説明

ロボットコントロール・システム、ロボットコントロール方法

【課題】ロボットコントロール・システムを停止することなく、動作制御装置に追加した機能部の制御プログラムの更新を行うことを可能にしたロボットコントロール・システムおよびロボットコントロール方法を提供することを課題としている。
【解決手段】ロボットコントロール・システム1は、動作制御装置2と動作指示装置3とを備え、ロボット4が接続されている。動作制御装置2は通信部201と通信変換部202と第1記憶部203と第2記憶部204と、プログラム実行部205と第3記憶部206とロボット制御部207と書き換え検証部208を備え、動作指示装置3は通信部301と演算部302とROM303とデータ読出部304と第4記憶部305を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットコントロール・システム、ロボットコントロール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機器の組み立てや部品搬送用途向け等に用いるロボットをコントロールするロボットコントロール・システムは、一般的に動作制御装置(サブコントローラー)と動作指示装置(主コントローラー)を備えている。動作制御装置は、例えば、ロボットの各軸のモーターを制御し、ロボットが所望の動作をするように制御する。また、動作指示装置は、例えば、外部ネットワークとのインターフェース、汎用アプリケーション、ロボット動作に必要なデータベース等を備え、動作制御装置と動作指示装置とが、所定の通信規格に基づいて接続されている。さらに、動作制御装置と動作指示装置は、それぞれの内部に各装置の制御プログラムを備えている。
【0003】
このようなロボットコントロール・システムにおいて、動作制御装置のコントローラープログラムの更新を行う場合、システムの起動時に動作指示装置内に記憶されているコントローラープログラムを動作制御装置にダウンロードし、コントローラープログラムの更新を行う。この場合、動作指示装置内に記憶されている動作指示装置のプログラムに変更が生じた場合、動作制御装置のコントローラープログラムも合わせて書き換えておけば、システム起動時に自動的に動作制御装置のコントローラープログラムが更新できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−20922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のロボットコントロール・システムにおいて、例えば、機能を拡張するために動作制御装置にプログラムを備える拡張機能部を追加した場合、この追加した拡張機能部のプログラムも適時更新する必要が生じる。例えば、追加機能部を例えば、ROM(Read Only Memory)に接続している汎用的なCPU(中央演算装置)で実現した場合、追加機能部のプログラムを更新するためには、追加機能部に接続されているROMを差し替える必要があるという問題があった。あるいは、動作制御装置の追加機能部に、直接、プログラムの書き換え装置を接続してプログラムを更新する必要があるという問題があった。特に、製造ライン等で、複数の動作指示装置、動作制御装置、および、ロボットが接続されている場合、一度、ロボットコントロール・システムを停止し、その上で各動作制御装置の追加機能部にプログラムの書き換え装置を接続し、更新する必要があるため多くの工数を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ロボットコントロール・システムを停止することなく、動作制御装置の機能を拡張する追加機能部の制御プログラムの更新を行うことを可能にしたロボットコントロール・システム、ロボットコントロール方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明にかかるロボットコントロール・システムは、ロボットに所望の動作を行なわせる動作制御装置と、前記ロボットに動作指示を行う動作指示装置とが所定のネットワークを介して接続されているロボットコントロール・システムにおいて、前記動作制御装置は、第1記憶部の所定の領域に記憶されている前記第2プログラムで動作中に、前記動作指示装置が出力する第1プログラムを受け取り、受け取った前記第1プログラムを第2記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させ、前記第2記憶部に記憶させた前記第1プログラムを第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させ、書き換え検証部が出力するベリファイ情報を受け取り、受け取ったベリファイ情報に対応した選択情報を前記第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させる追加機能部と、前記追加機能部に接続された第2プログラムと前記選択情報を記憶する前記第1記憶部と、前記追加機能部に接続された前記第2記憶部と、前記第1記憶部の所定の領域に記憶されている