用のモードに切り替わった場合、ここで、作業者によってデータ書込部102に対して顧客用リストバンド200がかざされる。
具体的には、このとき、作業者は、ロッカー装置100a〜100lと対応付けをおこなう複数の顧客用リストバンド200を所有している。作業者が、各ロッカー装置100a〜100lに対し複数の内の1本の顧客用リストバンド200をかざす。
RFIDタグ処理部101は、かざされた顧客用リストバンド200からUIDを読み込む(ステップS12)。読み込まれたUIDは、ロッカー装置100a〜100lがそれぞれ備えるロッカーID記憶部103にロッカーID0として記憶される(ステップS13)。
【0057】
B. 清掃用識別IDを登録する場合
ステップS11において、清掃用識別ID登録用のモードに切り替わった場合、RFIDタグ処理部101は、登録用カード450のID記憶領域455bに記憶された清掃用IDを読み込む(ステップS12)。RFIDタグ処理部101は、読み込んだ清掃用IDを清掃用識別IDとして判別ID記憶部104に記憶する(ステップS13)。
【0058】
C.マスターキーIDを登録する場合
ステップS11において、マスターキーID登録用のモードに切り替わった場合、RFIDタグ処理部101は、登録用カード450のID記憶領域455bに記憶されたマスターキーIDを読み込む(ステップS12)。RFIDタグ処理部101は、読み込んだマスターキーIDを判別ID記憶部104に記憶する(ステップS13)。
【0059】
(3)ID登録動作の終了(ステップS14)
ロッカーID0、清掃用識別ID、マスターキーIDのいずれかが記憶された後、ステップS10で使用した登録用カード450が再びかざされるとRFID処理部101はこのID登録の処理を終了する。すなわち、ロッカー装置100a〜100lは、顧客などの使用者に利用される通常のモードへ切り替わる。
なお、ステップS13の処理後に、所定時間を計時し、タイムアウトによって自動的にID登録のモードから通常のモードへ移行するようにしてもよい。
【0060】
以上説明したように、登録用カード450によって、顧客用リストバンド200のUIDをロッカーID0としてロッカー装置100a〜100lそれぞれに登録することができる。このことによって顧客用リストバンド200とロッカー装置100a〜100lをそれぞれ対応付けることができる。また、同様に、登録用カード450によって、清掃用識別ID、マスターキーIDをロッカー装置100a〜100lに登録することができる。
【0061】
(ロッカー管理端末500の動作)
次に図13を参照してロッカー管理端末500の動作について説明する。図13はロッカー管理端末500の動作を示すフローチャートである。
なお、以下の説明では、すでにロッカーステータス管理メニューが作成された状態から説明する。すなわち、表示部516にはロッカーステータス管理メニューが表示された状態である。
(1)テーブルT0受信(ステップS101)
制御部512が通信インターフェース513を介してフロント端末410からテーブルT0を受信する。制御部512は顧客がチェックイン、チェックアウトするたびにテーブルT0を受信することになる。
【0062】
(2)ロッカー管理リスト更新(ステップS102)
制御部512は受信したテーブルT0に基づきロッカー状態情報テーブルT1のロッカー使用状態を更新する。
具体的には、テーブルT0がチェックインを示す情報だった場合、ロッカーの状態を「空き」から「使用中」に更新する。また、テーブルT0がチェックアウトを示す情報だった場合、ロッカーの状態を「使用中」から「清掃指示」に更新する。
このロッカー状態情報テーブルT1の更新に対応して、制御部512は、メニュー作成部514を制御してロッカー管理リストのロッカー状態を更新する。
【0063】
このとき表示部516には更新されたロッカー管理リストが反映されたロッカーステータス管理メニューが表示される。
(3)ロッカーID記録(ステップS103)
従業員が表示部516に表示されたロッカーステータス管理メニューのロッカー番号表示欄516a、ロッカー使用状況表示欄516bを参照して、清掃を行うロッカー装置100a〜100lのいずれかを決定する。
この決定は、従業員が入力部517を操作し、ポインタ516fを用いてロッカー番号表示欄516a上のいずれかのロッカー番号を選択する(例えば入力部517の所定のボタンを押す)ことで行う。
【0064】
従業員が選択するロッカー番号は、ロッカー使用状況表示欄516bが「清掃指示」となっているものである。
従業員は、清掃を行うロッカー装置100a〜100lを選択後、ポインタ516fを用いて書き込みボタン表示欄516cを選択する。
この選択に基づいて制御部512は、清掃用リードライタ520に書き込み指示コマンドを送信する。この書き込み指示コマンドには、従業員が選択した清掃を行うロッカーのロッカーID0が含まれる。
ここで従業員は清掃用リードライタの情報読み書き部523に清掃用リストバンド300を近づけると、RFIDタグ300aにロッカーID0が送信される。
