説明

ワイパブレード

【課題】装着された板ばね部材がブレードラバーから外れることを好適に防止することができるワイパブレードを提供すること。
【解決手段】ワイパブレード13は、ワイパアームに連結され、払拭面側に突出する一対の保持爪部31eが長手方向に間隔を有して設けられるメインレバー31と、払拭方向に沿った側方に開口する収容溝22c内にバッキング33が装着され、一対の保持爪部31eによってバッキング33の収容溝22cからの外れが防止されつつ保持されるブレードラバー22とを備える。メインレバー31の長手方向における一対の保持爪部31e間には、その部分においてブレードラバー22の払拭面直交方向の移動を許容しながらもワイパ停止位置から始動される際にブレードラバー22に掛かる力を受ける側でバッキング33の収容溝22cからの外れを阻止すべく払拭面側に突出する抜け防止突起31gが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロントガラス表面等を払拭するのに好適なワイパブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられるワイパ装置のワイパブレードは、ワイパアームに連結されるレバー部材と、レバー部材に保持されるブレードラバーとを備えている。そして、ワイパブレードとしては、レバー部材を軽量化及び少材料化すべく払拭面側に突出する一対の保持爪部が長手方向に間隔を有して(突出する一対の保持爪部間を連続壁で覆わないように)設け、ブレードラバーは払拭方向に沿った側方に開口する収容溝を有し該収容溝内に板ばね部材が装着され前記一対の保持爪部によって板ばね部材の収容溝からの外れが防止されつつ保持するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−132884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、寒冷地等においては払拭面にブレードラバーが凍結により貼り付いてしまう場合がある。そして、このような場合に、例えば、ワイパモータを駆動させてワイパブレードをワイパ停止位置から始動させると、レバー部材の払拭面側に突出する一対の保持爪部間においては収容溝及び板ばね部材が露出しているために、ブレードラバーには始動方向(動いていく方向)と逆向きの力が掛かり、引っ張られる状態となる。
【0005】
そして、このような場合、特に一対の保持爪部の長手方向の間隔が広いと、その一対の保持爪部の間でブレードラバーが大きく変形(保持爪部の移動に対して遅れつつ捩れるように変形)して板ばね部材が収容溝から外れてしまうといった虞があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、装着された板ばね部材がブレードラバーから外れることを好適に防止することができるワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明では、ワイパアームに連結され、払拭面側に突出する一対の保持爪部が長手方向に間隔を有して設けられるレバー部材と、払拭方向に沿った側方に開口する収容溝内に板ばね部材が装着され、前記一対の保持爪部によって前記板ばね部材の前記収容溝からの外れが防止されつつ保持されるブレードラバーとを備えたワイパブレードであって、前記レバー部材の長手方向における前記一対の保持爪部間には、その部分において前記ブレードラバーの前記払拭面直交方向の移動を許容しながらもワイパ停止位置から始動される際に前記ブレードラバーに掛かる力を受ける側で前記収容溝からの前記板ばね部材の外れを阻止すべく前記払拭面側に突出する抜け防止突起が設けられたことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、レバー部材を軽量化及び少材料化すべく、一対の保持爪部をレバー部材から払拭面側に突出させて形成した構成でありながらも、例えば、払拭面にブレードラバーが凍結により貼り付いてしまった場合に、ワイパモータを駆動させてワイパブレードをワイパ停止位置から始動させ、ブレードラバーに始動方向(動いていく方向)と逆向きの大きな力が掛かっても、抜け防止突起によって、板ばね部材の収容溝からの外れが阻止される。