説明

ワイパブレード

【課題】走行風の強さに関わらず払拭性能を維持、つまり揚力の悪化や抗力の悪化を抑制できるワイパブレードの提供。
【解決手段】本体部21を保持する保持部31aを挟むようにして一対の収容部31dを設け、各収容部31dにそれぞれバーティブラ31eを収容するとともに、ホルダ本体31の短手方向一側に、走行風の流れ方向上流側でかつフロントガラス11側に位置する上流側下端面部31hを設け、ホルダ本体31の短手方向他側に、走行風の流れ方向下流側でかつフロントガラス11側に位置する下流側下端面部31iを設け、上流側下端面部31hおよび下流側下端面部31iを、ホルダ本体31の短手方向に沿う断面が円弧形状となるよう形成し、上流側下端面部31hの曲率を下流側下端面部31iの曲率よりも大きくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に揺動自在に設けられるワイパアームに装着され、ウィンドシールド上を往復払拭動作するワイパブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両には、ウィンドシールドに付着した雨水や埃等を払拭して運転者の視界を確保するワイパ装置が搭載されている。ワイパ装置は、電動モータにより揺動駆動されるワイパアームと、ワイパアームに装着されるワイパブレードとを備え、ワイパブレードは、ワイパアームの先端側に回動自在に装着されるホルダ本体と、ホルダ本体に保持されるブレードラバーとを備えている。ブレードラバーは、バーティブラの弾性力等によりウィンドシールドに向けて弾性接触し、これにより電動モータを駆動してワイパアームを揺動駆動することで、ブレードラバーがウィンドシールド上を往復払拭動作する。
【0003】
ところで、車両が高速走行する等してワイパブレードに走行風が当たると、走行風の強さによってはワイパブレードに作用する揚力が悪化、例えばワイパブレードが浮き上がる等の問題が生じ、この場合にはワイパブレードの払拭性能が低下して払拭ムラが発生する。そこで、ワイパブレードの長手方向に沿って走行風を受けるフィン部を一体に設けるようにし、ひいてはワイパブレードにダウンフォース(ウィンドシールドに向かう押圧力)を付与して、ワイパブレードの払拭性能を向上させることが行われている。
【0004】
このようなフィン部を有するワイパブレードとしては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載されたワイパブレードは、ウィンドシールド(ウィンドー)側から、ブレードラバー(底部ワイピングストリップ),平板状のバーティブラ(長手方向中心要素)およびフィン部(スポイラー)を備え、つまり3段構造のワイパブレードとなっている。ここで、バーティブラはホルダ本体(中心管状本体)の内部に設けられ、フィン部はホルダ本体に一体成形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−532380号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたワイパブレードによれば、ブレードラバー(1段目),バーティブラ(2段目)およびフィン部(3段目)の3段構造を採用しているため、ウィンドシールドからの高さ寸法が比較的大きくなっている。したがって、ワイパブレードには多くの走行風が当たり、これによりダウンフォースが大きくなり過ぎたり(揚力の悪化)、ワイパブレードが払拭範囲を越えて移動して電動モータに大きな負荷が掛かったりする(抗力の悪化)等の問題が生じ得る。
【0007】
本発明の目的は、走行風の強さに関わらず払拭性能を維持、つまり揚力の悪化や抗力の悪化を抑制できるワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワイパブレードは、車両に揺動自在に設けられるワイパアームに装着され、ウィンドシールド上を往復払拭動作するワイパブレードであって、前記ウィンドシールドに接触するリップ部と、前記リップ部に一体に形成された本体部とを有するブレードラバーと、前記本体部を保持する保持部を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体の短手方向両側に前記保持部を挟むよう設けられる一対の収容部と、前記各収容部に収容され、前記ブレードラバーを前記ウィンドシールドの曲率に合わせて弾性変形させる一対のバーティブラと、前記各バーティブラに固定され、前記ワイパアームが連結されるアーム連結部材と、前記ホルダ本体の短手方向一側に設けられ、走行風の流れ方向上流側でかつ前記ウィンドシールド側に位置する上流側下端面部と、前記ホルダ本体の短手方向他側に設けられ、走行風の流れ方向下流側でかつ前記ウィンドシールド側に位置する下流側下端面部とを備え、前記上流側下端面部および前記下流側下端面部を、前記ホルダ本体の短手方向に沿う断面が円弧形状となるよう形成し、前記上流側下端面部の曲率を前記下流側下端面部の曲率よりも大きくしたことを特徴とする。
【0009】
本発明のワイパブレードは、前記ホルダ本体に、その長手方向に沿うようフィン部を一体に設けることを特徴とする。
【0010】
本発明のワイパブレードは、前記フィン部の短手方向一側および短手方向他側に、上流側気流面部および下流側気流面部をそれぞれ設け、前記各気流面部を、前記フィン部の短手方向に沿う断面が円弧形状となるよう形成し、前記上流側気流面部の曲率を前記下流側気流面部の曲率よりも小さくしたことを特徴とする。
【0011】
