説明

ロール間のニップ圧調整方法及び装置

【課題】互いに離れた状態で軸心が固定された2つのロールに対し軸心が移動可能なロールでニップ部を形成する場合に、簡易な手段で、一方のニップ部のニップ圧に変化を与えることなく、他方のニップ部のニップ圧調整を可能にして、ニップ圧調整を容易にする。
【解決手段】移動可能な第3ロール3に固定された第1ロール1及び第2ロール2側に向かう弾性力Eを付与して該第1ロール及び第2ロールとの間で初期ニップ圧を形成した後、直線L1上又はその近傍に位置する第1の点P1を中心として該第3ロールを回転して、該第3ロールと該第2ロールとのニップ部N2のニップ圧調整を行い、直線L2上又はその近傍に位置する第2の点P2を中心として該第3ロールを回転して該第3ロールと該第1ロールとのニップ部N1のニップ圧調整を行う。このとき他方のニップ部のニップ圧はほとんど変化しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニップ部を形成する少なくとも一方のロールが弾性ロールで構成され、互いに離れた位置に軸心が固定された2個のロールの双方に軸心が移動可能なロールを接触させてニップ部を形成してなるロール間のニップ圧調整方法及び装置に関し、詳しくは一方のニップ部のニップ圧を調整する際に、他方のニップ部のニップ圧にほとんど変化を与えることなくニップ圧の調整を可能にすることにより、該2箇所のニップ部のニップ圧調整を容易にしたものである。
【背景技術】
【0002】
図6に枚葉オフセット印刷機の印刷装置02のインキ装置08と湿し装置09の概略構成を示す。図6に示すように、インキ装置08は、その上流部分にインキ供給量調節装置010を有し、インキ壺018に溜めているインキを、印刷に必要な量だけ供給し、多数のロールでインキ膜厚を細分化及び均一化し、インキを練る。湿し装置09には溜めている湿し水を印刷に適する状態を保つために必要な量だけ供給する。
【0003】
なお、インキ装置08と湿し装置09との間には、版胴04に接合する複数の着けロールT1〜T5と、インキ壺018との間及び着けロールT1〜T5と水槽017との間に介装された複数のロールS1〜S6とが備えられている。
オフセット印刷の場合、版胴04の表面に巻着されている刷版の絵柄ではない部分(即ち非画線部)には水を付着させインキが付着しにくくし、絵柄部分(即ち画線部)にのみインキが付着するようになっている。
【0004】
しかし、これが新しいインキ(含水率ゼロ)の時は非画線部に水が供給されていてもインキが付着しやすく、汚れが発生することが多いので、インキ装置のインキも適度な含水率(数パーセント)にする必要がある。
このため、印刷開始時に給水量を一時的に多くしたり、予めインキへ水が混入する運転を行なうようにしている。
【0005】
図6において、水又はインキをインキ壺018又は水槽017から版胴04まで順々に転移伝達するロールS1〜S6は、図7に示すように、例えば鉄製ロール等の剛性ロール021と例えばゴム製ロール等の弾性ロール022とが交互に配置されてニップ部Nを形成している。このニップ部の調整が均一で所望の層厚のインキ層又は水層を版胴04に転移伝達するのに重要である。なお前記転移ロールは、ニップ部を形成するロールが両方とも弾性ロールであってもよい。
【0006】
従来のニップ調整機構として、例えば特許文献1(特開平9−39211号公報)には、図8に示すようなニップ調整機構が開示されている。図8において、固定され互いに離れた位置にある鉄ロール031及び032に対してゴムロール034がニップ部N1及びN2を形成し、ゴムロール034の軸芯034aが軸受033に設けたバネ035によって鉄ロール側へバネ力Eが付与されるため、鉄ロール031との間でニップ圧n1が生じ、鉄ロール032との間でニップ圧n2が生じる。
【0007】
このように1個のバネ035で鉄ロール031及び032に対するニップの設定を行なう機構であり、ニップ調整が必要な場合は、ゴムロール034の軸受033を固定する固定ボルト037を緩め、ジャッキボルト036を操作して軸受033を移動させることで、ニップ調整を行なっている。
【0008】
また特許文献2(特開平5−254101号公報)に開示されたニップ調整機構は、互いに離れた状態で軸心が固定された剛性のインキ又は湿し水の練りロール及び剛性の版胴と、軸心が該練りロール及び版胴に対し接近又は離隔する方向に移動可能なインキ又は湿し水の着けロールとを備え、該練りロール及び版胴と該着けロールとでニップ部を形成する場合のニップ調整機構である。
この機構は、該着けロールが機械フレームに支承された旋回レバーにより支承されて該練りロールの外周に接する軌跡上を移動しながら版胴に対して接近又は離隔可能に構成され、版胴とのニップ圧調整を可能にしている。
【0009】
【特許文献1】特開平9−39211号公報
