説明

ローマンシェード

【課題】予め取付けられたヘッドレールへの生地の取付けを容易にする。
【解決手段】ローマンシェードは、ヘッドレール12と、ヘッドレール12に上端がそれぞれ取付けられた第1及び第2の生地21,22と、ヘッドレール12から昇降可能に垂下されて第1及び第2の生地21,22にそれぞれ連結された第1及び第2の昇降コード23,24とを備える。第2の生地22が第1の生地21より前側になるように第1の生地21及び第2の生地22の双方の上端がヘッドレール12の前面壁12aにこの順序で取付けられ、ヘッドレール12から垂下された第1の昇降コード23を第1の生地21の後側に配し、ヘッドレール12から垂下された第2の昇降コード24を第1の生地21の上端付近に形成された挿通孔21aを介して第1の生地21の後側から前側に導いて第2の生地22の後側に配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレールに上端がそれぞれ取付けられた生地を昇降コードにより昇降させるローマンシェードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋における窓等の開口部に室内側から取付けられるローマンシェードが知られている。このローマンシェードは、ヘッドレールに上端がそれぞれ取付けられた生地を昇降コードにより昇降させるものであって、その生地が開口部を塞ぎ、必要に応じてその生地を昇降コードを上昇させてたくし上げることにより、その開口部から採光するようになっている。そして、近年では、2枚の生地を設けたローマンシェードの需要が増加しており、この2枚の生地を単一のヘッドレールに取付ける手段として、そのヘッドレールの前面壁に第1の生地の上端を取付け、ヘッドレールの後面壁に第2の生地の上端を取付けること(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【特許文献1】特許第3379934号公報(明細書[0022]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ローマンシェードにおけるヘッドレールは家屋における窓等の開口部上方の壁面又は天井に水平に取付けられるのが一般的である。してみると、ヘッドレールの手前側に存在する前面壁は室内側に臨むために、その前面壁に第1の生地の上端を取付けることは比較的容易と考えられるけれども、ヘッドレールの壁面側に存在する後面壁は開口部上方の壁面に臨み、ヘッドレールの後面壁と開口部上方の壁面との間の隙間は比較的小さく、その後面壁に第2の生地の上端を取付けることは比較的困難である不具合があった。
この点を解消するためには、第2の生地の上端をその後面壁に予め取付けたヘッドレールを開口部上方の壁面又は天井に取付けることも考えられる。しかし、予め生地が取付けられたヘッドレールの取付けは、生地が取付けられていないヘッドレールを取付ける場合に比較して、その生地の存在によりその作業性が著しく損なわれる不具合がある。
また、ヘッドレールを取付けた後においても、第1及び第2の生地は使用者の好みに応じて随時取り換えられ、その柄又は模様等が変更されるものであり、ヘッドレールの後面壁に取付けられた第2の生地を取り換える作業は、ヘッドレールの後面壁と開口部上方の壁面との間の隙間が比較的小さいことに起因して、比較的困難になる問題点もあった。
本発明の目的は、予め取付けられたヘッドレールへの生地の取付けが比較的容易なローマンシェードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、ヘッドレール12と、ヘッドレール12に上端がそれぞれ取付けられた第1及び第2の生地21,22と、ヘッドレール12から昇降可能に垂下されて第1及び第2の生地21,22にそれぞれ連結された第1及び第2の昇降コード23,24とを備えたローマンシェードの改良である。
その特徴ある構成は、第2の生地22が第1の生地21より前側になるように第1の生地21及び第2の生地22の双方の上端がヘッドレール12の前面壁12aにこの順序で取付けられ、ヘッドレール12から垂下された第1の昇降コード23を第1の生地21の後側に配し、ヘッドレール12から垂下された第2の昇降コード24を第1の生地21の上端付近に形成された挿通孔21aを介して第1の生地21の後側から前側に導いて第2の生地22の後側に配したところにある。
【0005】