本発明のワイパブレードは、前記上流側下端面部および前記上流側気流面部の間に、前記フィン部の短手方向に沿う断面が円弧形状となった接続面部を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明のワイパブレードは、前記ホルダ本体および前記フィン部を、異なる硬度の材料により二色成形したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のワイパブレードによれば、本体部を保持する保持部を挟むようにして一対の収容部を設け、各収容部にそれぞれバーティブラを収容するとともに、ホルダ本体の短手方向一側に、走行風の流れ方向上流側でかつウィンドシールド側に位置する上流側下端面部を設け、ホルダ本体の短手方向他側に、走行風の流れ方向下流側でかつウィンドシールド側に位置する下流側下端面部を設け、上流側下端面部および下流側下端面部を、ホルダ本体の短手方向に沿う断面が円弧形状となるよう形成し、上流側下端面部の曲率を下流側下端面部の曲率よりも大きくしている。
【0014】
したがって、ブレードラバーを形成する本体部の両側にバーティブラを配置して、ワイパブレードの高さ寸法を従前よりも小さくできるので、走行風が当たり過ぎるのを抑制できる。よって、ワイパブレードが払拭範囲を越えて移動して電動モータに大きな負荷が掛かること(抗力の悪化)を抑制できる。また、上流側下端面部の曲率を下流側下端面部の曲率よりも大きくしているので、上流側下端面部からホルダ本体の表面に滑らかに走行風を案内して、ホルダ本体の表面に沿わせることができる。よって、走行風がホルダ本体から剥離するのを抑えて、剥離に起因する負圧の発生を抑制して、ワイパブレードに作用する揚力の安定化(払拭性能の向上)を図ることができる。
【0015】
本発明のワイパブレードによれば、ホルダ本体に、その長手方向に沿うようフィン部を一体に設けるので、上流側下端面部からホルダ本体およびフィン部の表面に滑らかに走行風を案内して、ホルダ本体およびフィン部の表面に沿わせることができる。よって、走行風がホルダ本体およびフィン部から剥離するのを抑えて、剥離に起因する負圧の発生を抑制して、ワイパブレードに作用する揚力の安定化(払拭性能の向上)を図ることができる。
【0016】
本発明のワイパブレードによれば、フィン部の短手方向一側および短手方向他側に、上流側気流面部および下流側気流面部をそれぞれ設け、各気流面部を、フィン部の短手方向に沿う断面が円弧形状となるよう形成し、上流側気流面部の曲率を下流側気流面部の曲率よりも小さくしたので、充分な量の走行風を上流側気流面部に当てることができ、ワイパブレードに対して充分なダウンフォースを付与することができる。
【0017】
本発明のワイパブレードによれば、上流側下端面部および上流側気流面部との間に、フィン部の短手方向に沿う断面が円弧形状となった接続面部を設けているので、上流側下端面部と上流側気流面部とを滑らかに接続することができ、ワイパブレードに作用する抗力および揚力の悪化を、より抑制することができる。
【0018】
本発明のワイパブレードによれば、ホルダ本体およびフィン部を、異なる硬度の材料により二色成形したので、ワイパブレードの製造工程を簡素化することができる。例えば、ホルダ本体を充分な強度としつつ、フィン部を走行風により変形させ易くすることもでき、この場合には走行風の強さに応じてワイパブレードに作用する抗力および揚力を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】車両に搭載されたワイパ装置を説明する説明図である。
【図2】図1のワイパブレードを拡大して示す斜視図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】(a)は図3の破線円F部分の拡大図、(b)は図3の破線円G部分の拡大図である。
【図5】走行風の流れ状態を説明する図3に対応した断面図である。
【図6】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図7】バーティブラの連結構造(中央部)を示す分解斜視図である。
【図8】第1カバー部材の詳細構造を示す斜視図である。
【図9】第2カバー部材の詳細構造を示す斜視図である。
【図10】ワイパブレードのワイパアームへの装着手順を説明する図2のC−C線に沿う断面図である。
【図11】図2のD−D線に沿う断面図である。
【図12】バーティブラの連結構造(端部)を示す分解斜視図である。
【図13】(a),(b)は、エンドキャップの詳細構造を説明する斜視図である。
【図14】(a),(b)は、エンドキャップのホルダ部材への装着手順を説明する図2のE−E線に沿う断面図である。
【図15】(a),(b)は、ブレードラバーのホルダ部材への装着手順(初期段階)を説明する斜視図である。
【図16】(a),(b)は、ブレードラバーのホルダ部材への装着手順(後期段階)を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1は車両に搭載されたワイパ装置を説明する説明図を、図2は図1のワイパブレードを拡大して示す斜視図を、図3は図2のA−A線に沿う断面図を、図4(a)は図3の破線円F部分の拡大図、(b)は図3の破線円G部分の拡大図を、図5は走行風の流れ状態を説明する図3に対応した断面図をそれぞれ表している。
【0022】
図1に示すように、自動車等の車両10の前方側には、ウィンドシールドとしてのフロントガラス11が設けられ、フロントガラス11の前方側には、フロントガラス11に付着した雨水や埃等(図示せず)を払拭して、運転者の視界を確保するためのワイパ装置12が設けられている。このワイパ装置12は、車両10のエンジンルームを形成するバルクヘッドの内部等(図示せず)に搭載されている。
【0023】
ワイパ装置12は、車室内等に設けられたワイパスイッチ(図示せず)を操作することで回転駆動される電動モータとしてのワイパモータ13と、車両10に回動自在に設けられた運転席側(DR側)および助手席側(AS側)ピボット軸14a,14bと、各ピボット軸14a,14bに基端側が固定され、先端側がフロントガラス11上で揺動運動するDR側およびAS側ワイパアーム15a,15bと、ワイパモータ13の回転運動を各ワイパアーム15a,15bの揺動運動に変換するリンク機構16とを備えている。