【特許文献2】特開平5−254101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されたニップ調整機構は、片側ロール(例えば鉄ロール031)のニップ圧調整を行なうと、逆側のロール(例えば鉄ロール032)のニップ部のニップ圧も変化してしまうという問題があるとともに、ニップ圧調整時にゴムロール034の軸受033を固定する固定ボルト037を緩めるため、軸受033の位置が変動しやすいという問題がある。
【0011】
また特許文献2に開示されたニップ調整機構は、前記着けロールの前記練りロールに対するニップ圧変化を生じることなく、該着けロールの版胴に対するニップ圧調整を行なうことができるが、該着けロールの該練りロールに対するニップ圧調整は、逐一調整ボルトで両者の相対位置を変える必要があり、該2箇所のニップ部のニップ圧を同時に調整することができず、手間がかかるとともに、該着けロールを該練りロールの外周に接する軌跡上を移動させる機構が複雑になるという問題がある。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、印刷機の版胴及び前述のインキ又は湿し水の着けロールや練りロールのように、互いに離れた状態で軸心が固定された2つのロールに対し軸心が移動可能なロールでニップ部を形成する場合に、簡易な手段で、一方のニップ部のニップ圧に変化を与えることなく、他方のニップ部のニップ調整を可能にすることにより、2箇所のニップ部のニップ圧を短時間で容易に調整できる調整機構を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明のニップ調整方法は、
ニップ部を形成する少なくとも一方のロールが弾性ロールで構成され、互いに離れた位置に軸心が固定された第1のロール及び第2のロールの双方に軸心が移動可能な第3のロールを接触させてニップ部を形成してなるロール間のニップ圧調整方法において、
前記第3ロールに前記第1及び第2ロール側に向かう弾性力を付加して該第1ロール及び第2ロールとの間で設定された初期ニップ圧となるニップ部を形成するとともに、該ニップ部で該弾性力、該ニップ圧及びロール自重がバランスした平衡状態を形成させ、
該第3ロールの回転中心と該第1ロールの回転中心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍に位置する第1の点を中心として該第3ロールを正逆に回転することにより、該第3ロールと該第1ロールとのニップ圧変化を微小に抑えながら該第3ロールと該第2ロールとのニップ調整を行い、
該第3ロールの回転中心と該第2ロールの回転中心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍に位置する第2の点を中心として該第3ロールを正逆に回転することにより、該第3ロールと該第2ロールとのニップ圧変化を微小に抑えながら該第3ロールと該第1ロールとのニップ圧調整を行うことにある。
【0014】
本発明方法において、まず前記第3ロールに対し前記第1及び第2ロール側に向かう弾性力を付与して、該第3ロールの位置及び該弾性力を調整しながら第1及び第2ロールの双方と第3ロールとの間で設定された初期ニップ圧となるニップ部を形成させる。
このとき該弾性力の押付け方向が、該ニップ部の位置及びロール自重のベクトル方向に対応して任意の向きに設定可能な構成とすることによって、該ニップ部において該ニップ圧、ロール自重及び該弾性力が釣り合った平衡状態が形成させるようにする。この平衡状態は、ロール間のニップ部の位置及びニップ圧、ロール自重及び第3ロールに付与される弾性力の方向及び値によって自動的かつ一義的に決まる。
【0015】
このように初期ニップ圧が設定された状態で、さらに第1ロールと第3ロール間のニップ圧に微調整が必要な場合は、第3ロールの回転中心と第2ロールの回転中心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍に位置する前記第2の点を中心として第3ロールを正又は逆に回転することにより、第1ロール及び第3ロール間の相対位置を変え、これによって前記両ロール間のニップ圧を調整する。このとき第2ロールと第3ロールとのニップ圧変化を微小な範囲に抑えることができる。
【0016】
一方、第2ロールと第3ロール間のニップ圧に微調整が必要な場合は、第3ロールの回転中心と第1ロールの回転中心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍に位置する前記第1の点を中心として第3ロールを正逆に回転することにより、第2ロール及び第3ロール間の相対位置を変え、両ロール間のニップ圧を調整する。このとき第1ロールと第3ロールとのニップ圧変化を微小な範囲に抑えることができる。
【0017】
本発明の構成及び作用を図1に基づいて説明する。図1において、互いに離れて配置され回転中心が固定された第1ロール1及び第2ロール2に回転中心が軸受4により移動可能に支持された第3ロール3が配置される。第3ロール3は、第1ロール1及び第2ロール2側に弾性力Eを付与する弾性力付与手段(バネ)5を介して軸受4で支持されているため、第1ロール1及び第2ロール2に接触してそれぞれニップ部N1及びN2が形成される。