【0065】
RFIDタグ300aの制御部330は受信したロッカーID0をロッカーID1としてロッカーID記憶領域313に記憶させる。
ここで従業員は入力部517を操作し、リスト出力ボタン表示欄516eを選択することができる。この選択に対応して制御部330は、プリンタ540に清掃ロッカーリスト305の印刷を指示するコマンドを送信する。このコマンドには従業員が選択した清掃を行うロッカーのロッカー番号が含まれる
【0066】
(4)ロッカー管理リスト更新(ステップS104)
制御部512は書き込みボタン表示欄516cが選択されたときまたは、清掃用リードライタ520に送信したときにロッカー状態情報テーブルT1のロッカーの状態を「清掃指示」から「清掃中」に更新する。
このロッカー状態情報テーブルT1の更新に対応して、制御部512は、メニュー作成部514を制御してロッカー管理リストのロッカー状態を更新する。このとき表示部516には更新されたロッカー管理リストが反映されたロッカーステータス管理メニューが表示される。
【0067】
(5)ロッカーIDの消去(ステップS105、S106)
従業員はロッカーの清掃終了後、入力部517を操作し、ポインタ516fを用いて消去ボタン表示欄516eを選択する。
この選択に基づいて制御部512は、清掃用リードライタ520にロッカーID1の消去指示コマンドを送信する。
ここで従業員が清掃用リードライタ520の情報読み書き部523に清掃用リストバンド300を近づけると、RFIDタグ300aに記憶されたロッカーID1が消去される。
【0068】
具体的には清掃用リードライタ520からロッカーID1の消去を指示するコマンドをRFIDタグ300aの制御部330が受信し、ロッカーID記憶領域313からロッカーID1を消去する。
なお、従業員は清掃用リストバンド300を近づけてから消去ボタン表示欄516eを選択してもよい。
(6)ロッカー管理リスト更新(ステップS107)
制御部512は、消去ボタン表示欄516eが選択されたときまたはロッカーID1の消去を指示するコマンドを清掃用リードライタ520に送信したときにロッカー状態情報テーブルT1のロッカーの状態を「清掃中」から「空き」に更新する。
ロッカー装置の清掃中にロッカー装置内に顧客の忘れ物が発見される場合がある。この場合、従業員は入力部517を操作し、ロッカー番号表示欄516a上の忘れ物が発見されたロッカー番号を選択し、「忘れ物あり」ボタンを押す。
制御部512は「忘れ物あり」ボタンが押されたことに基づいてロッカー状態情報テーブルT1のロッカーの状態を「清掃中」または「空き」から「忘れ物あり」に更新する。使用中止、使用不可の場合も同様の手順で行う。
【0069】
なお、制御部512はロッカー状態情報テーブルT1の更新(ステップS102、S104、S106)の動作終了後、更新したロッカー状態情報テーブルT1を通信インターフェース512を介してフロント端末410に送信する。
こうすることでフロント端末410でも常に最新のロッカー装置の状態を把握することができ、顧客のチェックインの管理をスムーズに行うことができる。
【0070】
以上のように構成されたロッカー管理システム500は、ロッカーシステム100の使用状況をリアルタイムで表示部516に表示することができる。従業員はこの表示部516の画面において「清掃指示」となっているロッカー装置があることを確認し、対象ロッカー装置の清掃を行う。
ここで、従業員が使用済みのロッカー装置を清掃する際に、受付で回収した使用済みリストバンド(顧客用リストバンド200)を使用してしまうと、使用済みリストバンドの洗浄はロッカー装置の清掃後に行うことになり、時間的にロスが生じてしまう。
【0071】
また、一度に複数のロッカー装置を清掃する場合には、清掃するロッカー装置の個数分の顧客用リストバンド200を持っていく必要があり煩雑となる。また、全てのロッカー装置を解錠可能なマスターキーを使用してしまうと、従業員が誤って使用中のロッカーを開けてしまうという可能性があり、セキュリティ面において問題である。
そこで、清掃員は清掃用リストバンド300を使用する。使用済みリストバンドは回収後すぐに図示はしないバックヤード側で洗浄を行う。
清掃用リストバンド300のUIDはどのロッカー装置にも対応しておらず、そのままではどのロッカーも開けることはできないが、清掃用リーダライタ520により、清掃用リストバンド300のRFIDタグ300aに任意のロッカー装置に対応するロッカーID0をロッカーID1として書き込むことで、対象ロッカー装置を解錠させることが可能となる。
すなわち、清掃用リストバンド300がひとつあれば複数のロッカー装置を開けられ、かつ、清掃の必要のないロッカーを誤って開けてしまうことがないのでロッカー装置清掃の際の煩雑さをなくし、セキュリティ面の問題を解決することができる。
【0072】
(ロッカーシステム100における扉の施錠または解錠の動作)
