説明

ロープ止め具

【課題】 支柱に対する止着が容易なロープ止め具を提供する。
【解決手段】 支柱本体2の頭頂部21に嵌着する支柱材3の上端部付近の一直径方向の側面に入口部4及び出口部5を開口し、該入口部4及び出口部5には縦長に開口すると共に、内端側の基端部分において開口凹部6の縁辺を切り欠いて形成した入口側切欠部41及び出口側切欠部51を設け、支柱材3の側面に横向きに開口させて形成した開口凹部6内に、支柱材3の長手方向に沿ってほゞロープ径の間隔を開けて立設した第1係止柱71及び第2係止柱72と、両係止柱71、72の周囲に形成され、入口部4及び出口部5と連通するロープ通路と、を設け、入口側切欠部41と、第1係止柱71及び第2係止柱72の間の係止間隔部と、出口側切欠部51とを、入口部4及び出口部5を含む面において支柱材3の長手方向に互いに偏位させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、林業、漁業、農業、建設業等の広範な産業分野や、テントの設立等、レジャー分野等において、広く利用可能なロープ止め具に関し、特に支柱に張設するロープの固定に好適なロープ止め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、植林造成地域において、苗木の若芽を食い荒らす鹿等の有蹄動物の食害から苗木を守るために、獣害防止ネットを張り巡らせている。即ち、獣害防止ネットの上端部分に通したロープを、適宜な間隔で設置した支柱の上端部分に縛り付けることにより、獣害防止ネットを展開し、苗木の育成地域へ動物が入り込むことを防いでいる。
【0003】
しかしながら、苗木の育成地域は山間部にあり、しかも傾斜地となっていることが多く、また支柱の高さが低いと充分な侵入防止効果を得ることができない。このため、ロープの止着作業は、不安定な作業現場で行なうことが多く、また頭上の高い位置における作業を強いられている。しかも、支柱にロープを縛り付けるには、「巻き結び」などを扱うロープワークと呼ばれる熟達した技術が必要である。
そして、上記のような獣害防止ネットが、例えば特許文献1によって提案されている。
【0004】
【特許文献1】実開平2−120172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の獣害防止ネットにおいては、支柱に対するロープの止着作業が面倒であり、適宜な緊張を保ってロープを張るには熟練した技術が必要であった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、支柱に対する止着が容易なロープ止め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、支柱材の一端部にロープを張設するためのロープ止め具であって、支柱材の一直径方向の側面に開口させて形成した入口部及び出口部と、前記入口部及び出口部を含む一直径方向の面と直交する方向に開口させて形成した開口凹部と、前記開口凹部内に、ほゞロープ径の間隔を開けて立設した第1係止柱及び第2係止柱と、前記第1係止柱の周囲及び第2係止柱の周囲に形成され、前記入口部及び出口部と連通するロープ通路とを、支柱材の端部に備え、前記入口部から挿通したロープを、前記開口凹部内において前記ロープ通路に沿って第1係止柱及び第2係止柱に係止させた後、前記出口部から引き出すようにしたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加えて、前記開口凹部は、支柱材の端部付近の側面に横向きに開口され、前記第1係止柱及び第2係止柱は、支柱材の長手方向に沿って横向きに立設され、前記入口部は、支柱材の側面に縦長に開口すると共に、内端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した入口側切欠部を有し、前記出口部は、支柱材の側面に縦長に開口すると共に、外端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した出口側切欠部を有し、前記入口側切欠部と、前記第1係止柱及び第2係止柱の間の係止間隔部と、前記出口側切欠部とが、前記入口部及び出口部を含む面において支柱材の長手方向に互いに偏位しているものである。
