説明

ロール状転写フィルムおよびその製造方法

【課題】焼成速度が速い条件でも機能不良等の欠陥のない機能性パターンを基体上に形成することが可能な、焼成用転写フィルムを提供する。
【解決手段】基体の表面に機能性パターンを転写するために用いるロール状転写フィルムであって、一方の面が剥離性を有し、他方の面は剥離性を有さない、剥離性フィルムと、剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に形成された機能性パターンと、剥離性フィルムの剥離性を有さない面の上に形成された微粘着層とを含み、機能性パターン及び微粘着層が形成された剥離性フィルムがロール状に巻き取られており、巻き取られている剥離性フィルムを送り出すと、機能性パターンが、剥離性フィルムの剥離性を有する面から微粘着層へ受け渡されるようになっていることを特徴とするロール状転写フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス等の基体に、配線回路や電極等の導電性パターン、あるいは模様等の装飾パターンを形成するための転写フィルムに関するものである。特に、本発明は、自動車の窓ガラスにアンテナパターンの焼成体を形成するのに適した、焼成用転写フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラスや陶磁器等の基体に機能性パターンを付与する方法は、従来、基板上への電気回路等の導電性パターンの形成、陶磁器の装飾、プラズマディスプレイパネルにおける電極パターンやリブの形成、車載用ガラス板へのアンテナ形成など、様々な分野で利用されている。
機能性パターンを形成する方法としては、例えば、フォトリソグラフィー/エッチング法やスクリーン印刷法、スパッタリング法などが広く採用されている。これらの方法は、基体の形状が平滑な面であれば問題ないが、基体が湾曲している場合や凹凸している場合には、対応ができない。このため、フィルム上に機能性パターンをあらかじめ形成しておき、フィルムから基体へこの機能性パターンを転写する転写方式が検討されている。転写方式であれば、基体の寸法や形状にかかわらず、機能性パターンを基体に追従させることが可能である。また、転写方式は、パターニング性や生産性に優れ、低コストである、という利点も有する。このような転写方式に使用される転写型フィルムについては、例えば、特開平5-139020号、特開平11-135009号、特開平11-260250号、特開2001-211020号、特開2000-151080号等に記載されている。
【0003】
特開平5−139020号には、印刷台紙上に複数の着色層と着色層の間に中間層をスクリーン印刷により順次形成し、最上部にカバー層を設けた陶磁器装飾用の転写紙が開示されている。
特開平11-260250号には、ベースフィルム上に、剥離可能に設けられた転写層と応力吸収層を設け、転写層はガラスフリットを含む無機成分と、焼成除去可能な有機成分を含有し、応力吸収層の複素弾性率を転写層の複素弾性率より小さくしたプラズマディスプレイパネル作製用の転写シートが開示されている。
特開2001-211020号には、転写フィルム上に積層された導体パターンを車載用ガラス板に転写方式で形成した車載用対数周期ダイポールアンテナが開示されている。
特開2000-151080号には、転写フィルム上にガラスペーストにより印刷パターンを形成し、この印刷パターンを基板上に熱転写し、転写された印刷パターンを焼成する電気回路等のパターン形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−139020号公報
【特許文献2】特開平11−135009号公報
【特許文献3】特開平11−260250号公報
【特許文献4】特開2001−211020号公報
【特許文献5】特開2000−151080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術文献に開示されている技術は、いずれも基体に転写した後、焼成することにより機能性パターンを形成する焼成用転写フィルムである。焼成用転写フィルムは通常、機能性パターンを基体に接着するための層など、必要によりいくつかの層が積層された構成を有する。機能性パターンは一般に、焼成後の機械的強度を発現するための熱融着可能な無機粉体と、焼成前の形状を維持し、焼成除去される有機物を含有する。機能性パターンを基体に接着させるためには、機能性パターン自体に接着成分を含有させてもよく、焼成によって分解除去される有機物よりなる接着層を、機能性パターンとは別に設けてもよい。
機能性パターン中の有機物は、高温で焼成すると、各有機物固有の温度で熱分解がおこり、分解ガスとなって除去される。一方、機能性パターン中の無機粉体は、加熱すると粉体表面が溶融し、粉体同士で、あるいは基体と融着する。焼成用転写フィルムを製造する場合、一般には、剥離性フィルム上に機能性パターンを形成した後に、必要により機能性パターン上に接着層を形成する。このように製造した機能性パターンを使用する際には、機能性パターンの接着させる側(接着層がある場合には接着層側)を基体面に向けて貼り合せた後、剥離性フィルムを剥離し、機能性パターンの基体への転写を行う。
【0006】
機能性パターンの形成方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷方法によりパターン印刷する方法が一般に用いられる。これらの印刷方法により機能性パターンを形成する場合には、剥離性フィルム上に機能性パターン形成用の塗料を用いて所望のパターンを印刷し、乾燥させる。