【0024】
各ワイパアーム15a,15bの先端側には、それぞれ同様に形成されたDR側およびAS側ワイパブレード17a,17bがフロントガラス11の垂直方向に対して回動自在に装着され、各ワイパブレード17a,17bは、各ワイパアーム15a,15bに設けられたスプリング(図示せず)によりフロントガラス11に対して弾性接触するようになっている。そして、ワイパモータ13を回転駆動することで、フロントガラス11上の図中二点鎖線で示す各払拭範囲18a,18b、つまり下反転位置(ワイパアームの停止位置)LRPと上反転位置URPとの間で、各ワイパブレード17a,17bが往復払拭動作するようになっている。
【0025】
図2はDR側ワイパブレードを示しており、DR側およびAS側ワイパブレードはそれぞれ同様の構成であるため、以下、DR側ワイパブレードのみについて説明する。また、DR側ワイパブレードを説明するに当たって、当該DR側ワイパブレードの構成部品には「DR側」を付さずに、単に「ワイパブレード」等と称することとし、DR側およびAS側で区別した符号末尾の「a,b」を省略する。
【0026】
図2に示すようにワイパブレード17は、フロントガラス11に接触するブレードラバー20,ブレードラバー20を保持するホルダ部材30,ホルダ部材30の長手方向中間部分に設けられたアーム連結部材40,アーム連結部材40を覆うカバー50,ホルダ部材30の長手方向両端部分に装着された一対のエンドキャップ60を備えている。
【0027】
ブレードラバー20は、図3に示すように、本体部21,ボディ部22,ネック部23およびリップ部24を備えている。ブレードラバー20は、ゴム等の弾性材料を押出成形することで長尺に形成され、その断面形状は長手方向に沿う全域で一様の形状となっている。ネック部23の厚み寸法は、ボディ部22の厚み寸法よりも小さく設定され弾性変形し易くなっている。これにより、ワイパブレード17がフロントガラス11上を摺動する際にリップ部24の傾斜が許容され、ひいてはリップ部24の先端部分がワイパブレード17の摺動方向にスムーズに追従し、フロントガラス11に付着した雨水や埃等を確実に払拭する。
【0028】
ホルダ部材30は、ホルダ本体31とフィン部32とを備え、ホルダ本体31およびフィン部32は、互いに硬度の異なる材料を二色成形(押出成形)することで一体化され、長尺に形成されている。これにより、ワイパブレード17の製造工程を簡素化できるようになっている。ここで、図中二点鎖線Lがホルダ本体31とフィン部32との境界線を示している。
【0029】
ホルダ本体31は、ブレードラバー20を保持し得る充分な強度を確保しつつ、フロントガラス11に追従可能とするために、柔軟性を有するプラスチック等の樹脂材料により形成されている。ホルダ本体31の短手方向中間部分(図中左右方向中間部分)には、ホルダ本体31の長手方向に沿って延びる保持部31aが形成されている。保持部31aは、ブレードラバー20の本体部21が入り込む保持溝31bを備えている。保持部31aのフロントガラス11側(図中下側)には、本体部21のフロントガラス11側を覆うよう支持し、ボディ部22を挟むよう対向する一対の保持爪31cが設けられている。このように保持部31aは、本体部21を保持するための保持溝31bと各保持爪31cとから形成され、これによりブレードラバー20はホルダ本体31に対して脱落すること無く確実に保持される。
【0030】
ホルダ本体31の短手方向両側(図中左右側)には、断面が略長方形形状の一対の収容部31dが設けられている。各収容部31dは、保持部31aと同様にホルダ本体31の長手方向に沿って延びるよう形成され、保持部31aをホルダ本体31の短手方向両側から挟むよう設けられている。各収容部31dのフロントガラス11からの高さ位置は、保持部31aのフロントガラス11からの高さ位置と略同じ位置となっている。
【0031】
各収容部31dには、バネ性を有する鋼材よりなる板状のバーティブラ31eがそれぞれ収容され、各バーティブラ31eは、各収容部31dの内部にその長手方向に移動自在に、つまり非固定状態で設けられている。これにより、各バーティブラ31eの弾性力がホルダ本体31およびブレードラバー20に効率良く伝えられる。各バーティブラ31eは、外力を負荷しない自然状態において、フロントガラス11の曲率よりも大きい曲率で湾曲しており、ホルダ本体31およびブレードラバー20をフロントガラス11の曲率に合わせて弾性変形させ、これによりリップ部24の長手方向に沿う全域がフロントガラス11に密着するようになっている。
【0032】
保持溝31bのフロントガラス11との対向部分には、ブレードラバー20の本体部21をフロントガラス11に向けて押圧するラバー押圧部31fが形成されている。また、各収容部31dのフロントガラス11との対向部分で、かつラバー押圧部31fよりもフロントガラス11側には、各バーティブラ31eの弾性力によりホルダ本体31をフロントガラス11に向けて押圧するホルダ押圧部31gがそれぞれ形成されている。
【0033】
各バーティブラ31eは、各収容部31dの各ホルダ押圧部31gをそれぞれ押圧力F1(図中矢印)で押圧し、各押圧力F1は合成力F2(図中矢印)としてラバー押圧部31fに伝達される。これにより、合成力F2がラバー押圧部31fを介して本体部21に伝達され、ホルダ本体31およびブレードラバー20がフロントガラス11の曲率に合わせて弾性変形し、ひいてはリップ部24がその長手方向に沿う全域でフロントガラス11に密着する。ここで、各ホルダ押圧部31gはラバー押圧部31fよりもフロントガラス11側に位置するため、例えば、ホルダ本体31が捻れるような場合があっても、ラバー押圧部31fに安定した合成力F2を伝達でき、リップ部24の長手方向に沿う全域を確実にフロントガラス11に密着させることができる。
【0034】
