ロボット制御脈管内組織注入システム
【課題】
【解決手段】マスター入力デバイスを具えるコントローラと、当該コントローラと通信する器具操作装置とを具えるロボットカテーテルシステム。細長フレキシブルガイド器具は、器具操作装置に操作的に接続されている。液体注射針は、ガイド器具の遠位端から前進し、この遠位端へ引き込まれる。
【解決手段】マスター入力デバイスを具えるコントローラと、当該コントローラと通信する器具操作装置とを具えるロボットカテーテルシステム。細長フレキシブルガイド器具は、器具操作装置に操作的に接続されている。液体注射針は、ガイド器具の遠位端から前進し、この遠位端へ引き込まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、遠隔ロボット手術システムのようなロボットを利用した制御システムに関し、特に侵襲を最小限に抑える診断治療手順を実行するロボットガイドカテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット手術システム及び機器は、患者の体腔を開けて執刀医の手が内部臓器に触れることができるようにする構成の従来の方法とは異なり、侵襲を最小限に抑える診療手順を実行する場合の使用に非常に適している。例えば、患者の体内深くに位置し、かつ血管または胃腸管のような自然に形成されている経路を通してのみ触れることが好ましい組織の撮影、診断、及び治療を容易にし、制御性が高く、更には最大限に小型化したシステムの必要性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
図1を参照すると、ロボットカテーテルシステム32の一実施例が示されており、これは、手術台22から遠隔に配置されたオペレータ制御ステーション2を具える。この手術台には、器具操作装置16と、器具群18が、器具操作装置連結ブレース20を介して連結されている。通信リンク14は、オペレータ制御ステーション2と器具操作装置16との間で信号を送信する。図に示す実施例の器具操作装置連結ブレース20は、手術台22の上に寝ている患者(図示せず)の上方に器具操作装置16を位置決めするように構成した、比較的シンプルな弓型構造の部材である。
【0004】
図2を参照すると、ロボットカテーテルシステムのもう一つの実施例が記載されている。ここでは、弓形部材20が、可動支持アームアセンブリ26と置き換えられている。支持アセンブリ26は、患者(図示せず)に対して所望の位置に都合のよいアクセスを行うように器具操作装置16を位置決めするために、手術台22の上方で器具操作装置16を移動可能に支持するように構成されている。図2に示す支持アセンブリ26は、又、器具操作装置16を適所にロックするように構成されている。
【0005】
図3を参照すると、オペレータ制御ステーション(2)のもう一つの変形例が示されており、これは、3つのディスプレイ(4)と、タッチスクリーンユーザインターフェース(5)と、制御ボタンコンソール(8)を具える。図3の実施例にはマスター入力デバイス(12)が示されており、この装置は図105Bを参照して更なる詳細を説明する。また、図3には、器具を一時的に使用できなくするように構成された器具動作不能スイッチ(7)が示されている。図3に示されているカート(9)は、操作室またはカテーテルラボ内で容易に移動できるように構成されており、この構成の一つの利点は、オペレータ制御ステーション(2)の位置が放射線源から離れていることであり、これによって、オペレータへの放射線投与量が低減される。図4は、図3に示す実施例の背面を示す。
【0006】
図5は、図2の実施例に示す支持アセンブリ26をより近くで見た図である。支持アセンブリ26は、電気式ブレーキジョイント34で連結された一連の剛性リンク36を具える。ジョイント34は、コントロールシステム(図示せず)によって付勢されたときにリンク36を移動させ、その他の時は、リンクが移動させないようにする。制御システムは、スイッチ(フットスイッチまたは親指スイッチ)、またはコンピュータのインターフェースによって始動する。別の実施例では、剛性リンク36は、機械式にロックジョイントによって連結してもよく、ロックピン、ネジ、またはクランプなどを用いて手動でロックを掛けたり、はずしたりすることができる。剛性リンク36は、好ましくは、高ゲージアルミニウムなどの軽量で、強度のある材料を具え、リンク36の位置が固定されると、器具操作装置16が約10ポンドの重量がある典型的な実施例の三次元位置を正確に維持することに関連する応力と歪に耐える形状をしている。
【0007】
図6及び7は、図1乃至3に示すような器具操作装置(16)の実施例に使用するように構成された器具群の各実施例の斜視図である。図6は、中間部分において関連する同軸鞘状部材が連結されていない器具(18)の実施例を示す。図7は、図6に示すような実施例と、同軸に連結され個別に制御可能な鞘状器具(30)を組み合わせる二つの器具のセット(28)を示す。この開示のコンテキストにおいて鞘を持たない器具(18)を、鞘状器具(30)と区別するために、「鞘を持たない」器具は、「ガイド」器具(18)と呼ぶ。ガイド器具(18)は、内側ルーメン(716)を規定しており、このルーメンを通って、切除カテーテル、組織把持器、内視鏡、注射針、あるいは組織横断針などのツールを展開することができる。Biosense Webster社、Endocardial Sokutions社、Medtronic社、その他から入手可能なものなどの位置確認センサ(717)は、鞘状器具(30)、ガイド器具(18)、および同軸ツール内で連結され、あるいは一体化されて、主体となる器具を作動させるのに使用されるコンピュータ制御ロボットシステムに、正確な三次元位置情報を提供する。
【0008】
図8Aを参照すると、オペレータ制御ステーション(2)、器具操作装置(16)、コンピュータまたはプロセッサ(6)、表示モニタ(4)、電極(378)に接続された細長器具(18)、および高周波エネルギィ制御ユニット(379)を具えるシステムが開示されている。このようなシステムは、シーケンシャルにあるいは同時に、RF切除と注入の双方を実行する実施例に使用することができる。代替の実施例では、超音波またはマイクロ波放射または冷凍切除、または熱い食塩水などの熱した液体などのその他の切除ツールまたは様式を用いて、細長器具(18)の遠位端で切除外傷を容易に作ることができる。
【0009】
図8Bを参照すると、図8Aに示すシステムと同様のシステムが開示されている。このシステムは、同軸のインターフェース鞘状器具(30)と、ガイド(18)器具を具える器具セット(28)にインターフェース接続した器具操作装置(16)を具える。ガイド器具(18)は、その内側ルーメンを介して、細長プローブ(380)に同軸インターフェース接続している。このプローブは、遠位先端(381)に加熱ツール及び/又は注入ツールを具える。注入先端を具える実施例では、注入システム(382)が、器具セット(28)に連結されていても良く、ゲネピン(genepin)、ステム細胞などの細胞、骨筋芽細胞、心筋細胞または筋芽細胞、ホルモン、薬剤、血管内皮成長ファクタ、その他といった、生化学的に適合性のある固着製剤などの、流体、溶液、その他を、遠位側注入先端を介して制御可能に送出するように構成されている。
【0010】
図9A−Hを参照すると、ゲネピン溶液や、別の固着剤溶液など、化学溶液を注入し、RFエネルギィを当てて局部的な変性を起こすように構成した、様々なハイブリッド遠位先端構造が示されている。図9Aは、モノポーラRF電極(383)の中央を通って配置される無針注入ポート(384)を示す。図9Bは、単一の針と共に実用可能であるより広い領域に大量注入するために、RF電極(383)上に配置した一連の針注入ポート(385)を示す。
【0011】
図9Cは、RF電極(383)の中央を通る伸張可能/引き込み可能な針(386)注入ポートを示す。図9Dは、二つの遠位エレメント(387)が各々、電極と注入先端の双方を具えるバイポーラ電極構造を示す。図9Eは、RF電極(383)の中央を通る単一の注射針を示しており、この針(388)は、その長さに沿って複数の流体通路(389)を具え、ターゲット組織の深さを通る分散注入を容易にする。針(388)は、ここに記載されている各遠位先端針構造と同様に、伸張可能/引き込み可能である。図9Fは、注射針(391)がらせん構造(390)の中央を通って方向付けられる実施例を示す。ここでは、いずれかの遠位エレメントがRF電極であっても良い。換言すれば、注射針(391)またはらせん構造(390)がモノポーラ電極であっても良く、あるいは各々がバイポーラ構造の電極であっても良い。
【0012】
図9Gは、弾丸形状の電極(392)がらせん状の注射針(393)の少なくとも一部を通って配置されている実施例を示す。図9Hは、遠位リング(394)が、図9Gの弾丸形状の電極に対向する電極を具えている点を除いて、図9Gと同じ実施例を示す。図9Gと9Hに示す実施例のらせん状注射針は、図9Eの実施例に示すように、側部ポート(図示せず)を有していても良く、弾丸型電極(392)またはリング電極(394)に接続したバイポーラ電極構造を形成する電極を具えていても良い。RFエネルギィを送出しない注入用に構成されたその他の変形例では、図9A乃至Hに記載されているような、遠位先端にRF電極ハードウエアがないジオメトリを使用することができる。従来の注射針先端も、主題であるロボットカテーテル器具の動作ルーメンを介してのRF送出を伴わずない正確な注入に使用することができる。
【0013】
図10A−Cを参照すると、引込み可能な注射針(395)が、細長プローブ(397)の側部から引き込み可能に延在しており、図10Cに示すように、冠状静脈から伸びている僧帽弁環などの、所定のプローブの方向の周辺に位置する組織構造へのアクセスを提供している。注射針(395)は、図10Aに示すような、単純な近位機械レバー(396)を用いて前進及び/又は後退させるか、あるいは、前進/後退を正確に操作する電気機械的構造に連結しても良い。
【0014】
側部に延在するインジェクタ、あるいは別の実施例における電極も具えるインジェクタの正確な位置決めを容易にするために、側部に方向付けた視野(403)用のミラーを具える一実施例においては、超音波アレイ、CCD装置、あるいは従来の光学カメラなどの撮像装置(398)が、プローブ(397)に連結されており、図10Bに示すように、プローブ外へ前進するときに、針または針/電極の少なくとも一部の画像を捉えるように構成した視野(403)を設けている。図10Cを参照すると、図10Aおよび10Bに示すようなシステムの部分断面図が、ヒトの心臓の冠状静脈(401)を通るプローブ(397)と、この実施例では、電極も具え、冠状静脈(401)のルーメンの外へ、及び膠原性僧帽弁環(604)内へ向けられている注射針と共に示されている。超音波トランスデューサを具える図に示す実施例の撮像装置(398)の視野は、針(395)の少なくとも一部、好ましくは、僧帽弁環(604)または僧帽弁小葉(605)などの周辺の認識しうる組織の部分の画像を捉えるように方向付けられている。
【0015】
図8乃至10に記載されているような器具群を用いて、正確な注入治療を行うことができる。例えば、一の実施例では、図8A−Bに記載されているような、RF電極とエネルギィシステムのないシステムを用いて、下位静脈腔または上位静脈腔から心臓の右心房へ注入先端を操縦して正確な注入が行われる。三尖弁を通って、右心室で正確な注入が行われる。代替的に、ロボットガイド器具によって左心臓へ操縦して、中隔穿刺を介して、または、大動脈を通って左心室へと逆方向のアプローチをしても良い。このガイド及び鞘状器具の正確なロボット制御が、注入先端の正確な配置を容易にし、ゲネピン(genepin)、ステム細胞などの細胞、骨筋芽細胞、心筋細胞または筋芽細胞、ホルモン、薬剤、血管内皮成長ファクタ、その他といった、生化学的に適合性のある固着製剤などの、流体、溶液、その他を、遠位側の注入先端を介して制御可能に送出する。
【0016】
図11Aを参照すると、操縦可能な鞘状器具(30)が記載されている。図11Bを参照すると、操縦可能なガイド器具(18)が記載されており、この実施例は、分離ゾーン(762)を有する。このゾーンは、このゾーン内のよりフレキシブルな構造的断面を使用することにより、隣接するゾーンより一層曲がるようにバイアスされている。図11Cを参照すると、針器具またはツール(718)が記載されており、これは、前進する際に心筋組織などの柔組織を横切るように構成されている。図11Dを参照すると、図11A−Cに記載されている器具の同軸アセンブリ(719)が記載されている。ここに記載された実施例では、位置決めセンサ(717)が各器具に接続されており、相対的および絶対的な位置決めを正確に決定する。
【0017】
図12Aと12Bを参照すると、真空(720)を用いて、鞘状器具またはガイド器具を組織塊または壁(721)に隣接させてとりつけている。図13Aおよび13Bを参照すると、らせん状コイル(748)の先端を用いて、針ツールまたは器具(718)がガイド器具(18)または関連する鞘状器具(30)の作動ルーメンを通って前進するときに、隣接する組織塊または壁に回転可能に取り付けられる。
【0018】
図14A−Dを参照すると、図14Aの実施例に示す外側に向けて角度が付いたひげ状突起(722)、図14Bの実施例に示す外側に向けて拡大可能な周辺ジオメトリ(723)、および図14Cの実施例に示す膨張可能なバルーン(724)などの様々な固定機構を用いて、隣接する組織塊又は壁に取り付ける。図14Dには、拡大可能なジオメトリ(725)にストレス軽減用切り欠きが規定されている点を除いて、図14Bに示す実施例と同様の実施例を示す。
【0019】
図15を参照すると、ガイド器具(18)、鞘状器具(図示せず)、または針(図示せず)器具が、超音波トランスデューサ(726)と共に装備されており、隣接する組織構造及び/又はその他の器具を撮像する。図16A−Cを参照すると、Volcano Therapeutics, Inc.社から入手可能なものなどの超音波トランスデューサでできた周辺アレイ(727)を用いて、器具の周辺の画像(728)を提供することができる。図17A−Cを参照すると、全周辺アレイのサブセットを用いて、部分的周辺超音波画像(729)を提供することもできる。図18A−Dを参照すると、撮像トランスデューサ(727)は、ガイド器具の上、鞘状器具の上、あるいは双方の上、更に、針器具の上に配置することができる。
【0020】
図18Aは、撮像トランスデューサが、針チップ(730)が一体化されているガイド器具(18)に連結されている実施例を示す。図18Bは、撮像トランスデューサ(727)が関連する鞘状器具(30)に接続されている点を除いて図18Aの実施例と同様の実施例を示す。図18Cは、撮像トランスデューサ(727)がガイド器具(18)の作動ルーメンを通って展開する針器具(718)に接続されている実施例を示す。図18Dは、撮像トランスデューサ(727)が操縦可能なガイド器具(18)に接続されている点を除いて、図18Cの実施例と同様の実施例を示す。図19を参照すると、従来の心臓エコー(ICE)または血管内超音波診断法(IVUS)を用いて、関連する組織構造(731)と器具(718、18)を撮像(763)している。
【0021】
図20および21A−Fを参照すると、好適な組織横断針器具(718)の様々な実施例が記載されている。図20は、従来の鋭利な先端を有する針器具(718)を示す。図21A−Fは、針遠位先端を、隣接する組織構造に対して少なくとも一時的に固定する制御可能な機構を有する針器具の実施例を示す。図21A−Cは、展開可能なひげ状突起(732、733、734)を有する実施例を示しており、図21Dは、遠位部分が、引っ張り部材あるいはスプリングのバイアス(図示せず)で近位側に引っ張られたときに外側に拡大する周上で拡大可能な部分(735)を記載している。図21Eは、遠位側に展開した、半径方向に拡大可能な部材(736)を示しており、図21Fは、針器具先端の遠位端に接続された膨張可能なバルーン(724)を示す。
【0022】
図22A−22Dを参照すると、好適な組織横断針器具(718)の実施例のための様々な注入先端が示されている。図22Bは、先端が注入ルーメン及びポート(736)を規定している点を除いて、図20に示す実施例のような鋭利な横断先端を示している。図22Cの実施例は、注入ポート(737)が遠位先端の近位側に配置されている点を除いて同様である。図22Dの実施例は、所望の横断より深く注入を行うために、追加のより小さい注射針先端(738)を組織移動針の遠位先端の遠位側に配置したことを除いて同様である。
【0023】
図23A−28Bを参照すると、展開可能な伸張プロテーゼ(741)の様々な実施例の態様が記載されている。図23Aを参照すると、直線長さ「l」を有する展開可能な伸張プロテーゼ(741)が、フレキシブルな細長器具に接続されたものが示されている。このプロテーゼは、近位及び遠位の組織アンカ(743、742)を有する。図23Bは、近位側器具の付いていないプロテーゼ(741)を記載しており、このプロテーゼが非常にフレキシブルであることが好ましいことを示している。
【0024】
図24A−Cは、様々な展開可能な伸張プロテーゼの固定先端(742)の実施例を記載している。この先端は、展開可能な伸張プロテーゼが針器具による引張力によって近位側に緊張状態に引っ張られるときに、展開可能な伸張プロテーゼの遠位先端の周辺組織に対する位置を保持するのに使用することができる。図24Aは、ひげ状突起(745)を示す。図24Bは、隣接する組織構造内に巻き込まれるらせん状チップ(746)を示す。図24Cは、隣接する組織構造へ、または隣接する組織構造の孔、欠陥、あるいは窩を通して、巻き込むのに用いるより広いらせん状先端(747)を示す。図25は、展開可能な伸張プロテーゼ(741)を示す。図25に示す伸張エレメント(740)の近位側ループが、摺動可能なフレキシブルハウジング(744)に対して緊張状態に引っ張られて、近位(743)および遠位(742)に拡開可能な部材が外側に突出して、プロテーゼを遠位側と近位側で固定し、遠位側および近位側の拡開可能な部材に隣接する、あるいはこれらの部材間に位置する組織構造を圧迫することができる。図26A−Bおよび27A−Bを参照すると、摺動可能なフレキシブルハウジング(744)は、ほぼ円形、またはほぼ冠状の断面を有していても良い。図28A−Bを参照すると、摺動可能なフレキシブルハウジング(744)、PTFE、またはその他の好ましい生物適合性ポリマまたは金属などの、様々な材料あるいは材料片の複合材料を具えていても良い。
【0025】
図29A−Rを参照すると、伸張プロテーゼを用いて、伸張プロテーゼの長さに沿って、およびこの近傍に圧迫するアセンブリと手順が記載されている。直線的な実施例が記載されているが、図30A−Mの僧帽弁ジオメトリの変形例にあるように、フープ状ストレスあるいは「財布の紐」状効果を出すために、曲線に沿って圧迫するのに同じ技術を使用することができる。
【0026】
図29Aを参照すると、鞘状器具(30)は、ターゲット組織塊(721)へ導入される。図29B−Cに示すように、らせん部分(748)を用いて組織塊に取り付け、続いて、図29Dに示すように対象となる組織塊に針器具(718)を送り出す。針(718)を前進させた後、図29Eに示すように、ひげ状突起などの固定機構(750)を展開させることによってその位置を保持する。適所に固定した針器具と共に、図29Fに示すようにこの実施例では同軸に、針器具(718)を越えてガイド器具(81)を前進させる。前側に送り出したガイド器具によって、図29Gに示すようなひげ状突起などの固定機構(751)を展開させてガイド位置を保持しておいて、一方で、図29Hに示すように、更に針器具(718)を前進させる。
【0027】
針器具(718)とガイド器具(18)を順次進めて固定するというこのサブプロセスを繰り返して、図29I−Nに示すように、ガイド/針アセンブリを組織塊中を前方に徐々に移動させる。徐々に前進し/固定する動きの間に、あるいは移動中で、ロボットガイド(18)器具の遠隔操縦可能性を利用して、図29K−Lに示すように、アセンブリの軌道を制御可能に変えることができる。図29O−Pを参照すると、針(718)とガイド(18)器具が好ましい遠位位置に進められると、伸張プロテーゼ(741)がガイド器具(18)に通され、伸張プロテーゼ(741)の遠位アンカ(742)が、伸張プロテーゼ用にアンカを形成する位置で拡開する。伸張プロテーゼは、例えば、針器具またはプロテーゼを展開させるのに適したその他の細長器具の遠位端に接続することができ、単純な開放可能な機械的リンケージ、電解腐蝕リンケージ、雄/雌ネジインターフェース、その他を用いて、切り離すことができる。
【0028】
図29Qを参照すると、固定された伸張プロテーゼを用いて、プロテーゼを鞘状器具内の近位側へ、および組織塊の外側へ引っ張ることによって、ガイド器具を取り外す。最後に、近位側にかかった負荷で伸張プロテーゼを緊張状態において、図29Rに示すように、近傍の組織を圧迫(749)する状態及び/又はせん断力がかかった状態にする。近位側アンカ(図示せず)を使用して、プロテーゼの近位側端部を適所にロックして、その伸張負荷を維持する。
【0029】
図30A−Mを参照すると、伸張プロテーゼを用いて、奇形僧帽弁の後側様相の回りにフープ状に応力を作って、弁のジオメトリを変形し、好ましくは、小葉をより良好に接合(coaption)することによって、弁の漏れを低減する。僧帽弁の漏れに関連する共通の問題の一つは、僧帽弁環の後側様相が心臓の中心から離れる(あるいは、例えば三尖弁の位置から離れる)変形である。
【0030】
図30Aを参照すると、冠状静脈洞に、操縦可能なガイド/鞘状器具アセンブリが下位大静脈から入っている。器具アセンブリ(719)が右冠動脈(756)の房室結節性枝(755)位置を通って前進した後、針器具がガイド器具の遠位端に突出して、操縦可能なガイド器具によって操縦され、冠状静脈洞(753)から出て、左心室壁の心筋(754)へ飛び込む。僧帽弁環(758)の周囲のこの経路の上側心臓の図が図30Bに示されている。
【0031】
図30Cを参照すると、図29A−Rを参照して示したような増分前進/固定/操縦プロセスを用いて、伸張プロテーゼが、僧帽弁(731)環の後側様相(752)の周囲の一つの心筋(754)の壁内に展開する。図30D−Gは、冠状静脈洞から飛び出て、左心室壁(冠状静脈洞753、及び左心室壁754の窓は、説明の目的で除去されている)の中へ/を通る針/ガイド器具アセンブリを示す。図30Hは、針とガイド器具が近位側へ引っ張られて鞘状器具(30)内へ離された後の拡開した伸張プロテーゼ(741)を示している。図30Iは、後側僧帽弁環近傍の左心室心筋部分を周辺圧迫(749)しているフープ応力、あるいは、より好ましい形状に後側僧帽弁環を引っ張るのに必要なフープ応力を示す。
【0032】
図30J−Kは、トランス大動脈弁(trans−aortic valve)(760)逆行性アプローチから器具アセンブリ(719)を誘導し、大動脈(760)と僧帽弁(731)の位置間の左心室心筋に飛び込むことによって、同じ結果が達成される実施例を示す。図30Lおよび30Mは、後側僧帽環(758)の好ましいフープ応力ジオメトリック再モデリング、すなわちトランス大動脈弁(760)逆行性アプローチと冠状静脈洞(753)アプローチの両方を破線で示す。
【0033】
図31A−Dを参照すると、左心室の一の態様の長さに沿って伸張プロテーゼを配置したところを示す。このような伸張プロテーゼの配置を用いて、僧帽梗塞、うっ血性心不全、その他の結果であるたるみを引き上げるのに用いることができる。図31Aに示すように、鞘状器具、ガイド器具および針器具を具えるアセンブリ(719)を、下大静脈から、三尖弁を通って、右心室頂端(764)に向けて誘導する。図31Bを参照すると、針器具(718)とガイド器具(18)は、心筋内に向けて前側に展開し、上述の技術を用いて、操縦可能に増分前進する。図31C−Dを参照すると、心筋の好ましいターゲット位置に到着すると、伸張プロテーゼ(741)が展開して、ガイド器具を近位側に引っ張って離す。
【0034】
図31A−Dは、それぞれ、左心室へトランス大動脈を介して配置された第2のカテーテル器具(761)を示す。この第2のカテーテル器具は、心室壁内の針/ガイド器具アセンブリ(719)の位置を、超音波、局在(磁気、導電ベース、電圧ベース、その他)、および伸長プロテーゼの展開の安全性と正確さを増すためのその他の技術を用いてモニタするのに用いられる。同様に、第2の器具を、例えば、回旋動脈及び/又は冠状静脈洞内で用いて、近傍の組織構造の位置と図30A乃至30Mに示したような手順における増分移動する器具を慎重にモニタする。
【0035】
本明細書の残りの部分は、ここに開示したロボットシステムの実施例の組立と使用の更なる技術的詳細である。
【0036】
図97乃至103は、器具操作装置のさまざまな実施例を示す。図97では、操縦可能なガイド器具(18)と操縦可能な鞘状器具(30)とインターフェース接続した器具操作装置(16)が示されている。図98は、器具操作装置(16)の一実施例を示す図であり、ここでは、鞘状器具インターフェース面(38)が静止しており、制御エレメントインターフェースアセンブリ(132)鞘を介してインターフェース接続した制御エレメントを用いて操縦するための単純なモータ始動のみが必要である。これは、鞘状ソケット駆動プーリ(272)とキャプスタンプーリ(図示せず)の周囲の単純なケーブルループで達成することができる。このループは、二つの上側モータ(242)(図98に見られる)ようなモータに締結されている。鞘状ソケット駆動スキーム用の駆動モータは、リニアベアリングインターフェースアセンブリの下に隠れている。
【0037】
4つのガイド器具インターフェースソケット(270)用の駆動スキームは、ソケットがリニアベアリングインターフェース(250)に沿って直線状に移動するように構成されたキャリッジ(240)に接続されており、器具操作装置、病院の手術台、および鞘状器具に対して、患者の方向にガイド器具をモータで駆動して挿入するようにしているため、部分的により複雑である。ケーブルとモータスキームは、リニアベアリングインターフェース(250)に沿ってキャリッジ(240)を移動させる。種々の従来のケーブル端末と配線技術を用いて高密度器具操作装置構造を実現し、この構造では、キャリッジ(240)がモータの前方に搭載されて位置が低い患者側との接続部になる。