本発明者は、これらの印刷方法を用いて従来の手法により機能性パターンを形成すると、印刷後の乾燥中に塗料の流動が生じ、印刷された機能性パターンの断面は、剥離性フィルム側を下底とする台形形状になることに着目した。そして、このように形成された機能性パターン上に必要により粘着層を形成し、基体面に貼り合せて転写すると、機能性パターンは、印刷時とはパターンの上下が反対向きになり、機能性パターンの断面形状における台形の上底側が基体上に転写され、機能性パターンの端部と基体との密着不良が発生しやすくなるのではないかと考えた。
実際、従来法により形成され転写された機能性パターンを焼成すると、20℃/min以下のような比較的焼成速度の遅い焼成条件では問題はないが、100℃/min以上の焼成速度が速い焼成では、密着不良やパターンの割れなどの焼成不良が観察された。比較的焼成速度が遅い場合に問題が生じないのは、機能性パターン端部が基体面から離れていても、加熱により機能性パターンに含有された有機物が軟化し、機能性パターンが基体面に追従した後で無機成分が融着するため、機能性パターンが基体面に密着されるためであると考えられる。一方、焼成速度が速い場合には、機能性パターンが基体に追従する前に無機粉体の融着が進行し、パターン端部と基体とが離れた状態で機能性パターンが焼成され、焼成不良が生じるものと思われる。
【0007】
従来の焼成用転写フィルムには、上記のような機能性パターンの端部と基体との密着不良に起因すると考えられる問題により、焼成速度を早くすることが難しく、一回の焼成処理に数時間を要し、生産性が低いという問題があった。
よって本発明の目的は、焼成速度が速い条件、例えば100℃/min以上の高速焼成時でも、剥がれやパターンの割れなどの機能不良等の欠陥のない機能性パターンを基体上に形成することが可能な、焼成用転写フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、剥離性フィルムの一方の面(剥離性を有する面)の上に、機能性パターンをいったん形成しておき、ロール状に巻き取った剥離性フィルムを送り出すと、剥離性フィルムのもう一方の面(剥離性を有さない面)の上に形成された微粘着層へ、機能性パターンが受け渡されるようにすることにより、上記従来技術の問題点を解決しうるとの知見に基づき、本発明に到ったものである。
転写後の機能性パターンの断面が、基体側を下底とする台形形状となるように、剥離性フィルムの上に機能性パターン形成する際、機能性パターンの断面を、剥離性フィルム側を上底とする台形形状にしておくことは、容易ではない。本発明は、転写フィルムをロール状とし、ロールを送り出すと、機能性パターンの剥離性フィルム側の面が露出するような構成とすることにより、簡易な手法により巧妙に課題を解決したものである。
すなわち、本発明は、基体の表面に機能性パターンを転写するために用いるロール状転写フィルムであって、一方の面が剥離性を有し、他方の面は剥離性を有さない、剥離性フィルムと、剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に形成された機能性パターンと、剥離性フィルムの剥離性を有さない面の上に形成された微粘着層とを含み、機能性パターン及び微粘着層が形成された剥離性フィルムがロール状に巻き取られており、巻き取られている剥離性フィルムを送り出すと、機能性パターンが、剥離性フィルムの剥離性を有する面から微粘着層へ受け渡されるようになっていることを特徴とするロール状転写フィルムである。
本発明において、「微粘着層」は、剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に形成された層(複数の層が形成されている場合には、その最も上の層)の上側の面と接した際、これと粘着して、剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に形成された層(複数の層が形成されている場合には、その最も下の層)の下側の面を剥離性フィルムから剥離することができる一方、微粘着層へ受け渡された層が基体に接した際には、この層を基体に転写することのできる層であればよい。
本発明はまた、剥離性フィルムの剥離性を有する面と機能性パターンとの密着力をFe、機能性パターンと微粘着層の密着力をFpとしたときにFe<Fpの関係を満たすことにより、機能性パターンが、剥離性フィルムの剥離性を有する面から微粘着層へ受け渡されるようになっていることを特徴とするロール状転写フィルムである。
本発明はまた、機能性パターンの上に形成された保護層をさらに含み、巻き取られている剥離性フィルムを送り出すと、機能性パターンが、剥離性フィルムの剥離性を有する面から保護層を介して微粘着層へ受け渡されるようになっていることを特徴とするロール状転写フィルムである。
本発明はまた、剥離性フィルムの剥離性を有する面と機能性パターンとの密着力をFe、保護層と微粘着層の密着力をFp'としたときにFe<Fp'の関係を満たすことにより、機能性パターンが、剥離性フィルムの剥離性を有する面から微粘着層へ受け渡されるようになっていることを特徴とするロール状転写フィルムである。
本発明はさらに、機能性パターンが、厚さ方向の断面が、剥離性フィルムがロール状に巻き取られた状態で剥離性フィルムの剥離性を有する面に接する側の機能性パターンの端の幅が、微粘着層に対向する側の機能性パターンの端の幅よりも大きくなっている形状を有することを特徴とするロール状転写フィルムである。