請求項3に係る発明は、請求項1の構成に加えて、前記開口凹部は、支柱材の上端部に上向きに開口され、前記第1係止柱及び第2係止柱は、支柱材の直径方向に沿って上向きに立設され、前記入口部は、支柱材の上端部の側面に横長に開口すると共に、一端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した入口側切欠部を有し、前記出口部は、支柱材の上端部の側面に横長に開口すると共に、他端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した出口側切欠部を有し、前記入口側切欠部と、前記第1係止柱及び第2係止柱の間の係止間隔部と、前記出口側切欠部とが、前記入口部及び出口部を含む面において支柱材の直径方向に互いに偏位しているものである。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3の何れかの構成に加えて、支柱材の一端部に嵌着可能な嵌着孔を備え、該嵌着孔の内壁に複数の嵌着リブを放射状に形成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、熟練技術を必要としないで、一般作業員でも容易にロープを支柱に止着することができる。しかも、一度張設したロープは極めて弛み難くなっている。また、作業が容易であるので、不安定な作業現場であっても、安全に作業することができるし、作業に大きな労力を必要としないので、長時間の作業であっても疲れることが少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、支柱本体の頭頂部に嵌着可能な嵌着孔を備える支柱材の上端部付近に、前記嵌着孔の内壁に複数の嵌着リブを放射状に形成し、一直径方向の側面に開口させて形成した入口部及び出口部を設け、
前記入口部には、支柱材の側面に縦長に開口すると共に、内端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した入口側切欠部を設け、前記出口部には、支柱材の側面に縦長に開口すると共に、外端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した出口側切欠部を設け、
前記入口部及び出口部を含む一直径方向の面と直交する方向の側面部分に開口させて形成した開口凹部と、この開口凹部内に、支柱材の長手方向に沿ってほゞロープ径の間隔を開けて横向きに立設した第1係止柱及び第2係止柱と、前記第1係止柱の周囲及び第2係止柱の周囲に形成され、前記入口部及び出口部と連通するロープ通路と、を設け、
前記入口側切欠部と、前記第1係止柱及び第2係止柱の間の係止間隔部と、前記出口側切欠部とを、前記入口部及び出口部を含む面において支柱材の長手方向に互いに偏位させ、
前記入口部から挿通したロープを、前記開口凹部内において前記ロープ通路に沿って第1係止柱及び第2係止柱に係止させた後、前記出口部から引き出すようにして、ロープに適宜な張力を掛けながら支柱に張設することができるロープ止め具を実現した。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明に係るロープ止め具の一実施例による正面図、図2は同右側面図、図3は同左側面図、図4は同底面図、図5は図1におけるA−A線断面図である。
本発明に係るロープ止め具1は、例えば、POM(ポリアセタール)等の熱可塑性合成樹脂により一体成型されており、図面に示す実施例においては、支柱本体2の頭頂部21に嵌着して使用するようになっている。しかし、本発明に係るロープ止め具1は、支柱本体2と一体に形成することもできる。
【0011】
図示するロープ止め具1は、ほゞ円筒形をなして支柱本体2の頭頂部21に嵌着する基体部分11と、この基体部分11に延設した本体部分12とからなっている。
【0012】
ロープ止め具1は、本体部分12である支柱材3の端部付近において、当該支柱材3の一直径方向に開口させて形成した入口部4及び出口部5と、この入口部4及び出口部5を含む一直径方向の面と直交する方向の側面部分に開口させて形成した開口凹部6と、この開口凹部6内に、支柱材3の長手方向に沿ってほゞロープ径の間隔を開けて立設した第1係止柱71及び第2係止材72と、前記第1係止柱71の周囲及び第2係止材72の周囲に形成され、前記入口部4及び出口部5と連通するロープ通路8と、を備えている。
【0013】