又、抜け防止突起は、ブレードラバーの払拭面直交方向の移動(上下動)を許容するため、ブレードラバーの払拭面への追従が良好に行われる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記抜け防止突起は、前記一対の保持爪部間の中心位置からずれた位置に設けられたことを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、抜け防止突起は、ブレードラバーの払拭面直交方向の移動量が最も大きくなる一対の保持爪部間の(長手方向)中心位置からずれた位置に設けられるため、払拭面側への突出量を小さくすることができる。即ち、一対の保持爪部間の中心位置では、ブレードラバーの払拭面直交方向の移動量が最も大きくなるため、前記中心位置に抜け防止突起を設ける場合では板ばね部材の収容溝からの外れを阻止すべくその払拭面側への突出量を大きくする必要があるが、これを回避することができる。よって、例えば、材料を低減できるとともに重量を軽くすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のワイパブレードにおいて、前記抜け防止突起は、前記一対の保持爪部間の中心位置を跨いで複数形成されたことを要旨とする。
同構成によれば、抜け防止突起は、前記一対の保持爪部間の中心位置を跨いで複数形成されるため、請求項2に記載の発明の効果に加えて、板ばね部材の収容溝からの外れをバランス良く阻止することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記ブレードラバーの長手方向における前記一対の保持爪部間には、前記収容溝の変形を抑制するための変形抑制部が設けられたことを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、ブレードラバーの長手方向における一対の保持爪部間には、収容溝の変形を抑制するための変形抑制部が設けられるため、収容溝の開口が開くような変形が抑制され、板ばね部材の収容溝からの外れが更に防止される。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記抜け防止突起は、前記ブレードラバーに力が掛かっていない状態で前記ブレードラバーとの間に隙間を有するように設けられたことを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、抜け防止突起は、ブレードラバーに力が掛かっていない状態でブレードラバーとの間に隙間を有するように設けられるため、ブレードラバーの払拭面直交方向の移動を阻害し難い構成となる。即ち、抜け防止突起がブレードラバーと常に当接している構成とすると、常にその当接面での摩擦力が抵抗となり、ブレードラバーの払拭面直交方向の移動が阻害され易くなるが、これに比べて阻害し難くなり、ひいてはブレードラバーの払拭面への追従性がより良好となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装着された板ばね部材がブレードラバーから外れることを好適に防止することができるワイパブレードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態における車両用ワイパを示す斜視図。
【図2】(a)本実施の形態のワイパブレードを平面に沿わせた状態の正面図。(b)同じくブレードラバーの正面図。(c)図2(a)におけるA−A断面図。(d)図2(a)におけるB−B断面図。
【図3】(a)本実施の形態のワイパブレードを湾曲面に沿わせた状態の正面図。(b)図3(a)におけるC−C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1は、自動車のフロントガラス(ウインドシールドガラス)1の払拭面1aに付着した雨滴等を払拭する車両用ワイパ11を示す。車両用ワイパ11は、ワイパアーム12とワイパブレード13とから構成されている。ワイパアーム12は、その基端部がワイパモータ(図示略)の駆動力にて所定角度で往復回動されるピボット軸(図示略)に固定され、該ピボット軸の往復回動に伴って往復揺動運動を行う。そして、ワイパブレード13は、ワイパアーム12の先端部に連結クリップ14を介して回動可能に連結される。尚、ワイパアーム12には、ワイパブレード13を払拭面1aに押圧するための押圧力を付与するスプリング(図示略)が装着されている。
【0019】