本発明において、機能性パターンの「厚さ方向の断面」とは、通常理解されるとおりの意味であるが、例えば機能性パターンがラインパターンのように細長いものである場合には、機能性パターンの長手方向に直交する断面、機能性パターンが正方形のパッチパターンである場合には、正方形のいずれかの一辺に直交する断面を意味する。
【0009】
本発明はまた、機能性パターンが、厚さ方向の断面が、剥離性フィルムがロール状に巻き取られた状態で微粘着層に対向する機能性パターンの端から剥離性フィルムの剥離性を有する面に接する機能性パターンの端まで幅が連続的に増加している形状を有することを特徴とするロール状転写フィルムである。
本発明はまた、機能性パターンが形成された剥離性フィルムの面が外側に、微粘着層が形成された剥離性フィルムの面が内側になるように、剥離性フィルムが巻き取られていることを特徴とするロール状転写フィルムである。
本発明はまた、基体の表面に機能性パターンを転写した後に、機能性パターンを焼成して該機能性パターンの焼成体を形成することを特徴とするロール状転写フィルムである。
本発明はまた、基体が自動車の窓ガラスに用いられるガラス基体であり、機能性パターンが導電性粉体とガラスフリットと焼成除去可能な有機物とを含むことを特徴とするロール状転写フィルムである。
【0010】
本発明はさらに、基体の表面に機能性パターンを転写するために用いるロール状転写フィルムの製造方法であって、一方の面が剥離性を有し、他方の面は剥離性を有さない、剥離性フィルムを準備する工程、剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に、機能性パターンを形成する工程、剥離性フィルムの剥離性を有さない面の上に、微粘着層を形成する工程、機能性パターン及び微粘着層が形成された剥離性フィルムを、ロール状に巻き取る工程を含み、巻き取られている剥離性フィルムを送り出すと、機能性パターンが、剥離性フィルムの剥離性を有する面から微粘着層へ受け渡されるように、機能性パターン及び微粘着層を形成することを特徴とする、ロール状転写フィルムの製造方法である。
本発明はまた、機能性パターンを形成する工程が、機能性パターンの厚さ方向の断面が、剥離性フィルムがロール状に巻き取られた状態で剥離性フィルムの剥離性を有する面に接する側の機能性パターンの端の幅が、微粘着層に対向する側の機能性パターンの端の幅よりも大きくなっている形状を有するように、機能性パターンを形成する工程を含むことを特徴とするロール状転写フィルムの製造方法である。
本発明はまた、機能性パターンを形成する工程が、剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に、塗料粘度100〜300,000[mPa・s]の機能性パターン形成用塗料を塗布し、乾燥して、機能性パターンを形成する工程を含むことを特徴とするロール状転写フィルムの製造方法である。
本発明はまた、剥離性フィルムをロール状に巻き取る工程が、機能性パターンが形成された剥離性フィルムの面が外側に、微粘着層が形成された剥離性フィルムの面が内側になるように、剥離性フィルムを巻き取る工程を含むことを特徴とするロール状転写フィルムの製造方法である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、剥離性フィルムの一方の面(剥離性を有する面)上に機能性パターン形成用の塗料を用いて機能性パターンを形成したときに、形成後の乾燥中に塗料の流動が生じ、機能性パターンの断面が概ね台形になり、剥離性フィルムを底面として裾野を広げたような形状になる。次いで、この剥離性フィルムの一方の面上に形成された機能性パターンを、剥離性フィルムの他方の面(剥離性を有さない面)上に形成した微粘着層と貼り合せながら、ロール状に巻き取る。すると、巻き取られた剥離性フィルムを送り出すことにより、機能性パターンを微粘着層に一旦転写し、機能性パターンの概ね台形の底面側を基体の表面に対向させて貼り合せることが可能となる。このため、本発明の一実施形態によれば、基体の表面に転写された機能性パターンの形状を、基体の表面との水平面の断面積が、上部の最小面積から基体の表面側に向かって拡大し、基体の表面側で最大面積となるものとすることができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、機能性パターンに焼成により熱融着可能な無機粉体と焼成除去可能な有機物を含有させて、基体の表面に機能性パターンを転写し焼成して、機能性パターンの焼成体を形成するのに適したものとすることができる。上記特徴を備える本発明によれば、機能性パターンと基体表面との密着性を向上させることができ、100℃/min以上の高速焼成時でも密着良好でパターンの割れなどの欠陥のない機能性パターンの焼成体を基体上に形成することができる。また、本発明の転写フィルムはロール状であるため、基体への転写を連続的に行なうことができ、生産性を向上させることができる。
