説明

ローラ形式の直動案内ユニット

【課題】転動体としてローラが組み込まれ,ケーシングを長く形成することに伴ってクラウニング部のクラウニング長さを長く形成され,高剛性で高精度で高寿命の性能を発揮できる。
【解決手段】ケーシング3の全長が軌道レールの幅の実質的に4倍に相当する長さに形成され,ケーシング3に形成された軌道面22の両端部29に形成されたクラウニング部10のクラウニング長さLcがローラの直径の実質的に4倍の長さに形成され,クラウニング深さHcがスライダ2に基本静定格荷重の半分の荷重の負荷によって生じるローラと軌道面との弾性変形量に対応した深さに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,軌道溝を備えた軌道レール及び該軌道レール上を転動体を介して相対移動するスライダから成るローラ形式の直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,直動案内ユニットは,工作機械,半導体製造奘置,測定装置,各種組立装置等の機械装置の摺動部に組み込まれて使用される不可欠な機械要素になっており,用途に合わせて,種々の形式のものや種々の大きさのものが商品化されている。また,各種の機械装置に組み込んで使用されるボールタイプの直動案内ユニットにおいて,スライダ本体即ちケーシングにクラウニングを施したものが種々開発されている。
【0003】
従来の直動案内装置について,本出願人が開発したケーシングにクラウニングを施した直動案内ユニットが知られている。該直動案内ユニットは,負荷路を構成するケーシングの軌道溝の出入口部において,転動体が負荷路に滑らかに出入り可能になる緩やかな曲面形状のクラウニング部と, 軌道溝の両端部に曲面形状のR面取り部とが形成され,クラウニング部とR面取り部との境界は連続的に角部無しに繋がって形成され,クラウニング長さが転動体の2個分の長さに形成されている。また,クラウニング深さは,基本静定格荷重の半分の荷重によって軌道溝に弾性変形が生じる弾性変形量に相当する値に設定されている。また,ケーシングの軌道溝は,クラウニング部と同時研削加工され,軌道溝とクラウニング部とが同一表面状態に形成されている(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,直動案内装置として,衝撃にも強く且つ転動体通過振動の抑制及び走行真直度の向上が得られ,摩擦力の変動が小さいというものが知られている。該直動案内装置は,案内レール,案内レール上を相対移動可能に跨架されたスライダから成り,該スライダがスライダ本体,エンドキャップ及び転動体から構成されている。また,スライダ本体は,負荷転動体転動溝の全長が転動体直径の20〜50倍に形成されたものになっている。従って,該直動案内装置は, スライダ本体の長さが長いものになっているだけである(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
また,リニアガイド装置として,クラウニング部の寸法を定めることによって転動体通過振動を低減したものが知られている。該リニアガイド装置は,レール軌道面を有する案内レールと,レール軌道面に対向配置されたスライダ軌道面を有しレール軌道面に沿って移動するスライダと,レール軌道面とスライダ軌道面との間に転動自在に配されたボールである転動体を備えており,スライダ軌道面の端部寄りに傾斜状のクラウニング部が形成され,クラウニング部の有効長さをLce,クラウニング部の全長をLc,ボールである転動体の直径をDa,及び面取り部の長さをCとすると,Lce/Da≧1であり,また,(Lc−C)/Da≦3に設定されたものである。また,上記リニアガイド装置は,剛性の低下を避けるために,クラウニング長さを少なくともLc/Da<3にすることを開示したものである(例えば,特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2005−273765号公報
【特許文献2】特開2000−46052号公報
【特許文献3】特開2004−138193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,工作機械,半導体製造奘置,測定装置,各種組立装置等の機械装置に組み込まれる直動案内ユニットは,高精度,例えば,サブミクロン(1/10000mm)レベルの走行精度・位置決め精度に高精度なものが求められると共に,機械装置における重量物,大型のワークに対しても適用可能であって高剛性のものが求められている。
【0007】
上記の機械装置に組み込まれる直動案内ユニットについては,高精度で高剛性に構成するため,上記の従来例のようにスライダのケーシングの軌道面にクラウニングを施すことが行われている。本出願人が開発した上記直動案内ユニットについては,ケーシングに施されたクラウニングは,そのクラウニング長さが転動体の2個分の長さに形成されているものであり,高剛性を確保するためケーシングの長さを長くした超ロングタイプでは,クラウニング長さは充分でなく,更なる適正化が必要になった。
【0008】