この請求項1に記載されたローマンシェードでは、第1の生地21及び第2の生地22の双方の上端をヘッドレール12の前面壁12aに取付けるので、室内側から第1の生地21及び第2の生地22の双方の取付けを行うことができる。よって、ヘッドレール12の後面壁と開口部上方の壁面との間の比較的小さな隙間からその後面壁に第2の生地を取付ける従来に比較して、予め取付けられたヘッドレール12への生地21,22の取付けは比較的容易になる。
この場合、第2の生地22とヘッドレール12との間に第1の生地21が存在することになるけれども、ヘッドレール12から垂下された第1の昇降コード23を第1の生地21の後側に配し、ヘッドレール12から垂下され第2の生地22を昇降させる第2の昇降コード24を第1の生地21の上端付近に形成された挿通孔21aを介して第1の生地21の後側から前側に導いて第2の生地22の後側に配したので、第2の昇降コード24を昇降させることにより第1の生地21を昇降させることなくその第2の生地22を確実に昇降させることができる。このため、第2の生地22を昇降させる第2の昇降コード24における機能に支障を生じさせることはない。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、ヘッドレール12の前面壁12aに第1の生地21の上端における後面が取付けられ、第1の生地21の上端における前面にスペーサ18が取付けられ、第2の生地22の上端における後面がスペーサ18に取付けられたことを特徴とする。
この請求項2に記載されたローマンシェードでは、第1の生地21と第2の生地22との間にスペーサ18の厚さtに等しい隙間を生じさせることができ、一方をたくし上げる際に他方が干渉して同時にたくし上げられるような事態を有効に回避することができる。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、ヘッドレール12の前面壁12aに第1の生地21の上端が取付けられ、第1の生地21の上端とともに前面壁12aを前側から覆う補助壁12jがヘッドレール12に形成され、補助壁12jに第2の生地22の上端が取付けられたことを特徴とする。
この請求項3に記載されたローマンシェードでは、第1の生地21と第2の生地22との間に前面壁12aと補助壁12jの間に等しい隙間を生じさせることができ、一方をたくし上げる際に他方が干渉して同時にたくし上げられるような事態を有効に回避することができる。そして、前面壁12aと補助壁12jをヘッドレール12に形成してこの補助壁12jに第2生地22を取付けるので、上述したスペーサを不要にすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のローマンシェードでは、第1の生地及び第2の生地の双方の上端をヘッドレールの前面壁に取付けるので、室内側から第1の生地及び第2の生地の双方の取付けを行うことができ、ヘッドレールの後面壁と開口部上方の壁面との間の比較的小さな隙間からその後面壁に生地を取付ける従来に比較して、予め取付けられたヘッドレールへの生地の取付けを比較的容易にすることができる。この場合、第2の生地とヘッドレールとの間に第1の生地が存在することになるけれども、ヘッドレールから垂下された第1の昇降コードを第1の生地の後側に配し、ヘッドレールから垂下され第2の生地を昇降させる第2の昇降コードを第1の生地の上端付近に形成された挿通孔を介して第1の生地の後側から前側に導いて第2の生地の後側に配したので、第2の昇降コードを昇降させることにより第1の生地を昇降させることなくその第2の生地を確実に昇降させることができる。このため、第2の生地を昇降させる第2の昇降コードにおける機能に支障を生じさせることはない。
【0009】
この場合、ヘッドレールの前面壁に第1の生地の上端における後面を取付け、第1の生地の上端における前面にスペーサを取付け、第2の生地の上端における後面をスペーサに取付ければ、第1の生地と第2の生地との間にスペーサの厚さに等しい隙間を生じさせることができ、一方をたくし上げる際に他方が干渉して同時にたくし上げられるような事態を有効に回避することができる。また、ヘッドレールの前面壁に第1の生地の上端を取付け、第1の生地の上端とともに前面壁を前側から覆う補助壁をヘッドレールに形成し、その補助壁に第2の生地の上端が取付ければ、上述したスペーサを不要にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、ローマンシェード10は、固定用ブラケット11を介して壁面または天井面に取付けられるヘッドレール12を有する。図1に詳しく示すように、固定用ブラケット11はヘッドレール12を前後から把持する一対の爪11a,11cを有し、前爪11aが形成された第1ブロック体11bに対して、後爪11cを有する第2ブロック体11dが前後方向に移動可能に取付けられる。