【0038】
図98を参照し続けると、器具操作装置(16)が器具操作装置ベース(274)に回転可能に装着される様子が示され、この器具操作装置ベースは、図1に示すような器具操作装置連結ブレース(図示せず)、または図2に示すような可動式ジョイント構造(図示せず)と接続するように構成される。器具操作装置ベース(274)と、器具操作装置ベースの接続先の器具操作装置ベースプレート(276)との間の回転は、頑丈なフランジベアリング構造(278)によって容易になる。フランジベアリング構造(278)は、ガイド器具がニュートラル位置の器具操作装置(16)の本体に装着されると、器具操作装置(16)の本体が、ガイド器具(図示せず)の長手方向軸にほぼ一致する軸の周りに回転することができるように構成される。この回転は自動で、またはロールモータ(280)及び簡単なロールケーブルループ(286)によって行なわれることが好ましく、ロールケーブルループは器具操作装置ベースプレートの一部分の周りに延び、図示のように終端する(282、284)。別の構成として、ロール回転を手動で行ない、従来のクランプ機構を使用して正規の位置にロックすることができる。ロールモータ(280)の位置は図99において、更に分かり易く見ることができる。
【0039】
図100は、一グループの4モータ(290)を含む器具操作装置の別の実施例を示している。各モータ(290)には、制御を行なうための高精度エンコーダが接続され、かつ各モータは、4つのガイド器具接続ソケット(270)の内の一つを器具操作装置の一端で駆動するように構成される。エンコーダ(292)を備える別グループの2モータ(一つは隠れていて、一つは参照番号288として見ることができる)は、キャリッジ(240)の駆動、及び鞘状器具接続ソケット(268)の挿入を操作するように構成される。
【0040】
図101を参照すると、器具操作装置の別の実施例が示され、直線ベアリング接続部(250)に対するカートリッジ(240)の位置を示している。この図に更に示すのは、器具接続ケーブル(264)の一部分が接続を行なう様子であり、この接続動作は、器具接続ケーブル(264)がプーリー(244)の周りで曲がり、そして当該ケーブルのループの一部分を終了して、キャリッジ(240)に回転可能に接続され、かつガイド器具接続ソケット(270)に接続される器具接続プーリー(260)に達し、器具接続プーリー(260)の周りに巻き付き、そしてモータキャプスタンプーリー(294)に戻るときのものである。長時間に渡ってループ動作を一方向に行ない、ほぼ真に終わりのないループを必要とするという要求は通常無いため、このようなケーブルループの調整及び設定を行なうには、必要な長さにカットしたケーブルのループの2つの端部を各キャプスタン(294)で終端させることが好ましい。
【0041】
図97〜図101の実施例に示すキャリッジ(240)は通常、器具接続ソケット及び関連する器具接続プーリーを収容するように構成される構造ボックスを含む。図102及び図103を参照すると、分割キャリッジ(split carriage:296)が示され、このキャリッジは、前の実施例に示す非分割キャリッジ(240)と同様のメインキャリッジ本体(304)、及び1つ、または2つの直線可動部分(302)を含み、これらの直線可動部分は、メインキャリッジ本体(304)に対して、複数のガイド器具接続ソケットの一つの内部に配置されるギア(300)によって前方または後方にキャリッジ本体に沿って駆動されると、メインキャリッジ本体(304)に対してスライドするように構成され、ギア(300)は、ギア(300)に隣接するようにメインキャリッジ本体(304)に取り付けられるラック(298)と接続するように構成される。別の実施例では、キャリッジは両側で分割する必要はないが、一つの分割側及び一つの非分割側を有することができる。更に、4つのガイド器具接続ソケットを備えるキャリッジは、ガイド器具を1〜4の制御素子接続アセンブリのいずれかのアセンブリによって駆動するのに適するが、4つの全ての制御素子接続アセンブリに必要な更に別のハードウェアは、器具が制御素子接続アセンブリを1つ、または2つしか必要としない場合には望ましくない。
【0042】
図103.1乃至103.11を参照すると、駆動操作装置のもう一つの変形例が記載されており、これは、図103に記載されているようなスプリットキャリッジ設計の変形例である。各器具ベースインターフェースが、スロットに沿ってまっすぐに、あるいは回転して、あるいは両方(別々に)移動する図103の実施例とは反対に、図103.1乃至103.11に示す実施例は、「はね付き」スプリットキャリッジの設計によって、回転及び/又はアーチ型のスロット移動を提供する。ここでは、伸張部材プーリと軸が、アクスル軸の周りを回転するか、あるいはアーチ型経路に沿って、別々に移動する。
【0043】
図103.1を参照すると、はね付スプリットキャリッジ器具操作装置(135)が、その他の実施例の直線スロットと反対に、二つのアーチ型スロット(145)を有する特別なガイド器具ベース(141)を有するはね付スプリットキャリッジ用に構成したガイド器具(215)に連結された状態が示されている。一またはそれ以上の電子ボード(139)をはね付スプリットキャリッジ器具走査装置(135)の主ハウジング構造(137)に連結することが好ましい。図に示すアセンブリは、ガイド器具(215)の少なくとも位置を移動可能に通る鞘状フレームブロック(185)に連結されている鞘状器具(30)を備える。このブロックは、図に示すアセンブリが完全に組み立てられたときに主ハウジング(137)に連結される。
【0044】
図103.2を参照すると、はね付器具操作装置ガイド器具ベース(141)が記載されており、アーチ側スロット(145)を詳細に示している。同様に、はね付器具操作装置ガイド器具ベーストッププレート(143)も示している。これは、ガイド器具カテーテル部材(図示せず)の近位側筒型部分の上に取り付けるように構成されており、はね付器具操作装置ガイド器具ベース(141)に対するカテーテル部材(図示せず)の相対位置を維持するようにしている。図103.2に示したものと同じ構造の下側部分の斜視図が、図103.3に示されている。図に示す実施例では、低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)が、インターフェースアセンブリ(219)の縦軸を中心に回転し、また、関連するアーチ型スロット(145)を通って摺動可能に移動するように構成されている。図103.4は、図103.2に記載されたはね付器具操作装置ガイド器具ベーストッププレート(143)とはね付器具操作装置ガイド器具ベース(141)の分解図であり、また、ここに規定されているアーチ型スロット(145)を示している。
【0045】
図103.5を参照すると、低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)が斜視図に示されており、これはプーリフランジ(153)に連結され、また、制御エレメントプーリセット(155)にも連結されたスプライン軸(157)を具える。制御エレメントプーリセットは、低プロファイルの手動調整ノブ(151)と、プーリフランジ(153)の間で、スクリュなどの保持締結具(149)によって加圧されている。同じ構造の分解図が図103.6に示されている。また、図103.6には、低プロファイル制御エレメントインターフェースアッセンブル(147)を組み立てられるときに、二つの制御エレメントプーリ(155)間の相対的な回転変位を防止するように構成したピン(159)が示されている。図に示す低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)の実施例は、上述した器具ベースおよび器具操作装置アッセンブルのいずれかと共に用いることができる。ここでは、器具インターフェースソケットが、一致するソケットと軸間の負荷の高効率転送を容易にするために、ソケットと軸と間のスプライン付インターフェースに幾何学的にも合致していることが必要である。低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)は、好ましくは、重量が軽く、破壊靭性が低い、非常に高精度なサブアセンブリまたは部品を形成するするあるいは加工することができるポリマまたは金属を具える。一の実施例では、低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)の各構成部品は、ポリカーボネートあるいは超高分子重量ポリエチレンを具える。
【0046】
図103.7を参照すると、はね付スプリットキャリッジアセンブリが、半分解図で示されている。はね付キャリッジベース(173)は、二つの独立して回転可能なはね構造(221)を回転可能に支持するように構成されている。この構造は、各々、底部(165)と、上部(163)を具える。図103.8には、ウィング構造(221)と関連する部材の更に分解した図が示されている。制御エレメントプーリ(167)のセットが、回転可能なウィング構造(221)に回転可能に連結されており、このセットに、溝付器具インターフェースソケット(161)が連結されている。はね付キャリッジベース(173)は、ベアリング(179)を有するキャリッジインターフェースフレーム(図示せず)に摺動可能に連結するように構成されている。図103.9に示すように、スロット(181)は、キャリッジインターフェースフレーム(191)に対するウィング付キャリッジベース(173)の移動を直線移動に制限している。シャフトとベアリングを用いて、ウィング構造(221)を、はね付キャリッジベースに回転可能に連結し、関連する連結シャフト(171)の軸を中心とするウィング構造(221)の回転運動を容易にしている。同様のシャフト及びベアリング構造を用いて、ウィング構造(221)に対する制御エレメントプーリ(167)の回転を与える。このように、はね付スプリットキャリッジの設計は、二つのウィング構造(221)のそれぞれに独立した動きをさせると共に、2セットの制御エレメントプーリ(167)と、これによる器具インターフェースソケット(161)を独立して回転運動させる。換言すると、図103.1に記載されているようなアーチ状スロット器具搭載ベース(187)に連結されたはね付ガイド器具(215)と、図103.1に記載されている構成中の搭載ベース(187)の下に位置する二つの器具インターフェースソケットに連結された二つの制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)によって、各制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)が、その縦軸を中心に回転して、また、器具ベース(141)に形成されたアーチ状スロットを通ってアーチ状に移動し、単一の制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)の始動に伴って、二つの制御エレメント、すなわち、各制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)上の各制御エレメントプーリ(167)の周囲のエレメントを伸張させて制御するようにしている。従って、4つの制御エレメントを、二つの制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)のみの操作で駆動することができる。
【0047】
図103.10を参照すると、図103.1に記載されているものと同様のアセンブリの分解図が記載されている。鞘状器具、二つの制御エレメントインターフェースアセンブリも、ガイド器具カテーテル部材も、図103.10には記載されていない。上述した実施例にあるように、器具操作装置ロールアセンブリ(195)と器具操作装置モータ/ギアアセンブリ(193)が、器具操作装置の主フレーム(137)に連結されている。図103.11に示すように、この実施例の4つの制御エレメント駆動モータ(209)の各々に接続した予備のエンコーダリーダ(211)が、モータシャフトの非常に正確な回転位置の読み取りを容易にして、位置読み取りエラーを防止している。モータの出力シャフトは、ベベルギア(207)に連結されており、このベベルギアは、別のベベルギアセット(213)とインターフェース接続して、これによって、図に示す出力縦軸(205)を駆動するように構成されている。モータ/ギアインターフェースブロック(203)を用いて、モータと、ギアと、シャフトを、互いに対して、及び器具操作装置の主フレーム(図示せず)に対して適所に連結し、動きをシャフト、モータ、ギアおよびベアリングの回転運動に一般的に制限している。はね付構造器具インターフェースソケット(161)のはね付キャリッジベース(173)とウィング構造(221)に対する回転及びアーチ状の移動は、はね付スプリットキャリッジ器具操作装置と、ここに述べたはねの付いていない実施例との間の重要な差である。
【0048】
図104を参照するとオペレータ制御ステーションが示され、当該ステーションが、制御ボタンコンソール(control button console:8)、コンピュータ(6)、マウスのようなコンピュータ制御インターフェース(10)、視覚ディスプレイシステム(4)、及びマスター入力装置(12)を備える様子を示している。ボタンコンソール(8)上の「ボタン」の他に、フットスイッチ及び他の公知のユーザ制御インターフェースを利用してオペレータインターフェースにシステム制御機能を付与することができる。図105Aを参照すると、一の実施例では、マスター入力装置(12)は、マルチジョイント及び接続エンコーダ(306)を有する多自由度デバイスである。オペレータインターフェース(217)は、人間の指と心地よくインターフェースするように構成されている。図に示すオペレータインターフェース(217)の実施例は、ほぼ球形である。更に、マスター入力装置は、触覚フィードバックをユーザに呈示する高度な触覚機能を有することができる。同様の形状のオペレータインターフェース(217)を有するマスター入力装置(12)の別の実施例を図105Bに示す。適切なマスター入力装置は製造業者が市販しており、例えばSensible Devices Corporationの商品名「PhantomTM」、またはForce Dimensionの商品名「OmegaTM」を挙げることができる。Omegaタイプのマスター入力装置を使用する一の実施例では、マスター入力装置のモータを用いて、重力補償を行っている。換言すると、オペレータがマスター入力装置をオペレータの手で動かすときに、マスター入力装置は、マスター入力デバイスのハンドルをマスター入力デバイスの移動レンジの一部を地球の中心に最も近づける重力なしで、適所にとどまるか、あるいは装置が置かれた地点、あるいは別の所定の地点の周囲で停止するように構成されている。別の実施例では、触覚フィードバックを用いて、オペレータに関連する器具の作業空間の制限に達したことをオペレータにフィードバックしている。別の実施例では、触角フィードバックを用いて、主体である組織作業空間が器具の作業空間に登録されている場合、オペレータがこの主体である組織作業空間の制限に達したことをフィードバックするようにしている(すなわち、オペレータが切除先端などのツールを、例えば実際の心臓のCTデータから移した心臓の三次元モデルを介してガイド器具を用いて操縦しているとすると、マスター入力装置は、3次元モデルのデータによる心臓の壁あるいはその他の構造に達したことをオペレータに触覚フィードバックをして、これによって、オペレータが、マスター入力装置を介して壁あるいは構造を少なくとも感じることなく、このような壁又は構造を通してツールを駆動しないようにする)。別の実施例では、器具と組織の間の接触を検出するように構成された接触覚技術を、マスター入力装置の触覚能と共に用いて、オペレータに、器具が実際に組織に接触するとの信号を出すようにしている。
【0049】
図106〜図109を参照しながら、4つの制御素子を有するカテーテルの基本運動について概説する。
【0050】
図106A、図106Bを参照すると、張力を下側制御素子(312)にのみ加えたときに、図106Aに示すようにカテーテルが下に曲がる。同様に、図107A、図107Bの左側制御素子(314)を引っ張ると、カテーテルが左に曲がり、図108A、図108Bの右側制御素子(310)を引っ張ると、カテーテルが右に曲がり、そして、図109A、図109Bの上側制御素子(308)を引っ張ると、カテーテルが上に曲がる。この技術分野の当業者には明らかなことであるが、種々の制御素子に加わる張力を公知の方法で組み合わせると、種々の曲げ変形がカテーテル部材(90)の先端で生じる。カテーテルまたは同様の細長い部材を張力制御素子を用いて正確に制御する試みの一つは、制御素子の張力を保持することであるが、この張力の保持が、特定の所望の曲げ状態で加える引っ張り負荷の大部分の主題となってはならない。システムまたは器具を種々のレベルの張力で制御する場合、張力を解放する、または制御素子を緩み状態にすると、好ましくない制御シナリオが生じ得る。
【0051】
図110A〜図110Eを参照すると、簡単なシナリオがこの考えを示すために有用であることが分かる。図110Aに示すように、2つの制御素子(314、310)によって向きが変わる簡易カテーテル(316)がニュートラル位置にある状態が示される。左側制御素子(314)が、右側制御素子(310)が仮に受けるとする張力よりも大きい張力を受けると、カテーテル(316)は図110Bに示すように左に曲がる。向きを変えたい場合、この状態を反転させる必要があり、右側制御素子(310)に加わる張力を左側制御素子(314)に加わる張力よりも大きくする必要がある。張力差が左側に生じている状態から右側に生じる状態になるように張力を変える場合のこのような向き反転時点では、緩め制御、または張力制御を行なわずに、最も正しい制御素子(314)を集中的に緩めればよいが、この緩め操作は、高精度の制御を再度行なう前に行なう必要がある。生じる可能性のある緩みを無くすための「引き寄せ(reeling in)」に続いて、カテーテル(316)を、図110C〜図110Eに示すように、次の変化が向きに生じるまで、制御性の観点から問題となる別の緩みを発生させることなく反対方向に引っ張ることができる。
【0052】
上述の器具の実施例は、張力制御を、2〜4個の制御素子を有する種々のガイド器具システムにおいて管理する種々の方法を提示している。例えば、或る一連の実施例では、張力は、付属ガイドカテーテルの各制御素子を、器具操作装置(16)上の個々に制御されるガイド器具接続ソケット(270)に接続される個別の制御型素子接続アセンブリ(132)を通して能動的、かつ個別に張力調整することにより制御することができる。従って、張力は、複数の制御素子接続アセンブリ(132)の各々を、4制御素子の実施例、3制御素子の実施例、または2制御素子の実施例において個別に作動させることにより管理することができる。
【0053】
別の一連の実施例では、張力は、図102及び図103を参照しながら記載した分割キャリッジ構造を使用して能動的、かつ個別に張力調整することにより制御することができる。例えば、図103に示すような2つの個別の直線可動部分を備える分割キャリッジを利用して、2つの制御素子接続アセンブリの各々を能動的、かつ個別に張力調整することができ、これらの制御素子接続アセンブリの各々は、所定の自由度の2つの次元に関連付けられる。例えば、+及び−pitch(ピッチ)を一方の接続アセンブリにより設定し、そして+及び−yaw(ヨー)を他方の接続アセンブリにより設定することができ、ピッチに関する緩め制御または張力制御は、分割キャリッジ(296)の2つの直線可動部分(302)の内の一方によって行ない、ヨーに関する緩め制御または張力制御は、分割キャリッジ(296)の2つの直線可動部分(302)の他方によって行なう。
【0054】
同様に、ヨーまたはピッチのような単一自由度に関する緩め制御または張力制御は、図103に示す構造と同様の片側分割キャリッジ構造によって行なうことができるが、器具の制御素子接続アセンブリを1つだけ能動的に張力調整するために直線可動部分を1つしか必要としない点が異なる。
【0055】
別の一連の実施例では、張力調整はバネ与圧式遊動輪によって制御することができ、このバネ与圧式遊動輪は、接続制御素子に緩みが生じることがないように構成される。制御素子は、各実施例においては事前に緊張状態にしておくことが好ましく、これによって緩みを防止し、かつ性能の予測を可能にする。実際、更に別の一連の実施例では、事前張力調整が、張力管理の主要部分を構成することができる。事前張力調整、またはバネ与圧式遊動輪による張力調整のみを行なう実施例の場合、制御システムは、図110A及び110Bに関して上述したような、カテーテル曲がりの或る遷移ポイントでの小さな緩みを無くすための引き寄せを行なうように構成する必要がある。
【0056】
器具操作装置内の種々のモータの動作を、図1に示すような遠隔オペレータ制御ステーションから正確に調整し、制御するためには、最先端コンピュータ制御兼可視化システムが好ましい。次に示す制御システムの実施例について、特定の制御システムインターフェース、すなわちThe Mathworks Inc.が販売するSimuLinkTM及びXPCTM制御インターフェース、及びPC援用コンピュータハードウェア構成を参照しながら記載するが、種々の特化ハードウェアピースを含む多くの他の構成を、PC援用システムで動作する更に柔軟性の高いソフトウェア制御手段の代わりに利用することができる。
【0057】
図111を参照すると、制御システムフローの或る実施例の概要が示される。マスター入力装置ソフトウェア、可視化ソフトウェア、器具位置決めソフトウェア、及びオペレータ制御ステーションボタン、又はスイッチとの接続を行なうためのソフトウェアを動作させるマスターコンピュータ(400)が示される。一の実施例では、マスター入力装置ソフトウェアは、市販のマスター入力装置システムとパッケージになっている独自仕様のモジュールであり、市販のマスター入力装置システムとしては、例えばSensible Devices Corporationが販売する、PhantomTMハードウェアと、製造元が規定する非常に高い周波数で通信するように構成されるPhantomTMを挙げることができる。図105Bに示すデバイス(12)のような他の適切なマスター入力装置は、スイスのローザンヌ市に本拠を置くForce Dimensionのような供給業者が販売している。マスター入力装置(12)は、オペレータへのフィードバックを容易にする触覚機能も備えることができ、そしてこのような機能に関連するソフトウェアモジュールもマスターコンピュータ(400)で動作させることができる。オペレータへの触覚フィードバックの好適な実施例について以下に更に詳細に説明する。
【0058】
「localization(位置決め)」という用語は、この技術分野では、医療機器のようなオブジェクトの位置を基準座標系において求め、またはモニタリングするシステムに関連して使用される。一の実施例では、器具位置決めソフトウェアは、Ascension Technology Corporation、Biosense Webster,Inc.、Endocardial Solutions,Inc.、Boston Scientific(EP Technologies)、Medtronic,Inc.及びその他の製造業者が販売するシステムのような、市販または独自仕様の機器位置追跡システムとパッケージになった独自仕様のモジュールである。このようなシステムは、Cartesian座標系のX−Y−Z座標のようなリアルタイムの、またはほぼリアルタイムの位置情報だけでなく、所定の座標軸または座標系に対する方位情報も提供する機能を備える。いくつかの商業的に入手可能な位置決めシステムは、位置及び/又は方向を決定するのに、電気磁気的関係を使用しており、一方で、Endocardial Sokutions,Inc.社のSt Jude Medicalから入手可能なものなどのその他のシステムは、関連する器具に配置した導電センサと、皮膚に配置したパッチセットの導電部分間の電位差または電圧を利用して、位置と方向を決定している。図112A及び112Bを参照すると、種々の位置検出システムを、本明細書に開示するロボットガイドカテーテルシステムの種々の実施例に使用することができる。種々の部品の位置を求める位置特定システムを含まない別の実施例では、システムの種々の部品の間の運動学的又は幾何学的関係を利用して、一の部品の別の部品の位置に対する位置を予測することができる。或る実施例は、位置特定データ及び運動学的又は幾何学的関係の両方を利用して、種々の部品の位置を求めることができる。
【0059】
図112Aに示すように、一の好適な位置特定システムは、ガイドカテーテル(90)の中心内腔の内部に位置する電磁界送信デバイス(406)及び電磁界受信デバイス(402)を備える。送信デバイス(406)及び受信デバイス(402)はソフトウェアを動作させるコンピュータにインターフェース接続され、このソフトウェアは、送信デバイス(406)の座標系に対する検出器の位置を高精度にリアルタイムまたはほぼリアルタイムで検出するように構成される。図112Bを参照すると、同様の実施例が示され、受信デバイス(404)がガイドカテーテル(90)構造の内部に埋め込まれている。好適な受信デバイス構造は3セット以上の超小型のコイルを含むことができ、これらのコイルは、送信デバイスが放出する磁界の直交成分を検出するように空間的に構成される。このようなコイルは、好適なカテーテル構造の壁の内部の、または周りの専用構造に埋め込むことができる。例えば、一の実施例では、2つの直交コイルを、カテーテル(90)本体の2つのほんの少しだけ平坦な表面に位置する薄いポリマー層の内部に、カテーテル(90)本体の長手方向軸の周りに互いにほぼ90度で交差するように埋め込むことができ、そして第3コイルを、ポリマーで薄く被覆され、かつカテーテル(90)本体の外側から突出する突起部の内部に、他の2つのコイルに直交するように埋め込む。付属コイルのサイズが非常に小さいので、第3コイルの突起部は最小化することができる。このようなコイルのリード線もカテーテル壁に、好適には器具操作装置に隣接する或る位置にまでカテーテル本体の長さ分だけ下った場所に埋め込むことができ、この場合、これらのリード線は器具から離れてコンピュータに達するように配線することができ、コンピュータはソフトウェアを動作させ、かつ該当する送信デバイスにインターフェース接続される。