ワイパブレード13は、図2及び図3に示すように、ワイパレバー21と、ブレードラバー22とを備える。尚、図2は、ワイパブレード13を平面に沿わせた状態、詳しくはブレードラバー22の払拭面側端部(下端部)を平面に当接させた状態の正面図である。又、図3は、ワイパブレード13を湾曲面に沿わせた状態、詳しくはブレードラバー22の払拭面側端部(下端部)を湾曲した払拭面1aに当接させた状態の正面図である。
【0020】
ワイパレバー21は、その長手方向中間部がワイパアーム12の先端部に対して連結クリップ14を介して回動可能に連結されるレバー部材としてのメインレバー31と、長手方向基端部がメインレバー31の長手方向両端部に対して(図2(a)中、軸Xを中心として)回動可能に連結される2つの可動部材32とにより構成されている。
【0021】
詳しくは、メインレバー31は、樹脂材料よりなり、全体的に長手方向直交方向断面が(払拭面1a側が開口した)略U字状に形成され、その長手方向中間部の上部(払拭面1aから離間する側の部分)には、上下方向(払拭面1aの垂直方向)に貫通する上部開口部31a(図1参照)が形成されている。又、メインレバー31の上部開口部31aと対応した位置の一対の側壁31b,31c(図2(c)及び図2(d)参照)間には、該側壁31b,31c同士を繋ぐ連結軸31d(図2(a)参照)が設けられ、その連結軸31dに前記連結クリップ14(図1参照)を介してワイパアーム12の先端部が連結されている。
【0022】
又、各可動部材32は、樹脂材料よりなり、全体的に長手方向直交方向断面が(払拭面1a側が開口した)略U字状に形成され、その長手方向基端部がメインレバー31の長手方向両端部の内部で軸X(図2(a)参照)を中心として回動可能に連結され、メインレバー31と連続的な(長手方向に段差の少ない)外観をなすように設けられている。又、本実施の形態のワイパレバー21(メインレバー31及び可動部材32)の外表面における車両の前方側(取り付けられた状態で前方側)には、車両走行時の走行風を受けるとブレードラバー22を払拭面1a側に押し付ける力を生じさせるフィン面21a(図2(c),(d)参照)が長手方向の略全体に形成されている。
【0023】
又、メインレバー31の長手方向の両端側には、前記ブレードラバー22(その上部22a)を保持するための払拭面1a側に突出する一対の保持爪部31eが設けられている。一対の保持爪部31eは、前記上部開口部31a(図1参照)の長手方向の幅よりも長手方向に長い間隔を有して(メインレバー31の長手方向の両端近傍位置に)設けられている。又、保持爪部31eは、図2(c)に示すように、メインレバー31の一対の側壁31b,31cの下縁からそれぞれ下方に延びるとともにその先端が互いに近づく側に屈曲形成されることでブレードラバー22の上部22aを把持可能とされている。又、メインレバー31において保持爪部31eが形成される位置には、図2(c)に示すように、ブレードラバー22の払拭面1aから離間する側への移動を阻止するとともに保持爪部31eの剛性を確保すべく、一対の側壁31b,31c同士を繋ぎ前記ブレードラバー22の上部22a(その上面)に当接されるブリッジ部31fが形成されている。
【0024】
又、各可動部材32の長手方向先端側には、図2(a)に示すように、前記保持爪部31eと同様に、前記ブレードラバー22(その上部22a)を保持するための払拭面1a側に突出する先端保持爪部32aが設けられている。
【0025】
ブレードラバー22は、ゴム材にて長尺状に形成され、前記保持爪部31e及び先端保持爪部32aに保持(把持)される上部22aと、上部22aから下方(払拭面1a方向)に上部22aに対して傾動可能に延びる払拭部22bとを有するものである。そして、ブレードラバー22の上部22aには、払拭方向に沿った側方(図2(c)中、左右方向)に開口する一対の収容溝22cが形成され、それら収容溝22cにはそれぞれ板ばね部材としての金属板材よりなる平板状のバッキング33がその平板面が払拭方向と平行な状態となるよう装着(収容保持)されている。このバッキング33はワイパアーム12より受ける払拭面1aへの押圧力を長手方向に分散させ、払拭面1a直交方向に弾性変形して保持爪部31eから長手方向両端側に突出するブレードラバー22の追従端部22d(図2(a)参照)においても払拭部22bを払拭面1aに押圧させる役目を果たすものである。尚、前記保持爪部31e及び先端保持爪部32aは、このバッキング33(収容溝22c)を含む上部22aを把持し、その部分においてバッキング33の収容溝22cからの外れを防止する役目も果たしている。
【0026】
