説明

ローリングサークル増幅およびSERS検出による生体分子の分析方法

本方法、組成物、およびシステムは、ローリングサークル増幅(RCA)およびラマン検出による生体分子130の検出、同定、および/または定量に関する。本発明の特定の態様において、RCAは対数RCAまたは線形RCAである。本発明のいくつかの態様において、ラマン検出はSERSまたはSERRSである。増幅される環状DNAテンプレート150、210、310は、1つまたは複数のポリチミジン320残基を含んでもよく、その結果、複数のポリアデニル酸340,420残基を含む増幅産物170、230、250、330、410が生じる。ポリアデニル酸340、420は、ラマン検出により直接検出してもよい。または、1つまたは複数のラマン標識を増幅産物170、230、250、330、410に組み込んで、ラマン検出を容易にしてもよい。LRCAまたはERCAにより生じる増幅、ならびに複数のポリアデニル酸340、420および/またはラマン標識により生じる増強されたラマンシグナルのため、開示された方法、組成物、および/またはシステムを用いた単一コピーの生体分子130の検出が実現可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明の態様は、生体分子130の分析の分野に関する。特に、ローリングサークル増幅および生体分子130のラマン検出に関連するシステム、組成物、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
医学診断、病理学、毒物学、疫学、生物戦(biological warfare)、環境試料採取、法医学、および他の多くの分野において幅広い潜在的用途を有する、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、脂質、多糖類、ホルモン、神経伝達物質、代謝産物などの低濃度の生体分子の高感度かつ正確な検出、同定、および/または定量は、達成しがたい目標であることがわかっている。現在の検出方法は典型的に、標的生体分子に結合することができる蛍光標識した捕捉分子またはリガンドの検出を含む。蛍光標識抗体またはプローブオリゴヌクレオチドが、それぞれ標的タンパク質または核酸に結合しかつこれを検出するために、典型的に用いられる。交差反応性および非特異的結合は、複合試料中における生体分子の蛍光検出を複雑にすることがある。高い特異性が得られる場合であっても、蛍光検出の感度は低濃度の生体分子を同定するのに不十分であることが多い。このことは、検出される生体分子が他の分子の複合混合物中に低濃度で存在する場合であって、干渉、蛍光消光、および高いバックグラウンド蛍光が全て、標的生体分子からのシグナルを不明瞭にするかまたは減少させるように作用しうる場合に、特にあてはまる。
【0003】
その他の検出様式、例えばラマン分光法および/または表面プラズモン共鳴が、生体分子の検出のために試みられている。光が有形の媒体(tangible medium)を通過するとき、一定量がその元の方向から進路を変えられる(ラマン散乱として公知の現象)。光の吸収、電子の高エネルギー状態への励起、それに続く異なる波長での光放射のため、散乱光の一部は、周波数においても元の励起光とは異なる。ラマン放射スペクトルの波長は、試料中の化学組成および光吸収分子の構造に特徴的であるが、光散乱の強度は試料中の分子の濃度に依存する。
【0004】
励起光ビームと試料中の個々の分子との間で生じるラマン相互作用の可能性は非常に低く、これがラマン分析の低い感度および限定された適用可能性をもたらす。粗くした銀表面の付近の分子は、6桁から7桁もの大きさの増強したラマン散乱を示すことが観察されている。この表面増強ラマン分光(surface enhanced Raman spectroscopy:SERS)効果は、金属ナノ粒子が、金属中の伝導電子の集合的共役(collective coupling)により、入射電磁放射に反応して顕著な光学的共鳴を示す、プラズモン共鳴の現象に関連している。本質的に、金、銀、銅、および他の特定の金属のナノ粒子は、電磁放射の局所効果を増強する微小な「アンテナ」として機能しうる。そのような粒子の近傍に位置する分子は、ラマン分光分析に関してより大きな感度を示す。
【0005】
典型的に、基板上に金属ナノ粒子をコーティングするか、または粗い金属膜を製造し、次いで試料を金属でコーティングされた基板に適用することにより、生体分子の検出および分析にSERSを利用する試みが行われてきた。しかし、平面基板に沈着することができる金属粒子の数は限られており、そのような基板を利用するSERSおよび関連するラマン技術に対して比較的低い増強係数(enhancement factor)を生じる。従って、現在のSERS検出法は、低濃度の生体分子を検出するのに十分な感度を示していない。高感度かつ特定の生体分子検出方法の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0006】
例示的態様の説明
定義
本明細書で使用される、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、項目の1つまたは複数を意味しうる。
【0007】
「核酸」は、DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)、それらの一本鎖、二本鎖、三本鎖、または任意の化学的修飾物を包含する。この用語は、ペプチド核酸(PNA)、核酸類似体ペプチド(NAAP)、およびロック核酸(locked nucleic acid)(LNA)を含むがこれらに限定されない、任意の公知の核酸類似体も包含する。「核酸」は、2つまたはそれ以上の塩基のオリゴヌクレオチドから全長染色体DNA分子までの、ほぼ任意の長さであってよい。「核酸」はオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。天然の核酸中のヌクレオチド残基は、典型的にホスホジエステル結合によって互いに結合されているが、開示された方法の範囲内において、ヌクレオチド残基はホスホジエステル結合または任意の他の公知の共有結合の型によって結合されていてもよい。
【0008】
「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」という用語は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、および/またはアミノ酸誘導体から構築されたポリマー分子を指すために本明細書において交換可能に使用される。これらの用語間の区別は、主に長さの区別であり、当業者は、以下の開示がタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに言及する場合、その用語が任意の長さのポリマーを包含することを認識すると考えられる。天然のタンパク質、ポリペプチド、およびペプチド中のアミノ酸残基は、典型的にペプチド結合によって互いに結合しているが、開示された方法の範囲内において、アミノ酸残基はペプチド結合または任意の他の公知の共有結合の型によって結合されていてもよい。
【0009】
本明細書において使用されるように、「生体分子」130、「分析物」130、および「標的」130という用語は、生物学的試料中における検出対象の任意の分子または分子の凝集物を指す。生体分子130の非限定的な例には、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ヌクレオシド、炭水化物、多糖類、糖タンパク質、脂質、ホルモン、成長因子、サイトカイン、神経伝達物質、レセプター、酵素、抗原、アレルゲン、抗体120、代謝産物、補助因子、栄養素、毒素、毒物、生物戦争薬剤(biowarfare agent)、生物災害薬剤、感染因子、プリオン、およびビタミンが含まれる。「生体分子」130は、単一の分子に限定されず、複雑な凝集物、例えばウイルス、細菌、サルモネラ属(Salmonella)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、レジオネラ属(Legionella)、大腸菌(E. coli)、ジアルジア属(Giardia)、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)、リケッチア属(Rickettsia)、胞子、カビ、酵母、藻類、アメーバ、渦鞭毛藻類、単細胞生物、病原体、または細胞を含みうる。
