説明

ワイパブレード

【課題】ワイパブレードの組み付け作業性およびブレードラバーの交換作業性の向上を図れるワイパブレードを提供する。
【解決手段】ウィンドガラス11の払拭面11aに当接するブレードラバー20およびブレードラバー20を保持するラバーホルダ21を備えるワイパブレード14において、ラバーホルダ21はフロントホルダ24とリアホルダ25とから構成され、ワイパブレード14に加えられる押し付け力をワイパブレード14の長手方向全体に均一に分散し、ブレードラバー20を所定の分布圧で払拭面11aに接触されるようにする板ばね27を有する。ワイパブレード14の組み付け作業時およびブレードラバー20の交換作業時において、フロントホルダ24とリアホルダ25と板ばね27とにより、容易にブレードラバー20を組み付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイパアームの先端に取り付けられ、車両のウィンドシールドガラス等の払拭面を払拭するワイパブレードにおいて、ブレードラバーが交換可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、ウィンドシールドガラス等に付着した雨水や汚れ等を払拭し、運転者の視界を確保するためのワイパ装置が搭載される。ワイパ装置は、車体に揺動自在に装着されるワイパアームと、ワイパアームの先端に取り付けられるワイパブレードとを有している。また、ワイパブレードは、ウィンドシールドガラス等の払拭面に当接するブレードラバーと、ブレードラバーを保持するラバーホルダとを有している。このワイパ装置は、ワイパモータによりワイパアームが揺動駆動され、ワイパブレードがウィンドシールドガラス等の払拭面上を揺動することで、払拭面に付着した雨水や汚れ等を払拭するようになっている。
【0003】
一般に、ワイパブレードには、ウィンドシールドガラス等の曲率を有する払拭面に対して均一な付勢力を与えるために、バーティブラが払拭面を払拭するブレードラバーに近接して設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、バーティブラを備え払拭面に対して均一な付勢力を与えるワイパブレードであって、ワイパブレードの略全部ではなくブレードラバーのみの交換を可能とするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−035340号公報
【特許文献2】特表2008−528350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示されたワイパブレードであっては、バーティブラが複数のホルダーによってブレードラバーに把持されているため、ブレードラバーの組み付け時において、作業工程が煩雑となりやすく、ブレードラバーの交換時においては、その交換作業自体が非常に困難であるという課題がある。
【0007】
また、上述の従来技術である特許文献2に開示されたワイパブレードであっては、バーティブラがホルダーによってブレードラバーに把持されていないため、ブレードラバーの取り付け及び交換の作業工程は比較的容易となる。しかし、ワイパブレードの長手方向の溝に沿ってブレードラバーを挿入するため、その接触抵抗等は挿入距離が長くなるにつれ増加していくこととなり、また、ブレードラバー自体が弾性を有するゴム部材であるため、挿入姿勢を維持することが困難である場合が多く、ブレードラバーの取り付け及び交換作業性を低下させる虞がある。
【0008】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ブレードラバーのような長手方向に長さを備えるワイパブレードにおいて、そのブレードラバーの取り付け及び交換作業性を向上させるワイパブレードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、長尺状に形成され、車両に備えられたウィンドガラスの払拭面に当接する払拭部と、前記払拭部とともに長手方向にて一体形成されている被保持部とを有するブレードラバーと、長尺状に形成され、前記ブレードラバーに備わる前記被保持部を長手方向にて保持するラバーホルダと、を備え、ワイパモータの作動により揺動運動するワイパアームの先端部に取り付けられ、前記ワイパアームの揺動運動により、車両に備えられたウィンドガラスの払拭面を払拭するワイパブレードにおいて、前記ラバーホルダは、フィン形状に形成されたラバーホルダ本体部と、前記ブレードラバーを長手方向にて直接的または間接的に保持するとともに、前記ラバーホルダ本体部の下面に一体的に形成され、長手方向に係合部を有する係合部材を備えるとともに、前記ブレードラバーを長手方向にて直接的または間接的に保持するとともに、前記係合部材に備わる前記係合部を脱着可能に保持する被係合部を有する被係合部材と、を備えることを特徴とする。