本発明によるロール状転写フィルムにおいて、機能性パターンが導電性粉体とガラスフリットと焼成除去可能な有機物とを含むものとすることで、特に自動車の窓ガラスにアンテナパターンの焼成体を形成するのに適した焼成用転写フィルムとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明者のロール状転写フィルムは、剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に、機能性パターンをいったん形成しておき、ロール状に巻き取った剥離性フィルムを送り出すと、剥離性フィルムの剥離性を有さない面の上に形成された微粘着層へ、機能性パターンが受け渡されるものである。このようにすることにより、剥離性フィルムの上に機能性パターン形成する際に、機能性パターンの断面が、剥離性フィルム側を下底とする台形形状となるようにしておけば、転写後の機能性パターンの断面も、基体側を下底とする台形形状となる。これにより、100℃/min以上の高速焼成条件下においても、形状や機能不良等の欠陥のない機能性パターンの焼成体を基体上に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態であるロール状転写フィルムの構造を例示する概略模式図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態であるロール状転写フィルムの構造を例示する拡大断面模型図である。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態であるロール状転写フィルムの構造を例示する拡大断面模型図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるロール状転写フィルムの構造を例示する概略模式図である。
図1(1)によると、本発明のロール状転写フィルムは、剥離性フィルム1の剥離性を有する一方の面に機能性パターン2を設け、剥離性フィルム1の剥離性を有さない他方の面に微粘着層3を設け、ロール状に巻き取られた構成を有している。
そして、本発明のロール状転写フィルムは、巻き取られている剥離性フィルム1を送り出すと、機能性パターン2が、剥離性フィルム1の剥離性を有する面から微粘着層へ3受け渡されるようになっている(図1(2))。
図2は、本発明の一実施形態であるロール状転写フィルムの構造を例示する拡大断面模型図である。
図2によると、本発明のロール状転写フィルムは、剥離性フィルム1と、剥離性フィルム1の剥離性を有する一方の面上に形成された機能性パターン2と、剥離性フィルム1の剥離性を有さない他方の面上に形成された微粘着層3から構成され、機能性パターン2は剥離性フィルム1の剥離性を有する一方の面を底面とした概ね台形の断面形状を有している(図2(1))。
本発明のロール状転写フィルムを用いて基体の表面に機能性パターンを転写する場合は、剥離性フィルム1の剥離性を有する一方の面上に形成された機能性パターン2を、剥離性を有する一方の面との界面から剥がして、反対面に形成された微粘着層3に機能性パターン2を受け渡しながら、ロール状のフィルムを引き出す(図2(2))。機能性パターン2を基体の表面に対向させて貼り合せた後、剥離性フィルム1を微粘着層3と一緒に剥がすことで、基体上に機能性パターン2を転写する(図2(3))。
【0015】
剥離性フィルム1は機能性パターン2もしくは後述する粘着層と剥離性を有するものであれば良く、基材フィルム上にシリコーン系やアルキド樹脂系などからなる剥離層を形成したものを用いることができる。剥離界面での剥離力は、剥離層の種類、膜厚などによって適宜調整して用いることができる。また機能性パターン2の基体に転写する面は剥離性フィルム1の表面性の影響を受けるので、剥離性フィルム1の表面はできるだけ平坦であることが好ましく、特に、算術平均粗さ(中心線平均粗さ)でRa=2μm以下が好ましい。
剥離性フィルム1の基材フィルムとしては、転写時の施工性を考慮してフレキシブル性のある基材が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、アクリルなどのプラスチックや紙などが使用できる。また基材の厚みは特に限定されるものではないが、転写時の圧力や熱の伝達性とフィルムの屈曲性のバランスの点から最適な厚みを選定すればよく、25〜250μm、好ましくは35〜125μm、さらに好ましくは50〜75μmが、製造上もしくは施工上好適に用いられる。
【0016】
微粘着層3は、アクリル系やゴム系の樹脂を用いることができる。剥離性のバランスとしては、剥離性フィルム1の剥離性を有する一方の面と機能性パターン2との密着力をFe、機能性パターン2と微粘着層3との密着力をFpとしたときにFe<Fpの関係を満たすことが必要であり、剥離界面の密着力は、剥離層、微粘着層の種類、膜厚などによって調整可能である。
微粘着層3の形成方法は、スクリーン印刷やオフセット印刷などの印刷方式やグラビアコーティングなどの塗布方式を用いることができ、機能性パターン2とは反対面の剥離性フィルム全面を覆うように形成される。
微粘着層3をスクリーン印刷などの印刷方式で形成するときには、粘着剤を適当な溶剤に溶解して、粘度、チキソ性など印刷適正、固形分を適宜調整して用いる。必要により印刷時の気泡対策や粘度調整のために消泡剤や増粘剤などの添加剤を使用してもよい。溶剤としては、印刷工程に適した沸点や、粘度、チキソ性を調整可能なものを選定すればよく、水、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素などを使用することができる。
また、微粘着層3に関しては、Fe<Fpの関係を満たせば剥離性フィルム1に予め塗布したものを使用しても構わない。
【0017】
本発明のロール状転写フィルムを用いて、基体の表面に機能性パターン2を転写し焼成して機能性パターン2の焼成体を形成するには、機能性パターン2は、焼成後の機械的強度を発現するための熱融着可能な無機粉体と、焼成前の形状を維持し、焼成除去される有機物を含有し、焼成後に所望の機能を発現するための各種機能材料を含有させることができる。
