説明

ロータリバルブおよび圧力スイング式ガス分離装置

【課題】
円筒面を気密な摺動面として、摺動面からの漏れを抑えつつ構造が簡素な、圧力スイング式ガス分離装置用のロータリバルブを提供する。
【解決手段】
円筒内周面を有する弁室が形成された弁箱と、弁室の内面と密着摺動しつつ1軸を中心に回転自在に配設された円柱形状の弁体とからなり、弁室には、給気ポート、排気ポート、第1の抽気ポート、第2の抽気ポートが開口し、弁体の円柱外面に形成された凹部で弁体と弁室内壁との間に、空隙となる第1および第2の凹陥部とを備え、第1の凹陥部と第2の凹陥部は、弁箱の円筒内周面と弁体の円柱外周面との摺動合わせ面で気密に分離されており、第1の抽気ポートに対する給気ポートと排気ポートとの開閉のタイミングと、第2の抽気ポートに対する給気ポートと排気ポートとの開閉のタイミングが、弁体回転の180度の位相差で一致したことを特徴とする圧力スイング式ガス分離装置用のロータリバルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力スイング式ガス分離装置用の回転式バルブおよび圧力スイング式ガス分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固有のガス分子を選択的に吸着することができるゼオライトなどの吸着剤を充填した複数の吸着塔に対して、周期的に原料ガスを給気し、残ガスを排出することで圧力変動を生じせしめ、不要なガス成分を吸着し、有用なガス成分を優先的に流出する圧力スイング式ガス分離装置においては、各吸着塔への原料ガスの給気や排気のための流路開閉、切替え機構として、通常、電気的制御を伴う複数の電磁バルブなどが利用されている。
【0003】
また、複雑な電気的制御を必要とせず、平坦部を摺動面として平坦部に各ポートを形成し、所定のタイミングで各吸着塔への原料ガスの給気と不要なガスの排気を繰り返すことを実現した回転式バルブ装置がある。(例えば、特許文献1、特許文献2)
【0004】
また、円柱型または円筒型の回転弁体表面の主に円周面に複数の溝または切欠きを形成し、弁箱の内面に複数のポートを形成し、所定のタイミングでバルブの開閉や切替えを実現した回転式バルブ装置がある。(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)

【特許文献1】特開2005−83516号公報
【特許文献2】特開2003−28322号公報
【特許文献3】特開昭62−251582号公報
【特許文献4】特開昭59−166769号公報
【特許文献5】実開昭58−60066号公報
【特許文献6】実開昭48−51196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気的制御を伴う複数の電磁バルブを使用したガス分離装置においては、ガス流量や濃度を監視しながらきめ細かな制御ができ選択ガスの濃度や流量は十分であるが、電磁バルブ作動騒音の問題、バルブ制御系の構成が複雑、高い装置製造コスト、大きな装置サイズ、難メンテナンス性などの点で欠点がある。
【0006】
特許文献1によるバルブ装置は、平坦な摺動面にかかる面圧を一定に保ち、ガスの漏れを抑制する構造を特徴としているが、互いに向き合う摺動面どうしを押さえバネなどで押圧する必要があり、構造が複雑である。バネ押圧による摺動面の磨耗も問題となる。
【0007】
特許文献1によるバルブ装置は、ポート形状の半径方向の形状は直線とし、ポート開閉遷移工程での開度に対する開口度を大きくし流路の有効面積の確保に努めているが、その角部は製作加工の都合上フィレットRが形成されており、バルブ摺動面の半径方向寸法の拡大を招いている。
【0008】
特許文献2によるバルブ装置は、固定シートの平坦部に対して扇形回転弁体の平坦部をバネにより押し付け、流体の漏洩を防ぐ方法であり、回転中心となる扇形回転弁体の頂角部分にある回転中心部分をバネで押さえる構造となっているため、固定シートと扇形回転弁体との面圧に不均衡が生じる。これにより流体の漏れなどの不具合が生じ易い。流体の漏れを防ぐために固定シートや扇型回転弁体の平坦摺動面の面粗さ向上させると今度は固定シートと扇型回転弁体が固着してしまう不具合が生じる。
【0009】
また、漏れ防止のためのバネ押圧による接触摺動面の耐磨耗性の問題から、固定シートと扇形回転弁体に高価なセラミック材を使用しなければならず、コスト高である。さらに構成部品も多く、機構が複雑なためコスト高やメンテナンス性に問題がある。
【0010】
特許文献2によるバルブ装置は、排気ポートに連通する扇形回転弁体の凹陥部の端部形状は円弧形状になっており、排気開始工程において急激に残ガス成分を排気させるには不都合である。排気開始工程において急激に残ガス成分を排出させるには、コストをかけてセラミック材料の平坦部に半径方向に直線形状となる角溝形状を形成するか、扇形回転弁体の半径寸法を拡大し凹陥部の溝幅を大きくすることになる。扇形回転弁体の半径寸法を拡大した場合、摺動面の面圧が更に不均衡となり、ガスの漏れを防止するためにスプリングの強度を上げ、部品の耐摩耗性を向上させるなど、さらに高コストとなり不具合も生じ易くなる。
【0011】
特許文献1および2によるバルブ装置は、圧力スイング式ガス分離装置に使用するコンプレッサーや吸着塔などを仕様変更することに伴い、バルブ内の流体の圧力が変更される場合、漏れ防止のためのバネ強度などを変更する必要があり、バルブの汎用性が低く、設計変更や試作・試験などのコスト増や開発期間延長が生じる。
【0012】
例えば、特許文献3、特許文献5の発明は、それぞれ発明の使途に適用するように形状、構成を定めており、本願発明とは異なる発明であり、圧力スイング式ガス分離装置に適用することは不可能である。
【0013】
例えば、特許文献4、特許文献6の発明は、溝やポートの配置、開閉タイミングなどを請求範囲で明確にしておらず図例・実施例を読み解いても、圧力スイング式ガス分離装置に適用して所定の性能を発揮させるために溝やポートの配置、開閉タイミングなどを想到することは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
