説明

ロック装置及び電子装置

【課題】ロック装置又は電子装置に配置した電子機器の着脱機能を向上させる。
【解決手段】収納した電子機器(16、30)の離脱を防止する装置(ロック装置2、充電装置20)であって、収納部(4、22)と、突出部(10)とロックアーム部(8)を備える。収納部は、電子機器の一部又は全部を内部に収納する。突出部は、収納部内に突出させ、収納部内に収納した電子機器との接触により、収納部から一部又は全部を退避する。そして、ロックアーム部は、突出部が収納部から退避したことを契機に、収納部内に突出し、電子機器の筐体側面に係合して、収納部から電子機器の離脱を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載した電子機器に対して離脱防止のロック機構を備えたロック装置及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば携帯電話機やPHS(Personal Handy-phone System)、その他電子機器等の内部電源を備えた電子機器には、電源の充電時や電子機器の不使用時に、電子機器本体を設置する設置機器が用いられている。この設置機器は、例えば、クレイドル(Cradle)であり、充電装置であるとともに、設置した電子機器を収納して保持するロック装置として機能する。
【0003】
この充電装置を構成する場合、設置機器は、電子機器側の端子に接触させて充電を行う充電用端子を備えており、電子機器を所定の向きに配置させている。そして、電子機器の充電では、充電装置側の端子と電子機器側の端子との間で適切な接触圧を維持させることが充電品質を保つ上で好ましく、例えば、電子機器を所定位置に維持するため、充電台にロック機構を備えたものがある。
【0004】
電子機器に対するロック機構として、特許文献1には、電子機器を装着部に挿入すると、フック及びアームが回動して、電子機器の背面に設けた孔部に進入して、フック及びアームの弾性力で電子機器を挟持してロックすることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、携帯機器を定位置に着脱できるケース構造や携帯機器の電源端子に接触させる端子部を有することや、この端子部をケースの装着部に突出させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−346992号公報
【特許文献2】特開2010−45882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電子機器を配置する充電装置では、例えば、接触端子部分等にバネ部材を設置して電子機器に対する接触圧を高めているものがある。そのため、電子機器に対するロック機構が十分に機能しなければ、充電装置から電子機器が浮き上がる等により、電子機器が落下したり、適切に充電が行えない等の不都合が生じることになる。また、このようなロック機能を向上させるために例えば、大きな爪形状の突起でロックを行うような場合、充電装置に対する電子機器の着脱性が落ちたり、電子機器の筐体や表示部等に対して損傷を与える場合もある。
【0008】
逆に、充電装置のバネ部材の力を抑えた場合、電子機器と充電端子との接触が低くなり、例えば、汚れ等の付着により接触性が落ちて十分に安定した充電が行えない場合もある。
【0009】
更に、充電装置に形成されたロック機構に対して、例えば、電子機器の着脱操作における弾性変形の繰り返し回数や経年変化等により、ロック機能が低下することになり、十分な充電や電子機器の収納が行えないという課題がある。
【0010】
そこで、本開示のロック装置及び電子装置の目的は、上記課題に鑑み、配置した電子機器の着脱機能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本開示のロック装置及び電子装置は、収納した電子機器の離脱を防止する装置であって、収納部と、突出部とロックアーム部を備える。収納部は、電子機器の一部又は全部を内部に収納する。突出部は、収納部内に突出させ、収納部内に収納した電子機器との接触により、収納部から一部又は全部を退避する。そして、ロックアーム部は、突出部が収納部から退避したことを契機に、収納部内に突出し、電子機器の筐体側面に係合して、収納部から電子機器の離脱を防止する。斯かる構成により、上記目的が達成される。
【発明の効果】
【0012】
本開示のロック装置又は電子装置によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0013】
(1) ロックアーム部は、収納部に対する電子機器の配置に応じて突出させることで、電子機器着脱操作による緩衝を受けないので、ロック機能の低下を防止することができる。
【0014】
(2) また、電子機器の着脱時に、ロックアーム部が筐体内部に収納されることで、電子機器の筐体に対する接触を防止し、電子機器の外観品質を維持することができる。
【0015】
(3) 電子機器の配置時にのみロックアームを突出させることで、収納部の開口部分を小型化することができる。
【0016】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係るロック機構の構成例を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係る電子装置の一例を示す図である。
【図3】電子機器を配置した状態例を示す図である。
【図4】電子機器の構成例を示す図である。
【図5】電子機器の底面側及び側面側の構成例を示す図である。
【図6】充電装置の構成例を示す分解図である。
【図7】ウエケースの内部側の構成例を示す図である。
【図8】充電装置の収納部の外観構成例を示す図である。
【図9】アームの構成例を示す図である。
【図10】アームの組立てを示す図である。
【図11】アームによるばねの保持状態例を示す図である。
【図12】図8のXII−XII断面の一例を示す図である。
【図13】図8のXIII−XIII断面の一例を示す図である。