【0010】
「生物学的試料」とは、生物学的供給源から得られる、もしくは得ることができる任意の試料、および/または生物学的供給源からの物質を含む任意の試料である。「生物学的試料」には、血液、リンパ液、脳脊髄液、喀痰、精液、尿、糞便、毛嚢、涙液、上皮擦過物、細胞試料、組織資料、臓器試料、生検試料、培養細胞、ならびに細胞、組織もしくは臓器などの抽出物および/または破砕物が含まれるが、これらに限定されない。
【0011】
ローリングサークル増幅
本発明の様々な態様において、開示された方法は、ローリングサークル増幅(RCA)を含みうる。ローリングサークル増幅のための技術は当技術分野で公知である(例えば、Baner et al, Nucleic Acids Research, 26:5073-5078, 1998;Lizardi et al., Nature Genetics 19:226, 1998;Schweitzer et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:10113-119, 2000;Faruqi et al., BMC Genomics 2:4, 2000; Nallur et al., Nucl. Acids Res. 29:e118, 2001;Dean et al. Genome Res. 11:1095-1099, 2001;Schweitzer et al., Nature Biotech. 20:359-365, 2002;米国特許第6,054,274号、第6,291,187号、第6,323,009号、第6,344,329号および第6,368,801号を参照されたい)。線形RCA(linear RCA:LRCA)および指数RCA(exponential RCA:ERCA)を含む、RCAのいくつかの異なる変種が公知である。
【0012】
LRCA
図1にLRCAの一般的なプロトコルを例示する。この例において、RCA用のプライマー110を、生体分子130に結合し、かつこれを認識することができる抗体120に結合させる。したがって、このRCA変種は時にイムノRCA(immunoRCA)と称される(Schweitzer et al., 2000)。生体分子130は基板140に結合させてもよく、これによりシグナルの局在化および検出を可能にする。プライマー110に相補的な配列を有する一本鎖環状DNAテンプレート150を、プライマー110にハイブリダイズさせる。適切なdNTP(デオキシヌクレオシド三リン酸)前駆体および他の補助因子の存在下において、DNAポリメラーゼ160を添加すると、プライマー110が伸長される。テンプレート150の配列は環状であるため、テンプレート150の配列の複数のコピーが複製され、プライマー110に結合する。
【0013】
LRCA増幅産物170を同定するために、様々な検出技術が利用可能である。図1に示すように、通常の技術は、環状DNAテンプレート150の内部の配列に特異的にハイブリダイズすることができる、蛍光標識したオリゴヌクレオチドプローブ180を添加することである。プローブ分子180は、増幅産物170におけるテンプレート150配列の各々のコピーに結合することができ、生体分子130-抗体120複合体からの検出可能な蛍光シグナルを増大させる。一般的に、LRCAは低存在量の標的生体分子130の検出を容易にするために、約4桁(104)のシグナル増幅を提供する。
【0014】
ERCA
非常に低い存在量の標的生体分子130の検出に関して、LRCAプロトコルは、高感度でかつ信頼性のある検出に十分なシグナル増幅を提供しない可能性がある。もう一つのRCA変種、指数RCA(ERCA)が、ローリングサークル技術を用いたさらなるシグナル増幅を提供するために開発された(図2)。
【0015】
図2は例示的なERCAプロトコルを示す(Lizardi et al., 1998)。環状一本鎖DNAテンプレート210を、第1のプライマー220(P1)にハイブリダイズさせる。DNAポリメラーゼ160、dNTP、および補助因子を添加し、テンプレート210の配列を複製してRCA増幅産物230を形成させる。増幅産物230が環状テンプレート210の周囲で伸長すると、それが第1のプライマー220の5'末端をテンプレート210からはずし、その結果、環状テンプレート210から離れて伸長する一本鎖DNA分子230を生じる。ERCAプロトコル(図2)のこの部分は、LRCAプロトコル(図1)に類似している。
【0016】
LRCAとERCAの主な違いは、第1のプライマー220から離れた位置においてテンプレート210の配列の相補物(complement)に結合することができる、第2のプライマー240(P2)を添加する点にある。第2のプライマー240は、伸長した一本鎖増幅産物230にハイブリダイズすることができる。第2のプライマー240の3'末端にヌクレオチドを付加することにより、第2の鎖の増幅産物250が形成される(図2)。第2の鎖250の成長(3')末端が隣接する第2のプライマー240に達すると、プライマー240およびその結合した第2の鎖250が、初期の増幅産物230からはずされる。この結果、RCA増幅産物230、250において分岐260が形成される。第1のプライマー220のさらなるコピーが分岐260の各々に結合することができ、その結果標的生体分子130から検出可能なシグナルがさらに増幅される。ERCAの最終結果は、指数的なシグナル増幅を提供することができる、高度に分岐した増幅産物230、250である。
【0017】
ERCAは、約109の増幅係数(amplification factor)、またはLRCAで認められるものよりも約105大きい増幅を提供する。しかしながら、ERCAは一般に蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブ180とのハイブリダイゼーションによる生体分子130の検出には不適当である。ERCA過程(図2)の後、増幅産物230、250の大部分は二本鎖核酸からなる。LRCAから得られるような、ハイブリダイズしていない一本鎖増幅産物170の伸長領域は存在しない。したがって、標識オリゴヌクレオチドプローブ180のハイブリダイゼーションは、LRCAよりもERCAと共に実施するほうがより困難である。二本鎖ERCA増幅産物230、250を一本鎖に分離することができる技術(例えば、熱、低塩濃度、pH、界面活性剤)は、多重チップアッセイ法における生体分子130の検出を複雑かつ困難にする。蛍光標識ヌクレオチドは、原理的にはERCA増幅産物230、250に直接組み込まれるが、dNTP前駆体の実質的な部分に共有結合されたかさ高い蛍光基の存在により、DNAポリメラーゼ160の活性の効率が悪影響を受ける可能性がある。さらに、隣接する蛍光色素分子の自己消光は、シグナル強度を減少させると考えられる。自己消光は、標識プローブ180が互いに非常に近接して位置する場合、LRCAにおいても起こりうる。最後に、蛍光標識プローブ180の使用は、生体分子130の検出に必要とされる費用および時間を増加させる。
【0018】
ラマン検出
ラマン分光法
本発明の一定の態様において、標的生体分子130を検出、同定、および/または定量するために、ローリングサークル増幅をラマン検出と組み合わせて使用してもよい。表面増強ラマン分光法(SERS)、表面増強共鳴ラマン分光法(surface enhanced resonance Raman spectroscopy:SERRS)、通常ラマン散乱、共鳴ラマン散乱、コヒーレント反ストークスラマン分光法(coherent anti-Stokes Raman spectroscopy:CARS)、誘導ラマン散乱、逆ラマン分光法(inverse Raman spectroscopy)、誘導ゲインラマン分光法、ハイパーラマン散乱、分子光学レーザーエグザミナー(molecular optical laser examiner:MOLE)もしくはラマンマイクロプローブもしくはラマン顕微鏡法もしくは共焦点ラマン顕微分光法、三次元もしくは走査ラマン、ラマン飽和分光法、時間分解共鳴ラマン、ラマン脱共役分光法(Raman decoupling spectroscopy)、またはUV-ラマン顕微鏡法を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意のラマン検出様式を使用してもよい。