このように構成することで、ブレードラバーを挿入する取り付け及び交換作業の動作が煩雑とならずに、ワイパブレードの長手方向と平行な向きにブレードラバーを挿入することができるので、ブレードラバー挿入時の接触抵抗等が小さくなる。また、接触抵抗が小さくなることに伴い、ブレードラバー挿入時の挿入姿勢を維持することが容易となるので、ブレードラバーの取り付け及び交換作業性を向上させることができる。係合部材と被係合部材とを別体として構成しても取り付け作業を煩雑にする虞がなく、ブレードラバーを強固に固定することができる。
【0010】
請求項2に記載した発明は、前記被係合部を有する前記被係合部材は、前記係合部を有する前記係合部材に対して、長手方向に摺動可能に係合することを特徴とする。
このように構成することで、ブレードラバーを長手方向に挿入する取り付け及び交換作業の動作が煩雑とならずに、ワイパブレードの長手方向に被係合部材を挿入することができる。また、被係合部材の被係合部を係合部材の係合部に強固な取り付けとし、係合部材から被係合部材が不意に外れることを防止でき、ワイパブレードの動作安定性を向上させることが出来る。
【0011】
請求項3に記載した発明は、前記被係合部を有する前記被係合部材は、前記係合部を有する前記係合部材に対して、側面方向から係合することを特徴とする。
このように構成することで、ブレードラバーを長手方向に挿入する取り付け及び交換作業の動作が煩雑とならずに、ワイパブレードの長手方向と平行な向きに被係合部材を挿入することができる。また、被係合部材の被係合部を係合部材の係合部に強固な取り付けとし、係合部材から被係合部材が不意に外れることを防止でき、ワイパブレードの動作安定性を向上させることが出来る。さらに、係合部と被係合部との取り付け時の接触抵抗を小さくできるので、取り付け作業性を向上させることが出来る。
【0012】
請求項4に記載した発明は、前記係合部材は前記ブレードラバーの一側面側を保持し、前記被係合部材は前記ブレードラバーの他側面側を保持することを特徴とする。
このように構成することで、ブレードラバーを長手方向に挿入する取り付け及び交換作業の動作が煩雑とならずに、ブレードラバーを取り付けることができるので、ブレードラバー挿入時の接触抵抗等が小さくなる。係合部材と被係合部材とを別体として構成しても取り付け作業を煩雑にする虞がなく、ブレードラバーおよび係合部材と被係合部材とを強固に固定することができる。
【0013】
請求項5に記載した発明は、前記係合部と前記被係合部の少なくとも一方は長手方向に連続して延びていることを特徴とする。
このように構成することで、ブレードラバーを長手方向に挿入する取り付け及び交換作業の動作が煩雑とならずに、ブレードラバーを取り付けることができるので、ブレードラバー挿入時の接触抵抗等が小さくなる。また、係合部材と被係合部材とを別体として構成
しても取り付け作業を煩雑にする虞がなく、さらに、ブレードラバーおよび係合部材と被係合部材とを強固に固定することができる。
【0014】
請求項6に記載した発明は、前記係合部と前記被係合部の少なくとも一方は長手方向に所定間隔を有するよう断続的に形成することを特徴とする。
このように構成することで、係合部と被係合部との接触抵抗を減らすことが出来るので、係合部材と被係合部材との組み付け作業性を向上させることが出来る。また、係合部と被係合部の少なくとも一方が断続的に形成されるので、コスト低減や軽量化を図ることが出来る。
【0015】
請求項7に記載した発明は、前記ラバーホルダ本体部はエラストマーにより形成され、前記係合部材および前記被係合部材は樹脂材料により形成され、前記ラバーホルダ本体部と前記係合部材とが2色成形により一体に形成されることを特徴とする。
このように構成することで、ラバーホルダ本体部と係合部材との取り扱いが容易となり、交換作業性の向上や部品点数の削減による作業工数およびコスト低減を図ることができる。また、美観を損なうことがなく外観意匠性を向上させることができる。ラバーホルダ本体部と係合部材との形状を適宜変更することができるので、搭載される車両に対応した最適な形状を選択することができる。
