説明

ワイパブレード

【課題】製造工程を簡素化しつつも、外観性の悪化を抑えることができるワイパブレードを提供する。
【解決手段】開口部13bに収容された連結部材20を介して連結ピンに連結されるアームピース11aが、その連結部分からメインレバー13の基端側に延びて該メインレバー13とその上面側で重なるように構成される。メインレバー13はランナレス射出成形にて形成されるものであり、そのランナレス射出成形によってメインレバー13に残るゲート跡Gaが、開口部13bの基端側の上壁部13f、より詳しくは、アームピース11aと上下方向に対向するアーム配置部23に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ワイパは、ワイパモータの駆動に基づいて作動するワイパアームと、該ワイパアームの先端部に支持されたワイパブレードとから構成されている。ワイパブレードは、例えば特許文献1に示すように、払拭面を払拭するための長尺のブレードラバーを保持する樹脂部材よりなるホルダ部材(ラバーホルダ)を備える。ホルダ部材は、ブレードラバー側を下側として、上下方向に貫通し内部に連結軸が掛け渡された開口部を有し、その連結軸には、開口部に収容された連結部材を介してワイパアームの先端部が連結されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−168796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなワイパブレードでは、ランナレス金型を用いた射出成形(ランナレス射出成形)で樹脂部材であるホルダ部材を形成すると、ランナに充当する分の材料使用が不要となり歩留まりが向上するとともに、ランナの除去作業が不要となり製造工程を簡素化することができる。しかしながら、この成形方法では、キャビティのゲートにノズルを直接接触させて、そのノズルからキャビティ内に樹脂を充填するため、ゲート跡が成形品に残ってしまう。このため、外観デザインを重要視するワイパブレードのホルダ部材をランナレス金型で射出成形した場合、ゲート跡によってホルダ部材の外観の見栄えが損なわれる虞があり、この点においてなお、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、製造工程を簡素化しつつも、外観性の悪化を抑えることができるワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、払拭面を払拭するための長尺のブレードラバーを保持する樹脂部材よりなるホルダ部材を備え、前記ホルダ部材は、前記ブレードラバー側を下側として、上下方向に貫通し内部に連結軸が掛け渡された開口部を長手方向中央部に有し、該開口部に収容された連結部材を介して前記連結軸に連結されるワイパアームが、その連結部分から前記ホルダ部材の基端側に延びて該ホルダ部材とその上面側で重なるように構成されたワイパブレードであって、前記ホルダ部材はランナレス射出成形にて形成されるものであり、そのランナレス射出成形によって前記ホルダ部材に残るゲート跡が、前記開口部の基端側近傍であって前記ワイパアームと上下方向に対向する上面に形成されたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、樹脂部材よりなるホルダ部材の長手方向中央部に、連結部材を介してワイパアームが連結される連結軸が掛け渡された開口部を有しており、ランナレス射出成形によってホルダ部材に残るゲート跡が、この開口部の近傍でワイパアームと上下方向(払拭面の垂直方向)に対向する上面に形成される。これにより、ホルダ部材に形成されたゲート跡がワイパアームによって見えにくい位置に隠れるため、ホルダ部材をランナレス射出成形することで製造工程を簡素化しつつも、外観性の悪化を抑えることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記ワイパアームの先端部は、前記開口部の基端側に開口する状態で前記連結部材を介して前記連結軸に係止されるUフック状をなし、前記連結軸は金属材料よりなり、インサート品として前記ホルダ部材に一体成形されてなることを特徴とする。
【0009】
この発明では、ワイパアームの先端部が開口部の基端側に向けて開口するUフック状をなし、このUフック状の先端部が開口部に収容された連結部材を介して連結軸に係止される。このとき、ワイパブレードの連結軸が上下方向から見てワイパアームに対して傾く(ワイパブレードがワイパアームに対して払拭方向に傾く)と、ホルダ部材は、ワイパアームの先端部から開口部の基端側を幅方向(連結軸の軸方向)に開く力を受ける。一方、連結軸はインサート品としてホルダ部材に一体成形されるため、連結軸に対してゲートとは反対側の箇所では射出成形の際のウェルドが生じやすい。ここで、ホルダ部材のランナレス射出成形の際のゲート位置が開口部の基端側に設定される(請求項1参照)ため、射出成形の際に連結軸及び開口部の存在にて生じるウェルドを、ワイパアームの先端部から力を受ける開口部の基端側での発生を極力回避することができ、その結果、ホルダ部材を破損しにくくすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のワイパブレードにおいて、前記連結軸は金属材料よりなり、インサート品として前記ホルダ部材に一体成形されるものであり、前記連結軸の両軸端部は、前記ホルダ部材内に埋設された鍔部と、該鍔部よりも内側に形成されインサート成形の際の位置決めのための段差部とを有することを特徴とする。