円柱外周面、円柱外端面、有端溝円弧頂角度、有端溝分離円弧頂角度、有端溝端部形状の箇所など主として弁体に関連する形状指定などの説明を図3に示す。円筒内周面、円筒内端面、ポート円弧頂角度など主として弁箱に関連する形状指定などの説明を図4に示す。
【0015】
課題を解決するために、本発明は、下記する1)から7)に記載の各構成を有するロータリバルブおよび、下記する8)に記載の圧力スイング式ガス分離装置を提供する。
【0016】
1)二成分以上のガスを含む混合ガスのうち少なくとも一つのガス成分(以下「選択ガス成分」という。)よりも残りのガス成分(以下「残ガス成分」という。)を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した2つの吸着塔(以下「第1の吸着塔」「第2の吸着塔」という。)を備えた圧力スイング式ガス分離装置において、各吸着塔に混合ガスを加圧供給または各吸着塔から残ガス成分を排気する為の流路の切り替えに用いられるロータリバルブであって、円筒内周面を有する弁室が形成された弁箱と、弁室の内面と密着摺動しつつ1軸を中心に回転自在に配設された円柱形状の弁体とからなり、弁箱には、一端が弁室内面に給気ポートとして開口し、混合ガスが給気される給気流路に接続される給気接続口と、一端が弁室内面に排気ポートとして開口し、残ガス成分を排出する排気流路に接続される排気接続口と、一端が弁室の円筒内周面に第1の抽気ポートとして開口し、第1の吸着塔に連通する第1の抽気流路が接続される第1の抽気接続口と、一端が弁室の円筒内周面に第2の抽気ポートとして開口し、第2の吸着塔に連通する第2の抽気流路が接続される第2の抽気接続口とを備え、弁体の円柱外面または、弁体の円柱外面および弁室に形成された凹部で弁体と弁室内壁との間に、空隙となる第1および第2の凹陥部とを備え、第1の凹陥部と第2の凹陥部は、弁箱内においては、弁体の回転角度にかかわらず、弁箱の円筒内周面と弁体の円柱外周面との摺動合わせ面で気密に分離されており、弁体の回転角が第1の角度範囲の位置にあるときは、第1の凹陥部により給気ポートと第1の抽気ポートとが連通され、弁体の回転角が第2の角度範囲の位置にあるときは、第1の凹陥部により給気ポートと第2の抽気ポートとが連通され、弁体の回転角が第3の角度範囲の位置にあるときは、第2の凹陥部により排気ポートと第1の抽気ポートとが連通され、弁体の回転角が第4の角度範囲の位置にあるときは、第2の凹陥部により排気ポートと第2の抽気ポートとが連通され、第1の角度範囲と第3の角度範囲は重複せず、第2の角度範囲と第4の角度範囲は重複せず、第1の角度範囲と第2の角度範囲の大きさは等しく、第1の角度範囲と第2の角度範囲の位置の位相差は、弁体回転の180度の位相差とし、第3の角度範囲と第4の角度範囲の大きさは等しく、第3の角度範囲と第4の角度範囲の位置の位相差は、弁体回転の180度の位相差としたことを第1の特徴とするロータリバルブ。
【0017】
2)第1の角度範囲の大きさを200度以上230度以下としたことを第2の特徴とする上記1)に記載のロータリバルブ。
【0018】
3)二成分以上のガスを含む混合ガスのうち少なくとも一つの選択ガス成分よりも残ガス成分を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した第1の吸着塔および第2の吸着塔を備えた圧力スイング式ガス分離装置において、各吸着塔に混合ガスを加圧供給または各吸着塔から残ガス成分を排気する為の流路の切り替えに用いられるロータリバルブであって、円筒内周面を有する弁室が形成された弁箱と、弁室の内面と密着摺動しつつ1軸を中心に回転自在に配設された円柱形状の弁体とからなり、弁箱には、一端が弁室内面に給気ポートとして開口し、混合ガスが供給される給気流路に接続される給気接続口と、一端が弁室内面に排気ポートとして開口し、残ガス成分を排出する排気流路に接続される排気接続口と、一端が弁室の円筒内周面に第1の抽気ポートとして開口し、第1の吸着塔に連通する第1の抽気流路が接続される第1の抽気接続口と、一端が弁室の円筒内周面に第2の抽気ポートとして開口し、第2の吸着塔に連通する第2の抽気流路が接続される第2の抽気接続口とを備え、給気ポートと排気ポートは、弁体の回転軸を法線とする同一の平面上になく、第1の抽気ポートと第2の抽気ポートは、弁体の回転軸方向において給気ポートと排気ポートの間に位置し、第1の抽気ポートと第2の抽気ポートは、弁体の回転軸を法線とする同一平面上にあって弁体回転方向に関して180度の角度で対向配置し、給気ポート、排気ポート、第1の抽気ポート、第2の抽気ポートは独立配置しており、弁体の円柱外周面には、給気ポートに対向する円周上位置に無端円周溝形状の第1の円周溝と、排気ポートに対向する円周上位置に無端円周溝形状の第2の円周溝と、第1の抽気ポートと第2の抽気ポートの回転通過する円周上の対峙位置に円周方向に直列に形成した第1の有端溝と第2の有端溝と、第1の円周溝と第1の有端溝とを導通する第1の切欠きと、第2の円周溝と第2の有端溝とを導通する第2の切欠きとを備え、第1の円周溝、第1の切欠き、第1の有端溝で第1の凹陥部を構成し、第2の円周溝、第2の切欠き、第2の有端溝で第2の凹陥部を構成し、第1の有端溝と第2の有端溝を分離する弁体の円柱外周面のうち、第1または第2の抽気ポートが回転通過する円周面と重なる部分の面形状を、弁体の回転軸を法線とする平面上へ投影した時に生じる円弧を含んだ扇形の頂点の角度を「有端溝分離円弧頂角度」とし、第1または第2の抽気ポートの弁室円筒内周面上の開口部面形状のうち、第1または第2の有端溝が回転通過する円周面と重なる部分の面形状を、弁体の回転軸を法線とする平面上へ投影した時に生じる円弧を含んだ扇形の頂点の角度を「ポート円弧頂角度」とし、2つの有端溝分離円弧頂角度は等しくし、第1と第2の抽気ポートのポート円弧頂角度は等しくし、有端溝分離円弧頂角度は、第1または第2の抽気ポートのポート円弧長角度と同等以上としたことを第3の特徴とするロータリバルブ。