【0019】
本発明の特定の態様において、SERSまたはSERRSなどの表面増強ラマン技術を、RCA増幅産物170、230、250、330、410を検出するために使用してもよい。そのような技術は、銀、白金、銅、アルミニウム、または金などの特定の金属の粗い表面140に吸着した分子のラマンシグナルの増強に依存する。SERSおよびSERRSにおいて、ラマン検出の感度は106倍またはそれ以上に増強されうる。核酸などの生体分子130のSERS検出方法は、当技術分野で公知である。典型的に、そのような方法は、基板140および/または支持体上にコーティングされた、凝集した銀ナノ粒子などのコロイド金属粒子を利用してきた(例えば、米国特許第5,306,403号、第6,149,868号、第6,174,677号、第6,376,177号)。しかしながら、生体分子130の検出のための以前のSERS技術またはSERRS技術では、感度および/または特異性が不十分であった。本発明の方法、組成物、およびシステムの範囲内における、ラマン検出のさらなる詳細を以下に提供する。
【0020】
ラマン標識
本発明のいくつかの態様において、RCA増幅産物170、230、250、330、410を、組み込まれたヌクレオチドの直接検出によって検出してもよい。例えば、アデニン部分またはグアニン部分を含むプリンヌクレオチドは、SERSまたはSERRSによって検出することができる固有のシグナルを示す。別の態様において、RCA増幅産物170、230、250、330、410に組み込まれるヌクレオシド三リン酸前駆体の一部を、1つまたは複数のラマン標識で標識し、それらの検出、同定、および/または定量を容易にしてもよい。他の別の態様において、ヌクレオシド三リン酸前駆体を、スルフヒドリル、アミノ、カルボキシル、マレイミド、ビオチン、および/または当技術分野で公知の他の反応性部分などの反応性基で、共有結合的に修飾してもよい。RCA増幅産物170、230、250、330、410に組み込んだ後、修飾ヌクレオチドを、共有結合的または非共有結合的に反応性基に結合するよう設計された1つまたは複数のラマン標識で標識してもよい。ラマン標識を組み込むもう一つの方法は、標識をRCA増幅産物170、230、250、330、410に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ180と結合させ、オリゴヌクレオチド180をRCA増幅産物170、230、250、330、410にハイブリダイズさせるものである。そのようなハイブリダイゼーション技術は、RCAプロトコルが主に一本鎖の産物170、330を生じる場合に単純化される。そのような増幅後修飾は、例えば、ヌクレオシド三リン酸前駆体上のかさ高いラマン標識の存在が、DNAポリメラーゼ160の活性を妨げる可能性がある場合に使用されうる。
【0021】
生体分子130を検出するために役立つ様々なラマン標識が、当技術分野において公知であり(例えば、米国特許第5,306,403号、第6,002,471号、第6,174,677号)、任意のそのような公知のラマン標識を使用してもよい。ラマン分光法に使用することができる標識の非限定的な例には、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、NBD(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール)、テキサスレッド色素、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クレシルファストバイオレット、クレシルブルーバイオレット、ブリリアントクレシルブルー、パラ-アミノ安息香酸、エリスロシン、ビオチン、ジゴキシゲニン、5-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン、5-カルボキシ-2',4',5',7'-テトラクロロフルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン、5-カルボキシローダミン、6-カルボキシローダミン、6-カルボキシテトラメチルアミノフタロシアニン、アゾメチン、シアニン、キサンチン、スクシニルフルオレセイン、およびアミノアクリジンが含まれる。これらの標識および他のラマン標識は、商業的供給源(例えば、Molecular Probes, Eugene, OR)から得ることができる。
【0022】
当技術分野で公知のように、多環芳香族化合物は、一般にラマン標識として機能しうる。本発明の特定の態様に役立ちうるその他の標識には、シアン化物、チオール、塩素、臭素、メチル、リン、および硫黄基が含まれる。本発明の一定の態様において、カーボンナノチューブをラマン標識として使用してもよい。
【0023】
標識は核酸に直接結合させてもよく、または様々なリンカー化合物を介して結合させてもよい。または、ラマン標識に共有結合的に結合させたヌクレオチド前駆体を、標準の商業的供給源(例えば、Roche Molecular Biochemicals, Indianapolis, IN;Promega Corp., Madison, WI;Ambion, Inc., Austin, TX;Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)から購入してもよい。ヌクレオチドまたは核酸などのその他の分子と共有結合的に反応するよう設計された反応性基を含むラマン標識が、市販されている(例えば、Molecular Probes, Eugene, OR)。標識ヌクレオチドを調製し、それを核酸に組み込む方法は公知である(例えば、米国特許第4,962,037号;第5,405,747号;第6,136,543号;第6,210,896号)。
【0024】
ラマン検出ユニット
ラマン分光法において有用でありうる様々な検出ユニットが当技術分野において公知であり、任意の公知のラマン検出ユニットを用いてよい。ラマン検出ユニットの非限定的な例は、米国特許第6,002,471号に開示されている。この例において、励起ビームは、532nm(ナノメートル)波長のNd:YAGレーザー、または365nm波長のTi:サファイアレーザーのいずれかによって生成される。パルスレーザービームまたは連続レーザービームを使用してもよい。励起ビームは、共焦点光学系(optics)および顕微鏡の対物レンズを通過し、結合した生体分子標的130を含む基板140上に集束されうる。RCA増幅産物170、230、250、330、410からのラマン放射光は、スペクトル分離のためのモノクロメーターに連結された、顕微鏡の対物レンズおよび共焦点光学系によって収集されうる。共焦点光学系は、バックグラウンドシグナルを低減するための、二色フィルター、バリアフィルター、共焦点ピンホール、レンズ、およびミラーの組み合わせを含みうる。共焦点光学系と同様に、標準全領域光学系(standard full field optics)を使用することができる。ラマン放射シグナルをラマン検出器によって検出してもよい。検出器は、シグナルの計数およびデジタル化のためのコンピュータと接続(interfaced)したアバランシェフォトダイオードを含みうる。標的生体分子130のアレイを分析する場合、光学検出系は、ラマンシグナルを検出し、かつチップまたはグリッド上の特定の位置に限局化させるように設計されうる。例えば放射光は、CCD(電荷結合素子)カメラ、または検出領域内の複数のピクセルもしくはピクセル群からの光放射を同時に測定することができるその他の検出器に導かれうる。
【0025】