ホルダ本体31の短手方向一側(図中右側)には、上流側下端面部31hが設けられている。上流側下端面部31hは、ホルダ本体31における走行風の流れ方向上流側でかつフロントガラス11側に位置し、そのホルダ本体31の短手方向に沿う断面は、図4(a)に示すように半径R1の円弧形状に形成されている。ここで、走行風の流れ方向は図中右側から図中左側に向けられ、これはワイパブレード17が下反転位置LRP(ワイパアームの停止位置)に位置し、当該状態のもとでワイパブレード17に走行風が当たる状態である。
【0035】
ホルダ本体31の短手方向他側(図中左側)には、下流側下端面部31iが設けられている。下流側下端面部31iは、ホルダ本体31における走行風の流れ方向下流側でかつフロントガラス11側に位置し、そのホルダ本体31の短手方向に沿う断面は、図4(b)に示すように半径R2の円弧形状に形成されている。下流側下端面部31iの半径R2は、上流側下端面部31hの半径R1よりも大きく設定(R2>R1)、つまり上流側下端面部31hの曲率の方が下流側下端面部31iの曲率よりも大きく設定されている。これにより、ホルダ本体31における走行風の流れ方向上流側を尖らせて、走行風を走行風分岐点Pから図中左側に向けてホルダ本体31およびフィン部32に沿うよう滑らかに案内できるようにしている。
【0036】
ここで、走行風分岐点Pは、ホルダ本体31の短手方向に沿う走行風の流れ方向上流側における最も先端側(最も図中右側)に形成され、当該走行風分岐点Pは、ワイパブレード17に向かう走行風を、ホルダ本体31のフィン部32側とホルダ本体31のブレードラバー20側とに分断するようになっている。
【0037】
フィン部32は、図3に示すように、ゴム等の弾性材料により長尺に形成され、ホルダ本体31に対してその長手方向に沿うよう一体に設けられている。フィン部32の硬度は、ホルダ本体31の硬度よりも低い硬度に設定され、これによりフィン部32は、走行風の風圧により弾性変形可能となっている(図5参照)。
【0038】
フィン部32は、ホルダ本体31のフロントガラス11側とは反対側に設けられ、その先端側(図中上側)には、フロントガラス11から最も離れた頂部32aが形成されている。頂部32aは、ホルダ本体31の短手方向に沿う走行風の流れ方向下流側(図中左側)に配置され、よって、フィン部32の走行風の流れ方向上流側(図中右側)にはブレードラバー20が配置されることになる。これにより、走行風がフィン部32に当たることで発生するダウンフォース(図示せず)を、ブレードラバー20に効率良く付与できるようになっている。
【0039】
フィン部32の短手方向一側(図中右側)には、走行風が沿って流れる上流側気流面部32bが設けられ、上流側気流面部32bは、フィン部32の短手方向に沿う断面が円弧形状に形成され、半径R3に設定されている。上流側気流面部32bと上流側下端面部31hとの間には、フィン部32の短手方向に沿う断面が円弧形状となった接続面部32cが設けられ、接続面部32cは、上流側気流面部32bと上流側下端面部31hとを滑らかに連続的に接続している。また、フィン部32の短手方向他側(図中左側)には、半径R4に設定された下流側気流面部32dが設けられ、そのフィン部32の短手方向に沿う断面は円弧形状に形成されている。
【0040】
上流側気流面部32bの半径R3は、下流側気流面部32dの半径R4よりも大きく設定(R3>R4)、つまり上流側気流面部32bの曲率の方が下流側気流面部32dの曲率よりも小さく設定されている。これにより、充分な量の走行風を上流側気流面部32bに当てることができ、ブレードラバー20に付与するダウンフォースを充分な大きさにできる。また、走行風分岐点Pから頂部32aまでの長さ寸法(高さ寸法)h1は、走行風分岐点Pからリップ部24の先端までの長さ寸法(高さ寸法)h2よりも長く設定され(h1>h2)、これにより走行風をホルダ本体31のフィン部32側に多く当たるようにしている。つまり、フィン部32をそれほど大型化しなくても、充分なダウンフォースを得られるようにしており、ひいてはワイパブレード17の見栄えを良くしつつ、ワイパブレード17の軽量化を実現することができる。
【0041】
次に、図5に基づいて走行風の流れ状態を説明する。ワイパブレード17が走行風W1を受けると、走行風W1は、走行風分岐点Pでフィン部32側の走行風W2とブレードラバー20側の走行風W3とに分断される。このとき、走行風分岐点Pは上流側下端面部31h上に形成されるため、走行風W1の殆どは走行風W2としてフィン部32側に流れる。
【0042】
走行風W2は、上流側下端面部31hから接続面部32c,上流側気流面部32bに沿って頂部32aに向かって流れ、その後、頂部32aを介してホルダ本体31の短手方向他側(図中左側)に流れる。このとき、上流側下端面部31hおよび上流側気流面部32bは、接続面部32cにより滑らかに接続されているので、図中破線で示すようなホルダ本体31およびフィン部32の表面からの走行風W4の剥離が発生せず、上流側気流面部32bの図中上側には負圧(図中破線円)が発生しない。よって、ワイパブレード17を図中上側に浮き上がらせる揚力F4は発生せず、走行風W2の風圧により充分な大きさの安定した揚力F3(ダウンフォース)をフロントガラス11に向けて付与することができ、ワイパブレード17の払拭性能が向上する。
【0043】
ここで、走行風W2が強すぎる場合においては、図中矢印Tに示すように、フィン部32の幅狭となった頂部32a側が撓み、走行風W2がホルダ本体31の短手方向他側に開放される。よって、揚力F3が過剰に大きくなるのを抑制して、揚力F3の大きさを最適化できる。同様に、ワイパブレード17が走行風W2によって払拭範囲18a,18b(図1参照)を越えて移動するのを抑制でき、ワイパモータ13(図1参照)へのオーバーロード(過負荷)を防止できる。
【0044】