【0060】
別の同様の実施例(図示せず)では、一またはそれ以上の導電リングを、多数セット、好ましくは3セットの導電スキンパッチと共に電位差ベースの位置決め/方向付けシステムに電気的に接続して、Endocardial Sokutions,Inc.社のSt Jude Medicalから入手可能なものなどのシステムを利用して位置及び/又は方向データを提供する。一またはそれ以上の導電リングを、器具または器具セットに沿った長手方向の様々な位置において、器具の壁の中に一体化することができる。例えば、ガイド器具は、ガイド器具の遠位端に向けた互いから縦方向に変位させたいくつかの導電リングを有しており、一方、同軸に連結した鞘状器具も同様に、鞘状器具の遠位端に向けて互いから縦方向に変位させた一またはそれ以上の導電リングを有しており、これらの器具の各々の遠位端の位置及び/又は方向に関連する正確なデータを提供する。
【0061】
図111に戻ってこの図を参照すると、一の実施例では、可視化ソフトウェアがマスターコンピュータ(400)で動作して、一つ以上の先端可動型器具のリアルタイムの操作及びナビゲーションを容易にする。一の実施例では、可視化ソフトウェアは、図1(図2)に示すようなオペレータ制御ステーションのオペレータに、デジタル「ダッシュボード」ディスプレイまたは「ウインドシールド」ディスプレイを提示して、付属器具類を関連組織構造の内部で直感的に操作することができる能力を向上させる。図113を参照すると、簡易図が、マスター入力装置(12)による可視化とナビゲーションとの間の好適な関係を表わす一の実施例を説明するために有用であることが分かる。図示の実施例では、2つのディスプレイビュー(410、412)が示される。一つがプライマリ(410)ナビゲーションビューを表わすことが好ましく、そしてもう一つがセカンダリ(412)ナビゲーションビューを表わすことができる。システムの直感的操作を容易にするために、マスター入力装置座標系を少なくとも、2つのビューの内の少なくとも一つのビューの座標系にほぼ合わせることが好ましい。更に、オペレータに一つ以上のセカンダリビューを提示することが好ましく、これらのビューは、非常に複雑な組織の構造的な経路及び形状を通過するためのナビゲーションに役に立つ。
【0062】
自動車の操作を一例として使用すると、マスター入力装置がステアリングホイールであり、そしてオペレータが自動車を前方に一つ以上のビューを利用して運転したい場合、当該オペレータの第1優先事項は、後方窓の外、側部窓の内の一つの窓の外のビューとは異なるフロントガラスの外の真っ直ぐ先のビューが得られること、または当該オペレータが操作しようとしている自動車の前方の自動車からのビューが得られることである。当該オペレータは、前方のフロントガラスのビューが当該オペレータのプライマリディスプレイビューとして得られるように選択を行なうことができるので、ステアリングホイールを右に回転させることによって、当該オペレータがプライマリディスプレイを見た通りに、当該オペレータを右に移動させ、ステアリングホイールを左に回転させることによって当該オペレータを左に移動させるといった具合になる。自動車のオペレータが、当該オペレータの直ぐ前方に駐車している別の車に隣接して車を駐車させようとする場合、例えば2台の車(一方の車は当該オペレータが運転し、もう一方の車は運転車の前方に駐車している)の間のスペースを直角に通る直線上に位置する歩道の上に位置するカメラからのビューも得られることが好ましいので、オペレータは、当該オペレータの車と当該オペレータが停車しているときの当該オペレータの前方の車との間の近接ギャップを見ることができる。運転者は、当該運転者の車両を、当該運転者がナビゲーションのために歩道からの直角のカメラビューのみを眺めながら完璧に操作しなければならないことではないが、このビューはセカンダリビューとして役に立つ。
【0063】
引き続き図113を参照すると、オペレータが先端可動型カテーテルをナビゲートして、例えば特定の組織部位をカテーテルの先端で接触しようと試みる場合、有用なプライマリナビゲーションビュー(410)は関連する組織構造(414)の3次元デジタルモデルを含むことができ、このモデルを通して、オペレータは、先端近傍のカテーテルの長手方向軸に沿って眺められるカテーテル先端位置(416)の表示とともにマスター入力装置(12)を使用して、カテーテルをナビゲートする。この実施例は、組織デジタルモデル(414)情報の他に必要とされる標的組織構造位置(418)の表示を示している。異なるモニターに、同じモニターの異なるウィンドウに、または同じユーザインターフェースウィンドウの内部に表示される有用なセカンダリビュー(412)は、例えばカテーテル先端表示(416)と、そして更に可能であればカテーテル本体表示(420)とを表わす直交ビューを含み、これによってオペレータがカテーテル先端を所望の標的組織位置(418)に向けて操作し易くなる。
【0064】
一の実施例では、関連する組織構造のデジタルモデルの展開及び表示に続いて、オペレータは一つのプライマリビュー及び少なくとも一つのセカンダリビューを選択して器具類のナビゲーションを容易にすることができる。どのビューをプライマリビューとするかを選択することにより、ユーザはマスター入力装置(12)座標系を自動的に切り替えて選択プライマリビューに合わせることができる。最も左側に示されるビュー(410)がプライマリビューとして選択される実施例では、標的組織部位(418)に向かってナビゲートするために、オペレータはマスター入力装置(12)を前方、右側、及び下方に操作する必要がある。右側のビューは重要なナビゲーション情報を提供するが、「操作」予測に基づく直感的な情報とはならない。
【0065】
例えば、オペレータが、マスター入力装置(12)座標系をこのようなビューに合わせることなく、最も右側のビュー(412)のみを眺めながら、標的組織部位(418)に向けてカテーテル先端を挿入したいと思う場合、オペレータは、マスター入力装置に向かってデバイスを真っ直ぐに押すことにより、先端表示(416)が最も右側のディスプレイ(412)上を右側に移動することを覚えておく必要がある。オペレータがシステムを切り替えて最も右側のビュー(412)をプライマリナビゲーションビューとして使用するように決めた場合、マスター入力装置(12)の座標系を最も右側のビュー(412)の座標系に合わせて、オペレータが、マスター入力装置(12)を下方に、そして右に操作することにより、カテーテル先端(416)を所望の標的組織位置(418)に近づけることができるようにする。
【0066】
ここに記載する座標系の合わせ込みは、かなり古い数学公式を使用して行なうことができる。例えば、一の実施例では、カテーテルの先端の向きは、Ascension Technology Corporation、Biosense Webster Inc.、Endocardial Solutions Inc.、Boston Scientific(EP Technologies)、及びその他の製造業者が販売するシステムのような6軸位置姿勢センサシステムを使用して測定することができる。カテーテルの先端の位置を特定する3軸座標系Cはこの向き情報に基づいて構成される。向き情報を使用して同次変換行列
を導出し、この同次変換行列はカテーテル座標系「C」のベクトルを、センサ測定が行なわれる固定グローバル座標系「G」に変換する(下付き文字C0及び下付き文字G0を使用して0番目のステップ、または初期ステップを表わす)。登録ステップとして、カテーテルのコンピュータグラフィックビューを、マスター入力、及びカテーテル先端運動のコンピュータグラフィックビューを調整し、そしてグラフィックシーンのカメラビューと整合性がとれるまで回転させる。この初期ビューのカメラポジションに関する3軸座標系変換行列
を保存する(下付き文字Gref及び下付き文字Crefはグローバル「リファレンス」ビュー及びカメラ「リファレンス」ビューを表わす)。カテーテル座標に対応するカテーテル「リファレンスビュー」行列は次式のように得られる。
【0067】
ここでまた、カテーテルの座標系はグローバルリファレンス系Gにおいて固定されるので、グローバル系とカテーテル系との間の変換行列は全てのビューにおいて同じになる、すなわち任意のビューiの全てに関して次式が成り立つ。
プライマリビューとマスター入力装置座標系との間の一致は、マスター入力を次のように変換することにより得られる。表示のいずれかの任意のコンピュータグラフィックビュー、例えばi番目のビューが与えられるとすると、コンピュータグラフィックシーンのカメラビューの3軸座標系変換行列
はコンピュータグラフィックソフトウェアから得られる。該当するカテーテル変換行列は、上述の方法と同様の方法で計算することにより次式のように表わされる。
ビューの一致を実現するためにマスター入力に適用する必要のある変換は、上述のようにして登録したリファレンスビューから現在のi番目のビュー、すなわち
への変換を行なう変換である。既に計算した上記量を使用して、この変換を計算により次式のように表わす。
マスター入力はコマンドカテーテル入力(commanded catheter input)に、変換
を適用することにより変換される。コマンド入力が次式のように与えられると、
次式を計算により求めることができる。
このような関係に従って、プライマリビュー及びマスター入力装置の座標系を直感的操作に合わせることができる。
【0068】
図111の実施例に戻ってこの実施例を参照すると、マスターコンピュータ(400)は更に、オペレータ制御ステーションボタン、スイッチ、及び他の入力装置との接続を行なうソフトウェアインターフェース及びハードウェアインターフェースを備え、これらのインターフェースを使用して、例えばマスター入力装置を制御入力として機能的に使用しないようにすることによりシステムを「凍結(フリーズ)する」ことができる、またはオペレータが操作入力をマスター入力装置(12)で行なうために希望する種々のスケーリング比の切り替えを可能にする。マスターコンピュータ(400)は、制御兼器具操作コンピュータ(control and instrument driver computer:422)との2つの個別の機能接続を有する。一方の接続(426)は、所望のXYZ(カテーテル座標系における)のような制御及び可視化関連コマンドを渡すための接続であり、もう一方の接続(428)は安全関連信号コマンド(safety signal commands)を渡すための接続である。同様に、制御兼器具操作コンピュータ(422)は、器具操作ハードウェア(424)との2つの個別の機能接続を有する。一方の接続(430)は、必要なトルク制御電圧のような制御及び可視化関連コマンドをアンプに渡してモータ及びエンコーダを駆動するための接続であり、もう一方の接続(432)は安全関連信号コマンドを渡すための接続である。
【0069】
一の実施例では、安全関連信号コマンドは、10ミリ秒毎のような非常に短い間隔で繰り返される簡単な信号を表わし、このような信号チェーンは、「システムはokであり、アンプは動作状態を維持している」といった具合に、論理的に読み取られる。安全関連信号チェーンに割り込みが入ると必ず、アンプの論理が反転してアンプが動作していない状態になり、器具は安全関連信号チェーンが復旧するまで制御システムによって動かすことができない。図111の信号フロー概要図に更に示すのは、物理的器具と器具操作ハードウェアとの間にあって、マスターコンピュータに戻る経路(434)であり、閉ループシステムの実施例を表わしており、この実施例では、図112A〜図112Bを参照しながら記載したような器具位置特定技術を使用して器具の実際の位置を求めて、以下に更に詳細に記載するように、ナビゲーション及び制御誤差を最小化する。
【0070】
図114〜図124は、物理システムの或る実施例に対応するSimuLinkTMソフトウェア制御方式の一の実施例の種々の態様を示し、特に「マスターフォローイングモード(master following mode)」の実施例に注目している。この実施例では、器具はマスター入力装置からのフォローイング指示(following instructions)、及びモータのサーボループの実施例のフォローイング指示によって操作され、このサーボループの実施例は重要な操作機能を備え、この機能は、コマンドがマスターフォローイングモードから配信されると動作して器具を作動させる。
【0071】
図114は、3つのモードの内のいずれかのモードを反転させてプライマリサーボループ(436)を作動させる実施例の高位図を示している。システムを始動するときのデフォルトモードであるアイドルモード(438)では、モータ群の全てにモータサーボループ(436)を通して指示して、これらのモータの現在位置に関する自動制御を行ない、これらのモータの位置がモータに接続されるデジタルエンコーダによってモニタリングされる。別の表現をすると、アイドルモード(438)では、残りのシステムを活性状態に保ちながらモータを遮断する。従って、オペレータがアイドルモードからの移行を行なうと、システムは相対する部品の位置を認識する。オートホームモード(440)では、図97に示すような接続器具操作装置の内部のケーブルループをこれらのケーブルループ範囲内の中心に配置して、図17に示すような接続器具が、器具操作装置に装着されたときに、確実に、ピッチまたはヨーの+及び−方向のような、種々の自由度に関する両方の方向にほぼ等しい運動範囲を有するようにする。これは、器具を使用する前に器具操作装置を準備するためのセットアップモードである。
【0072】
マスターフォローイングモード(442)では、制御システムは信号をマスター入力装置から、閉ループの実施例では、マスター入力装置及び位置特定システムの両方から受信し、そして駆動信号をプライマリサーボループ(436)に転送して器具を、転送されたコマンドに従って操作する。マスターフォローイングモード(442)のこの実施例の態様を図119〜図124に更に詳細に示す。プライマリサーボループ及びモータサーボブロック(444)の態様を図115〜図118に示す。
【0073】
図119を参照すると、マスターフォローイングモード(442)の或る実施例の更に詳細な機能図が示される。図119に示すように、機能ブロック446への入力はマスター入力装置の、マスター入力装置の座標系におけるXYZポジションであり、マスター入力装置のソフトウェアにおける設定を通してマスター入力装置の座標系の合わせ込みを行なって、マスター入力装置の座標系が、カテーテルと同じ座標系を有し、更に位置特定システムがマスター入力装置及びカテーテルと同じ座標系において測定するポジションと同じ、器具先端の位置特定XYZポジションを有するようにする。図119の機能ブロック446の詳細図である図120を参照すると、スイッチ(460)をブロックに設けて、所望のカテーテル位置に対応し、入力インターフェース(462)への入力となる複数のマスター入力の間での切り替えを可能にし、この入力インターフェースを通して、オペレータは器具が空間の特定のXYZ位置に進むように命令することができる。種々の制御機能がこのインターフェースを利用してオペレータに、例えば目的部位のメニューを提供し、これらの目的部位に向かって、システムが器具などを自動的に操作する必要がある。図120に更に示すのはマスタースケーリング機能ブロック(451)であり、この機能ブロックを利用してマスター入力装置からの入力を、オペレータが選択することができる比でスケーリングすることができる。コマンドスイッチ(460)機能は低域通過フィルタを含み、この低域通過フィルタによって、マスター入力装置と入力インターフェース(462)との間で切り替わるコマンドの重み付けを行って、これらのモードの間の移行が円滑に確実に行なわれるようにする。
【0074】
再び図119を参照すると、XYZ単位の所望の位置データを逆運動学ブロック(450)に渡して、器具の機械的構造に固有の材料関係の予測機構に従ってピッチ、ヨー、及びエクステンション(または「インサーション」)単位に変換する。
【0075】
多数のカテーテル器具の実施例の運動学的関係は、従来の機構関係を適用することによりモデル化することができる。つまり、制御素子によって向きを変えるカテーテル器具は一連の操作入力を通して制御される。4つの制御素子を含むカテーテル器具では、例えば2自由度のモーション操作、すなわち共に+及び−方向を有するピッチ操作及びヨー操作が可能である。モータ駆動による他の張力調整関係によって、他の器具を操作することができ、カテーテル器具の能動的張力調整または挿入、或いは回転が可能になる。操作入力と、操作入力によって変わるカテーテルのエンドポイントポジションとの間の関係をカテーテルの「運動」と呼ぶ。
【0076】
図125を参照すると、「順運動学(forward kinematics)」は操作入力によって変わるカテーテルのエンドポイントポジションを表わし、「逆運動学(inverse kinematics)」は所望のエンドポイントポジションによって変わる操作入力を表わす。順運動学及び逆運動学の正確な数学モデルは、ロボット制御カテーテルシステムにとって必須である。説明を明瞭にするために、運動方程式を更に微調整して、図125に示すように共通要素を分離する。基本運動は作業座標(task coordinates)と関節座標(joint coordinates)との間の関係を記述する。このような事例においては、作業座標はカテーテルエンドポイントの位置を指し、関節座標は能動カテーテルの曲がり(例えばピッチ及びヨー)、及び長さを指す。アクチュエータ運動は操作座標(actuation coordinates)と関節座標との間の関係を記述する。ロボットガイドカテーテルの作業座標、関節座標、及び曲げ操作座標を図126に示す。運動をこのようにして記述することにより、カテーテル構造に関連する運動、すなわち基本運動を操作手順に関連する基本運動から分離することができる。
【0077】
カテーテルの運動モデルの開発は、幾つかの基本的な仮定を使用して行なわれる。カテーテル構造が機構理論に基づいて曲がる簡単な梁(beam)として近似され、かつ細い張力調整ワイヤのような制御素子がニュートラル軸から固定距離に位置したままであり、従って均一なモーメントがカテーテルの長さに沿って加わるという仮定を採用する。
【0078】
上記仮定の他に、図127に示す構造及び変数を順運動学及び逆運動学の導出に使用する。カテーテル作業座標(Xc,Yc,Zc)を関節座標(φpitch,φpitch,L)に関連付ける基本順運動学は次式のように与えられる。
Xc=wcos(θ)
Yc=Rsin(θ)
Zc=wsin(θ)
上の式においては、次式のような関係がある。
w=R(1−cos(α))
α=[(φpitch)2+(φyaw)2]1/2 (曲がり合計)
(曲がり半径)
θ=atan2(φpitch,φyaw) (ロール角)
【0079】
関節座標(φpitch,φpitch,L)をアクチュエータ座標(ΔLX,ΔLZ,L)に関連付けるアクチュエータ順運動学は次式のように与えられる。
【0080】
図125に示すように、カテーテルのエンドポイントポジションは、関節座標または操作座標が与えられると、上述の順運動学方程式を使用することにより予測することができる。
【0081】
エンドポイントポジションによって変わるカテーテルの操作入力の計算であって、逆運動学と呼ばれる計算は、ニュートン−ラプソン法のような非線形方程式ソルバーを使用して行なうことができる。更に望ましいアプローチ及びこの図示の実施例に使用されるアプローチでは、厳密解を求め、この解を使用して必要な操作入力を所望のエンドポイントポジションから直接計算することができる。
【0082】
順運動学の場合と同じように、逆運動学を、関節座標を作業座標に関連付ける基本逆運動学と、操作座標を関節座標に関連付ける操作逆運動学とに分離する。関節座標(φpitch,φpitch,L)をカテーテル作業座標(Xc,Yc,Zc)に関連付ける基本逆運動学は次式により与えられる。
φpitch=αsin(θ)
φyaw=αcos(θ)
L=Rα
上の式においては、次式のような関係がある。
θ=atan2(Zc,Xc) β=atan2(Yc,Wc)
【0083】
アクチュエータ座標(ΔLX,ΔLZ,L)を関節座標(φpitch,φpitch,L)に関連付けるアクチュエータ逆運動学は次式により与えられる。
【0084】
再び図119を参照すると、ピッチコマンド、ヨーコマンド、及びエクステンションコマンドが、測定済み位置特定データと一緒に、逆運動学ブロック(450)から位置制御ブロック(448)に渡される。図124はポジション制御ブロック(448)の詳細図を示す。測定済みXYZポジションデータが位置特定システムから送出された後、このデータが逆運動学ブロック(464)を通過することにより、器具が留置される必要のある部位に到達するために必要なピッチ、ヨー、及びエクステンションが計算される。これらの値を、マスター入力装置からのフィルタ処理済みの所望のピッチ、ヨー、及びエクステンションデータと比較する(466)ことにより、積分補償をピッチ及びヨーに関する限界値を使用して加えて、誤差を積分誤差除去法を適用して除去する。この実施例では、エクステンション変数は、ピッチ及びヨー(470)の限界値(468)と同じ限界値を持つことがない。この技術分野の当業者には明らかなことであるが、積分器をネガティブフィードバックループに設けることにより、誤差を強制的にゼロにする。次に、所望のピッチコマンド、ヨーコマンド、及びエクステンションコマンドが、カテーテル作業空間制限ブロック(452)を通過し、この作業空間制限を、経験的に決定される器具の物理的限界によって変わるようにすることができ、この限界を超えると、構成部品が故障し、不所望に変形し、または予測できない形或いは不所望に動作する。この作業空間制限は基本的に、器具の遠位端近傍の心臓形容積と同様の容積を定義する。次に、作業空間制限ブロックによって制限される所望のピッチコマンド、ヨーコマンド、及びエクステンションコマンドをカテーテルロール補正ブロック(454)に渡す。
【0085】
この機能ブロックは図121に更に詳細に示され、そして基本的に回転行列を備え、この回転行列によって、器具の長手方向軸又は「ロール」軸に関するピッチコマンド、ヨーコマンド、及びエクステンションコマンドを変換して制御システムを、制御素子の向き運動を変えてしまう恐れのあるカテーテル先端の回転変位に関して校正する。例えば、カテーテルが回転変位を含まない場合、時計の12時の直ぐ上に位置する制御素子を引っ張ると器具の先端を上方に向かせることができる。しかしながら、カテーテルの先端が、例えば時計回りに90度だけ回転変位を含んでいる場合、上方への応答をカテーテルから得るためには、元々時計の9時の位置に位置していた制御素子を引っ張る必要がある。図121に示すカテーテルロール補正方法は、回転行列を使用してこのような変換を、上記例の90度のようなロール角補正値に従って行なう手段となり、このロール角補正値は入力され、低域通過フィルタを通過し、ラジアンに変換され、そして回転行列計算ブロックを通過する。
【0086】
一の実施例では、ロール角補正値は特定の器具及びナビゲーション経路に関する実験データに基づいて決定される。別の実施例では、ロール角補正値は、好適な位置特定システムから得られる正確な向きデータを使用して、その場での体験に基づいて決定することができる。別の表現をすると、このような実施例では、例えば真っ直ぐ上に曲げるコマンドを実行することができ、そして位置特定システムを使用してどの角度に変位が実際に生じたかを判断する、すなわち簡単にその場でロール角補正値を決定することができる。
【0087】
図119に戻り参照すると、ロール補正ピッチ及びヨーコマンドだけでなく、未補正エクステンションコマンドがロール補正ブロック(454)から出力されることが分かり、そしてこれらのコマンドを適宜、従来の速度制限ブロック(456)に渡すことができる。図122を参照すると、ピッチ及びヨーコマンドをラジアンから度に変換し、そして自動制御されたロール値を制御図に入力し、最終サーボサイクルから算出される現在の所望のポジション(472)を完成させる。速度は、従来のメモリブロック(476)における計算により求めた、前のサーボサイクルから算出される所望のポジションを着信コマンドサイクルから算出されるポジションと比較することにより計算される。従来の飽和ブロック(474)では、計算速度を指定値内に収まるように維持し、そして速度制限コマンド(478)をラジアンに戻す形で変換して、張力制御ブロック(458)に渡す。
【0088】
制御素子内の張力は、種々の器具の実施例及び張力制御機構を参照しながら上述したように、器具の特定の実施例によって変わる形で管理することができる。一例として、図123は事前張力調整ブロック(480)を示し、このブロックにより、所定の制御素子張力を直線的に変化させて現在の値にする。次に、器具構造の故障限界レベル、及び着信速度制限ピッチコマンド、ヨーコマンド、エクステンションコマンド、及びロールコマンドのような、変数に関する好適かつ経験的に調整した行列に基づいて、調整を元の事前張力調整値に加える。次に、この調整済みの値を元の出力信号にギア比調整を行なうことにより加えて(482)、器具の動きに関連する種々のモータの所望のモータ回転コマンドを計算する。この実施例では、エクステンション操作、ロール操作、及び鞘状器具操作(484)では、これらの操作の制御に関連する事前張力調整アルゴリズムが行なわれない。次に、マスターフォローイングモード機能からの出力が完了し、この出力をプライマリサーボループ(436)に渡す。
【0089】
図114に戻ってこの図を参照すると、図示の実施例におけるマスターフォローイングモード(442)、オートホームモード(440)、またはアイドルモード(438)のいずれかからの所望の着信モータ回転コマンドが、モータサーボブロック(444)に転送される様子が示され、当該モータサーボブロックは、図115〜図118に更に詳細に示される。
【0090】
