説明

ロータを修正するためのシステム及び方法

【課題】ガスタービン圧縮機の回転ブレードは、保守、検査、及び/又は交換のため回転ブレードを定期的に取り外すことができるようにしてロータに接続される。回転ブレードを複数回取り外し及び再かしめることを可能にするようにロータを修正するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】回転ブレードを複数回取り外し及び再かしめることを可能にするようにロータ18のスロット24を修正する方法は、ロータ18に隣接した固定プラットフォームにカップリングを接続する段階と、カップリングにドリル42を接続する段階と、ドリル42をスロット24に近接して配置する段階と、スロット24にクランプ80を挿入する段階と、クランプ80をスロット24の内側表面と係合する段階と、スロット24内にキャビティを作製するようドリル42を作動させる段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的にロータを修正するためのシステム及び方法に関する。特に、本発明の実施形態は、ロータのスロット内にキャビティを作製するシステム及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
種々の形態の商業用機器は、回転構成要素を含む。例えば、典型的なガスタービンは、前方において軸方向圧縮機と、中間付近に1つ又はそれ以上の燃焼器と、後方においてタービンとを含む。圧縮機は一般に、円周方向に装着されたステータベーンと回転ブレードの交互する段を囲んで密閉するケーシングとを含む。ステータベーンは通常、ケーシングに取り付けられ、回転ブレードは通常、圧縮機内部のロータに取り付けられる。周囲空気が圧縮機に流入すると、ステータベーンの各段は、空気流をその後続の回転ブレードの段に配向し、作動流体(空気)に運動エネルギーを漸次的に与えて高エネルギー状態にする。作動流体は、圧縮機から流出して燃焼に流れ、ここで燃料と混合して点火され、高温高圧の燃焼ガスを発生する。燃焼ガスは燃焼器から流出してタービンに流れ、ここで膨張して仕事を産出する。例えば、燃焼ガスがタービンにおいて膨張することにより、発電機に接続されたシャフトを回転させ、電気を生成することができる。
【0003】
圧縮機の回転ブレードは通常、保守、検査、及び/又は交換のため回転ブレードを定期的に取り外すことができるようにしてロータに接続される。例えば、回転ブレードは、ロータ内の相補的ダブテールスロット内に滑動する根元又はベースを含むことができる。根元とダブテールスロットとの間の相補的表面は、各ブレードが半径方向に移動するのを阻止し、スロットを囲むロータ上の区域は「かしめ」られ、すなわち、根元がスロット内で軸方向に移動しないように塑性変形させることができる。このようにして、各回転ブレードはロータから取り外すことができ、ロータが再びかしめられてブレードを所定位置に保持する前に、同じ又は交換ブレードをダブテールスロット内に再度挿入することができる。
【0004】
ブレードをかしめるのに好適な表面区域は限定されており、従って、ブレードの取り外し及び再かしめは限定された回数だけ許容されることになる。その結果、ブレードを複数回取り外し及び再かしめることを可能にするようにロータを修正するための種々のシステム及び方法が開発されてきた。例えば、本出願と同じ譲受人に譲受された米国特許公開2009/0077795は、ドリルを用いてスロットの底に凹部を作成するシステム及び方法を記載している。インサートを凹部の所定位置に載置してかしめ、ブレードを軸方向で所定位置に保持することができる。再度ブレードをロータから取り外す必要がある場合、新規のインサートを用いてブレードを軸方向で所定位置にかしめることができる。
【0005】
ロータのスロットへの修正は通常、ロータへの適切なアクセスを可能にするために、圧縮機及び関連する機器をかなり分解する必要がある。例えば、回転ブレードを囲むケーシングは、完全に取り外されることが多く、修正を実施する機器及び作業要員を支えるためにロータの周囲に足場が建てられる。加えて、ガスタービン自体は、ロータへの十分なアクセスを提供するために取り外すか又は他の方法で開放しなければならない壁及び/又は屋根を有する建造物の状態とすることができる。この分解及び足場形成は実施するのが高価であり、ロータ修正に必要な時間が長くなり、修正に伴う運転停止期間が延びることになる。従って、圧縮機の分解及び足場形成の量を軽減した、ロータのスロットを修正するための改善されたシステム及び方法が有用なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開2009/0077795明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の態様及び利点は、以下の説明において部分的に記載され、又は、本説明から明らかになることができ、或いは、本発明を実施することによって理解することができる。