図6は図2のB−B線に沿う断面図を、図7はバーティブラの連結構造(中央部)を示す分解斜視図を、図8は第1カバー部材の詳細構造を示す斜視図を、図9は第2カバー部材の詳細構造を示す斜視図を、図10はワイパブレードのワイパアームへの装着手順を説明する図2のC−C線に沿う断面図をそれぞれ表している。
【0045】
図6および図7に示すように、ホルダ本体31の長手方向に沿う中間部分には、アーム連結部材40およびカバー50が設けられている。ホルダ本体31の長手方向に沿う中間部分には、フィン部32を一部切り欠くことで、連結部材装着部33が形成されている。連結部材装着部33は、当該連結部材装着部33に対応する各バーティブラ31eを外部に露出させるための4つの切欠部33aを備えている。各切欠部33aは、ホルダ本体31を一部切り欠いて形成され、各切欠部33aから露出した各バーティブラ31eには、各バーティブラ31eの長手方向に沿って延びる長孔34が設けられ、各長孔34は、各バーティブラ31eの厚み方向(図中上下方向)に貫通している。
【0046】
アーム連結部材40は、鋼板をプレス加工することにより所定形状に形成され、4つのカシメ脚部41(図示では3つ),一対の本体壁部42,各本体壁部42に固定された回動ピン43および回動ピン43に回動自在に設けられたフック装着部材44を備えている。各カシメ脚部41と各本体壁部42とは、互いに逆方向を向くよう屈曲され、各カシメ脚部41は、各切欠部33aから露出した各バーティブラ31eにそれぞれカシメ固定されている。
【0047】
各カシメ脚部41の基端側には、図6に示すように、位置決め凸部41aがそれぞれ形成され、各位置決め凸部41aは各長孔34に入り込むようになっている。これにより、アーム連結部材40を各バーティブラ31eに対して精度良く位置決めしつつ、組み付けられるようになっている。そして、各位置決め凸部41aを各長孔34に位置決めした状態のもとで、図示しないカシメ治具を用いて各カシメ脚部41の先端側を図7中破線矢印に示すように屈曲させ、これによりアーム連結部材40を各バーティブラ31eに強固に固定できる。
【0048】
ここで、各カシメ脚部41をカシメ固定する際に、連結部材装着部33に対応するホルダ本体31が弾性変形を伴うので、アーム連結部材40は各バーティブラ31eに対してがたつく等の問題を生じない。このように、本実施の形態においては、鋼材同士(アーム連結部材40と各バーティブラ31e)をカシメ固定により固定するため、例えば、溶接等により固定する場合におけるホルダ本体31等の融解を心配する必要が無い。
【0049】
各本体壁部42には、ホルダ本体31の短手方向に沿って延びるよう円柱状の鋼材よりなる回動ピン43が固定されている。回動ピン43は、その軸方向両端側をカシメ固定することにより各本体壁部42間に固定され、回動ピン43には、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成されたフック装着部材44が回動自在に設けられている。ここで、フック装着部材44には、ワイパアーム15の先端部に形成されたU字状フック19(図10参照)が連結されるようになっている。
【0050】
各本体壁部42における回動ピン43の近傍には、ホルダ本体31の短手方向に沿って貫通する貫通孔42a(図示では1つ)がそれぞれ設けられている。各貫通孔42aには、カバー50を形成する第1カバー部材51に形成した各爪部51f(図示では1つ)が入り込むようになっている。これにより、カバー50はアーム連結部材40に固定されるようになっている。
【0051】
カバー50は、アーム連結部材40や連結部材装着部33を覆い隠し、ワイパブレード17の見栄えを良くするためのもので、第1カバー部材51と第2カバー部材52とを備えている。各カバー部材51,52は、溶融したプラスチック材料等を射出成形することにより所定形状に形成されている。
【0052】
第1カバー部材51は、図8に示すように略U字形状に形成され、ホルダ本体31の長手方向に沿って延びる一対の腕部51aを備えている。各腕部51aの先端側(図中左側)には、当該各腕部51aの先端側同士を連結する連結部51bが設けられ、これにより各腕部51aが離間しないよう所定の強度を確保している。
【0053】
各腕部51aの連結部51bよりも先端側には、第2カバー部材52を回動自在に支持する一対のピン51cが設けられ、各ピン51cは、第2カバー部材52に設けた各ピン孔52aに入り込むようになっている。また、各腕部51aの連結部51bよりも基端側(図中右側)には、第2カバー部材52を閉じた状態に保持する一対のロックピン51dが設けられ、各ロックピン51dは、第2カバー部材52の各ロック爪52bに設けた各ロック孔52cに入り込むようになっている。各ロックピン51dには、各ロック爪52bの先端側の乗り越しを案内する案内傾斜面51eがそれぞれ設けられ、これにより、第2カバー部材52を容易に閉じることが可能となっている。
【0054】
各腕部51aの各ロックピン51dよりも基端側には、カバー50をアーム連結部材40に固定するための一対の爪部51f(図示では1つ)が設けられ、各爪部51fは、アーム連結部材40に設けた各貫通孔42aに入り込むようになっている。なお、各爪部51fは、第1カバー部材51をアーム連結部材40に固定する際に、各腕部51aを外側に弾性変形させつつ各貫通孔42aに入り込むため、カバー50はアーム連結部材40から容易に外れることは無い。
【0055】
第2カバー部材52は、図9に示すように略椀状に形成され、第2カバー部材52の先端側(図中左側)には、一対のピン孔52aが設けられている。各ピン孔52aには、第1カバー部材51の各ピン51cが回動自在に入り込むようになっており、これにより第2カバー部材52は各ピン51cを中心として第1カバー部材51に対して回動自在となっている(図10参照)。
【0056】