次に図14〜図16を用いてロッカーシステム100における扉の施錠または解錠の動作について説明する。なおここでは説明を分かりやすくするためロッカー装置100aの動作について説明する。
図14はロッカー装置100aの解錠処理を示すフローチャートである。図15はロッカー装置100aの施錠処理を示すフローチャートである。図16はロッカー装置100aの自動施錠処理を示すフローチャートである。
【0073】
まず図14を用いてロッカー装置100aの解錠処理を説明する。すなわち以下の説明ではロッカー装置100aは扉部106が施錠状態にある。
(1)ロッカーの扉の状態の識別(ステップS201)
ロッカー装置100aのRFID処理部101は扉部106の開閉、電子錠107の施錠または解錠の状態を絶えず監視している。
電子錠107が施錠状態となっていないとき、ロッカーの解錠処理は行われない。
扉部106が施錠状態の時、RFID処理部101は、顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300またはマスターキーのUIDの受信準備状態となる。
【0074】
顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300またはマスターキーからUIDを受信するまでUID受信の準備状態を維持する
(2)UID読込(ステップS202、S203)
UIDの受信準備状態の時にデータ書込部102に顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300またはマスターキーのいずれかがかざされると、RFID処理部101はUIDの読込を開始する。
(3)UIDの照合(ステップS204、S205)
RFID処理部101は顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300またはマスターキーのいずれかからUIDを受信するとロッカーID記憶部103に記憶されたロッカーID0を読み出し、ID照合部105にこれらが一致するか否かを判定させる。
【0075】
(4)ロッカー解錠(ステップS206)
ID照合部105による照合の結果、受信したUIDがロッカーID記憶部103に記憶されたロッカーID0と一致した場合、RFID処理部101は電子錠107を制御して扉部106を解錠して解錠処理を終了する。
(5)マスターキーの識別(ステップS207〜ステップS209)
ステップS204において、受信したUIDがロッカーID記憶部103に記憶されたロッカーID0と一致しなかった場合、RFID処理部101は判別ID記憶部104に記憶されたマスターキーIDを読み出し、読み出したマスターキーIDと受信したUIDとが一致するか否かをID照合部105に判定させる(ステップS207、S208)。
判定の結果、受信したUIDがマスターキーIDと一致した場合、RFID処理部101はマスターキー解錠フラグをOnにする(ステップS209)。
その後、電子錠107を制御して扉部106を解錠して解錠処理を終了する(ステップS206)。
【0076】
(6)清掃用ID読出し(ステップS210)
ステップS208での判定の結果、受信したUIDがマスターキーIDと一致しなかった場合、RFID処理部101はRFIDタグ200aまたは300aの清掃用ID記憶領域212または312から清掃用IDを読み出す。
【0077】
(7)清掃用リストバンド300の識別(ステップS211)
さらにRFID処理部101は判別ID記憶部104に記憶された清掃用識別IDを読み出し、読み出した清掃用IDと清掃用識別IDとが一致するか否かをID照合部105に判定させる。
判定の結果、清掃用IDが清掃用識別IDと一致しなかった場合、RFID処理部101は電子錠107の制御を行わず解錠処理を終了する。
この場合、ステップS202において、他のロッカー装置100b〜100lのいずれかのロッカーIDに対応するUIDが記録された顧客用リストバンド200がかざされた可能性が大きい。
【0078】
(8)ロッカーIDの識別(ステップ212、S213)
判定の結果、清掃用IDが清掃用識別IDと一致した場合、ステップS202において、清掃用リストバンド300がかざされたことになる。したがって、RFID処理部101はここで清掃用リストバンド300からロッカーID1を読み出す。
読み出したロッカーID1とロッカーID記憶部103に記憶されたロッカーID0とが一致するか否かをID照合部105に判定させる。
判定の結果、ロッカーID0がロッカーID1と一致した場合、RFID処理部101は清掃用キー解錠フラグをOnにする(ステップS214)。
その後、電子錠107を制御して扉部106を解錠して解錠処理を終了する(ステップS206)。
【0079】
次に図15を用いてロッカー装置100aの施錠処理を説明する。
(1)ロッカーの扉の状態の識別(ステップS301〜S302)
ロッカー装置100aのRFID処理部101は扉部106の開閉、電子錠107の状態を絶えず監視している。