前記1プログラムと、前記第2記憶部の所定の領域に記憶されている前記1プログラムとのベリファイを行い、ベリファイの結果を前記追加機能部に出力する前記書き換え検証部とを備えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明にかかるロボットコントロール・システムは、前記追加機能部は、前記動作指示装置との通信情報の変換を行い、前記動作指示装置が出力する前記第1プログラムである第1通信変換制御プログラムを受け取り、受け取った前記第1通信変換制御プログラムを第2記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させ、前記第2記憶部に記憶させた前記第1通信変換制御プログラムを第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させ、書き換え検証部が出力するベリファイ情報を受け取り、受け取ったベリファイ情報に基づく選択情報を前記第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させることを特徴としている。
【0009】
また、本発明にかかるロボットコントロール・システムは、前記第1記憶部および前記第2記憶部、あるいは、前記第1記憶部または前記第2記憶部は、前記第1通信変換制御プログラムが記憶される所定の領域を複数備えことを特徴としている。
【0010】
また、本発明にかかるロボットコントロール・システムは、前記追加機能部は、前記第1記憶部の所定の領域に記憶されている選択情報を読み出し、読み出した選択情報に対応した前記第1記憶部の所定の領域から前記第2プログラムを読み出し、前記第2記憶部に記憶させた前記第1プログラムを第1記憶部の前記第2プログラムが記憶されていない所定の領域に書き込んで記憶させることを特徴としている。
【0011】
また、本発明にかかるロボットコントロール・システムのロボットコントロール方法は、第1記憶部と第2記憶部を備えロボットに所望の動作を行なわせる動作制御装置と、前記ロボットに動作指示を行う動作指示装置とが所定のネットワークを介して接続されているロボットコントロール・システムのロボットコントロール方法において、追加機能部が、前記第1記憶部の所定の領域に記憶されている第2プログラムを読み出して、読み出した前記第2プログラムで動作させる第2プログラム動作工程と、追加機能部が、前記第2プログラムで動作中に、前記動作指示装置が出力する第1プログラムを受け取り、受け取った前記第1プログラムを前記第2記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させる第1プログラム記憶工程と、追加機能部が、前記第2記憶部に記憶させた前記第1プログラムを前記第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させる第2記憶部記憶工程と、書き換え検証部が、前記第1記憶部の所定の領域に記憶されている前記1プログラムと、前記第2記憶部の所定の領域に記憶されている前記1プログラムとのベリファイを行い、ベリファイの結果を前記追加機能部に出力する検証工程と、追加機能部が、前記検証工程が出力するベリファイ情報を受け取り、受け取ったベリファイ情報に対応した選択情報を前記第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させる選択情報書き込み工程とを備えることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、ロボットコントロール・システム起動時に、動作制御装置の第1記憶部と第2記憶部を用いて動作制御装置の機能を拡張する追加機能部のプログラムの更新を行うようにしたので、ロボットコントロール・システムを停止することなく、動作制御装置に追加した機能部の制御プログラムの更新を行うことができるロボットコントロール・システム、ロボットコントロール方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一実施形態に係るロボットコントロール・システムのブロック図の一例を示す図である。
【図2】同実施形態に係る第1記憶部と第2記憶部に記憶されているデータの構造の一例を示す図である。
【図3】同実施形態に係るプログラムアップデート手順のフローチャートである。
【図4】同実施形態に係るプログラムアップデート手順のフローチャートである。
【図5】本発明の第二実施形態に係る複数の動作制御装置が接続されているロボットコントロール・システムの構成の一例を示す図である。
【図6】第二実施形態に係る各動作制御装置の第1記憶部と第2記憶部に記憶されているデータの構造の一例を示す図である。
【図7】第三実施形態に係る通信変換制御プログラムの更新手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図7を用いて説明する。なお、本発明は係る実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想の範囲内で種々の変更が可能である。