【0016】
請求項8に記載した発明は、前記ラバーホルダ本体部はエラストマーにより形成され、前記係合部材および前記被係合部材は樹脂材料により形成され、前記ラバーホルダ本体部と前記係合部材とが接着により一体に形成されることを特徴とする。
このように構成することで、美観を損なうことがなく外観意匠性を向上させることができる。ラバーホルダ本体部と係合部材との形状を適宜変更することができるので、搭載される車両に対応した最適な形状を選択することができる。
【0017】
請求項9に記載した発明は、前記ワイパブレードは、弾性部材より形成され、前記ブレードラバーに対し長手方向の略全長に亘り当接し前記ワイパブレードを湾曲保持するバーティブラを備え、前記バーティブラは複数のバーティブラにより構成され、少なくとも一つの前記バーティブラは前記係合部材および前記被係合部材のどちらか一方に一体に形成されることを特徴とする。
このように構成することで、ワイパブレードを構成する各部品を組み付ける際、あらかじめ係合部材および被係合部材のどちらか一方にバーティブラが組み付けられた状態にあるので、作業工程や作業工程中の部品点数を削減することができ、ワイパブレード組み付け時及び交換作業時の作業性を向上させることができる。
【0018】
請求項10に記載した発明は、前記ワイパブレードは、弾性部材より形成され、前記ブレードラバーに対し長手方向の略全長に亘り当接し前記ワイパブレードを湾曲保持するバーティブラを備え、前記バーティブラは単一のバーティブラにより構成され、前記ブレードラバーに対して前記払拭面と反対側に位置し前記ブレードラバーの上面と当接するよう配置されることを特徴とする。
このように構成することで、バーティブラが単一となることによりコスト低減を図れ、バーティブラ組み付け時の作業性を向上させることが出来る。また、ワイパアームからワイパブレードにかかる押し付け力を均一に分散させることが容易に行えるので、ワイパブレードの作動安定性を向上させることが出来る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ブレードラバーのような長手方向に長さをもつものを備えるワイパブレードにおいて、ワイパブレードの組み付け時及びブレードラバーの交換時に、ブレードラバーをその長手方向と平行な向きに挿入することができる。このため、そのブレードラ
バーの取り付け及び交換作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態におけるワイパブレードを備えたワイパ装置を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1におけるA−A線に沿う断面図であり、(b)は図1におけるB−B線に沿う断面図である。
【図3】ワイパ装置の動作を示す説明図である。
【図4】(a)〜(d)はワイパブレードの組み付け順を示す分解図である。
【図5】図2に示すワイパブレードの変形例を示す断面図である。
【図6】図2に示すワイパブレードの変形例を示す断面図である。
【図7】図2に示すワイパブレードの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、自動車等の車両10には、ウィンドガラス11に付着した雨水等の付着物を払拭して運転者の視界を確保するためのワイパ装置12が設けられている。ワイパ装置12は、図示しないワイパモータにより揺動されるワイパアーム13と、ワイパアーム13の先端に取り付けられてウィンドガラス11を払拭するワイパブレード14とを有している。
【0022】
ワイパアーム13は、その基端部に設けられたアームヘッド15においてピボット軸16に固定されている。アームヘッド15の先端部には、リテーナ17がウィンドガラス11に接近離反する方向に回動自在に連結されており、リテーナ17の先端部にアームピース18が固定されている。このアームピース18の先端において、ワイパブレード14がワイパアーム13に取り付けられている。ピボット軸16は図示しないリンク機構を介してワイパモータに連結されており、ワイパアーム13はワイパモータにより所定の角度範囲で揺動されるようになっている。また、リテーナ17には、ワイパアーム13の先端をウィンドガラス11側に向けて付勢する図示しないばね部材が装着されている。これにより、ワイパアーム13はワイパブレード14にウィンドガラス11側へ向けて所定の押し付け力を加えている。
