ワイパーブレード及びその製造方法
【課題】製造コストを低減可能なワイパーブレードを提供すること。
【解決手段】本ワイパーブレードは、被摺動面を払拭するリフィールと、前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、前記弾性部材は、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。
【解決手段】本ワイパーブレードは、被摺動面を払拭するリフィールと、前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、前記弾性部材は、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被摺動面を払拭するワイパー装置に用いられるワイパーブレード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のフロントガラスやリヤガラス等には、ガラス面に付着した雨水や異物等を払拭して車両の操縦者の視界を確保するためにワイパー装置が設けられている。ワイパー装置は、例えば車両に揺動自在に支持されるワイパーアームを備え、このワイパーアームの先端にはワイパーブレードが取り付けられている。以下、図1を用いて従来のワイパーブレードの一例について説明する。
【0003】
図1は、従来のワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図1を参照するに、ワイパーブレード100は、リフィール110と、バーティブラ120と、ホルダー130と、クリップベース140と、クリップベースカバー150と、2本のスポイラー160とを有する。リフィール110は、フロントガラスやリヤガラス等のガラス面を払拭するための部材(ゴム等)である。バーティブラ120は、弾性を有する金属板(ばね)であり、リフィール110を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されている。バーティブラ120には、リフィール110を取り付けるためのホルダー130が取り付けられている。
【0004】
クリップベース140は、バーティブラ120の上面側に取り付けられている。クリップベース140は軸140xを有し、ワイパーアーム(図示せず)に取り付け可能に構成されている。クリップベースカバー150は、2つのスポイラー160を架け渡しつつクリップベース140を被覆する部材である。スポイラー160は、クリップベース140を挟むようにバーティブラ120を被覆する部材(ゴムやエラストマー樹脂等)であり、走行風圧を受けることでリフィール110を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。
【0005】
このように、リフィール110、バーティブラ120、ホルダー130、クリップベース140、クリップベースカバー150、及び2本のスポイラー160が組み立てられてワイパーブレード100が完成する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−245931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のワイパーブレードは、構成部品の点数が多く(図1参照)、組立作業効率も悪いため、製造コストの低減が困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、製造コストを低減可能なワイパーブレードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本ワイパーブレードは、被摺動面を払拭するリフィールと、前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、前記弾性部材は、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されていることを要件とする。
【0010】
又、本ワイパーブレードの製造方法は、被摺動面を払拭するリフィールと、前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、前記弾性部材が、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されているワイパーブレードの製造方法であって、前記弾性部材を樹脂で成形する成形工程を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、製造コストを低減可能なワイパーブレードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来のワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。
【図3】図2のA−A線に沿った斜視断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図5】第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図(その1)である。
【図6】第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図(その2)である。
【図7】第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図(その3)である。
【図8】第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図(その4)である。
【図9】第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。
【図10】図9のB−B線に沿った斜視断面図である。
【図11】第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図12】第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。