【0015】
[第一実施形態]
第一の実施形態について図1〜図4を用いて説明する。図1は、第一の実施形態におけるロボットコントロール・システムの構成の一例を示すブロック図である。ロボットコントロール・システム1は、動作制御装置2と動作指示装置3を備えている。動作制御装置2は、ロボット4が接続されている。また、動作制御装置2と動作指示装置3は、ネットワーク5を介して接続している。また、ロボット4は、例えば、産業用のスカラロボットや多軸ロボット等であり、ロボットコントロール・システム1により動作が制御される。
【0016】
次に、動作制御装置2の構成について説明する。動作制御装置2は、通信部201と、通信変換部202と、第1記憶部203と、第2記憶部204と、プログラム実行部205と、第3記憶部206と、ロボット制御部207と、書き換え検証部208とを備えている。
【0017】
通信部201は、ネットワーク5を介して動作指示装置3と接続し、動作指示装置3との各種データや各種指示、コントローラープログラム、通信変換制御プログラム等の送受信を行う。また、通信部201は、受信した各種データや各種指示、コントローラープログラムと通信変換制御プログラムを通信変換部202に出力する。
【0018】
通信変換部202(追加機能部)は、第1記憶部203に記憶されている基本動作プログラムであるIPL(Initial Program Loader)を読み出し、読み出したIPLに基づき第1記憶部203の選択領域に記憶されている選択情報と、記憶領域Aまたは記憶領域Bに記憶されている通信変換プログラムを読み出して動作を行う。なお、IPLは、通信変換部202を起動して通信変換制御プログラムの読み出し等の基本動作を行う起動アプリケーションである。また、通信変換部202は、通信部201とプログラム実行部205との間で異なる通信方式を変換する。さらに、通信変換部202は、通信部201が出力する各種データやコントローラープログラムと通信変換制御プログラムを受け取り、受け取った各種データや各種指示、コントローラープログラムをプログラム実行部205に出力する。さらにまた、通信変換部202は、受け取った通信変換制御プログラムを第2記憶部204に書き込んで記憶させる。また、通信変換部202は、書き換え検証部208が出力するベリファイ結果を受け取り、受け取ったベリファイ結果に基づき第2記憶部204に記憶されている通信変換制御プログラムを第1記憶部203に書き込んで記憶させる。
【0019】
第1記憶部203は、Flash ROMであり、IPLと選択情報と通信変換制御プログラムとを記憶している。第2記憶部204は、RAM(Random Access Memory)であり、通信変換制御プログラムを一時記憶している。図2は、第1記憶部203と第2記憶部204に記憶されているデータの構造の一例を示す図である。図2のように、第1記憶部203は、IPLと、起動時に通信変換制御プログラムを記憶領域Aまたは記憶領域Bから読み出すかの設定である選択情報を記憶する選択領域と、通信変換制御プログラムを記憶する記憶領域Aと記憶領域Bとから構成されている。また、第2記憶部204は、通信変換制御プログラムを一時記憶するための記憶領域Cと記憶領域Dとから構成されている。
【0020】
プログラム実行部205は、通信変換部202が出力するコントローラープログラムを受け取り、受け取ったコントローラープログラムを第3記憶部206に書き込んで記憶させる。また、プログラム実行部205は、第3記憶部206に記憶されているコントローラープログラムを読み出し、読み出したコントローラープログラムに基づき、ロボット4を制御するコマンドをロボット制御部207に出力する。
【0021】
第3記憶部206は、RAMであり、コントローラープログラムを記憶している。
【0022】
ロボット制御部207は、プログラム実行部205が出力するロボット4の各種制御コマンドを受け取り、受け取った制御コマンドに基づいてロボット4を制御する。
【0023】
書き換え検証部208は、第1記憶部203に記憶されている通信変換制御プログラムと第2記憶部204に記憶されている通信変換制御プログラムとをベリファイを行い、ベリファイを行った結果を通信変換部202に出力する。
【0024】
次に、動作指示装置3の構成について説明する。動作指示装置3は、通信部301と、演算部302と、ROM303と、データ読出部304と、第4記憶部305とを備えている。
【0025】
通信部301は、ネットワーク5を介して動作制御装置2と接続し、動作制御装置2とのロボット4の制御に関わる各種データや各種指示等、および、演算部302が出力するコントローラープログラムや通信変換制御プログラム等の送受信を行う。
【0026】
演算部302は、ROM303に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムに基づき動作を開始する。また、演算部302は、通信部301が出力する各種データや各種指示等を受け取り、受け取った各種データや各種指示に基づきデータ読出部304にデータ読み出し指示等を行う。ROM303は、例えば、OS(オペレーティング・システム)や動作指示に関するアプリケーション、ロボット4へ指示する座標等の動作指示に関する各種データが記憶されている。