ラマン検出ユニットの別の例は、例えば米国特許第5,306,403号に開示されており、単一光子計数モードで動作させた、ガリウム砒素光電子増倍管(RCA Model C31034またはBurle Industries Model C3103402)を備えるSpex Model 1403二重格子分光光度計(double-grating spectrophotometer)を含む。励起源は、SpectraPhysics、Model 166からの514.5nmラインアルゴンイオンレーザー、およびクリプトンイオンレーザーの647.1nmライン(Innova 70、Coherent)である。
【0026】
別の励起源には、337nmの窒素レーザー(Laser Science Inc.)および325nmのヘリウム-カドミウムレーザー(Liconox)(米国特許第6,174,677号)が含まれるが、これらに限定されない。励起ビームは、帯域フィルター(Corion)を用いてスペクトル的に精製されてもよく、6×対物レンズ(Newport, Model L6X)を用いて基板140に集束されうる。励起ビームおよび放射されたラマンシグナルに対して直角の幾何学(right-angle geometry)を生じるためのホログラフィックビームスプリッター(Kaiser Optical Systems, Inc., Model HB 647-26N18)を用いることにより、RCA増幅産物170、230、250、330、410を励起するため、およびラマンシグナルを収集するための両方に対物レンズを使用してもよい。レイリー散乱放射を低減させるためにホログラフィックノッチフィルター(Kaiser Optical Systems, Inc.)を使用してもよい。別のラマン検出器には、赤色増強増感型電荷結合素子(RE-ICCD)検出システム(Princeton Instruments)を備えたISA HR-320分光写真器が含まれるが、これに限定されない。電荷注入素子(charged injection device)、フォトダイオードアレイ、またはフォトトランジスタアレイなどの他の種類の検出器を使用してもよい。
【0027】
ラマン活性金属のナノ粒子
本発明の一定の態様において、SERSまたはSERRSによるラマンシグナル検出を容易にするために、金または銀ナノ粒子などのラマン活性金属粒子を、結合したRCA増幅産物170、230、250、330、410を含む基板140に添加してもよい。例えば、コロイドナノ粒子のスラリーを、アレイ上の各生体分子130の位置からのSERSまたはSERRSシグナルを提供するのに十分なナノ粒子密度で、生体分子130のアレイ上に流すことができる。または、ナノ粒子を、各位置からのSERSまたはSERRSシグナルを提供するのに十分な密度で、生体分子130のアレイまたは他の基板140上に直接沈着することができる。表面増強ラマンシグナルを提供する任意のナノ粒子密度を使用してもよいが、本発明の特定の態様において、隣接するナノ粒子またはナノ粒子凝集物の間に1nmから20nmの分離を提供する粒子密度が使用されうる。本発明のいくつかの態様において、ナノ粒子はRCA増幅産物170、230、250、330、410との直接相互作用によって形成されてもよい。例えば、結合したRCA増幅産物170、230、250、330、410を含むアレイを、グルタルアルデヒドなどのアルデヒドで処理することができる(例えば、Keren et al., Science 297:72-75)。アルデヒド基は核酸を共有結合的に修飾することができ、核酸を金属塩の還元剤にする。修飾された核酸は、金属陽イオンを含む金属塩溶液、例えば硝酸銀溶液(0.2〜2.0MのAgNO3を含む)に曝露されうる。Ag+陽イオンはアルデヒド基により還元され、RCA増幅産物170、230、250、330、410と密接に結合した銀ナノ粒子を生じる。
【0028】
ナノ粒子を調製する別の方法も公知である(例えば、米国特許第6,054,495号;第6,127,120号;第6,149,868号;Lee and Meisel, J. Phys. Chem. 86:3391-3395、1982)。ナノ粒子をナノプリズムの形態で産生してもよい(Jin et al., 「Photoinduced conversion of silver nanospheres to nanoprisms」, Science 294:1901, 2001)。また、ナノ粒子を商業的供給源(例えば、Nanoprobes Inc., Yaphank, NY;Polysciences, Inc., Warrington, PA)から得てもよい。
【0029】
本発明の一定の態様において、ナノ粒子は、ナノ粒子の無作為凝集物(コロイドナノ粒子)であってもよい。本発明のその他の態様において、ナノ粒子は、二量体、三量体、四量体、または他の凝集物などの、特定のナノ粒子の凝集物を生じるために架橋されてもよい。本発明の一定の別の態様は、大きさの異なる凝集物の不均一な混合物を使用しうる一方、その他の別の態様は、ナノ粒子凝集物の均一な集団を使用しうる。本発明の一定の態様において、選択された数のナノ粒子を含む凝集物(二量体、三量体など)を、ショ糖勾配溶液中での超遠心などの公知の技術によって、濃縮または精製してもよい。
【0030】
ナノ粒子を架橋する方法は、当技術分野で公知である。(例えば、Feldheim, 「Assembly of metal nanoparticle arrays using molecular bridges」, The Electrochemical Society Interface, Fall, 2001, pp. 22-25を参照されたい)。金ナノ粒子と、末端チオール基またはスルフヒドリル基を保持するリンカー化合物との反応が公知である(Feldheim, 2001)。本発明のいくつかの態様において、ナノ粒子を互いに架橋して凝集物を形成してもよい。その他の態様において、ナノ粒子は、潜在的にRCA増幅産物170、230、250、330、410に直接結合させることができる。他のナノ粒子またはRCA増幅産物170、230、250、330、410に架橋するのに適した修飾ナノ粒子が市販されている(Nanoprobes, Inc.(Yaphank, NY)のNanogold(登録商標)ナノ粒子など)。Nanogold(登録商標)ナノ粒子は、単一または複数のマレイミド、アミン、またはその他の基のいずれかがナノ粒子ごとに結合した状態で入手することができる。Nanogold(登録商標)ナノ粒子は、電場におけるナノ粒子の操作を容易にするために、正または負のいずれかに荷電した形態でも利用可能であり、動電学的工程または他の工程によるナノ粒子の操作を可能にする。
【0031】
生体分子アレイ
本発明の一定の態様において、標的生体分子130および/またはRCA増幅産物170、230、250、330、410を、基板140、アレイおよび/またはチップに結合させてもよい。本明細書において使用されるように、「チップ」、「基板」140、および「アレイ」という用語は交換可能に使用される。生体分子130チップの製造および使用方法は当技術分野で公知であり、そのような任意の公知の方法を使用してよい(例えば米国特許第5,143,854号;第5,874,219号;第6,040,138号;第6,124,102号;第6,203,989号;第6,225,625号;第6,252,236号;第6,399,365号;第6,410,229号;第6,416,952号)。異なる方法を用いて生体分子130チップを作製してもよく、これにはチップ表面140上に直接生体分子130または生体分子130のリガンドを合成することが含まれる。または、生体分子130またはそのリガンドを合成または精製し、その後チップ表面140に結合させてもよい。多くの別の方法、例えば、第1の捕捉抗体120をチップに結合させ、第1の抗体120を用いて標的生体分子130に結合しかつこれを固定化し、その後第2の標識抗体120を添加して生体分子130を検出する方法などが公知である。このような「サンドイッチ」アッセイ系を、図1に例示されるイムノRCAプロトコルにあるようなオリゴヌクレオチドプライマー110、220に共有結合的に結合した第2の抗体120と共に、本発明の方法において用いることができる。生体分子130に対するリガンドをチップに結合させる本発明の関連する態様において、その後リガンドを用いて生体分子130を結合させてもよい。生体分子130の異なる領域に結合する、抗体120などの第2のリガンドの結合により、リガンド-生体分子130複合体を検出してもよい。生体分子130アレイを作製するために使用してもよい様々なチップ基板140が市販されており(例えば、NanoChip(商標)System, Nanogen, San Diego, CA;GeneChip(登録商標), Affymetrix, Santa Clara, CA)、それらを使用してもよい。