【図13】第2の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。
【図14】図13のC−C線に沿った斜視断面図である。
【図15】第2の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図16】第2の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。
【図17】第3の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。
【図18】図17のD−D線に沿った斜視断面図である。
【図19】第3の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図20】第3の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。
【図21A】本発明に係るワイパーブレードの解析結果を例示する図(その1)である。
【図21B】本発明に係るワイパーブレードの解析結果を例示する図(その2)である。
【図21C】本発明に係るワイパーブレードの解析結果を例示する図(その3)である。
【図22】本発明に係る弾性部材と従来のバーティブラとの荷重比較結果を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0014】
〈第1の実施の形態〉
図2は、第1の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。図3は、図2のA−A線に沿った斜視断面図である。図4は、第1の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図2〜図4を参照するに、ワイパーブレード10は、リフィール11と、弾性部材12と、ワイパーアーム取付部13とを有する。ワイパーブレード10は、自動車、建設機械、電車、船舶、及び航空機等を含めた車両に備えられたワイパー装置の往復回動するワイパーアーム先端(図示せず)に取り付け可能に構成されている。
【0015】
リフィール11は、車両の被摺動面(ガラス面等)を払拭するための部材である。リフィール11としては、例えば合成ゴムやシリコンゴム等を用いることができる。リフィール11は、摺動部11aと、連結部11bと、固定部11cとを有する。摺動部11aは、断面が略逆三角形状であり、その先端部近傍(連結部11bと反対側)は被摺動面と当接し被摺動面上を摺動可能に構成されている。連結部11bは、摺動部11aと固定部11cとを連結する部分であり、摺動部11aを固定部11cに対して傾倒可能に構成されている。固定部11cは、リフィール11を弾性部材12に固定する部分である。
【0016】
弾性部材12は、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bを有し、リフィール11を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることでリフィール11を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。つまり、弾性部材12は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160とを一体化した部材であり、2つの部品(第1弾性部材12a及び第2弾性部材12b)でバーティブラ120の機能と2本のスポイラー160の機能の両方を兼ね備えている。弾性部材12の中央部近傍には取付部12cが設けられ、取付部12cにはワイパーアーム取付部13が取り付けられている。
【0017】
弾性部材12は、第1弾性部材12aの長手方向に沿って形成された溝部12x及び第2弾性部材12bの長手方向に沿って形成された溝部12yでリフィール11の固定部11cを挟持することにより、リフィール11を保持している。第1弾性部材12aと第2弾性部材12bとは、例えば熱溶着、超音波溶着、ねじ止め等により相互に固定されている。又、第1弾性部材12aと第2弾性部材12bとを圧入により固定しても構わない。
【0018】
弾性部材12は、リフィール11の摺動部11aの先端部近傍を被摺動面と安定的に密着させるために所定の曲率(所定のR形状)に形成され、リフィール11を被摺動面に密着させる方向に弾性変形自在に構成されている。弾性部材12は、被摺動面側に押圧されると略フラットな形状になり得る。弾性部材12(第1弾性部材12a及び第2弾性部材12b)としては、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の樹脂材料を用いることができる。このような樹脂材料を用いることにより、射出成形により弾性部材12(第1弾性部材12a及び第2弾性部材12b)の成形が可能となる。
【0019】
このように、従来のワイパーブレード100ではバーティブラ120(金属製のばね)及びバーティブラ120とは別部品のスポイラー160を有していたが、ワイパーブレード10では従来のバーティブラ120とスポイラー160とを一体化した樹脂性の弾性部材12を有している。
【0020】
なお、弾性部材12の表面を着色しても良い。従来のスポイラー160はゴムやエラストマー樹脂等から構成されているため、汎用の塗料が乗りにくく塗装等による着色は困難であり、仮に着色しても曲げや伸びによるひび割れで塗装が剥がれる問題があった。一方、弾性部材12は樹脂から構成されているため、汎用の塗料を用いた塗装等による着色が容易であり、ひび割れで塗装が剥がれる問題も生じ難い。弾性部材12の表面を、例えばワイパーブレード10が取り付けられる車両と同一色に着色することにより、車両にマッチしたデザインが実現可能となり、ワイパーブレード10の商品性を向上できる。
【0021】