【0011】
この発明では、連結軸はホルダ部材内に埋設された鍔部を有するため、連結軸の軸方向におけるホルダ部材との接触面積を広くとることができ、その結果、ホルダ部材の開口部部分における強度を向上させることができる。また、連結軸は、鍔部よりも更に内側に形成された段差部にてインサート成形の際の金型内での位置決め及び姿勢保持が可能となるため、ホルダ部材を容易に製造することが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のワイパブレードにおいて、前記段差部の内側端面は、前記開口部の対向壁部の内側面と面一となるように構成されたことを特徴とする。
【0013】
この発明では、連結軸の段差部が開口部の対向壁部から突出しないように構成されるため、開口部内に収容された連結部材と対向壁部との間の無駄な隙間をなくすことが可能となる。これにより、連結部材、ひいてはワイパブレードの払拭方向におけるガタツキを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
従って、上記記載の発明によれば、製造工程を簡素化しつつも、ワイパブレードの外観の悪化を実質的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のワイパを示す斜視図である。
【図2】(a)はワイパブレードの平面図であり、(b)はワイパブレードの側面図である。
【図3】ワイパブレードの連結ピン部分を通る断面図である。
【図4】メインレバーの射出成形の態様を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、自動車のフロントガラス1に付着した雨滴等を払拭する車両用ワイパ10を示す。車両用ワイパ10は、先端部がアームピース11aで構成されたワイパアーム11と、アームピース11aの先端部に支持されフロントガラス1の払拭面1aに接触配置されるワイパブレード12とから構成され、ワイパモータ(図示略)によるワイパアーム11の作動にてワイパブレード12が往復揺動し、払拭面1a上の払拭を行うものである。
【0017】
ワイパアーム11のアームピース11aとワイパブレード12との連結は、ワイパブレード12の長手方向中央に装着された連結部材20が用いられている。先ず、アームピース11a及びワイパブレード12の個々の構成について説明する。アームピース11aは、金属板材から形成される平板棒状の部材であり、ワイパブレード12と連結されるその先端部は、払拭面1a側が自由端のUフック状に形成されている。また、ワイパアーム11には、ワイパブレード12を払拭面1aに押圧するための押圧力を付与するスプリング(図示略)が装着されている。
【0018】
図2(a)(b)に示すように、ワイパブレード12は、メインレバー13と、2つのヨークレバー14と、2つの可動カバー部材15と、払拭面1aを払拭するためのブレードラバー16とを備えている。メインレバー13の長手方向両端部にはそれぞれ回動軸部13aが設けられ、各ヨークレバー14の中央部が各回動軸部13aに組み付けられて、メインレバー13に対して各ヨークレバー14が回動可能に支持されている。尚、メインレバー13と可動カバー部材15は、ワイパブレード12の外観を構成している。
【0019】
各ヨークレバー14の中央部の回動連結部分よりも若干外側には、各可動カバー部材15の基端部が回動軸部15aにて組み付けられ、各ヨークレバー14に対して各可動カバー部材15が回動可能に支持されている。各ヨークレバー14の両端部、及び各可動カバー部材15の先端部にはそれぞれ幅方向で対をなす把持部14a,15bが設けられ、ブレードラバー16を長手方向所定間隔で把持している。因みに、可動カバー部材15には、把持部15bとヨークレバー14の外側の把持部14aとの間において、ブレードラバー16の幅方向の移動(又は姿勢)を規制すべく同方向で対をなす規制片15cが設けられている。
【0020】
ブレードラバー16はゴム材にて長尺状に形成され、図3に示すように、把持部14a,15bに把持される上部16aと、上部16aから下方(払拭面1a方向)に延びる払拭部16bとを有する。また、ブレードラバー16の上部16aにはバネ材料よりなる一対のバッキング17が装着され、このバッキング17はワイパアーム11より受ける払拭面1aへの押圧力を長手方向に分散させる役目を果たすものである。
【0021】