【0008】
本発明の1つの実施形態は、ロータ内のスロットを修正するシステムである。本システムは、ドリルと、ドリルに接続され且つスロットの内側表面と係合するよう構成されたクランプと、ロータに隣接した固定プラットフォームからドリルを支持する手段と、を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態は、ロータ内のスロットを修正するシステムである。本システムは、ドリルと、該ドリルに接続された第1の端部及びロータに隣接した固定プラットフォームに接続された第2の端部を有するカップリングと、を含む。
【0010】
本発明はまた、ロータ内のスロットを修正する方法を含む。本方法は、ロータに隣接した固定プラットフォームにカップリングを接続する段階と、カップリングにドリルを接続する段階と、ドリルをスロットに近接して配置する段階と、を含む。本方法は更に、スロットにクランプを挿入する段階と、クランプをスロットの内側表面と係合する段階と、スロット内にキャビティを作製するようドリルを作動させる段階と、を含む。
【0011】
当業者であれば、本明細書を精査するとこのような実施形態の特徴及び態様、並びにその他がより理解されるであろう。
【0012】
添付図の参照を含む本明細書の残りの部分において、当業者にとって最良の形態を含む本発明の完全且つ有効な開示をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】例示的な圧縮機の断面図。
【図2】図1に示す圧縮機における回転ブレードの第1段の拡大斜視図。
【図3】本発明の実施形態により修正された後の図2に示す回転ブレードの第1段の拡大斜視図。
【図4】本発明の1つの実施形態によるロータを修正するためのシステムの軸方向の図。
【図5】本発明の1つの実施形態による、図4に示すドリルの斜視図。
【図6】図5に示すドリルの上面図。
【図7】図5に示すドリルの正面図。
【図8】図5に示すドリルの一部の側面図。
【図9】図1に示す例示的な圧縮機のロータを修正するのに使用される、図5に示すドリルの軸方向の図。
【図10】ロータ上に装着された図5に示すドリルの斜視図。
【図11】ロータを修正する図5に示すドリルの斜視図。
【図12】本発明の1つの実施形態による、図4に示す組立体の斜視図。
【図13】ロータ上に設置され且つロータ上に装着されたドリルを支持する組立体の上面図。
【図14】格納位置にある組立体の上面図。
【図15】格納位置にある組立体の軸方向の図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、その1つ又はそれ以上の実施例が添付図面に例示されている本発明の実施形態について詳細に説明する。詳細な説明では、図面中の特徴部を示すために参照符号及び文字表示を使用している。本発明の同様の又は類似した要素を示すために、図面及び説明において同様の又は類似した表示を使用している。各実施例は、本発明の限定ではなく、例証として提供される。実際に、本発明の範囲又は技術的思想から逸脱することなく、種々の修正形態及び変形形態を本発明において実施できることは、当業者であれば理解されるであろう。例えば、1つの実施形態の一部として例示され又は説明される特徴は、別の実施形態と共に使用して更に別の実施形態を得ることができる。従って、本発明は、そのような修正及び変形を特許請求の範囲及びその均等物の技術的範囲内に属するものとして保護することを意図している。
【0015】
本発明の種々の実施形態は、ロータを修正するための改善されたシステム及び方法を提供する。本システムは一般に、取り外されたブレードによってこれまで占有されていた半径方向スペースのロータ上にドリルを配置又は位置付ける組立体を含み、ケーシング又はロータを囲むあらゆる壁もしくは他の構造体を完全に取り外すことを必要とせずに修正を実施できるようにする。詳細な実施形態において、組立体は、ロータに隣接する固定プラットフォームからドリルを支持する手段、及び/又はドリルに接続された第1の端部と固定プラットフォームに接続された第2の端部とを有するカップリングを含むことができる。代替として、又はこれに加えて、組立体は、1つ又はそれ以上の滑動及び/又は枢動接続を含み、これにより組立体がドリルを複数の平面で操作できるようにし、限られたスペース内で修正を精密且つ繰り返し可能に実施できるようになる。本発明の種々の実施形態は、圧縮機内に含まれるロータに関連して説明するが、本発明の教示は圧縮機ロータに限定されず、他の形態の回転機器におけるロータにも等しく適用できることは、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【0016】