そして、第1ブロック体11bが壁面9に木ねじ8により固定される(図3)。ヘッドレール12はアルミニウム合金等の金属を押出成形することにより作られ、その横断面形状は、天板部12eと、その天板部12eの前後から適宜間隔を隔てて垂下する前面壁12a及び後面壁12bとを有する。天板部12eの前端及び後端には、取付ブラケット11の一対の爪11a,11cが係止する取付部12c,12dがその押出成形時に同時に形成される。第2ブロック体11dは図示しないバネにより一対の爪11a,11cの間隔を狭めるように付勢され、その一対の爪11a,11cでヘッドレール12を前後から支持することによりそのヘッドレール12は壁面9に対し略水平に固定される(図3)。
【0011】
図1に詳しく示すように、ヘッドレール12の前面壁12aは、生地を取付けるための壁となっており、面ファスナの一方16aを取付けるための溝12g、12hが上下に所定の間隔をあけて互いに向かい合うように開口して形成される。この溝12g、12hには帯状の面ファスナの一方16aにおける両側が挿入され、これにより面ファスナの一方16aがヘッドレール12の前面壁12aに取付けられる。また、第1の生地21の上端における後面にはこの面ファスナの一方16aに係脱可能な面ファスナの他方16bが逢着されて取付けられ、この面ファスナの他方16bを面ファスナの一方16aに係止させることにより、第1の生地21が着脱可能にヘッドレール12の前面壁12aに取付け6られる。
【0012】
一方、第1の生地21の上端における前面には別の面ファスナの一方17aが逢着されて取付けられ、この別の面ファスナの一方17aに係脱可能な別の面ファスナの他方17bはスペーサ18に取付けられる。スペーサ18は、アルミニウム等の金属又はゴム、軟質ポリエチレン、ポリブテン(polybutene)、ポリ塩化ビニル(PVC;poly vinyl chloride)又はエチレンビニールアセテート(EVA;Ethylene Vinyl Acetate)等の弾性体からなる長尺状の板材であって、ヘッドレール12と同等の長さを有しかつ所定の厚さtを有するものが用いられる。この所定の厚さtは第1及び第2の生地21,22を昇降させる際に一方が他方に干渉されない間隔に等しい厚さであって、5〜10mmであることが好ましい。この長尺状の板材からなるスペーサ18の一方の面に別の面ファスナの他方17bが接着される。そしてこの別の面ファスナの他方17bを別の面ファスナの一方17aに係止させることにより、第1の生地21の上端における前面にそのスペーサ18が取付けられる。
【0013】
また、スペーサ18の他方の面には更に別の面ファスナの一方19aが接着される。また、第2の生地22の上端における後面にはこの更に別の面ファスナの一方19aに係脱可能な更に別の面ファスナの他方19bが逢着されて取付けられる。そして、この更に別の面ファスナの他方19bを更に別の面ファスナの一方19aに係止させることにより、第2の生地22の上端における後面がスペーサ18に着脱可能に取付けられる。このようにして、第2の生地22はスペーサ18を介して第1の生地21の前面に取付けられ、第2の生地22が第1の生地21より前側になるように第1の生地21及び第2の生地22の双方の上端がこの順序でヘッドレール12の前面壁12aにそれぞれ取付けられる。
【0014】
ヘッドレール12の天板部12eと前面壁12aと後面壁12bにより囲まれた空間には、複数(図2の例では2個)のコード挿通部材14がヘッドレール12の長手方向の任意の位置に取付けられる。コード挿通部材14は、天板部12eと前面壁12aと後面壁12bにより囲まれた空間に着脱可能にはめ込まれ、ヘッドレール12の天板部12eと前面壁12aと後面壁12bにより囲まれた空間を上下に二分するように構成される。図1及び図2に示すように、コード挿通部材14により二分された下側の空間には複数本の第1の昇降コード23が挿通される。各第1の昇降コード23の一端部は、対応する所定のコード挿通部材14から垂下されて、第1の生地21に沿ってその後面に上下方向に所定間隔を空けて取付けられた複数のコードリング25aを挿通して、上下方向に配され、第1の生地21の下端に取付けられたウエイトバー26aまたは最下端のコードリング25aに連結される(図3では最下端のコードリング25aに連結される場合を示す。)。また、第1の昇降コード23の他端部は、コード挿通部材14を挿通して、図2において、ヘッドレール12の天板部12eと前面壁12aと後面壁12bにより囲まれた空間を右側に導かれて、ヘッドレール12の幅方向内側に設けられた停止手段であるストッパ28を挿通した後、そのヘッドレール12の右端部から垂下されて、操作つまみ30aに連結される。