熱融着可能な無機粉体としては、各種機能材料を焼成後に基体に担持させ、耐久性を向上させるなど目的のために、ガラスフリットなどの材料を使用することが可能である。焼成温度や熱収縮率などのバランスを考慮して、好適な組成のガラスフリットを選定すればよい。
有機物としては、焼成除去可能な材料であれば特に限定されない。焼成による熱分解によって除去されやすい材料としては、アクリル、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエステルなどの樹脂が挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。また有機成分として、焼成前の塗膜に可とう性を付与する目的で、可塑剤を加えてもよい。可塑剤としては、脂肪酸エステルやリン酸エステルなどから適宜選定したものを用いることができる。
【0018】
機能材料としては、焼成後の所望の機能に応じた材料を適宜選択して使用する。例えば、配線や電極などには、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Sn、Pb、Zn、Bi、Inやこれらを含む合金の粉体を使用することが可能である。また、コンデンサ部品などの誘電体や高抵抗部品などに使用される材料としては、BaTiO、SiC、TiO2、SiO2、やRuOなどが挙げられる。
機能性パターン2の形成方法としては、スクリーン印刷やオフセット印刷などの印刷方式やグラビアコーティングなどの塗布方式を用いることができる。中でも、スクリーン印刷は、特にパターンを形成する際に、剥離性フィルム1上に直接パターンを形成することができるため好適である。
スクリーン印刷などの印刷方式により機能性パターン2を形成するときは、無機粉体や有機物を溶媒中に分散してなる機能性パターン形成用の塗料を作製し、使用する。溶媒としては、有機物の溶解性や無機粉体の分散性、印刷工程に適した沸点を考慮し、水、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素などを使用することができる。また必要により印刷時の気泡対策や粘度調整のために消泡剤や増粘剤などの添加剤を使用してもよい。添加剤は焼成によって分解除去できるものを使用する。
【0019】
本発明においては、機能性パターン2は、厚さ方向の断面が、剥離性フィルム1がロール状に巻き取られた状態で、剥離性フィルム1の剥離性を有する面に接する側の機能性パターン2の端の幅が、微粘着層3に接する側の機能性パターン2の端の幅よりも大きくなっている形状となるのが望ましい。
好ましくは、機能性パターン2は、厚さ方向の断面が、剥離性フィルム1がロール状に巻き取られた状態で、微粘着層3に接する機能性パターン2の端から剥離性フィルム1の剥離性を有する面に接する機能性パターン2の端まで、幅が連続的に増加している形状を有する。
このような形状の機能性パターンを形成するためには、機能性パターン形成用の塗料の粘度が、100〜300,000[mPa・s]であることが好ましい。塗料粘度が100[mPa・s]以下であると、パターンを印刷形成したときの流動性が高すぎて塗料が面方向に広がってしまうため、好ましい機能性パターンの形状を維持できなくなる。また塗料粘度が300,000[mPa・s]以上であると、印刷後の塗料の流動はほとんどなく、印刷後の乾燥の間に塗料の適度な流動が発生することによる好ましい形状を有する機能性パターンの形成を期待することが困難になる。
【0020】
機能性パターン形成用の塗料は、粘度が100〜300,000[mPa・s]の範囲に入るよう固形分を適宜調整して用いる。また必要により印刷時の気泡対策や粘度調整のために消泡剤や増粘剤などの添加剤を使用してもよい。添加剤は焼成によって分解除去できるものを使用する。
また機能性パターン2の基体に転写する面の表面性はできるだけ平坦であることが好ましく、ガラス基体のような表面性の平坦な基体上に機能性パターンの焼成体を付与するのには、算術平均粗さ(中心線平均粗さ)でRa=2μm以下が好ましい。
【0021】
本発明では、微粘着層3と機能性パターン2を貼り合せながら剥離性フィルム1をロール状に巻き取って、ロール状転写フィルムを製造することができる。
本発明のロール状転写フィルムを用いて基体表面に機能性パターン2を転写する場合は、機能性パターン2を剥離性フィルム1の剥離性を有する一方の面との界面から剥がして微粘着層3に受け渡しながら引き出し、機能性パターン2と基体の表面と対向させて貼り合せた後、微粘着層3と剥離性フィルム1を一緒に剥離すことで、基体上に機能性パターン2を転写する。
【0022】
図3は、本発明の別の実施形態であるロール状転写フィルムの構造を例示する拡大断面模型図である。
【0023】
図3を参照して、本発明のこの実施形態のロール状転写フィルムは、剥離性フィルム1と、剥離フィルム1上に焼成除去可能な有機物よりなる粘着層4と、焼成除去可能な有機物よりなる中間層5と、無機粉体と焼成除去可能な有機物を含有してなる機能性パターン2と、焼成除去可能な有機物よりなる保護層6とをこの順で設け、剥離性フィルム1の反対面に微粘着層3を備えた構成であって(図3(1))、長尺のフィルムを用いて保護層6と微粘着層3を貼り合せながら剥離フィルム1を巻き取ってロール状にした転写フィルムである。