ワイパーアーム取付部13は、取付部本体13aと、軸13bと、アタッチメント13cとを有する。ワイパーアーム取付部13は、従来のワイパーブレード100のクリップベース140に対応する部材である。取付部本体13aは、弾性部材12の取付部12cに固定されている。取付部本体13aと取付部12cとは、例えば熱溶着、超音波溶着、ねじ止め等により相互に固定されている。又、取付部本体13aと取付部12cとを圧入により固定しても構わない。軸13bは、例えばカシメ等により取付部本体13aに固定されている。アタッチメント13cは、例えばはめ込み等により軸13bに取り付けられている。アタッチメント13cは、往復回動するワイパーアーム先端(図示せず)に取り付け可能に構成されている。取付部本体13a及び軸13bは例えば金属等、アタッチメント13cは例えば樹脂等により構成されている。
【0022】
次に、図5〜図8を参照しながら、ワイパーブレード10の製造工程について説明する。図5〜図8は、第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。始めに、図5に示す工程では、樹脂を成形することにより形成した第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bと、合成ゴムやシリコンゴム等からなるリフィール11とを準備する。そして、リフィール11の固定部11cを第1弾性部材12aの溝部12x(図3参照)及び第2弾性部材12bの溝部12y(図3参照)で挟持するように、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bを相互に固定する。固定は、前述のように、熱溶着、超音波溶着、ねじ止め、圧入等により行うことができる。
【0023】
次いで、図6に示す工程では、ワイパーアーム取付部13の取付部本体13a及び軸13bを準備する。そして、軸13bを取付部本体13aに固定する。固定は、前述のように、カシメ等により行うことができる。次いで、図7に示す工程では、軸13bが固定された取付部本体13a(図6参照)を、リフィール11を挟持する弾性部材12(図5参照)の取付部12cに取り付ける。取り付けは、前述のように、熱溶着、超音波溶着、ねじ止め、圧入等により行うことができる。
【0024】
次いで、図8に示す工程では、アタッチメント13cを、図7に示す構造体の軸13bに取り付ける。取り付けは、前述のように、はめ込み等により行うことができる。この工程により、図2等に示すワイパーブレード10が完成する。
【0025】
なお、弾性部材12の表面を着色する工程を設けても良い。前述のように、弾性部材12は樹脂から構成されているため、着色することが容易である。弾性部材12は、塗料を塗布することにより着色できる。必要に応じ、弾性部材12の表面に所定の処理を施してから着色しても良い。
【0026】
以上のように、第1の実施の形態によれば、ワイパーブレード10において、従来のワイパーブレード100では3つの部品(バーティブラ120及び2本のスポイラー160)から構成されていた部分を、2つの部品(第1弾性部材12a及び第2弾性部材12b)から構成している。これにより、部品点数の削減による部品単価及び組立工数の削減が可能となり、ワイパーブレード10の製造コストを低減できる。
【0027】
〈第1の実施の形態の変形例〉
図9は、第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。図10は、図9のB−B線に沿った斜視断面図である。図11は、第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図9〜図11を参照するに、ワイパーブレード20は、弾性部材12が弾性部材22に置換された点がワイパーブレード10と相違する。以下、ワイパーブレード20について、ワイパーブレード10と同一構成部分の説明は極力省略し、ワイパーブレード10と相違する部分を中心に説明する。
【0028】
ワイパーブレード20において、弾性部材22は、弾性部材12と同様に、リフィール11を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることでリフィール11を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。弾性部材22は、弾性部材12とは異なり、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分がなく、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分が一体的に形成された弾性部材本体22aを有する。弾性部材22の中央部近傍には取付部22cが設けられ、取付部22cにはワイパーアーム取付部13が取り付けられている。
【0029】
つまり、弾性部材22は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160とを一体化した部材であり、1つの部品でバーティブラ120の機能と2本のスポイラー160の機能の両方を兼ね備えている。弾性部材22は、弾性部材本体22aの長手方向に沿って形成された溝部22xにリフィール11の固定部11cを挿入することにより、リフィール11を保持している。
【0030】
弾性部材22は、弾性部材12と同様に、リフィール11の摺動部11aの先端部近傍を被摺動面と安定的に密着させるために所定の曲率(所定のR形状)に形成され、リフィール11を被摺動面に密着させる方向に弾性変形自在に構成されている。弾性部材22は、被摺動面側に押圧されると略フラットな形状になり得る。弾性部材22としては、弾性部材12と同様に、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の樹脂材料を用いることができる。このような樹脂材料を用いることにより、射出成形により弾性部材22の成形が可能となる。
【0031】
このように、従来のワイパーブレード100ではバーティブラ120(金属製のばね)及びバーティブラ120とは別部品のスポイラー160を有していたが、ワイパーブレード20では従来のバーティブラ120とスポイラー160とを一体化した樹脂性の弾性部材22を有している。なお、弾性部材22の表面を着色しても良い。
【0032】