【0027】
データ読出部304は、演算部302からプログラムの読み出し指示を受け取り、受け取った読み出し指示に応じて、第4記憶部305に記憶されているコントローラープログラムまたは通信変換制御プログラムを読み出し、読み出したコントローラープログラムまたは通信変換制御プログラムを演算部302に出力する。
【0028】
第4記憶部305は、コントローラープログラムと通信変換制御プログラムとが記憶されている。
【0029】
次に、図3と図4のフローチャートを用いて、通信変換部202の通信変換制御プログラム変換方法を説明する。図3と図4は、通信変換部202のプログラムアップデート手順のフローチャートである。なお、動作制御装置2と動作指示装置3はネットワーク5を介して接続されている場合について以下の説明を行う。
【0030】
まず、ロボットコントロール・システム1の電源投入後、動作指示装置3の演算部302は、ROM303に記憶されている動作指示装置3の起動プログラムを読み出し、読み出した起動プログラムに基づき、動作指示装置3を起動する。
【0031】
次に、動作制御装置2の通信変換部202は、第1記憶部203に記憶されているIPLを読み出し(ステップS1)、読み出したIPLに基づき動作制御装置2を起動する。
【0032】
次に、通信変換部202は、第1記憶部203の選択領域の選択情報を読み出し、通信変換制御プログラムの読み出し領域が、記憶領域Aまたは記憶領域Bのどちらに設定されているか判定する(ステップS2)。通信変換部202は、記憶領域Aに設定されている場合(ステップS2;A)、第1記憶部203の記憶領域Aから通信変換制御プログラム(第2プログラム)を読み出し(ステップS3)、記憶領域Bに設定されている場合(ステップS2;B)、第1記憶部203の記憶領域Bから通信変換制御プログラムを読み出す(ステップS4)。また、通信変換部202は、読み出した通信変換制御プログラムを第2記憶部204の記憶領域Cに書き込んで記憶させる(ステップS5)。次に、通信変換部202は、第2記憶部204の記憶領域Cに記憶されている通信変換制御プログラムを読み出して、通信変換等の動作を開始する(ステップS6;第2プログラム動作工程)。
【0033】
次に、演算部302は、データ読出部304に通信変換制御プログラム(第1プログラム)の読み出し指示を行い(ステップS7)、データ読出部304が出力する通信変換制御プログラムを受け取り、受け取った通信変換制御プログラムを通信部301に出力する。次に、通信部301は、演算部302が出力する通信変換制御プログラムを受け取り、受け取ったコントローラープログラムを、ネットワーク5を介して接続されている動作制御装置2に出力する(ステップS8)。
【0034】
次に、動作制御装置2の通信部201は、動作指示装置3が出力した通信変換制御プログラムを受け取り(ステップS9)、受け取った通信変換制御プログラムを通信変換部202に出力する。次に、通信変換部202は、受け取った通信変換制御プログラムを第2記憶部204の記憶領域Dに書き込んで記憶させる(ステップS10;第1プログラム記憶工程)。
【0035】
次に、通信変換部202は、第2記憶部204の記憶領域Dに記憶されている通信変換制御プログラムを読み出して、読み出した通信変換制御プログラムを第1記憶部203の記憶領域Bに書き込んで記憶させる(ステップS21;第2記憶部記憶工程)。次に、書き換え検証部208は、第2記憶部204の記憶領域Dに記憶されている通信変換制御プログラムと、第1記憶部203の記憶領域Bに記憶されている通信変換制御プログラムとのベリファイを行う(ステップS22;検証工程)。ベリファイの結果、両方の通信変換制御プログラムが一致する場合(ステップS22;Yes)、書き換え検証部208は、記憶領域Bから読み出す設定を第2記憶部204の選択領域に書き込んで記憶させることで設定を更新する(ステップS23;選択情報書き込み工程)。一方、両方の通信変換制御プログラムが一致しない場合(ステップS22;No)、書き換え検証部208は、第2記憶部204の選択領域に記憶されている記憶領域Aから読み出す設定を更新しない。
【0036】
次に、演算部302は、データ読出部304にコントローラープログラムの読み出し指示を行い、データ読出部304が出力するコントローラープログラムを受け取り(ステップS24)、受け取ったコントローラープログラムを通信部301に出力する。次に、通信部301は、演算部302が出力するコントローラープログラムを受け取り、受け取ったコントローラープログラムを、ネットワーク5を介して接続されている動作制御装置2に出力する(ステップS25)。
【0037】