また,上記直動案内装置は,スライダ本体の長さが長いものになっているが,実質的に実施可能な構成を備えているか否かは分からないものである。また,上記リニアガイド装置では,転動体がボールについてのものであり,クラウニング長さもボール直径の1〜3倍程度であり,それ以上では剛性が低下するので避けるというものであり,4倍以上のクラウニング長さにするという技術的思想を有しておらず,高剛性で高精度を求められる装置では不十分なものであった。そこで,工作機械,半導体製造装置,測定装置,各種組立装置等の機械装置に組み込まれる直動案内ユニットとして,更に高精度で高剛性の性能を有し,耐久性に富むように構成するには,如何にするべきかの課題があった。
【0009】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,本出願人に係る上記直動案内ユニットを更に発展させたものであり,スライダを構成するケーシングの長さを更に長い超ロングタイプに形成した場合に,高剛性で高精度を確保するため,転動体としてボールではなくローラでなるタイプに構成し,クラウニング長さを効率的に実施可能な所望の性能を確保できる最大限の長さに長く延ばして形成したものであり,それに対応してクラウニング深さを効率的に実施可能な深さに形成したローラ形式の直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は,両側面の長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに跨架して複数の転動体を介して相対摺動自在なスライダを有し,前記スライダは,前記軌道レールの前記第1軌道面に対向する第2軌道面と前記第2軌道面に平行なリターン路とが形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面にそれぞれ位置して前記第1軌道面と前記第2軌道面との間に形成される軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されドキャップ,並びに前記軌道路,前記リターン路及び一対の前記方向転換路で構成される循環路を転走する前記転動体を有することから成る直動案内ユニットにおいて,前記転動体はローラでなり,前記ケーシングは全長が前記軌道レールの幅の実質的に4倍に相当する長さに形成され,前記第2軌道面の両端部に形成されたクラウニング部はクラウニング長さが前記ローラの直径の実質的に4±0.5倍の長さに形成され,クラウニング深さが前記スライダに基本静定格荷重の半分の荷重の負荷によって生じる前記ローラと前記第1軌道面及び前記第2軌道面との弾性変形量に対応する深さに形成されていることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
【0011】
この直動案内ユニットにおいて,前記クラウニング部は,曲面形状が前記長手方向に沿って単一曲率半径で形成され,前記第2軌道面の平面部と同時加工で連続して形成されている。また,この直動案内ユニットは,前記ケーシングの前記端面と前記クラウニング部の端部との間には,曲面形状のR面取り部が形成され,前記クラウニング部の前記端部と前記R面取り部とが連続的に角部無しの曲面形状に形成されているものである。
【0012】
この直動案内ユニットは,前記軌道レールには,前記長手方向に沿って複数の取付け用孔が形成され,前記取付け用孔間のピッチは,前記ケーシングの全長に対して3個〜4個の前記取付け用孔が掛かる長さに形成されている。
【0013】
また,この直動案内ユニットは,前記ケーシングには,長手方向に等間隔に3個ずつ且つ幅方向に等間隔に3個ずつの合計9個の取付け用ねじ孔が形成されている。即ち,前記ケーシングが長く形成されているので,その長手方向に3個ずつを形成できるものである。
【0014】
また,前記ケーシングは,移動方向の長さが前記エンドキャップの移動方向の長さの6.3〜8.3倍の長さである超ロングタイプに形成されている。
【発明の効果】
【0015】
この直動案内ユニットは,上記のように構成されており,軌道軸を含む軌道レール,及び軌道レールに転動体でなるローラを介して摺動自在なスライダから構成され,ローラがスライダを無限循環してなるローラタイプに適用したものであり,ケーシングの摺動方向即ち移動方向の長さを従来のロングタイプの長さより長く形成してクラウニング部をローラ直径で4倍に相当する長さに形成したものであり,より高剛性に構成され,より高精度の性能を達成でき,より耐久性に富んだものであり,従来からの各種の要望に応えられるものになっており,ケーシングの軌道面の両端部における負荷路である軌道路の出入口部が極小な部分であるにもかかわらず,クラウニング部の曲面形状を単一曲率半径でより簡単に形成でき,スライダの摺動特性に有効な高寿命な直動案内ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明による直動案内ユニットは,一般に,スライダを構成するケーシングの長さを大きく(長く)すればする程に,高剛性及び高精度になると認識されており,従来の直動案内ユニットが高剛性及び高精度の要求に応えるためケーシングの長さがロングタイプのものが使用されていたことを考慮して,更に超高剛性(レベル)及び超高精度(レベル)の要求に応えるため,ケーシングの長さを更に長くした超ロングタイプに形成されたものである。