【0018】
このとき各ロール間では、ニップ圧、ロール自重及び弾性力付与手段5により第3ロール3に付与された弾性力Eをバランスさせた平衡状態を形成する。このときのニップ圧は、第3ロール3の位置及び弾性力Eを調整することによって設定された初期のニップ圧となるようにする。
【0019】
第1ロール1の回転中心1aと第3ロール3の回転中心3aとを結ぶ直線L1上に第1の点P1が設定され、第2ロール2の回転中心2aと第3ロール3の回転中心3aとを結ぶ直線L2上に第2の点P2が設定され、第3ロール3は、第1の点P1を中心に正又は逆に回転可能に構成されるとともに、第2の点P2を中心に正又は逆に回転可能に構成されている。
【0020】
設定された初期ニップ圧が形成された状態で、第1ロール1と第3ロール3とのニップ部N1のニップ圧をさらに微調整する必要が生じた場合には、第3ロール3を第2の点P2を中心として正又は逆に回転することにより該微調整が可能となる。即ち第3ロール3は、第2ロール2に対しては第2ロールの接線方向に向かって動く。例えば第3ロール3を第2の点P2を中心に角度tだけ正回転すると、ロール外周の点Bが点B’に移動するが、「点P2と点B’の長さ」≒「点P2と点Bの長さ」であるため、第2ロール2の回転中心1aと第3ロール3の回転中心3a間の距離はほとんど変わらず、従ってニップ部N2にはほとんどニップ圧の変化が起こらない。
【0021】
一方第1ロール1に対しては第3ロール3は、第1ロール1の中心に向かって動くため、回転中心1aと3a間の距離が変わり、ニップ部N1にニップ圧の変化が起こる。
即ち第3ロール3を第2の点P2を中心に角度tだけ正回転すると、回転前の第3ロール外周面上の点Aは、第1ロール1の外周面より内側に入った点A’の位置にくる。
この分だけ第3ロール3の回転中心3aが第1ロール1の回転中心1a側に近づくため、ニップ部N1のニップ圧が大となる。
【0022】
第3ロール3が逆回転した場合は、逆に第3ロール3は第1ロール1から離れて、ニップ圧が小となる。一方第2ロール2は、第3ロール3が逆回転した場合でも両ロールの回転中心間の距離はほとんど変わらず、ニップ部N2にはほとんどニップ圧の変化が起こらない。
【0023】
第2ロール2と第3ロール3のニップ部N2のニップ圧を微調整したい場合には、第3ロール3を第1の点P1を中心に正又は逆に回転させればよい。この時第1ロール1の回転中心1aと第3ロール3の回転中心3aとの距離はほとんど変わらないため、ニップ部N1ではほとんどニップ圧の変化が起こらない。一方第2ロール2の回転中心2aと第3ロール3の回転中心3aとの距離は変化するので、ニップ部N2のニップ圧は変化する。
【0024】
なお、図1において、第1の点P1及び第2の点P2は、第1ロール1及び第2ロール2に対して第3ロール3の回転中心3aよりも離れた直線L1又はL2上の位置に配置されているが、第3ロール3の回転中心3aよりも第1及び第2ロール側に近い直線L1又はL2上の一に配置されていても、本発明の作用効果を得ることができる。
また図1は、第1の点P1及び第2の点P2がともに直線L1上又は直線L2上にあり、本発明のニップ調整機構として理想的な作動を行なう位置にある。しかしこの理想位置から外れて、第1の点P1又は第2の点P2が直線L1又は直線L2上から若干外れていても本発明のニップ圧調整が可能である。
【0025】
この時の状態を示したのが図2である。図2は、第1の点P1が、直線L1から逆方向に−6度傾いた傾斜線L1’上に位置し、第2の点P2が、直線L2から正方向に+6度傾いた傾斜線L2’上に位置する場合を示す。本発明者等の検証によれば、第1の点P1が直線L1と直線L1から正逆方向に±6°傾斜した直線とに囲まれた領域にあれば、ニップ部N2のニップ圧調整時にニップ部N1のニップ圧変化を許容できる微小範囲内に押えることができることが判明した。
また第2の点P2が直線L2と直線L2から正逆に±6°傾斜した直線とに囲まれた領域にあれば、ニップ部N1のニップ圧調整時にニップ部N2のニップ変化を許容できる微小範囲内に押えることができることがわかった。
【0026】
通常、図7に示す鉄ロール021とゴムロール022間のニップ部Nのニップ幅は6〜8mmが良いとされ、この範囲内であれば、印刷機において練りロール上の水層又はインキ層を均一で薄い層に保ち、版胴への水層又はインキ層の転移伝達を印刷に良好な状態にすることができる。本発明者等の検証によれば、図2における直線L1又は直線L2からの傾斜角度が±6度であると、非調整側のニップ部Nのニップ幅が1mm変動することがわかった。
【0027】
従って、第1の点P1及び第2の点P2が前記領域内であれば、非調整側のニップ部Nのニップ幅の変動を1mm以内に押えることが出来るため、直線P1又は直線P2上に位置する理想状態と比べて、一方のニップ部のニップ圧調整時に他方のニップ部のニップ圧変化を許容できる微小範囲内に押えることができる。
【0028】