【0032】
基板への生体分子の結合
本発明の様々な態様において、生体分子130は、固体基板140へ結合させることにより固定化されてもよい。生体分子130は、非共有結合または共有結合を伴う様々な公知の方法により固定化されてもよい。例えば、固定化は、固体基板140をストレプトアビジンまたはアビジンでコーティングし、ビオチンが結合した生体分子130を結合させることによって達成してもよい。固定化はまた、珪素、石英、PDMS(ポリジメチルシロキサン)または他の固体基板140をポリ-L-Lysまたはアミノシランでコーティングした後、アミノまたはスルフヒドリルのいずれかを含有する生体分子130を、二官能性架橋試薬を用いて共有結合させることによって起こりうる。潜在的に有用な二官能性架橋試薬には、グルタルアルデヒド、二官能性オキシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、およびカルボジイミド(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなど)が含まれる。
【0033】
本発明の別の態様において、生体分子130に結合される基板140は、標準的なフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて最初にパターン化し、生体分子130用のマイクロスケールまたはナノスケール結合領域を作製してもよい。例えば、基板140は金の薄層でコーティングされうる。金は、生体分子130のスルフヒドリル残基に直接結合されうる。または、メルカプト安息香酸および/またはメルカプトヘキサデカン酸などの連結基が、金パッチ(gold patches)上に単層を形成するために使用されうる(例えば、Liu and Amro, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:5165-70, 2002)。この場合、メルカプト部分が金パッチに結合し、例えば、単層上の酸部分と生体分子130上のアミノ基との間における、カルボジイミドに触媒される共有結合形成により、生体分子130の結合を可能にする。または、酸-酸二量体水素結合または酸無水物結合の形成が、単層上のカルボキシル基と生体分子130上の酸性残基との間で起こりうる。
【0034】
生体分子130上の酸性残基が、化学的に修飾された基板140(例えば酸で処理した珪素)に直接共有結合することにより、固定化が起こりうる。生体分子130と固体基板140との間の共有結合は、架橋試薬を用いた縮合により形成されうる。
【0035】
まず基板140をシラン処理し、その後カルボジイミドまたはグルタルアルデヒドで活性化することによって、生体分子130を基板140に結合させてもよい。別の手法は、アミノリンカーを介して連結した生体分子130と共に、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランまたはアミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)などの試薬を使用しうる。生体分子130を固定化するその他の方法が公知であり、それらを使用してもよい。本発明の一定の態様において、捕捉オリゴヌクレオチドを基板140に結合させてもよい。捕捉オリゴヌクレオチドは、核酸生体分子130の特異的配列にハイブリダイズすることができる。
【0036】
生体分子130の固定化に使用される基板140の種類は制限されない。様々な態様において、固定化基板140は、石英、PDMS、珪素、一酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素、ゲルマニウム、または当技術分野で公知の任意の他の基板140であってよい。
【0037】
微小電気機械システム(MEMS)
本発明のいくつかの態様において、結合した生体分子130および/またはRCA増幅産物170、230、250、330、410を含む基板140、アレイ、および/またはチップを、微小流体システムなどのより大きな装置および/またはシステムに組み込んでもよい。一定の態様において、基板140を微小電気機械システム(MEMS)に組み込んでもよい。MEMSは、機械的要素、センサー、アクチュエータ、および電子機器を含む統合システムである。それらの構成部分の全ては、シリコンベースの、または同等の基板140を含む通常のチップに対する、公知の微細加工技術により製造されうる(例えば、Voldman et al., Ann. Rev. Biomed. Eng. 1:401-425, 1999)。MEMSのセンサー構成部分は、機械的、熱的、生物学的、化学的、光学的、および/または磁気的現象(ラマン放射シグナルなど)を検出するために使用されうる。電子機器は、センサーおよび制御アクチュエータ構成部分(ポンプ、バルブ、加熱器、冷却器、フィルターなど)からの情報を処理することができ、それによりMEMSの機能を制御することができる。
【0038】
MEMSの電子機器構成部分は、集積回路(IC)工程(例えば、CMOS、Bipolar、またはBICMOS工程)を使用して製作されうる。それらは、コンピュータチップの製造で公知のフォトリソグラフィー法およびエッチング法を用いてパターン化されうる。微小機械構成部分は、シリコンウエハーの一部を選択的にエッチングして除くか、または新規の構造層を追加して機械的および/または電子機械的構成部分を形成する、適合した「微小マッチング(micromatching)」工程を用いて製作されうる。
【0039】
MEMS製造における基本技術には、基板140上に材料の薄膜を沈着させること、フォトリソグラフィー画像化法または他の公知のリソグラフィー法によって、膜の上面にパターン化されたマスクを適用すること、および膜を選択的にエッチングすることが含まれる。薄膜は、数ナノメートルから100マイクロメートルの範囲の厚さを有しうる。有用な沈着技術は、化学蒸着(CVD)、電着、エピタクシーおよび熱酸化などの化学的手法、ならびに物理蒸着(PVD)および鋳造などの物理的手法を含みうる。ナノ電気機械システムの製造法を本発明の一定の態様に使用してもよい(例えば、Craighead, Science 290:1532-36, 2000)。
【0040】
本発明のいくつかの態様において、1つまたは複数の基板140、アレイおよび/またはチップを、マイクロ流体チャネル、ナノチャネルおよび/またはマイクロチャネルなどの、様々な流体充填区画(fluid filled compartment)に接続してもよい。装置またはシステムのこれらの構成部分および他の構成部分は、単一のユニット、例えば半導体チップおよび/またはマイクロキャピラリーもしくはマイクロ流体チップにおいて公知のチップの形態で形成されてもよい。または、基板140、アレイおよび/またはチップを別個のユニットとして形成し、その後装置またはシステムの他の構成部分に結合させてもよい。基板140、アレイまたはチップの製造で公知の任意の材料を使用してもよく、これには珪素、二酸化珪素、窒化珪素、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、プラスチック、ガラス、石英などが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
チップのバッチ製作(batch fabrication)のための技術は、コンピュータチップ製造および/またはマイクロキャピラリーチップ製造の分野において周知である。そのようなチップは、当技術分野において公知の任意の方法、例えばフォトリソグラフィーおよびエッチング、レーザー切除、注入成形、鋳造、分子ビームエピタクシー、つけペン(dip pen)ナノリソグラフィー、化学蒸着(CVD)製作、電子ビームまたは集束イオンビーム技術、または刻印(imprinting)技術によって製造されうる。非限定的な例には、プラスチックまたはガラスなどの流動可能で光学的に透明な材料を用いた従来の成形;二酸化珪素のフォトリソグラフィーおよびドライエッチング;ポリメチルメタクリレートレジストを使用した電子ビームリソグラフィーによる、二酸化珪素基板140上のアルミニウムマスクのパターン化に続く、反応性イオンエッチングが含まれる。様々な形態の微細加工チップが、例えばCaliper Technologies Inc.(Mountain View, CA)およびACLARA BioSciences Inc.(Mountain View, CA)から市販されている。