第2カバー部材52の長手方向に沿う中間部分には、一対のロック爪52bが設けられている。各ロック爪52bの先端側(図中下側)には、ロック孔52cがそれぞれ形成され、各ロック孔52cには、第1カバー部材51に設けた各ロックピン51dが入り込むようになっている。各ロック爪52bの先端側には、各ロックピン51dに設けた各案内傾斜面51eに摺接し、各ロックピン51dの各ロック孔52cへの係合を案内する案内傾斜面52dがそれぞれ設けられている。
【0057】
各ロック爪52bの基端側(図中上側)には、把持部52eがそれぞれ設けられ、各把持部52eは凹凸形状に形成されて把持し易くなっている。ここで、各把持部52eを把持して各ロック爪52bを互いに近接するよう弾性変形させ、当該状態のもとで第2カバー部材52を引き上げることにより、各ロックピン51dの各ロック孔52cへの係合を解除することができ、これにより第2カバー部材52を開くことができる。
【0058】
第2カバー部材52の先端側には、切欠溝52fが設けられている。切欠溝52fには、ホルダ部材30のフィン部32が入り込むようになっており、これにより第2カバー部材52をスムーズに開閉できるようにしている。なお、フィン部32は切欠溝52fに接触することは無く、第2カバー部材52の開閉に伴うフィン部32の損傷を防止している。
【0059】
次に、図10に基づいてワイパブレード17のワイパアーム15への装着手順について説明する。まず、矢印(1)に示すように、カバー50を形成する第2カバー部材52を、第1カバー部材51に対して回動させて開いておく。これにより、フック装着部材44の前方側(図中左側)に、ワイパアーム15のU字状フック19が入り込める空間が出現する。その後、矢印(2)に示すように、ワイパブレード17を移動し、U字状フック19の内側にフック装着部材44を差し込む。
【0060】
ここで、U字状フック19には係合孔19aが設けられ、フック装着部材44には係合凸部44aを有する操作片44bが設けられている。これにより、U字状フック19の内側にフック装着部材44を差し込むことで、係合凸部44aが係合孔19aに入り込み、ワイパブレード17のワイパアーム15への装着が完了する。なお、ワイパブレード17をワイパアーム15から取り外す場合には、操作片44bを矢印(3)の方向に操作して係合凸部44aと係合孔19aとの係合を解除し、U字状フック19の内側からフック装着部材44を抜き取るようにする。
【0061】
その後、矢印(4)に示すように、第2カバー部材52を第1カバー部材51に対して回動させて閉じ、各ロック孔52cに各ロックピン51dを入り込ませる。これによりワイパブレード17のワイパアーム15への装着とカバー50の装着が完了する。
【0062】
図11は図2のD−D線に沿う断面図を、図12はバーティブラの連結構造(端部)を示す分解斜視図を、図13(a),(b)はエンドキャップの詳細構造を説明する斜視図を、図14(a),(b)はエンドキャップのホルダ部材への装着手順を説明する図2のE−E線に沿う断面図を、図15(a),(b)はブレードラバーのホルダ部材への装着手順(初期段階)を説明する斜視図を、図16(a),(b)はブレードラバーのホルダ部材への装着手順(後期段階)を説明する斜視図をそれぞれ表している。
【0063】
図11および図12に示すように、ホルダ部材30の長手方向両端部分には一対のエンドキャップ60が装着され、各エンドキャップ60は、ホルダ部材30を形成するホルダ本体31の長手方向両端部分から突出した各バーティブラ31eの連結部分を覆い隠すとともに、ブレードラバー20のホルダ本体31からの脱落を防止するようになっている。なお、各エンドキャップ60は何れも同じ形状であるため、以下の説明においては一方のエンドキャップ60のみを図示して説明する。
【0064】
ホルダ本体31の長手方向端部からは、各バーティブラ31eの端部が所定量突出しており、各バーティブラ31eの突出部分には、各バーティブラ31eの長手方向に沿って延びる長孔35がそれぞれ設けられている。各バーティブラ31eは連結部材36により連結され、当該連結部材36は、鋼板を打ち抜き加工(プレス加工)することにより板状に形成されている。
【0065】
連結部材36には、各バーティブラ31eの各長孔35に対応させて、一対の位置決め凸部36aが設けられ、各位置決め凸部36aは各長孔35に入り込むようになっている。これにより、各バーティブラ31eの突出部分の間隔を一定とし、当該間隔が変化しないように各バーティブラ31eの突出部分を連結することができる。そして、各位置決め凸部36aを各長孔35に位置決めした状態のもとで、図示しないカシメ治具を用いて連結部材36の長手方向両側を図12中破線矢印に示すように屈曲させ、これにより連結部材36は各バーティブラ31eの突出部分に強固に固定される。
【0066】
エンドキャップ60は、溶融したプラスチック等を射出成形することにより所定形状に形成され、各バーティブラ31eの連結部分(連結部材36)を覆い隠すキャップ本体61と、ホルダ部材30を形成するフィン部32の一部を覆い隠すフィン被覆部62とを備えている。
【0067】
図13に示すように、キャップ本体61のフィン被覆部62側とは反対側には、一対の抜け止め爪部61aが形成されており、各抜け止め爪部61aは、エンドキャップ60の短手方向(図11中左右方向)に沿って対向配置されている。各抜け止め爪部61aの基端側はキャップ本体61に一体に接続され、各抜け止め爪部61aの先端側にはキャップ本体61の内側に向けて突出する突起部61bがそれぞれ設けられている。各抜け止め爪部61aは、図14に示すように弾性変形可能となっており、エンドキャップ60をホルダ部材30の端部に装着する際に、連結部材36により弾性変形するようになっている。
【0068】