図115を参照すると、デジタルエンコーダからの測定済み着信モータ回転データ及び所望の着信モータ回転コマンドを、着信データストリームの各々に関して選択される周波数で従来の方法により量子化ノイズをフィルタリングすることによりフィルタ処理し、ノイズを制御システムの安定性に影響する過度の遅延を引き起こすことなく低減する。図117及び118に示すように、従来の量子化フィルタリングを、この実施例における約200ヘルツの測定済みモータ回転信号、及び約15ヘルツの所望のモータ回転コマンドに適用する。量子化フィルタリング済みの値の差(488)はポジションエラーを構成し、このポジションエラーはリードフィルタ(lead filter)、すなわち比例微分(「PD」)回路+低域通過フィルタの機能等価物を通して渡すことができる。別の実施例では、従来のPIDフィルタ、リード/ラグ(lead/lag)フィルタ、または状態空間表現(state space representation)フィルタを使用することができる。図示の実施例のリードフィルタを図116に更に詳細に示す。
【0091】
図116におけるリードフィルタの実施例は、システムを調整して所望の性能を実現するように選択される種々の定数を含む。図示のフィルタは、4制御素子ガイドカテーテル器具の一の実施例において必要な事項を、4つの制御素子接続アセンブリの各々を+/−ピッチ及び+/−ヨーに関して個別に制御し、個別にロール及びエクステンションを制御することにより満たす。図示の実施例に示すように、インサーション及びロールはピッチ制御及びヨー制御とは異なる慣性及び動力学を有し、これらの慣性及び動力学を調整するように選択される定数は異なる。フィルタ定数は、従来の方法を使用して理論的に計算し、実験法により調整することができ、または定数を設定するように、実験法によって全てを決定して、60度以上の位相余裕を応答安定性及び応答速度に関して確保し、すなわち従来の位相余裕値を医療制御システムに関して確保することができる。
【0092】
調整済みマスターフォローイングモードが調整済みプライマリサーボループとペアをなす実施例では、上述するような器具及び器具操作装置は、離れた位置のマスター入力装置によって正確に3次元で「操作する(driven)」ことができる。他の好適な実施例は、オペレータへの触覚フィードバック、分割キャリッジ器具操作装置による能動的張力調整、直接可視化又はその場で取得される組織モデル及び組織接触検出を利用するナビゲーション、並びに拡張ナビゲーションロジックのような関連機能を取り入れる。
【0093】
図128を参照すると、一の実施例では、マスター入力装置は、Sensible Devices,Inc.が商品名PhantomTMで販売するような触覚マスター入力装置とすることができ、このような装置を動作させるために必要なハードウェア及びソフトウェアを少なくとも部分的にマスターコンピュータに取り込むことができる。主関節の回転(master joint rotations)及び順運動学に基づいて測定される主関節XYZポジションは通常、パラレルポート又は同様のリンクを通してマスターコンピュータに渡され、続いてこのポジションを制御兼器具操作コンピュータに渡すことができる。このような実施例においては、PhantomTMの内部サーボループは通常、約1,000MHz以上の範囲の非常に高い周波数で動作して、力及びトルクを主関節で正確に生成する。
【0094】
図129を参照すると、マスター入力装置に加わる位置ベクトルから始まってオペレータに戻される触覚信号に達する一連の操作の例示としてのフローチャートが示される。オペレータによるマスター入力装置の動きに関連するベクトル(344)は、簡単な行列変換(345)を使用して、器具座標系に、特にカテーテル器具先端座標系に、変換することができる。次に、変換済みベクトル(346)を、オペレータの選択に従ってスケーリングして(347)、スケーリング済み、かつ変換済みベクトル(348)を生成することができる。スケーリング済み、かつ変換済みベクトル(348)を制御兼器具操作コンピュータ(422)に、好ましくはシリアル配線接続を通して送信し、マスターコンピュータに送信して、カテーテル作業空間チェック(349)及び全ての関連ベクトル修正(350)を行なうことができる。この後、力のような好適なレベルのフィードバックを生成して所望の力ベクトル(352)を生成するようにフィードバック乗算係数(351)を選択し、マスター入力装置座標系に戻す逆変換(353)を行なって、当該座標系(354)でオペレータに関連触覚信号を送信する。
【0095】
従来のヤコビアン(Jacobian)を用いて所望の力ベクトル(352)を、マスター入力装置を構成する種々のモータに所望通りに加わるトルクに変換して、マスター入力装置における所望の信号パターンをオペレータに提供することができる。適切な信号、実行経路、及びオペレータに触覚又はタッチ感覚として戻されるフィードバックを含むこの実施例は、種々の方法で利用して、以下に更に詳細に説明するように、安全性及び直感性をシステムのナビゲーション機能に付加することができる。
【0096】
図130は触覚機能を含むシステムのブロック図である。図130の概要形に示すように、マスター入力装置での運動に応答して変化するマスター入力装置上のエンコーダ位置を、測定し(355)、マスター入力装置に関連する順運動学計算ブロック(356)を通して送信して装置のXYZ空間位置をマスター入力装置座標系(357)で取得し、次に変換して(358)カテーテル座標系に切り替え、そして(恐らくは)変換済みエンコーダ位置を変換して見えるように、かつ好適な制御を行なえるように配置して「直感的操作」を容易にする。
【0097】
次に、変換済みの所望の器具位置(359)を、一以上の制御経路を下る形で送信して、例えば、作業空間境界又はナビゲーション事項に関する触覚フィードバック(360)を提供し、カテーテル器具位置制御ループ(361)にカテーテルの必要な所望のポジション値が供給されるが、これらのポジション値は、特定器具(362)の逆運動学関係を使用して、開ループ制御又は閉ループ制御による特定のカテーテル器具の操作に関するヨー、ピッチ、及びエクステンション、または「インサーション」の単位(363)に変換されている。
【0098】
図131〜図136を参照すると、図102〜図103に示すような分割キャリッジ構造を介した張力制御に関する関係が示され、このような構造が、先端可動型カテーテル器具のピッチ又はヨーのような各関連自由度の操作と張力制御とを分離するように機能する様子を示している。
【0099】
図131を参照すると、図102〜図103に示す実施例のような、分割キャリッジ構造に接続される複数の構造の内の幾つかの構造は、直線可動部分(302)、ガイド器具接続ソケット(270)、ギア(300)、及びラック(298)を含む。従来の配置関係を、図131に表わされる構造の物理状態に適用すると、図132の方程式(364、365)を導くことができる。カテーテル器具の純粋なカンチレバーの曲げモデルを参照しながら上述したような器具の順運動学を利用すると、図133の関係は、曲がり量に関して、ケーブル引っ張り量及びカテーテル直径(「Dc」)(366)の関数として導き出すことができ、更に張力(367)に関して、制御素子群の共通引っ張り合計量として定義することができる。図132及び133の方程式を統合すると、図134に示す関係式(368、369)が得られ、これらの式では、所望の操作及び所望の張力調整が関連構造の機構によって分離されている。図131に示すガイド器具接続ソケット(270)の所望の動作(368)はソケットの回転角位置の関数である。接続制御素子の所望の張力調整(369)は、ラック(298)に対する張力調整ギア(300)の位置の関数である。
【0100】
+/−ピッチまたは+/−ヨーのような単一の自由度で操作を行ない、分割キャリッジ機構を通して能動的に張力調整を行なう様子を示す図135を参照すると、図110A〜図110Eを参照しながら上述した説明に従って予測できるように、所望の張力は曲がり量の絶対値に直線的に変化するように関連付けられる。所定のシステムは決して緩むことがない、すなわち所望の張力が図135に示すように常に正である。図136を参照すると、同様の関係が、能動的張力調整を行なう2自由度を有するシステムに当てはまる−2自由度を有するシステムとしては、+/−ピッチまたは+/−ヨーを、分割キャリッジ構造を介しての能動自由度の能動的張力調整手段として有する4ケーブルシステムを挙げることができる。2つの次元があるので、結合項(370)を取り入れて発見的な調整を行ない、例えば制御素子の緩み、及び器具全体の圧縮量を最小化する。
【0101】
図113を参照しながら説明したように、一の実施例では、組織構造モデル(414)を使用してナビゲーション機能を強化することができる。処置の対象となる患者からの、その場で得られる実データを使用することが特に望ましい、というのは、一般的に対象とする組織構造に依る重要な解剖学的構造上の違いが、患者毎にあるからである。例えば、動物に関する公開レポート及び実験検証によれば、ヒトの心臓の左心房の構造は患者ごとに大きく変わる。
【0102】
一の実施例では、高密度焦点式超音波を用い、心臓の周期運動に同期し、好ましくは呼吸の周期運動と同期して行なわれる磁気共鳴影像法は、従来の画像切り取り(image cropping)及び画像のしきい値処理(image thresholding)と一緒に使用して、3次元組織構造モデルを生成することができる。心臓の構造のような能動組織構造(active tissue structures)のモデル化に適用されるような画像診断法に関する解決課題の一つは、ゲーティングである。一の実施例においては、ゲーティングには、非常に小さい呼吸運動にも関連付けられる拡張期中の心臓休息時(cardiac resting periods)を待つことが含まれる。例えば、同期して収集される磁気共鳴影像画像を利用して左心房の3次元画像を取得するためには、許容できないほどの長さの取得時間と、言うまでも無く、画像取得、及び使用可能な組織構造モデルへの統合を行なうために必要なかなり大規模、かつ高価な器具類と、が必要になる。しかしながら、このような診断法は、心臓又は呼吸の周期運動を無視することができる場合、及び画像または一連の画像を取得して、そして使用可能な組織構造モデルにかなり迅速に合成することができる場合には好ましい。
【0103】
一般的な構成では、前述の「マスターフォローイングモード」は、各コマンドに、当該コマンドがマスター入力装置から制御システムを通って送出されるときに直接従うように論理的に構成することができる。しかしながら、閉ループ制御の一の実施例では、ロジック層は、マスター入力装置及び位置特定システムからの着信データを、統合組織構造モデル、及び手元の特定の手順に関する或るシステム設定情報を考慮に入れて解釈して、マスターフォローイング制御ロジック及び後続のメインサーボループ制御ロジックに転送されるコマンドに変更を加えて物理器具を移動させるように構成される。
【0104】
図158〜図160を参照すると、幾つかの非常に簡素化された例では、マスターの動きを解釈するフォローイング制御によって解決すべき課題が示される。これらの図の各々に示される例示としての器具の実施例は、位置特定装置及び接触検出装置を含む。多くの組み合わせ、または器具構成部品を、マスターの動きを解釈するフォローイングロジック層を使用して利用し、オペレータに、機能目的によって変わる強化ナビゲーション機能を提供することができる。
【0105】
図158に示すように、位置特定装置(532)を含む遠位端を有する器具(530)は不規則な形状の組織壁に隣接して位置し、この組織壁は、システムの可視化兼制御システムにおいて、前述の診断法の内の一つを使用して得られる好適な3次元組織構造モデルによって表わされる。オペレータの目的が図158に示す器具先端を動かすことであるとすると、オペレータが選択する移動経路は、当該オペレータが2つの位置の間で選択する処置によって変わる。例えば、オペレータが単に、器具(530)を各位置の組織壁に、器具と組織壁との間の組織には全く接触することなく触れさせたいと希望する場合、オペレータは破線(531)で示すような、組織構造内の不規則構造の周りの高効率経路を選択することができる。この経路に従って、オペレータは器具を該当するポジション/位置の間で操作することができる。
【0106】
更に、または別の構成として、オペレータは器具(530)に軽く触れて器具を組織構造に向けて押し、そして器具を図159に示す位置の間で、前述の実施例において説明したように定常的に引きずりながら接触させる、というのではなく、2つの位置の間を一連の動作としてホップする(飛び越える)形で操作しながら、器具を接触状態に維持する。更に、別の実施例では、図160に示すように、オペレータは、多分、遠位器具構造、例えば電極が選択した向きになることによって組織構造壁にほぼ垂直になっている器具を維持しながら、器具をこれらの位置の間で動かしたいと希望することができる。
【0107】
更に、オペレータは制御ロジックに安全機能を組み込んで、例えば器具が、対象とする組織構造を、組織に沿って過剰な負荷で過度に引きずる、組織構造の特定部分に過剰な負荷を掛け、または過度のストレスを与えて、集中負荷を生じる、或いは能動弁入り口のような組織を傷付ける恐れのある領域に入り込むことによって傷付けることがないようにと希望することができる。
【0108】
このようなオペレータの目的は、制御ロジック内に配置される、マスターの動きを解釈するフォローイングロジック層の種々の実施例において達成される。一の実施例においては、マスターの動きを解釈するマスターフォローイング制御では、普通、組織構造表面に沿った引きずりを生じることになるコマンドを、各接触を組織構造表面モデルに加わる新規ポイントとして記録しながら、組織構造表面への、または組織構造表面からの連続する小さな「ホップ」を実行するコマンドとして解釈する。ホップは、器具を、器具が組織構造に接触するようになった同じ経路を後戻りさせ、次に組織構造モデルに従って壁に沿って正しく移動させ、更に同様の経路で再度近付けることにより実行することが好ましい。新規の各XYZ表面ポイントを記憶する際のメモリの節約の他に、一の実施例では、システムは、器具による接触が行なわれた器具経路を、位置特定向きデータ及び制御素子張力調整コマンドを保存することにより保存して、オペレータが同じ経路を必要に応じて後の時点で再度取ることができるようにする。接触が確認された経路及び新規ポイントを保存することにより、更に詳細な等高線図を組織構造モデルに基づいて形成し、この等高線図を手順において利用し、そして継続的に充実させることができる。各ホップの長さだけでなく、各ホップ接触の間の非接触距離の長さも設定することができる。
【0109】
一の実施例においては、マスターの動きを解釈するフォローイング制御では、種々の安全チェックステップを実行して、オペレータがうっかり、対象とする組織構造に、器具を組織構造に押し込む、または組織構造を貫通することによって傷を付けることが絶対にないようにする。例えば、制御ロジックは、位置特定データ又は接触検出データを用いた組織構造モデルを利用して得られる決定に従って、対象とする組織構造を超えて器具を押し込む、または対象とする組織構造の内部に器具を押し込むことができないように構成することができる。このようなモードは、或るシナリオでは、オペレータコマンドによって手動で無効にすることができ、これによって、例えば卵円窩の位置の心房中隔のような組織壁に意図的に穴を空けることができる。一の実施例では、制御ロジックは、オペレータが器具を移動させようと試みている、または同じ位置で電極が所定時間よりも長く作動する、または所定量を超える供給エネルギーで作動する、ということを防止しようと試みる間は、器具電極が作動することがないように構成することができる。
【0110】
別の実施例では、マスターの動きを解釈するフォローイング制御によって、オペレータは自動で種々の治療を行ない易くなる。例えば、器具がアブレーション用先端電極(distal ablation electrode)を含む場合、制御手段は、円形アブレーションパターンが、オペレータが選択する3つの接触ポイントを通るようにパターンを自動的にこれらのポイントに一致させるように構成することができる。更に、オペレータは、ホッピング間欠電極焼灼パターン(hopping、intermittent electrode burning pattern)を選択して、オペレータが単にマスター入力装置を線形的に移動させるだけでパターンが自動的に適用されるようにすることができる。触覚機能を利用してオペレータに種々のフィードバックを行なって治療を容易にする。例えば、触覚「溝(groove)」を器具の挿入軸に沿って形成してオペレータが器具をマスター入力装置で操作し易くすることができる。更に、既に選択した所望接触ポイントを触覚的に捉えられるように「重力の井戸(gravity well)」に引き込んで、オペレータが器具をこのような位置に振り向け易くすることができる。
【0111】
上述したような制御システムの実施例によって、ここに述べたような医療処置を行なうためのカテーテル関連器具の向きの正確な操作が容易になる。
【0112】
図225を参照すると、分散型システムアーキテクチュアの実施例が記載されている。QNXなどのリアルタイムで稼動しているシステムを動かしているマスター制御コンピュータが、1ギガビットのEthernet“Realtime Network”と、100メガビットのEthernet“SystemNetwork”によって、従来の高速スイッチを用いてシステム中の別のコンピュータの各々に接続されている。これは、大きなケーブルシステムや、中央計算機なしで、デバイス近傍に広がっているさまざまなデバイス用に部分的なカスタムコンピューティングを行うことができる。一の実施例では、マスター制御コンピュータは、Intel Xeonデュアルプロセッサアーキテクチュアによって駆動し、Windows XPを動かしているハイエンドX86IntelアーキテクチュアPCによって駆動する、多数のビデオカードとフレーム・グラッパを有する可視化コンピュータは、器具操作装置と二つのネットワーク用の二つのEthernet接続を有する、PC104または”EPIC”標準ボードであるマスター入力デバイスCPUsで駆動する。追加のマスター入力デバイスと、タッチスクリーンと、コンソールは、患者に対して別の位置にある追加のオペレータワークステーション内に構成されていても良い。このシステムは、非常に大きく拡張可能であり、新たなデバイスをスイッチに差し込んで、二つのネットワークのいずれかに配置することができる。図225を参照すると、二つの高解像度フレーム・グラッパボード(374)は、二つのフルオロデバイス(あるいは単一プレーンフルオロの場合は一つ)から画像を得る。この例では公称解像フレーム・グラッバボード(373)が、心臓内エコーシステムから画像を得ている。このような画像データは、図220乃至222を参照して述べるように、オーバーレイ用に用いることができ、図に示すように可視化コンピュータのビデオカード(372)を用いて、#2ディスプレなどのディスプレイ上に表示される。Pruckaによって分散されているようなシステムからの心臓モニタデータは、心臓モニタ装置のビデオ出力ポートから一のディスプレイへ直接に送られる。このようなデータは、フレーム・グラッバによって得ることもできる。同様に、電気生理学的マッピングおよび治療データ、およびEndocardial Solutions,Biosense Webster、他などの業者から入手可能なシステムからの画像は、画像としてモニタへ送る、あるいはデータとしてデータ取得ボード、データバス、またはフレーム・グラバへ送ることができる。好ましくは、マスタ制御コンピュータは、電気生理学システムといくつかのインターフェース接続しており、このような装置や、その他の、単一のマスター入力駆動を可能とする。図226を参照すると、ソフトウエアとハードウエアの相互作用が記載されている。本質的に、リアルタイムでシステムを稼動しているマスター制御システムのマスター状態にある機械の機能性は、上記制御システムの説明に関連して述べたような、マスター入力デバイスアルゴリズムと器具操作装置ルゴリズムを走査するのに使用するプロセスの非常に低い潜在的制御が可能である。実際、XPCを、アルゴリズムコードを展開するのに使用することができるが、好ましくは、IBMまたはIlogixによるRhapsodyによるRational Roseなどのユニバーサルモデリング言語を用いて、グラフィックインターフェースを用いてコードとドキュメンテーションを構築する。ギガビットリアルタイムネットワークによって、200−300マイクロ秒の問題に関しては、マスター入力デバイスまたは器具操作装置ルゴリズムが、関連する装置近くの電子機器とハードウエア中のFPGA操作装置コードと通信して、新しい値、その他を交換し、すべてが安全なパースペクティブからすべて良好であることを確認することが可能である。これは、1ミリ秒のモータシャットオフ時間が必要で、全てが良好でない場合、処理に約700マイクロ秒かかることを意味し、これは、記載したアーキテクチュアで容易に達成することができる。可視化PCは、約20ミリ秒といった、低い周波数でマスターコンピュータからのデータを反復するように構成することができる。
【0113】
図228を参照すると、共通の機能部分はコンソールからアクセスすることができる。巻取り、曲げおよび挿入用の鞘状器具制御ボタンを、1回押すと、マスター入力装置に、鞘状器具の一の方向への、あるいはマスター入力デバイスによって方向付けられた別の方向への、巻取り制御(一の実施例では、これは、器具操作装置全体の巻取りを意味する)、一の方向における+/−の曲げ、およびガイド器具に対する鞘状器具の挿入を行わせる。インスティンクティブ制御ボタンは、主ディスプレイがCT画像や、フルオロ画像などの3−D画像を伴うマスター入力デバイスの動きに同期しているかどうかを決定する。自動引き込みボタンは、曲げられた軌跡に沿ってガイド器具をゼロ挿入ポイントまで引っ張る。トラックボールとマウス選択ボタンは、タッチスクリーンインターフェースによってアクセスされないいくつかの機能用に使用することができる。記録機能は、選択されたモニタ上で、予め設定された時間、ビデオのデジタルクリップを記録し、あるいは、選択されたモニタ上のビデオ画像を取得する。カメラ制御によって、オペレータは、ディスプレイ上の機能画像を操作する、あるいは拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A−E】
【図9F】
【図9G−H】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A−D】
【図29E−H】
【図29I−L】
【図29M−N】
【図29O−P】
【図29Q−R】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図30D】
【図30E】
【図30F】
【図30G】
【図30H】
【図30I】
【図30J−K】
【図30L−M】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31D】
【図97】
【図98】
【図99】
【図100】
【図101】
【図102】
【図103】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、遠隔ロボット手術システムのようなロボットを利用した制御システムに関し、特に侵襲を最小限に抑える診断治療手順を実行するロボットガイドカテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット手術システム及び機器は、患者の体腔を開けて執刀医の手が内部臓器に触れることができるようにする構成の従来の方法とは異なり、侵襲を最小限に抑える診療手順を実行する場合の使用に非常に適している。例えば、患者の体内深くに位置し、かつ血管または胃腸管のような自然に形成されている経路を通してのみ触れることが好ましい組織の撮影、診断、及び治療を容易にし、制御性が高く、更には最大限に小型化したシステムの必要性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
図1を参照すると、ロボットカテーテルシステム32の一実施例が示されており、これは、手術台22から遠隔に配置されたオペレータ制御ステーション2を具える。この手術台には、器具操作装置16と、器具群18が、器具操作装置連結ブレース20を介して連結されている。通信リンク14は、オペレータ制御ステーション2と器具操作装置16との間で信号を送信する。図に示す実施例の器具操作装置連結ブレース20は、手術台22の上に寝ている患者(図示せず)の上方に器具操作装置16を位置決めするように構成した、比較的シンプルな弓型構造の部材である。
【0004】
図2を参照すると、ロボットカテーテルシステムのもう一つの実施例が記載されている。ここでは、弓形部材20が、可動支持アームアセンブリ26と置き換えられている。支持アセンブリ26は、患者(図示せず)に対して所望の位置に都合のよいアクセスを行うように器具操作装置16を位置決めするために、手術台22の上方で器具操作装置16を移動可能に支持するように構成されている。図2に示す支持アセンブリ26は、又、器具操作装置16を適所にロックするように構成されている。
【0005】
図3を参照すると、オペレータ制御ステーション(2)のもう一つの変形例が示されており、これは、3つのディスプレイ(4)と、タッチスクリーンユーザインターフェース(5)と、制御ボタンコンソール(8)を具える。図3の実施例にはマスター入力デバイス(12)が示されており、この装置は図105Bを参照して更なる詳細を説明する。また、図3には、器具を一時的に使用できなくするように構成された器具動作不能スイッチ(7)が示されている。図3に示されているカート(9)は、操作室またはカテーテルラボ内で容易に移動できるように構成されており、この構成の一つの利点は、オペレータ制御ステーション(2)の位置が放射線源から離れていることであり、これによって、オペレータへの放射線投与量が低減される。図4は、図3に示す実施例の背面を示す。
【0006】