【0042】
本発明の一定の態様において、装置またはシステムの一部または全ては、ガラス、珪素、石英、または他の任意の光学的に透明な材料などの、ラマン分光法に使用される励起および放射周波数の電磁放射に対して透過性であるように選択されうる。タンパク質、ペプチド、核酸、ヌクレオチドなどの様々な生体分子130に曝露されうる流体充填区画については、そのような分子に曝露されうる領域を、例えば、疎水性領域を親水性領域に変換する、および/または分子の吸着を減少させるコーティングにより改変してもよい。ガラス、珪素、石英、および/またはPDMSなどの通常のチップ材料の改変は、当技術分野で公知である(例えば米国特許第6,263,286号)。そのような改変には、市販されているキャピラリーコーティング(Supelco, Bellafonte, PA)を用いたコーティング、ポリエチレンオキシドもしくはアクリルアミドなどの様々な官能基を有するシランを用いたコーティング、または当技術分野で公知の他の任意のコーティングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
SERSおよびRCAを利用した生体分子検出
ローリングサークル増幅技術をSERSまたはSERRSと組み合わせて、広範な種類の生体分子130を検出、同定、および/または定量することができる。検出される生体分子130が核酸、ポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドである本発明の態様において、ローリングサークル増幅は単純明快である。標的核酸130の3'末端にハイブリダイズする配列を含むように、環状DNAテンプレート150、210、310を設計する。適切な前駆体、酵素、および補助因子を添加し、RCA増幅産物170、230、250、330、410を形成させる。LRCAまたはERCAのどちらを行うかに応じて、結果は一本鎖増幅産物170、330となるか、または分岐した二本鎖増幅産物230、250、410となる。ERCAの場合、標識オリゴヌクレオチドプローブ180を用いた蛍光検出は実現可能でない。LRCAまたはERCAのいずれかを用いれば、ラマン検出を使用して標的生体分子130を検出、同定、および/または定量することができる。
【0044】
本発明の別の態様において、標的生体分子はペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖類、糖脂質、または、結合および検出試薬として抗体120などのペプチドもしくはタンパク質リガンドを使用することができる、その他の分子であってもよい。そのような場合において、イムノRCAのいくつかの変種を、LRCAまたはERCAのいずれかと共に使用することができる。モノクローナル抗体120、ポリクローナル抗体120、抗体120断片(例えばFAb断片)、ヒト化抗体120、単鎖抗体120、およびキメラ抗体120を、商業的供給源から購入するか、または公知の技術(例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, 1988)により調製してもよい。公知の方法(例えば、Schweitzer et al., 2000; Schweitzer et al., 2002)を用いて、オリゴヌクレオチドプライマー110、220を、抗体120またはその他のタンパク質もしくはペプチドリガンドに結合させてもよい。
【0045】
プライマー110、220を抗体120または他のタンパク質に結合させるための様々な方法が公知である。例えば、スルフヒドリル残基をアクリダイト修飾プライマー110、220と共有結合的に架橋してもよい。スルフヒドリル残基はまた、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレートを架橋試薬として使用して、5'アミノ標識プライマー110、220と架橋してもよい。同じ架橋剤を使用して、リジン、アルギニン、またはN末端アミノ酸のアミノ基を、チオール化(thiolated)プライマー110、220に架橋してもよい。または、水溶性のカルボジイミドを使用して、5'カルボキシル化プライマー110、220をタンパク質のアミノ部分に架橋させてもよい。IO4とホウ化水素ナトリウムとの反応により、ヒドロキシル基(例えば、セリン、スレオニン)を5'アミノ基を含むプライマー110、220に架橋してもよい。プライマー110、220をタンパク質またはペプチドに架橋させる他の多くの方法が公知であり、それらを使用してもよい。
【0046】
本発明の例示的な態様が図3に示されており、これはLRCAと組み合わせたラマン検出を示す。図1のように、標的生体分子130は基板140に結合されうる。抗体120またはその他のタンパク質、ペプチド、もしくは核酸リガンドが利用可能な標的生体分子は、リガンドが関心対象の標的130に相対的に高い特異性で結合する限り、検出することができる。抗体120、ペプチドまたはタンパク質リガンドの場合、図3の抗体120により例示されるリガンドは、図1のようにオリゴヌクレオチドプライマー110に結合されると考えられる。
【0047】
いくつかの変形をラマン検出に利用してもよい。図3に示される例示的な態様において、1つまたは複数のポリチミジン320(T)残基を含むように設計された環状DNAテンプレート310を、オリゴヌクレオチドプライマー110にハイブリダイズさせる。DNAポリメラーゼ160、dNTP、および補助因子を添加すると、複数のポリアデニル酸340(A)残基を含む、伸長した一本鎖RCA増幅産物330が形成される。ポリアデニル酸340を、SERSまたはSERRSにより直接検出してもよい。または、固有のラマンサイン(signature)を有するように設計されたオリゴヌクレオチドプローブ180をLRCA増幅産物330にハイブリダイズさせ、検出することができる。
【0048】
以下の実施例1に開示されたラマン検出ユニットを使用して、わずか60分子のアデニンを含む試料中でSERSシグナルが検出されている(実施例1)。高濃度の蛍光部分が自己消光をもたらしうる蛍光検出とは対照的に、核酸へのアデニンの組み込みは自己消光ではなくシグナルの増強を生じる。30個の連続アデニン残基(A)30を含むポリアデニル酸分子340は、同数のデオキシアデノシン-5'-一リン酸(dAMP)分子の10倍に相当するSERSシグナルを生じた(データは示していない)。ポリアデニル酸340が組み込まれた一本鎖LRCA増幅産物330は、最大105個のアデニン残基を含むことができ、これにより単一コピーの標的生体分子130の検出を可能にする、非常に強力な増幅SERSシグナル350が得られる。
【0049】
同じ方法を、シグナル増幅がさらに大きいERCA(図4)とともに用いてもよい。プロトコルは、基板140に結合されうる生体分子130から始まる。図4の非限定的な例において、生体分子130はオリゴヌクレオチドプライマー110に結合した抗体120に結合する。図3にあるように、1つまたは複数のポリチミジン残基320を含む一本鎖DNAテンプレート310をプライマー110にハイブリダイズさせる。その後図2に例示されるERCAプロトコルを行い、その結果、複数のポリアデニル酸420残基を含む、高度に分岐したERCA増幅産物410が形成される。ERCA産物410中のポリアデニル酸420残基は、SERSまたはSERRSなどのラマン技術によって直接検出してもよい。または、増幅産物410は、検出、同定、および/または定量を容易にする1つまたは複数のラマン標識を組み込んでもよい。上述したように、ラマン標識は、ラマン標識で共有結合的に標識したヌクレオチド前駆体を使用して、増幅産物410に直接組み込むことができる。または、増幅産物410を合成した後にラマン標識を増幅産物410に添加することができる。いずれの場合においても、大幅に増幅したラマンシグナル430が生じると考えられる。