【0017】
以下,図面を参照して,この発明によるローラ形式の直動案内ユニットの実施例を説明する。この発明による直動案内ユニットは,走行精度が高精度であって,転動体としてローラ5が組み込まれた高剛性なローラ形式のものであり,ケーシング3を長く形成すると共に,それに対応してケーシング3の軌道面22の両端部に形成するクラウニング部10の長さLcを実施可能な程度に長く構成して最適化を図ったものになっている。この直動案内ユニットは,具体的には,高剛性で高精度を実現するために,スライダ2のケーシング3の長さL1を効率的に実施可能な長さ即ち軌道レール1の幅Wの略4倍に相当する長さに長く延ばしたものであり,且つ走行精度についてより高精度を実現するため,軌道路30の入口の軌道面22に形成したクラウニング長さLcをローラ5の直径Daの4±0.5(=3.5〜4.5)倍の効率的に実施可能な長さに長くしたものである。この直動案内ユニットは,軌道レール1が軌道軸でなるタイプ等の形式のものにも適用できるものであり,高剛性であり,工作機械,半導体製造奘置,測定装置,各種組立装置等の機械装置の摺動部に使用されて好適である転動体がローラ5でなるローラ形式の直動案内ユニットにおいて実施したものである。
【0018】
図1及び図2に示すように,この直動案内ユニットは,両側面27の長手方向に沿ってそれぞれ一対の軌道面21(第1軌道面)が形成された長尺状の軌道軸を含む軌道レール1,及び軌道レール1に跨架して複数の転動体であるローラ5を介して相対摺動自在なスライダ2を有する。スライダ2は,主として,軌道面21に対向して形成された軌道面22(第2軌道面)及び軌道面21と軌道面22と間に構成される負荷軌道路である軌道路30に平行なリターン路15が形成されたケーシング3,ケーシング3の両端面26に固着されて軌道路30とリターン路15とを連通する方向転換路25が形成されたエンドキャップ4,及び軌道路30とリターン路15と一対の方向転換路25とから成る循環路35を転走するローラ5を有している。更に,この直動案内ユニットは,エンドキャップ4の外端面34に配置され且つ軌道レール1とスライダ2との隙間をシールするエンドシール8,軌道路30にてケーシング3の長手方向に対向して延び且つローラ5を保持する保持板14,及びスライダ2の下面に配置されて軌道レール1とスライダ2との間の隙間をシールするための下面シール16を有している。エンドキャップ4は,エンドキャップ本体6と,エンドキャップ本体6にケーシング3に対向する面に形成された凹部に嵌入されて方向転換路25を形成するスペーサ7とから構成されている。また,エンドキャップ4は,エンドキャップ本体6の上記凹部の壁面によって方向転換路25の外周面が形成され,スペーサ7の周面によって方向転換路25の内周面が構成するように形成されている。保持板14は,固定板28にボルトによってケーシング3に係着されている。ケーシング3に設けたリターン路15は,ケーシング3に形成された嵌挿孔24に嵌挿されたスリーブ19によって形成されている。
【0019】
図2に示すように,この直動案内ユニットは,スライダ2を構成するケーシング3とエンドキャップ4との両袖部37,38には,それぞれ一対の循環路35が形成され,一対の循環路35のうち,一方の循環路35を転走するローラ5は,スライダ2の下方向負荷を受ける下側の軌道路30からケーシング3の上側のリターン路15に循環し,他方の循環路35を転走するローラ5は,スライダ2の上方向負荷を受ける上側の軌道路30からケーシング3の下側のリターン路15に循環するように構成されている。方向転換路25は,エンドキャップ4の両袖部38においてたすき掛けに交差状態にそれぞれ形成されている。図3〜図5に示すように,この直動案内ユニットは,スライダ2に大きな荷重が負荷されながら,ローラ5が軌道面21と軌道面22との間の負荷域である軌道路30を転動するので,金属接触して異常摩耗や損傷が生じないように,グリース,潤滑油等の潤滑剤を給油することが不可欠なものになっており,エンドキャップ4には,軌道路30に給油するためのグリースニップル23が配設されており,グリースニップル23が取り付けられない給油口には止め栓36が取り付けられている。また,図6に示すように,この直動案内ユニットは,エンドキャップ4の外側の端面34とエンドシール8との間の対向端面には,給油装置を構成する潤滑プレート等でなる潤滑剤含浸部材9が配設されており,潤滑剤含浸部材9は,エンドキャップ本体6に形成された方向転換路25の外周面に露出する開口20を通じて方向転換路25を転走するローラ5に潤滑剤を常に供給するように機能し,それによって,この直動案内ユニットは,潤滑のメンテナンスフリーに構成されている。
【0020】