【図14】図8のXIV−XIV断面の一例を示す図である。
【図15】充電装置に対する着脱方向及びロックアームの回動方向の一例を示す図である。
【図16】電子機器設置前のアームの配置状態例を示す図である。
【図17】電子機器設置時のアームの配置状態例を示す図である。
【図18】電子機器設置時の突出部の状態例を示す図である。
【図19】電子機器設置時のロックアームの状態例を示す図である。
【図20】電子機器の設置状態例を示す図である。
【図21】電子機器を取り外す時の回転軸及び突出部の状態例を示す図である。
【図22】電子機器を取り外す時のロックアームの状態例を示す図である。
【図23】電子機器を取り外す時の回転軸及び突出部の他の一例を示す図である。
【図24】電子機器を傾斜させた時のロックアームの回転状態例を示す図である。
【図25】比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の実施の形態〕
【0019】
第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、第1の実施形態に係るロック機構の構成例を示す図である。図1に示す構成は一例であって、本発明がこれに限定されるものではない。
【0020】
このロック装置2は、本開示のロック装置及び電子装置の一例であって、例えば、ロック装置2の筐体3の上面や正面側に開口した収納部4内に電子機器16(図1(B))を収納して保持する。このロック装置2の収納部4内には、電子機器16の有無を検知するとともに、電子機器16を保持するアーム6を備えている。ロック装置2は、例えば、携帯電話機やPC、又は情報通信端末(PDA)等の電子機器16に対する設置台として機能するほか、充電機能を備えてもよい。
【0021】
収納部4は、電子機器16を収納して保持する手段の一例であって、例えば、電子機器の一部又は全部を収納可能に形成している。この収納部4は、例えば、電子機器16の底面側又は側面側を内側に向けて収納可能に構成しており、収納部4内には、収納部4に挿入された電子機器16に接触する接触部14を備えている。
【0022】
接触部14は、収納部4内に挿入された電子機器16を載置しており、例えば、電子機器16に対して、収納部4からの離脱方向に付勢して接触している。なお、図1に示すロック装置2は、収納部4の開口面を示しており、電子機器16の挿入又は離脱方向は、例えば、図示した手前方向に設定している。
【0023】
アーム6は、ロック装置2の筐体内部に配置され、収納部4に対する電子機器16の有無を監視し、また、収納された電子機器16を保持する。アーム6は、例えば、一端側を収納部4内に突出させ、収納部4内に収納した電子機器16との接触により、図1(B)に示すように収納部4から退避する突出部10を備えている。また、アーム6の他の一端には、収納部4に配置した電子機器16を保持する手段の一例であって、例えば、突出部10が収納部4から退避したことを契機に、収納部4内に突出し、電子機器16を保持して、収納部4から電子機器16の離脱を防止する。
【0024】
この突出部10は、例えば、収納部4内の一側面側に1又は複数設置されており、電子機器16が収納部4内に未挿入のとき、収納部4に突出している。そして、収納部4内に電子機器16が挿入されると、図1(B)に示すように、電子機器16の側面側の一部の接触圧力により、アーム6を配置した筐体3側の内部に移動する。突出部10は、例えば、アーム6に備えた回動軸12を中心に、円弧方向に移動して収納部4から退避させればよい。
【0025】
この回動軸12は、筐体3内に設置したアーム6を回動させる手段の一例であって、例えば、突出部10とロックアーム部8との間に構成している。突出部10と電子機器16との接触により、突出部10が回動軸12を中心に回動するのに合せて、ロックアーム部8が回動軸12を中心に回動する。そして、この回動によりロックアーム部8は、一部又は全部が収納部4内に回動して突出する。アーム6は、ロックアーム部8が収納部4の側面側から突出する位置に配置している。そして、収納部4内に突出したロックアーム部8は、収納部4内の電子機器16の筐体側面側に形成した凹部18内に係合する。
【0026】
次に、ロック機構の動作例を示す。
【0027】
電子機器16が収納部4に未挿入の場合、図1Aに示すように、収納部4内には、アーム6の突出部10が突出し、ロックアーム部8は筐体3内に配置され、収納部4内に挿入される電子機器16に接触しない位置に配置されている。
【0028】
電子機器16の底部側を収納部4内に配置させると、例えば、突出部10が電子機器16の背面側筐体に接触して押下され、突出部10が筐体3内に退避する。このとき、回動軸12によって、アーム8全体が回動し、ロックアーム部8が収納部4内に突出する。これにより、ロックアーム部8は、突出部10が収納部4から退避したことを契機に、収納部4内に突出することになり、ロックアーム部8は、電子機器16の筐体側面側から係合して、収納部4から電子機器16の離脱を防止することができる。
【0029】
斯かる構成によれば、ロックアーム部は、収納部に対する電子機器の配置に応じて突出させることで、電子機器着脱操作による緩衝を受けないので、ロック機能の低下を防止することができる。また、電子機器の着脱時に、ロックアーム部が筐体内部に収納されることで、電子機器の筐体に対する接触を防止し、ロック装置の外観品質を維持することができる。さらに、電子機器の配置時にのみロックアームを突出させることで、収納部の開口部分を小型化することができる。
【0030】
〔第2の実施の形態〕
【0031】
第2の実施の形態について、図2、図3、図4及び図5を参照する。図2〜図5に示す構成は一例であって、本願発明がこれらの図2〜図5に示す構成に限定されるものではない。
【0032】
この充電装置20は、本開示のロック装置及び電子装置の一例であって、充電を行う電子機器を収納する収納部22が形成されており、その収納部22の内部には、既述のアームで構成したロック機構を備えている。この充電装置20の筐体24は、例えば、プラスチック等の樹脂材料で形成しており、また、ロック機構を構成する突出部10やロックアーム8も同様に、樹脂材料で構成すればよい。