【0019】
4)第1または第2の有端溝の弁体円柱外周面上の開口部面形状のうち、第1または第2の抽気ポートが回転通過する円周面と重なる部分の面形状を、弁体の回転軸を法線とする平面上へ投影した時に生じる円弧を含んだ扇形の頂点の角度を「有端溝円弧頂角度」とし、第1の有端溝の有端溝円弧頂角度と、第1または第2の抽気ポートのポート円弧頂角度との和は、200度以上230度以下としたことを第4の特徴とする上記3)に記載のロータリバルブ。
【0020】
5)弁体に形成された第1または第2の有端溝を構成する立ち上がり面と弁体の円柱外周面との交線形状のうち、第1または第2の抽気ポートと第1または第2の有端溝との流路の有効面の面積が変化する開閉工程において、流路の有効面を構成する境界の線形状を「有端溝端部形状」とし、第1および/または第2の有端溝の有端溝端部形状が、弁体の回転軸と平行な直線としたことを第5の特徴とする上記3)または4)に記載のロータリバルブ。
【0021】
6)弁室に円筒内端面を有する弁箱にあっては、弁箱の円筒内端面と弁体の円柱外端面の間に第1の空間および/または第2の空間を形成し、第1の空間と第1の有端溝とを導通する第1の切欠きを形成し、さらに/または、第2の空間と第2の有端溝とを導通する第2の切欠きを形成し、第1の凹陥部が第1の空間と第1の切欠きと第1の有端溝で構成され、さらに/または、第2の凹陥部が第2の空間と第2の切欠きと第2の有端溝で構成され、給気ポートと排気ポートは弁体の回転角度に係わらずそれぞれ第1と第2の空間と常時連通する位置に形成したことを第6の特徴とする上記3)から5)のいずれかに記載のロータリバルブ。
【0022】
7)第1の切欠きの円周方向の長さが第1の有端溝の円周方向の長さと同程度に形成され、第1の切欠きが第1の有端溝を内包する形態となり、第1の切欠きと第1の円周溝で第1の凹陥部が構成され、さらに/または、第2の切欠きの円周方向の長さが第2の有端溝の円周方向の長さと同程度に形成され、第2の切欠きが第2の有端溝を内包する形態となり、第2の切欠きと第2の円周溝で第2の凹陥部が構成されたことを第7の特徴とする上記3)から6)のいずれかに記載のロータリバルブ。
【0023】
8)圧力スイング式ガス分離装置であって、2つの吸着塔を持ち、第1の吸着塔の一端には混合ガス給気と残ガス排気のための第1の抽気流路を持ち、第2の吸着塔の一端には混合ガス給気と残ガス排気のための第2の抽気流路を持ち、第1の抽気流路は第1の抽気接続口と接続され、第2の抽気流路は第2の抽気接続口と接続され、2つの吸着塔の他端には選択ガスを取り出すための流路を持つ、上記1)から7)のいずれかに記載のロータリバルブを搭載したことを特徴とする圧力スイング式ガス分離装置。
【0024】
第1または第3の特徴による作用は、第1の凹陥部により給気ポートと第1の抽気ポートが連通された弁体の回転角度範囲にあるときは、第1の吸着塔へ混合ガスが加圧供給される。続いて第2の凹陥部により排気ポートと第1の抽気ポートが連通された弁体の回転角度範囲にあるときは、第1の吸着塔から残ガス成分が吸着塔内の残圧により排気される。
【0025】
第1または第3の特徴による作用は、第1の凹陥部により給気ポートと第2の抽気ポートが連通された弁体の回転角度範囲にあるときは、第2の吸着塔へ混合ガスが加圧供給される。続いて第2の凹陥部により排気ポートと第2の抽気ポートが連通された弁体の回転角度範囲にあるときは、第2の吸着塔から残ガス成分が吸着塔内の残圧により排気される。
【0026】
第1または第3の特徴による作用は、第1の吸着塔への混合ガス供給のタイミングおよび残ガス排気のタイミングが、第2の吸着塔へ混合ガス供給のタイミングおよび残ガス排気のタイミングと、弁体の回転位相差180度で一致していることである。
【0027】
第1または第3の特徴による作用は、弁体は弁室に収容され、弁室の内壁面を密着摺動するため、給気口から混合ガスが加圧給気されても、その圧力により弁室内壁と弁体との間に空隙が生じることはなく、常に摺動面の気密性は保たれることである。
【0028】
第1または第3の特徴による作用は、それぞれの吸着塔への給排気作用を等しくすることと、第1の凹陥部と第2の凹陥部どうしが、抽気ポートなどの開口部分から短絡的に連通せず、給気ポートからの混合ガスが直接排気ポートへ流れ込むことを防止することである。
【0029】
第2または第4の特徴による作用は、第1の凹陥部により第1または第2の抽気ポートと給気ポートが連通される角度範囲が特定され、吸着塔に加圧給気される混合ガスの給気量が特定され、吸着塔内の内部圧力は吸着剤の最良の特性が発揮できる圧力に達し、吸着剤と残ガスの吸着反応時間を確保することであり、また、第1の凹幹部により給気ポートと第1の抽気ポートが連通する工程と、給気ポートと第2の抽気ポートが連通する工程が重なる工程が特定され、2つの抽気接続口に接続されたそれぞれの吸着塔に同時に給気ポートが連通することで2つの吸着塔に同時に混合ガスが加圧供給され、2つの吸着塔の内部圧力を均圧にする工程(以下「均圧工程」という。)が適切に行われることである。
【0030】
図12に第1および第2の抽気ポートに対する給気ポートと排気ポートの開閉タイミングを示す。第1の抽気ポートが給気ポートと連通している角度範囲を第1の角度範囲とし、第2の抽気ポートが給気ポートと連通している角度範囲を第2の角度範囲とし、第1の抽気ポートが排気ポートと連通している角度範囲を第3の角度範囲とし、第2の抽気ポートが排気ポートと連通している角度範囲を第4の角度範囲とし、第1の抽気ポートと第2の抽気ポートが同時に給気ポートと連通している角度範囲を均圧区間としている。給気ポートおよび排気ポートの開度が変化する工程は、ポートの形状により実際は直線にならない場合があるが、本図では簡易的に直線で示している。
【0031】