【0080】
(2)時間T1の計時(ステップS303)
扉部106が解錠されており、かつ扉部106が閉められるとロッカー装置100aのRFID処理部101はタイマ部108を制御して時間T1の計時を行わせる。
(3)UID読込(ステップS304〜S306)
RFID処理部101は、時間T1の計時をタイマ部108に指示すると、顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300またはマスターキーのUID受信の準備状態となる(ステップS304)。
【0081】
ここでタイマ部208から時間T1のタイムアップが通知されると、RFID処理部101は、自動的に扉部208の施錠を行う自動施錠の処理を行う(ステップS315)。
RFID処理部101は、タイマ部208からのタイムアップ通知を受信するか、
顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300またはマスターキーからUIDを受信するまでUID受信の準備状態を維持する(ステップS305〜S306)。
【0082】
(4)タイマのリセット(ステップS307)
タイマ部208からのタイムアップ通知を受信する前に、データ書込部102を介して顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300またはマスターキーのUIDを受信するとRFID処理部101はタイマ部208に時間T1の計時を止めるよう制御を行いタイマ部208をリセットする。
例えば、顧客または従業員が扉部208を閉めた直後にデータ書込部102に向かって顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300、マスターキーのいずれかをかざすことによってRFID処理部101はがUIDを受信することができる。
【0083】
(5)UIDの照合(ステップS308〜S309)
RFID処理部101はUIDを受信するとロッカーID記憶部103に記憶されたロッカーID0を読み出し、ID照合部105にこれらが一致するか否かを判定させる。
(6)ロッカー施錠(ステップS310)
ID照合部105による照合の結果、受信したUIDがロッカーID記憶部103に記憶されたロッカーID0と一致した場合、RFID処理部101は電子錠107を制御して扉部106を施錠する。
【0084】
(7)マスターキーの識別(ステップS311)
ステップS309において、受信したUIDがロッカーID記憶部103に記憶されたロッカーID0と一致しなかった場合、RFID処理部101は判別ID記憶部104に記憶されたマスターキーIDを読み出し、読み出したマスターキーIDと受信したUIDとが一致するか否かをID照合部105に判定させる。
判定の結果、受信したUIDがマスターキーIDと一致した場合、RFID処理部101はマスターキー解錠フラグをOFFに設定し電子錠107を制御して扉部106を施錠する。
【0085】
(8)清掃用ID読出し(ステップS312)
ステップS311での判定の結果、受信したUIDがマスターキーIDと一致しなかった場合、ステップS304〜S306において、マスターキーはかざされなかったことになる。換言すれば、ステップS304〜S306において、かざされたのは、顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300のどちらかである。そこで、RFID処理部101はRFID200aまたは300aから清掃用IDを読み出す。
【0086】
(9)清掃用リストバンド300の識別(ステップS313、S314)
さらにRFID処理部101は判別ID記憶部104に記憶された清掃用識別IDを読み出し、読み出した清掃用識別IDと受信した清掃用IDとが一致するか否かをID照合部105に判定させる。
判定の結果、受信した清掃用IDが清掃用識別IDと一致しなかった場合、RFID処理部101は電子錠107の制御を行わず自動施錠処理(ステップS315)を行う。
この場合、受信したUIDは別のロッカー装置に対応付けられた顧客用リストバンド200が記憶したものであった可能性がある。
判定の結果、受信した清掃用IDが清掃用識別IDと一致した場合、RFID処理部101は清掃用キー解錠フラグをOFFに設定し電子錠107を制御し扉部106を施錠して施錠処理を終了する。
【0087】
(10)自動施錠処理(ステップS315)
ステップS305において、RFID処理部101がタイマ部108から時間T1のタイムアップを通知した場合、RFID処理部101は扉部106の自動施錠処理を行い扉部106を施錠する。
【0088】
次に図16を参照して自動施錠処理について説明する。
(1)時間T2の設定(ステップS401〜S405)
RFID処理部101は時間T2を設定するために各解錠フラグの状態を判別する。