【0015】
一方、天板部12eと前面壁12aと後面壁12bにより囲まれた空間がコード挿通部材14により二分された上側の空間には、複数本の第2の昇降コード24が挿通される。各第2の昇降コード24の一端部は、対応する所定のコード挿通部材14から垂下され、第1の生地21の上端付近に形成された挿通孔21aを挿通して、第1の生地21の後面側から前面側へと導かれる。その挿通孔21aの周囲の第1の生地21にはその部分の生地の解れを防止するリング部材21bが設けられる。挿通孔21aを挿通した第2昇降コード24は、更に、第2の生地22に沿ってその後面に上下方向に所定間隔を空けて取付けられた複数のコードリング25bを挿通して、上下方向に配され、第2の生地22の下端に取付けられたウエイトバー26bまたは最下端のコードリング25bに連結される(図3では最下端のコードリング25bに連結される場合を示す。)。また、第2の昇降コード24の他端部は、コード挿通部材14を挿通して、ヘッドレール12の天板部12eと前面壁12aと後面壁12bにより囲まれた空間を図2の右側に導かれて、ヘッドレール12の幅方向内側に設けられた停止手段であるストッパ28を挿通した後、ヘッドレール12の右端部から垂下されて、操作つまみ30bに連結される。
【0016】
ヘッドレール12の端部に設けられ第1及び第2の昇降コード23,24が挿通されたストッパ28は、操作つまみ30a,30bが設けられた側の昇降コード23,24の上昇を禁止又は許容するものであって、操作つまみ30a,30bが設けられた側の昇降コード23,24を下降させた後に上昇させると、その昇降コート23,24の上昇を禁止し、上昇が禁止された昇降コード23,24を一旦下降させると再びその昇降コード23,24の上昇を許容するように構成される。そして、ヘッドレール12の端部のストッパ28から垂下されて操作つまみ30a,30bが設けられた側の昇降コード23,24を上昇させると、ヘッドレール12のコード挿通部材14から垂下されて第1及び第2の生地21,22に連結された側の昇降コード23,24が下降し、逆にその操作つまみ30a,30bが設けられた側の昇降コード23,24を下降させると、第1及び第2の生地21,22に連結された側の昇降コード23,24が上昇してその第1及び第2の生地21,22をそれぞれたくし上げることができるように構成される。なお、第1及び第2の昇降コード23,24はそれぞれが別個独立して上下動させることができるものであるけれども、図2には操作つまみ30a,30bが設けられた側の昇降コード23,24を同時に上下動させるための連結部材31が設けられる。操作つまみ30a,30bより上方の第1及び第2の昇降コード23,24の双方はこの連結部材31に挿通され、この連結部材31を把持して上下動させることにより、操作つまみ30a,30bが設けられた側の第1及び第2の昇降コード23,24の双方が同時に上下動するように構成される。
【0017】
このように構成されたローマンシェードにおいて、各生地21,22をそれぞれ昇降させるのは、生地21または22に対応してヘッドレール12の左右側方にそれぞれ配される操作つまみ30aまたは30bを操作することにより行う。例えば、第1の生地21を上昇させる場合には、操作つまみ30aが設けられた側の第1の昇降コード23を下方に引き下ろすことにより、第1の生地21に連結された側の第1の昇降コード23が上昇し、その生地21にひだを形成しながらウエイトバー26aを上昇させる。そして、その上昇する第1の昇降コード23は順次コードリング25aに当接し、生地21は隣接するコードリング25a間でひだを形成しながら、たくし上げられる。操作つまみ30aの引き下ろし操作を緩めると、ストッパ28が第1の昇降コード23の上昇を禁止し、第1の生地21がたくし上げられた状態を維持する。逆に、生地21,22を下降させる場合には、操作つまみ30aを操作して(下方に少し引き下ろして)、ストッパー28を解除し操作つまみ30aが設けられた側の昇降コード23の上昇を許容し、第1の生地21に連結された側の昇降コード23をウエイトバー26a及び生地21の自重により下降させる。また、第2の生地22についても、同様に操作を行うことができる。
【0018】