図14に示すとおり、第1の角度範囲の大きさ(=第2の角度範囲の大きさ)を変化させたときの選択ガス成分の濃度は、第2の特徴では第1の角度範囲の大きさの値、第4の特徴では第1の有端溝の有端溝円弧頂角度と第1の抽気ポートのポート円弧頂角度(=第2の抽気ポートのポート円弧頂角度)の和の値が、200度以上230度以下の範囲で高い値となる。より好ましくは210度付近で89%を超える高い濃度を達成する。
【0032】
第5の特徴による作用は、第1または第2の抽気ポートと第1または第2の有端溝との流路の有効面積が変化する開閉工程における、第1または第2の抽気ポートと第1または第2の有端溝との流路の有効面積の増加率または減少率の勾配を大きし、給排気の開始終了時の給気流量、排気流量を増大させることである。(参考:図9、10、11、13)
【0033】
第6の特徴による作用は、第1または第2の円周溝の代替となる空間を弁体の円柱最端部に形成することで、本発明のロータリバルブの弁体回転軸方向の小型化が図られ、給気ポートまたは排気ポートの開口形成場所の自由度が増すことである。
【0034】
第7の特徴による作用は、第1または第2の切欠きの円周方向の長さがそれぞれ第1または第2の有端溝の円周方向の長さまで拡大形成されており、流路抵抗の低減と、弁体製作時の加工の簡略化が図られることである。本特徴によると、有端溝と切欠きを形状的に区別できない場合が生じ、有端溝の記載を切欠きに、有端溝分離円弧頂角度の記載を切欠き分離円弧頂角度に、有端溝円弧頂角度の記載を切欠き円弧頂角度に、有端溝端部形状の記載を切欠き端部形状に置き換えることで整合させる。
【0035】
本発明には、上記ロータリバルブを直列に組み合わせたことを特徴とするものも含まれ、さらには、直列の間に形成され隣り合う第1の円周溝または第2の円周溝どうしを共有することを特徴とするものも含まれる。
【0036】
通常の運転中の使用法では、弁体を一定速度で回転させるモーターを使用することがコストの面で好ましい。
【0037】
第1または第2の切欠きの大きさは、なるべく大きいほうが、流路抵抗が軽減できて良いが、回転摺動面の配置のバランスなどを考慮し大きい切欠きを形成しない場合は、第1または第2の抽気ポートと第1または第2の凹陥部との開き始めの工程に多くの流量確保がバルブの性能として強く期待されることから、流路抵抗や回転摺動面の配置のバランスなどを考慮して、第1または第2の有端溝と第1または第2の抽気ポートとが開き初めとなる端部に第1または第2の切欠きを形成したり、さらに複数個の切欠きを形成しても良い。
【0038】
給気ポートと排気ポートの形成場所は、それぞれ第1の円周溝と第2の円周溝に対して常時連通する位置であれば、特定しない。
【0039】
第1および第2の凹陥部を十分に大きく形成し、流路抵抗をできるだけ小さくすることが好ましい。凹幹部を十分に大きく形成しない場合は、第1の抽気ポートに対する給気ポートまたは排気ポートとの間の流路抵抗と、第2の抽気ポートに対する給気ポートまたは排気ポートとの間の流路抵抗が等しくならず、第1と第2の吸着塔内のガス濃度分布のバランスにわずかな差異が生じることもあり得る。この場合、給気ポートに対して弁体の回転角度方向に180度対向した位置に2つ目の給気ポート、または、排気ポートに対して弁体の回転角度方向に180度対向した位置に2つ目の排気ポートを形成しても良い。
【発明の効果】
【0040】
第1または第3の特徴による効果は、電磁バルブなどのアクチュエータを使用した場合に比べて、電磁バルブなどの作動音が発生せず大幅な低騒音化が図られ、多数の電磁バルブやその制御装置が不要で、圧力スイング式ガス分離装置は小型化、軽量化し、駆動部品が減少することで故障率は下がり、機構が簡便なためメンテナンスは容易となることである。
【0041】
第1または第3の特徴による効果は、特許文献1または特許文献2などに示される発明と比較して、本発明では給気口から混合ガスが加圧給気されても弁室内壁と弁体との間の摺動面の気密は保たれるため、圧力スイング式ガス分離装置の分離性能を維持することが容易になる。
また、流体ガスの漏れ、摺動部品の固着などの不具合発生は低減し、摺動面を押圧する機構が不要でバルブを構成する基本的部品点数は約1/3に減少し、バルブの摺動部の材料として安価な一般鋼材などの選定が可能となり、メンテナンスにかかるコストや材料コストや加工コストなどの総コストの低減、小型化が図られることである。
また、圧力スイング式ガス分離装置の仕様の変更などによりバルブ内の圧力や流量を変化させたとしても、摺動面を押圧するバネの強度を変更する必要が無く、摺動面の気密が保たれる。
【0042】
第1または第3の特徴による効果は、第1および第2の吸着塔に対する混合ガスの給気と残ガスの排気が同等にバランスされ、選択ガスの濃度を高いレベルで安定化させることである。また、コンプレッサーや送風機などのガス供給機からの混合ガスを無駄なく使用でき、選択ガス成分の高濃度化と流量の増大が図られ、また、ガス供給機の仕様の最適化が図られることである。
【0043】
第2または第4の特徴による効果は、最適な吸着塔内の圧力、吸着に必要な時間、適切な均圧工程の時間が確保されることで、吸着塔内の理想的な選択ガスと残ガス成分の濃度分布が実現でき、選択ガス成分と残ガス成分の分離が促進され、選択ガス成分の高濃度化と流量の増大が図られることである。
【0044】
第5の特徴による効果は、第1または第2の抽気ポートと第1の有端溝との開度に対する流路の有効面積の立上がり立下り勾配を大きくできることで、抽気接続口に接続される吸着塔に対して、より多くの混合ガスを供給することができ、吸着に最適な吸着塔内圧力まで短時間であげることができ、吸着に必要な時間を十分に確保することができ、第1または第2の抽気ポートと第2の有端溝との開度に対する流路の有効面積の立上がり立下り勾配を大きくできることで、排気に必要な時間を十分に確保し、吸着塔内圧力を急激に低下させることにより、吸着剤から残ガス成分が効果的に放出されことにより、選択ガス成分の高濃度化と流量の増大が図られることである。