具体的には、先ず、支柱材3の側面にロープの入口部4を開設する。この入口部4は、支柱材3の側面に長手方向に縦長に開設する。即ち、図面においては、縦方向に、支柱材3の長さ方向に沿って、例えばロープの径のほゞ2倍の長さで縦長に、即ち矩形に開設してあり、下半部分は後述する開口凹部6の縁辺を切り欠いて、入口側切欠部41が設けてある。従って、入口部4を正面にして見ると、入口側切欠部41が支柱材3の下端側(内端側)に位置するほゞL字型の開口となっている(図3参照)。尚、前記入口部4の角部を適宜面取し、前記入口部4と入口側切欠部41との角部には傾斜部を設けるとよい。
【0014】
一方、前記入口部4の反対側の側面には、ロープを引き出すための出口部5を開設する。この出口部5は、前記入口部4と同様に、ロープの径のほゞ2倍の長さで縦長の矩形に開設してあるが、開口凹部6と連通する出口側切欠部51が、開口凹部6の縁辺を切り欠いて形成してあり、この出口側切欠部51が支柱材3の上端側(外端側)に位置している。従って、出口部5を正面にして見ると、逆L字型の開口となっている(図2参照)。尚、前記出口部5の角部を適宜面取し、前記出口部5と出口側切欠部51との角部には傾斜部を設けるとよい。
【0015】
前記入口部4及び出口部5を含む直径方向の面(以下、基板面という)に対して直交する方向の側面を開口させて、開口凹部6を形成する。そして、この開口凹部6内には、支柱材3の長手方向に沿ってほゞロープ径の間隔を開けて、ほゞ角柱状の第1係止柱71及び第2係止材72を、前記基板面に対して直立するように横向きに立設する。
【0016】
また、前記第1係止柱71の周囲、及び前記第2係止材72の周囲には、ほゞロープ径の幅を有するロープ通路8を形成する。即ち、前記開口凹部6には、ほゞ8の字型の角張ったロープ通路8が形成され、このロープ通路8が前記した入口部4及び出口部5に連通している。そして、前記入口部4と、第1係止柱71及び第2係止材72の間の係止間隔部81、即ち8の字型のロープ通路8の交差部と、前記出口部5とが、支柱材3の直径方向にほゞ直線上に並んでいる。更に、入口側切欠部41と、係止間隔部81と、出口側切欠部51とが、前記入口部4及び出口部5を含む面において、支柱材3の長手方向、即ち上下方向に偏位している。
【0017】
即ち、言い換えると、前記した入口部4及び入口側切欠部41と、第1係止柱71及び第2係止材72と、出口部5及び出口側切欠部51は、第1係止柱71と第2係止材72の中間点を中心とする点対称の関係にあり、8の字型のロープ通路8も同じ点を中心とする点対称の位置にある。
【0018】
一方、図示の実施例において、支柱本体2の頭頂部21に嵌着するための基体部分11は、下端側が開口して嵌着孔13を有する円筒状をしており、この嵌着孔13に支柱本体2が嵌入する(図6参照)。そこで、図面に示す実施例においては、前記嵌着孔13の内壁に、放射状に展開する嵌着リブ14が設けてある(図4参照)。このため、ロープ止め具1を支柱本体2の頭頂部21に圧入した場合に、嵌着リブ14が変形することにより、支柱本体2との嵌合が容易且つ確実となり、また当該ロープ止め具1の回り止めをなしている。尚、前記嵌着リブ14に代えて複数のボスとしてもよい。
【0019】
次に、本発明に係るロープ止め具1の使い方を説明する。
ロープ止め具1は、例えば、図7示すように、苗木の育成地域において、鹿等の動物が、幼い芽を食べてしまう食害を防止するために設置する獣害防止ネット9に使用する。この獣害防止ネット9は、通常、適宜な間隔で設置した支柱91に、ネット92の上縁部分に通したロープ93(R)を縛り付け、ネット92の下端を地面に接地させて、動物がネット92を越えて育成地域へ侵入することを防いでいる。
【0020】
そこで、ロープ93(R)を支柱91に固定する訳であるが、本発明に係るロープ止め具1を用いれば、ロープ93(R)の固定作業を極めて簡単に行なうことができる。
【0021】
即ち、先ず、開口凹部6に開口する入口側切欠部41から、ロープRを入口部4に入れる。次に、ロープ通路8に沿って上方へ折り曲げ、第1係止柱71の左側(図6において、以下同じ)を通し、第1係止柱71の上側に導く。そして、下方に折り曲げて第1係止柱71の右側を通し、更に左側に折り返して第1係止柱71と第2係止材72の間の係止間隔部81を通して入口部4側に戻す。
【0022】