このように構成されたローマンシェードでは、第1の生地21及び第2の生地22の双方の上端をヘッドレール12の前面壁12aに取付けるので、第2の生地22とヘッドレール12との間に第1の生地21が存在することになるけれども、ヘッドレール12から垂下された第1の昇降コード23を第1の生地21の後側に配し、ヘッドレール12から垂下され第2の生地22を昇降させる第2の昇降コード24を第1の生地21の上端付近に形成された挿通孔21aを介して第1の生地21の後側から前側に導いて第2の生地22の後側に配したので、第2の昇降コード24を昇降させることにより第1の生地21を昇降させることなくその第2の生地22を確実に昇降させることができる。このため、第2の生地22を昇降させる第2の昇降コード24における機能に支障を生じさせることはない。特にこの実施の形態では、第1の生地21の上端における前面にスペーサ18を取付け、第2の生地22の上端における後面をそのスペーサ18に取付けたので、第1の生地21と第2の生地22との間にスペーサ18の厚さに等しい隙間tを生じさせることができる。このため、一方をたくし上げる際に他方が干渉して同時にたくし上げられるような事態を有効に回避することができる。
【0019】
また、この第1の生地21と第2の生地22は図示しない家屋の開口部を室内側から覆うものであって、全く同じ生地としても良いが、例えば、第1の生地21を不透明生地とし、第2の生地22を暗幕生地として、2枚の生地で遮光効果を持たせるようにすることができる。但し、この組み合わせに限られず、一方の生地を透けて見える生地、他方の生地を不透明生地としたり、または2枚の生地を互いに異なる柄の生地としたり、種々の組み合わせとすることが可能である。このため、ヘッドレール12を壁面9等に取付けた後においても、第1及び第2の生地21,22は使用者の好みに応じて随時取り換えられ、その柄又は模様等が変更されるものである。ここで、従来のヘッドレールの後面壁に取付けられた第2の生地を取り換える作業は、ヘッドレールの後面壁と開口部上方の壁面との間の隙間が比較的小さいことに起因して、比較的困難であったが、本発明のローマンシェード10では、第1の生地21及び第2の生地22の双方の上端をヘッドレール12の前面壁12aに取付けるので、室内側から第1の生地21及び第2の生地22の双方の取付けを行うことができる。よって、ヘッドレール12の後面壁と開口部上方の壁面との間の比較的小さな隙間からその後面壁に第2の生地を取付ける従来に比較して、予め取付けられたヘッドレール12への生地21,22の取付けが比較的容易になる。
【0020】
なお、上述した実施の形態では、第1の生地21の上端における前面にスペーサ18を取付け、第2の生地22の上端における後面をそのスペーサ18に取付けたが、ヘッドレール12に取付けた第1及び第2の生地21,22が比較的柔らかいものであって、その内の一方の昇降が他方に影響を与えない場合には、このようなスペーサを設けることなく第1の生地21及び第2の生地22の双方の上端をヘッドレール12の前面壁12aに直接取付けるようにしても良い。この場合、図4に示すようにそれらを重合させても良く、図5に示すように上下にずらして取付けるようにしても良い。図4のようにすればヘッドレール12の上下寸法を小さくすることができ、図5のようにすれば第1の生地21と第2の生地22を同じ縫製仕様とすることによる作業の簡略化を図ることができる。
【0021】
また、上述した実施の形態では、第1の生地21の上端における前面にスペーサ18を取付け、第2の生地22の上端における後面をそのスペーサ18に取付けて、第1の生地21と第2の生地22との間に所定の隙間を生じさせた場合を説明したが、図6に示すように、このようなスペーサを設けることなく第1の生地21の上端とともに前面壁12aを前側から覆う補助壁12jをヘッドレール12に形成し、この補助壁12jに第2の生地22の上端を取付けるようにしてもよい。図5に示す補助壁12jは、前面壁12aの上縁から天板部12eに平行な連結板12kを室内側に向かって設け、その連結板12kの室内側端縁に補助壁12jの上縁を連結させることにより前面壁12aを前側から覆う補助壁12jをそのヘッドレール12に形成している。このような補助壁12jをヘッドレール12に形成すれば、第1の生地21と第2の生地22との間に前面壁12aと補助壁12jの間に連結板12kの幅に等しい隙間dを生じさせることができ、一方をたくし上げる際に他方が干渉して同時にたくし上げられるような事態を有効に回避することができる。この所定の厚さdは、第1及び第2の生地21,22を昇降させる際に一方が他方に干渉されない間隔に等しく、かつ、第1の生地21の取付け作業が容易となる12〜20mmであることが好ましい。そして、前面壁12aと補助壁12jをヘッドレール12に形成することにより部品定数が増加することを防止して、その管理負担を軽減させることもできる。