【0045】
特に、ゼオライトなどの吸着剤の吸着、脱着特性により、混合ガス供給開始時にはなるべく早く供給し急速に吸着塔内部圧力を上昇させ、さらに残ガス排気開始時になるべく早く排気し急激に吸着塔内部圧力を降下させることが選択ガスの高濃度化、大流量化に大きく影響を与えるものであり、第5の特徴の効果は、圧力スイング式ガス分離装置に適用するロータリバルブとして重要である。
【0046】
弁体の円柱外周面で第1の有端溝と第2の有端溝を気密に分離する本発明によれば、弁体加工時にフラットエンドミル工具を使用することで、コスト増を伴わずにかつバルブ寸法の拡大を伴わずに第5の特徴を実現できる。
【0047】
第6の特徴による効果は、ロータリバルブの弁体回転軸方向の小型化が図られ、給気ポートまたは排気ポートの開口場所の自由度が増すため、圧力スイング式ガス分離装置にロータリバルブを組み込む場合の、バルブ本体の配置自由度、配管自由度が向上することである。
【0048】
第7の特徴による効果は、切欠きによる流路抵抗を軽減することで、吸着塔への給気効率、吸着塔からの排気効率を向上させるとともに、給気騒音・排気騒音の低減と弁体の軽量化に役立つ。また、切欠きおよび有端溝の加工時の工具交換工程を低減し、工具の加工移動経路も簡略化でき、加工コストの低減に役立つ。
【0049】
本発明のロータリバルブ搭載した圧力スイング式ガス分離装置は、機構が簡便でガスの漏れなどの不具合は容易に生ぜず、選択ガスの十分な濃度、流量が確保され、小型化、軽量化が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明の実施の形態を図1、2に基づいて説明する。また、ロータリバルブを組み込んだ圧力スイング式ガス分離装置の構成図を図5に示す。
【0051】
本形態におけるロータリバルブの構成部品は、円筒内周面を有する弁箱100と円筒内周面に沿って回転可能に配置された円柱形状の弁体101である。
【0052】
弁体の円柱外周面には、無端溝形状である円周溝として第1の円周溝200と第2の円周溝204を形成し、第1の円周溝と第2の円周溝に挟まれる位置の同一円周上に円周方向に第1の有端溝202と第2の有端溝206を直列に形成し、第1の円周溝200と第1の有端溝202は、弁体の円柱外周面に形成された第1の切欠き201で導通し、第1の円周溝200と第1の有端溝202と第1の切欠き201で第1の凹陥部203を形成し、第2の円周溝204と第2の有端溝206は、弁体の円柱外周面に形成された第2切欠き205で導通し、第2の円周溝204と第2の有端溝206と第2の切欠き205で第2の凹陥部207を形成している。
【0053】
弁箱の円筒内周面には、第1の凹陥部203と常時連通するために、第1の円周溝200に対応した位置に給気ポート102を形成し、第2の凹陥部207と常時連通するために、第2の円周溝204に対応した位置に排気ポート103を形成し、第1の有端溝202および第2の有端溝206が直列に並ぶ円周上で180度に対向する位置に、第1の抽気ポート104および第2の抽気ポート105を形成している。
【0054】
弁箱の外面には、給気ポート102の他端として、コンプレッサーや送風機などと接続するための給気接続口106を形成し、排気ポート103の他端として排気チャンバーなどと接続するための排気接続口107を形成し、第1の抽気ポート104の他端として第1の抽気接続口108には第1の抽気流路152をとおして第1の吸着塔150と接続し、第2の抽気ポート105の他端として第2の抽気接続口109には第2の抽気流路153をとおして第2の吸着塔151と接続している。
【0055】
第1の有端溝202の有端溝円弧頂角度324は約180度とし、2つの有端溝を分離する有端溝分離円弧頂角度(322、323)は等しい角度としそれぞれ約32度とし、第1の抽気ポート104のポート円弧頂角度302と第2の抽気ポート105のポート円弧頂角度303は等しい角度としそれぞれ約30度としている。
【0056】
弁体の回転に伴い、第1の有端溝と第2の有端溝とが、第1の抽気ポートまたは第2の抽気ポートをまたいでバルブ内で直接的に短絡することがないように、かつ第1の有端溝または第2の有端溝の有端溝円弧頂角度を十分に確保する上で、有端溝分離円弧頂角度は、ポート円弧頂角度と同等以上、ポート円弧頂角度に10度を加算した角度以下が適切である。
【0057】
抽気ポートのポート円弧頂角度は約30度とし、有端溝円弧頂角度は約180度としているので、第1の角度範囲の大きさ(=第2の角度範囲の大きさ)は約210度であり、弁体の回転角度が約30度の範囲で均圧工程が行われる。
【0058】
第1の有端溝202と第2の有端溝206の有端溝端部形状12は、弁体の回転軸に平行な直線形状としている。
【0059】
図9、10、11に抽気ポート7の形状と有端溝端部形状12の違いによる抽気ポートと有端溝との流路の有効面積の違いを示す。図13に抽気ポートと有端溝の開度変化に対する流路の有効面積の変化を示す。
【0060】
丸穴形状の抽気ポートに対して有端溝端部形状が円弧形状の場合(図9)に比べて有端溝端部形状が弁体の回転軸と平行な直線形状の場合(図10)では、抽気ポートと有端溝の開度が25%のとき流路の有効面積は34%大きく、開度が50%のとき有効面積は27%大きく、開度が75%のとき有効面積は17%大きくなる。
弁箱の製作コストの増加を許容すれば、図11に示すように抽気ポートを四角穴形状にすれば、より効果的である。
【0061】
本形態では、抽気ポートのポート円弧頂角度の確保とロータリバルブの弁体回転軸方向の寸法の制約から、抽気ポートは長穴形状とし、有端溝端部形状は弁体の回転軸と平行な直線形状としている。
【0062】
第1および第2の抽気ポートが180度の角度で対向する位置に形成されており、ポート円弧頂角度が等しく設定されているので、第1の抽気ポートに対する第1および第2の有端溝の開閉タイミングが、第2の抽気ポートに対する第1および第2の有端溝との開閉タイミングに対して、弁体回転の180度の位相差で一致し、2つの吸着塔に対し給排気が同等に作用し、選択ガスが安定して高濃度となり、かつ大流量が確保される。