この発明による直動案内ユニットは,特に,転動体としてローラ5を使用するローラタイプであり,ケーシング3は,その全長が軌道レール1の幅Wの4倍に相当する長さに形成され,軌道面22の両端部29に形成されたクラウニング部10はクラウニング長さLcがローラ5の直径Daの4±0.5(=3.5〜4.5)倍の長さに形成され,クラウニング深さHcがスライダ2に基本静定格荷重(Co)の半分の荷重(0.5Co)の負荷によって生じるローラ5と軌道面21及び軌道面22との弾性変形量に相当する深さに,即ち,弾性変形量に対応して形成されていることを特徴としている。クラウニング部10は,曲面形状が長手方向に沿って単一曲率半径Rc(図7)で形成され,軌道面22の平面部11と同時加工で連続して形成されている。また,この直動案内ユニットは,ケーシング3の両端部において,ケーシング3の端面26とクラウニング部10の端部33との間には曲面形状のR面取り部12が形成され,クラウニング部10の端部33とR面取り部12とが連続的に角部無しの曲面形状にそれぞれ形成されている。軌道レール1には,長手方向に沿って複数の取付け用孔18が形成され,取付け用孔18間のピッチは,ケーシング3に3個〜4個の取付け用孔18が掛かる長さに形成されている。即ち,図3に示すように,軌道レール1に形成された取付け用孔18間のピッチ(1/2P,即ち0.5P)は,軌道レール1をベースに高精度に高剛性に固定するため,通常の軌道レールに形成されたピッチPの半分に形成されている。従って,この直動案内ユニットでは,軌道レール1に形成された取付け用孔18は,ケーシング3の全長L1に対して3個〜4個が掛かる状態になっており,更に,その範囲を特定すると,数式的には次のようになっている。3≦L1/0.5P≦3.5になっている。また,ケーシング3の長さについて,別の点から考慮すると,ケーシング3は,移動方向の長さL1がエンドキャップ4の移動方向の長さの6.3〜8.3倍の長さである超ロングタイプに形成されている。また,ケーシング3は,長手方向に等間隔に3個ずつ且つ幅方向に等間隔に3個ずつの合計9個の取付け用ねじ孔17が形成されるような超ロングタイプのものに形成されている。
【0021】
次に,図8を参照して,この直動案内ユニットについて,従来例の直動案内ユニットと比較しながら説明する。図8において,(A)が本発明品を示す超ロングタイプの直動案内ユニットであり,(B)がロングタイプ,(C)が標準タイプ及び(D)ショートタイプの従来品の直動案内ユニットである。これらの直動案内ユニットは,ケーシング3の長さL1,L2,L3,及びL4がそれぞれ異なったものである。これらの異なったタイプの直動案内ユニットについて,エンドキャップ4及びエンドシール8は,ローラ5の方向転換をスムーズに達成できることを考慮して,必然的に移動方向の長さがそれぞれ同一長さに形成されているものであり,軌道レール1は,断面形状が(幅W・高さh)が同一のものである。従来の直動案内ユニットでは,標準タイプに対して,ケーシング長さが長いロングタイプとケーシング長さが短いショートタイプとの種類があってそれぞれ形式化され,更に,軌道レール1の大きさ毎に同様の種類で形式化されている。また,従来の直動案内ユニットは,軌道レール1の大きさ毎ではローラ5の大きさがそれぞれ異なっており,軌道レール1の大きさ毎に呼び形番で形式区分され,呼び形番は,概して,軌道レール1の幅寸法Wの大きさ(mm)により呼称されている。即ち,エンドキャップ4は,ケーシング3の各種の長さにかかわらず,方向転換路25を転走するローラ5のサイズによって長さが決まってくるので,エンドキャップ4の長さを基準にしてケーシング3の長さの程度を表わすことができる。言い換えれば,この直動案内ユニットにおけるケーシング3は,例えば,従来の標準タイプのケーシングの長さの1.8倍の長さであり,従来のロングタイプのケーシングの長さの1,3倍の長さに形成された超ロングタイプである。
図8の(C)には,ケーシング長さL3でなる標準タイプが示されており,ケーシング長さL3は,エンドキャップ4の長さの略4倍の長さに形成されている。
図8の(D)には,(C)の標準タイプの直動案内ユニットに対して,ケーシング長さL4が短く形成されたショートタイプが示されており,ケーシング長さL4は,エンドキャップ4の長さの略2.5倍の長さに形成されている。
図8の(B)には,(C)の標準タイプの直動案内ユニットに対して,ケーシング長さL2が長く形成されたロングタイプが示されており,ケーシング長さL2は,エンドキャップ4の長さの略5.5倍の長さに形成されている。
これに対して,本発明品である図8の(A)には,ケーシング長さL1が,ロングタイプ(B)のケーシング長さよりも長く形成された超ロングタイプであり,ケーシング長さL1は,エンドキャップ4の長さの略7.5倍の長さ,全体的には6.3〜8.3倍の長さに形成されている。言い換えれば,本発明によるケーシング長さL1は,標準タイプのケーシング長さL3の1.8倍の長さ,ロングタイプのケーシング長さL2の1.3倍の長さ,及びショートタイプのケーシング長さL4の3倍の長さに形成されている。
【0022】