従って、本発明方法によれば、第1ロールから第3ロール間の2つのニップ部のうち片側のニップ圧調整を行なっても他方の側のニップ圧変化を微小に押えることができるため、調整し直しをすることなく、正確にニップ圧の微調整が可能となり、調整時間を短縮できる。
また、第1〜第3ロールが、インキ又は水の貯留槽から版胴にインキ又は湿し水を転移伝達する印刷機の転移ロール群又は版胴であれば、これらロール間のニップ圧調整を正確にかつ短時間に行なうことができて、版胴に設定された量のインキ及び湿し水を正確に転移することができるとともに、ニップ圧調整に要する作業時間を大幅に短縮することができる。
【0029】
また、本発明のニップ圧調整装置は、ニップ部を形成する少なくとも一方のロールが弾性ロールで構成され、互いに離れた位置に軸心が固定された第1のロール及び第2のロールと軸心が移動可能な第3のロールとでニップ部を形成してなるロール間のニップ圧調整装置において、
前記第3ロールに前記第1及び第2ロール側に向かう弾性力を付加して該第3ロールと該第1ロール及び第2ロールとの間でニップ圧を形成させる弾性力付与手段を備え、
該弾性力付与手段により該第3ロールに付与される弾性力の押付方向が、前記ニップ部で該弾性力、該ニップ圧及びロール自重がバランスした平衡状態を形成できるように、該ニップ部の位置及びロール自重のベクトル方向に応じて向きを変更可能な構成とし、
該第3ロールの軸心と該第1ロールの軸心とを結ぶ直線上または該直線の近傍に配置した第1の軸を中心として該第3ロールを正逆に回転可能にするとともに、
該第3ロールの軸心と該第2ロールの軸心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍に配置した第2の軸を中心として該第3転移ロールを正逆に回転可能に構成したものである。
【0030】
本発明装置では、まず軸心が移動可能な第3ロールの位置と弾性力付与手段により第3ロールに付与される弾性力を調整して第3ロールと第1ロール及び第2ロールとの間にニップ部を形成し、該ニップ部に設定された初期のニップ圧を付与する。ここで第3ロールに付与される弾性力の押付方向が、該ニップ部の位置及びロール自重のベクトル方向に応じて向きを変更可能な構成とされているので、前記ニップ部で該弾性力、該ニップ圧及びロール自重がバランスした平衡状態を形成することができる。
この平衡状態は、ロール間のニップ部の位置及びニップ圧、ロール自重及び第3ロールに付与される弾性力の方向及び値によって自動的かつ一義的に決まる。
かかる平衡状態を形成可能な構成としては、例えば第3ロールの軸心を支持する支持軸受を固定せず、該軸心位置を調整可能なように支持する構成とし、該平衡状態を形成した後、該支持軸受を固定するようにすればよい。
【0031】
このように初期ニップ圧が設定された状態で、さらに第1ロールと第3ロール間又は第2ロールと第3ロール間のニップ圧に微調整が必要な場合は、前述した本発明方法と同様の操作を行なえばよい。即ち第1ロールと第3ロール間のニップ圧に微調整が必要な場合は、第2ロールの軸心と第3ロールの軸心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍、即ち該直線を該第3ロールの軸心を中心として±6度傾けた傾斜線との間の領域に配置した前記第2の軸を中心として第3ロールを正又は逆に回転することにより、第1ロール及び第3ロール間の相対位置を変え、これによって両ロール間のニップ圧を調整する。このとき第2ロールと第3ロールとのニップ圧変化を微小な範囲に抑えることができる。
【0032】
一方第2ロールと第3ロール間のニップ圧を微調整したい時は、第1ロールの軸心と第3ロールの軸心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍、即ち該直線を該第3ロールの軸心を中心として±6度傾けた傾斜線との間の領域に配置した前記第1の軸を中心として第3ロールを正又は逆に回転することにより、第2ロール及び第3ロール間の相対位置を変え、これによって両ロール間のニップ圧を調整する。このとき第1ロールと第3ロールとのニップ圧変化を微小な範囲に抑えることができる。
【0033】
また本発明装置を、前記第3ロールの両端に設けられた回転軸を支承する軸受構造体と、該軸受構造体を該第3ロールの該回転軸端面に対面する支持面に沿って相対移動可能に支持する支持フレームとを備え、
該軸受構造体は、該軸受構造体の基部に固定され、該第3ロールの回転軸を前記弾性力付与手段を介して支持するロール軸支持部と、該第3ロールの回転軸と前記第1ロールの回転軸とを結ぶ直線と、該直線を該第3ロールの回転軸を中心として±6度傾けた傾斜線との間の領域で前記支持フレームの支持面から突設された第1のピンと、該第3ロールの回転軸と前記第2ロールの回転軸とを結ぶ直線と、該直線を該第3ロールの回転軸を中心として±6度傾けた傾斜線との間の領域で前記支持フレームの支持面から突設された第2のピンと、該第1のピンに固定され該軸受構造体の基部に設けられた第1の空間の内部で摺動可能に遊嵌された第1のスペーサと、該第2のピンに固定され該軸受構造体の基部に設けられた第2の空間の内部で摺動可能に遊嵌された第2のスペーサと、該第1のスペーサを該第1の空間の内部で摺動させることにより該軸受構造体を該第1のピンを中心に正逆に回転可能にする第1の移動手段と、該第2のスペーサを該第2の空間の内部で摺動させることにより該軸受構造体を該第2のピンを中心に正逆に回転可能にする第2の移動手段とを備え、