次に、入口部4側に戻ったロープRを、今度は下向きに折り曲げ、第2係止材72の左側を通して下方へ導き、また右向きに折り曲げて第2係止材72の下方を通し、更に上向きに折り曲げて第2係止材72の右側を通して出口部5へ導く。そして、出口部5では、出口側切欠部51から出口部5に嵌入させて、ロープRを引き出す。
【0023】
即ち、本発明に係るロープ止め具1では、入口部4から導入したロープRを、ロープ通路8に沿って第1係止柱71及び第2係止材72の周囲に、ほゞ“Z”字型に通し、出口部5から引き出すだけでよい。
【0024】
そして、入口部4及び出口部5、入口側切欠部41及び出口側切欠部51、第1係止柱71及び第2係止材72が、何れも矩形に形成され、ロープ通路8も角張っているので、挿通したロープRに対して夫々の角部が楔状に作用してロープRの緩みを防止している。
【0025】
このようにすれば、長いロープRを引き回して結び付ける必要がないので、極めて容易に獣害防止ネット9を張設することができる。従って、熟練技術が必要なく、一般作業員でも確実に作業できる。しかも、長いロープR(93)を引き回したり、結んだりする必要がなく、しかも、大きな力を入れる必要もないので、足場の悪い傾斜地等であっても、安全に作業することができる。
【0026】
また、支柱91の高さは、少なくても1.8m程度は必要であるので、平均的な身長を有する作業員は、頭上近くでの作業となるが、ロープR(93)を単に2本の係止柱71、72に係止させる作業のみとなるので、疲れることがなく、しかも安全且つ確実に作業することができる。
【0027】
更に、ロープRを入口部4から導入して第1係止柱71に係止させれば、ロープRの張力は第1係止柱71に掛かるため、以後の作業はロープRの張力に逆らうことなく行なうことができ、作業が容易である。一方、ロープRを第1係止柱71に係止させた状態で引っ張れば、張設したロープRに充分な張力を与えることができる。即ち、弛みなく獣害防止ネット9を展開することが可能である。
【実施例2】
【0028】
図8は、本発明に係るロープ止め具1の他の実施例による斜視図であり、図9は同左側面図、図10は使用している状態を示す平面図である。この実施例が前記した実施例と異なる点は、開口凹部6が支柱材3の上端部に上向きに開口され、第1支持柱71及び第2支持柱72が上向きに立設されている点にある。尚、前記した第1の実施例と同じ機能を有する部位には同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
この実施例におけるロープ止め具1も、例えばPOM(ポリアセタール)等の熱可塑性合成樹脂により一体成型されており、図面に示す実施例においては、支柱材3の上端部分を拡径させて拡径頭部15を設けているが、基体部分11と同径に形成してもよいし、支柱本体2と一体に形成することもできる。
【0030】
この第2の実施例におけるロープ止め具1は、本体部分12である支柱材3の上端部分を拡径させて形成した拡径頭部15において、この拡径頭部15の一直径方向の側面に開口させて形成した入口部4及び出口部5と、この入口部4及び出口部5を含む一直径方向の面と直交する方向の上面部分に開口させて形成した開口凹部6と、この開口凹部6内に、直径方向に沿ってほゞロープ径の間隔を開けて上向きに立設した第1係止柱71及び第2係止材72と、この第1係止柱71の周囲及び第2係止材72の周囲に形成され、前記入口部4及び出口部5と連通するロープ通路8と、を備えている。
【0031】
即ち、拡径頭部15の側面にロープの入口部4を開設する。この入口部4は、拡径頭部15の側面に横長に開設する。例えば図9においては、横方向に、拡径頭部15の側周面に沿って、例えばロープの径のほゞ2倍の長さで横長の矩形に開設する。また、片半部分は開口凹部6の縁辺を切り欠いて、入口側切欠部41が設けてある。従って、入口部4を正面にして見ると(図面では左側面、図9参照)、入口側切欠部41が拡径頭部15の側面ほゞ中央に位置して、上縁が切れ込んだ開口となっている。
【0032】
一方、前記入口部4の反対側の側面には、ロープを引き出すための出口部5を開設する。この出口部5は、前記入口部4と同様に、ロープの径のほゞ2倍の長さで横長な矩形に開設してある。即ち、開口凹部6と連通する出口側切欠部51が、開口凹部6の上縁を切り欠いて形成してあり、この出口側切欠部51が拡径頭部15の側面ほゞ中央に位置している。
【0033】
拡径頭部15において、前記入口部4及び出口部5を含む直径方向の面である上面を開口させて形成した開口凹部6内には、直径方向に沿ってほゞロープ径の間隔を開けて、ほゞ角柱状の第1係止柱71及び第2係止材72を、直立するように上向きに立設する。