メインレバー13は樹脂材料よりなり、全体的に長手方向直交方向断面が払拭面1a側に開口する略U字状に形成されている。図1及び図2(a)に示すように、メインレバー13の長手方向中央部には、上下方向(払拭面1aの垂直方向)から見て長手方向が長辺となる長方形状の開口部13bが上壁部13fを上下方向に貫通して形成されている。開口部13bの幅方向の対向壁部13c間には、略円柱状よりなる金属製の連結ピン21が掛け渡されるようにして設けられている。
【0022】
連結ピン21は、インサート成形によりメインレバー13に一体成形され、ワイパブレード12の幅方向に沿って設けられている。図3に示すように、連結ピン21の軸方向両端部には、円形の鍔部21aがそれぞれ形成されており、その各鍔部21aは対向壁部13c内に埋設されている。各鍔部21aの軸方向内側には、その鍔部21aよりも小径の円形をなす段差部21bが形成されている。段差部21bの内側端面は、対向壁部13cの内側面13dと面一になっており、その各段差部21b間の軸部21cが開口部13b内に挿通されている。
【0023】
また、図2(a)に示すように、開口部13b内の基端部分の下部(ブレードラバー16側の端部)には、ワイパブレード12の幅方向に沿って延び開口部13bの対向壁部13c間に掛け渡される第1架橋部22aと、その第1架橋部22aの幅方向中央から開口部13bの基端側壁部13eまでワイパブレード12の長手方向に延びる第2架橋部22bとからT字状をなす補強部22が形成されている。尚、図3に示すように、補強部22の第1及び第2架橋部22a,22bは板状をなしている。
【0024】
ワイパブレード12のブレードラバー16側を下部として、開口部13bの基端側の上壁部13fには、アーム配置部23が凹設状に形成されている。アーム配置部23は、上下方向と直交する平面状をなす底面23aと、底面23aと直交する幅方向側面23bとを有し、その底面23aにはメインレバー13のランナレス射出成形時のゲート跡Gaが形成されている。アーム配置部23の幅方向側面23bは、底面23aに対し車両前方側に面して設けられている。
【0025】
尚、本実施の形態のワイパブレード12では、図2(a)に示すように、メインレバー13及び可動カバー部材15には、走行風を受けてその抗力をワイパブレード12の払拭面1aへの押圧力として作用させるフィン部31が、開口部13bの対向壁部13c以外の車両前方側の側壁に長手方向に亘って形成されている。
【0026】
開口部13bには、図1に示すように、アームピース11a先端のUフック部との連結を図るための連結部材20が嵌挿され、連結ピン21に対して回動可能に装着される。そして、アームピース11aは、連結ピン21と連結される先端部分からワイパブレード12の基端側に延びてアーム配置部23に収容状態で配置される。即ち、平板棒状のアームピース11aは、その板面がアーム配置部23の底面23aと上下方向に対向するように構成されている。尚、アームピース11aは、アーム配置部23の幅方向側面23bの形状に沿って一部が湾曲しており、アーム配置部23からアームピース11aの基端側がワイパブレード前方側(車両前方側)に導出されている。また、ワイパブレード12がアームピース11aに装着された状態において、アームピース11aの板面とアーム配置部23の底面23aは互いに略平行であるが、払拭面1aの払拭時においてワイパブレード12はアームピース11aに対して連結ピン21を軸として若干回動するため、それに伴いアームピース11aとアーム配置部23の底面23aの間隔も若干変化する。
【0027】
次に、メインレバー13のランナレス射出成形について説明する。図4に示すように、この射出成形において、インサート品としての連結ピン21は、その軸線がワイパブレード12の幅方向と一致するように図示しない金型にて軸部21cが位置決め保持され、そのキャビティC内に配置される。このとき、連結ピン21の段差部21bが金型と軸方向に当接し、これにより、連結ピン21の軸方向への移動が規制されて位置決めされるようになっている。
【0028】
このランナレス射出成形では、樹脂を充填するノズルNがキャビティCに直接接続されているため、キャビティC内への樹脂の入口となるゲートGの跡(図1及び図2(a)において、ゲート跡Ga)が、メインレバー13の表面に残る。本構成では、そのメインレバー13に残るゲート跡Gaがメインレバー13の開口部13bの基端側の上壁部13f、より詳しくは、基端側の上壁部13fのアーム配置部23の底面23aに形成されるように、ゲートGの位置を設定している。このため、ゲート跡Gaがアームピース11aによって上方が覆われて見えにくい位置に隠れるようになっている。これにより、メインレバー13をランナレス射出成形することで製造工程を簡素化しつつも、ワイパブレード12の外観の悪化を実質的に抑えることが可能となっている。
【0029】