本発明のロール状転写フィルムを用いて基体の表面に機能性パターンを転写する場合は、剥離性フィルム1の剥離性を有する一方の面上に形成された粘着層4、中間層5、機能性パターン2、及び保護層6からなる積層体を、剥離性を有する一方の面との界面から剥がして、反対面に形成された微粘着層3に保護層6が接するように受け渡しながら、ロール状のフィルムを引き出す(図3(2))。粘着層4を基体の表面に対向させて貼り合せた後、剥離性フィルム1を微粘着層3と一緒に剥がすことで、基体上に機能性パターン2を含む積層体を転写する(図3(3))。積層体が転写された基体を焼成することにより、粘着層4、中間層5及び保護層6が除去され、機能性パターン2が転写された基体が得られる(図3(4))。
粘着層4は、基体に貼り合せたときに適度な粘着性を有する焼成除去可能な有機物であれば特に限定されないが、常温でタック性を有するアクリル系、ゴム系などの粘着剤が使用できる。また、ヒートラミネートなどで施工をするとすれば、ラミネート温度で軟化する有機物を用いても良い。粘着層4の形成方法は、スクリーン印刷やオフセット印刷などの印刷方式やグラビアコーティングなどの塗布方式を用いることができ、剥離性フィルム1の全面を覆うように形成しても良く、機能性パターン2と同様のパターンを形成してもよい。
【0024】
粘着層4をスクリーン印刷などの印刷方式で形成するときには、粘着剤を適当な溶剤に溶解して、粘度、チキソ性など印刷適正、固形分を適宜調整して用いる。必要により印刷時の気泡対策や粘度調整のために消泡剤や増粘剤などの添加剤を使用してもよい。添加剤は焼成によって分解除去できるものを使用する。溶剤としては、印刷工程に適した沸点や、粘度、チキソ性を調整可能なものを選定すればよく、水、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素などを使用することができる。
粘着層4の膜厚は、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。1μm未満だと粘着力が不足し転写性が低下し、20μmよりも厚くなると分解ガス量が多くなるため機能性パターン2に欠陥が生じやすく焼成不良になりやすい。さらに、剥離バランスを考慮し、剥離性フィルムと粘着層の密着力をFe、保護層と微粘着層の密着力をFp'、粘着層と基体の表面との密着力をFbとしたときにFe<Fp'<Fbの関係も満たす必要があるところ、密着力に寄与する粘着層の粘着力は、粘着層の厚さによって制御することができるが、上記の関係が成立する範囲で、できるだけ薄膜にすることが好ましい。
【0025】
本発明では機能性パターン2と粘着層4との間に中間層5を設けることができる。中間層5は、粘着層4が機能性パターンへ浸み込むのを防止するバリア性を有し、焼成除去可能な有機物で形成すればよく、アクリル、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリエステルなどの樹脂を、単独もしくは混合して使用することができる。特にガラス転移温度が50℃以上である高分子樹脂が、バリア効果が高く好ましい。中間層5の膜厚は、0.5μm以上あればバリア性の効果は担保できるが、1μm以上であるのが好ましい。また中間層5が厚すぎると分解ガス量が多くなるため、機能性パターンに欠陥が生じやすく焼成不良の原因となる。このため、中間層5の膜厚は10μm以下、好ましくは5μm以下で、できるだけ薄膜にすることが好ましい。
【0026】
中間層5の製造方法としては、スクリーン印刷やオフセット印刷などの印刷方式やグラビアコーティングなどの塗布方式が使用できる。中間層5は、剥離性フィルム1又は粘着層5の全面を覆うように形成しても良く、あるいは機能性パターン2に対応するパターンの中間層5を形成してもよい。
中間層5をスクリーン印刷などの印刷方式で形成するときは、高分子樹脂等を適当な溶剤に溶解して、粘度、チキソ性など印刷適正、固形分を適宜調整して用いる。必要により印刷時の気泡対策や粘度調整のために消泡剤や増粘剤などの添加剤を使用してもよい。添加剤は、焼成によって分解除去できるものを使用する。溶剤としては、印刷工程に適した沸点や、粘度、チキソ性、固形分を調整可能なものを選定すればよく、水、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素などを使用することができる。
【0027】
保護層6は、基体に転写した焼成前の機能性パターン2を保護する役割を担っている。また、機能性パターン2は通常、含有する有機物が少量のため、焼成前の膜質は硬く脆い傾向にあり、使用前の転写フィルムを屈曲させると機能性パターン2にひび割れが発生しやすい。保護層6はこのようなフィルムを屈曲した際のひび割れなどを防止する効果が大きい。
保護層6を形成するための材料としては、焼成除去可能な有機物であれば特に限定されないが、アクリル、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリエステルなどの樹脂が使用でき、これらを単独もしくは混合して使用することができる。また可とう性を付与するために可塑剤を加えてもよい。可塑剤としては脂肪酸エステルやリン酸エステルなどを使用することができる。
【0028】
保護層6は、機能性パターン2を覆うように形成してもよく、機能性パターン2と同様のパターン形状で形成してもよい。保護層6の膜厚は、0.1〜2μmであることが好ましい。
本発明のこの実施形態によると、機能性パターン2は保護層6と中間層5で挟持されているため屈曲性が向上し、基体への貼り合せ、転写といった施工作業性が高くなる。
【実施例】
【0029】
以下に本発明の実施例について説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