図1は、本発明の種々の実施形態を例証するための例示的な圧縮機10の断面図を示す。圧縮機10は一般に、当該技術分野で知られているように、ステータベーン12と回転ブレード14の交合する段を含む。ステータベーン12の第1の段は、通常、入口ガイドベーンと呼ばれ、圧縮機10を通る空気流の量又は容積を変えるために調整可能にすることができる。ステータベーン12及び回転ブレード14の各段は、一般に、複数の円周方向に配列された翼形部を備え、ステータベーン12が圧縮機10を囲むケーシング16に取り付けられ、回転ブレード14は、圧縮機10の軸方向中心線とほぼ整列されたロータ18に取り付けられている。このようにして、ステータベーン12は、圧縮機10に流入する空気流を回転ブレード14の後続の段に配向し、作動流体(空気)に運動エネルギーを漸次的に与えて高エネルギー状態にする。
【0017】
図2は、圧縮機10における回転ブレード14の第1の段の一部の拡大斜視図を示す。図示のように、回転ブレード14は、ロータ18のリム20から半径方向に延びる。各ブレード14は、一般に、リム20内のスロット24に滑動する根元22を含み、根元22とスロット24との間の相補的表面は、各ブレード14が半径方向に移動するのを阻止する。加えて、ロータ18のリム20は、「かしめ」又は塑性変形されて、図2に示す特徴的なかしめマーク26をもたらし、根元22がスロット24内で軸方向に移動するのを阻止することができる。
【0018】
図3は、本発明の実施形態により修正した後の図2に示す回転ブレード14の第1の段の拡大斜視図を示す。図示のように、リム20の一部が機械加工されてスロット24内にキャビティ28が形成されている。インサート30又はビスケットがキャビティ28内に置かれてかしめられ、根元22をスロット24内で軸方向に拘束する。このようにして、各回転ブレード14は、ロータ18から繰り返し取り外すことができ、新規のインサート30をキャビティ28内に載置し、再設置されると回転ブレード14を所定位置にかしめることができる。
【0019】
図4は、本発明の1つの実施形態によるロータ18を修正するためのシステム40の軸方向の図を示す。システム40は、一般に、取り外されたブレード14によってこれまで占有されていた半径方向スペースのロータ18上にドリルを配置又は位置付ける組立体41を含み、ケーシング16又はロータ18を囲むあらゆる壁もしくは他の構造体を完全に取り外すことを必要とせずに修正を実施できるようにする。
【0020】
図5〜8は、本発明の1つの実施形態による図4に示すドリル42のそれぞれ斜視図、上面図、及び側面図である。図示のように、ドリル42は、垂直軸46に沿ってベース44に滑動可能に接続することができる。ドリル42は、当該技術分野で知られるように、ドリルビット54を保持するよう構成されたドリルチャック52にギアボックス50により接続される、例えば、空気圧式、液圧式、又は電気式のモータ48を備えることができる。モータ48に接続されるケーブル56は、空気圧、液圧、又は電気的動力を供給してモータ48を作動させることができ、コントローラ58は、オペレータが要求に応じてモータ48を遠隔で作動可能にすることができる。1つ又はそれ以上のギアは、ドリル42とベース44との間にギア接続部60を設け、垂直軸46と整列した又は平行なレール62に沿ってドリル42を滑動させるための機械的倍率を提供することができる。ギアの数及び向き、並びにギア接続部60により達成される特定のギア比は、過度な実験をする必要もなく当業者によって容易に決定することができ、請求項に具体的に記載されない限り本発明を限定するものではない。例えば、図5及び6に示すように、ハンドル64をギア接続部60に動作可能に接続され、ハンドル64の回転によって、ギア接続部60がドリル42をレール62に沿って前進又は後退させ、従って、ドリル42をベース44に対して垂直方向で再位置付けするようになる。所望の位置に位置決めされると、モータ48の作動によりドリルビット54が駆動されて、ロータ18内にキャビティ28を機械加工又は穴開けし、また、ハンドル64が更に回転して、キャビティ28内でドリルビット54を前進又は後退させることができる。
【0021】
図3で分かるように、スロット24内のキャビティ28の位置及び深さは、インサート30がロータ18の前表面を過度に越えて延びることなくキャビティ28内に収まることができるように特に選択される。その結果、システム40は更に、ドリル42及び/又はベース44をスロット24に対して精密に位置決めし、垂直軸46に沿ったドリル42の移動を精密に測定し、及び/又は垂直軸46に沿ったドリル42の半径方向の移動を制限する1つ又はそれ以上の構成要素又は装置を含むことができる。例えば、図5、7及び8に最も明確に示されるように、システム40は、スロット24に対してドリル42及び/又はベース44を軸方向に整列させる手段を含むことができる。スロット24に対してドリル42及び/又はベース44を軸方向に整列させる手段は、例えば、ドリル42及び/又はベース44から半径方向に延びる1つ又はそれ以上の突出部又は整列タブ66を備えることができる。このようにして、1つ又はそれ以上の突出部は、ロータ18の前面と接触して、スロット24に対してドリル42及び/又はベース44を軸方向に整列させることができる。スロット24に対してドリル42及び/又はベース44を軸方向に整列させる機能を実施するのに好適な他の構造体は、1つ又はそれ以上の戻り止め、測定ストリップ、直線状縁部、ピン、又はドリル42及び/又はベース44に取り付けられた同様の装置を含むことができる。