ここで、エンドキャップ60をホルダ部材30の端部に装着するには、図14(a)の矢印(5)に示すように、ホルダ部材30の長手方向に沿うようエンドキャップ60を臨ませる。次いで、ホルダ部材30に対してエンドキャップ60を押し進めていくと、各バーティブラ31eに固定された連結部材36が各突起部61bに当接して、矢印(6)に示すように各抜け止め爪部61aを押し下げる。その後、さらにホルダ部材30に対してエンドキャップ60を押し進めていくと、図14(b)に示すように、連結部材36が各突起部61bを乗り越えて、矢印(7)に示すように各抜け止め爪部61aが元の状態に復帰する。これにより、各抜け止め爪部61aが連結部材36に引っ掛かり、エンドキャップ60のホルダ部材30からの抜け止めがなされる。
【0069】
図13に示すように、キャップ本体61のフィン被覆部62側とは反対側には切欠部61cが設けられ、当該切欠部61cは、エンドキャップ60の短手方向に沿う中間部分に設けられている。切欠部61cは、図15および図16に示すように、エンドキャップ60をホルダ部材30の端部に装着した状態のもとで、エンドキャップ60とホルダ本体31との間にブレードラバー20の本体部21を挿入するための挿入開口部Oを形成するようになっている。
【0070】
また、キャップ本体61のフィン被覆部62側とは反対側には、一対のキャップ側保持爪61dが設けられ、各キャップ側保持爪61dは、ホルダ本体31に設けた各保持爪31cと同様に、本体部21のフロントガラス11側を支持するようになっている。つまり、各キャップ側保持爪61dは、図15および図16に示すように、ホルダ本体31の長手方向に沿って各保持爪31cの延長上に配置されている。
【0071】
各キャップ側保持爪61dの長手方向に沿うホルダ本体31側(図中右側)、つまり、挿入開口部Oを形成するエンドキャップ60側には、本体部21をホルダ本体31の保持部31aに向けて案内する案内部61eがそれぞれ設けられている。各案内部61eは、エンドキャップ60の外部から保持部31aに向けて傾斜する傾斜面61fをそれぞれ備え、これにより、本体部21を保持部31aに導き易くしている。
【0072】
次に、図15および図16に基づいてブレードラバー20のホルダ本体31への装着手順について説明する。
【0073】
[初期段階]
まず、ホルダ本体31の長さ寸法に対応したブレードラバー20を準備するとともに、エンドキャップ60を装着したホルダ部材30を準備する。次いで、図15(a)に示すように、ブレードラバー20をホルダ本体31に対して所定角度傾斜させ、ブレードラバー20の一端部(図中右側)を挿入開口部Oに臨ませる。ここで、ブレードラバー20のホルダ本体31に対する傾斜角度は、各案内部61eに設けた各傾斜面61fの傾斜角度となるようにする。そして、矢印(8)に示すようにブレードラバー20の一端部を挿入開口部Oに近接させることで、本体部21が各傾斜面61fに案内され、ブレードラバー20の一端部が保持部31a内に挿入されていく。ブレードラバー20の保持部31a内への挿入を進めていくと、図15(b)に示すように、ブレードラバー20は弾性変形を伴い徐々にホルダ本体31に装着されていく。
【0074】
[後期段階]
その後、図16(a)に示すように、ブレードラバー20のホルダ本体31への装着作業を継続して行い、矢印(9)に示すようにブレードラバー20をその長手方向に向けて押圧し、ブレードラバー20を一旦押し縮める。これにより、本体部21が保持部31a内に完全に挿入される。次いで、ブレードラバー20への押圧力を開放することで、図16(b)の矢印(10)に示すように、ブレードラバー20が自然長に復帰して、ブレードラバー20の他端部(図中左側)がエンドキャップ60に向けて移動する。これにより、各保持爪31cの延長上にある各キャップ側保持爪61dが、本体部21のフロントガラス11側を支持するようになり、ブレードラバー20のホルダ本体31への装着作業が完了する。
【0075】
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパブレード17によれば、本体部21を保持する保持部31aを挟むようにして一対の収容部31dを設け、各収容部31dにそれぞれバーティブラ31eを収容し、ホルダ本体31の長手方向に沿うようフィン部32を設けるとともに、ホルダ本体31の短手方向一側に、走行風の流れ方向上流側でかつフロントガラス11側に位置する上流側下端面部31hを設け、ホルダ本体31の短手方向他側に、走行風の流れ方向下流側でかつフロントガラス11側に位置する下流側下端面部31iを設け、上流側下端面部31hおよび下流側下端面部31iを、ホルダ本体31の短手方向に沿う断面が円弧形状となるよう形成し、上流側下端面部31hの曲率を下流側下端面部31iの曲率よりも大きくした。
【0076】
したがって、ブレードラバー20を形成する本体部21の両側にバーティブラ31eを配置して、ワイパブレード17の高さ寸法を従前よりも小さくできるので、走行風が当たり過ぎるのを抑制できる。よって、ワイパブレード17が払拭範囲18a,18cを越えて移動してワイパモータ13に大きな負荷が掛かること(抗力の悪化)を抑制できる。また、上流側下端面部31hの曲率を下流側下端面部31iの曲率よりも大きくしたので、上流側下端面部31hからホルダ本体31およびフィン部32の表面に滑らかに走行風を案内して、ホルダ本体31およびフィン部32の表面に沿わせることができる。よって、走行風がホルダ本体31およびフィン部32から剥離するのを抑えて、剥離に起因する負圧の発生を抑制して、ワイパブレード17に作用する揚力の安定化(払拭性能の向上)を図ることができる。
【0077】
また、本実施の形態に係るワイパブレード17によれば、フィン部32の短手方向一側および短手方向他側に、上流側気流面部32bおよび下流側気流面部32dをそれぞれ設け、各気流面部32b,32dを、フィン部32の短手方向に沿う断面が円弧形状となるよう形成し、上流側気流面部32bの曲率を下流側気流面部32dの曲率よりも小さくしたので、充分な量の走行風を上流側気流面部32bに当てることができ、ワイパブレード17に対して充分なダウンフォースを付与することができる。
【0078】