剥離性フィルムとして片面にシリコーン系剥離層を設けたPETフィルム「A31」(帝人デュポンフィルム(株)製、フィルムサイズ幅15cm、厚み50μm、長さ500mのロール状フィルム)を使用し、この剥離性フィルムの剥離層側に粘着層としてアクリル系粘着剤「SK1309」(綜研化学工業(株)製)をアプリケータを用いて3μmになるように塗布した。中間層として、メチルセルロース系樹脂の「60MP4000」(松本油脂製薬(株)製)を用いて粘着層上にアプリケータを用いて1.5μmになるように塗布した。
【0031】
3本ロール式ミルを用いて、表1に示す組成成分の導電性ペーストを作製した。
【0032】
【表1】

【0033】
導電性ペーストの粘度は、レオメーターAR2000ex(TAインスツルメントジャパン(株)製)を用いて測定し、400[mPa・s]になるように調整した。この作製した導電性ペーストを用いてロールスクリーン印刷機により中間層上にサイズ2cm×5cm、膜厚15μmで機能性パターンを上下2パターンずつ10cm間隔で500mの長さに形成した。パターン形状は、表面形状測定器タリサーフPGI-800(テーラーホブソン(株))で測定し、断面形状は中間層側を底面として裾野を広げた形状であった。保護層として、メチルセルロース系樹脂の「60MP4000」松本油脂製薬(株)製)を用いて機能性パターン上にアプリケータを用いて1.5μmになるように塗布した。
最後に、微粘着層としてアクリル系粘着剤「NT-3」(藤倉化成(株)製)を用いて、剥離フィルムの機能性パターンとは反対面にアプリケータを用いて5μmになるように塗布し、炉長5mの100℃設定の乾燥炉で乾燥させた後、保護層と微粘着層を合わせながら電子位置制御システム付きの巻き取り装置を用いて逐次ロール状に巻いて焼成用転写フィルムを作製した。これにより実施例1のロール状転写フィルムを作製した。
【0034】
基体としてガラス板(15cm×15cm)を用いて、ロール状転写フィルムからフィルムを引き出し、微粘着層面をガラス面に合わせて貼り合わせ、剥離性フィルムを剥がして、機能性パターンをガラス面に転写した。
実施例1のロール状転写フィルムにおける密着力を引っ張り圧縮試験器EZ test 5N((株)島津製作所製)で測定したところ、剥離性フィルムと微粘着層との密着力(Fe)は0.05 [N/25mm]、保護層と微粘着層の密着力は(Fp')は0.14 [N/25mm]、微粘着層とガラス板との貼着したときの密着力は(Fb)は0.20 [N/25mm]であった。
【0035】
(比較例1)
剥離性フィルムとしてシリコーン系剥離層を設けたPETフィルム「A54」(帝人デュポンフィルム(株)製、フィルムサイズ20cm×30cm、厚み50μm)を使用し、保護層としてメチルセルロース系樹脂の「60MP4000」松本油脂製薬(株)製)を用いて剥離性フィルム上にアプリケータを用いて1.5μmになるように塗布した。実施例1と同じ導電性ペーストを用いてスクリーン印刷により保護層上にサイズ2cm×5cm、膜厚15μmで機能性パターンを形成した。中間層として、メチルセルロース系樹脂の「60MP4000」(松本油脂製薬(株)製)を用いて機能性パターン上にアプリケータを用いて1.5μmになるように塗布した。粘着層としてアクリル系粘着剤「SK1309」(綜研化学工業(株)製)をアプリケータを用いて3μmになるように塗布した。これにより比較例1の焼成用転写フィルムを作製した。
基体としてガラス板を用い、比較例1の焼成用転写フィルムをガラス板表面に粘着層を向かい合わせて、剥離性フィルム上から0.5kg/cmの圧力でローラーで貼り合わせた。貼り合わせた後、剥離性フィルムを剥離した。ガラスに転写した状態で、実施例1とは、構成材料、層構成が同じで、機能性パターンの上下のみが逆になったものが作製された。
【0036】
実施例1と比較例1の焼成用転写フィルムについて、各々ガラス基体に転写し、焼成炉KDF-P90((株)デンケン社製)を用い、500℃/minで昇温後、650℃で3分30秒間維持した条件で焼成した。表2に機能性パターンの焼成体の焼成結果を示す。
【0037】
【表2】

【0038】
実施例1では、山形の機能性パターンの底面が基体の表面への転写されており、機能性パターンの端部でも焼成不良は発生していなかった。比較例1では、実施例1とはパターンの上下が逆になり、機能性パターンの底面が基体の表面へり逆山形状で転写されているため、パターン端部で密着不良が発生し、ひび割れ、剥がれの焼成不良が発生した。
【符号の説明】
【0039】
1 剥離性フィルム
2 機能性パターン
3 微粘着層
4 粘着層
5 中間層
6 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の表面に機能性パターンを転写するために用いるロール状転写フィルムであって、
一方の面が剥離性を有し、他方の面は剥離性を有さない、剥離性フィルムと、
前記剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に形成された前記機能性パターンと、
前記剥離性フィルムの剥離性を有さない面の上に形成された微粘着層と、
を含み、前記機能性パターン及び前記微粘着層が形成された前記剥離性フィルムがロール状に巻き取られており、前記巻き取られている剥離性フィルムを送り出すと、前記機能性パターンが、前記剥離性フィルムの剥離性を有する面から前記微粘着層へ受け渡されるようになっていることを特徴とするロール状転写フィルム。
【請求項2】