【0022】
更に、上述した実施の形態では、第1及び第2昇降コードをヘッドレール12の内部でその長手方向に案内し、ヘッドレールの端部から下方に垂らしたが、ヘッドレールの内部に昇降コードを巻き取り可能なドラムを設け、このドラムを回転させることにより昇降コードを上下動させるようにしても良い。即ち、図示しないが、ヘッドレール内に、ヘッドレールの長手方向に所定間隔を空けて複数のドラム受けを固定し、各ドラム受けにドラムを回転可能に支持させる。各ドラムには、第1又は第2の昇降コードの他端が巻き取り、巻き解き可能に連結される。それらの昇降コードの一端部は、ドラムから垂下されて、それぞれの生地の後面に沿って複数のコードリングを挿通して、上下方向に配され、それぞれの生地の下端に取り付けられたウエイトバーまたは最下端のコードリングに連結される。各ドラムには、回転軸が挿通されており、各ドラムは回転軸に対して一体回転するように構成される。回転軸はヘッドレール内を伸びて、その一端が操作部に連結される。操作部は、図示しないプーリーと、プーリーの下部に配置される係止部と、そのプーリーに巻き掛けられる操作チェーンとからなり、操作チェーンを回転操作することで、プーリー及び回転軸が回転し、ドラムが回転することができるように構成される。このようにすることにより、それぞれの生地の昇降はドラムの回転により行われ、その回転を操作チェーンにより行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明実施形態のローマンシェードを示す図2のA−A線断面図である。
【図2】そのローマンシェードの正面図である。
【図3】そのローマンシェードの右側面図である。
【図4】第1及び第2の生地の上端が重ねられてヘッドレールに取付けられた図1に対応する断面図である。
【図5】第1及び第2の生地の上端が上下にずらされてヘッドレールに取付けられた図1に対応する断面図である。
【図6】第2の生地が補助壁を介してヘッドレールに取付けられた図1に対応する断面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 ローマンシェード
12 ヘッドレール
12a 前面壁
12j 補助壁
18 スペーサ
21 第1の生地
22 第2の生地
23 第1の昇降コード
24 第2の昇降コード
21a 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレール(12)と、前記ヘッドレール(12)に上端がそれぞれ取付けられた第1及び第2の生地(21,22)と、前記ヘッドレール(12)から昇降可能に垂下されて前記第1及び前記第2の生地(21,22)にそれぞれ連結された第1及び第2の昇降コード(23,24)とを備えたローマンシェードにおいて、
前記第2の生地(22)が前記第1の生地(21)より前側になるように前記第1の生地(21)及び前記第2の生地(22)の双方の上端が前記ヘッドレール(12)の前面壁(12a)にこの順序で取付けられ、
前記ヘッドレール(12)から垂下された前記第1の昇降コード(23)を前記第1の生地(21)の後側に配し、
前記ヘッドレール(12)から垂下された前記第2の昇降コード(24)を前記第1の生地(21)の上端付近に形成された挿通孔(21a)を介して前記第1の生地(21)の後側から前側に導いて前記第2の生地(22)の後側に配した
ことを特徴とするローマンシェード。
【請求項2】
ヘッドレール(12)の前面壁(12a)に第1の生地(21)の上端における後面が取付けられ、前記第1の生地(21)の上端における前面にスペーサ(18)が取付けられ、第2の生地(22)の上端における後面が前記スペーサ(18)に取付けられた請求項1記載のローマンシェード。
【請求項3】
ヘッドレール(12)の前面壁(12a)に第1の生地(21)の上端が取付けられ、前記第1の生地(21)の上端とともに前記前面壁(12a)を前側から覆う補助壁(12j)が前記ヘッドレール(12)に形成され、前記補助壁(12j)に第2の生地(22)の上端が取付けられた請求項1記載のローマンシェード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−209639(P2007−209639A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34716(P2006−34716)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000109923)トーソー株式会社 (84)
【Fターム(参考)】