さらに、本実施の形態に係るワイパブレード17によれば、上流側下端面部31hおよび上流側気流面部32bとの間に、フィン部32の短手方向に沿う断面が円弧形状となった接続面部32cを設けたので、上流側下端面部31hと上流側気流面部32bとを滑らかに接続することができ、ワイパブレード17に作用する抗力および揚力の悪化を、より抑制することができる。
【0079】
また、本実施の形態に係るワイパブレード17によれば、ホルダ本体31およびフィン部32を、異なる硬度の材料により二色成形したので、ワイパブレードの製造工程を簡素化することができる。本実施の形態では、ホルダ本体31を充分な強度としつつ、フィン部32を走行風により変形させ易くし、走行風の強さに応じてワイパブレード17に作用する抗力および揚力を最適化している。
【0080】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、ワイパブレード17を、ウィンドシールドとしてのフロントガラス11を払拭するワイパ装置12に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、ウィンドシールドとしてのリヤガラスを払拭するワイパ装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0081】
10 車両
11 フロントガラス(ウィンドシールド)
12 ワイパ装置
13 ワイパモータ(電動モータ)
14a DR側ピボット軸
14b AS側ピボット軸
15 ワイパアーム
15a DR側ワイパアーム
15b AS側ワイパアーム
16 リンク機構
17 ワイパブレード
17a DR側ワイパブレード
17b AS側ワイパブレード
18a,18b 払拭範囲
19 U字状フック
19a 係合孔
20 ブレードラバー
21 本体部
22 ボディ部
23 ネック部
24 リップ部
30 ホルダ部材
31 ホルダ本体
31a 保持部
31b 保持溝
31c 保持爪
31d 収容部
31e バーティブラ
31f ラバー押圧部
31g ホルダ押圧部
31h 上流側下端面部
31i 下流側下端面部
32 フィン部
32a 頂部
32b 上流側気流面部
32c 接続面部
32d 下流側気流面部
33 連結部材装着部
33a 切欠部
34,35 長孔
36 連結部材
36a 位置決め凸部
40 アーム連結部材
41 カシメ脚部
41a 位置決め凸部
42 本体壁部
42a 貫通孔
43 回動ピン
44 フック装着部材
44a 係合凸部
44b 操作片
50 カバー
51 第1カバー部材
51a 腕部
51b 連結部
51c ピン
51d ロックピン
51e 案内傾斜面
51f 爪部
52 第2カバー部材
52a ピン孔
52b ロック爪
52c ロック孔
52d 案内傾斜面
52e 把持部
52f 切欠溝
60 エンドキャップ
61 キャップ本体
61a 抜け止め爪部
61b 突起部
61c 切欠部
61d キャップ側保持爪
61e 案内部
61f 傾斜面
62 フィン被覆部
O 挿入開口部
P 走行風分岐点
LRP 下反転位置
URP 上反転位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に揺動自在に設けられるワイパアームに装着され、ウィンドシールド上を往復払拭動作するワイパブレードであって、
前記ウィンドシールドに接触するリップ部と、前記リップ部に一体に形成された本体部とを有するブレードラバーと、
前記本体部を保持する保持部を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体の短手方向両側に前記保持部を挟むよう設けられる一対の収容部と、
前記各収容部に収容され、前記ブレードラバーを前記ウィンドシールドの曲率に合わせて弾性変形させる一対のバーティブラと、
前記各バーティブラに固定され、前記ワイパアームが連結されるアーム連結部材と、
前記ホルダ本体の短手方向一側に設けられ、走行風の流れ方向上流側でかつ前記ウィンドシールド側に位置する上流側下端面部と、
前記ホルダ本体の短手方向他側に設けられ、走行風の流れ方向下流側でかつ前記ウィンドシールド側に位置する下流側下端面部とを備え、
前記上流側下端面部および前記下流側下端面部を、前記ホルダ本体の短手方向に沿う断面が円弧形状となるよう形成し、前記上流側下端面部の曲率を前記下流側下端面部の曲率よりも大きくしたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1記載のワイパブレードにおいて、前記ホルダ本体に、その長手方向に沿うようフィン部を一体に設けることを特徴とするワイパブレード。
【請求項3】
請求項2記載のワイパブレードにおいて、前記フィン部の短手方向一側および短手方向他側に、上流側気流面部および下流側気流面部をそれぞれ設け、前記各気流面部を、前記フィン部の短手方向に沿う断面が円弧形状となるよう形成し、前記上流側気流面部の曲率を前記下流側気流面部の曲率よりも小さくしたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項4】
請求項3記載のワイパブレードにおいて、前記上流側下端面部および前記上流側気流面部の間に、前記フィン部の短手方向に沿う断面が円弧形状となった接続面部を設けたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記ホルダ本体および前記フィン部を、異なる硬度の材料により二色成形したことを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−136149(P2012−136149A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289896(P2010−289896)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】