次に、動作制御装置2の通信部201は、動作指示装置3が出力したコントローラープログラムを受け取り(ステップS26)、受け取ったコントローラープログラムを通信変換部202に出力する。次に、通信変換部202は、受け取ったコントローラープログラムをプログラム実行部205に出力する。次に、プログラム実行部205は、受け取ったコントローラープログラムを第3記憶部206に書き込んで記憶させる(ステップS27)。次に、プログラム実行部205は、第3記憶部206に記憶されているコントローラープログラムを読み出し、読み出したプログラムに基づきロボット4の制御を開始する。
以上で、通信変換部202の通信制御プログラムの更新手続きを終了する。
【0038】
以上のように、動作制御装置2に追加した通信変換部202を、まず第1記憶部203に記憶されている通信変換制御プログラムで制御する。次に、動作指示装置3と動作制御装置2との間で通信を確立した後、更新する通信変換制御プログラムを一度第2記憶部204に書き込んで記憶させ、この通信変換制御プログラムを第1記憶部203の動作中の通信変換制御プログラムが書き込まれている領域とは別の記憶領域に書き込んで記憶させる。そして、第1記憶部203に書き込みが成功したと判定した場合、通信変換部202は通信変換制御プログラムの更新が成功したと判定し、選択領域の設定も更新し、次の起動時から更新した通信変換制御プログラムを用いて制御を行う。この結果、ロボットコントロール・システム1の起動時、動作制御装置2の第1記憶部203と第2記憶部204を用いてロボットコントロール・システム1を停止することなく、動作制御装置2に追加した機能部である通信変換部202の通信変換制御プログラムの更新を行うことができる。
【0039】
[第二実施形態]
次に、図1、図3、図5、および図6を用いて第二の実施形態について説明する。図5は、複数の動作制御装置が接続されているロボットコントロール・システム1の構成の一例を示す図である。図6は、各動作制御装置の第1記憶部203と第2記憶部204に記憶されているデータの構造の一例を示す図である。図5のように、動作指示装置3に複数の動作制御装置2と動作制御装置401がデイジーチェーン(daisy chain)で接続され、さらに、各動作制御装置にロボット4とロボット451が接続されている。動作制御装置2と動作制御装置401の構成は図1と同一のため説明は省略する。また、動作制御装置2と動作制御装置401とは、ネットワーク5を介して、通信部201同士で接続されている。動作制御装置は、デイジーチェーンでさらに複数接続することも同様に構成可能であるが、説明を簡単にするために、図5のような動作制御装置が2台接続されている場合を以下に説明する。また、図6のように、動作制御装置401は、第1記憶部203の記憶領域A’と記憶領域B’、および、第2記憶部204の記憶領域C’と記憶領域D’を備えている。
【0040】
図3のフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS27を動作制御装置2と動作制御装置401とが同時に行う。すなわち、まず、動作制御装置2の通信変換部202が第1記憶部203の記憶領域Aから読み出した通信変換制御プログラムを記憶領域Cに書き込んで記憶させ、書き込んだ通信変換制御プログラムで動作を開始する。同時に動作制御装置401の通信変換部202が第1記憶部203の記憶領域A’から読み出した通信変換制御プログラムを記憶領域C’に書き込んで記憶させ、書き込んだ通信変換制御プログラムで動作を開始する(ステップS1〜ステップS6)。次に、動作指示装置3が出力する通信変換制御プログラムを動作制御装置2と動作制御装置401の各通信部201が受け取り、受け取った通信変換制御プログラムを各通信変換部202が各第2記憶部204の記憶領域Dと記憶領域D’に書き込んで記憶させる。さらに、各通信変換部202は、各第2記憶部204の記憶領域Dと記憶領域D’に記憶されている通信変換制御プログラムを各第1記憶部203の記憶領域Bと記憶領域B’に書き込んで記憶させる(ステップS7〜ステップS23)。以下,第一の実施形態と同様に、動作指示装置3が出力するコントローラープログラムを各通信部201が受け取り、受け取ったコントローラープログラムを、各通信変換部202を介して各プログラム実行部205が受け取り、受け取ったコントローラープログラムにより動作を開始する(ステップS24〜ステップS27)。
【0041】
以上のように、複数の動作制御装置を有するロボットコントロール・システム1においても、ロボットコントロール・システム1起動時に、各動作制御装置の第1記憶部203と第2記憶部204を用いて動作制御装置2に追加した機能部である通信変換部202のプログラムの更新を行うようにしたので、ロボットコントロール・システム1を停止することなく、動作制御装置2に追加した機能部である通信変換部202の通信変換制御プログラムの更新を行うことができる。
【0042】
[第三実施形態]