【0023】
ワイパブレード14は、ワイパアーム13の長手方向とほぼ平行に延びる長尺の棒状に形成されている。ワイパブレード14は、ウィンドガラス11の外面に形成された払拭面11aに当接するブレードラバー20と、ブレードラバー20を保持するラバーホルダ21とを備えている。
【0024】
ブレードラバー20は、ゴム材を押出成形することにより長手方向に一様な断面形状に形成されている。図2(a),(b)に示すように、ブレードラバー20は、ウィンドガラス11の払拭面11aに当接するリップ部20aと、リップ部20aに対してウィンドガラス11側とは反対側に配置されるヘッド部20bと、これらリップ部20aとヘッド部20bとを連結するネック部20cとを備えている。ヘッド部20bには、ワイパブレード14の払拭方向(図2における左右方向)両側にそれぞれ開口する一対の半溝22がブレードラバー20の長手方向に沿って形成されている。また、ヘッド部20bには、一対の半溝22よりもウィンドガラス11側に位置させて、払拭方向両側にそれぞれ開口する被保持部である一対の保持溝23がブレードラバー20の長手方向に沿って形成されている。
なお、ワイパブレード14の払拭方向とは、ワイパブレード14がウィンドガラス11の払拭面11a上を摺動する際の揺動方向である。以下において、ワイパブレード14が後述する下反転位置にあるときのワイパブレード14の車両前方側(図2における左側)
を払拭方向一方側とし、ワイパブレード14が下反転位置にあるときのワイパブレード14の車両後方側(図2における右側)を払拭方向他方側として説明する。
【0025】
ラバーホルダ21は、ブレードラバー20の一側面側である払拭方向一方側に配置される係合部材としてのフロントホルダ24と、ブレードラバー20の他側面側である払拭方向他方側に配置される被係合部材としてのリアホルダ25とを有している。これらフロントホルダ24およびリアホルダ25は、可撓性を有する樹脂材料を射出成形することにより長手方向に一様な断面形状に形成されている。フロントホルダ24は、ブレードラバー20のヘッド部20bに対してウィンドガラス11側とは反対側に配置される天壁24aと、ブレードラバー20のヘッド部20bに対して払拭方向一方側に配置される前壁24bとを備えている。このフロントホルダ24には、天壁24aの払拭方向他方側の端部に係合部24cが設けられるとともに、前壁24bに払拭方向他方側に開口する半溝26が形成されている。一方、リアホルダ25は、ブレードラバー20のヘッド部20bに対して払拭方向他方側に配置される後壁25aを備えている。このリアホルダ25には、後壁25aのウィンドガラス11側とは反対側の端部に被係合部としての係合溝25bが形成されるとともに、後壁25aに払拭方向一方側に開口する半溝26が形成されている。係合溝25bは係合部24cに脱着可能に係合保持されている。これらフロントホルダ24およびリアホルダ25は、フロントホルダ24の係合部24cとリアホルダ25の係合溝25bとが係合されて、ブレードラバー20のヘッド部20bの一部を収容する断面略コの字形状に形成されている。
【0026】
ラバーホルダ21にブレードラバー20のヘッド部20bの一部を収容した状態では、ブレードラバー20の一対の半溝22とラバーホルダ21の一対の半溝26とにより、一対の装着溝35がそれぞれワイパブレード14の長手方向に沿って形成される。この装着溝35には、鋼板によりウィンドガラス11に接近離反する方向に弾性変形自在に形成された板ばね(バーティブラ)27がそれぞれ装着されている。この板ばね27を介して、ブレードラバー20がラバーホルダ21に保持されている。板ばね27は、ブレードラバー20がウィンドガラス11の払拭面11aに当接されていない状態つまり自然状態で、長手方向両端部が長手方向中央部よりもウィンドガラス11側に接近する方向に所定の曲率で湾曲している。そして、ブレードラバー20のリップ部20aがウィンドガラス11の払拭面11aに当接されてワイパブレード14が作動状態にセットされると、板ばね27がワイパブレード14とともに払拭面11aに沿って弾性変形される。これにより、ワイパアーム13からワイパブレード14に加えられる押し付け力がワイパブレード14の長手方向全体に均一に分散され、ブレードラバー20が所定の分布圧でウィンドガラス11の払拭面11aに接触されるようになっている。
【0027】