【0050】
ERCAプロトコルの結果、109またはそれ以上のラマンシグナル増幅が生じる。複数のポリアデニル酸420残基によって生じるシグナル増強と組み合わせて、ERCAとSERSまたはSERRS検出との組み合わせは、単一分子レベルに至るまでの、生体分子130の超高感度検出を可能にすると考えられる。これらの方法は、RCA増幅産物170、230、250、330、410の標準的な蛍光検出方法と比較して、有意に大きな感度を示す。LRCA増幅産物170、330の蛍光検出と比較して、ERCA増幅産物230、250、410のSERS検出は、シグナル強度の少なくとも3桁の増加を提供するはずである。
【0051】
どちらのRCAプロトコルでも、任意の公知の定量方法を使用して、試料中の1つまたは複数の標的生体分子130の量を定量することができる。例えば、放射されたラマンシグナル強度の検出、およびスポットの計数により定量を行ってもよい。スポット計数においては、狭いレーザー励起ビーム(直径1μm未満)を用いて表面または基板140を走査し、個々の増幅事象の数および何種類の増幅事象が所与の標的130に結合しているかを同定しうる。スポット計数法は、不完全または非効率なDNA増幅またはコロイド凝集に起因する強度の変動を回避することができる。
【0052】
実施例
実施例1:SERSによるRCA産物の検出
銀ナノ粒子の形成
SERS検出に使用する銀ナノ粒子を公知の方法により作成した(Lee and Meisel, 1982)。18mgのAgNO3を100mL(ミリリットル)の蒸留水に溶解し、加熱して沸騰させた。10mLの1%クエン酸ナトリウム溶液を、10分間にわたってAgNO3溶液に滴加した。溶液をさらに1時間沸騰させたままにした。得られた銀コロイド溶液を冷却して保存した。
【0053】
ラマン検出ユニット
励起ビームは、近赤外波長(750〜950nm)のチタン:サファイアレーザー(Spectra-PhysicsによるTsunami)、または785nmもしくは830nmの砒化アルミニウムガリウムダイオードレーザー(Process InstrumentsによるPI-ECLシリーズ)により生成された。パルスレーザービームまたは連続ビームを使用してもよい。励起ビームを、二色性ミラー(Kaiser Opticalによるホログラフィックノッチフィルター、またはChromaもしくはOmega Opticalによる干渉フィルター)により、収集されたビームと同一線上の幾何学へと反射させた。反射したビームは顕微鏡の対物レンズ(Nikon LUシリーズ)を通過し、標的生体分子130が位置する基板140上へ集束された。ラマン散乱光は同じ顕微鏡の対物レンズにより収集され、二色性ミラーを通過してラマン検出器へと入った。ラマン検出器は、集束レンズ、分光写真器、およびアレイ検出器を含んだ。集束レンズは、分光写真器の入口スリットを介してラマン散乱光を集束した。分光写真器(RoperScientific)は、光をその波長により分散させる格子を含んだ。分散された光は、アレイ検出器(operScientificによる背面照射(back-illuminated)深空乏型(deep-depletion)CCDカメラ)上に投影された。アレイ検出器は、データ転送および検出器機能の制御のためのコンピュータに接続した制御装置回路に接続された。
【0054】
アデニンのSERS検出
1mlの銀コロイド溶液を2mlの蒸留水で希釈した。希釈した銀コロイド溶液(160μl)(マイクロリットル)を、20μlの10nM(ナノモル濃度)アデニン溶液および40μlのLiCl(0.5モル濃度)とアルミニウムトレイ上で混合した。LiClはアデニンのラマン増強剤として作用した。試料中におけるアデニンの最終濃度は0.9nMであり、約100〜150フェムトリットルの検出容積において、推定60分子のアデニンを含んだ。ラマン放射スペクトルを、785nm励起での励起源を用いて、100ミリ秒の収集時間で収集した。
【0055】
図5に示すように、この手法は、強力な放射ピークが約833nmおよび約877nmにおいて検出されたことから、60分子のアデニンの高感度の検出を実証した。これらの結果は、RCA増幅産物170、230、250、330、410の構成部分であるアデニンの高感度の検出にSERSを使用することができることを実証する。
【0056】
ローリングサークル増幅
RCA増幅産物170、230、250、330、410を同定するためのSERS検出の有用性を実証した。1ピコモル(pmol)のRCAプライマー110、220を、0.1pmolの環状一本鎖M13 DNAテンプレート150、210、310に添加した。混合物を、1×T7ポリメラーゼ160緩衝液(20mM(ミリモル濃度)Tris-HCl、pH7.5、10mM MgCl2、1mM ジチオスレイトール)、0.5mM dNTP、および2.5単位のT7 DNAポリメラーゼ160とともに37℃で2時間インキュベートして、RCA増幅産物170、230、250、330、410を形成した。陰性対照は、同じ試薬をDNAポリメラーゼ160無しで混合し、インキュベートすることにより調製した。
【0057】
RCA産物のSERS検出
1μLのRCA産物170、230、250、330、410、および1μLの陰性対照を、別々にアルミニウムトレイ上にスポットし、風乾させた。各々のスポットを5μLの1×PBS(リン酸緩衝食塩水)で濯いだ。濯ぎは3回繰り返し、最後の濯ぎの後にアルミニウムトレイを風乾させた。
【0058】
上記のように調製した銀コロイド溶液1mlを、2mlの蒸留水で希釈した。希釈した銀コロイド溶液8マイクロリットルを、2μLの0.5M LiClと混合し、アルミニウムトレイにスポットしたRCA産物170、230、250、330、410に添加した。同じ溶液を陰性対照のスポットに添加した。ラマンシグナルは上記に開示したように収集した。結果を図6Aおよび図6Bに示す。図6Aに示すように、RCA産物170、230、250、330、410は、約833nmおよび約877nmにおける放射ピークにより、SERSにより容易に検出可能である。LiCl増強剤を用いるこのプロトコルの条件下においては、アデニン部分由来のシグナル強度は、グアニン、シトシン、およびチミンのものよりも遙かに強力である。陰性対照(図6B)は、増幅のない状態でシグナルが観察されなかったことから、ラマンシグナルがRCA産物170、230、250、330、410に特異的であったことを示す。1つのプライマー110、220しか添加しなかったため、図6は、SERSがLRCA増幅産物170、330を検出するために機能することを示す。ERCAを用いてより大きい倍率の増幅が提供されることから、ERCA増幅産物230、250、410は、さらに強力なシグナルを示すはずである。これらの結果は、LRCAおよびERCAをSERS検出と組み合わせて使用して、標的生体分子130を同定することができることを実証する。
【0059】
本明細書において開示かつ主張した全ての方法、組成物、およびシステムは、本開示に照らして、過度の実験を行わずに作製および使用することができる。主張される対象の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法、組成物、およびシステムに変更が適用されうることは、当業者に明らかであると考えられる。より具体的には、本明細書に記載される薬剤の代わりに関連する一定の薬剤が使用されうるが、同一または類似の結果が達成されることは明らかである。当業者に明らかなそのような代用物および改変は全て、主張される対象の趣旨、範囲、および概念の範囲内であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図面は本明細書の一部を形成し、本発明の一定の態様をさらに説明するために含まれる。態様は、これらの図面の1つまたは複数を、本明細書に提示された特定の態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、より理解されうる。