第一の実施形態および第二の実施形態では、第1記憶部203と第2記憶部204にそれぞれ通信変換制御プログラムを記憶する領域を2つずつ備える例を説明したが、1つずつでも良い。この場合、第1記憶部203に記憶領域A、第2記憶部204に記憶領域Cのみを備えている。第三の実施形態における通信変換制御プログラムの更新手順の概略を図3と図7のフローチャートを用いて説明する。図3のステップS1終了後、第1記憶部203の記憶領域Aから通信変換制御プログラムを読み出す(ステップS3)。ステップS4〜ステップS8までは図3と同様に行い、ステップS8終了後、動作制御装置2の通信部201は、動作指示装置3が出力した通信変換制御プログラムを受け取り(ステップS101)、受け取った通信変換制御プログラムを通信変換部202に出力する。次に、通信変換部202は、受け取った通信変換制御プログラムを第2記憶部204の記憶領域Cに書き込んで記憶させる(ステップS102)。
【0043】
次に、通信変換部202は、第2記憶部204の記憶領域Cに記憶されている通信変換制御プログラムを読み出してチェックサム等を確認し、通信変換制御プログラムを正しく動作指示装置3から受信できているか判定する(ステップS103)。ベリファイの結果、通信変換制御プログラムが正しく受信できていないと判定した場合(ステップS103;No)、通信変換部202は通信部201に通信変換制御プログラムの再送依頼を出力し(ステップS104)、ステップステップS101に戻る。ベリファイの結果、通信変換制御プログラムが正しく受信できている判定した場合(ステップS103;Yes)、通信変換部202は、第2記憶部204の記憶領域Cに記憶されている通信変換制御プログラムを読み出して、読み出した通信変換制御プログラムを第1記憶部203の記憶領域Aに書き込んで記憶させる(ステップS105)。以後、ステップS24〜ステップS27を同様に行う。
【0044】
なお、本実施形態では、通信変換部202の通信変換制御プログラムの更新を行う例を説明したが、コントローラープログラムを先に更新するようにしても良い。この場合、ステップS6終了後、ステップS24〜ステップS27を行い、ステップS27終了後にステップ7〜ステップS23を行う。
【0045】
また、第一の実施形態では、動作指示装置3が出力する通信変換制御プログラムのベリファイを行わない例を説明したが、第三の実施形態と同様に通信変換部202がチェックサム等を用いてベリファイを行っても良く、ベリファイの結果がOKの場合、第2記憶部204に記憶されている通信変換制御プログラムを第1記憶部203に書き込んで記憶させるようにしても良い。
【0046】
また、本実施形態では、通信変換制御プログラムの更新はロボットコントロール・システム1の起動時に行う例を説明したが、例えば、動作制御装置2がロボット4を制御しているバックグラウンドで、更新する通信変換制御プログラムを動作指示装置3から動作制御装置2に送信し、動作制御装置2の第1記憶部203に書き込んで記憶させておき、次回の起動時から更新した通信変換制御プログラムで起動するようにしても良い。
【0047】
また、本実施形態では、第1記憶部203と第2記憶部204にそれぞれ通信変換制御プログラムを記憶する領域を2つずつ備える例を説明したが、3つずつであってもよく、あるいは第1記憶部203と第2記憶部204が備える記憶領域数が異なっていても良い。
【0048】
また、本実施形態では、動作指示装置3を図1の構成について説明したが、動作指示を行うアプリケーション等をインストールしたPC(パーソナル・コンピューター)を用いても良い。また、本実施形態では、動作指示装置3のプログラムをROM303に記憶させている例を説明したが、図示しないCPUに接続されたROM、HDD(Hard Disk Drive)もしくはUSB(Universal Serial Bus) I/F(インターフェース)を介して接続されるUSBメモリー等の記憶装置に記憶させて用いることも可能である。
【0049】
また、本実施形態では、通信変換部202と第1記憶部203とを分けて構成する例を説明したが、通信変換部202と第1記憶部203を、例えば、Flash ROM内蔵のCPU(中央演算装置)で構成するようにしても良い。また、第2記憶部204と第3記憶部206とを分けて2つのRAMで構成する例を説明したが、記憶領域を分けて、1つのRAMで構成しても良い。
【0050】
また、本実施形態では、追加機能部の実施例として通信変換を行う例を説明したが、これに限られず、動作制御装置3に他の機能を拡張する場合においても、通信変換部を必要な追加機能部に置き換えることで実現することができる。
【0051】
なお、実施形態の図1の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピューターシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1・・・ロボットコントロール・システム
2・・・動作制御装置
3・・・動作指示装置
4・・・ロボット
5・・・ネットワーク
201、301・・・通信部
202・・・通信変換部
203・・・第1記憶部
204・・・第2記憶部
205・・・プログラム実行部
206・・・第3記憶部
207・・・ロボット制御部
208・・・書き換え検証部
302・・・演算部
303・・・ROM
304・・・データ読出部