ラバーホルダ21には、フロントホルダ24に対してウィンドガラス11側とは反対側を覆うラバーホルダ本体部であるカバー部材28が長手方向に沿って設けられている。カバー部材28は可撓性を有する樹脂材料により形成されている。フロントホルダ24はカバー部材28の下面に当接するよう設けられている。ラバーホルダ21は、これらフロントホルダ24、リアホルダ25およびカバー部材28により形成されており、ラバーホルダ21の長手方向中央部には、ワイパアーム13の先端が取り付けられる取付部としての接続クリップ29が装着されている。可撓性を有する樹脂製の接続クリップ29には、図2(a)に示すように、ウィンドガラス11側に開口する収容孔29aが形成されている。この収容孔29aにラバーホルダ21の長手方向中央部を収容するとともに、接続クリップ29に設けられた一対の保持爪29bをブレードラバー20の一対の保持溝23にそれぞれ係合することにより、接続クリップ29がラバーホルダ21に装着されている。また、接続クリップ29には、ラバーホルダ21の長手方向と直交する方向に貫通する貫通孔29cが形成されている。この貫通孔29cおよびアームピース18の先端に挿通される連結軸30により、ワイパブレード14がワイパアーム13の先端に回動自在に取り付
けられている。
【0028】
カバー部材28には、接続クリップ29の長手方向両側に位置させて、一対のフィン32がラバーホルダ21の長手方向に沿ってそれぞれ一体に形成されている。図2(b)に示すように、各フィン32は、カバー部材28の払拭方向他方側の端部からウィンドガラス11側とは反対側に突出し、払拭方向一方側から払拭方向他方側へ向かうにつれてウィンドガラス11側とは反対側へ傾斜した形状をしている。このフィン32には、車両走行時の走行風を受けるために、払拭方向一方側に対向する風受け面32aが形成されている。そして、車両走行時にフィン32の風受け面32aにより走行風を受けることによって、ワイパブレード14をウィンドガラス11側に付勢する押し付け力つまりダウンフォースを生じるようになっている。これにより、ワイパブレード14がウィンドガラス11の払拭面11aから浮き上がることが防止され、ワイパブレード14の払拭性の向上が図られている。
【0029】
なお、図1に示すように、ラバーホルダ21の長手方向両端部にはそれぞれ組付カバー34が設けられている。この組付カバー34内にフロントホルダ24、リアホルダ25およびカバー部材28の長手方向端部が挿通されて、これらの長手方向端部が相互に組み付けられている。
【0030】
図3に示すように、ワイパブレード14は、その長手方向一端側(図3における右側)をワイパアーム13の基端側つまりワイパアーム13の揺動中心側に向けて配置されている。ワイパアーム13がピボット軸16を中心として揺動されると、ワイパブレード14は図中実線で示す上反転位置と図中二点鎖線で示す下反転位置との間でワイパアーム13とともに揺動される。これにより、ワイパブレード14がウィンドガラス11の払拭面11a上を摺動されて、上反転位置と下反転位置との間を摺動する際のワイパブレード14の軌跡である払拭領域S上に付着した雨水等の付着物がワイパブレード14により払拭されるようになっている。
【0031】
すなわち、ワイパブレード14が上反転位置から下反転位置に向けて払拭方向一方側(矢印X方向)に揺動されると、払拭領域S上に付着した雨水等がワイパブレード14により払拭されて、払拭領域Sから取り除かれた雨水等が水溜り領域Sxに集められる。同様に、ワイパブレード14が下反転位置から上反転位置に向けて払拭方向他方側(矢印Y方向)に揺動されると、払拭領域S上に付着した雨水等がワイパブレード14により払拭されて、払拭領域Sから取り除かれた雨水等が水溜り領域Syに集められる。このようにして、払拭領域S上に付着した付着物をワイパ装置12により払拭することで、運転者の視界が確保されるようになっている。
【0032】
ワイパブレード14の組み付け順を図4に示すように説明する。
図4(a)に示すように、カバー部材28が備えられたフロントホルダ24に板ばね27がインサート成形により一体に形成される。図4(b)に示すように、板ばね27を有するフロントホルダ24に、フロントホルダ24側の装着溝35を形成するよう長手方向と平行にブレードラバー20を組付ける。その後、図4(c)に示すように、インサート成形により板ばね27を一体に形成したリアホルダ25を、図4(d)に示すように、リアホルダ25側の装着溝35を形成するように長手方向と平行方向から組み付ける。つまり、払拭方向他方側から払拭方向一方側へ向けて軽圧入することで組み付ける。そうして組みつけられたラバーホルダ21の長手方向両端部に組付カバー34とフロントホルダ24の長手方向略中央部に接続クリップ29とが設けられる。