RFID処理部101はまずマスターキー解錠フラグのON・OFFを判別する(ステップS401)。
【0089】
マスターキー解錠フラグがONだった場合、RFID処理部101は、時間T2をマスターキー用の時間に設定する(ステップS403)。
マスターキー解錠フラグがOFFだった場合、RFID処理部101は清掃用キー解錠フラグのON・OFFを判定する(ステップS402)。
清掃用キー解錠フラグがONだった場合、RFID処理部101は、時間T2を清掃用リストバンド用の時間に設定する(ステップS404)。
清掃用キー解錠フラグがOFFだった場合、RFID処理部101は時間T2を顧客用リストバンド用の時間に設定する(ステップS405)。
【0090】
(2)時間T2の計時(ステップS406、S407)
RFID処理部101はタイマ部108を制御して時間T2の計時を行わせる。
(3)解錠フラグのOFF(ステップS408)
RFID処理部101はタイマ部108から時間T2のタイムアップ通知を受信すると、清掃用キー解錠フラグまたは、マスターキー解錠フラグをOFFに設定する。
その後RFID処理部101は電子錠107を制御して扉部106を施錠する(図15のステップS310)。
【0091】
以上のようにロッカーシステム100のロッカー施錠制御処理によれば、扉部106が閉められている状態になれば、最終的にはかならず電子錠107が施錠されることになり、セキュリティ面においても安心である。
また、清掃用リストバンド300を用いれば、使用済みリストバンドやマスターキーを使わずに複数の使用済みロッカーの清掃が可能となる。また、複数のロッカー清掃を行う場合でも持ち運ぶリストバンドは清掃用リストバンド300の1本だけでよく、何本もの顧客用リストバンド200を持ち運ぶ煩雑さを解消可能である。
すなわち、本発明によれば、全てのロッカー装置を解錠可能なマスターキーまたは使用済みリストバンドを使わなくとも、複数のロッカー装置の解錠が可能となる
【0092】
なお、上記説明では、清掃用リストバンド300に内蔵されたRFIDタグ300aがUID記憶領域311、清掃用ID記憶領域312、ロッカーID記憶領域313を備えたが、このうち、清掃用ID記憶領域312は備えなくともよい。
この場合には、図14に示すステップS210において、清掃用IDを読み出さず、ステップS208が「No」だった場合、直ちにロッカーID記憶領域313からロッカーID1を読み出す(ステップS212)処理をおこなう。
また、図15に示すステップS312〜313においても、直ちにロッカーID記憶領域313からロッカーID1を読み出し、このロッカーID1とロッカーID0とを照合することで解錠の可否を判定する。
【0093】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られずさらなる拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態において、清掃用リストバンド300の形状はリストバンド状としたが、同様の機能を備えたものであれば、図17に示すようなロッカー管理カード301のようにカード形状のものでもよい。
また、図18に示すように、清掃用リストバンド300が、記憶部310内の情報を表示可能な表示部302を備えるようにしてもよい。このとき記憶部310には、ロッカーID1(ロッカーID0)と、このロッカーID1と対応するロッカー番号が対応して記憶される。
この場合、表示部302に,図11に示す清掃ロッカーリスト600を表示することができる。表示部302に表示される内容は制御部330が制御する。
表示部302を備える清掃用リストバンド300では上記実施形態における清掃対象ロッカーリスト600およびプリンタ540は不要となる。さらに、この表示部がタッチパネル形式となっていて、図9中のチェックボックスが画面タッチによりチェック可能とした場合、より使い勝手がよくなる。
【0094】
(変更例1)
本発明の実施の形態はさらなる変更が可能であり、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施の形態において、図15、16を参照して説明したロッカーシステム100における扉の施錠動作の変更が可能である。
この変更例を図19を参照して説明する。すなわち、図19は、ロッカーシステム100における扉の施錠の動作の変更例を示すフローチャートである。
【0095】
(1)タイマの計時開始(ステップS500〜S502)
以下の処理は、扉部106が解錠されているときに行われる(ステップS500)。使用者によって、扉部106が閉められたことに対応してロッカー装置100aのRFID処理部101はタイマ部108を制御して時間の計時を開始する(ステップS501、S502)。具体的には、0秒を初期値とし、RFID処理部101によって計時時間のリセット、停止の制御が行われるまでタイマ部108は時間を計時し続ける。
【0096】
(2)UID読込(ステップS503)