図6に示すように,この直動案内ユニットは,スライダ2が軌道レール1に沿って相対摺動走行すると,スライダ2の内部ではローラ5が軌道路30,方向転換路25,及びリターン路15で構成されている無限の循環路35を循環することになり,ローラ5が負荷域である軌道路30に出入りすることによって,ローラ5と軌道面21,22間とに弾性変形が生じ,また, 軌道路35のローラ数が変化することによって,スライダ2は,上下方向の変動,並びにモーメント荷重によってピッチング,ヨーイング及びローリングの3方向への姿勢変化が生じることになるが,軌道路30即ちケーシング長さL1を大きくすることによって,全体に占める変動率が小さくなって,スライダ2の姿勢変化を小さくしてスライダ2の走行精度を高めるものになっている。しかしながら,直動案内ユニットにおいて,ケーシング長さL1を大きくすると,図6に示されるように,ローラ5のローラ数が多くなり,ローラ5の循環抵抗が大きくなり,スライダ2の摺動抵抗が変動すること,また,ケーシング3の加工(精度)に限界があること等を考慮し,実現可能で最適化したケーシング長さL1を特定することが必要になる。この発明による直動案内ユニットは,上記のことを考慮して,ケーシング3の長さについて実施可能に最適化して構成したものになっている。
【0023】
特に,この直動案内ユニットは,図6及び図7に示すように,ケーシング3の軌道面22の両端部29にクラウニング部10を形成することによって,スライダ2の走行精度を向上させ,クラウニング長さLcを大きく(長く)形成することによって,更に高精度を達成できるようにしたものである。しかしながら,ケーシング3の加工限界があること等から,実現可能で最適化した長さのクラウニング部10を特定することが必要になる。この発明による直動案内ユニットは,上記のことを考慮して,ケーシング3の軌道面22の両端部29に形成されるクラウニング部10のクラウニング長さLcについて,実施可能に最適化して構成したものになっている。
【0024】
また,図9には,この直動案内ユニットについて,ケーシング3の最適化を算定するために,数値解析した結果が示されている。ケーシング3の長さの最適化は,図8の(B)に示す現状のロングタイプに対してどの位の長さに長くできるかを試算するものである。ケーシング3の各試料1〜5として各種の長さを持つケーシング3を準備し,試料1〜5に対して,(a)標準の長さのクラウニング部と(b)本発明の長さのクラウニング部10とをケーシング3の軌道面22にそれぞれ施し,それら試料1〜5の(a)と(b)とのスライダ2の上下動であるスライダ変動量(μm)を算定し,それらの算定結果の数値を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
表1において,(a)は従来の傾斜面状のクラウニング状態に形成されているケーシングであり,標準長さのクラウニングとして示している。(b)は上記従来例である本出願人に係る特許文献1に開示されているクラウニング形状を持つケーシングに対して,クラウニング長さLcを更に長くしたものであって,クラウニング長さLcをローラ5のローラ直径Daの実質的に4倍の長さに軌道面22に形成したものであって,4DaLcとして示している。
表1において,試料1を図8の(C)に示す標準タイプ,試料2を図8の(B)に示すロングタイプ,試料3を8Da,試料4を15Da,及び試料5を18Daとしている。 (1)試料3の8Daは,ケーシング3の長さを,図8の(B)に示すロングタイプよりもローラ径Daの8個分長くしたものであり,本発明の実施例に相当する。
(2)試料4の15Daは,ケーシング3の長さを,図8の(B)に示すロングタイプよりもローラ5のローラ径Daを15個分長くしたものである。
(3)試料5の18Daは,図8の(B)に示すロングタイプよりもローラ5のローラ径Daを18個分長くしたものである。
【0027】
上記スライダ変動量は,図2に示すように,4条列になる軌道路30にあって,各軌道路30におけるローラ5の移動配列位置による軌道面22との弾性変形状況から4条列の状態に合わせて,スライダ2の中心の上下動を算定したものになっている。
図9のグラフ及び表1に示すように,ロングタイプよりローラ5の8個分長くした試料3の8Daの変動量0.050μmは,試料4の15Daの変動量0.034μmと試料5の18Daの変動量0.029μmと比較して若干高いもののほぼ同様の値を示しており,スライダ2の変動量が小さく良好なものになっている。
また,ケーシング3の長さが試料3の8Daであれば,加工上において,試料4の15Da又は試料5の18Daに比較して,ケーシング3が短いだけ加工効率が良好なものになるものである。即ち,8Daは,特に,(b)4DaLcクラウニングにおいて,8Daのケーシング3よりも長い15Da及び18Daのケーシングに対して,略同等のスライダ変動量になっているので,ケーシング3のクラウニング部10の加工上の観点を考慮すると,ケーシング3の長さが8Daよりも長い15Da及び18Daに比較すれば,加工効率とする量産性が格段に良好になっている。また,実際に試作した結果から,試料4の15Daのものでは,高速摺動時(250mm/sec)において,ベース値の摺動抵抗の変動幅が大きなものになり,滑らかさに欠けるものになっており,満足できるものではなかった。また,実際に試作したクラウニング長さLcについて,ローラ直径Daの3倍に形成したもの3Daとローラ直径Daの5倍に形成したもの5Daとでは,走行振れが両者で略同一になり,ローラ直径Daの4倍に形成したもの4Daの走行振れと略同等であった。これらの現象を考慮すると,出来るだけ長く形成することが好ましいクラウニング長さLcは,加工上無理なく数値制御して加工可能であるローラ直径Daの4倍である4Daのものが最も好ましいものであることが分かる。更に,クラウニング長さLcの許容差を考慮すると,Lc=4Da±0.5Daとなり,ローラ5の直径Daの3.5〜4.5倍になることになる。