次に、ワイパブレード14の交換作業について説明する。
図4に示した組み付け順と略逆工程となるよう、まず、ワイパブレード14の長手方向両端部に備えられる組付カバー34とフロントホルダ24の長手方向略中央部に備えられ
る接続クリップ29とを取り外す。その後、リアホルダ25を長手方向から引き出す。リアホルダ25および板ばね27を引き出すことによりワイパブレード14に形成された払拭方向他方側の開口からブレードラバー20を取り外す。ブレードラバー20を取り外した後は、交換するための新しいブレードラバー20を組付け、前述した組み付け順と同様にしてワイパブレード14を組み付けることができる。
このような構成とすることで、ワイパブレード14の組み付け作業時およびブレードラバー20の交換作業時において、別途板ばね27をフロントホルダ24およびリアホルダ25に装着させる工程が必要なく、作業工程の簡略化を図れる。また、理解の便宜のために図4では、フロントホルダ24およびリアホルダ25に板ばね27をインサート成形したものでなく、各構成部材を組み付ける前の状態として図4(a)、(b)に示した。
【0033】
したがって、このような形態のワイパブレード14では、ワイパブレード14の組み付け作業およびブレードラバー20の交換作業において、ブレードラバー20をワイパブレード14の長手方向と平行して組付けることができ、ワイパブレード14の長手方向に挿入することで必要以上に接触抵抗等の負荷がかからなくなるので、ワイパブレード14の組み付け作業性およびブレードラバー20の交換作業性を向上させることができる。
【0034】
図5、図6および図7は図2に示すワイパブレード14の変形例であって、ワイパブレード14の断面形状を示す説明図である。なお、図5、図6および図7においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付してある。
【0035】
図2(a)、(b)に示す場合では、板ばね27がブレードラバー20とラバーホルダ21とにより形成される装着溝35に装着される構成としているが、図5(a),(b)に示すように、ブレードラバー20に装着溝35を形成せずに、板ばね27はブレードラバー20のヘッド部20bとフロントホルダ24の天壁24aとの間に配置し、ブレードラバー20のヘッド部20bとフロントホルダ24の天壁24aとリアホルダ25の後壁25aとに当接するように形成してもよい。
【0036】
この場合、ラバーホルダ21は、ブレードラバー20の払拭方向一方側に配置されるフロントホルダ24と、ブレードラバー20の払拭方向他方側に配置されるリアホルダ25とを有している。これらフロントホルダ24およびリアホルダ25は、可撓性を有する樹脂材料を射出成形することにより長手方向に一様な断面形状に形成されている。フロントホルダ24は、ブレードラバー20のヘッド部20bに対してウィンドガラス11側とは反対側に対向する天壁24aと、ブレードラバー20のヘッド部20bに対して払拭方向一方側に配置される前壁24bとを備えた断面略L字形状をしている。このフロントホルダ24には、天壁24aの払拭方向他方側の端部に係合部24cが設けられるとともに、前壁24bのウィンドガラス11側の端部から払拭方向他方側に突出する保持爪24dが設けられている。一方、リアホルダ25は、ブレードラバー20のヘッド部20bに対して払拭方向他方側に配置される後壁25aを備えている。このリアホルダ25には、後壁25aのウィンドガラス11側とは反対側の端部に係合溝25bが形成されるとともに、後壁25aのウィンドガラス11側の端部から払拭方向一方側に突出する保持爪25cが設けられている。
【0037】
ラバーホルダ21にブレードラバー20が保持された状態では、ブレードラバー20のヘッド部20bとラバーホルダ21の天壁24aとの間に、装着溝45がワイパブレード14の長手方向に沿って形成される。この装着溝45には、鋼板によりウィンドガラス11に接近離反する方向に弾性変形自在に形成された板ばね(バーティブラ)27が装着されている。フロントホルダ24とリアホルダ25とには、板ばね27を保持する保持突起36が、長手方向に一様に互いに向き合うよう突出形成されている。板ばね27は、ブレードラバー20がウィンドガラス11の払拭面11aに当接されていない状態、つまり自然