図5は、図2の実施例に示す支持アセンブリ26をより近くで見た図である。支持アセンブリ26は、電気式ブレーキジョイント34で連結された一連の剛性リンク36を具える。ジョイント34は、コントロールシステム(図示せず)によって付勢されたときにリンク36を移動させ、その他の時は、リンクが移動させないようにする。制御システムは、スイッチ(フットスイッチまたは親指スイッチ)、またはコンピュータのインターフェースによって始動する。別の実施例では、剛性リンク36は、機械式にロックジョイントによって連結してもよく、ロックピン、ネジ、またはクランプなどを用いて手動でロックを掛けたり、はずしたりすることができる。剛性リンク36は、好ましくは、高ゲージアルミニウムなどの軽量で、強度のある材料を具え、リンク36の位置が固定されると、器具操作装置16が約10ポンドの重量がある典型的な実施例の三次元位置を正確に維持することに関連する応力と歪に耐える形状をしている。
【0007】
図6及び7は、図1乃至3に示すような器具操作装置(16)の実施例に使用するように構成された器具群の各実施例の斜視図である。図6は、中間部分において関連する同軸鞘状部材が連結されていない器具(18)の実施例を示す。図7は、図6に示すような実施例と、同軸に連結され個別に制御可能な鞘状器具(30)を組み合わせる二つの器具のセット(28)を示す。この開示のコンテキストにおいて鞘を持たない器具(18)を、鞘状器具(30)と区別するために、「鞘を持たない」器具は、「ガイド」器具(18)と呼ぶ。ガイド器具(18)は、内側ルーメン(716)を規定しており、このルーメンを通って、切除カテーテル、組織把持器、内視鏡、注射針、あるいは組織横断針などのツールを展開することができる。Biosense Webster社、Endocardial Sokutions社、Medtronic社、その他から入手可能なものなどの位置確認センサ(717)は、鞘状器具(30)、ガイド器具(18)、および同軸ツール内で連結され、あるいは一体化されて、主体となる器具を作動させるのに使用されるコンピュータ制御ロボットシステムに、正確な三次元位置情報を提供する。
【0008】
図8Aを参照すると、オペレータ制御ステーション(2)、器具操作装置(16)、コンピュータまたはプロセッサ(6)、表示モニタ(4)、電極(378)に接続された細長器具(18)、および高周波エネルギィ制御ユニット(379)を具えるシステムが開示されている。このようなシステムは、シーケンシャルにあるいは同時に、RF切除と注入の双方を実行する実施例に使用することができる。代替の実施例では、超音波またはマイクロ波放射または冷凍切除、または熱い食塩水などの熱した液体などのその他の切除ツールまたは様式を用いて、細長器具(18)の遠位端で切除外傷を容易に作ることができる。
【0009】
図8Bを参照すると、図8Aに示すシステムと同様のシステムが開示されている。このシステムは、同軸のインターフェース鞘状器具(30)と、ガイド(18)器具を具える器具セット(28)にインターフェース接続した器具操作装置(16)を具える。ガイド器具(18)は、その内側ルーメンを介して、細長プローブ(380)に同軸インターフェース接続している。このプローブは、遠位先端(381)に加熱ツール及び/又は注入ツールを具える。注入先端を具える実施例では、注入システム(382)が、器具セット(28)に連結されていても良く、ゲネピン(genepin)、ステム細胞などの細胞、骨筋芽細胞、心筋細胞または筋芽細胞、ホルモン、薬剤、血管内皮成長ファクタ、その他といった、生化学的に適合性のある固着製剤などの、流体、溶液、その他を、遠位側注入先端を介して制御可能に送出するように構成されている。
【0010】
図9A−Hを参照すると、ゲネピン溶液や、別の固着剤溶液など、化学溶液を注入し、RFエネルギィを当てて局部的な変性を起こすように構成した、様々なハイブリッド遠位先端構造が示されている。図9Aは、モノポーラRF電極(383)の中央を通って配置される無針注入ポート(384)を示す。図9Bは、単一の針と共に実用可能であるより広い領域に大量注入するために、RF電極(383)上に配置した一連の針注入ポート(385)を示す。
【0011】
図9Cは、RF電極(383)の中央を通る伸張可能/引き込み可能な針(386)注入ポートを示す。図9Dは、二つの遠位エレメント(387)が各々、電極と注入先端の双方を具えるバイポーラ電極構造を示す。図9Eは、RF電極(383)の中央を通る単一の注射針を示しており、この針(388)は、その長さに沿って複数の流体通路(389)を具え、ターゲット組織の深さを通る分散注入を容易にする。針(388)は、ここに記載されている各遠位先端針構造と同様に、伸張可能/引き込み可能である。図9Fは、注射針(391)がらせん構造(390)の中央を通って方向付けられる実施例を示す。ここでは、いずれかの遠位エレメントがRF電極であっても良い。換言すれば、注射針(391)またはらせん構造(390)がモノポーラ電極であっても良く、あるいは各々がバイポーラ構造の電極であっても良い。
【0012】
図9Gは、弾丸形状の電極(392)がらせん状の注射針(393)の少なくとも一部を通って配置されている実施例を示す。図9Hは、遠位リング(394)が、図9Gの弾丸形状の電極に対向する電極を具えている点を除いて、図9Gと同じ実施例を示す。図9Gと9Hに示す実施例のらせん状注射針は、図9Eの実施例に示すように、側部ポート(図示せず)を有していても良く、弾丸型電極(392)またはリング電極(394)に接続したバイポーラ電極構造を形成する電極を具えていても良い。RFエネルギィを送出しない注入用に構成されたその他の変形例では、図9A乃至Hに記載されているような、遠位先端にRF電極ハードウエアがないジオメトリを使用することができる。従来の注射針先端も、主題であるロボットカテーテル器具の動作ルーメンを介してのRF送出を伴わずない正確な注入に使用することができる。
【0013】
図10A−Cを参照すると、引込み可能な注射針(395)が、細長プローブ(397)の側部から引き込み可能に延在しており、図10Cに示すように、冠状静脈から伸びている僧帽弁環などの、所定のプローブの方向の周辺に位置する組織構造へのアクセスを提供している。注射針(395)は、図10Aに示すような、単純な近位機械レバー(396)を用いて前進及び/又は後退させるか、あるいは、前進/後退を正確に操作する電気機械的構造に連結しても良い。
【0014】
側部に延在するインジェクタ、あるいは別の実施例における電極も具えるインジェクタの正確な位置決めを容易にするために、側部に方向付けた視野(403)用のミラーを具える一実施例においては、超音波アレイ、CCD装置、あるいは従来の光学カメラなどの撮像装置(398)が、プローブ(397)に連結されており、図10Bに示すように、プローブ外へ前進するときに、針または針/電極の少なくとも一部の画像を捉えるように構成した視野(403)を設けている。図10Cを参照すると、図10Aおよび10Bに示すようなシステムの部分断面図が、ヒトの心臓の冠状静脈(401)を通るプローブ(397)と、この実施例では、電極も具え、冠状静脈(401)のルーメンの外へ、及び膠原性僧帽弁環(604)内へ向けられている注射針と共に示されている。超音波トランスデューサを具える図に示す実施例の撮像装置(398)の視野は、針(395)の少なくとも一部、好ましくは、僧帽弁環(604)または僧帽弁小葉(605)などの周辺の認識しうる組織の部分の画像を捉えるように方向付けられている。
【0015】
図8乃至10に記載されているような器具群を用いて、正確な注入治療を行うことができる。例えば、一の実施例では、図8A−Bに記載されているような、RF電極とエネルギィシステムのないシステムを用いて、下位静脈腔または上位静脈腔から心臓の右心房へ注入先端を操縦して正確な注入が行われる。三尖弁を通って、右心室で正確な注入が行われる。代替的に、ロボットガイド器具によって左心臓へ操縦して、中隔穿刺を介して、または、大動脈を通って左心室へと逆方向のアプローチをしても良い。このガイド及び鞘状器具の正確なロボット制御が、注入先端の正確な配置を容易にし、ゲネピン(genepin)、ステム細胞などの細胞、骨筋芽細胞、心筋細胞または筋芽細胞、ホルモン、薬剤、血管内皮成長ファクタ、その他といった、生化学的に適合性のある固着製剤などの、流体、溶液、その他を、遠位側の注入先端を介して制御可能に送出する。
【0016】
図11Aを参照すると、操縦可能な鞘状器具(30)が記載されている。図11Bを参照すると、操縦可能なガイド器具(18)が記載されており、この実施例は、分離ゾーン(762)を有する。このゾーンは、このゾーン内のよりフレキシブルな構造的断面を使用することにより、隣接するゾーンより一層曲がるようにバイアスされている。図11Cを参照すると、針器具またはツール(718)が記載されており、これは、前進する際に心筋組織などの柔組織を横切るように構成されている。図11Dを参照すると、図11A−Cに記載されている器具の同軸アセンブリ(719)が記載されている。ここに記載された実施例では、位置決めセンサ(717)が各器具に接続されており、相対的および絶対的な位置決めを正確に決定する。
【0017】
図12Aと12Bを参照すると、真空(720)を用いて、鞘状器具またはガイド器具を組織塊または壁(721)に隣接させてとりつけている。図13Aおよび13Bを参照すると、らせん状コイル(748)の先端を用いて、針ツールまたは器具(718)がガイド器具(18)または関連する鞘状器具(30)の作動ルーメンを通って前進するときに、隣接する組織塊または壁に回転可能に取り付けられる。
【0018】
図14A−Dを参照すると、図14Aの実施例に示す外側に向けて角度が付いたひげ状突起(722)、図14Bの実施例に示す外側に向けて拡大可能な周辺ジオメトリ(723)、および図14Cの実施例に示す膨張可能なバルーン(724)などの様々な固定機構を用いて、隣接する組織塊又は壁に取り付ける。図14Dには、拡大可能なジオメトリ(725)にストレス軽減用切り欠きが規定されている点を除いて、図14Bに示す実施例と同様の実施例を示す。
【0019】
図15を参照すると、ガイド器具(18)、鞘状器具(図示せず)、または針(図示せず)器具が、超音波トランスデューサ(726)と共に装備されており、隣接する組織構造及び/又はその他の器具を撮像する。図16A−Cを参照すると、Volcano Therapeutics, Inc.社から入手可能なものなどの超音波トランスデューサでできた周辺アレイ(727)を用いて、器具の周辺の画像(728)を提供することができる。図17A−Cを参照すると、全周辺アレイのサブセットを用いて、部分的周辺超音波画像(729)を提供することもできる。図18A−Dを参照すると、撮像トランスデューサ(727)は、ガイド器具の上、鞘状器具の上、あるいは双方の上、更に、針器具の上に配置することができる。
【0020】
図18Aは、撮像トランスデューサが、針チップ(730)が一体化されているガイド器具(18)に連結されている実施例を示す。図18Bは、撮像トランスデューサ(727)が関連する鞘状器具(30)に接続されている点を除いて図18Aの実施例と同様の実施例を示す。図18Cは、撮像トランスデューサ(727)がガイド器具(18)の作動ルーメンを通って展開する針器具(718)に接続されている実施例を示す。図18Dは、撮像トランスデューサ(727)が操縦可能なガイド器具(18)に接続されている点を除いて、図18Cの実施例と同様の実施例を示す。図19を参照すると、従来の心臓エコー(ICE)または血管内超音波診断法(IVUS)を用いて、関連する組織構造(731)と器具(718、18)を撮像(763)している。
【0021】
図20および21A−Fを参照すると、好適な組織横断針器具(718)の様々な実施例が記載されている。図20は、従来の鋭利な先端を有する針器具(718)を示す。図21A−Fは、針遠位先端を、隣接する組織構造に対して少なくとも一時的に固定する制御可能な機構を有する針器具の実施例を示す。図21A−Cは、展開可能なひげ状突起(732、733、734)を有する実施例を示しており、図21Dは、遠位部分が、引っ張り部材あるいはスプリングのバイアス(図示せず)で近位側に引っ張られたときに外側に拡大する周上で拡大可能な部分(735)を記載している。図21Eは、遠位側に展開した、半径方向に拡大可能な部材(736)を示しており、図21Fは、針器具先端の遠位端に接続された膨張可能なバルーン(724)を示す。
【0022】
図22A−22Dを参照すると、好適な組織横断針器具(718)の実施例のための様々な注入先端が示されている。図22Bは、先端が注入ルーメン及びポート(736)を規定している点を除いて、図20に示す実施例のような鋭利な横断先端を示している。図22Cの実施例は、注入ポート(737)が遠位先端の近位側に配置されている点を除いて同様である。図22Dの実施例は、所望の横断より深く注入を行うために、追加のより小さい注射針先端(738)を組織移動針の遠位先端の遠位側に配置したことを除いて同様である。
【0023】
図23A−28Bを参照すると、展開可能な伸張プロテーゼ(741)の様々な実施例の態様が記載されている。図23Aを参照すると、直線長さ「l」を有する展開可能な伸張プロテーゼ(741)が、フレキシブルな細長器具に接続されたものが示されている。このプロテーゼは、近位及び遠位の組織アンカ(743、742)を有する。図23Bは、近位側器具の付いていないプロテーゼ(741)を記載しており、このプロテーゼが非常にフレキシブルであることが好ましいことを示している。
【0024】
図24A−Cは、様々な展開可能な伸張プロテーゼの固定先端(742)の実施例を記載している。この先端は、展開可能な伸張プロテーゼが針器具による引張力によって近位側に緊張状態に引っ張られるときに、展開可能な伸張プロテーゼの遠位先端の周辺組織に対する位置を保持するのに使用することができる。図24Aは、ひげ状突起(745)を示す。図24Bは、隣接する組織構造内に巻き込まれるらせん状チップ(746)を示す。図24Cは、隣接する組織構造へ、または隣接する組織構造の孔、欠陥、あるいは窩を通して、巻き込むのに用いるより広いらせん状先端(747)を示す。図25は、展開可能な伸張プロテーゼ(741)を示す。図25に示す伸張エレメント(740)の近位側ループが、摺動可能なフレキシブルハウジング(744)に対して緊張状態に引っ張られて、近位(743)および遠位(742)に拡開可能な部材が外側に突出して、プロテーゼを遠位側と近位側で固定し、遠位側および近位側の拡開可能な部材に隣接する、あるいはこれらの部材間に位置する組織構造を圧迫することができる。図26A−Bおよび27A−Bを参照すると、摺動可能なフレキシブルハウジング(744)は、ほぼ円形、またはほぼ冠状の断面を有していても良い。図28A−Bを参照すると、摺動可能なフレキシブルハウジング(744)、PTFE、またはその他の好ましい生物適合性ポリマまたは金属などの、様々な材料あるいは材料片の複合材料を具えていても良い。
【0025】
図29A−Rを参照すると、伸張プロテーゼを用いて、伸張プロテーゼの長さに沿って、およびこの近傍に圧迫するアセンブリと手順が記載されている。直線的な実施例が記載されているが、図30A−Mの僧帽弁ジオメトリの変形例にあるように、フープ状ストレスあるいは「財布の紐」状効果を出すために、曲線に沿って圧迫するのに同じ技術を使用することができる。
【0026】
図29Aを参照すると、鞘状器具(30)は、ターゲット組織塊(721)へ導入される。図29B−Cに示すように、らせん部分(748)を用いて組織塊に取り付け、続いて、図29Dに示すように対象となる組織塊に針器具(718)を送り出す。針(718)を前進させた後、図29Eに示すように、ひげ状突起などの固定機構(750)を展開させることによってその位置を保持する。適所に固定した針器具と共に、図29Fに示すようにこの実施例では同軸に、針器具(718)を越えてガイド器具(81)を前進させる。前側に送り出したガイド器具によって、図29Gに示すようなひげ状突起などの固定機構(751)を展開させてガイド位置を保持しておいて、一方で、図29Hに示すように、更に針器具(718)を前進させる。
【0027】
針器具(718)とガイド器具(18)を順次進めて固定するというこのサブプロセスを繰り返して、図29I−Nに示すように、ガイド/針アセンブリを組織塊中を前方に徐々に移動させる。徐々に前進し/固定する動きの間に、あるいは移動中で、ロボットガイド(18)器具の遠隔操縦可能性を利用して、図29K−Lに示すように、アセンブリの軌道を制御可能に変えることができる。図29O−Pを参照すると、針(718)とガイド(18)器具が好ましい遠位位置に進められると、伸張プロテーゼ(741)がガイド器具(18)に通され、伸張プロテーゼ(741)の遠位アンカ(742)が、伸張プロテーゼ用にアンカを形成する位置で拡開する。伸張プロテーゼは、例えば、針器具またはプロテーゼを展開させるのに適したその他の細長器具の遠位端に接続することができ、単純な開放可能な機械的リンケージ、電解腐蝕リンケージ、雄/雌ネジインターフェース、その他を用いて、切り離すことができる。
【0028】
図29Qを参照すると、固定された伸張プロテーゼを用いて、プロテーゼを鞘状器具内の近位側へ、および組織塊の外側へ引っ張ることによって、ガイド器具を取り外す。最後に、近位側にかかった負荷で伸張プロテーゼを緊張状態において、図29Rに示すように、近傍の組織を圧迫(749)する状態及び/又はせん断力がかかった状態にする。近位側アンカ(図示せず)を使用して、プロテーゼの近位側端部を適所にロックして、その伸張負荷を維持する。
【0029】
図30A−Mを参照すると、伸張プロテーゼを用いて、奇形僧帽弁の後側様相の回りにフープ状に応力を作って、弁のジオメトリを変形し、好ましくは、小葉をより良好に接合(coaption)することによって、弁の漏れを低減する。僧帽弁の漏れに関連する共通の問題の一つは、僧帽弁環の後側様相が心臓の中心から離れる(あるいは、例えば三尖弁の位置から離れる)変形である。
【0030】
図30Aを参照すると、冠状静脈洞に、操縦可能なガイド/鞘状器具アセンブリが下位大静脈から入っている。器具アセンブリ(719)が右冠動脈(756)の房室結節性枝(755)位置を通って前進した後、針器具がガイド器具の遠位端に突出して、操縦可能なガイド器具によって操縦され、冠状静脈洞(753)から出て、左心室壁の心筋(754)へ飛び込む。僧帽弁環(758)の周囲のこの経路の上側心臓の図が図30Bに示されている。
【0031】
図30Cを参照すると、図29A−Rを参照して示したような増分前進/固定/操縦プロセスを用いて、伸張プロテーゼが、僧帽弁(731)環の後側様相(752)の周囲の一つの心筋(754)の壁内に展開する。図30D−Gは、冠状静脈洞から飛び出て、左心室壁(冠状静脈洞753、及び左心室壁754の窓は、説明の目的で除去されている)の中へ/を通る針/ガイド器具アセンブリを示す。図30Hは、針とガイド器具が近位側へ引っ張られて鞘状器具(30)内へ離された後の拡開した伸張プロテーゼ(741)を示している。図30Iは、後側僧帽弁環近傍の左心室心筋部分を周辺圧迫(749)しているフープ応力、あるいは、より好ましい形状に後側僧帽弁環を引っ張るのに必要なフープ応力を示す。
【0032】
図30J−Kは、トランス大動脈弁(trans−aortic valve)(760)逆行性アプローチから器具アセンブリ(719)を誘導し、大動脈(760)と僧帽弁(731)の位置間の左心室心筋に飛び込むことによって、同じ結果が達成される実施例を示す。図30Lおよび30Mは、後側僧帽環(758)の好ましいフープ応力ジオメトリック再モデリング、すなわちトランス大動脈弁(760)逆行性アプローチと冠状静脈洞(753)アプローチの両方を破線で示す。
【0033】
図31A−Dを参照すると、左心室の一の態様の長さに沿って伸張プロテーゼを配置したところを示す。このような伸張プロテーゼの配置を用いて、僧帽梗塞、うっ血性心不全、その他の結果であるたるみを引き上げるのに用いることができる。図31Aに示すように、鞘状器具、ガイド器具および針器具を具えるアセンブリ(719)を、下大静脈から、三尖弁を通って、右心室頂端(764)に向けて誘導する。図31Bを参照すると、針器具(718)とガイド器具(18)は、心筋内に向けて前側に展開し、上述の技術を用いて、操縦可能に増分前進する。図31C−Dを参照すると、心筋の好ましいターゲット位置に到着すると、伸張プロテーゼ(741)が展開して、ガイド器具を近位側に引っ張って離す。
【0034】
図31A−Dは、それぞれ、左心室へトランス大動脈を介して配置された第2のカテーテル器具(761)を示す。この第2のカテーテル器具は、心室壁内の針/ガイド器具アセンブリ(719)の位置を、超音波、局在(磁気、導電ベース、電圧ベース、その他)、および伸長プロテーゼの展開の安全性と正確さを増すためのその他の技術を用いてモニタするのに用いられる。同様に、第2の器具を、例えば、回旋動脈及び/又は冠状静脈洞内で用いて、近傍の組織構造の位置と図30A乃至30Mに示したような手順における増分移動する器具を慎重にモニタする。
【0035】
本明細書の残りの部分は、ここに開示したロボットシステムの実施例の組立と使用の更なる技術的詳細である。
【0036】
図97乃至103は、器具操作装置のさまざまな実施例を示す。図97では、操縦可能なガイド器具(18)と操縦可能な鞘状器具(30)とインターフェース接続した器具操作装置(16)が示されている。図98は、器具操作装置(16)の一実施例を示す図であり、ここでは、鞘状器具インターフェース面(38)が静止しており、制御エレメントインターフェースアセンブリ(132)鞘を介してインターフェース接続した制御エレメントを用いて操縦するための単純なモータ始動のみが必要である。これは、鞘状ソケット駆動プーリ(272)とキャプスタンプーリ(図示せず)の周囲の単純なケーブルループで達成することができる。このループは、二つの上側モータ(242)(図98に見られる)ようなモータに締結されている。鞘状ソケット駆動スキーム用の駆動モータは、リニアベアリングインターフェースアセンブリの下に隠れている。
【0037】
4つのガイド器具インターフェースソケット(270)用の駆動スキームは、ソケットがリニアベアリングインターフェース(250)に沿って直線状に移動するように構成されたキャリッジ(240)に接続されており、器具操作装置、病院の手術台、および鞘状器具に対して、患者の方向にガイド器具をモータで駆動して挿入するようにしているため、部分的により複雑である。ケーブルとモータスキームは、リニアベアリングインターフェース(250)に沿ってキャリッジ(240)を移動させる。種々の従来のケーブル端末と配線技術を用いて高密度器具操作装置構造を実現し、この構造では、キャリッジ(240)がモータの前方に搭載されて位置が低い患者側との接続部になる。
【0038】
図98を参照し続けると、器具操作装置(16)が器具操作装置ベース(274)に回転可能に装着される様子が示され、この器具操作装置ベースは、図1に示すような器具操作装置連結ブレース(図示せず)、または図2に示すような可動式ジョイント構造(図示せず)と接続するように構成される。器具操作装置ベース(274)と、器具操作装置ベースの接続先の器具操作装置ベースプレート(276)との間の回転は、頑丈なフランジベアリング構造(278)によって容易になる。フランジベアリング構造(278)は、ガイド器具がニュートラル位置の器具操作装置(16)の本体に装着されると、器具操作装置(16)の本体が、ガイド器具(図示せず)の長手方向軸にほぼ一致する軸の周りに回転することができるように構成される。この回転は自動で、またはロールモータ(280)及び簡単なロールケーブルループ(286)によって行なわれることが好ましく、ロールケーブルループは器具操作装置ベースプレートの一部分の周りに延び、図示のように終端する(282、284)。別の構成として、ロール回転を手動で行ない、従来のクランプ機構を使用して正規の位置にロックすることができる。ロールモータ(280)の位置は図99において、更に分かり易く見ることができる。
【0039】
図100は、一グループの4モータ(290)を含む器具操作装置の別の実施例を示している。各モータ(290)には、制御を行なうための高精度エンコーダが接続され、かつ各モータは、4つのガイド器具接続ソケット(270)の内の一つを器具操作装置の一端で駆動するように構成される。エンコーダ(292)を備える別グループの2モータ(一つは隠れていて、一つは参照番号288として見ることができる)は、キャリッジ(240)の駆動、及び鞘状器具接続ソケット(268)の挿入を操作するように構成される。
【0040】
図101を参照すると、器具操作装置の別の実施例が示され、直線ベアリング接続部(250)に対するカートリッジ(240)の位置を示している。この図に更に示すのは、器具接続ケーブル(264)の一部分が接続を行なう様子であり、この接続動作は、器具接続ケーブル(264)がプーリー(244)の周りで曲がり、そして当該ケーブルのループの一部分を終了して、キャリッジ(240)に回転可能に接続され、かつガイド器具接続ソケット(270)に接続される器具接続プーリー(260)に達し、器具接続プーリー(260)の周りに巻き付き、そしてモータキャプスタンプーリー(294)に戻るときのものである。長時間に渡ってループ動作を一方向に行ない、ほぼ真に終わりのないループを必要とするという要求は通常無いため、このようなケーブルループの調整及び設定を行なうには、必要な長さにカットしたケーブルのループの2つの端部を各キャプスタン(294)で終端させることが好ましい。
【0041】
図97〜図101の実施例に示すキャリッジ(240)は通常、器具接続ソケット及び関連する器具接続プーリーを収容するように構成される構造ボックスを含む。図102及び図103を参照すると、分割キャリッジ(split carriage:296)が示され、このキャリッジは、前の実施例に示す非分割キャリッジ(240)と同様のメインキャリッジ本体(304)、及び1つ、または2つの直線可動部分(302)を含み、これらの直線可動部分は、メインキャリッジ本体(304)に対して、複数のガイド器具接続ソケットの一つの内部に配置されるギア(300)によって前方または後方にキャリッジ本体に沿って駆動されると、メインキャリッジ本体(304)に対してスライドするように構成され、ギア(300)は、ギア(300)に隣接するようにメインキャリッジ本体(304)に取り付けられるラック(298)と接続するように構成される。別の実施例では、キャリッジは両側で分割する必要はないが、一つの分割側及び一つの非分割側を有することができる。更に、4つのガイド器具接続ソケットを備えるキャリッジは、ガイド器具を1〜4の制御素子接続アセンブリのいずれかのアセンブリによって駆動するのに適するが、4つの全ての制御素子接続アセンブリに必要な更に別のハードウェアは、器具が制御素子接続アセンブリを1つ、または2つしか必要としない場合には望ましくない。