【0034】
また、前記第1係止柱71の周囲、及び前記第2係止材72の周囲には、ほゞロープ径の幅を有するロープ通路8を形成する。即ち、前記開口凹部6には、ほゞ8の字型の角張ったロープ通路8が形成され、このロープ通路8が前記した入口部4及び出口部5に連通している。そして、前記入口部4と、第1係止柱71及び第2係止材72の間の係止間隔部81、即ち8の字型のロープ通路8の交差部と、前記出口部5とが、拡径頭部15の直径方向にほゞ直線上に並んでいる。更に、入口側切欠部41と、係止間隔部81と、出口側切欠部51とが、前記入口部4及び出口部5を含む面において、支柱材3の直径方向、例えば図10では上下に向う直径方向に偏位している。
【0035】
即ち、言い換えると、前記した入口部4及び入口側切欠部41と、第1係止柱71及び第2係止材72と、出口部5及び出口側切欠部51は、第1係止柱71と第2係止材72の中間点を中心とする点対称の関係にあり、8の字型のロープ通路8も同じ点を中心とする点対称の位置にある。
【0036】
尚、上記した第2の実施例の説明では、本体部分12である支柱材3の上端部分を拡径させて形成した拡径頭部15に開口凹部6を形成すると共に、この開口凹部6内に第1係止柱71及び第2係止材72を立設しているが、拡径頭部15を形成することなく、支柱材3に直接形成するようにしてもよい。これは、使用するロープの径と支柱材3の径との関係等から適宜に設定すればよい。
【0037】
上記のような第2の実施例によるロープ止め具1の使い方も、前記した第1の実施例と同様である。即ち、図10に示すように、開口凹部6に開口する入口側切欠部41から、ロープRを入口部4に入れる。次に、ロープ通路8に沿って上方へ折り曲げ、第1係止柱71の左側を通し、第1係止柱71の上側に導く。そして、下方に折り曲げて第1係止柱71の右側を通し、更に左側に折り返して第1係止柱71と第2係止材72の間の係止間隔部81を通して入口部4側に戻す。
【0038】
次に、入口部4側に戻ったロープRを、今度は下向きに折り曲げ、第2係止材72の左側を通して下方へ導き、また右向きに折り曲げて第2係止材72の下方を通し、更に上向きに折り曲げて第2係止材72の右側を通して出口部5へ導く。そして、出口部5では、出口側切欠部51から出口部5に嵌入させて、ロープRを引き出せばよい。
【0039】
この第2の実施例によるロープ止め具1も、入口部4及び出口部5、入口側切欠部41及び出口側切欠部51、第1係止柱71及び第2係止材72が、何れも矩形に形成され、ロープ通路8も角張っているので、挿通したロープRに対して夫々の角部が楔状に作用してロープRの緩みを防止している。
【0040】
そして、第2の実施例によるロープ止め具1は、長いロープRを引き回して結び付ける必要がないので、熟練技術を持たない一般作業員でも確実に作業できる。また、この第2の実施例によるロープ止め具1は、上方から目視しながら作業が可能な比較的低い位置にロープを張設する現場に用いると好適である。
【0041】
以上本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。例えば、前記した実施例では、支柱本体2の頭頂部21に嵌着するロープ止め具1を示したが、このロープ止め具1は、支柱本体2と一体に形成してもよい。また、ロープRの係止柱71、72に対する係止の仕方は、“Z”字型ばかりではなく、“S”字型や“8”字型など、弛まないように係止できれば、どのように係止させてもよい。
【0042】
また、前記した実施例では、林業における獣害防止ネット9について説明したが、本発明のロープ止め具1は、多方面に利用可能である。例えば、水産業における海苔の養殖用の海苔棚の設置に適用したり、海底にロープを張ってこのロープに藻を育成して魚礁の形成に利用することができる。これらの場合も、力を入れ難い船上作業や水中作業であっても確実に、且つ安全に作業することができる。また、農業における蔓植物の支線としたり、或いはビニールハウスの設営等に利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るロープ止め具の第1の実施例による正面図である。
【図2】本発明に係るロープ止め具の第1の実施例による右側面図である。
【図3】本発明に係るロープ止め具の第1の実施例による左側面図である。