【0033】
収納部22は、例えば、充電装置20の上面側に向けて開口され、筐体内部に向けて形成している。また、この収納部22の内部は、例えば、配置した電子機器16を斜めに立て掛けて保持させるために、電子機器16の背面側に対して斜めに傾斜面26を形成している。
【0034】
この充電装置20は、例えば、図3に示すように、縦長の電子機器30の底面側を収納部22内に収納させ、収納部22の傾斜面26に対して電子機器30の背面側を沿わせて配置する。
【0035】
この電子機器30は、図4に示すように内部に電源装置を備えた機器であって、例えば、携帯電話機やPDA等である。この電子機器30は、単数又は複数の筐体部32、アンテナ部36等で構成している。この筐体部32には、例えば、前面側に表示機能部であるLCD(Liquid Crystal Display )表示器38やキー入力部39等を備えている。また、筐体部32の側面及び背面側の一部には、充電装置20のロックアーム部8を内部に配置させる凹部34が形成されている。この凹部34は、図5に示すように、電子機器30の側面側及び背面側からロックアーム部8を挿入させ、ロックアーム部8を筐体32に対して係合可能に形成している。
【0036】
電子機器30の上部側には、例えば、通話機能やデータ通信機能を実行するためのアンテナ36を備えている(図4)。図5に示す電子機器30の底面側には、充電処理を行うための接触端子42が複数個設置している。この接触端子42は、例えば、充電装置20から突出した端子部62(図6)に当接させるように凹部が形成され、その凹部の周囲に金属材料を設置して構成されている。接触端子42には、電子機器30に内蔵した電源機能に接続しており、充電装置20内の端子部と接触することで、電源機能に対して給電を行うことができる。
【0037】
なお、電子機器30は、筐体部32が縦長の状態で充電装置20に設置しているが、これに限られず、例えば、筐体部32が折り畳み可能な電子機器を利用してもよい。
【0038】
次に、充電装置の構成について、図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12、図13及び図14を参照する。図6〜図8は、充電装置の全体構成例を示し、図9〜図11は、アームの構成例を示している。また、図12〜図14は、充電装置の内部構成例を示している。図6〜図14に示す構成は一例であって、本願発明がこれらに限定されるものではない。
【0039】
この充電装置20は、例えば、ウエケース50、シタケース52、基板部54、アーム56を備えている。
【0040】
ウエケース50は、充電装置20の上部側筐体部の一例であって、シタケース52と係合して基板部54及びアーム56を所定位置に保持している。また、既述のように、ウエケース50は、例えば、収納部22に対する電子機器30の挿入分の高さを備えており、ウエケース50の上部から前面側に向けて開口している。収納部22の内部には、例えば、背面の傾斜面26にアーム56の突出部10を配置する窓部58や、左右側面及び背面の傾斜面26の一部にロックアーム窓部60が形成されている。この窓部58は、後述するように、突出部10を収納部22に対して出入させるときの回動範囲に合せて開口している。
【0041】
シタケース52は、充電装置20の下部側筐体部の一例であって、ウエケース50と係合して基板部54を保持する。ウエケース50とシタケース52とは、固定手段として例えば固定ねじ68によって締結している。その他、ウエケース50とシタケース52の周囲に例えば、係合可能な爪を形成してもよい。また、シタケース52の内部には、アーム56をウエケース50の窓部58及びロックアーム窓部60の位置及び高さに配置させて、回動可能に保持するための立壁部66を備えている。この立壁部66の上面側は、例えば、アーム56を回動可能に載置させるように平面を形成すればよい。
【0042】
基板部54は、充電装置20の電子機能部品の一例であって、例えば、収納部22内の電子機器30との接触により通電する端子部62、外部電力を取得して制御する電源部64等が設置されている。
【0043】
端子部62は、電子機器に対する接触部の一例であって、通電可能な材質として、例えば金属製の材料で構成されている。この端子部62には、接触する電子機器30との接触圧力を高めるために、例えば、図6に示すように、ばね形状に形成され、電子機器30に向けて付勢する。この充電装置20には、例えば、ばね形状に形成した端子部62を2つ備えており、これらの端子部62が電子機器30の接触端子42と接触することで、導通して充電処理が開始できる。この端子部62は、図7に示す貫通孔72に挿入されて、収納部22内に配置される。端子部62は、両端子に触れることによって微量な電流が流れるため操作上接触し難い位置として、例えば、収納部22の底面側に配置されているが、これに限られず、傾斜面26の下部側に配置してもよい。
【0044】
電源部64は、例えば、外部の商用電源等に接続して電力を取込んで給電する手段であって、基板部54を介して端子部62に接続している。
【0045】
アーム56は、既述のように、収納部22内の電子機器30の有無を検知する突出部10と、電子機器30の筐体部に係合してロックするロックアーム部8とを備えている。このロックアーム部8は、収納部22に収納された電子機器30を保持し、ばね形状に形成した端子部62により付勢された電子機器が収納部22から離脱するのを防止する。
【0046】
また、図7に示すように、ウエケース50の内部側には、例えば、収納部22に対するアーム56の配置位置に応じて、突起70が形成されている。この突起70は、アーム56に形成された孔71に挿入され、アーム56を保持するとともに、アーム56を回動させる回動中心軸として機能する。
【0047】