【0042】
図103.1乃至103.11を参照すると、駆動操作装置のもう一つの変形例が記載されており、これは、図103に記載されているようなスプリットキャリッジ設計の変形例である。各器具ベースインターフェースが、スロットに沿ってまっすぐに、あるいは回転して、あるいは両方(別々に)移動する図103の実施例とは反対に、図103.1乃至103.11に示す実施例は、「はね付き」スプリットキャリッジの設計によって、回転及び/又はアーチ型のスロット移動を提供する。ここでは、伸張部材プーリと軸が、アクスル軸の周りを回転するか、あるいはアーチ型経路に沿って、別々に移動する。
【0043】
図103.1を参照すると、はね付スプリットキャリッジ器具操作装置(135)が、その他の実施例の直線スロットと反対に、二つのアーチ型スロット(145)を有する特別なガイド器具ベース(141)を有するはね付スプリットキャリッジ用に構成したガイド器具(215)に連結された状態が示されている。一またはそれ以上の電子ボード(139)をはね付スプリットキャリッジ器具走査装置(135)の主ハウジング構造(137)に連結することが好ましい。図に示すアセンブリは、ガイド器具(215)の少なくとも位置を移動可能に通る鞘状フレームブロック(185)に連結されている鞘状器具(30)を備える。このブロックは、図に示すアセンブリが完全に組み立てられたときに主ハウジング(137)に連結される。
【0044】
図103.2を参照すると、はね付器具操作装置ガイド器具ベース(141)が記載されており、アーチ側スロット(145)を詳細に示している。同様に、はね付器具操作装置ガイド器具ベーストッププレート(143)も示している。これは、ガイド器具カテーテル部材(図示せず)の近位側筒型部分の上に取り付けるように構成されており、はね付器具操作装置ガイド器具ベース(141)に対するカテーテル部材(図示せず)の相対位置を維持するようにしている。図103.2に示したものと同じ構造の下側部分の斜視図が、図103.3に示されている。図に示す実施例では、低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)が、インターフェースアセンブリ(219)の縦軸を中心に回転し、また、関連するアーチ型スロット(145)を通って摺動可能に移動するように構成されている。図103.4は、図103.2に記載されたはね付器具操作装置ガイド器具ベーストッププレート(143)とはね付器具操作装置ガイド器具ベース(141)の分解図であり、また、ここに規定されているアーチ型スロット(145)を示している。
【0045】
図103.5を参照すると、低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)が斜視図に示されており、これはプーリフランジ(153)に連結され、また、制御エレメントプーリセット(155)にも連結されたスプライン軸(157)を具える。制御エレメントプーリセットは、低プロファイルの手動調整ノブ(151)と、プーリフランジ(153)の間で、スクリュなどの保持締結具(149)によって加圧されている。同じ構造の分解図が図103.6に示されている。また、図103.6には、低プロファイル制御エレメントインターフェースアッセンブル(147)を組み立てられるときに、二つの制御エレメントプーリ(155)間の相対的な回転変位を防止するように構成したピン(159)が示されている。図に示す低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)の実施例は、上述した器具ベースおよび器具操作装置アッセンブルのいずれかと共に用いることができる。ここでは、器具インターフェースソケットが、一致するソケットと軸間の負荷の高効率転送を容易にするために、ソケットと軸と間のスプライン付インターフェースに幾何学的にも合致していることが必要である。低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)は、好ましくは、重量が軽く、破壊靭性が低い、非常に高精度なサブアセンブリまたは部品を形成するするあるいは加工することができるポリマまたは金属を具える。一の実施例では、低プロファイル制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)の各構成部品は、ポリカーボネートあるいは超高分子重量ポリエチレンを具える。
【0046】
図103.7を参照すると、はね付スプリットキャリッジアセンブリが、半分解図で示されている。はね付キャリッジベース(173)は、二つの独立して回転可能なはね構造(221)を回転可能に支持するように構成されている。この構造は、各々、底部(165)と、上部(163)を具える。図103.8には、ウィング構造(221)と関連する部材の更に分解した図が示されている。制御エレメントプーリ(167)のセットが、回転可能なウィング構造(221)に回転可能に連結されており、このセットに、溝付器具インターフェースソケット(161)が連結されている。はね付キャリッジベース(173)は、ベアリング(179)を有するキャリッジインターフェースフレーム(図示せず)に摺動可能に連結するように構成されている。図103.9に示すように、スロット(181)は、キャリッジインターフェースフレーム(191)に対するウィング付キャリッジベース(173)の移動を直線移動に制限している。シャフトとベアリングを用いて、ウィング構造(221)を、はね付キャリッジベースに回転可能に連結し、関連する連結シャフト(171)の軸を中心とするウィング構造(221)の回転運動を容易にしている。同様のシャフト及びベアリング構造を用いて、ウィング構造(221)に対する制御エレメントプーリ(167)の回転を与える。このように、はね付スプリットキャリッジの設計は、二つのウィング構造(221)のそれぞれに独立した動きをさせると共に、2セットの制御エレメントプーリ(167)と、これによる器具インターフェースソケット(161)を独立して回転運動させる。換言すると、図103.1に記載されているようなアーチ状スロット器具搭載ベース(187)に連結されたはね付ガイド器具(215)と、図103.1に記載されている構成中の搭載ベース(187)の下に位置する二つの器具インターフェースソケットに連結された二つの制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)によって、各制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)が、その縦軸を中心に回転して、また、器具ベース(141)に形成されたアーチ状スロットを通ってアーチ状に移動し、単一の制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)の始動に伴って、二つの制御エレメント、すなわち、各制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)上の各制御エレメントプーリ(167)の周囲のエレメントを伸張させて制御するようにしている。従って、4つの制御エレメントを、二つの制御エレメントインターフェースアセンブリ(147)のみの操作で駆動することができる。
【0047】
図103.10を参照すると、図103.1に記載されているものと同様のアセンブリの分解図が記載されている。鞘状器具、二つの制御エレメントインターフェースアセンブリも、ガイド器具カテーテル部材も、図103.10には記載されていない。上述した実施例にあるように、器具操作装置ロールアセンブリ(195)と器具操作装置モータ/ギアアセンブリ(193)が、器具操作装置の主フレーム(137)に連結されている。図103.11に示すように、この実施例の4つの制御エレメント駆動モータ(209)の各々に接続した予備のエンコーダリーダ(211)が、モータシャフトの非常に正確な回転位置の読み取りを容易にして、位置読み取りエラーを防止している。モータの出力シャフトは、ベベルギア(207)に連結されており、このベベルギアは、別のベベルギアセット(213)とインターフェース接続して、これによって、図に示す出力縦軸(205)を駆動するように構成されている。モータ/ギアインターフェースブロック(203)を用いて、モータと、ギアと、シャフトを、互いに対して、及び器具操作装置の主フレーム(図示せず)に対して適所に連結し、動きをシャフト、モータ、ギアおよびベアリングの回転運動に一般的に制限している。はね付構造器具インターフェースソケット(161)のはね付キャリッジベース(173)とウィング構造(221)に対する回転及びアーチ状の移動は、はね付スプリットキャリッジ器具操作装置と、ここに述べたはねの付いていない実施例との間の重要な差である。
【0048】
図104を参照するとオペレータ制御ステーションが示され、当該ステーションが、制御ボタンコンソール(control button console:8)、コンピュータ(6)、マウスのようなコンピュータ制御インターフェース(10)、視覚ディスプレイシステム(4)、及びマスター入力装置(12)を備える様子を示している。ボタンコンソール(8)上の「ボタン」の他に、フットスイッチ及び他の公知のユーザ制御インターフェースを利用してオペレータインターフェースにシステム制御機能を付与することができる。図105Aを参照すると、一の実施例では、マスター入力装置(12)は、マルチジョイント及び接続エンコーダ(306)を有する多自由度デバイスである。オペレータインターフェース(217)は、人間の指と心地よくインターフェースするように構成されている。図に示すオペレータインターフェース(217)の実施例は、ほぼ球形である。更に、マスター入力装置は、触覚フィードバックをユーザに呈示する高度な触覚機能を有することができる。同様の形状のオペレータインターフェース(217)を有するマスター入力装置(12)の別の実施例を図105Bに示す。適切なマスター入力装置は製造業者が市販しており、例えばSensible Devices Corporationの商品名「PhantomTM」、またはForce Dimensionの商品名「OmegaTM」を挙げることができる。Omegaタイプのマスター入力装置を使用する一の実施例では、マスター入力装置のモータを用いて、重力補償を行っている。換言すると、オペレータがマスター入力装置をオペレータの手で動かすときに、マスター入力装置は、マスター入力デバイスのハンドルをマスター入力デバイスの移動レンジの一部を地球の中心に最も近づける重力なしで、適所にとどまるか、あるいは装置が置かれた地点、あるいは別の所定の地点の周囲で停止するように構成されている。別の実施例では、触覚フィードバックを用いて、オペレータに関連する器具の作業空間の制限に達したことをオペレータにフィードバックしている。別の実施例では、触角フィードバックを用いて、主体である組織作業空間が器具の作業空間に登録されている場合、オペレータがこの主体である組織作業空間の制限に達したことをフィードバックするようにしている(すなわち、オペレータが切除先端などのツールを、例えば実際の心臓のCTデータから移した心臓の三次元モデルを介してガイド器具を用いて操縦しているとすると、マスター入力装置は、3次元モデルのデータによる心臓の壁あるいはその他の構造に達したことをオペレータに触覚フィードバックをして、これによって、オペレータが、マスター入力装置を介して壁あるいは構造を少なくとも感じることなく、このような壁又は構造を通してツールを駆動しないようにする)。別の実施例では、器具と組織の間の接触を検出するように構成された接触覚技術を、マスター入力装置の触覚能と共に用いて、オペレータに、器具が実際に組織に接触するとの信号を出すようにしている。
【0049】
図106〜図109を参照しながら、4つの制御素子を有するカテーテルの基本運動について概説する。
【0050】
図106A、図106Bを参照すると、張力を下側制御素子(312)にのみ加えたときに、図106Aに示すようにカテーテルが下に曲がる。同様に、図107A、図107Bの左側制御素子(314)を引っ張ると、カテーテルが左に曲がり、図108A、図108Bの右側制御素子(310)を引っ張ると、カテーテルが右に曲がり、そして、図109A、図109Bの上側制御素子(308)を引っ張ると、カテーテルが上に曲がる。この技術分野の当業者には明らかなことであるが、種々の制御素子に加わる張力を公知の方法で組み合わせると、種々の曲げ変形がカテーテル部材(90)の先端で生じる。カテーテルまたは同様の細長い部材を張力制御素子を用いて正確に制御する試みの一つは、制御素子の張力を保持することであるが、この張力の保持が、特定の所望の曲げ状態で加える引っ張り負荷の大部分の主題となってはならない。システムまたは器具を種々のレベルの張力で制御する場合、張力を解放する、または制御素子を緩み状態にすると、好ましくない制御シナリオが生じ得る。
【0051】
図110A〜図110Eを参照すると、簡単なシナリオがこの考えを示すために有用であることが分かる。図110Aに示すように、2つの制御素子(314、310)によって向きが変わる簡易カテーテル(316)がニュートラル位置にある状態が示される。左側制御素子(314)が、右側制御素子(310)が仮に受けるとする張力よりも大きい張力を受けると、カテーテル(316)は図110Bに示すように左に曲がる。向きを変えたい場合、この状態を反転させる必要があり、右側制御素子(310)に加わる張力を左側制御素子(314)に加わる張力よりも大きくする必要がある。張力差が左側に生じている状態から右側に生じる状態になるように張力を変える場合のこのような向き反転時点では、緩め制御、または張力制御を行なわずに、最も正しい制御素子(314)を集中的に緩めればよいが、この緩め操作は、高精度の制御を再度行なう前に行なう必要がある。生じる可能性のある緩みを無くすための「引き寄せ(reeling in)」に続いて、カテーテル(316)を、図110C〜図110Eに示すように、次の変化が向きに生じるまで、制御性の観点から問題となる別の緩みを発生させることなく反対方向に引っ張ることができる。
【0052】
上述の器具の実施例は、張力制御を、2〜4個の制御素子を有する種々のガイド器具システムにおいて管理する種々の方法を提示している。例えば、或る一連の実施例では、張力は、付属ガイドカテーテルの各制御素子を、器具操作装置(16)上の個々に制御されるガイド器具接続ソケット(270)に接続される個別の制御型素子接続アセンブリ(132)を通して能動的、かつ個別に張力調整することにより制御することができる。従って、張力は、複数の制御素子接続アセンブリ(132)の各々を、4制御素子の実施例、3制御素子の実施例、または2制御素子の実施例において個別に作動させることにより管理することができる。
【0053】
別の一連の実施例では、張力は、図102及び図103を参照しながら記載した分割キャリッジ構造を使用して能動的、かつ個別に張力調整することにより制御することができる。例えば、図103に示すような2つの個別の直線可動部分を備える分割キャリッジを利用して、2つの制御素子接続アセンブリの各々を能動的、かつ個別に張力調整することができ、これらの制御素子接続アセンブリの各々は、所定の自由度の2つの次元に関連付けられる。例えば、+及び−pitch(ピッチ)を一方の接続アセンブリにより設定し、そして+及び−yaw(ヨー)を他方の接続アセンブリにより設定することができ、ピッチに関する緩め制御または張力制御は、分割キャリッジ(296)の2つの直線可動部分(302)の内の一方によって行ない、ヨーに関する緩め制御または張力制御は、分割キャリッジ(296)の2つの直線可動部分(302)の他方によって行なう。
【0054】
同様に、ヨーまたはピッチのような単一自由度に関する緩め制御または張力制御は、図103に示す構造と同様の片側分割キャリッジ構造によって行なうことができるが、器具の制御素子接続アセンブリを1つだけ能動的に張力調整するために直線可動部分を1つしか必要としない点が異なる。
【0055】
別の一連の実施例では、張力調整はバネ与圧式遊動輪によって制御することができ、このバネ与圧式遊動輪は、接続制御素子に緩みが生じることがないように構成される。制御素子は、各実施例においては事前に緊張状態にしておくことが好ましく、これによって緩みを防止し、かつ性能の予測を可能にする。実際、更に別の一連の実施例では、事前張力調整が、張力管理の主要部分を構成することができる。事前張力調整、またはバネ与圧式遊動輪による張力調整のみを行なう実施例の場合、制御システムは、図110A及び110Bに関して上述したような、カテーテル曲がりの或る遷移ポイントでの小さな緩みを無くすための引き寄せを行なうように構成する必要がある。
【0056】
器具操作装置内の種々のモータの動作を、図1に示すような遠隔オペレータ制御ステーションから正確に調整し、制御するためには、最先端コンピュータ制御兼可視化システムが好ましい。次に示す制御システムの実施例について、特定の制御システムインターフェース、すなわちThe Mathworks Inc.が販売するSimuLinkTM及びXPCTM制御インターフェース、及びPC援用コンピュータハードウェア構成を参照しながら記載するが、種々の特化ハードウェアピースを含む多くの他の構成を、PC援用システムで動作する更に柔軟性の高いソフトウェア制御手段の代わりに利用することができる。
【0057】
図111を参照すると、制御システムフローの或る実施例の概要が示される。マスター入力装置ソフトウェア、可視化ソフトウェア、器具位置決めソフトウェア、及びオペレータ制御ステーションボタン、又はスイッチとの接続を行なうためのソフトウェアを動作させるマスターコンピュータ(400)が示される。一の実施例では、マスター入力装置ソフトウェアは、市販のマスター入力装置システムとパッケージになっている独自仕様のモジュールであり、市販のマスター入力装置システムとしては、例えばSensible Devices Corporationが販売する、PhantomTMハードウェアと、製造元が規定する非常に高い周波数で通信するように構成されるPhantomTMを挙げることができる。図105Bに示すデバイス(12)のような他の適切なマスター入力装置は、スイスのローザンヌ市に本拠を置くForce Dimensionのような供給業者が販売している。マスター入力装置(12)は、オペレータへのフィードバックを容易にする触覚機能も備えることができ、そしてこのような機能に関連するソフトウェアモジュールもマスターコンピュータ(400)で動作させることができる。オペレータへの触覚フィードバックの好適な実施例について以下に更に詳細に説明する。
【0058】
「localization(位置決め)」という用語は、この技術分野では、医療機器のようなオブジェクトの位置を基準座標系において求め、またはモニタリングするシステムに関連して使用される。一の実施例では、器具位置決めソフトウェアは、Ascension Technology Corporation、Biosense Webster,Inc.、Endocardial Solutions,Inc.、Boston Scientific(EP Technologies)、Medtronic,Inc.及びその他の製造業者が販売するシステムのような、市販または独自仕様の機器位置追跡システムとパッケージになった独自仕様のモジュールである。このようなシステムは、Cartesian座標系のX−Y−Z座標のようなリアルタイムの、またはほぼリアルタイムの位置情報だけでなく、所定の座標軸または座標系に対する方位情報も提供する機能を備える。いくつかの商業的に入手可能な位置決めシステムは、位置及び/又は方向を決定するのに、電気磁気的関係を使用しており、一方で、Endocardial Sokutions,Inc.社のSt Jude Medicalから入手可能なものなどのその他のシステムは、関連する器具に配置した導電センサと、皮膚に配置したパッチセットの導電部分間の電位差または電圧を利用して、位置と方向を決定している。図112A及び112Bを参照すると、種々の位置検出システムを、本明細書に開示するロボットガイドカテーテルシステムの種々の実施例に使用することができる。種々の部品の位置を求める位置特定システムを含まない別の実施例では、システムの種々の部品の間の運動学的又は幾何学的関係を利用して、一の部品の別の部品の位置に対する位置を予測することができる。或る実施例は、位置特定データ及び運動学的又は幾何学的関係の両方を利用して、種々の部品の位置を求めることができる。
【0059】
図112Aに示すように、一の好適な位置特定システムは、ガイドカテーテル(90)の中心内腔の内部に位置する電磁界送信デバイス(406)及び電磁界受信デバイス(402)を備える。送信デバイス(406)及び受信デバイス(402)はソフトウェアを動作させるコンピュータにインターフェース接続され、このソフトウェアは、送信デバイス(406)の座標系に対する検出器の位置を高精度にリアルタイムまたはほぼリアルタイムで検出するように構成される。図112Bを参照すると、同様の実施例が示され、受信デバイス(404)がガイドカテーテル(90)構造の内部に埋め込まれている。好適な受信デバイス構造は3セット以上の超小型のコイルを含むことができ、これらのコイルは、送信デバイスが放出する磁界の直交成分を検出するように空間的に構成される。このようなコイルは、好適なカテーテル構造の壁の内部の、または周りの専用構造に埋め込むことができる。例えば、一の実施例では、2つの直交コイルを、カテーテル(90)本体の2つのほんの少しだけ平坦な表面に位置する薄いポリマー層の内部に、カテーテル(90)本体の長手方向軸の周りに互いにほぼ90度で交差するように埋め込むことができ、そして第3コイルを、ポリマーで薄く被覆され、かつカテーテル(90)本体の外側から突出する突起部の内部に、他の2つのコイルに直交するように埋め込む。付属コイルのサイズが非常に小さいので、第3コイルの突起部は最小化することができる。このようなコイルのリード線もカテーテル壁に、好適には器具操作装置に隣接する或る位置にまでカテーテル本体の長さ分だけ下った場所に埋め込むことができ、この場合、これらのリード線は器具から離れてコンピュータに達するように配線することができ、コンピュータはソフトウェアを動作させ、かつ該当する送信デバイスにインターフェース接続される。
【0060】
別の同様の実施例(図示せず)では、一またはそれ以上の導電リングを、多数セット、好ましくは3セットの導電スキンパッチと共に電位差ベースの位置決め/方向付けシステムに電気的に接続して、Endocardial Sokutions,Inc.社のSt Jude Medicalから入手可能なものなどのシステムを利用して位置及び/又は方向データを提供する。一またはそれ以上の導電リングを、器具または器具セットに沿った長手方向の様々な位置において、器具の壁の中に一体化することができる。例えば、ガイド器具は、ガイド器具の遠位端に向けた互いから縦方向に変位させたいくつかの導電リングを有しており、一方、同軸に連結した鞘状器具も同様に、鞘状器具の遠位端に向けて互いから縦方向に変位させた一またはそれ以上の導電リングを有しており、これらの器具の各々の遠位端の位置及び/又は方向に関連する正確なデータを提供する。
【0061】
図111に戻ってこの図を参照すると、一の実施例では、可視化ソフトウェアがマスターコンピュータ(400)で動作して、一つ以上の先端可動型器具のリアルタイムの操作及びナビゲーションを容易にする。一の実施例では、可視化ソフトウェアは、図1(図2)に示すようなオペレータ制御ステーションのオペレータに、デジタル「ダッシュボード」ディスプレイまたは「ウインドシールド」ディスプレイを提示して、付属器具類を関連組織構造の内部で直感的に操作することができる能力を向上させる。図113を参照すると、簡易図が、マスター入力装置(12)による可視化とナビゲーションとの間の好適な関係を表わす一の実施例を説明するために有用であることが分かる。図示の実施例では、2つのディスプレイビュー(410、412)が示される。一つがプライマリ(410)ナビゲーションビューを表わすことが好ましく、そしてもう一つがセカンダリ(412)ナビゲーションビューを表わすことができる。システムの直感的操作を容易にするために、マスター入力装置座標系を少なくとも、2つのビューの内の少なくとも一つのビューの座標系にほぼ合わせることが好ましい。更に、オペレータに一つ以上のセカンダリビューを提示することが好ましく、これらのビューは、非常に複雑な組織の構造的な経路及び形状を通過するためのナビゲーションに役に立つ。
【0062】
自動車の操作を一例として使用すると、マスター入力装置がステアリングホイールであり、そしてオペレータが自動車を前方に一つ以上のビューを利用して運転したい場合、当該オペレータの第1優先事項は、後方窓の外、側部窓の内の一つの窓の外のビューとは異なるフロントガラスの外の真っ直ぐ先のビューが得られること、または当該オペレータが操作しようとしている自動車の前方の自動車からのビューが得られることである。当該オペレータは、前方のフロントガラスのビューが当該オペレータのプライマリディスプレイビューとして得られるように選択を行なうことができるので、ステアリングホイールを右に回転させることによって、当該オペレータがプライマリディスプレイを見た通りに、当該オペレータを右に移動させ、ステアリングホイールを左に回転させることによって当該オペレータを左に移動させるといった具合になる。自動車のオペレータが、当該オペレータの直ぐ前方に駐車している別の車に隣接して車を駐車させようとする場合、例えば2台の車(一方の車は当該オペレータが運転し、もう一方の車は運転車の前方に駐車している)の間のスペースを直角に通る直線上に位置する歩道の上に位置するカメラからのビューも得られることが好ましいので、オペレータは、当該オペレータの車と当該オペレータが停車しているときの当該オペレータの前方の車との間の近接ギャップを見ることができる。運転者は、当該運転者の車両を、当該運転者がナビゲーションのために歩道からの直角のカメラビューのみを眺めながら完璧に操作しなければならないことではないが、このビューはセカンダリビューとして役に立つ。