【図4】本発明に係るロープ止め具の第1の実施例による底面図である。
【図5】図1におけるA−A線断面図である。
【図6】本発明に係るロープ止め具を、支柱本体の頭頂部に嵌着して使用している状態の正面説明図である。
【図7】本発明に係るロープ止め具を、獣害防止ネットに使用している状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るロープ止め具の第2の実施例による斜視図である。
【図9】本発明に係るロープ止め具の第2の実施例による左側面である。
【図10】本発明に係るロープ止め具の第2の実施例による平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ロープ止め具
2 支柱本体
3 支柱材
4 入口部
5 出口部
6 開口凹部
8 ロープ通路
9 獣害防止ネット
11 基体部分
12 本体部分
13 嵌着孔
14 嵌着リブ
15 拡径頭部
21 頭頂部
41 入口側切欠部
51 出口側切欠部
71 第1係止柱
72 第2係止材
81 係止間隔部
91 支柱
92 獣害防止ネット
93 ロープ
R ロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱材の一端部にロープを張設するためのロープ止め具であって、
支柱材の一直径方向の側面に開口させて形成した入口部及び出口部と、
前記入口部及び出口部を含む一直径方向の面と直交する方向に開口させて形成した開口凹部と、
前記開口凹部内に、ほゞロープ径の間隔を開けて立設した第1係止柱及び第2係止柱と、
前記第1係止柱の周囲及び第2係止柱の周囲に形成され、前記入口部及び出口部と連通するロープ通路と、
を、支柱材の端部に備え、
前記入口部から挿通したロープを、前記開口凹部内において前記ロープ通路に沿って第1係止柱及び第2係止柱に係止させた後、前記出口部から引き出すようにしたことを特徴とするロープ止め具。
【請求項2】
前記開口凹部は、支柱材の端部付近の側面に横向きに開口され、
前記第1係止柱及び第2係止柱は、支柱材の長手方向に沿って横向きに立設され、
前記入口部は、支柱材の側面に縦長に開口すると共に、内端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した入口側切欠部を有し、
前記出口部は、支柱材の側面に縦長に開口すると共に、外端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した出口側切欠部を有し、
前記入口側切欠部と、前記第1係止柱及び第2係止柱の間の係止間隔部と、前記出口側切欠部とが、前記入口部及び出口部を含む面において支柱材の長手方向に互いに偏位している請求項1に記載のロープ止め具。
【請求項3】
前記開口凹部は、支柱材の上端部に上向きに開口され、
前記第1係止柱及び第2係止柱は、支柱材の直径方向に沿って上向きに立設され、
前記入口部は、支柱材の上端部の側面に横長に開口すると共に、一端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した入口側切欠部を有し、
前記出口部は、支柱材の上端部の側面に横長に開口すると共に、他端側の基端部分において前記開口凹部の縁辺を切り欠いて形成した出口側切欠部を有し、
前記入口側切欠部と、前記第1係止柱及び第2係止柱の間の係止間隔部と、前記出口側切欠部とが、前記入口部及び出口部を含む面において支柱材の直径方向に互いに偏位している請求項1に記載のロープ止め具。
【請求項4】
支柱材の一端部に嵌着可能な嵌着孔を備え、該嵌着孔の内壁に複数の嵌着リブを放射状に形成した請求項1ないし3の何れかに記載のロープ止め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−144284(P2006−144284A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332814(P2004−332814)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000105615)コトコ株式会社 (2)
【出願人】(501340052)近江屋ロープ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】