前記第3ロールの回転軸を前記軸受構造体又は前記支持フレームによって、前記平衡状態を形成できるように該第3ロールに付与される前記弾性力の押付方向を変更可能に支持した構成とすることができる。
【0034】
かかる構成とすれば、まず第3ロールに弾性力付与手段により第1ロール及び第2ロールに向かう弾性力を付与することにより第1ロール及び第2ロールと第3ロールとの間でニップ部を形成する。このとき第1ロール及び第2ロールとの間で設定された初期ニップ圧を形成する。また該弾性力は押付方向が変更可能に構成されているので、該ニップ部で該弾性力、該ニップ圧及びロール自重がバランスした平衡状態が形成される。
【0035】
このように初期ニップ圧が設定された状態で、さらに第1ロールと第3ロール間のニップ圧に微調整が必要な場合は、前記第2の移動手段により前記第2のスペーサを前記第2の空間の内部で摺動させることにより、前記軸受構造体が前記第2のピンを中心として第3ロールを正又は逆に回転する。これによって第1ロール及び第3ロール間の相対位置を変え、両ロール間のニップ圧を調整することができる。このとき第2ロールと第3ロールとのニップ圧変化を微小な範囲に抑えることができる。
【0036】
一方、第2ロールと第3ロール間のニップ圧を微調整したい時は、前記第1の移動手段により前記第1のスペーサを前記第1の空間の内部で摺動させることにより、前記軸受構造体が前記第1のピンを中心として第3ロールを正又は逆に回転する。これによって第2ロール及び第3ロール間の相対位置を変え、両ロール間のニップ圧を調整する。このとき第1ロールと第3ロールとのニップ圧変化を微小な範囲に抑えることができる。
【0037】
かかる構成によれば、第1のピン及び第2のピンが前記支持フレームの支持面に突設固定されているために、第3ロールと支持フレームとの間で相対位置がほとんど変化せず、同じ相対位置を保つことができる。
さらに、前記第1又は第2の移動手段を、前記第1又は第2の空間を囲う該軸受構造体基部の壁部を貫通して前記第1又は第2のスペーサと螺合する差動ボルトとすることができる。かかる構成では、差動ボルトを回転操作するだけで、第3ロールを前記第1又は第2のピンを中心として正逆方向に容易に回転可能とすることができるとともに、該第1又は第2のスペーサの移動量を差動ボルトの回転により微調整することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明方法及び本発明装置によれば、弾性力付与手段により第3ロールに付与される弾性力の押付方向を、第1ロール及び第2ロールと第3ロールとのニップ部の位置及びロール自重のベクトル方向に応じて変更可能な構成としているため、該ニップ部で該弾性力、該ニップ圧及びロール自重がバランスした平衡状態を形成し、該ニップ部で設定された初期ニップ圧を簡易に形成することができる。
【0039】
かかる初期設定をした上で、第1ロール又は第2ロールの一方と第3ロールとのニップ圧調整を行なっても、他方のロールと第3ロールとのニップ圧変化を微小に抑えることができるので、1回のニップ調整で両方のニップ圧を正確に調整することができ、調整のし直しを不要とするので、ニップ圧調整が簡略化できる。
また第3ロールを支持する単一の軸受装置の中に2つの回転中心を設定するだけで、2箇所のニップ部のニップ圧調整が可能になり、ニップ圧調整装置をコンパクト化できる。
従って多数の転移ロール群及び版胴間のニップ圧調整を必要とする印刷機ロールに適用すれば、ニップ圧調整に要する手間と時間を大幅に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
図3は、本発明をインキ又は水の転移伝達を行なう印刷機ロールのニップ圧調整機構に適用した第1実施例を示し、軸受部を水平に断截し上部を取り外して示す斜視図、図4は、図3の軸受部をロール軸支持部20を取り外して示す斜視図、図5は、前記第1実施例の構成を模式的に示す説明図である。
【実施例1】
【0041】
第1実施例を示す図3及び4において、斜線を付した面は断截面を示す。本実施例のニップ調整機構は、図5に示すように、互いに離れて回転軸が固定されている第1の鉄ロール11及び第2の鉄ロール12に対して、ゴムロール13がコイルバネ25(弾性力付与手段)を介して軸受装置14によって支持されている。ゴムロール13は、コイルバネ25によって鉄ロール11及び12側に弾性力を付与され、鉄ロール11及び12に接触してそれぞれニップ部N1及びN2を形成し、インキ又は水の転移伝達を行なう印刷機ロールのニップ圧調整機構を構成する。なお図3では第1の鉄ロール11のみを図示し、第2の鉄ロール12を省略している。
【0042】