RFID処理部101は、タイマ部108に時間の計時を指示すると、顧客用リストバンド200、清掃用リストバンド300またはマスターキーのUID受信の準備状態となる。
【0097】
(3)ロッカー施錠処理(ステップS504〜S512)
UIDの読み込みが完了する場合がある(ステップS504のYes)。この場合、RFID処理部101は、タイマ部108を制御して、時間の計時をストップさせる。そして、計時した時間をリセットする(ステップS505)。
次にRFID処理部101は、読み込んだUIDによって電子錠107の施錠が行えるか否かを判定し、ロッカーの施錠を行う(ステップS506〜S512)。なお、このステップS506〜S512の処理は、それぞれ図15に示したステップS308〜S314の処理とほぼ同じため、ここでは詳細な説明は省略する。
RFID処理部101は、ステップS512における電子錠107による施錠後、この施錠処理を終了する。
【0098】
(4)自動施錠処理(ステップS504、S513〜520)
ステップS504において、UIDの読み込みが完了しない場合がある(ステップS504のNo)。この場合、RFID処理部101は、各解錠フラグの状態を判別する。RFID処理部101は、マスターキー解錠フラグ、清掃用解錠フラグの順に各フラグのON・OFFを判別する(ステップS513、S514)。
【0099】
RFID処理部101は、判別の結果に基づいて、図示はしないメモリから計時時間情報を読み込む。この計時時間情報は、図16で説明した時間T2と対応する。
具体的には、マスターキー解錠フラグがONの場合(ステップS513のYes)、マスターキー用の計時時間情報を読み込む(ステップS515)。マスターキー解錠フラグがOFFの場合(ステップS513のNo)であり、かつ、清掃用キー解錠フラグがONの場合(ステップS514のYes)、清掃用リストバンド用の計時時間情報を読み込む(ステップS516)。
また、マスターキー解錠フラグ及び清掃用キー解錠フラグがOFFの場合(ステップS514のNo)、顧客用リストバンド用の計時時間情報を読み込む(ステップS517)。
【0100】
RFID処理部101は、読み込んだ計時時間情報と、タイマ部108が計時している時間を比較する(ステップS518)。
比較の結果、タイマ部108が計時した時間が計時時間情報が示す時間に達している場合がある(ステップS518のYes)。この場合、RFID処理部101は、タイマ部108を制御して、時間の計時をストップさせる。そして、計時した時間をリセットする(ステップS519)。
次に、RFID処理部101は電子錠107を制御し、扉部106を施錠する(S512)。ことのとき、RFID処理部101は、各解錠フラグをOFFにする(ステップS520)。
【0101】
ステップS518において、比較の結果、タイマ部108が計時した時間が計時時間情報が示す時間に達していない場合がある(ステップS518のNo)。この場合、ステップS501からの一連の処理を繰り返す。ただし、このときタイマ部108による時間の計時は継続中なので、ステップS502の処理は行われない。
なお、この自動施錠処理中において、使用者によって扉部106が開かれる場合がある(ステップS501のNo)。例えば、使用者が着替えの途中で一旦扉部106を閉め、短時間のうちに扉部106を再度開けた場合である。この場合、自動施錠処理が継続されると、扉部106が開かれているにも関わらずRFID処理部101が施錠処理を行ってしまう恐れがある。
そこで、この自動施錠処理中において、扉部106が再度開かれた場合、RFID処理部101は、タイマ部108を制御して、時間の計時をストップさせる。そして、計時した時間をリセットする(ステップS521)。
【0102】
以上説明したようにこの変形例の扉の施錠動作を用いた場合であっても、扉部106が閉められている状態になれば、最終的にはかならず電子錠107が施錠されることになり、セキュリティ面においても安心である。
【符号の説明】
【0103】
1…ロッカー管理システム、100…ロッカーシステム、100a-100l…ロッカー装置、101…タグ処理部、102…データ書込部、103…ロッカーID記憶部、104…判別ID記憶部、105…照合部、106…扉部、107…電子錠、108…タイマ部、109…フラグ保持部、200…顧客用リストバンド、200a、300a,451…RFIDタグ、300…清掃用リストバンド、15,210,310,455…記憶部、211,311…UID記憶領域、212,312…清掃用ID記憶領域、213,313…ロッカー識別記憶領域、320,452…アンテナ、330,453…制御部、340,454…通信部、400…顧客管理システム、410…フロント端末、411…入力装置、450…登録用カード、455a…ロッカー制御用コード記憶領域、455b…ID記憶領域、500…ロッカー管理システム、510…ロッカー管理端末、511…ロッカーID記憶部、512…制御部、513…通信インターフェース、514…メニュー作成部、515…ロッカー状態テーブル記憶部、516…表示部、517…入力部、520…清掃用リードライタ、521…RFID処理部、522…通信インターフェース、523…情報読み書き部、540…プリンタ、542…プリント制御部、543…通信インターフェース、544…プリント実行部、600…清掃ロッカーリスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロッカー装置で構成されるロッカーシステムであって、