【0028】
また,実際に試作した結果からも,ケーシング3の長さ15Daのものでは,高速摺動時(250mm/sec)において,ベース値の摺動抵抗の変動幅が大きなものになり,滑らかさに欠けるものになっており,性能が満足できるものでなかった。クラウニング長さLcは,Lc=5Daで試作した結果,加工上に無理があり, 結局のところ,Lc=4Daが良好になった。また,図9には,呼び型番35番の解析結果を示しており,各形番でも同様になっている。上記の最適化により,本発明による直動案内ユニットは, ロングタイプのケーシング長さL2よりもローラの8個分長いケーシング長さL1に形成されていることが好ましいことが分かった。
【0029】
この発明による直動案内ユニットにおいて,ケーシング3のケーシング長さL1は,ロングタイプのケーシング長さL2の1.3倍になっており,結局のところ,呼び形番である呼び寸法の4倍の長さになっている。具体的には,実体寸法としては,呼び寸法に略同一寸法でなる軌道レール1の幅寸法Wの実質的に4倍の長さに形成されている。
直動案内ユニットについて,例えば,表2に示すようになっている。表2において,単位はmmである。
【0030】
【表2】

【0031】
この発明による直動案内ユニットは,図7に示すように,スライダ2が最適化された形状に形成されており,ケーシング3に形成されたクラウニング部10は,次のとおりになっている。この直動案内ユニットは,本出願人に係る特許文献1に開示されたクラウニングの技術的思想を踏襲して,更にクラウニング長さLcをローラ5の直径Daの略4個分の長さに長く形成したものになっている。図7は,図6の符号B部分の領域を拡大した図面であって,ケーシング3の軌道面22を長手方向に沿って垂直に断面した縦断面図であって,軌道面22の端部部分Bを拡大して図示したものである。クラウニング部10及びR面取り部12は,実際には,極小な部分になっており,目で見て分かり難いサイズであるので,図7では,その部分を説明のため誇張して拡大して示している。
【0032】
軌道路30を構成するケーシング3の軌道面22の出入口部である両端部29には,転動体のローラ5が軌道路30の負荷される平行部即ち平面部11に滑らかに出入り可能になる緩やかな曲面形状のクラウニング部10とクラウニング部10に続き,軌道面22の両端部29に曲面形状のR面取り部12が形成されており,クラウニング部10とR面取り部12との境界39は連続的に角部無しに滑らかに繋がって形成されている。ケーシング3の軌道面22は,クラウニング部10と平面部11とでなる軌道部30とが同時研削加工されて連続して滑らかに形成されており,しかも,クラウニング部10と軌道部30との表面が同一表面状態に形成され,クラウニング部10の始点領域40での角部が存在していない。クラウニング部10の曲面は,軌道面22の縦断面にあって垂直断面で見て,単一な曲率半径Rcからなる形状に形成されている。また,ケーシング3に形成されたクラウニング部10について, クラウニング長さLcは,ケーシング3の端面26から平面部11になる軌道部30までの長さLcを言い,ローラ5の直径Daの実質的に4個分(ローラ直径Da×4の寸法)の長さになっている。
【0033】
クラウニング深さHcは,軌道面22の平面部11とクラウニング部10との境界部分即ち始点領域40からクラウニング面がケーシング3の端面26と交わる交点までの垂直方向の量である。実際には,ケーシング3とエンドキャップ4のスペーサ7との当接面は,クラウニング深さHcよりも深い値Fになって,段差41(F−Hc)になっているので,軌道面22の端面をR面取り部12に形成して段差41の領域を滑らかに続くように形成されている。クラウニング深さHcは,この直動案内ユニットにおいて,スライダ2に基本静定格荷重(Co)の半分の荷重(0.5Co)を負荷した場合に,ローラ5によって軌道面22に弾性変形が生じる弾性変形量に相当する量に形成されており,言い換えれば,ローラ5と軌道面22との弾性変形量との合計に相当している。また,基本静定格荷重Coとは,使用に支障が無いように,この直動案内ユニットに予め決められた最大に負荷可能な静的荷重による負荷容量を言い,ローラ形式の直動案内ユニットでは,最大荷重を受けているローラ5と軌道面22との接触部中央において,一定水準の接触応力(=4000MPa)を生じさせる静荷重に規定されている。
【0034】
この直動案内ユニットでは,クラウニング部10は,具体的には,呼び型番35では,クラウニング長さLcは,16mmの長さに形成されており,また,クラウニング深さHcは,Hc=0.0212mmに形成されている。クラウニング長さLcの許容差を考慮すると,Lc=4Da±0.5Daである,言い換えれば,クラウニング長さLcは,ローラ5の直径Daの3.5〜4.5倍になる。また,クラウニング深さHcの許容差を考慮すると,Hc=0.0053Da±0.0020Daになる。