図5においてゴムロール13を支持する軸受装置14は、図3では、ゴムロール13の回転軸13aを支持しながら第1の鉄ロール11側に弾性力Eを付与してニップ圧を形成するロール軸支持部20と、図示しない機械フレームに支承され回転軸13aの端面に対面するように設けられた支持面41をもつ支持フレーム40と、ニップ部N1又はN2のニップ圧調整を行なうため支持フレーム40の支持面41に沿って相対移動可能な軸受構造体30とからなる。
【0043】
ロール軸支持部20は、回転軸13aを収容する凹部21aと、回転軸13aに対して鉄ロール11及び12側へ弾性力を付与するコイルバネ25等を収容する凹部21bとを形成したケーシング21で構成されている。凹部21bには、支持面41に植設固定されたピン22と、該ピン22と孔23aで嵌合した円柱23と、ケーシング21の壁部に嵌合固定された六角鍔24と、円柱23と六角鍔24との間に挿入され六角鍔24に弾性力を付与することによりケーシング21を介して回転軸13aに鉄ロール11側へ向く弾性力を付与するコイルバネ25が収容されている。
【0044】
また、軸受構造体30は、図4に示すように、上下に第1の空間32a及び第2の空間32bが形成されたケーシング31と、第1の空間32aの内部に位置して支持面41に植設固定された第1のピン33aと、第2の空間32bの内部に位置して支持面41に植設固定された第2のピン33bと、第1の空間32aに摺動可能に遊嵌されるとともに、第1のピン33aに嵌合固定された第1のスペーサ34aと、第2の空間32bに摺動可能に遊嵌されるとともに、第2のピン33bに嵌合固定された第2のスペーサ34bと、ケーシング31の壁部に穿設された貫通孔から第1の空間32aの内部に挿入され、第1のスペーサ34aに設けられた貫通孔36aに形成されたメネジ部37aと螺合した第1の差動ボルト35aと、同様にケーシング31の壁部に穿設された貫通孔から第2の空間32bの内部に挿入され、第2のスペーサ34bに設けられた貫通孔36bに形成されたメネジ部37bと螺合した第2の差動ボルト35bとからなる。
【0045】
図5に示すように、第1のピン33aは、第1の鉄ロール11の回転軸11aとゴムロール13の回転軸13aとを結ぶ直線L1上に配置され、第2のピン33bは、第2の鉄ロール12の回転軸12aとゴムロール13の回転軸13aとを結ぶ直線L2上に配置されている。
なお、ロール軸支持部20のケーシング21は、軸受構造体30のケーシング31に固定され支持されている。
【0046】
次に本実施例装置の操作方法を説明する。軸受装置14は、ロール間のニップ圧調整を行なわないときは、図4に示すように、固定ボルト38を支持フレーム40に設けられたネジ穴42にねじ込むことにより、軸受構造体30が支持フレーム40に固定された状態となっている。
【0047】
次に軸受構造体30の第1及び第2の差動ボルト35a、35bをほぼ中立位置に保持した状態とし、ゴムロール13の回転軸13aをロール軸支持部20に支承させることにより、ゴムロール13を第1及び第2の鉄ロール11、12側に組み付ける。このときゴムロール13は、第1及び第2の鉄ロール11及び12にコイルバネ25の弾性力Eで押付けられ、設定された初期ニップ圧n1及びn2となるニップ部N1及びN2を形成する。
【0048】
このときケーシング21は、ケーシング31に対して固定されておらず、位置調整が可能なように支持されているため、該弾性力Eの押し付け方向は、ニップ部N1及びN2の位置及びロール自重のベクトル方向に応じて向きを変更可能であり、これによって弾性力E、ニップ圧n1、n2及びロール自重がバランスした平衡状態を形成することができる。
【0049】
かかる初期状態で、第1の鉄ロール11とゴムロール13との間のニップ圧n1を微調整する必要が生じた場合、先ず固定ボルト38を緩めて、軸受構造体30が支持面41に沿って支持フレーム40に対して相対移動可能とする。次に第1の差動ボルト35aを正又は逆に回して第1のスペーサ34aを第1の空間32a内で摺動させる。これによって軸受構造体30は、第2のピン33bを中心に正又は逆方向に回転する。
【0050】
この操作を図5により説明すると、ゴムロール13を第2のピン33bを中心に正方向に角度tだけ回転すれば、ゴムロール13の外径上の点AはA’に移動することになり、第1鉄ロール11の回転軸11aとゴムロール13の回転軸13a間の距離が短縮されるので、ニップ部N1のニップ圧が高くなる。またゴムロール13を第2のピン33bを中心に逆方向に回転すれば、第1鉄ロール11の回転軸11aとゴムロール13の回転軸13a間の距離が長くなるので、ニップ部N1のニップ圧が低くなる。
【0051】
一方、第2の鉄ロール12とのニップ部N2は、角度tの正回転によりゴムロール13の外径上の点BがB’に移動するが、第2のピン33bからB’までの長さと第2のピン33bからBとまでの長さはほとんど変わらないので、第2鉄ロール12の回転軸12aとゴムロール13の回転軸13a間の距離はほとんど変わらず、このためニップ部N2のニップ圧変化はほとんどない。これはゴムロール13を逆回転させた場合も同様である。