さらに、ウエケース50は、収納部22に対し、アーム56を介して背面側に立壁部74が形成されている。この立壁部74は、アーム56に設置したばね76に対し、常時又は回動に応じて当接可能な位置に形成されている。このばね76は、アーム56に対する付勢手段の一例であって、回動により収納部22から離脱した突出部8を収納部22側に押し戻している。ばね76は、立壁部74に接触することで、アーム56に対して反発力を得られ、付勢することができる。
【0048】
この充電装置20を組立てると、図8に示す収納部22内には、窓部58から突出部10が突出するとともに、貫通孔72に端子部62が配置される。また、ロックアーム部8は、ロックアーム窓部60内に収納され、例えば、収納部22において、電子機器30の挿抜経路上に緩衝しないように配置されている。
【0049】
図9Aに示すように、アーム56は、ロックアーム部8と突出部10の長さ及び方向を異ならせて構成している。突出部10は、例えば、収納部22内に電子機器30が収納されたときに確実に接触させ、さらに、電子機器30との接触により収納部22外に退避可能な長さに設定している。また、ロックアーム部8は、例えば、突出部10に対して、所定の角度θ1をとるように構成している。この角度θ1は、例えば、突出部10が収納部22内に突出した時にロックアーム部8を収納部22内に配置させないように設定すればよい。アームロック部8は、収納される電子機器30に対する保持能力を高めるため、突出部10よりも長く設定している。
【0050】
既述のように、突出部10は、電子機器30の背面側筐体部に接触させるので、アームロック部8に対して突出量を小さく設定すれば、電子機器30に対する接触強度や引っ掛る範囲を少なく設定することができる。
【0051】
ロックアーム部8には、突出部10側に向けてリブ80が形成されている。また、突出部10にも同様にリブ82が形成されている。このリブ80、82は、例えば、一端側が直線上に配置されており、アーム56を充電装置20に設置した時に、収納部22の傾斜面26に対して平行に配置可能に形成されている。リブ80、82は、図8に示すように、電子機器30が収納されていない状態において、窓部58及びロックアーム窓部60の一部を覆うためのシャッタ壁を構成している。既述のように、窓部58は、突出部10が回動可能な範囲に合わせて開口している。そこで、図9のCに示すように、リブ80、82は、突出部10が収納部22内に配置されている場合、充電装置20の筐体内部に対する目隠しや異物混入の防止手段として機能する。
【0052】
リブ80、82は、図9のBに示すように、例えば、ロックアーム部8又は突出部10に対して角度θ2となるように傾斜させており、この角度θ2は、収納部22に設定された傾斜面26と同様の角度に設定すればよい。突出部10は、電子機器30に対する接触部分を例えば、上下方向に丸み持たせて形成しており、収納部22内に挿入した電子機器30との接触において損傷を防止している。その他、突出部10の接触部分を、例えば、樹脂材料で形成したり、接触抵抗を軽減するためのカバー部品を別途設置してもよい。
【0053】
アーム56の背面側には、凹凸形状の孔84が形成されており、図10に示すように、アーム56に対して付勢するばね76が設置される。このばね76は、図10のAに示すように、例えば、金属製の板ばねであって、孔84内に挿入されて保持される保持部86、アーム56に対してばねの反発力を付勢する屈曲部87、立壁部74に接触する接触部88が形成されている。接触部88は、例えば、立壁部74との間で引っ掛かる等の過度の摩擦による損傷を防止するために屈曲させて形成している。
【0054】
ばね76は、図10のBに示すように、保持部86を孔84内にスライドさせて挿入させ、例えば、接触部88をアーム56の所定の位置に配置される。孔84の内部には、図11に示すように、例えば、保持部86の一面側の中央部分に接触する保持凸部90が形成されている。また、ばね76の保持部86には、保持凸部90が接触する面の対向面側の両端側の一部に凸部92、94が接触している。孔84内には、保持凸部90及び凸部92、94によって保持空間96が形成されており、この保持空間96において、ばね76の保持部86は、例えば、中央部を一面側から押圧され、両端側を他面側から押圧されることで、微変形して固定保持される。
【0055】
このようにアーム56を構成することで、ロックアーム部8による電子機器30の着脱性の向上させる図ることができると共に、電子機器30と突出部10との接触による損傷や塗装の剥離等を防止することができる。
【0056】
なお、アーム56は、左右のリブ80、82について、例えば、傾斜方向を傾斜面26に合せて構成すればよく、リブ80、82以外部分については、例えば、左右対象に構成すればよい。
【0057】
充電装置20の収納部22には、図12に示すように、傾斜面26の一部から突出部10が突出して電子機器30の有無を監視しており、この時ロックアーム部8は、ロックアーム窓部60内に収納されている。
【0058】
充電装置20の端子部62は、図13に示すように、例えば、収納部22の底部側に開口された貫通孔72(図8)から電子機器30の接触端子42に対する接触部分を突出させている。この端子部62は、例えば、電子機器30との密着度を高めるため電子機器30の挿入方向に対して反発力を発生させている。従って、電子機器30は、その重量が端子部62の反発力よりも小さい場合、収納部22に対し離脱方向に浮き上がって収納される。
【0059】
また、充電装置20の筐体内において、突出部10は、ばね76を背面側に配置された立壁部74に接触させて収納部22側に向けて付勢されることで、先端側を収納部22内に突出させている。
【0060】
突出部10及びロックアーム部8を備えたアーム56は、図14に示すように、シタケース52に形成された立壁部66とウエケース50に形成された突起70とによって挟持されており、アーム56は、突起70を中心軸として回動する。このとき、立壁部66には、載置したアーム56に対し、その載置面上を摺動させて回動可能にするようにクリアランスが設定されている。
【0061】