状態で、長手方向両端部が長手方向中央部よりもウィンドガラス11側に接近する方向に所定の曲率で湾曲している。そして、ブレードラバー20のリップ部20aがウィンドガラス11の払拭面11aに当接されてワイパブレード14が作動状態にセットされると、板ばね27がワイパブレード14とともに払拭面11aに沿って弾性変形される。これにより、ワイパアーム13からワイパブレード14に加えられる押し付け力がワイパブレード14の長手方向全体に均一に分散され、ブレードラバー20が所定の分布圧でウィンドガラス11の払拭面11aに接触されるようになっている。
また、板ばね27を保持する保持突起36は、長手方向に一様に形成されているとしたが、長手方向に所定間隔を設けるよう形成してもよい。
【0038】
ワイパブレード14を形成する構成としては、図5に示すものに限らず、図6に示す構成としてもよい。
【0039】
この場合、図2で示したワイパブレード14の構成とほぼ同様であるが、フロントホルダ24およびリアホルダ25に板ばね27を装着する装着溝35が形成されていないという点で異なる。つまり、板ばね27はブレードラバー20の半溝22に挿入保持され、フロントホルダ24の前壁24bとリアホルダ25の後壁25aとにより略払拭方向両側の移動が規制されている。
【0040】
また、ワイパブレード14を形成する構成としては、図6に示すものに限らず、図7に示す構成としてもよい。
【0041】
この場合、図2に示すワイパブレード14のブレードラバー20の形状において、半溝22を形成するブレードラバー20のウィンドガラス11側が略切り取られた形状となっており、保持溝23にフロントホルダ24の保持爪24d及びリアホルダ25の保持爪25cと接続クリップ29の保持爪29bとを保持するようになっている。
【0042】
なお、前記実施の形態では、フロントホルダ24とリアホルダ25との組付けについて、係合部24cと係合溝25bとを軽圧入による組み付けや長手方向から挿通させるスライド構造としてもよく、その方法は限定されない。軽圧入する場合は、側面方向つまり払拭方向他方側から被係合部材としてのリアホルダ25が係合部材としてのフロントホルダ24側へ向けて係合されている。長手方向に摺動可能に係合するスライド構造の場合、長手方向の両端のどちらからでも挿入可能としても、片側のみ挿入可能としても、どちらでもよい。また、係合部24cおよび係合溝25bの形状も限定されない。
【0043】
また、前記実施の形態では、フロントホルダ24およびリアホルダ25でブレードラバー20を保持しているが、その形態は限定しない。つまり、フロントホルダ24およびリアホルダ25でブレードラバー20を直接的に保持しても、フロントホルダ24およびリアホルダ25とブレードラバー20との間に板ばね27等を介して間接的に保持しても、どちらでもよい。
【0044】
また、前記実施の形態では、板ばね27を装着する際、板ばね27をインサート成形によりフロントホルダ24およびリアホルダ25と一体に装着するようにしたが、これに限らず、フロントホルダ24と板ばね27とを組付けにより装着してもよい。また、リアホルダ25と板ばね27とにおいても同様に、組付けにより形成してもよい。
【0045】
さらに、前記実施の形態では、カバー部材28をフロントホルダ24に接着により組付けたが、その接着方法については限定しない。また、これに限らず、カバー部材28とフロントホルダ24とを2色成形により成形段階で一体に形成してもよい。2色成形とすることで、別途カバー部材28とフロントホルダ24とを接着させる接着工程が必要なくなり
、作業工程の簡略化を図ることができる。
【0046】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【符号の説明】
【0047】
11 ウィンドガラス
11a 払拭面
12 ワイパ装置
13 ワイパアーム
14 ワイパブレード
15 アームヘッド
16 ピボット軸
17 リテーナ
18 アームピース
20 ブレードラバー
20a リップ部
20b ヘッド部
20c ネック部
21 ラバーホルダ
22 半溝(ブレードラバーの半溝)
23 保持溝(被保持部)
24 フロントホルダ(係合部材)
24a 天壁
24b 前壁
24c 係合部
24d 保持爪(フロントホルダの保持爪)
25 リアホルダ(被係合部材)
25a 後壁
25b 係合溝(被係合部)
25c 保持爪(リアホルダの保持爪)