【図1】線形ローリングサークル増幅(LRCA)の方法を示す。開示されている特定の種類のアッセイ法は、オリゴヌクレオチドプライマー110に結合した抗体120を使用する、イムノRCA(ローリングサークル増幅)アッセイ法である。オリゴヌクレオチドプライマー110は、一本鎖環状核酸テンプレート150にハイブリダイズし、RCA工程の準備をする(prime)ことができる。
【図2】対数ローリングサークル増幅(ERCA)の方法を示す。第1のプライマー220(P1)が一本鎖環状核酸テンプレート210にハイブリダイズし、RCA工程の準備をする。第2のプライマー240(P2)が、増幅した一本鎖配列230内の別の部位にハイブリダイズし、相補鎖250の形成の準備をする。二次増幅産物250が隣接する増幅産物250の5'末端に達すると、鎖の置換(strand displacement)が起こり、その結果、増幅産物230、250において分岐部位260が形成される。
【図3】ポリアデニル酸340残基を含むLRCA産物330の、例示的なSERS検出法を示す。
【図4】ポリアデニル酸420残基を含むERCA産物410の、例示的なSERS検出法を示す。
【図5】アデニンの0.9nM(ナノモル濃度)溶液のSERS検出を示す。検出容積は100〜150フェムトリットルであり、推定60分子のアデニンを含んだ。
【図6A】一本鎖環状M13 DNAテンプレート150、210、310を使用したローリングサークル増幅産物170、230、250、330、410のSERS検出を示す。
【図6B】DNAポリメラーゼ160の非存在下における陰性対照を示す。ベースラインを拡大するため、吸光スケールは図6Bから変更されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つまたは複数の標的生体分子を基板に結合させる段階;
b)第1のプライマーを用いて1つまたは複数のローリングサークル増幅(RCA)産物を作製する段階;
c)各々の増幅産物をラマン分光法によって検出する段階;および
d)1つまたは複数の増幅産物の存在によって、1つまたは複数の標的生体分子を同定する段階
を含む方法。
【請求項2】
各々の増幅産物が標的生体分子に結合している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
標的生体分子が、核酸、ポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
核酸がRNAまたはDNAである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
第1のプライマーが標的生体分子の3'末端を含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
第1のプライマーが標的生体分子にハイブリダイズする、請求項3記載の方法。
【請求項7】
標的生体分子が、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
標的生体分子が1つまたは複数のリガンドに結合する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
リガンドが第1のプライマーに接合されている、請求項8記載の方法。
【請求項10】
リガンドが、抗体、抗体断片、単鎖抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ローリングサークル増幅が、線形RCA(LRCA)または指数RCA(ERCA)である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ラマン分光法が、表面増強ラマン分光法(SERS)または表面増強共鳴ラマン分光法(SERRS)である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
1つまたは複数のポリチミジン残基を含む環状一本鎖DNAテンプレートを、第1のプライマーにハイブリダイズさせる段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ローリングサークル増幅がERCAであり、第2のプライマーが増幅混合物に添加される、請求項11記載の方法。
【請求項15】
増幅産物を銀コロイド溶液に曝露する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
金属塩水溶液と増幅産物との反応により、金属ナノ粒子を生成する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
増幅産物をアルデヒドで処理して還元剤を形成する段階をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
金属塩が、Ag+、Cu+、Cu2+、Au+、Au3+、Pd2+、Pd4+、またはAl3+を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
1つまたは複数のラマン標識を増幅産物に組み込む段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数の標的生体分子の量を定量する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
a)基板に結合した1つまたは複数の標的生体分子;
b)標的生体分子に結合する1つまたは複数のローリングサークル増幅産物;および
c)該増幅産物を検出するためのラマン検出器
を含む、生体分子を検出するためのシステム。
【請求項22】
増幅産物を励起するための励起光源をさらに含む、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
光源がレーザーを含む、請求項22記載のシステム。
【請求項24】
ラマン検出器が、CCDカメラ、アバランシェフォトダイオード、分光光度計、光電子増倍管、分光写真器、電荷注入素子(charged injection device)、フォトダイオードアレイ、アレイ検出器、およびフォトトランジスタアレイからなる群より選択される1つまたは複数のユニットを含む、請求項21記載のシステム。
【請求項25】
金属ナノ粒子をさらに含む、請求項21記載のシステム。
【請求項26】
ナノ粒子が、銀、金、銅、白金、およびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1つの金属を含む、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
増幅産物に結合した1つまたは複数のラマン標識をさらに含む、請求項21記載のシステム。
【請求項28】
ラマン検出器からのデータを分析するためのコンピュータをさらに含む、請求項21記載のシステム。
【請求項29】
a)1つまたは複数の標的生体分子;
b)標的生体分子に結合する1つまたは複数のローリングサークル増幅産物;および
c)該増幅産物に近接する1つまたは複数のナノ粒子
を含む組成物。
【請求項30】
増幅産物が1つまたは複数のプライマーを含む、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
1つまたは複数のポリチミジン残基を含む環状DNAテンプレートをさらに含む、請求項29記載の組成物。
【請求項32】
ハイブリダイゼーション、インターカレーション、または増幅産物中の修飾塩基との反応を介して増幅産物に結合した、1つまたは複数のラマン標識をさらに含む、請求項29記載の組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate


【公表番号】特表2006−520608(P2006−520608A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508629(P2006−508629)
【出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/002391
【国際公開番号】WO2005/014860
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】