【0063】
弁体の円柱外周面の両端部には、気密の向上を目的にOリングなどを配置してもよい。
【0064】
本形態では、モータ駆動軸からの回転運動を伝達するためのカップリング部品を弁体内部に配設しており、構造上の制約から切欠きを有端溝の円周方向の長さと同程度に切欠きを大きく形成することは適用していない。
【実施例1】
【0065】
弁箱が円筒内周面と1つの円筒内端面を有する場合の実施例を図6に示す。
【0066】
弁箱は円筒内端面を有することで、無端円周溝形状の第1の円周溝の機能代替として、弁箱の円筒内端面と弁体の円柱外端面の間に第1の空間208を形成しており、第1の空間208と第1の切欠き201と第1の有端溝202で第1の凹陥部203を構成している。
【0067】
給気ポート102は、第1の空間208に対応した位置で、弁箱の円筒内周面または円筒内端面に形成する。最良の形態に比べて本実施例の方法は、弁体の回転軸方向のロータリバルブの大きさは減少し、給気流路の配管自由度が増し、弁体の製造加工コストが減少し、弁箱の製造加工コストが増大する。
【0068】
第1および第2の抽気ポートと給気ポートとの間の流路損失が等しくならず、第1と第2の吸着塔内のガスの濃度分布のバランスにわずかな差異が生じる場合は、給気ポートを円筒内端面の中心に形成しても良い。
【0069】
本例を更に発展させた例として、第2の円周溝側に弁箱の円筒内端面を有する場合もあり、さらに、弁箱が2つの円筒内端面を有する場合は、第1および第2の円周溝の機能代替として、弁箱の一方の円筒内端面と弁体の一方の円柱外端面の間に第1の空間を形成し、弁箱の他方の円筒内端面と弁体の他方の円柱外端面の間に第2の空間を形成する場合もある。
【0070】
排気接続口には排気消音マフラや排気チャンバーが接続され、消音機能や過排気を防ぐための機能を付加するのが一般的であるが、このような機能が不要であれば、さらに構造は簡単になり、第2の空間側の弁箱の円筒内端面は不要であり、第2の切欠きから直接残ガス成分を大気開放しても良い。
【0071】
この場合、選択ガス成分の濃度を高く保つために、ロータリバルブ設計・試作時の排気チューニング作業が複雑となる。また、弁体および弁箱の製作加工費は低減し、回転軸方向の寸法の縮小に役立つが、第2の切欠き部分周辺摺動部への外部からのゴミ噛みこみや排気騒音などの問題が生じる。
【0072】
弁体を回転するための駆動軸配置の関係から、排気側となる第2の空間または第2の切欠きをモーター駆動側に、より厳しく気密が要求される給気側となる第1の空間をモータ駆動側と反対側に形成するのが好ましく、また、摺動面の配置がアンバランスになる可能性があるため、切欠きの形成に当たっては、第1または第2の有端溝の両端に2個ずつの第1または第2の切欠き形成するなど、切欠きの数や配置に関して工夫が望まれる。
【実施例2】
【0073】
第1の切欠き201および第2の切欠き205を大きく形成した場合の実施例を図7に示す。
【0074】
有端溝の円周方向の長さと同等の大きさまで切欠きを大きく形成した場合、有端溝は、溝形状ではなく切り欠きに内包された一体的な形状となり、加工工程上または部品構成上、本例が実施可能であれば、有端溝と切欠きを別に加工する必要が無くなり、加工コストの低減に効果的であり、加工削除部分が大きくなり軽量化にも良く、流路抵抗も軽減される。
【実施例3】
【0075】
第1の切欠き201を大きく形成し、弁箱の円筒外端面の中心に給気ポート102を形成した場合の実施例を図8に示す。
【0076】
第1の有端溝の円周方向の長さと同等の大きさまで第1の切欠き201を形成し、給気ポート102を弁箱の円筒内端面上の中心に形成することで、第1の空間は省略でき、第1の切欠き201と給気ポート102が直接連通される。
【0077】
平坦部を摺動面とする従来の回転式バルブでは、給気ポート近傍に漏れ防止のためのシール部材などが必要であったり、平坦部の平面度、平行度や表面粗さなどを向上させる必要があるが、本例では弁箱の円筒内周面と弁体の円柱外周面との摺動合わせ面で気密に分離されているので、弁箱の円筒内端面と弁体の円柱外端面でのシールは不要であり、弁箱の円筒内端面と弁体の円柱外端面の平面度、平行度や表面粗さ、弁箱の円筒内端面を弁体の円柱外端面の隙間などはバルブ性能に影響を与えない。
【実施例4】
【0078】
図14に、前記「発明を実施するための最良の形態」で示したロータリバルブを酸素濃縮用の圧力スイング式ガス分離装置に適用した場合の、第2の特徴では第1の角度範囲の大きさ(=第2の角度範囲の大きさ)の値、第4の特徴では第1の有端溝の有端溝円弧頂角度と第1の抽気ポートのポート円弧頂角度(=第2の抽気ポートのポート円弧頂角度)の和の値の変化に対する選択ガス(酸素ガス)の濃度変化のグラフを示す。
【0079】
弁体回転モータの1回転中の回転速度を変化させることで第1の角度範囲を変更し、高濃度酸素ガス出口部分に設置した絞り弁を調整することで高濃度酸素ガスの流量設定を4リットル/分とし、第1の角度範囲の大きさが200度から230度の範囲で約88%以上の高い濃度を示し、約210度付近で最大濃度89.1%を示した。
流量設定を3.5リットル/分とすると、本グラフの酸素濃度は全体的に上昇し、約210度付近で最大濃度は91%を超えることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明により試作したロータリバルブを中小型の酸素濃縮用の圧力スイング式ガス分離装置に取り付け、従来品より高い性能を確認しており、工場や店舗でのオゾン発生用、病院や家庭での医療用の高濃度酸素の供給装置としてだけでなく、疲労回復や健康維持のための家庭用の酸素濃縮装置として利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】ロータリバルブを示す正面図である。