【0063】
引き続き図113を参照すると、オペレータが先端可動型カテーテルをナビゲートして、例えば特定の組織部位をカテーテルの先端で接触しようと試みる場合、有用なプライマリナビゲーションビュー(410)は関連する組織構造(414)の3次元デジタルモデルを含むことができ、このモデルを通して、オペレータは、先端近傍のカテーテルの長手方向軸に沿って眺められるカテーテル先端位置(416)の表示とともにマスター入力装置(12)を使用して、カテーテルをナビゲートする。この実施例は、組織デジタルモデル(414)情報の他に必要とされる標的組織構造位置(418)の表示を示している。異なるモニターに、同じモニターの異なるウィンドウに、または同じユーザインターフェースウィンドウの内部に表示される有用なセカンダリビュー(412)は、例えばカテーテル先端表示(416)と、そして更に可能であればカテーテル本体表示(420)とを表わす直交ビューを含み、これによってオペレータがカテーテル先端を所望の標的組織位置(418)に向けて操作し易くなる。
【0064】
一の実施例では、関連する組織構造のデジタルモデルの展開及び表示に続いて、オペレータは一つのプライマリビュー及び少なくとも一つのセカンダリビューを選択して器具類のナビゲーションを容易にすることができる。どのビューをプライマリビューとするかを選択することにより、ユーザはマスター入力装置(12)座標系を自動的に切り替えて選択プライマリビューに合わせることができる。最も左側に示されるビュー(410)がプライマリビューとして選択される実施例では、標的組織部位(418)に向かってナビゲートするために、オペレータはマスター入力装置(12)を前方、右側、及び下方に操作する必要がある。右側のビューは重要なナビゲーション情報を提供するが、「操作」予測に基づく直感的な情報とはならない。
【0065】
例えば、オペレータが、マスター入力装置(12)座標系をこのようなビューに合わせることなく、最も右側のビュー(412)のみを眺めながら、標的組織部位(418)に向けてカテーテル先端を挿入したいと思う場合、オペレータは、マスター入力装置に向かってデバイスを真っ直ぐに押すことにより、先端表示(416)が最も右側のディスプレイ(412)上を右側に移動することを覚えておく必要がある。オペレータがシステムを切り替えて最も右側のビュー(412)をプライマリナビゲーションビューとして使用するように決めた場合、マスター入力装置(12)の座標系を最も右側のビュー(412)の座標系に合わせて、オペレータが、マスター入力装置(12)を下方に、そして右に操作することにより、カテーテル先端(416)を所望の標的組織位置(418)に近づけることができるようにする。
【0066】
ここに記載する座標系の合わせ込みは、かなり古い数学公式を使用して行なうことができる。例えば、一の実施例では、カテーテルの先端の向きは、Ascension Technology Corporation、Biosense Webster Inc.、Endocardial Solutions Inc.、Boston Scientific(EP Technologies)、及びその他の製造業者が販売するシステムのような6軸位置姿勢センサシステムを使用して測定することができる。カテーテルの先端の位置を特定する3軸座標系Cはこの向き情報に基づいて構成される。向き情報を使用して同次変換行列
を導出し、この同次変換行列はカテーテル座標系「C」のベクトルを、センサ測定が行なわれる固定グローバル座標系「G」に変換する(下付き文字C0及び下付き文字G0を使用して0番目のステップ、または初期ステップを表わす)。登録ステップとして、カテーテルのコンピュータグラフィックビューを、マスター入力、及びカテーテル先端運動のコンピュータグラフィックビューを調整し、そしてグラフィックシーンのカメラビューと整合性がとれるまで回転させる。この初期ビューのカメラポジションに関する3軸座標系変換行列
を保存する(下付き文字Gref及び下付き文字Crefはグローバル「リファレンス」ビュー及びカメラ「リファレンス」ビューを表わす)。カテーテル座標に対応するカテーテル「リファレンスビュー」行列は次式のように得られる。
【0067】
ここでまた、カテーテルの座標系はグローバルリファレンス系Gにおいて固定されるので、グローバル系とカテーテル系との間の変換行列は全てのビューにおいて同じになる、すなわち任意のビューiの全てに関して次式が成り立つ。
プライマリビューとマスター入力装置座標系との間の一致は、マスター入力を次のように変換することにより得られる。表示のいずれかの任意のコンピュータグラフィックビュー、例えばi番目のビューが与えられるとすると、コンピュータグラフィックシーンのカメラビューの3軸座標系変換行列
はコンピュータグラフィックソフトウェアから得られる。該当するカテーテル変換行列は、上述の方法と同様の方法で計算することにより次式のように表わされる。
ビューの一致を実現するためにマスター入力に適用する必要のある変換は、上述のようにして登録したリファレンスビューから現在のi番目のビュー、すなわち
への変換を行なう変換である。既に計算した上記量を使用して、この変換を計算により次式のように表わす。
マスター入力はコマンドカテーテル入力(commanded catheter input)に、変換
を適用することにより変換される。コマンド入力が次式のように与えられると、
次式を計算により求めることができる。
このような関係に従って、プライマリビュー及びマスター入力装置の座標系を直感的操作に合わせることができる。
【0068】
図111の実施例に戻ってこの実施例を参照すると、マスターコンピュータ(400)は更に、オペレータ制御ステーションボタン、スイッチ、及び他の入力装置との接続を行なうソフトウェアインターフェース及びハードウェアインターフェースを備え、これらのインターフェースを使用して、例えばマスター入力装置を制御入力として機能的に使用しないようにすることによりシステムを「凍結(フリーズ)する」ことができる、またはオペレータが操作入力をマスター入力装置(12)で行なうために希望する種々のスケーリング比の切り替えを可能にする。マスターコンピュータ(400)は、制御兼器具操作コンピュータ(control and instrument driver computer:422)との2つの個別の機能接続を有する。一方の接続(426)は、所望のXYZ(カテーテル座標系における)のような制御及び可視化関連コマンドを渡すための接続であり、もう一方の接続(428)は安全関連信号コマンド(safety signal commands)を渡すための接続である。同様に、制御兼器具操作コンピュータ(422)は、器具操作ハードウェア(424)との2つの個別の機能接続を有する。一方の接続(430)は、必要なトルク制御電圧のような制御及び可視化関連コマンドをアンプに渡してモータ及びエンコーダを駆動するための接続であり、もう一方の接続(432)は安全関連信号コマンドを渡すための接続である。
【0069】
一の実施例では、安全関連信号コマンドは、10ミリ秒毎のような非常に短い間隔で繰り返される簡単な信号を表わし、このような信号チェーンは、「システムはokであり、アンプは動作状態を維持している」といった具合に、論理的に読み取られる。安全関連信号チェーンに割り込みが入ると必ず、アンプの論理が反転してアンプが動作していない状態になり、器具は安全関連信号チェーンが復旧するまで制御システムによって動かすことができない。図111の信号フロー概要図に更に示すのは、物理的器具と器具操作ハードウェアとの間にあって、マスターコンピュータに戻る経路(434)であり、閉ループシステムの実施例を表わしており、この実施例では、図112A〜図112Bを参照しながら記載したような器具位置特定技術を使用して器具の実際の位置を求めて、以下に更に詳細に記載するように、ナビゲーション及び制御誤差を最小化する。
【0070】
図114〜図124は、物理システムの或る実施例に対応するSimuLinkTMソフトウェア制御方式の一の実施例の種々の態様を示し、特に「マスターフォローイングモード(master following mode)」の実施例に注目している。この実施例では、器具はマスター入力装置からのフォローイング指示(following instructions)、及びモータのサーボループの実施例のフォローイング指示によって操作され、このサーボループの実施例は重要な操作機能を備え、この機能は、コマンドがマスターフォローイングモードから配信されると動作して器具を作動させる。
【0071】
図114は、3つのモードの内のいずれかのモードを反転させてプライマリサーボループ(436)を作動させる実施例の高位図を示している。システムを始動するときのデフォルトモードであるアイドルモード(438)では、モータ群の全てにモータサーボループ(436)を通して指示して、これらのモータの現在位置に関する自動制御を行ない、これらのモータの位置がモータに接続されるデジタルエンコーダによってモニタリングされる。別の表現をすると、アイドルモード(438)では、残りのシステムを活性状態に保ちながらモータを遮断する。従って、オペレータがアイドルモードからの移行を行なうと、システムは相対する部品の位置を認識する。オートホームモード(440)では、図97に示すような接続器具操作装置の内部のケーブルループをこれらのケーブルループ範囲内の中心に配置して、図17に示すような接続器具が、器具操作装置に装着されたときに、確実に、ピッチまたはヨーの+及び−方向のような、種々の自由度に関する両方の方向にほぼ等しい運動範囲を有するようにする。これは、器具を使用する前に器具操作装置を準備するためのセットアップモードである。
【0072】
マスターフォローイングモード(442)では、制御システムは信号をマスター入力装置から、閉ループの実施例では、マスター入力装置及び位置特定システムの両方から受信し、そして駆動信号をプライマリサーボループ(436)に転送して器具を、転送されたコマンドに従って操作する。マスターフォローイングモード(442)のこの実施例の態様を図119〜図124に更に詳細に示す。プライマリサーボループ及びモータサーボブロック(444)の態様を図115〜図118に示す。
【0073】
図119を参照すると、マスターフォローイングモード(442)の或る実施例の更に詳細な機能図が示される。図119に示すように、機能ブロック446への入力はマスター入力装置の、マスター入力装置の座標系におけるXYZポジションであり、マスター入力装置のソフトウェアにおける設定を通してマスター入力装置の座標系の合わせ込みを行なって、マスター入力装置の座標系が、カテーテルと同じ座標系を有し、更に位置特定システムがマスター入力装置及びカテーテルと同じ座標系において測定するポジションと同じ、器具先端の位置特定XYZポジションを有するようにする。図119の機能ブロック446の詳細図である図120を参照すると、スイッチ(460)をブロックに設けて、所望のカテーテル位置に対応し、入力インターフェース(462)への入力となる複数のマスター入力の間での切り替えを可能にし、この入力インターフェースを通して、オペレータは器具が空間の特定のXYZ位置に進むように命令することができる。種々の制御機能がこのインターフェースを利用してオペレータに、例えば目的部位のメニューを提供し、これらの目的部位に向かって、システムが器具などを自動的に操作する必要がある。図120に更に示すのはマスタースケーリング機能ブロック(451)であり、この機能ブロックを利用してマスター入力装置からの入力を、オペレータが選択することができる比でスケーリングすることができる。コマンドスイッチ(460)機能は低域通過フィルタを含み、この低域通過フィルタによって、マスター入力装置と入力インターフェース(462)との間で切り替わるコマンドの重み付けを行って、これらのモードの間の移行が円滑に確実に行なわれるようにする。
【0074】
再び図119を参照すると、XYZ単位の所望の位置データを逆運動学ブロック(450)に渡して、器具の機械的構造に固有の材料関係の予測機構に従ってピッチ、ヨー、及びエクステンション(または「インサーション」)単位に変換する。
【0075】
多数のカテーテル器具の実施例の運動学的関係は、従来の機構関係を適用することによりモデル化することができる。つまり、制御素子によって向きを変えるカテーテル器具は一連の操作入力を通して制御される。4つの制御素子を含むカテーテル器具では、例えば2自由度のモーション操作、すなわち共に+及び−方向を有するピッチ操作及びヨー操作が可能である。モータ駆動による他の張力調整関係によって、他の器具を操作することができ、カテーテル器具の能動的張力調整または挿入、或いは回転が可能になる。操作入力と、操作入力によって変わるカテーテルのエンドポイントポジションとの間の関係をカテーテルの「運動」と呼ぶ。
【0076】
図125を参照すると、「順運動学(forward kinematics)」は操作入力によって変わるカテーテルのエンドポイントポジションを表わし、「逆運動学(inverse kinematics)」は所望のエンドポイントポジションによって変わる操作入力を表わす。順運動学及び逆運動学の正確な数学モデルは、ロボット制御カテーテルシステムにとって必須である。説明を明瞭にするために、運動方程式を更に微調整して、図125に示すように共通要素を分離する。基本運動は作業座標(task coordinates)と関節座標(joint coordinates)との間の関係を記述する。このような事例においては、作業座標はカテーテルエンドポイントの位置を指し、関節座標は能動カテーテルの曲がり(例えばピッチ及びヨー)、及び長さを指す。アクチュエータ運動は操作座標(actuation coordinates)と関節座標との間の関係を記述する。ロボットガイドカテーテルの作業座標、関節座標、及び曲げ操作座標を図126に示す。運動をこのようにして記述することにより、カテーテル構造に関連する運動、すなわち基本運動を操作手順に関連する基本運動から分離することができる。
【0077】
カテーテルの運動モデルの開発は、幾つかの基本的な仮定を使用して行なわれる。カテーテル構造が機構理論に基づいて曲がる簡単な梁(beam)として近似され、かつ細い張力調整ワイヤのような制御素子がニュートラル軸から固定距離に位置したままであり、従って均一なモーメントがカテーテルの長さに沿って加わるという仮定を採用する。
【0078】
上記仮定の他に、図127に示す構造及び変数を順運動学及び逆運動学の導出に使用する。カテーテル作業座標(Xc,Yc,Zc)を関節座標(φpitch,φpitch,L)に関連付ける基本順運動学は次式のように与えられる。
Xc=wcos(θ)
Yc=Rsin(θ)
Zc=wsin(θ)
上の式においては、次式のような関係がある。
w=R(1−cos(α))
α=[(φpitch)2+(φyaw)2]1/2 (曲がり合計)
(曲がり半径)
θ=atan2(φpitch,φyaw) (ロール角)
【0079】
関節座標(φpitch,φpitch,L)をアクチュエータ座標(ΔLX,ΔLZ,L)に関連付けるアクチュエータ順運動学は次式のように与えられる。
【0080】
図125に示すように、カテーテルのエンドポイントポジションは、関節座標または操作座標が与えられると、上述の順運動学方程式を使用することにより予測することができる。
【0081】
エンドポイントポジションによって変わるカテーテルの操作入力の計算であって、逆運動学と呼ばれる計算は、ニュートン−ラプソン法のような非線形方程式ソルバーを使用して行なうことができる。更に望ましいアプローチ及びこの図示の実施例に使用されるアプローチでは、厳密解を求め、この解を使用して必要な操作入力を所望のエンドポイントポジションから直接計算することができる。
【0082】
順運動学の場合と同じように、逆運動学を、関節座標を作業座標に関連付ける基本逆運動学と、操作座標を関節座標に関連付ける操作逆運動学とに分離する。関節座標(φpitch,φpitch,L)をカテーテル作業座標(Xc,Yc,Zc)に関連付ける基本逆運動学は次式により与えられる。
φpitch=αsin(θ)
φyaw=αcos(θ)
L=Rα
上の式においては、次式のような関係がある。
θ=atan2(Zc,Xc) β=atan2(Yc,Wc)
【0083】
アクチュエータ座標(ΔLX,ΔLZ,L)を関節座標(φpitch,φpitch,L)に関連付けるアクチュエータ逆運動学は次式により与えられる。
【0084】
再び図119を参照すると、ピッチコマンド、ヨーコマンド、及びエクステンションコマンドが、測定済み位置特定データと一緒に、逆運動学ブロック(450)から位置制御ブロック(448)に渡される。図124はポジション制御ブロック(448)の詳細図を示す。測定済みXYZポジションデータが位置特定システムから送出された後、このデータが逆運動学ブロック(464)を通過することにより、器具が留置される必要のある部位に到達するために必要なピッチ、ヨー、及びエクステンションが計算される。これらの値を、マスター入力装置からのフィルタ処理済みの所望のピッチ、ヨー、及びエクステンションデータと比較する(466)ことにより、積分補償をピッチ及びヨーに関する限界値を使用して加えて、誤差を積分誤差除去法を適用して除去する。この実施例では、エクステンション変数は、ピッチ及びヨー(470)の限界値(468)と同じ限界値を持つことがない。この技術分野の当業者には明らかなことであるが、積分器をネガティブフィードバックループに設けることにより、誤差を強制的にゼロにする。次に、所望のピッチコマンド、ヨーコマンド、及びエクステンションコマンドが、カテーテル作業空間制限ブロック(452)を通過し、この作業空間制限を、経験的に決定される器具の物理的限界によって変わるようにすることができ、この限界を超えると、構成部品が故障し、不所望に変形し、または予測できない形或いは不所望に動作する。この作業空間制限は基本的に、器具の遠位端近傍の心臓形容積と同様の容積を定義する。次に、作業空間制限ブロックによって制限される所望のピッチコマンド、ヨーコマンド、及びエクステンションコマンドをカテーテルロール補正ブロック(454)に渡す。
【0085】
この機能ブロックは図121に更に詳細に示され、そして基本的に回転行列を備え、この回転行列によって、器具の長手方向軸又は「ロール」軸に関するピッチコマンド、ヨーコマンド、及びエクステンションコマンドを変換して制御システムを、制御素子の向き運動を変えてしまう恐れのあるカテーテル先端の回転変位に関して校正する。例えば、カテーテルが回転変位を含まない場合、時計の12時の直ぐ上に位置する制御素子を引っ張ると器具の先端を上方に向かせることができる。しかしながら、カテーテルの先端が、例えば時計回りに90度だけ回転変位を含んでいる場合、上方への応答をカテーテルから得るためには、元々時計の9時の位置に位置していた制御素子を引っ張る必要がある。図121に示すカテーテルロール補正方法は、回転行列を使用してこのような変換を、上記例の90度のようなロール角補正値に従って行なう手段となり、このロール角補正値は入力され、低域通過フィルタを通過し、ラジアンに変換され、そして回転行列計算ブロックを通過する。
【0086】
一の実施例では、ロール角補正値は特定の器具及びナビゲーション経路に関する実験データに基づいて決定される。別の実施例では、ロール角補正値は、好適な位置特定システムから得られる正確な向きデータを使用して、その場での体験に基づいて決定することができる。別の表現をすると、このような実施例では、例えば真っ直ぐ上に曲げるコマンドを実行することができ、そして位置特定システムを使用してどの角度に変位が実際に生じたかを判断する、すなわち簡単にその場でロール角補正値を決定することができる。
【0087】
図119に戻り参照すると、ロール補正ピッチ及びヨーコマンドだけでなく、未補正エクステンションコマンドがロール補正ブロック(454)から出力されることが分かり、そしてこれらのコマンドを適宜、従来の速度制限ブロック(456)に渡すことができる。図122を参照すると、ピッチ及びヨーコマンドをラジアンから度に変換し、そして自動制御されたロール値を制御図に入力し、最終サーボサイクルから算出される現在の所望のポジション(472)を完成させる。速度は、従来のメモリブロック(476)における計算により求めた、前のサーボサイクルから算出される所望のポジションを着信コマンドサイクルから算出されるポジションと比較することにより計算される。従来の飽和ブロック(474)では、計算速度を指定値内に収まるように維持し、そして速度制限コマンド(478)をラジアンに戻す形で変換して、張力制御ブロック(458)に渡す。
【0088】
制御素子内の張力は、種々の器具の実施例及び張力制御機構を参照しながら上述したように、器具の特定の実施例によって変わる形で管理することができる。一例として、図123は事前張力調整ブロック(480)を示し、このブロックにより、所定の制御素子張力を直線的に変化させて現在の値にする。次に、器具構造の故障限界レベル、及び着信速度制限ピッチコマンド、ヨーコマンド、エクステンションコマンド、及びロールコマンドのような、変数に関する好適かつ経験的に調整した行列に基づいて、調整を元の事前張力調整値に加える。次に、この調整済みの値を元の出力信号にギア比調整を行なうことにより加えて(482)、器具の動きに関連する種々のモータの所望のモータ回転コマンドを計算する。この実施例では、エクステンション操作、ロール操作、及び鞘状器具操作(484)では、これらの操作の制御に関連する事前張力調整アルゴリズムが行なわれない。次に、マスターフォローイングモード機能からの出力が完了し、この出力をプライマリサーボループ(436)に渡す。
【0089】
図114に戻ってこの図を参照すると、図示の実施例におけるマスターフォローイングモード(442)、オートホームモード(440)、またはアイドルモード(438)のいずれかからの所望の着信モータ回転コマンドが、モータサーボブロック(444)に転送される様子が示され、当該モータサーボブロックは、図115〜図118に更に詳細に示される。
【0090】
図115を参照すると、デジタルエンコーダからの測定済み着信モータ回転データ及び所望の着信モータ回転コマンドを、着信データストリームの各々に関して選択される周波数で従来の方法により量子化ノイズをフィルタリングすることによりフィルタ処理し、ノイズを制御システムの安定性に影響する過度の遅延を引き起こすことなく低減する。図117及び118に示すように、従来の量子化フィルタリングを、この実施例における約200ヘルツの測定済みモータ回転信号、及び約15ヘルツの所望のモータ回転コマンドに適用する。量子化フィルタリング済みの値の差(488)はポジションエラーを構成し、このポジションエラーはリードフィルタ(lead filter)、すなわち比例微分(「PD」)回路+低域通過フィルタの機能等価物を通して渡すことができる。別の実施例では、従来のPIDフィルタ、リード/ラグ(lead/lag)フィルタ、または状態空間表現(state space representation)フィルタを使用することができる。図示の実施例のリードフィルタを図116に更に詳細に示す。
【0091】
図116におけるリードフィルタの実施例は、システムを調整して所望の性能を実現するように選択される種々の定数を含む。図示のフィルタは、4制御素子ガイドカテーテル器具の一の実施例において必要な事項を、4つの制御素子接続アセンブリの各々を+/−ピッチ及び+/−ヨーに関して個別に制御し、個別にロール及びエクステンションを制御することにより満たす。図示の実施例に示すように、インサーション及びロールはピッチ制御及びヨー制御とは異なる慣性及び動力学を有し、これらの慣性及び動力学を調整するように選択される定数は異なる。フィルタ定数は、従来の方法を使用して理論的に計算し、実験法により調整することができ、または定数を設定するように、実験法によって全てを決定して、60度以上の位相余裕を応答安定性及び応答速度に関して確保し、すなわち従来の位相余裕値を医療制御システムに関して確保することができる。
【0092】
調整済みマスターフォローイングモードが調整済みプライマリサーボループとペアをなす実施例では、上述するような器具及び器具操作装置は、離れた位置のマスター入力装置によって正確に3次元で「操作する(driven)」ことができる。他の好適な実施例は、オペレータへの触覚フィードバック、分割キャリッジ器具操作装置による能動的張力調整、直接可視化又はその場で取得される組織モデル及び組織接触検出を利用するナビゲーション、並びに拡張ナビゲーションロジックのような関連機能を取り入れる。
【0093】
図128を参照すると、一の実施例では、マスター入力装置は、Sensible Devices,Inc.が商品名PhantomTMで販売するような触覚マスター入力装置とすることができ、このような装置を動作させるために必要なハードウェア及びソフトウェアを少なくとも部分的にマスターコンピュータに取り込むことができる。主関節の回転(master joint rotations)及び順運動学に基づいて測定される主関節XYZポジションは通常、パラレルポート又は同様のリンクを通してマスターコンピュータに渡され、続いてこのポジションを制御兼器具操作コンピュータに渡すことができる。このような実施例においては、PhantomTMの内部サーボループは通常、約1,000MHz以上の範囲の非常に高い周波数で動作して、力及びトルクを主関節で正確に生成する。
【0094】
図129を参照すると、マスター入力装置に加わる位置ベクトルから始まってオペレータに戻される触覚信号に達する一連の操作の例示としてのフローチャートが示される。オペレータによるマスター入力装置の動きに関連するベクトル(344)は、簡単な行列変換(345)を使用して、器具座標系に、特にカテーテル器具先端座標系に、変換することができる。次に、変換済みベクトル(346)を、オペレータの選択に従ってスケーリングして(347)、スケーリング済み、かつ変換済みベクトル(348)を生成することができる。スケーリング済み、かつ変換済みベクトル(348)を制御兼器具操作コンピュータ(422)に、好ましくはシリアル配線接続を通して送信し、マスターコンピュータに送信して、カテーテル作業空間チェック(349)及び全ての関連ベクトル修正(350)を行なうことができる。この後、力のような好適なレベルのフィードバックを生成して所望の力ベクトル(352)を生成するようにフィードバック乗算係数(351)を選択し、マスター入力装置座標系に戻す逆変換(353)を行なって、当該座標系(354)でオペレータに関連触覚信号を送信する。