この直動案内ユニットでは,クラウニング深さHcは,ケーシング3自体に比較して小さいものであるので,エンドキャップ4のスペーサ7の周面(方向転換路25の内周面)との接続位置Fは,スペーサ7の位置許容差として±0.05mm程度に設定されるため,クラウニング深さHcよりも深くなり,そこに,上記のように段差41が形成されることになるので,段差41をスムーズに連絡するため,段差部分であるクラウニング部10とケーシング3の端面26との間における軌道面22には,曲面形状になるR面取り部12が形成されている。R面取り部12は,少なくとも垂直断面の曲率半径Rが0.1mm以上の曲面形状に形成されている。この直動案内ユニットは,ケーシング3の軌道面22の端部29にクラウニング部10を形成することによって,この直動案内ユニットは,上記のように構成されているので,高速,高加減速の使用環境にあっても,高精度で耐久性に富むものになっている。
【0035】
図3〜図5に示すように,この発明による直動案内ユニットは,ケーシング3の長さL1は,軌道レール1の幅Wの4倍(L1=4×W)に形成されており,クラウニング部10は,クラウニング長さLcがローラ5の直径の4個分(Lc=4×Da)にあって,なだらかな曲面形状に形成されている。従って,この直動案内ユニットは,高剛性且つ高精度以上の超高剛性且つ超高精度な構造に構成されている。更に,図4に示すように,この直動案内ユニットでは,軌道レール1をベッド32(図10)に固定するための取付け用孔18は,通常ピッチPの半分のピッチ(1/2)Pで形成され,ケーシング3には,4個の取付け用孔18が掛かるピッチになっている。図3では,ケーシング3には,3個の取付け用孔18が対応しているが,ケーシング3の長さL1は,1.5Pと2Pとの間の長さであり,L1は,略2Pからエンドキャップ長さを減じた値に相当している。これを更に範囲を特定して数式的に示すと,
3≦L1/0.5≦3.5でなり,1.5P≦L1≦1.75Pとなる。
軌道レール1を取付けボルトによりベース32に固定する場合に,軌道レール1の取付けボルトの締め込み部分が弾性変形を生じることになり,スライダ2の走行精度に影響を与えるものになっている。そこで,取付けボルトのピッチPを細かくすれば,弾性変形による変動が小さくなり,スライダ2の走行精度が良好になることはすでに分かっている。ここでは,取付け用孔18のピッチが細かすぎても,軌道レール1をベッド32に取り付けるために,加工や組立が面倒なものになってしまう。この直動案内ユニットは,通常ピッチPの半分のピッチ(1/2)Pでケーシング3に4本の取付けボルト即ち取付け用孔18が掛かるピッチで形成することによって,スライダ2の走行精度を良好なものにしている。また,この直動案内ユニットは, ケーシング3には,長手方向に等間隔に3個ずつ且つ幅方向に等間隔に3個ずつの合計9個の取付け用ねじ孔17が形成されている。それにより,スライダ2に重量物を搭載しても,スライダ2に均等に負荷され,スライダ2の安定した走行を実現している。
【0036】
図10〜図12に示すように,この発明による直動案内ユニットは,実質的に測定した実体の結果を示している。図10には,この直動案内ユニットをテーブル装置に組み込んだ場合に,テーブル31の走行精度を測定する測定装置が示されており,テーブル装置は,図10に示すピッチで,ベッド32上に一対の軌道レール1を取り付け,軌道レール1に2個のスライダ2が跨架して,4個のスライダ2上にテーブル31を取り付けたものになっており,テーブル31の中心からテーブル31の摺動方向に500mmに延ばした先端E点において,テーブル31を摺動させたときの先端E点の走行振れを測定するものになっている。
図11には,図10のテーブル装置で測定した結果を示し,先端E点の垂直成分の走行振れを示している。
(a)は,本発明品(呼び型番:♯45,重予圧T3(基本静定格荷重Coの0.08Co)である。
(b)は,ロングタイプ(♯45,T3予圧(0.08Co))である。また,ロングタイプのケーシング3間の間隔は,463mmになっている。
従って,この発明による直動案内ユニットは,図11から分かるように,走行距離(mm)に対する走行振れ(μm)がロングタイプの直動案内ユニットに比較してより走行振れの変動が小さくなっており,高精度なものになっていることが分かる。
また,図12には,スライダ2が水平状態で走行した場合の摺動抵抗の測定結果が示されている。
(a)は,本発明品(#45,T3予圧(0.0800))である。
(b)は,ロングタイプ(#45,T3予圧(0.08Co))になっている。
図12において,走行速度は,下の線が10mm/sec,上の線が100mm/secになっている。