305・・・第4記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットに所望の動作を行なわせる動作制御装置と、前記ロボットに動作指示を行う動作指示装置とが所定のネットワークを介して接続されているロボットコントロール・システムにおいて、
前記動作制御装置は、
第1記憶部の所定の領域に記憶されている前記第2プログラムで動作中に、前記動作指示装置が出力する第1プログラムを受け取り、受け取った前記第1プログラムを第2記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させ、前記第2記憶部に記憶させた前記第1プログラムを第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させ、書き換え検証部が出力するベリファイ情報を受け取り、受け取ったベリファイ情報に対応した選択情報を前記第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させる追加機能部と、
前記追加機能部に接続された第2プログラムと前記選択情報を記憶する前記第1記憶部と、
前記追加機能部に接続された前記第2記憶部と、
前記第1記憶部の所定の領域に記憶されている前記1プログラムと、前記第2記憶部の所定の領域に記憶されている前記1プログラムとのベリファイを行い、ベリファイの結果を前記追加機能部に出力する前記書き換え検証部と、
を備えることを特徴とするロボットコントロール・システム。
【請求項2】
前記追加機能部は、
前記動作指示装置との通信情報の変換を行い、前記動作指示装置が出力する前記第1プログラムである第1通信変換制御プログラムを受け取り、受け取った前記第1通信変換制御プログラムを第2記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させ、前記第2記憶部に記憶させた前記第1通信変換制御プログラムを第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させ、書き換え検証部が出力するベリファイ情報を受け取り、受け取ったベリファイ情報に基づく選択情報を前記第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させることを特徴とする請求項1に記載のロボットコントロール・システム。
【請求項3】
前記第1記憶部および前記第2記憶部、あるいは、前記第1記憶部または前記第2記憶部は、前記第1通信変換制御プログラムが記憶される所定の領域を複数備えことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロボットコントロール・システム。
【請求項4】
前記追加機能部は、
前記第1記憶部の所定の領域に記憶されている選択情報を読み出し、読み出した選択情報に対応した前記第1記憶部の所定の領域から前記第2プログラムを読み出し、前記第2記憶部に記憶させた前記第1プログラムを第1記憶部の前記第2プログラムが記憶されていない所定の領域に書き込んで記憶させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロボットコントロール・システム。
【請求項5】
第1記憶部と第2記憶部を備えロボットに所望の動作を行なわせる動作制御装置と、前記ロボットに動作指示を行う動作指示装置とが所定のネットワークを介して接続されているロボットコントロール・システムのロボットコントロール方法において、
追加機能部が、前記第1記憶部の所定の領域に記憶されている第2プログラムを読み出して、読み出した前記第2プログラムで動作させる第2プログラム動作工程と、
追加機能部が、前記第2プログラムで動作中に、前記動作指示装置が出力する第1プログラムを受け取り、受け取った前記第1プログラムを前記第2記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させる第1プログラム記憶工程と、
追加機能部が、前記第2記憶部に記憶させた前記第1プログラムを前記第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させる第2記憶部記憶工程と、
書き換え検証部が、前記第1記憶部の所定の領域に記憶されている前記1プログラムと、前記第2記憶部の所定の領域に記憶されている前記1プログラムとのベリファイを行い、ベリファイの結果を前記追加機能部に出力する検証工程と、
追加機能部が、前記検証工程が出力するベリファイ情報を受け取り、受け取ったベリファイ情報に対応した選択情報を前記第1記憶部の所定の領域に書き込んで記憶させる選択情報書き込み工程と、
を備えることを特徴とするロボットコントロール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−110687(P2011−110687A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271971(P2009−271971)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】