又、本実施の形態のブレードラバー22の長手方向における一対の保持爪部31e間には、図2(b),(d)に示すように、前記収容溝22cの(その上側壁部の)変形を抑制するための変形抑制部としての肉厚部22eが形成されている。肉厚部22eは、図2(d)に示すように、収容溝22cの上側壁部を上方に膨出させて肉厚(図2(c)に示す保持爪部31eに保持される部分等に対して肉厚)とすることで構成されている。
【0027】
ここで、メインレバー31の長手方向における一対の保持爪部31e間には、図2(a),(d)に示すように、抜け防止突起31gが設けられている。抜け防止突起31gは、ブレードラバー22の払拭面1a直交方向の移動(上下動)を空隙部K(ブレードラバー22の上部(上面)22aとメインレバー31の内面との間の空間)にて許容しながらもワイパ停止位置から始動される際にブレードラバー22に掛かる(始動方向と逆向きの)力を受ける側(フィン面21aが形成される一方の側壁31b側)でバッキング33の収容溝22cからの外れを阻止すべく払拭面1a側に突出して設けられている。尚、ワイパ停止位置とは、フロントガラス1(払拭面1a)の下端に沿った位置である。
【0028】
本実施の形態の抜け防止突起31gは、図2(a)に示すように、一対の保持爪部31e間の長手方向中心位置からずれた位置であって、一対の保持爪部31e間の長手方向中心位置を跨いで複数(詳しくは、上記長手方向中心位置から等間隔の位置に2つ)設けられている。又、各抜け防止突起31gは、図3(a),(b)に示すように、ブレードラバー22を湾曲面(湾曲した払拭面1a)に沿わせた状態で(抜け防止突起31g又は側壁31bが)少なくとも前記バッキング33(収容溝22c)と払拭方向に対向するように、本実施の形態では上部22aの略下端と対向する位置まで払拭面1a側(下側)に突出している。又、各抜け防止突起31gは、図2(a),(d)に示すように、ブレードラバー22を平面に沿わせた状態においても少なくとも前記バッキング33(収容溝22c)と払拭方向に対向するように、本実施の形態ではバッキング33(収容溝22c)より僅かに下方の位置まで払拭面1a側(下側)に突出している。又、本実施の形態の各抜け防止突起31gは、図2(d)に示すように、ブレードラバー22に力(始動方向と逆向きの力)が掛かっていない状態でブレードラバー22との間に隙間Sを有するように設けられている。即ち、本実施の形態の抜け防止突起31gは、ブレードラバー22に始動方向(動いていく方向)と逆向きの大きな力が掛かった場合に、ブレードラバー22が(隙間Sがなくなるように)僅かに変形するとブレードラバー22やバッキング33と当接してバッキング33の収容溝22cからの外れを阻止するように形成されている。より具体的には、抜け防止突起31gとブレードラバー22との間の隙間Sは、バッキング33の収容溝22c内への収容幅寸法よりも小さく設定されている。又、本実施の形態の各抜け防止突起31gは、図2(a)に示すように、前記長手方向に沿った幅(図2(a)中、左右方向の幅)が保持爪部31eの前記長手方向に沿った幅より小さく形成されている。
【0029】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)例えば、払拭面1aにブレードラバー22が凍結により貼り付いてしまった場合に、ワイパモータを駆動させてワイパブレード13をワイパ停止位置から始動させても、即ちブレードラバー22に始動方向(動いていく方向)と逆向きの大きな力が掛かっても、抜け防止突起31gによって、バッキング33の収容溝22cからの外れが阻止される。又、抜け防止突起31gは、ブレードラバー22の払拭面1a直交方向の移動(上下動)を空隙部Kにおいて許容するため、ブレードラバー22の払拭面1aへの追従が良好に行われる。又、一対の保持爪部31e及び抜け防止突起31gがそれぞれ払拭面1a側に(他の部分に対して)突出するものであるため、例えば、保持爪部31e及び抜け防止突起31gに相当する部分が長手方向に繋がって(連続した壁状に)形成されるものに比べて、材料を低減できるとともに重量を軽くすることができる。
【0030】
(2)抜け防止突起31gは、ブレードラバー22の払拭面1a直交方向の移動量が最も大きくなる一対の保持爪部31e間の長手方向中心位置からずれた位置に設けられるため、払拭面1a側への突出量を小さくすることができる。即ち、一対の保持爪部31e間の長手方向中心位置では、ブレードラバー22の払拭面1a直交方向の移動量が最も大きくなるため、前記中心位置に抜け防止突起を設ける場合ではバッキング33の収容溝22cからの外れを阻止すべくその払拭面1a側への突出量を大きくする必要があるが、これを回避することができる。よって、例えば、材料を低減できるとともに重量を軽くすることができる。