次に、充電装置のロック機構の動作例について、図15、図16及び図17を参照する。図15〜図17に示す構成及び動作状態は一例であって、本願発明が斯かる構成に限定されるものではない。
【0062】
窓部58内から突出部10を突出させ、ロックアーム窓部60内にロックアームを配置させたアーム56は、収納部22に収納された電子機器30によって突出部10が押下され、孔71に挿入された突起70を軸として回動する。このとき、図15に示すアーム56は、例えば、ロックアーム部8を収納部22内に突出させる方向として、各アーム56をRa、Rb方向に回動する。このロックアーム部8が収納部22内に突出する方向は、アーム56の配置方向により決まる。
【0063】
この充電装置20では、ロックアーム部8は、電子機器30の設置又は離脱方向とは異なる方向にスライド移動して、収納部22内に突出し又は収納部22から筐体のロックアーム窓部60内に退避する。この充電装置20では、電子機器30に対して、例えば、図中のS方向に端子部62が付勢しており、この付勢方向(S方向)は、電子機器30の設置又は離脱方向と同一又は近似の方向に設定されている。この付勢方向、設置又は離脱方向は、例えば、傾斜面26に対して平行又はその近傍に設定されている。
そして、ロックアーム部8は、例えば、この付勢方向又は設置・離脱方向(S方向)に対して直交方向又はその近傍の方向にスライドする。
【0064】
図16に示すように、電子機器30が収納される前の充電装置20の筐体内において、アーム56の背面側では、例えば、アーム56に保持されたばね76の一端側を立壁部74に接触させるように配置されている。アーム56は、例えば、ばね76の復元力により収納部22側に向けて付勢するように配置してもよい。このとき、アーム56は、例えば、収納部22を構成する傾斜面26の裏面側にリブ80、82を接触させることで、突出部10の突出量及びロックアーム部8の回動量を調整している。
【0065】
そして、図17に示すように、充電装置20に電子機器30が配置されると、電子機器30の筐体の一部と突出部10が接触し、例えば、電子機器30の荷重によって突出部10が傾斜面26側に向けて押下される。そして、既述のように、接触部10は、電子機器30の荷重による力を突起70を中心に回動し、窓部58内をスライドして筐体内収納される。この回動により、ばね76は、立壁部74に対して押圧されて撓むとともに、例えば、左右方向にスライドする。この立壁部74は、例えば、ばね76に対するストッパとして機能しており、電子機器30の荷重応力に対して、アーム56の回動量を制御している。
【0066】
ロックアーム部8は、接触部10が電子機器30に接触するのに応じて回動し、収納部22に対して側面側から突出し、電子機器30の筐体に対して接触する。そして、例えば、接触部10が受ける電子機器30による荷重応力と、ばね76の反発力とが釣り合った状態でアーム56の回動が停止するとき、ロックアーム部8が電子機器30の凹部34内に配置され、嵌合する。
【0067】
また、電子機器30を収納部22から離脱させると、立壁部74からばね76による反発力によって収納部22内に突出部10が押し出され、ロックアーム部8が収納部22から側面側に退避する。
【0068】
なお、ロックアーム部8は、充電装置20の載置方向に対して平行方向に突出させる他、例えば、収納部22底面部に対して平行方向に突出させるようにアーム56を設置してもよい。
【0069】
このような構成により、ロックアーム部8は、収納部22の側面側からスライドさせることで、例えば、収納動作時の電子機器30に接触せずに係合させることができるので、電子機器30に対する嵌合部分を大きくすることができる。
【0070】
次に、充電装置に対する電子機器の着脱状態例について、図18、図19、図20、図21、図22、図23及び図24を参照する。図18〜図24に示す構成は一例であって、本発明がこれに限定されるものではない。
【0071】
(1)電子機器の設置動作(図18〜図20)
【0072】
充電装置20の収納部22に対して電子機器30を挿入させると、図18に示すように、例えば、挿入時には、S方向に対して力F1が作用し、電子機器30の底面側が収納部22の載置面に接触する。この力F1は、例えば、電子機器30の利用者による収納時に付加された力、又は電子機器30の質量による荷重であってもよい。そして、充電装置20の端子部62は、例えば、力F1を受けて撓んだ状態となる。
【0073】
既述のように、収納部22内に突出していた接触部10は、電子機器30から押圧され、回動して窓部58内に退避する。この接触部10に対する押下において、電子機器30は、例えば、収納部22との接触部分の一部を基準とする軸O1を中心に傾斜面26に対して微少の回転が生じる。充電装置20には、例えば、収納部22の底部の前面側の一部に、電子機器30を傾斜可能にする溝部100が形成されている。電子機器30の収納時の回動は、例えば、この溝部100の端部と電子機器30との接触部分を軸O1に設定してもよい。この回転により電子機器30が充電装置20の突出部10を押下する条件として、例えば、以下の関係が成り立てばよい。
【0074】
この充電装置20による電子機器30の保持角度をαとする。回転中心である軸O1において、電子機器30の荷重による回転モーメントM1と接触部10に対して付勢するばね76のばね荷重(付勢力)Fとが、例えば、以下の関係があれば突出部10が押下される。
M1 > F×b×2 ・・・(1)
ここで、bは、軸O1から突出部10と電子機器30との接触点までの距離を表しており、さらに、例えば、ばね76の設置数を考慮している。これにより、例えば、電子機器30荷重によるモーメントM1が、ばね76の反発力によるモーメントよりも大き蹴れば突出部10を押下できる。
【0075】
また、ばね76は、収納部22に電子機器30が収納されない場合、アーム56を付勢して突出部10を収納部22側に押し出せなければならない。そこで、ばね荷重Fについて、例えば、以下の関係が同時に成立することになる。
F > P2×g×μ ・・・(2)
このP2は、例えば、アーム56の荷重であり、gは重力加速度、μはアーム56と立壁部66(図6)の載置面との摩擦係数を示している。