前記ロッカー装置は
ロッカー装置を識別するための第1のロッカー識別子を記憶する第1の記憶部と、
前記ロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子を受信する第1の受信部と、
前記受信した鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第1の照合部と、
前記第1の照合部の照合の結果、前記鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とが一致しなかった場合、第2のロッカー識別子の送信を要求するロッカー識別子要求部と、
前記第2のロッカー識別子を受信する第2の受信部と、
前記受信した第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第2の照合部と、
前記第2の照合部の照合の結果、前記第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子と一致した場合に前記ロッカー装置の扉の施錠または解錠を行う制御部と
を備えることを特徴とするロッカーシステム。
【請求項2】
前記ロッカー装置の扉の施錠または解錠が前記第1のロッカー識別子と鍵識別子が一致した場合に行われたのか、または前記第1のロッカー識別子と第2のロッカー識別子が一致した場合に行われたのかを判別する施解錠判別部を前記ロッカー装置がさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載のロッカーシステム。
【請求項3】
時間を計時するタイマと、
前記解錠判別部の判別に基づいて前記タイマが計時する時間を設定する時間設定手段を前記ロッカー装置がさらに備え、
前記時間設定手段によって設定された時間を前記タイマが計時したことに対応して前記制御部が前記扉の施錠または解錠を行うこと
を特徴とする請求項2に記載のロッカーシステム。
【請求項4】
ロッカー装置を識別するための第1のロッカー識別子を記憶する複数のロッカー装置で構成されるロッカーシステムのロッカー管理方法であって、
前記ロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子を受信するステップと、
前記受信した鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合するステップと、
前記照合の結果、前記鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とが一致しなかった場合、第2のロッカー識別子の送信を要求するステップと、
前記第2のロッカー識別子を受信するステップと、
前記受信した第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合するステップと、
前記照合の結果、前記第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子と一致した場合に前記扉の施錠または解錠を行うステップと
を備えることを特徴とするロッカー管理方法。
【請求項5】
前記ロッカーシステムが、前記ロッカー装置の施錠または解錠を行うための鍵である携帯型送受信装置と、前記ロッカー装置と携帯型送受信装置を対応付ける管理装置をさらに備え、
前記管理装置が、前記第1のロッカー識別子と前記複数のロッカー装置の使用状況が対応したテーブルデータを記憶するステップと、
前記管理装置が、前記ロッカー装置の使用状況を表示するステップと、
前記表示されたロッカー装置の使用状況に基づいて、前記第1のロッカー識別子を前記携帯型送受信装置に送信するか否かを示す情報を入力するステップと、
前記入力された情報に対応して前記第1のロッカー識別子を前記携帯型送受信装置に送信するステップと
前記携帯型送受信装置が、前記管理装置から受信した第1のロッカー識別子を第2のロッカー識別子として記憶するステップとをさらに備えること
を特徴とする請求項4記載のロッカー管理方法
【請求項6】
ロッカー装置を識別するための第1のロッカー識別子を記憶する複数のロッカー装置の鍵として機能する携帯型送受信装置であって、
前記携帯型送受信装置は、
前記ロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子と、前記鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とが一致しなかった場合、前記ロッカー装置を施錠または解錠するための第2のロッカー識別子を記憶する第2の記憶部と、