【0031】
(3)抜け防止突起31gは、一対の保持爪部31e間の長手方向中心位置を跨いで複数(本例では2つ)設けられるため、バッキング33の収容溝22cからの外れをバランス良く阻止することができる。又、本実施の形態では、抜け防止突起31gは、一対の保持爪部31e間の長手方向中心位置から等間隔の位置に2つ設けられるため、バッキング33の収容溝22cからの外れを更にバランス良く阻止することができる。
【0032】
(4)ブレードラバー22の長手方向における一対の保持爪部31e間には、収容溝22cの変形を抑制するための変形抑制部(肉厚部22e)が設けられるため、収容溝22cの開口が開くような変形が抑制され、バッキング33の収容溝22cからの外れが更に防止される。
【0033】
(5)変形抑制部は、ブレードラバー22における収容溝22cの上側壁部を肉厚とした肉厚部22eよりなるため、例えば変形抑制部として別部材を後付けするといった場合に比べて、容易に設けることができる。
【0034】
(6)抜け防止突起31gは、ブレードラバー22に力(始動方向と逆向きの力)が掛かっていない状態でブレードラバー22との間に隙間Sを有するように設けられるため、ブレードラバー22の払拭面1a直交方向の移動(上下動)を阻害し難い構成となる。即ち、抜け防止突起がブレードラバー22と常に当接している構成とすると、常にその当接面での摩擦力が抵抗となり、ブレードラバー22の払拭面1a直交方向の移動が阻害され易くなるが、これに比べて阻害し難くなり、ひいてはブレードラバー22の払拭面1aへの追従性がより良好となる。好ましくは、抜け防止突起31gとブレードラバー22との間の隙間Sは、バッキング33の収容溝22c内への収容幅寸法よりも小さく設定することで、抜け防止突起31gによりバッキング33の収容溝22cから外れをより確実に阻止することができる。
【0035】
(7)抜け防止突起31gは、ワイパブレード13の長手方向に沿った幅が保持爪部31eの前記長手方向に沿った幅より小さく形成されるため、必要以上の大型化を避けて材料を低減できるとともに重量を軽くすることができる。
【0036】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、抜け防止突起31gは、一対の保持爪部31e間の長手方向中心位置からずれた位置に設けられるとしたが、これに限定されず、一対の保持爪部31e間の中心位置に設けてもよい。
【0037】
・上記実施の形態では、抜け防止突起31gは、一対の保持爪部31e間の長手方向中心位置を跨いで複数(2つ)設けられるとしたが、これに限定されず、中心位置からずれた位置に1つのみ設けてもよい。又、抜け防止突起31gの数は、3つ以上に変更してもよい。又、上記実施の形態では、抜け防止突起31gは、一対の保持爪部31e間の長手方向中心位置を跨いた位置であって、前記中心位置から等間隔の位置に2つ設けられるとしたが、前記中間位置から異なる間隔の位置に設けてもよい。
【0038】
・上記実施の形態では、ブレードラバー22の長手方向における一対の保持爪部31e間には、収容溝22cの変形を抑制するための変形抑制部(肉厚部22e)が設けられるとしたが、これに限定されず、一対の保持爪部31e間を含むブレードラバー22の全長に亘って設けても良く、また、ブレードラバー22の一対の保持爪部31e間に部分的に設けても良い。又、変形抑制部を設けない構成としてもよい。また、変形抑制部は、収容溝22cの変形を抑制することができれば、肉厚部22eに相当する部分を別部材で形成し、接着等により後付けして構成してもよい。
【0039】
・上記実施の形態では、抜け防止突起31gは、ブレードラバー22に力(始動方向と逆向きの力)が掛かっていない状態でブレードラバー22との間に隙間Sを有するように設けられるとしたが、これに限定されず、摺動可能に当接させて設けてもよい。
【0040】
・上記実施の形態では、抜け防止突起31gは、ワイパブレード13の長手方向に沿った幅が保持爪部31eの前記長手方向に沿った幅より小さく形成されるとしたが、これに限定されず、例えば、抜け防止突起31gの前記幅を保持爪部31eの前記幅と同じにしてもよいし、抜け防止突起31gの前記幅を保持爪部31eの前記幅より大きくしてもよい。尚、抜け防止突起31gの前記幅を保持爪部31eの前記幅と同じにすると、それらが統一されることで美観が向上される。