26 半溝(ラバーホルダの半溝)
27 板ばね(バーティブラ)
28 カバー部材(ラバーホルダ本体部)
29 接続クリップ
29a 収容孔
29b 保持爪(接続クリップの保持爪)
29c 貫通孔
30 連結軸
32 フィン
32a 風受け面
34 組付カバー
35 装着溝
36 保持突起
45 装着溝
S 払拭領域
Sx 水溜り領域(払拭方向一方側の水溜り領域)
Sy 水溜り領域(払拭方向他方側の水溜り領域)
X 払拭方向一方側
Y 払拭方向他方側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に形成され、車両に備えられたウィンドガラスの払拭面に当接する払拭部と、前記払拭部とともに長手方向にて一体形成されている被保持部とを有するブレードラバーと、
長尺状に形成され、前記ブレードラバーに備わる前記被保持部を長手方向にて保持するラバーホルダと、を備え、
ワイパモータの作動により揺動運動するワイパアームの先端部に取り付けられ、前記ワイパアームの揺動運動により、車両に備えられたウィンドガラスの払拭面を払拭するワイパブレードにおいて、
前記ラバーホルダは、
フィン形状に形成されたラバーホルダ本体部と、
前記ブレードラバーを長手方向にて直接的または間接的に保持するとともに、前記ラバーホルダ本体部の下面に一体的に形成され、長手方向に係合部を有する係合部材を備えるとともに、
前記ブレードラバーを長手方向にて直接的または間接的に保持するとともに、前記係合部材に備わる前記係合部を脱着可能に保持する被係合部を有する被係合部材と、を備えることを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
前記被係合部を有する前記被係合部材は、前記係合部を有する前記係合部材に対して、長手方向に摺動可能に係合することを特徴とする請求項1に記載のワイパブレード。
【請求項3】
前記被係合部を有する前記被係合部材は、前記係合部を有する前記係合部材に対して、側面方向から係合することを特徴とする請求項1に記載のワイパブレード。
【請求項4】
前記係合部材は前記ブレードラバーの一側面側を保持し、前記被係合部材は前記ブレードラバーの他側面側を保持することを特徴とする請求項1乃至3に記載のワイパブレード。
【請求項5】
前記係合部と前記被係合部の少なくとも一方は長手方向に連続して延びていることを特徴とする請求項1乃至4に記載のワイパブレード。
【請求項6】
前記係合部と前記被係合部の少なくとも一方は長手方向に所定間隔を有するよう断続的に形成することを特徴とする請求項1乃至4に記載のワイパブレード。
【請求項7】
前記ラバーホルダ本体部はエラストマーにより形成され、前記係合部材および前記被係合部材は樹脂材料により形成され、前記ラバーホルダ本体部と前記係合部材とが2色成形により一体に形成されることを特徴とする請求項1乃至6に記載のワイパブレード。
【請求項8】
前記ラバーホルダ本体部はエラストマーにより形成され、前記係合部材および前記被係合部材は樹脂材料により形成され、前記ラバーホルダ本体部と前記係合部材とが接着により一体に形成されることを特徴とする請求項1乃至6に記載のワイパブレード。
【請求項9】
前記ワイパブレードは、弾性部材より形成され、前記ブレードラバーに対し長手方向の略全長に亘り当接し前記ワイパブレードを湾曲保持するバーティブラを備え、前記バーティブラは複数のバーティブラにより構成され、少なくとも一つの前記バーティブラは前記係合部材および前記被係合部材のどちらか一方に一体に形成されることを特徴とする請求項1乃至8に記載のワイパブレード。
【請求項10】
前記ワイパブレードは、弾性部材より形成され、前記ブレードラバーに対し長手方向の
略全長に亘り当接し前記ワイパブレードを湾曲保持するバーティブラを備え、前記バーティブラは単一のバーティブラにより構成され、前記ブレードラバーに対して前記払拭面と反対側に位置し前記ブレードラバーの上面と当接するよう配置されることを特徴とする請求項1乃至8に記載のワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−1028(P2012−1028A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135681(P2010−135681)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】