【図2】ロータリバルブを示す側面図(弁箱のみ断面図としている)である。
【図3】主に弁体の形状を定める用語を説明するための模式図である。
【図4】主に弁箱の形状を定める用語を説明するための模式図である。
【図5】ロータリバルブを組み込んだ圧力スイング式ガス分離装置の構成図である。
【図6】ロータリバルブの実施例1を示す側面図(弁箱のみ断面図としている)である。
【図7】ロータリバルブの実施例2を示す側面図(弁箱のみ断面図としている)である。
【図8】ロータリバルブの実施例3を示す側面図(弁箱のみ断面図としている)である。
【図9】抽気ポート形状と有端溝端部形状の構成その1と流路の有効面積を示すための説明図である。
【図10】抽気ポート形状と有端溝端部形状の構成その2と流路の有効面積を示すための説明図である。
【図11】抽気ポート形状と有端溝端部形状の構成その3と流路の有効面積を示すための説明図である。
【図12】第1および第2の抽気ポートと給気ポートおよび排気ポートの開閉タイミングを示すグラフである。
【図13】抽気ポートと有端溝の開度の変化に対する流路の有効面積の変化を示すグラフである。
【図14】第1の角度範囲の大きさ変化に対する選択ガス成分の濃度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0082】
1 円柱外端面
2 円柱外周面
3 円筒内端面
4 円筒内周面
5 弁体の回転軸
6 弁体の回転軸を法線とした平面
7 ポート
9 ポート円弧頂角度
10 弁体に形成された有端溝を構成する面
11 10と円柱外周面との交線形状
12 11の交線のうち、有端溝端部形状を示す部分
13 有端溝円弧頂角度
15 有端溝分離円弧頂角度
30 有端溝の回転方向
31 有端溝と抽気ポートの開度が25%のときの流路の有効面積
32 有端溝と抽気ポートの開度が50%のときの流路の有効面積
33 有端溝
100 弁箱
101 弁体
102 給気ポート
103 排気ポート
104 第1の抽気ポート
105 第2の抽気ポート
106 給気接続口
107 排気接続口
108 第1の抽気接続口
109 第2の抽気接続口
120 モーター
150 第1の吸着塔
151 第2の吸着塔
152 第1の抽気流路
153 第2の抽気流路
160 混合ガスの供給
161 残ガスの排出
162 選択ガスの取り出し
200 第1の円周溝
201 第1の切欠き
202 第1の有端溝
203 第1の凹陥部
204 第2の円周溝
205 第2の切欠き
206 第2の有端溝
207 第2の凹陥部
208 第1の空間
302 第1の抽気ポートのポート円弧頂角度
303 第2の抽気ポートのポート円弧頂角度
322 有端溝分離円弧頂角度
323 有端溝分離円弧頂角度
324 第1の有端溝の有端溝円弧頂角度
325 第2の有端溝の有端溝円弧頂角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分以上のガスを含む混合ガスのうち少なくとも一つのガス成分(以下「選択ガス成分」という。)よりも残りのガス成分(以下「残ガス成分」という。)を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した2つの吸着塔(以下「第1の吸着塔」「第2の吸着塔」という。)を備えた圧力スイング式ガス分離装置において、各吸着塔に混合ガスを加圧供給または各吸着塔から残ガス成分を排気する為の流路の切り替えに用いられるロータリバルブであって、円筒内周面を有する弁室が形成された弁箱と、弁室の内面と密着摺動しつつ1軸を中心に回転自在に配設された円柱形状の弁体とからなり、弁箱には、一端が弁室内面に給気ポートとして開口し、混合ガスが給気される給気流路に接続される給気接続口と、一端が弁室内面に排気ポートとして開口し、残ガス成分を排出する排気流路に接続される排気接続口と、一端が弁室の円筒内周面に第1の抽気ポートとして開口し、第1の吸着塔に連通する第1の抽気流路が接続される第1の抽気接続口と、一端が弁室の円筒内周面に第2の抽気ポートとして開口し、第2の吸着塔に連通する第2の抽気流路が接続される第2の抽気接続口とを備え、弁体の円柱外面または、弁体の円柱外面および弁室に形成された凹部で弁体と弁室内壁との間に、空隙となる第1および第2の凹陥部とを備え、第1の凹陥部と第2の凹陥部は、弁箱内においては、弁体の回転角度にかかわらず、弁箱の円筒内周面と弁体の円柱外周面との摺動合わせ面で気密に分離されており、弁体の回転角が第1の角度範囲の位置にあるときは、第1の凹陥部により給気ポートと第1の抽気ポートとが連通され、弁体の回転角が第2の角度範囲の位置にあるときは、第1の凹陥部により給気ポートと第2の抽気ポートとが連通され、弁体の回転角が第3の角度範囲の位置にあるときは、第2の凹陥部により排気ポートと第1の抽気ポートとが連通され、弁体の回転角が第4の角度範囲の位置にあるときは、第2の凹陥部により排気ポートと第2の抽気ポートとが連通され、第1の角度範囲と第3の角度範囲は重複せず、第2の角度範囲と第4の角度範囲は重複せず、第1の角度範囲と第2の角度範囲の大きさは等しく、第1の角度範囲と第2の角度範囲の位置の位相差は、弁体回転の180度の位相差とし、第3の角度範囲と第4の角度範囲の大きさは等しく、第3の角度範囲と第4の角度範囲の位置の位相差は、弁体回転の180度の位相差としたことを特徴とするロータリバルブ。
【請求項2】
第1の角度範囲の大きさを200度以上230度以下としたことを特徴とする請求項1に記載のロータリバルブ。
【請求項3】