前記剥離性フィルムの剥離性を有する面と前記機能性パターンとの密着力をFe、前記機能性パターンと前記微粘着層の密着力をFpとしたときにFe<Fpの関係を満たすことにより、前記機能性パターンが、前記剥離性フィルムの剥離性を有する面から前記微粘着層へ受け渡されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のロール状転写フィルム。
【請求項3】
前記機能性パターンの上に形成された保護層をさらに含み、前記巻き取られている剥離性フィルムを送り出すと、前記機能性パターンが、前記剥離性フィルムの剥離性を有する面から前記保護層を介して前記微粘着層へ受け渡されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のロール状転写フィルム。
【請求項4】
前記剥離性フィルムの剥離性を有する面と前記機能性パターンとの密着力をFe、前記保護層と前記微粘着層の密着力をFp'としたときにFe<Fp'の関係を満たすことにより、前記機能性パターンが、前記剥離性フィルムの剥離性を有する面から前記微粘着層へ受け渡されるようになっていることを特徴とする請求項3に記載のロール状転写フィルム。
【請求項5】
前記機能性パターンは、厚さ方向の断面が、前記剥離性フィルムがロール状に巻き取られた状態で前記剥離性フィルムの剥離性を有する面に接する側の前記機能性パターンの端の幅が、前記微粘着層に対向する側の前記機能性パターンの端の幅よりも大きくなっている形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール状転写フィルム。
【請求項6】
前記機能性パターンは、厚さ方向の断面が、前記剥離性フィルムがロール状に巻き取られた状態で前記微粘着層に対向する前記機能性パターンの端から前記剥離性フィルムの剥離性を有する面に接する前記機能性パターンの端まで幅が連続的に増加している形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のロール状転写フィルム。
【請求項7】
前記機能性パターンが形成された前記剥離性フィルムの面が外側に、前記微粘着層が形成された前記剥離性フィルムの面が内側になるように、前記剥離性フィルムが巻き取られていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のロール状転写フィルム。
【請求項8】
前記基体の表面に前記機能性パターンを転写した後に、前記機能性パターンを焼成して該機能性パターンの焼成体を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のロール状転写フィルム。
【請求項9】
前記基体が自動車の窓ガラスに用いられるガラス基体であり、前記機能性パターンが導電性粉体とガラスフリットと焼成除去可能な有機物とを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のロール状転写フィルム。
【請求項10】
基体の表面に機能性パターンを転写するために用いるロール状転写フィルムの製造方法であって、
一方の面が剥離性を有し、他方の面は剥離性を有さない、剥離性フィルムを準備する工程、
前記剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に、前記機能性パターンを形成する工程、
前記剥離性フィルムの剥離性を有さない面の上に、微粘着層を形成する工程、
前記機能性パターン及び前記微粘着層が形成された前記剥離性フィルムを、ロール状に巻き取る工程、
を含み、前記巻き取られている剥離性フィルムを送り出すと、前記機能性パターンが、前記剥離性フィルムの剥離性を有する面から前記微粘着層へ受け渡されるように、前記機能性パターン及び前記微粘着層を形成することを特徴とする、ロール状転写フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記機能性パターンを形成する工程が、前記機能性パターンの厚さ方向の断面が、前記剥離性フィルムがロール状に巻き取られた状態で前記剥離性フィルムの剥離性を有する面に接する側の前記機能性パターンの端の幅が、前記微粘着層に対向する側の前記機能性パターンの端の幅よりも大きくなっている形状を有するように、前記機能性パターンを形成する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記機能性パターンを形成する工程が、前記剥離性フィルムの剥離性を有する面の上に、塗料粘度100〜300,000[mPa・s]の機能性パターン形成用塗料を塗布し、乾燥して、前記機能性パターンを形成する工程を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記剥離性フィルムをロール状に巻き取る工程が、前記機能性パターンが形成された前記剥離性フィルムの面が外側に、前記微粘着層が形成された前記剥離性フィルムの面が内側になるように、前記剥離性フィルムを巻き取る工程を含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−16299(P2011−16299A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162796(P2009−162796)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(591186888)株式会社トッパンTDKレーベル (46)
【Fターム(参考)】