また、ゲートGの位置がワイパブレード12の長手方向中央部に位置する開口部13bの近傍に設定されているため、樹脂がゲートGから連結ピン21を中心とする略対称形状のワイパブレード12の基端側及び先端側にバランス良く流れるようになっている。ここで、連結ピン21はインサート品としてメインレバー13に一体成形されるため、図4の実線矢印で示されるように、射出成形の際に樹脂の流れが連結ピン21で分岐し、連結ピン21に対してゲートGとは反対側、即ちメインレバー13の先端側に向けて流れる。つまり、本構成では、ゲートGの位置が開口部13bの基端側に設定されているため、射出成形の際に連結ピン21の基端側(即ち、開口部13bの基端側)でのウェルドの発生が極力回避できる。また、本実施形態では、連結ピン21には、軸部21cよりも大径の鍔部21aが設けられているため樹脂が大きく分流してウェルドが生じやすいが、基端側では鍔部21aの大きさに関係なくこれを回避できる。
【0030】
ここで、アームピース11aの先端部は、開口部13bの基端側に向けて開口するUフック状をなし、このUフック状の先端部が開口部13bに収容された連結部材20を介して連結ピン21に係止される。このとき、ワイパブレード12の連結ピン21が上下方向から見てアームピース11aに対して傾く、即ち、図2(a)においてワイパブレード12を連結ピン21を中心として時計回り又は反時計回りに回動させるような力が働く(ワイパブレード12をワイパアーム11に対して払拭方向(払拭面に平行な方向)に回動させるような力が働く)と、メインレバー13は、アームピース11aから開口部13bの基端側を幅方向(連結ピン21の軸方向)に開く力(開口部13bの両対向壁部13cが離間される方向に作用する力)を受ける。つまり、本構成では、ゲートGの位置を開口部13bの基端側に設定することで、アームピース11aから力を受ける開口部13bの基端側でのウェルドの発生を極力回避しているため、メインレバー13が開口部13b部分で破損しにくくなっている。更に、開口部13bの基端部には、上記したT字状をなす補強部22が設けられているため、アームピース11aから力を受ける開口部13bの基端側の強度が向上されるようになっている。
【0031】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、開口部13bに収容された連結部材20を介して連結ピン21に連結されるアームピース11aが、その連結部分からメインレバー13の基端側に延びて該メインレバー13とその上面側で重なるように構成される。メインレバー13はランナレス射出成形にて形成されるものであり、そのランナレス射出成形によってメインレバー13に残るゲート跡Gaが、開口部13bの基端側の上壁部13f、より詳しくは、アームピース11aと上下方向に対向するアーム配置部23に形成される。これにより、メインレバー13に形成されたゲート跡Gaが使用状態においてはアームピース11aによって上方が覆われて見えにくい位置に隠れるため、メインレバー13をランナレス射出成形することで製造工程を簡素化しつつも、ワイパブレード12の外観の悪化を実質的に抑えることが可能となる。
【0032】
(2)本実施形態では、アームピース11aの先端部は、開口部13bの基端側に向けて開口するUフック状をなし、このUフック状の先端部が開口部13bに収容された連結部材20を介して連結ピン21に係止される。このとき、ワイパブレードの連結ピン21が上下方向から見てアームピース11aに対して傾くと、メインレバー13は、アームピース11aから開口部13bの基端側を幅方向(連結ピン21の軸方向)に開く力(開口部13bの両対向壁部13cが離間される方向に作用する力)を受ける。一方、連結ピン21はインサート品としてメインレバー13に一体成形されるため、射出成形の際に樹脂の流れが連結ピン21で分岐され、連結ピン21に対してゲートGとは反対側、つまりメインレバー13の先端側に向けて流れる。ここで、ゲートGの位置が開口部13bの基端側に設定されるため、射出成形の際に連結ピン21の基端側(即ち、開口部13bの基端側)でのウェルドの発生を極力回避できる。これにより、アームピース11aから力を受ける開口部13bの基端側のウェルドによる強度低下を防止することができ、その結果、メインレバー13を破損しにくくすることができる。
【0033】
(3)本実施形態では、連結ピン21の両軸端部はメインレバー13内に埋設された鍔部を有するため、連結ピン21の軸方向におけるメインレバー13との接触面積を広くとることができ、その結果、メインレバー13の開口部13b部分における幅方向に対する強度を向上させることができる。また、連結ピン21は、鍔部21aよりも更に内側に形成された段差部21bにてインサート成形の際の金型内での位置決め及び姿勢保持が可能となるため、メインレバー13を容易に製造することが可能となる。
【0034】
(4)本実施形態では、段差部21bの内側端面は、開口部13bの対向壁部13cの内側面13dと面一となるように構成される。これにより、連結ピン21の段差部21bが開口部13bの対向壁部13cから突出しないように構成されるため、開口部13b内に収容された連結部材20と対向壁部13cとの間の無駄な隙間をなくすことが可能となる。これにより、連結部材20、ひいてはワイパブレード12の払拭方向におけるガタツキを防止することができる。