【0076】
上記の式(1)及び式(2)の条件を考慮すると、bが正の値であるので、例えば、
P2×g×μ < F < M1 ・・・(3)
の関係が成り立つ。
【0077】
電子機器30の荷重P1による軸O1回りの回転モーメントM1は、電子機器30の荷重バランスを一定とし、重心Aの位置での集中荷重であるとすると、例えば、
M1 = P1×g×(cosα)×a ・・・(4)
となる。この式(4)において、aは、軸O1から重心Aまでの距離(モーメントアーム)を示しており、例えば、荷重P1について、傾斜面26に対して垂直方向の力成分によってモーメントM1を算出している。
【0078】
式(1)〜式(4)を満たすことで、突出部10を押下して、アーム56の回動を可能にすることができる。このアーム56の回動に応じて、図19に示すように、例えば、収納部22の左右の側面側からロックアーム部8が電子機器30の凹部34内に突出して嵌合する。
【0079】
そして、電子機器30がロックアーム部8に嵌合されて収納部22に対する設置動作が終了すると、例えば、電子機器30は、端子部62のばねの復元力Fsを受ける。この復元力Fsは、既述のように、収納された電子機器30に対する付勢力の一例であって、例えば、収納・離脱方向(S方向)に電子機器30を付勢している。そして、この復元力Fsが例えば、電子機器30の荷重P1(図19)よりも大きい場合、図20に示すように、電子機器30は浮き上がった状態となる。
【0080】
この復元力Fsに対し、電子機器30は、凹部34内の一部にロックアーム部8が接触することで、一定の高さW以上の浮き上がり防止している。既述のように、ロックアーム部8のスライド方向は、復元力Fsが作用するS方向に対し、例えば、直交方向又はその近傍方向に設定し異ならせている。従って、大きな復元力Fsが付加されても、ロックアーム部8がスライド動作させず、電子機器30を高さWに保持する。これにより、端子部62と電子機器30との接触圧力が確保される。
【0081】
(2)電子機器の取り外し動作(図21〜図24)
【0082】
充電装置20から電子機器30を取り外す場合は、図21に示すように、例えば、電子機器30を前面側に傾斜させ、電子機器30の筐体背面を収納部22の傾斜面26から引き離す。このとき、電子機器30の前面側の底面角部101は、収納部22内の溝部100内に挿入される。収納部22内で浮き上がって保持された電子機器30は、例えば、電子機器30の背面側筐体の底面角部分を回転中心の軸O2として溝部100に向けて傾斜する。
【0083】
この溝部100は、例えば、突出部10が一定量収納部22内に突出できるように電子機器30を傾斜させる深さに設定している。そして、この溝部100を設けることにより、電子機器30を傾斜させて取り外し操作を行う場合に、例えば、電子機器30の前面側の底面角部101が回転中心になるのを防止している。
【0084】
軸O2を中心に電子機器30を傾斜させると、突出部10が収納部22内に突出するのに応じて、図22に示すように、アーム56(図17)が回動して、ロックアーム部8と電子機器30の凹部34との係合が解除されていく。このとき、溝部100に電子機器30の底面角部101が挿入され、軸O2を中心に傾斜することで、例えば、端子部62のばね復元力Fsによって浮き上がっている電子機器30の凹部34を上方に変動させず、ロックアーム部8に干渉させない。これにより、電子機器30の筐体部やロックアーム部8を損傷させずに、電子機器30の取り外し操作を行うことができる。
【0085】
また、凹部34は、ロックアーム部8の幅よりも大きく構成され、ロックアーム部8と嵌合したときに一定の隙間が形成される。このように隙間を持たせた構成では、充電装置20に設置した際に、端子部62のばね復元力Fsによる浮き上がりが大きくなるが、電子機器30と端子部62との接圧を大きく確保できる。このときの端子部62と電子機器30には、例えば、以下の関係が成り立つ。
(電子機器の本体荷重)<(端子部のばね荷重(復元力Fs))×2 ・・・(5)
【0086】
また、電子機器30が収納部22内において、浮き上がっていない場合、即ち、電子機器30の荷重に対し端子部62のばね復元力Fsが小さい場合、既述のように、電子機器30は、収納部22の底面部に接触して保持される。この場合、図23に示すように、電子機器30の取り外しでは、例えば、電子機器30の底面部分を回転中心の軸O3として溝部100に向けて傾斜させる。この軸O3は、例えば、溝部100の端部と電子機器30との接触部分に設定すればよい。
【0087】
軸O3を中心に傾斜した電子機器30は、筐体背面側と収納部22の傾斜面26とが引き離される。そして、電子機器30が傾斜することで突出部10が収納部22内に突出し、既述のように、ロックアーム部8が収納部22から退避することで、電子機器30とロックアーム部8との係合が解除される。このとき、電子機器30は、収納部22の底面に接触して保持されるので、図19に示すように、例えば、凹部34とロックアーム部8との間の一定の隙間により、電子機器30が軸O3を中心に傾斜して背面側角部が上方に変動しても、電子機器30やロックアーム部8を損傷させない。
【0088】
収納部22内の溝部100に対して電子機器30を傾斜させると、図24に示すように、ばね76の付勢により突出部10が電子機器30に接触した状態で収納部22内に突出する。そして、この突出部22の動作に応じてアーム56が回動し、ロックアーム部8がロックアーム窓部60内に退避し、電子機器30に対するロックが解除されて電子機器30の取り外しが可能となる。
【0089】
この第2の実施の形態について、効果を以下に列挙する。
【0090】
(1) ロックアーム部が収納部に対する電子機器の配置に応じて突出させることで、電子機器着脱操作による緩衝を受けないので、ロック機能の低下を防止することができる。
【0091】
(2) ロックアーム部が電子機器の筐体に対する接触を防止できる。
【0092】