【0095】
従来のヤコビアン(Jacobian)を用いて所望の力ベクトル(352)を、マスター入力装置を構成する種々のモータに所望通りに加わるトルクに変換して、マスター入力装置における所望の信号パターンをオペレータに提供することができる。適切な信号、実行経路、及びオペレータに触覚又はタッチ感覚として戻されるフィードバックを含むこの実施例は、種々の方法で利用して、以下に更に詳細に説明するように、安全性及び直感性をシステムのナビゲーション機能に付加することができる。
【0096】
図130は触覚機能を含むシステムのブロック図である。図130の概要形に示すように、マスター入力装置での運動に応答して変化するマスター入力装置上のエンコーダ位置を、測定し(355)、マスター入力装置に関連する順運動学計算ブロック(356)を通して送信して装置のXYZ空間位置をマスター入力装置座標系(357)で取得し、次に変換して(358)カテーテル座標系に切り替え、そして(恐らくは)変換済みエンコーダ位置を変換して見えるように、かつ好適な制御を行なえるように配置して「直感的操作」を容易にする。
【0097】
次に、変換済みの所望の器具位置(359)を、一以上の制御経路を下る形で送信して、例えば、作業空間境界又はナビゲーション事項に関する触覚フィードバック(360)を提供し、カテーテル器具位置制御ループ(361)にカテーテルの必要な所望のポジション値が供給されるが、これらのポジション値は、特定器具(362)の逆運動学関係を使用して、開ループ制御又は閉ループ制御による特定のカテーテル器具の操作に関するヨー、ピッチ、及びエクステンション、または「インサーション」の単位(363)に変換されている。
【0098】
図131〜図136を参照すると、図102〜図103に示すような分割キャリッジ構造を介した張力制御に関する関係が示され、このような構造が、先端可動型カテーテル器具のピッチ又はヨーのような各関連自由度の操作と張力制御とを分離するように機能する様子を示している。
【0099】
図131を参照すると、図102〜図103に示す実施例のような、分割キャリッジ構造に接続される複数の構造の内の幾つかの構造は、直線可動部分(302)、ガイド器具接続ソケット(270)、ギア(300)、及びラック(298)を含む。従来の配置関係を、図131に表わされる構造の物理状態に適用すると、図132の方程式(364、365)を導くことができる。カテーテル器具の純粋なカンチレバーの曲げモデルを参照しながら上述したような器具の順運動学を利用すると、図133の関係は、曲がり量に関して、ケーブル引っ張り量及びカテーテル直径(「Dc」)(366)の関数として導き出すことができ、更に張力(367)に関して、制御素子群の共通引っ張り合計量として定義することができる。図132及び133の方程式を統合すると、図134に示す関係式(368、369)が得られ、これらの式では、所望の操作及び所望の張力調整が関連構造の機構によって分離されている。図131に示すガイド器具接続ソケット(270)の所望の動作(368)はソケットの回転角位置の関数である。接続制御素子の所望の張力調整(369)は、ラック(298)に対する張力調整ギア(300)の位置の関数である。
【0100】
+/−ピッチまたは+/−ヨーのような単一の自由度で操作を行ない、分割キャリッジ機構を通して能動的に張力調整を行なう様子を示す図135を参照すると、図110A〜図110Eを参照しながら上述した説明に従って予測できるように、所望の張力は曲がり量の絶対値に直線的に変化するように関連付けられる。所定のシステムは決して緩むことがない、すなわち所望の張力が図135に示すように常に正である。図136を参照すると、同様の関係が、能動的張力調整を行なう2自由度を有するシステムに当てはまる−2自由度を有するシステムとしては、+/−ピッチまたは+/−ヨーを、分割キャリッジ構造を介しての能動自由度の能動的張力調整手段として有する4ケーブルシステムを挙げることができる。2つの次元があるので、結合項(370)を取り入れて発見的な調整を行ない、例えば制御素子の緩み、及び器具全体の圧縮量を最小化する。
【0101】
図113を参照しながら説明したように、一の実施例では、組織構造モデル(414)を使用してナビゲーション機能を強化することができる。処置の対象となる患者からの、その場で得られる実データを使用することが特に望ましい、というのは、一般的に対象とする組織構造に依る重要な解剖学的構造上の違いが、患者毎にあるからである。例えば、動物に関する公開レポート及び実験検証によれば、ヒトの心臓の左心房の構造は患者ごとに大きく変わる。
【0102】
一の実施例では、高密度焦点式超音波を用い、心臓の周期運動に同期し、好ましくは呼吸の周期運動と同期して行なわれる磁気共鳴影像法は、従来の画像切り取り(image cropping)及び画像のしきい値処理(image thresholding)と一緒に使用して、3次元組織構造モデルを生成することができる。心臓の構造のような能動組織構造(active tissue structures)のモデル化に適用されるような画像診断法に関する解決課題の一つは、ゲーティングである。一の実施例においては、ゲーティングには、非常に小さい呼吸運動にも関連付けられる拡張期中の心臓休息時(cardiac resting periods)を待つことが含まれる。例えば、同期して収集される磁気共鳴影像画像を利用して左心房の3次元画像を取得するためには、許容できないほどの長さの取得時間と、言うまでも無く、画像取得、及び使用可能な組織構造モデルへの統合を行なうために必要なかなり大規模、かつ高価な器具類と、が必要になる。しかしながら、このような診断法は、心臓又は呼吸の周期運動を無視することができる場合、及び画像または一連の画像を取得して、そして使用可能な組織構造モデルにかなり迅速に合成することができる場合には好ましい。
【0103】
一般的な構成では、前述の「マスターフォローイングモード」は、各コマンドに、当該コマンドがマスター入力装置から制御システムを通って送出されるときに直接従うように論理的に構成することができる。しかしながら、閉ループ制御の一の実施例では、ロジック層は、マスター入力装置及び位置特定システムからの着信データを、統合組織構造モデル、及び手元の特定の手順に関する或るシステム設定情報を考慮に入れて解釈して、マスターフォローイング制御ロジック及び後続のメインサーボループ制御ロジックに転送されるコマンドに変更を加えて物理器具を移動させるように構成される。
【0104】
図158〜図160を参照すると、幾つかの非常に簡素化された例では、マスターの動きを解釈するフォローイング制御によって解決すべき課題が示される。これらの図の各々に示される例示としての器具の実施例は、位置特定装置及び接触検出装置を含む。多くの組み合わせ、または器具構成部品を、マスターの動きを解釈するフォローイングロジック層を使用して利用し、オペレータに、機能目的によって変わる強化ナビゲーション機能を提供することができる。
【0105】
図158に示すように、位置特定装置(532)を含む遠位端を有する器具(530)は不規則な形状の組織壁に隣接して位置し、この組織壁は、システムの可視化兼制御システムにおいて、前述の診断法の内の一つを使用して得られる好適な3次元組織構造モデルによって表わされる。オペレータの目的が図158に示す器具先端を動かすことであるとすると、オペレータが選択する移動経路は、当該オペレータが2つの位置の間で選択する処置によって変わる。例えば、オペレータが単に、器具(530)を各位置の組織壁に、器具と組織壁との間の組織には全く接触することなく触れさせたいと希望する場合、オペレータは破線(531)で示すような、組織構造内の不規則構造の周りの高効率経路を選択することができる。この経路に従って、オペレータは器具を該当するポジション/位置の間で操作することができる。
【0106】
更に、または別の構成として、オペレータは器具(530)に軽く触れて器具を組織構造に向けて押し、そして器具を図159に示す位置の間で、前述の実施例において説明したように定常的に引きずりながら接触させる、というのではなく、2つの位置の間を一連の動作としてホップする(飛び越える)形で操作しながら、器具を接触状態に維持する。更に、別の実施例では、図160に示すように、オペレータは、多分、遠位器具構造、例えば電極が選択した向きになることによって組織構造壁にほぼ垂直になっている器具を維持しながら、器具をこれらの位置の間で動かしたいと希望することができる。
【0107】
更に、オペレータは制御ロジックに安全機能を組み込んで、例えば器具が、対象とする組織構造を、組織に沿って過剰な負荷で過度に引きずる、組織構造の特定部分に過剰な負荷を掛け、または過度のストレスを与えて、集中負荷を生じる、或いは能動弁入り口のような組織を傷付ける恐れのある領域に入り込むことによって傷付けることがないようにと希望することができる。
【0108】
このようなオペレータの目的は、制御ロジック内に配置される、マスターの動きを解釈するフォローイングロジック層の種々の実施例において達成される。一の実施例においては、マスターの動きを解釈するマスターフォローイング制御では、普通、組織構造表面に沿った引きずりを生じることになるコマンドを、各接触を組織構造表面モデルに加わる新規ポイントとして記録しながら、組織構造表面への、または組織構造表面からの連続する小さな「ホップ」を実行するコマンドとして解釈する。ホップは、器具を、器具が組織構造に接触するようになった同じ経路を後戻りさせ、次に組織構造モデルに従って壁に沿って正しく移動させ、更に同様の経路で再度近付けることにより実行することが好ましい。新規の各XYZ表面ポイントを記憶する際のメモリの節約の他に、一の実施例では、システムは、器具による接触が行なわれた器具経路を、位置特定向きデータ及び制御素子張力調整コマンドを保存することにより保存して、オペレータが同じ経路を必要に応じて後の時点で再度取ることができるようにする。接触が確認された経路及び新規ポイントを保存することにより、更に詳細な等高線図を組織構造モデルに基づいて形成し、この等高線図を手順において利用し、そして継続的に充実させることができる。各ホップの長さだけでなく、各ホップ接触の間の非接触距離の長さも設定することができる。
【0109】
一の実施例においては、マスターの動きを解釈するフォローイング制御では、種々の安全チェックステップを実行して、オペレータがうっかり、対象とする組織構造に、器具を組織構造に押し込む、または組織構造を貫通することによって傷を付けることが絶対にないようにする。例えば、制御ロジックは、位置特定データ又は接触検出データを用いた組織構造モデルを利用して得られる決定に従って、対象とする組織構造を超えて器具を押し込む、または対象とする組織構造の内部に器具を押し込むことができないように構成することができる。このようなモードは、或るシナリオでは、オペレータコマンドによって手動で無効にすることができ、これによって、例えば卵円窩の位置の心房中隔のような組織壁に意図的に穴を空けることができる。一の実施例では、制御ロジックは、オペレータが器具を移動させようと試みている、または同じ位置で電極が所定時間よりも長く作動する、または所定量を超える供給エネルギーで作動する、ということを防止しようと試みる間は、器具電極が作動することがないように構成することができる。
【0110】
別の実施例では、マスターの動きを解釈するフォローイング制御によって、オペレータは自動で種々の治療を行ない易くなる。例えば、器具がアブレーション用先端電極(distal ablation electrode)を含む場合、制御手段は、円形アブレーションパターンが、オペレータが選択する3つの接触ポイントを通るようにパターンを自動的にこれらのポイントに一致させるように構成することができる。更に、オペレータは、ホッピング間欠電極焼灼パターン(hopping、intermittent electrode burning pattern)を選択して、オペレータが単にマスター入力装置を線形的に移動させるだけでパターンが自動的に適用されるようにすることができる。触覚機能を利用してオペレータに種々のフィードバックを行なって治療を容易にする。例えば、触覚「溝(groove)」を器具の挿入軸に沿って形成してオペレータが器具をマスター入力装置で操作し易くすることができる。更に、既に選択した所望接触ポイントを触覚的に捉えられるように「重力の井戸(gravity well)」に引き込んで、オペレータが器具をこのような位置に振り向け易くすることができる。
【0111】
上述したような制御システムの実施例によって、ここに述べたような医療処置を行なうためのカテーテル関連器具の向きの正確な操作が容易になる。
【0112】
図225を参照すると、分散型システムアーキテクチュアの実施例が記載されている。QNXなどのリアルタイムで稼動しているシステムを動かしているマスター制御コンピュータが、1ギガビットのEthernet“Realtime Network”と、100メガビットのEthernet“SystemNetwork”によって、従来の高速スイッチを用いてシステム中の別のコンピュータの各々に接続されている。これは、大きなケーブルシステムや、中央計算機なしで、デバイス近傍に広がっているさまざまなデバイス用に部分的なカスタムコンピューティングを行うことができる。一の実施例では、マスター制御コンピュータは、Intel Xeonデュアルプロセッサアーキテクチュアによって駆動し、Windows XPを動かしているハイエンドX86IntelアーキテクチュアPCによって駆動する、多数のビデオカードとフレーム・グラッパを有する可視化コンピュータは、器具操作装置と二つのネットワーク用の二つのEthernet接続を有する、PC104または”EPIC”標準ボードであるマスター入力デバイスCPUsで駆動する。追加のマスター入力デバイスと、タッチスクリーンと、コンソールは、患者に対して別の位置にある追加のオペレータワークステーション内に構成されていても良い。このシステムは、非常に大きく拡張可能であり、新たなデバイスをスイッチに差し込んで、二つのネットワークのいずれかに配置することができる。図225を参照すると、二つの高解像度フレーム・グラッパボード(374)は、二つのフルオロデバイス(あるいは単一プレーンフルオロの場合は一つ)から画像を得る。この例では公称解像フレーム・グラッバボード(373)が、心臓内エコーシステムから画像を得ている。このような画像データは、図220乃至222を参照して述べるように、オーバーレイ用に用いることができ、図に示すように可視化コンピュータのビデオカード(372)を用いて、#2ディスプレなどのディスプレイ上に表示される。Pruckaによって分散されているようなシステムからの心臓モニタデータは、心臓モニタ装置のビデオ出力ポートから一のディスプレイへ直接に送られる。このようなデータは、フレーム・グラッバによって得ることもできる。同様に、電気生理学的マッピングおよび治療データ、およびEndocardial Solutions,Biosense Webster、他などの業者から入手可能なシステムからの画像は、画像としてモニタへ送る、あるいはデータとしてデータ取得ボード、データバス、またはフレーム・グラバへ送ることができる。好ましくは、マスタ制御コンピュータは、電気生理学システムといくつかのインターフェース接続しており、このような装置や、その他の、単一のマスター入力駆動を可能とする。図226を参照すると、ソフトウエアとハードウエアの相互作用が記載されている。本質的に、リアルタイムでシステムを稼動しているマスター制御システムのマスター状態にある機械の機能性は、上記制御システムの説明に関連して述べたような、マスター入力デバイスアルゴリズムと器具操作装置ルゴリズムを走査するのに使用するプロセスの非常に低い潜在的制御が可能である。実際、XPCを、アルゴリズムコードを展開するのに使用することができるが、好ましくは、IBMまたはIlogixによるRhapsodyによるRational Roseなどのユニバーサルモデリング言語を用いて、グラフィックインターフェースを用いてコードとドキュメンテーションを構築する。ギガビットリアルタイムネットワークによって、200−300マイクロ秒の問題に関しては、マスター入力デバイスまたは器具操作装置ルゴリズムが、関連する装置近くの電子機器とハードウエア中のFPGA操作装置コードと通信して、新しい値、その他を交換し、すべてが安全なパースペクティブからすべて良好であることを確認することが可能である。これは、1ミリ秒のモータシャットオフ時間が必要で、全てが良好でない場合、処理に約700マイクロ秒かかることを意味し、これは、記載したアーキテクチュアで容易に達成することができる。可視化PCは、約20ミリ秒といった、低い周波数でマスターコンピュータからのデータを反復するように構成することができる。
【0113】
図228を参照すると、共通の機能部分はコンソールからアクセスすることができる。巻取り、曲げおよび挿入用の鞘状器具制御ボタンを、1回押すと、マスター入力装置に、鞘状器具の一の方向への、あるいはマスター入力デバイスによって方向付けられた別の方向への、巻取り制御(一の実施例では、これは、器具操作装置全体の巻取りを意味する)、一の方向における+/−の曲げ、およびガイド器具に対する鞘状器具の挿入を行わせる。インスティンクティブ制御ボタンは、主ディスプレイがCT画像や、フルオロ画像などの3−D画像を伴うマスター入力デバイスの動きに同期しているかどうかを決定する。自動引き込みボタンは、曲げられた軌跡に沿ってガイド器具をゼロ挿入ポイントまで引っ張る。トラックボールとマウス選択ボタンは、タッチスクリーンインターフェースによってアクセスされないいくつかの機能用に使用することができる。記録機能は、選択されたモニタ上で、予め設定された時間、ビデオのデジタルクリップを記録し、あるいは、選択されたモニタ上のビデオ画像を取得する。カメラ制御によって、オペレータは、ディスプレイ上の機能画像を操作する、あるいは拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A−E】
【図9F】
【図9G−H】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A−D】
【図29E−H】
【図29I−L】
【図29M−N】
【図29O−P】
【図29Q−R】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図30D】
【図30E】
【図30F】
【図30G】
【図30H】
【図30I】
【図30J−K】
【図30L−M】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31D】
【図97】
【図98】
【図99】
【図100】
【図101】
【図102】
【図103】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットカテーテルシステムにおいて:
マスター入力デバイスを具えるコントローラと;
前記コントローラと通信する器具操作装置と;
前記器具操作装置に操作的に連結された細長フレキシブルガイド器具と;
前記ガイド器具によって搬送される液体注射針であって、前記ガイド器具の遠位部分から前進し、あるいはこの遠位部分へ引き込まれる針と;
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記注射針が細長フレキシブル部材の上に担持されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムにおいて、前記液体注射針が、液体源と液通する内部ルーメンを具え、前記内部ルーメンと連通する一またはそれ以上の注入ポートを具えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムが、前記細長部材の遠位端部上に担持された複数の液体注射針を具えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステムが更に、前記ガイド器具の遠位端部から前進し、あるいはこの部分へ引き込まれる螺旋状アンカ部材を具えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項2に記載のシステムが更に、前記液体注射針の横から展開する一またはそれ以上の横方向のアンカ部材を具えることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項2又は3に記載のシステムが更に、前記細長部材の上を前進する細長筒状の鞘を具えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムが更に、前記筒状の鞘の側部から展開することができる一又はそれ以上のアンカ部材を具えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムが更に、前記液体注射針へ選択的に電気的に接続されているRFエネルギィ源を具え、これによって、RFエネルギィを前記針近傍の組織に送出することを特徴とするシステム。
【請求項1】
ロボットカテーテルシステムにおいて:
マスター入力デバイスを具えるコントローラと;
前記コントローラと通信する器具操作装置と;
前記器具操作装置に操作的に連結された細長フレキシブルガイド器具と;
前記ガイド器具によって搬送される液体注射針であって、前記ガイド器具の遠位部分から前進し、あるいはこの遠位部分へ引き込まれる針と;
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記注射針が細長フレキシブル部材の上に担持されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムにおいて、前記液体注射針が、液体源と液通する内部ルーメンを具え、前記内部ルーメンと連通する一またはそれ以上の注入ポートを具えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムが、前記細長部材の遠位端部上に担持された複数の液体注射針を具えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステムが更に、前記ガイド器具の遠位端部から前進し、あるいはこの部分へ引き込まれる螺旋状アンカ部材を具えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項2に記載のシステムが更に、前記液体注射針の横から展開する一またはそれ以上の横方向のアンカ部材を具えることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項2又は3に記載のシステムが更に、前記細長部材の上を前進する細長筒状の鞘を具えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムが更に、前記筒状の鞘の側部から展開することができる一又はそれ以上のアンカ部材を具えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムが更に、前記液体注射針へ選択的に電気的に接続されているRFエネルギィ源を具え、これによって、RFエネルギィを前記針近傍の組織に送出することを特徴とするシステム。
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図104】
【図105】
【図105B】
【図106】
【図107】
【図108】
【図109】
【図110】
【図111】
【図112】
【図113】
【図114】
【図115】
【図116】
【図117】
【図118】
【図119】
【図120】
【図121】
【図122】
【図123】
【図124】
【図125】
【図126】
【図127】
【図128】
【図129】
【図130】
【図131】
【図132】
【図133】
【図134】
【図135】
【図136】
【図158】
【図159】
【図160】
【図225】
【図226】
【図227】
【図228】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図103】
【図104】
【図105】
【図105B】
【図106】
【図107】
【図108】
【図109】
【図110】
【図111】
【図112】
【図113】
【図114】
【図115】
【図116】
【図117】
【図118】
【図119】
【図120】
【図121】
【図122】
【図123】
【図124】
【図125】
【図126】
【図127】
【図128】
【図129】
【図130】
【図131】
【図132】
【図133】
【図134】
【図135】
【図136】
【図158】
【図159】
【図160】
【図225】
【図226】
【図227】
【図228】
【公表番号】特表2008−509754(P2008−509754A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525857(P2007−525857)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/028877
【国際公開番号】WO2006/020943
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
2.WINDOWS
【出願人】(506297337)ハンセン メディカル,インク. (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/028877
【国際公開番号】WO2006/020943
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
2.WINDOWS
【出願人】(506297337)ハンセン メディカル,インク. (5)
【Fターム(参考)】
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