【0041】
・上記実施の形態では、ワイパレバー21は、メインレバー31と、2つの可動部材32とを備えるとしたが、これに限定されず、例えば、可動部材32を備えずメインレバー31(レバー部材)に相当するもののみの(長手方向両端のブレードラバー22の上面が露出される)ワイパレバーに変更してもよい。
【0042】
・上記実施の形態では、抜け防止突起31gをメインレバー31に一体成形したが、これに限定されず、別部材で形成し、接着やインサート成形等により設けてもよい。
・上記実施の形態では、メインレバー31は樹脂材料よりなるとしたが、これに限定されず、例えば、金属材料よりなるものとしてもよく、また一部分を金属製としたものとしてもよい。
【0043】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項4に記載のワイパブレードにおいて、前記変形抑制部は、前記ブレードラバーにおける前記収容溝の上側壁部を肉厚とした肉厚部よりなることを特徴とするワイパブレード。
【0044】
同構成によれば、変形抑制部は、ブレードラバーにおける収容溝の上側壁部を肉厚とした肉厚部よりなるため、例えば変形抑制部として別部材を後付けするといった場合に比べて、容易に設けることができる。
【0045】
(ロ)請求項1乃至5及び上記(イ)に記載のワイパブレードにおいて、
前記抜け防止突起は、前記長手方向に沿った幅が前記保持爪部の前記長手方向に沿った幅より小さく形成されたことを特徴とするワイパブレード。
【0046】
同構成によれば、抜け防止突起は、前記長手方向に沿った幅が保持爪部の前記長手方向に沿った幅より小さく形成されるため、必要以上の大型化を避けて見栄え良く材料を低減できるとともに重量を軽くすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1a…払拭面、12…ワイパアーム、22…ブレードラバー、22c…収容溝、22e…肉厚部(変形抑制部)、31…メインレバー(レバー部材)、31e…保持爪部、31g…抜け防止突起、33…バッキング(板ばね部材)、S…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパアームに連結され、払拭面側に突出する一対の保持爪部が長手方向に間隔を有して設けられるレバー部材と、
払拭方向に沿った側方に開口する収容溝内に板ばね部材が装着され、前記一対の保持爪部によって前記板ばね部材の前記収容溝からの外れが防止されつつ保持されるブレードラバーと
を備えたワイパブレードであって、
前記レバー部材の長手方向における前記一対の保持爪部間には、その部分において前記ブレードラバーの前記払拭面直交方向の移動を許容しながらもワイパ停止位置から始動される際に前記ブレードラバーに掛かる力を受ける側で前記収容溝からの前記板ばね部材の外れを阻止すべく前記払拭面側に突出する抜け防止突起が設けられたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパブレードにおいて、
前記抜け防止突起は、前記一対の保持爪部間の中心位置からずれた位置に設けられたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項3】
請求項2に記載のワイパブレードにおいて、
前記抜け防止突起は、前記一対の保持爪部間の中心位置を跨いで複数形成されたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、
前記ブレードラバーの長手方向における前記一対の保持爪部間には、前記収容溝の変形を抑制するための変形抑制部が設けられたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、
前記抜け防止突起は、前記ブレードラバーに力が掛かっていない状態で前記ブレードラバーとの間に隙間を有するように設けられたことを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−235808(P2011−235808A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110250(P2010−110250)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】