前記鍵識別子を送信する第1の送信部と、
前記第2のロッカー識別子の送信を要求する信号を受信する第3の受信部と、
前記信号を受信したことに対応して、前記第2のロッカー識別子を送信する第2の送信部とを備えること
を特徴とする携帯型送受信装置。
【請求項7】
形状がリストバンドまたはカードタイプであることを特徴とする請求項6に記載の携帯型送受信装置。
【請求項8】
前記第2の記憶部に記憶された第2のロッカー識別子を表示可能な表示部をさらに備える
ことを特徴とする請求項6または7に記載の携帯型送受信装置。
【請求項9】
複数のロッカー装置を備えるロッカーシステムと、前記ロッカー装置の施錠または解錠を行うための鍵である携帯型送受信装置を具備するロッカー管理システムであって、
前記ロッカー装置は
ロッカー装置を識別するための第1のロッカー識別子を記憶する第1の記憶部と、
前記携帯型送受信装置からロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子を受信する第1の受信部と、
前記受信した鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第1の照合部と、
前記第1の照合部の照合の結果、前記鍵識別子と前記第1のロッカー識別子とが一致しなかった場合、第2のロッカー識別子の送信を前記携帯型送受信装置に要求するロッカー識別子要求部と、
前記第2のロッカー識別子を受信する第2の受信部と、
前記受信した第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子とを照合する第2の照合部と、
前記第2の照合部の照合の結果、前記第2のロッカー識別子と前記第1のロッカー識別子と一致した場合に前記ロッカー装置の扉の施錠または解錠を行う制御部とを備え、
前記携帯型送受信装置は、
前記ロッカー装置の鍵を識別するための鍵識別子と、前記鍵識別子が前記第1のロッカー識別子と一致しない場合に前記ロッカー装置の鍵を施錠または解錠するための第2のロッカー識別子を記憶する第2の記憶部と、
前記ロッカー装置に前記鍵識別子を送信する第1の送信部と、
前記ロッカー装置から前記第2のロッカー識別子の送信を要求する信号を受信する第3の受信部と、
前記信号を受信したことに対応して、前記第2のロッカー識別子を前記ロッカー装置に送信する第2の送信部とを備えること
を特徴とするロッカー管理システム。
【請求項10】
前記第1のロッカー識別子と前記複数のロッカー装置の使用状況が対応したテーブルデータを記憶するテーブルデータ記憶部と、
前記ロッカー装置の使用状況を表示する表示部と、
前記表示部に表示されたロッカー装置の使用状況に基づいて、前記第1のロッカー識別子を前記携帯型送受信装置に送信するか否かを示す情報を入力するための入力部と、
前記入力部の入力に対応して前記第1のロッカー識別子を前記携帯型送受信装置に送信する第3の送信部と
を具備する管理装置をさらに備え、
前記携帯型送受信装置が、
前記第3の送信部から送信された第1のロッカー識別子を受信する第4の受信部と、
前記受信した第1のロッカー識別子を前記第2のロッカー識別子として前記第2の記憶部に書き込む識別子書き込み部をさらに備えること
を特徴とする請求項9記載のロッカー管理システム。
【請求項11】
前記携帯型送受信装置に送信した第1のロッカー識別子を清掃ロッカーリストとして出力する出力装置を前記管理装置がさらに具備する
ことを特徴とする請求項10に記載のロッカー管理システム。
【請求項12】
前記第1のロッカー識別子を記憶する第3の記憶部と、この第3の記憶部に記憶された第1のロッカー識別子を前記ロッカー装置に送信する第4の送信部とを有する携帯型鍵装置と、
前記携帯型鍵装置が記憶する第1のロッカー識別子を前記第1の記憶部に記憶するよう指示する情報を送信する第5の送信部を有する携帯型識別子送信装置と
をさらに備え、
前記ロッカー装置が、
前記携帯型識別子送信装置からの情報を受信する第5の受信部と、
前記携帯型鍵装置から前記第1のロッカー識別子を受信する第6の受信部と、
前記携帯型識別子送信装置からの情報を受信したことに対応して、前記第1のロッカー識別子を前記第1の記憶部に記憶させる記憶制御手段とを備えること
を特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載のロッカー管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−203795(P2009−203795A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19474(P2009−19474)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】