【0022】
代替として、又はこれに加えて、システム40は、垂直軸46に沿ったドリル42の移動を測定する手段を含むことができる。垂直軸46に沿ったドリル42の移動を測定する手段は、垂直軸46に沿ったドリル42の半径方向の移動を測定するあらゆるセンサを含むことができる。例えば、図5〜7に示すように、垂直軸46に沿ったドリル42の移動を測定する手段は、ドリル42に接続されたマイクロメータ68を含むことができ、ドリル42が垂直軸46に沿って滑動するとマイクロメータ68がドリル42と共に半径方向に移動するようになる。マイクロメータ68は、基準プレート72と接触するよう構成された格納可能プランジャー70を含むことができ、ドリル42が垂直軸46に沿って移動すると、マイクロメータ68が格納可能プランジャー70の移動を測定することができるようになる。代替の実施形態において、マイクロメータ68又は他のセンサをベース44に、又はドリル42に対して固定された他の構成要素に接続し、垂直軸46に沿った半径方向の移動を測定することができる。
【0023】
更に別の実施形態において、システム40は、垂直軸46に沿ったドリル42の移動を制限する手段を含むことができる。例えば、図5及び7において最も明確に示されるように、ドリル42とベース44との間の機械的停止部74は、ベース44に対するドリル42の垂直方向の移動を物理的に制限する。機械的停止部74は、例えば、ベース44とネジ係合するスタッド76を備えることができ、ベース44に対するスタッド76の高さを調整できるようになる。機械的停止部74は更に、ボルト、ナット、又はリングなど、スタッド76を係合して該スタッド76が意図せずに移動するのを阻止するよう構成されたロック78を含むことができる。垂直軸46に沿ったドリル42の移動を制限する追加の好適な構造体は、例えば、垂直軸46に沿ったドリル42の半径方向の移動を制限する戻り止め、ノッチ、又はギア接続部60及び/又はレール62上に位置する他の機械的装置を含むことができる。
【0024】
図7及び8において最も明確に示されるように、システム40は更に、スロット24の上方又は半径方向外向きにドリル42、ベース44、及び/又は垂直軸46を整列する手段を含むことができる。図7及び8に示す特定の実施形態において、スロット24の上方にドリル42、ベース44、及び/又は垂直軸46を整列する手段は、ドリル42及び/又はベース44に接続され且つスロット24内部に収まるクランプ80を備える。クランプ80の外周82は、スロット24の内側表面にほぼ共形にすることができ、クランプ80がスロット24内に軸方向に滑動したときに、クランプ80の少なくとも一部がスロット24の内側表面と係合し、ドリル42、ベース44、及び/又は垂直軸46をスロット24の上方に保持するようにする。クランプ80は更に、例えば、止めネジ86とネジ係合した1つ又はそれ以上の突出部84を含むことができる。止めネジ86の回転により、1つ又はそれ以上の突出部84をクランプ80の内側で傾斜面88に押し付け、突出部84をクランプ80の外周82を超えて延ばしてクランプ80をスロット24に更に固着させ、従って、ドリル42が作動している間、システム40が意図せずに移動するのを阻止することができる。スロット24の上方にドリル42、ベース44、及び/又は垂直軸46を整列するのに好適な追加の構造体は、例えば、ドリル42又はベース44の少なくとも1つに接続された万力、スパナ、ジャッキ、又は他の等価的機械装置を含むことができ、これらはシステム40をスロット24に固定接続することができる。
【0025】