二成分以上のガスを含む混合ガスのうち少なくとも一つの選択ガス成分よりも残ガス成分を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した第1の吸着塔および第2の吸着塔を備えた圧力スイング式ガス分離装置において、各吸着塔に混合ガスを加圧供給または各吸着塔から残ガス成分を排気する為の流路の切り替えに用いられるロータリバルブであって、円筒内周面を有する弁室が形成された弁箱と、弁室の内面と密着摺動しつつ1軸を中心に回転自在に配設された円柱形状の弁体とからなり、弁箱には、一端が弁室内面に給気ポートとして開口し、混合ガスが供給される給気流路に接続される給気接続口と、一端が弁室内面に排気ポートとして開口し、残ガス成分を排出する排気流路に接続される排気接続口と、一端が弁室の円筒内周面に第1の抽気ポートとして開口し、第1の吸着塔に連通する第1の抽気流路が接続される第1の抽気接続口と、一端が弁室の円筒内周面に第2の抽気ポートとして開口し、第2の吸着塔に連通する第2の抽気流路が接続される第2の抽気接続口とを備え、給気ポートと排気ポートは、弁体の回転軸を法線とする同一の平面上になく、第1の抽気ポートと第2の抽気ポートは、弁体の回転軸方向において給気ポートと排気ポートの間に位置し、第1の抽気ポートと第2の抽気ポートは、弁体の回転軸を法線とする同一平面上にあって弁体回転方向に関して180度の角度で対向配置し、給気ポート、排気ポート、第1の抽気ポート、第2の抽気ポートは独立配置しており、弁体の円柱外周面には、給気ポートに対向する円周上位置に無端円周溝形状の第1の円周溝と、排気ポートに対向する円周上位置に無端円周溝形状の第2の円周溝と、第1の抽気ポートと第2の抽気ポートの回転通過する円周上の対峙位置に円周方向に直列に形成した第1の有端溝と第2の有端溝と、第1の円周溝と第1の有端溝とを導通する第1の切欠きと、第2の円周溝と第2の有端溝とを導通する第2の切欠きとを備え、第1の円周溝、第1の切欠き、第1の有端溝で第1の凹陥部を構成し、第2の円周溝、第2の切欠き、第2の有端溝で第2の凹陥部を構成し、第1の有端溝と第2の有端溝を分離する弁体の円柱外周面のうち、第1または第2の抽気ポートが回転通過する円周面と重なる部分の面形状を、弁体の回転軸を法線とする平面上へ投影した時に生じる円弧を含んだ扇形の頂点の角度を「有端溝分離円弧頂角度」とし、第1または第2の抽気ポートの弁室円筒内周面上の開口部面形状のうち、第1または第2の有端溝が回転通過する円周面と重なる部分の面形状を、弁体の回転軸を法線とする平面上へ投影した時に生じる円弧を含んだ扇形の頂点の角度を「ポート円弧頂角度」とし、2つの有端溝分離円弧頂角度は等しくし、第1と第2の抽気ポートのポート円弧頂角度は等しくし、有端溝分離円弧頂角度は、第1または第2の抽気ポートのポート円弧長角度と同等以上としたことを特徴とするロータリバルブ。
【請求項4】
第1または第2の有端溝の弁体円柱外周面上の開口部面形状のうち、第1または第2の抽気ポートが回転通過する円周面と重なる部分の面形状を、弁体の回転軸を法線とする平面上へ投影した時に生じる円弧を含んだ扇形の頂点の角度を「有端溝円弧頂角度」とし、第1の有端溝の有端溝円弧頂角度と、第1または第2の抽気ポートのポート円弧頂角度との和は、200度以上230度以下としたことを特徴とする請求項3に記載のロータリバルブ。
【請求項5】
弁体に形成された第1または第2の有端溝を構成する立ち上がり面と弁体の円柱外周面との交線形状のうち、第1または第2の抽気ポートと第1または第2の有端溝との流路の有効面の面積が変化する開閉工程において、流路の有効面を構成する境界の線形状を「有端溝端部形状」とし、第1および/または第2の有端溝の有端溝端部形状が、弁体の回転軸と平行な直線としたことを特徴とする請求項3または4に記載のロータリバルブ。
【請求項6】
弁室に円筒内端面を有する弁箱にあっては、弁箱の円筒内端面と弁体の円柱外端面の間に第1の空間および/または第2の空間を形成し、第1の空間と第1の有端溝とを導通する第1の切欠きを形成し、さらに/または、第2の空間と第2の有端溝とを導通する第2の切欠きを形成し、第1の凹陥部が第1の空間と第1の切欠きと第1の有端溝で構成され、さらに/または、第2の凹陥部が第2の空間と第2の切欠きと第2の有端溝で構成され、給気ポートと排気ポートは弁体の回転角度に係わらずそれぞれ第1と第2の空間と常時連通する位置に形成したことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のロータリバルブ。
【請求項7】
第1の切欠きの円周方向の長さが第1の有端溝の円周方向の長さと同程度に形成され、第1の切欠きが第1の有端溝を内包する形態となり、第1の切欠きと第1の円周溝で第1の凹陥部が構成され、さらに/または、第2の切欠きの円周方向の長さが第2の有端溝の円周方向の長さと同程度に形成され、第2の切欠きが第2の有端溝を内包する形態となり、第2の切欠きと第2の円周溝で第2の凹陥部が構成されたことを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載のロータリバルブ。
【請求項8】
圧力スイング式ガス分離装置であって、2つの吸着塔を持ち、第1の吸着塔の一端には混合ガス給気と残ガス排気のための第1の抽気流路を持ち、第2の吸着塔の一端には混合ガス給気と残ガス排気のための第2の抽気流路を持ち、第1の抽気流路は第1の抽気接続口と接続され、第2の抽気流路は第2の抽気接続口と接続され、2つの吸着塔の他端には選択ガスを取り出すための流路を持つ、請求項1から7のいずれかに記載のロータリバルブを搭載したことを特徴とする圧力スイング式ガス分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−221173(P2008−221173A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66062(P2007−66062)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【特許番号】特許第4110210号(P4110210)
【特許公報発行日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(591224788)大分県 (31)
【出願人】(507085379)
【Fターム(参考)】