【0052】
また、第2の鉄ロール12とゴムロール13とのニップ部N2の微調整を行なう必要が生じた場合には、第2の差動ボルト35bを正又は逆に回して第2のスペーサ34bを第2の空間32b内で摺動させる。これによって軸受構造体30は、第1のピン33aを中心に正又は逆方向に回転し、ニップ部N2のニップ圧を調整できるが、ニップ部N1のニップ圧はほとんど変化がない。ニップ部N1及びN2の微調整が終わったら、固定ボルト38を締めて軸受構造体30を支持フレーム40に固定する。
【0053】
このように本実施例によれば、初期のニップ圧付与時には、ゴムロール13の回転軸13aがケーシング21によりある程度位置変更可能な状態で支承されているため、ゴムロール13に付与される弾性力Eの押付方向は、ニップ部N1及びN2の位置及びロール自重のベクトル方向に応じて向きを変更可能であり、これによって弾性力E,ニップ圧n1、n2及びロール自重がバランスした平衡状態を形成することができる。
【0054】
従って、ロール軸支持部20により、第1の鉄ロール11及び第2の鉄ロール12とゴムロール13とのニップ部に、コイルバネ25の弾性力及びロール自重をバランスさせて簡易に設定されて初期ニップ圧を付与することができる。
かかるニップ圧を付与した状態で、さらに第1の鉄ロール11又は第2の鉄ロール12とゴムロール13とのニップ部の微調整を行なう必要が生じた時は、第1の差動ボルト35a又は第2の差動ボルト35bを正又は逆に回すだけで、簡単にニップ圧調整が可能になる。
【0055】
また一方の鉄ロールとゴムロール13のニップ圧調整を行なっても、他方の鉄ロールとゴムロール13とのニップ圧変化がほとんど生ぜず、従って調整し直しがなくなり、短時間で精密なニップ圧調整が可能となる。従ってニップ圧調整に要する作業者の労力が軽減されるとともに、印刷の準備時間が短縮され、機械の稼動率が向上する。また1組の軸受装置13の中で2箇所のニップ部の微調整が可能となり、ニップ圧調整装置をコンパクト化することができる。
また第1及び第2のピン33a及び33bと支持フレーム40とが連結されているため、固定ボルト38を緩めても回転軸13aの支承位置が変化せず、ニップ部N1及びN2のニップ圧n1及びn2を設定された状態に保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、3個のローラ間に2箇所のニップ部を形成した場合に、一方のニップ部のニップ圧をほとんど変更せずに、他方のニップ部のニップ圧を正確に調整できるため、印刷機のインキ又は水を転移伝達するロール群や版胴にように多数のロール間のニップ調整を要する場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の原理説明図(理想状態の場合)である。
【図2】本発明の原理説明図(理想状態から外れた場合)である。
【図3】本発明の第1実施例を一部断裁して示す斜視図である。
【図4】前記第1実施例の軸受構造体30の斜視図である。
【図5】前記第1実施例の模式図である。
【図6】従来のインキ及び水を転移伝達するロール群を示す構成図である。
【図7】鉄ロールとゴムロールのニップ部を示す説明図である。
【図8】従来の剛性ロールと弾性ロールのニップ調整機構を示す模式図である。
【符号の説明】
【0058】
1 第1ロール
1a 第1ロールの回転中心
2 第2ロール
2a 第2ロールの回転中心
3 第3ロール
3a 第3ロールの回転中心
4 軸受
5 バネ(弾性力付与手段)
11 鉄ロール(第1ロール)
12 鉄ロール(第2ロール)
13 ゴムロール(第3ロール)
14 軸受装置
E 弾性力
L1、L2 直線
L1’、L2’ 傾斜線
N1、N2 ニップ部
n1、n2 ニップ圧
P1 第1の点
P2 第2の点
20 ロール軸支持部
25 コイルバネ(弾性力付与手段)
30 軸受構造体
32a 第1の空間
32b 第2の空間
33a 第1のピン(第1の軸)
33b 第2のピン(第2の軸)
34a 第1のスペーサ
34b 第2のスペーサ
35a 第1の差動ボルト(第1の移動手段)
35b 第2の差動ボルト(第2の移動手段)
40 支持フレーム
41 支持面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニップ部を形成する少なくとも一方のロールが弾性ロールで構成され、互いに離れた位置に軸心が固定された第1のロール及び第2のロールの双方に軸心が移動可能な第3のロールを接触させてニップ部を形成してなるロール間のニップ圧調整方法において、
前記第3ロールに前記第1及び第2ロール側に向かう弾性力を付加して該第1ロール及び第2ロールとの間で設定された初期ニップ圧となるニップ部を形成するとともに、該ニップ部で該弾性力、該ニップ圧及びロール自重がバランスした平衡状態を形成させ、
該第3ロールの回転中心と該第1ロールの回転中心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍に位置する第1の点を中心として該第3ロールを正逆に回転することにより、該第3ロールと該第1ロールとのニップ圧変化を微小に抑えながら該第3ロールと該第2ロールとのニップ圧調整を行い、