図9〜11は、図5〜8に示したドリル42を用いた図1に示す例示的な圧縮機10のロータ18の修正を示している。図9に示すように、ケーシング16は、ボルトが外されており、固定ジャック90がケーシング16のセクション間に設置されて、ケーシング16内に約18〜24インチの開口を作製する。この開口は、ケーシング16又は隣接構造体を完全に取り外すことを必要とせずに、開口を通ってドリル42を挿入できる程十分に大きい。第1段における回転ブレード14が取り外され、修正されるスロット24の上方又は近接して位置付けられる。クランプ80は、修正されるスロット24と整列され、ドリル42が軸方向後方に滑動し、整列タブ66がロータ18の前面に当接するまで、クランプ80がスロット24内部で後方に滑動するようになる。整列タブ66がロータ18の前面に当接すると、ドリル42がスロット24と軸方向で整列されてキャビティ28を所望の位置に機械加工し、クランプ80の外側表面82がスロット24の内側表面と係合し、ドリル42を所定位置に保持するようにする。止めネジ86が存在する場合、該止めネジが回転してスロット24内部でクランプ80を更に更に締結する。例えば、図8に関して上記で検討したように、止めネジ86の回転により、突出部84をクランプ80の内側で傾斜面88に押し付けて突出部84をクランプ80の外周を超えて延ばし、クランプ80をスロット24に更に固着させることができる。
【0026】
図10に示すように、ハンドル64を回転させ、ドリルビット54がキャビティ28の所望の位置でスロット24の内部表面に接するまでドリル42を垂直軸46に沿って半径方向内向きに移動させている。インサート30と同じ厚みを有する精密ブロック92は、機械的停止部74の上に載置することができ、該精密ブロック92がドリル42に当接するまでスタッド76を回転させることができる。次いで、精密ブロック92を機械的停止部74から取り外すことができ、スタッド76にロック78を作用させて、ドリル42とスタッド76の上部との間の結果として得られる距離が、スロット24内に機械加工されるキャビティ28の所望の深さと等しくなるようにすることができる。ドリルビット54がスロット24の内側表面と接触すると、マイクロメータ68をゼロに合わせ、垂直軸46に沿ったドリル42の半径方向の移動の正確な測定を可能にすることができる。
【0027】
図11において、ドリル42が作動されており、ハンドル64が回転されてドリル42を垂直軸46に沿って半径方向内向きに前進させている。その結果、ドリルビット54は、スロット24の底部内にキャビティ28を機械加工する。マイクロメータ68は、スロット24におけるドリルビット54の深さの連続的表示を提供し、機械的停止部74は、キャビティ28の所望の深さを上回ることがないようにする。マイクロメータ68により示されるか又は機械的停止部74と接触してキャビティ28の所望の深さに達すると、ハンドル64を反対方向に回転させて、ドリル42を垂直軸46に沿って半径方向外向きに引き戻すことができる。止めネジ86が存在する場合には、該止めネジを回転させてスロット24内でクランプ80を緩めることができる。次いで、クランプ80がスロット24から離れるまでドリル42を軸方向前方に滑動させることができ、表面仕上げ用たがねを機械加工されることになる次のスロット24に近接させて又はその上に配置することができる。
【0028】
図12は、図4に示す組立体41の斜視図を示す。図示のように、組立体41は一般に、ロータ18に隣接する固定プラットフォームからドリル42を支持する手段を備える。固定プラットフォームは、あらゆる運搬可能な又は恒久的に装着されたスタンド、固定具、壁、又はロータ18に隣接する他の固定物体とすることができる。例えば、図4及び13〜15に示すように、圧縮機10を囲むケーシング16は、固定プラットフォームとしての役割を果たすことができる。ドリル42を支持する手段のための構造体は、アーム、レバー、バー、又は固定プラットフォームに取り付けてドリル42の重みを支持するために好適な他の構成を備えることができる。図4及び13〜15に示す特定の実施形態において、ドリル42を支持する手段は、プレート又は装着ブラケットのような、ロータ18に隣接するケーシング16に接続されたカップリング100を備える。カップリング100は、ケーシング16から修正されるスロット24に近接した位置まで延びる単体構造体又は複数の構造体とすることができる。例えば、カップリング100は、ドリル42に接続された第1の端部102と、ケーシング16又は固定プラットフォームに接続された第2の端部とを含むことができる。カップリング100は、ケーシング16又は固定プラットフォームに固定接続することができ、或いは、図12に示すように、1つ又はそれ以上のスクリュー106、ボルト、又は当業者には知られている他の取付装置を用いて、カップリング100をケーシング16又は固定プラットフォームに解除可能に接続することができる。
【0029】