従って,この発明による直動案内ユニットは,ロングタイプの直動案内ユニットと比較して,両方に走行速度(10mm/sec,100mm/sec)とも,走行距離における摺動抵抗がほとんど同様であり,滑らかな摺動を実現していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この直動案内ユニットは,工作機械,半導体製造装置,精密測定装置,組立装置等の各種の機械装置における摺動部に組み込まれて使用され,高精度として高走行精度,高速・高加減速における高耐久性に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明によるローラ形式の直動案内ユニットを断面部分を含んだ状態で示す斜視図である。
【図2】図1の直動案内ユニットにおけるA−A平面で断面した横断面図である。
【図3】図1の直動案内ユニットを示す正面図である。
【図4】図3の直動案内ユニットを示す平面図である。
【図5】図3の直動案内ユニットを示す側面図である。
【図6】図1の直動案内ユニットにおける循環路部分を断面して示す説明図である。
【図7】図6の循環路部分におけるB部分を拡大して示す拡大図である。
【図8】本発明品と従来例とを比較して示す説明図である。
【図9】本発明品と従来例とのスライダ変動量の解析結果を比較して示すグラフである。
【図10】本発明による直動案内ユニットを組み込んだテーブルの走行精度を測定するための測定装置を示す平面図である。
【図11】図10の測定装置で測定した結果を,本発明と従来例との比較を示すグラフである。
【図12】本発明と従来例との摺動抵抗の測定結果を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
【0039】
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5 ローラ(転動体)
10 クラウニング部
11 平面部
12 R面取り部
15 リターン路
16 下面シール
17 取付け用ねじ孔
18 取付け用孔
21 軌道面(第1軌道面)
22 軌道面(第2軌道面)
25 方向転換路
26 端面
27 側面
30 軌道路
35 循環路
Co 基本静定格荷重
Da ローラ直径
Hc クラウニング深さ
L1 ケーシング長さ
Lc クラウニング長さ
P ピッチ
Rc クラウニングの単一曲率半径
W 軌道レールの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側面の長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに跨架して複数の転動体を介して相対摺動自在なスライダを有し,前記スライダは,前記軌道レールの前記第1軌道面に対向する第2軌道面と前記第2軌道面に平行なリターン路とが形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面にそれぞれ位置して前記第1軌道面と前記第2軌道面との間に形成される軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されドキャップ,並びに前記軌道路,前記リターン路及び一対の前記方向転換路で構成される循環路を転走する前記転動体を有することから成る直動案内ユニットにおいて,
前記転動体はローラでなり,前記ケーシングは全長が前記軌道レールの幅の実質的に4倍に相当する長さに形成され,前記第2軌道面の両端部に形成されたクラウニング部はクラウニング長さが前記ローラの直径の実質的に4±0.5倍の長さに形成され,クラウニング深さが前記スライダに基本静定格荷重の半分の荷重の負荷によって生じる前記ローラと前記第1軌道面及び前記第2軌道面との弾性変形量に対応する深さに形成されていることを特徴とする直動案内ユニット。
【請求項2】
前記クラウニング部は,曲面形状が前記長手方向に沿って単一曲率半径で形成され,前記第2軌道面の平面部と同時加工で連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記ケーシングの前記端面と前記クラウニング部の端部との間には,曲面形状のR面取り部が形成され,前記クラウニング部の前記端部と前記R面取り部とが連続的に角部無しの曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記軌道レールには,前記長手方向に沿って複数の取付け用孔が形成され,前記取付け用孔間のピッチは,前記ケーシングの全長に対して3個〜4個の前記取付け用孔が掛かる長さに形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記ケーシングには,長手方向に等間隔に3個ずつ且つ幅方向に等間隔に3個ずつの合計9個の取付け用ねじ孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記ケーシングは,移動方向の長さが前記エンドキャップの移動方向の長さの6.3〜8.3倍の長さである超ロングタイプに形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−291932(P2008−291932A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138867(P2007−138867)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】