該第3ロールの回転中心と該第2ロールの回転中心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍に位置する第2の点を中心として該第3ロールを正逆に回転することにより、該第3ロールと該第2ロールとのニップ圧変化を微小に抑えながら該第3ロールと該第1ロールとのニップ圧調整を行うことを特徴とするロール間のニップ圧調整方法。
【請求項2】
前記第1の点又は第2の点を、前記第3ロールの軸心と前記第1ロール又は第2ロールの軸心とを結ぶ直線と該直線を該第3ロールの軸心を中心として±6度傾けた傾斜線との間の領域に配置することを特徴とする請求項1記載のロール間のニップ圧調整方法。
【請求項3】
前記第1〜第3ロールが、インキ又は水の貯留槽から版胴にインキ又は湿し水を転移伝達する印刷機の転移ロール群又は版胴であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか記載のロール間のニップ圧調整方法。
【請求項4】
ニップ部を形成する少なくとも一方のロールが弾性ロールで構成され、互いに離れた位置に軸心が固定された第1のロール及び第2のロールと軸心が移動可能な第3のロールとでニップ部を形成してなるロール間のニップ圧調整装置において、
前記第3ロールに前記第1及び第2ロール側に向かう弾性力を付加して該第3ロールと該第1ロール及び第2ロールとの間でニップ圧を形成させる弾性力付与手段を備え、
前記ニップ部で該弾性力、該ニップ圧及びロール自重がバランスした平衡状態を形成できるように、該弾性力付与手段により該第3ロールに付与される弾性力の押付方向を、該ニップ部の位置及びロール自重のベクトル方向に応じて変更可能な構成とし、
該第3ロールの軸心と該第1ロールの軸心とを結ぶ直線上または該直線の近傍に配置した第1の軸を中心として該第3ロールを正逆に回転可能にするとともに、
該第3ロールの軸心と該第2ロールの軸心とを結ぶ直線上又は該直線の近傍に配置した第2の軸を中心として該第3転移ロールを正逆に回転可能に構成したことを特徴とするロール間のニップ圧調整装置。
【請求項5】
前記第1の軸又は第2の軸を、前記第3ロールの軸心と前記第1ロール又は第2ロールの軸心とを結ぶ直線と、該直線を該第3ロールの軸心を中心として±6度傾けた傾斜線との間の領域に配置したことを特徴とする請求項4記載のロール間のニップ圧調整装置。
【請求項6】
前記第3ロールの両端に設けられた回転軸を支承する軸受構造体と、
該軸受構造体を該第3ロールの該回転軸端面に対面する支持面に沿って相対移動可能に支持する支持フレームとを備え、
該軸受構造体は、
該軸受構造体の基部に固定され、該第3ロールの回転軸を前記弾性力付与手段を介して支持するロール軸支持部と、
該第3ロールの回転軸と前記第1ロールの回転軸とを結ぶ直線と、該直線を該第3ロールの回転軸を中心として±6度傾けた傾斜線との間の領域で前記支持フレームの支持面から突設された第1のピンと、
該第3ロールの回転軸と前記第2ロールの回転軸とを結ぶ直線と、該直線を該第3ロールの回転軸を中心として±6度傾けた傾斜線との間の領域で前記支持フレームの支持面から突設された第2のピンと、
該第1のピンに固定され該軸受構造体の基部に設けられた第1の空間の内部で摺動可能に遊嵌された第1のスペーサと、
該第2のピンに固定され該軸受構造体の基部に設けられた第2の空間の内部で摺動可能に遊嵌された第2のスペーサと、
該第1のスペーサを該第1の空間の内部で摺動させることにより該軸受構造体を該第1のピンを中心に正逆に回転可能にする第1の移動手段と、
該第2のスペーサを該第2の空間の内部で摺動させることにより該軸受構造体を該第2のピンを中心に正逆に回転可能にする第2の移動手段とを備え、
前記第3ロールの回転軸を前記軸受構造体又は前記支持フレームによって、前記平衡状態を形成できるように該第3ロールに付与される前記弾性力の押付方向を変更可能に支持したことを特徴とする請求項5記載のロール間のニップ圧調整装置。
【請求項7】
前記第1又は第2の移動手段が、
前記第1又は第2の中空部を囲う該軸受構造体基部の壁部を貫通して前記第1又は第2のスペーサと螺合する差動ボルトであることを特徴とする請求項6記載のロール間のニップ圧調整装置。
【請求項8】
前記第1〜第3ロールが、インキ又は水の貯留槽から版胴にインキ又は湿し水を転移伝達する印刷機の転移ロール群又は版胴であることを特徴とする請求項4又は5のいずれか記載のロール間のニップ圧調整装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−326278(P2007−326278A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158775(P2006−158775)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】