図12〜15に示すように、組立体41は、ドリル42とカップリング100との間に1つ又はそれ以上の枢動接続部108、又はドリル42を支持する手段を含むことができる。例えば、枢動接続部108は、カップリング100とドリル42との間に回転継手1120又は軸受を備え、これによりカップリング100の少なくとも一部がケーシング16に対して回転できるようになる。代替として、又はこれに加えて、組立体41は、ドリル42とカップリング100との間に1つ又はそれ以上の滑動接続部112、又はドリル42を支持する手段を含むことができる。滑動接続部112は、例えば、プレート116に接続された複数のローラ114を備え、これによりアーム118がロータ18に向かって又はロータ18から離れて交互に滑動できるようになる。このようにして、枢動接続部108及び/又は滑動接続112は、ドリル42とカップリング100との間の連接接続又はドリル42を支持する手段を提供することができる。詳細な実施形態において、組立体41は更に、カップリング100の少なくとも一部をロータ18から離れて付勢する付勢部材120を含むことができる。例えば、図13及び14において最も明確に示されるように、付勢部材120は、カップリング100及び/又は枢動接続部108に接続されたバネを備え、カップリング100の少なくとも一部をロータ18から離れて付勢することができる。代替として、又はこれに加えて、付勢部材120は、滑動接続部112に接続されたバネを備え、滑動接続部112の少なくとも一部をロータ18から離れて付勢することができる。このようにして、カップリング100、枢動接続部108、及び/又は滑動接続部112は、ケーシング16内部でロータ18に延びることができ、非使用時には、付勢部材120は、カップリング100、枢動接続部108、及び/又は滑動接続部112の少なくとも一部をロータ18から離れて且つ作業スペースの外に移動させることができる。
【0030】
図12〜15に示すように、組立体41は更に、ドリル42に解除可能に接続する手段を含むことができる。ドリル42に解除可能に接続する手段は、ある物を別の物に解除可能に接続するのに好適な当業者には知られたあらゆる構造体とすることができる。例えば、ドリル42に解除可能に接続する手段は、万力グリップ、ネジ接続部、弾性ひも、バネ、又は磁気カップリングを含むことができる。図12〜15に示す特定の実施形態に示すように、ドリル42に解除可能に接続する手段は、ドリル42を交互に把持又は解除するために開閉することができる格納可能顎部122を備えることができる。特定の実施形態において、ドリル42に解除可能に接続する手段は更に、ドリル42を把持又は解除するのを助けるため顎部122を開閉状態に付勢する付勢部材124を含むことができる。図12において最も明確に示されるように、例えば、付勢部材124は、顎部122を開放又は閉鎖状態に付勢するため顎部122を接続するバネを備えることができる。
【0031】
図13〜15は、システム40を用いてロータ18内のスロット24を修正するときの延長位置と格納位置にある図12に示す組立体41の種々の軸方向の図と上面図とを示す。具体的には、図13は、ケーシング16に接続されたカップリング100と、ケーシング16内の開口を通って修正されるスロット24に延びる滑動接続部112のアーム118とを示している。ドリル42が適切に位置決めされると、ドリル42に接続されたクランプ80は、スロット24内に挿入されて、クランプ80がスロット24の内側表面と係合するようにすることができる。格納可能顎部122は、図14及び/又は15に示すように、組立体41をロータ18から離れて格納できるようにドリル42を解除することができ、ドリル42は、図9〜12に関して上記で説明したように、スロット24内にキャビティ28を作製するよう動作することができる。スロット24に対する修正が完了すると、組立体41は、再度ドリル42に向かって延びることができ、顎部122は、再度ドリル42に接続することができる。クランプ80は、完了したスロット24から取り外すことができ、ロータ18が次の位置に位置決めされたときに組立体41は部分的に又は完全に後退することができ、プロセスは修正を必要とする各スロット24について繰り返される。
【0032】
図4〜15に関して説明され例証されたシステム40は、ロータを修正するのに使用される既存の技術よりも優れた1つ又はそれ以上の利点を提供する。例えば、本発明の範囲内で企図されるシステム40は、既存の技術のものよりも遙かに小型で軽量である。具体的には、ドリル42及びクランプ80は、同じスロット24と共に配置され又は整列されるよう設計され、システム40が単一の回転ブレード14の取り外しによって生じる幅内に収まることができるようにする。加えて、ドリル42を配置又は位置付けるための組立体41は、ドリル42をロータ18の周囲の厳しい範囲内で容易に操作できるようにする。その結果、システム40は、ケーシング16及び/又は隣接構造体の完全な取り外し、足場の設置、又はスロット24間でドリル42を移動させるための外部クレーンの使用が必要ではなく、これらの全ては、修正のためのロータ18の準備、及び修正完了時の供用するためのロータ18の回復を実質的に節減する結果となる。
【0033】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること及びあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0034】