(3) ロックアームのスライド方向が端子部による復元力の付勢方向と異なるため、ロックアームが誤ってスライドすることがなく、電子機器のロック状態を維持できる。
【0093】
(4) このロックアーム部によるロック機構によれば、端子部による電子機器の浮き上がりを一定の位置で維持し、充電処理において、電子機器の接触端子と充電装置の端子部との接触圧を確保することができる。
【0094】
(5) ロックアーム部は、回転動作により収納部22の側面側から突出させるので、ロック時の電子機器の厚み方向に対する嵌合量を大きく形成することができる。これにより、端子部のばね復元力が大きい場合でも電子機器がロックアームから外れるのを防止できる。
【0095】
〔他の実施の形態〕
【0096】
(1) 上記実施の形態では、アーム56を回動させるための付勢手段として、立壁部74に板ばねで構成したばね76を当接させる場合を示したが、これに限られない。突出部10を収納部方向に一定の方向に付勢する手段して、例えば、コイルスプリング等のばね部材を利用したスプリング構造を設置してもよく、又はゴム等の弾性部材を利用してもよい。これにより、突出部10が付勢され、アーム56を回動させることができる。
【0097】
(2) 上記実施の形態では、電子機器をロックするロック機構を備えたロック装置及び電子装置として、充電装置20を示したがこれに限られない。例えば、設置した電子機器からデータを転送するクレイドルや、その他電子機器に接続して協働するドッキングステーション、ポートリプリケータ等であってもよい。
【0098】
(3) また、上記のロック装置又は電子装置にロックさせる電子機器は、携帯電話機やPC、又は情報通信端末(PDA)に限られず、例えば、充電操作やデータの転送を行うゲーム機やICレコーダ等であってもよい。また、充電装置に挿入して保持させる電子機器として、例えば、電動式歯ブラシや電動カミソリ機等に利用してもよい。
【0099】
(4) 上記実施の形態では、収納部22内の底面部に端子部を配置した場合を示したがこれに限られない。例えば、収納部22の傾斜面26側に端子部を配置し、底面側に突出部8を含むアーム56のロック機構を設置してもよい。この場合、例えば、収納部22の側面側からロックアーム部8をスライドさせる構成をとればよく、このロックアーム部8のスライド方向と、端子による電子機器への付勢方向とを異ならせることで、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
〔比較例〕
【0101】
次に、従来の充電装置によるロック機構の比較例について、図25を参照する。図25は、ロック機構を備えた充電装置の比較例を示す図である。
【0102】
この充電装置200は、例えば、電子機器を収納する収納部202が形成されており、電子機器は、例えば、背面側筐体部を傾斜面204にスライドさせて収納部202内に挿入させている。この収納部202内には、例えば、側面側に電子機器の一部に嵌合させてロックするアーム206が突出している。また、収納部202の底面部には、電子機器の底面側の接触端子に当接させて通電する充電端子部208が設置されている。
【0103】
この収納部202内に電子機器を挿入させると、例えば、電子機器20底面側又は側面側の筐体部がアーム206に接触する。このアーム206は、例えば、弾性変形したり、又は充電装置200の内部に設置したばね機構による退避動作により、電子機器が所定の位置まで挿入させることができる。
【0104】
常時定位置に設置されている固定のアーム206を備えた充電装置では、電子機器を挿入する場合、アーム206を避けて設置するか、電子機器によってアームを強引に押込ませることになる。従って、電子機器の筐体側面部や底面部、背面部には、アーム206との接触による損傷や塗装剥がれが生じる恐れがある。また、このようなアーム206では、電子機器との接触による着脱性能の低下を防止するため、大型化することができないので、アーム206による保持能力に限界がある。
【0105】
そして、電子機器の挿抜方向に応じてアーム206が変形するので、例えば、経年や挿抜操作による使用劣化により、アーム206の保持機能が低下することになる。これにより、端子部208に大きな反発力を付加すると、電子機器を保持できず、浮き上がった状態となり、電子機器と端子部との間で十分な接圧を確保できなくなる。
【0106】
このような固定アームによるロック機構に対し、本発明のロックアーム部8及び突出部10によるロック機構によれば、既述のように、収納部22に挿入される電子機器30に対し、ロックアーム部8を接触させることがない。また、ロックアーム部8の収納部22に対するスライド方向を端子部による復元力Fsが作用する方向と異ならせることで、ロックが意図せず解除させることがなく、さらに、ロック機能の低下を防止することができる。そして、このようなロック機能によれば、電子機器と端子部との接触圧力を十分に確保でき、充電効率を高めることができる。
【0107】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0108】
(付記1)電子機器の一部又は全部を内部に収納する収納部と、
前記収納部内に突出させ、前記収納部内に収納した前記電子機器との接触により、前記収納部から一部又は全部を退避する突出部と、
該突出部が前記収納部から退避したことを契機に、前記収納部内に突出し、前記電子機器の筐体側面に係合して、前記収納部から前記電子機器の離脱を防止するロックアーム部と、
を備えることを特徴とするロック装置。
【0109】
(付記2)前記収納部が形成された筐体と、
前記収納部内に収納した前記電子機器に対して、前記収納部からの離脱方向に付勢して接触する接触部と、
を備え、
前記ロックアーム部は、該接触部による前記電子機器への付勢方向と異なる方向にスライドして前記収納部内に突出し、又は前記収納部から前記筐体内に退避することを特徴とする、付記1に記載のロック装置。
【0110】
(付記3)前記突出部は、前記ロックアーム部と一体に構成し、前記ロックアーム部との間に回動支点を備え、前記電子機器との接触による前記突出部の退避移動に応じて、前記ロックアーム部を回動させ、前記収納部内に突出させることを特徴とする、付記1又は2に記載のロック装置。