【0035】
(5)本実施形態では、開口部13b内の基端部分には、幅方向の対向壁部13cに掛け渡された補強部22が設けられるため、アームピース11aから幅方向に広げられる力を受ける開口部13bの基端側の強度が更に向上されるようになっている。
【0036】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、連結軸をメインレバー13とは別体の金属材料よりなる連結ピン21としたが、メインレバー13と一体の樹脂にて構成してもよい。
【0037】
・上記実施形態では、メインレバー13の長手方向両側に可動カバー部材15を備える構成としたが、これに特に限定されるものではなく、可動カバー部材15を省略した構成としてもよい。更に、メインレバー13の長手方向両端部にヨークレバー14をそれぞれ回動可能に支持して、このヨークレバー14を介してブレードラバー16を把持するようにしたが、これに特に限定されるものではなく、メインレバー13の長手方向両端部に把持部を設けてブレードラバー16を直接把持する(2点でブレードラバー16を把持する)ようにしてもよい。
【0038】
・上記実施形態では、補強部22を第1及び第2架橋部22a,22bからなるT字状としたが、これに特に限定されるものではなく、例えば第1架橋部22aと開口部13bの基端側壁部13eとの間の孔がない構成としてもよい。
【0039】
・上記実施形態では、アームピース11aを平板棒状の部材を用いてその平板面をゲート跡Gaと上下方向に対向させたが、これに限定されず、丸棒状のアームピースによってゲート跡Gaを上下方向に対向させて、ゲート跡Gaを見えにくい位置に隠すことができればよい。
【0040】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 請求項1〜4のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記メインレバーの開口部内の基端部分には、幅方向の対向壁部に掛け渡された補強部が設けられたことを特徴とするワイパブレード。
【0041】
これにより、ワイパアームから幅方向に広げられる力を受ける開口部の基端側の強度が向上されるようになっている。
【符号の説明】
【0042】
1a…払拭面、10…車両用ワイパ、11…ワイパアーム、12…ワイパブレード、13…メインレバー(ホルダ部材)、13b…開口部、13c…対向壁部、13d…内側面、16…ブレードラバー、20…連結部材、21…連結ピン(連結軸)、21a…鍔部、21b…段差部、Ga…ゲート跡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭面を払拭するための長尺のブレードラバーを保持する樹脂部材よりなるホルダ部材を備え、
前記ホルダ部材は、前記ブレードラバー側を下側として、上下方向に貫通し内部に連結軸が掛け渡された開口部を長手方向中央部に有し、該開口部に収容された連結部材を介して前記連結軸に連結されるワイパアームが、その連結部分から前記ホルダ部材の基端側に延びて該ホルダ部材とその上面側で重なるように構成されたワイパブレードであって、
前記ホルダ部材はランナレス射出成形にて形成されるものであり、そのランナレス射出成形によって前記ホルダ部材に残るゲート跡が、前記開口部の基端側近傍であって前記ワイパアームと上下方向に対向する上面に形成されたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパブレードにおいて、
前記ワイパアームの先端部は、前記開口部の基端側に開口する状態で前記連結部材を介して前記連結軸に係止されるUフック状をなし、
前記連結軸は金属材料よりなり、インサート品として前記ホルダ部材に一体成形されてなることを特徴とするワイパブレード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワイパブレードにおいて、
前記連結軸は金属材料よりなり、インサート品として前記ホルダ部材に一体成形されるものであり、
前記連結軸の両軸端部は、前記ホルダ部材内に埋設された鍔部と、該鍔部よりも内側に形成されインサート成形の際の位置決めのための段差部とを有することを特徴とするワイパブレード。
【請求項4】
請求項3に記載のワイパブレードにおいて、
前記段差部の内側端面は、前記開口部の対向壁部の内側面と面一となるように構成されたことを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−86597(P2012−86597A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232799(P2010−232799)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】