10 圧縮機
12 ステータベーン
14 回転ブレード
16 ケーシング
18 ロータ
20 ロータリム
22 根元
24 スロット
26 かしめマーク
28 キャビティ
30 インサート
40 システム
41 組立体
42 ドリル
44 ベース
46 垂直軸
48 モータ
50 ギアボックス
52 チャック
54 ビット
56 ケーブル
58 コントローラ
60 ギア接続部
62 レール
64 ハンドル
66 整列タブ
68 マイクロメータ
70 プランジャー
72 基準プレート
74 機械的停止部
76 スタッド
78 ロック
80 クランプ
82 クランプの外周
84 突出部
86 止めネジ
88 傾斜面
90 ジャック
92 精密ブロック
100 カップリング
102 第1の端部
104 第2の端部
106 スクリュー
108 枢動接続部
110 回転継手
112 滑動接続部
114 ローラ
116 プレート
118 アーム
120 付勢部材
122 顎部
124 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(18)内のスロット(24)を修正するシステム(40)であって、
ドリル(42)と、
前記ドリル(42)に接続され且つ前記スロット(24)の内側表面と係合するよう構成されたクランプ(80)と、
前記ロータ(18)に隣接した固定プラットフォームから前記ドリル(42)を支持する手段と、
を備える、システム(40)。
【請求項2】
前記ドリル(42)を支持する手段が、前記ロータ(18)に隣接した固定プラットフォームに解除可能に接続されるカップリング(100)を含む、請求項1に記載のシステム(40)。
【請求項3】
前記ドリル(42)と前記ドリル(42)を支持する手段との間に滑動接続部(112)を更に備える、請求項1〜2の何れかに記載のシステム(40)。
【請求項4】
前記ドリル(42)と前記ドリル(42)を支持する手段との間に枢動接続部(108)を更に備える、請求項1〜3の何れかに記載のシステム(40)。
【請求項5】
前記ドリル(42)に解除可能に接続する手段を更に備える、請求項1〜4の何れかに記載のシステム(40)。
【請求項6】
前記ドリル(42)に解除可能に接続する手段が、万力グリップ、ネジ接続部、弾性ひも、バネ、又は磁気カップリングのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のシステム(40)。
【請求項7】
前記ドリル(42)に解除可能に接続する手段に接続された付勢部材(120〜124)を更に備える、請求項5〜6の何れかに記載のシステム(40)。
【請求項8】
ロータ(18)内のスロット(24)を修正する方法であって、
前記ロータ(18)に隣接した固定プラットフォームにカップリング(100)を接続する段階と、
前記カップリング(100)にドリル(42)を接続する段階と、
前記ドリル(42)を前記スロット(24)に近接して配置する段階と、
前記スロット(24)にクランプ(80)を挿入する段階と、
前記クランプ(80)を前記スロット(24)の内側表面と係合する段階と、
前記スロット(24)内にキャビティを作製するよう前記ドリル(42)を作動させる段階と、
を含む、方法。
【請求項9】
前記ロータ(18)を少なくとも部分的に囲むケーシング(16)に前記カップリング(100)を解除可能に接続する段階を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カップリング(100)の少なくとも一部を前記ロータ(18)から離れるように付勢する段階を更に含む、請求項8〜9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記ドリル(42)を前記ロータ(18)に向けて滑動させる段階を更に含む、請求項8〜10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記ドリル(42)を前記ロータ(18)から離れて枢動させる段階を更に含む、請求項8〜11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
前記ドリル(42)を前記カップリング(100)に解除可能にクランプする段階を更に含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−50105(P2013−50105A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−186083(P2012−186083)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】