【0111】
(付記4)前記接触部は、収納された前記電子機器に接触して通電する端子部を構成することを特徴とする、付記2に記載のロック装置。
【0112】
(付記5)更に、前記収納部内に向けて前記突出部を付勢する付勢手段を備え、
該付勢手段は、前記収納部から前記電子機器が離脱したことにより、前記突出部を前記収納部内に突出させることを特徴とする、付記1ないし付記4に記載のロック装置。
【0113】
(付記6)前記収納部は、底面の一部に、前記収納部に収納された前記電子機器の一部を挿入させる溝部を備え、
前記電子機器を該溝部に対して傾斜させ、前記収納部内に対する前記突出部の突出により前記ロックアーム部がスライドしてロックを解除することを特徴とする、付記1ないし付記5に記載のロック装置。
【0114】
(付記7)前記溝部に対し、前記電子機器の背面側の一部又は底面側の一部のいずれかを中心に回動させて、前記ロックアーム部と前記電子機器との係合を解除することを特徴とする、付記6に記載のロック装置。
【0115】
(付記8)電子機器の一部又は全部を内部に収納する収納部と、
前記収納部内に突出させ、前記収納部内に収納した前記電子機器との接触により、前記収納部から一部又は全部を退避する突出部と、
該突出部が前記収納部から退避したことを契機に、前記収納部内に突出し、前記電子機器の筐体側面に係合して、前記収納部から前記電子機器の離脱を防止するロックアーム部と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【0116】
(付記9)前記収納部が形成された筐体と、
前記収納部内に収納した前記電子機器に対して、前記収納部からの離脱方向に付勢して接触する接触部と、
を備え、
前記ロックアーム部は、該接触部による前記電子機器への付勢方向と異なる方向にスライドして前記収納部内に突出し、又は前記収納部から前記筐体内に退避することを特徴とする、付記8に記載の電子装置。
【0117】
(付記10)前記収納部は、底面の一部に、前記収納部に収納された前記電子機器の一部を挿入させる溝部を備え、
前記電子機器を該溝部に対して傾斜させ、前記収納部内に対する前記突出部の突出により前記ロックアーム部がスライドしてロックを解除することを特徴とする、付記8又は付記9に記載の電子装置。
【0118】
(付記11)前記溝部に対し、前記電子機器の背面側の一部又は底面側の一部のいずれかを中心に回動させて、前記ロックアーム部と前記電子機器との係合を解除することを特徴とする、付記10に記載の電子装置。
【0119】
以上説明したように、ロック装置及び電子装置の好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0120】
2 ロック装置
3、24 筐体
4、22 収納部
6、56 アーム
8 ロックアーム部
10 突出部
12 回動軸
14 接触部
16、30 電子機器
18、34 凹部
20 充電装置
26 傾斜面
32 筐体部
42 接触端子
58 窓部
60 ロックアーム窓部
62 端子部
64 電源部
66 立壁部
70 突起
71、84 孔
74 立壁部
76 ばね
80、82 リブ
86 保持部
87 屈曲部
88 接触部
90 保持凸部
92、94 凸部
100 溝部
101 底面角部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の一部又は全部を内部に収納する収納部と、
前記収納部内に突出させ、前記収納部内に収納した前記電子機器との接触により、前記収納部から一部又は全部を退避する突出部と、
該突出部が前記収納部から退避したことを契機に、前記収納部内に突出し、前記電子機器の筐体側面に係合して、前記収納部から前記電子機器の離脱を防止するロックアーム部と、
を備えることを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記収納部が形成された筐体と、
前記収納部内に収納した前記電子機器に対して、前記収納部からの離脱方向に付勢して接触する接触部と、
を備え、
前記ロックアーム部は、該接触部による前記電子機器への付勢方向と異なる方向にスライドして前記収納部内に突出し、又は前記収納部から前記筐体内に退避することを特徴とする、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記ロックアーム部と一体に構成し、前記ロックアーム部との間に回動支点を備え、前記電子機器との接触による前記突出部の退避移動に応じて、前記ロックアーム部を回動させ、前記収納部内に突出させることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロック装置。
【請求項4】
更に、前記収納部内に向けて前記突出部を付勢する付勢手段を備え、
該付勢手段は、前記収納部から前記電子機器が離脱したことにより、前記突出部を前記収納部内に突出させることを特徴とする、請求項1ないし請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
電子機器の一部又は全部を内部に収納する収納部と、
前記収納部内に突出させ、前記収納部内に収納した前記電子機器との接触により、前記収納部から一部又は全部を退避する突出部と、
該突出部が前記収納部から退避したことを契機に、前記収納部内に突出し、前記電子機器の筐体側面に係合して、前記収納部から前記電子機器の離脱を防止するロックアーム部と、
を備えることを特徴とする電子装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−46513(P2013−46513A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183553(P2011−183553)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】