次に、図12を参照しながら、ワイパーブレード20の製造工程について説明する。図12は、第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。始めに、図12に示す工程では、樹脂を成形することにより形成した弾性部材22と、合成ゴムやシリコンゴム等からなるリフィール11とを準備する。そして、リフィール11の固定部11cを、弾性部材22の挿入口22yから溝部22x(図10参照)に挿入する。これにより、固定部11cは溝部22xに挿入され、摺動部11a及び連結部11bは切れ込み部22zを介して弾性部材22から突出する。次いで、第1の実施の形態の図6〜図8と同様の工程を実施することにより、図9等に示すワイパーブレード20が完成する。
【0033】
以上のように、第1の実施の形態の変形例によれば、ワイパーブレード20において、従来のワイパーブレード100では3つの部品(バーティブラ120及び2本のスポイラー160)から構成されていた部分を、1つの部品(弾性部材22)から構成している。これにより、第1の実施の形態に比べて、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード20の製造コストをワイパーブレード10よりも更に低減できる。
【0034】
〈第2の実施の形態〉
図13は、第2の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。図14は、図13のC−C線に沿った斜視断面図である。図15は、第2の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図13〜図15を参照するに、ワイパーブレード30は、弾性部材12が弾性部材32に置換された点がワイパーブレード10と相違する。以下、ワイパーブレード30について、ワイパーブレード10と同一構成部分の説明は極力省略し、ワイパーブレード10と相違する部分を中心に説明する。
【0035】
ワイパーブレード30において、弾性部材32は、弾性部材12と同様に、リフィール11を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることでリフィール11を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。弾性部材32は、弾性部材12とは異なり、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分がなく、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分が一体的に形成された弾性部材本体32aを有する。弾性部材32の中央部近傍には取付部32cが設けられ、取付部32cにはワイパーアーム取付部13が取り付けられている。
【0036】
つまり、弾性部材32は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160とを一体化した部材であり、1つの部品でバーティブラ120の機能と2本のスポイラー160の機能の両方を兼ね備えている。弾性部材32は、弾性部材本体32aの長手方向に沿って形成された溝部32xにリフィール11の固定部11cを挿入することにより、リフィール11を保持している。
【0037】
但し、弾性部材32は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160のみならず、ワイパーアーム取付部13の取付部本体13aとも一体化されている。弾性部材32は、ワイパーアーム取付部13の取付部本体13a(金属製)に樹脂材料をインサート成形したものである。
【0038】
弾性部材32は、弾性部材12と同様に、リフィール11の摺動部11aの先端部近傍を被摺動面と安定的に密着させるために所定の曲率(所定のR形状)に形成され、リフィール11を被摺動面に密着させる方向に弾性変形自在に構成されている。弾性部材32は、被摺動面側に押圧されると略フラットな形状になり得る。弾性部材32としては、弾性部材12と同様に、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の樹脂材料を用いることができる。このような樹脂材料を用いることにより、弾性部材32のインサート成形が可能となる。
【0039】
このように、従来のワイパーブレード100ではバーティブラ120(金属製のばね)、及びバーティブラ120とは別部品のクリップベース140及びスポイラー160を有していたが、ワイパーブレード30では従来のバーティブラ120、クリップベース140、及びスポイラー160を一体化(インサート成形)した樹脂性の弾性部材32を有している。なお、弾性部材32の表面を着色しても良い。
【0040】
次に、図16を参照しながら、ワイパーブレード30の製造工程について説明する。図16は、第2の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。始めに、図16に示す工程では、ワイパーアーム取付部13の取付部本体13aを準備する。そして、取付部本体13aを弾性部材32の形状に対応する金型内の所定位置に装填する。更に、金型内に弾性部材32となる樹脂材料を注入し、インサート品である取付部本体13aの一部を、溶融した樹脂材料で包んで固化させる(インサート成形)。これにより、取付部本体13aが一体的に設けられた弾性部材32が完成する。なお、注入する樹脂材料としては、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等を用いることができる。
【0041】
次いで、第1の実施の形態の図6と同様にして、軸13bをワイパーアーム取付部13の取付部本体13aに固定する。固定は、前述のように、カシメ等により行うことができる。次いで、第1の実施の形態の変形例の図12と同様にして、リフィール11の固定部11cを、弾性部材32の挿入口から溝部32x(図14参照)に挿入する。次いで、第1の実施の形態の図8と同様にして、アタッチメント13cを軸13bに取り付ける。取り付けは、前述のように、はめ込み等により行うことができる。この工程により、図13等に示すワイパーブレード30が完成する。
【0042】
以上のように、第2の実施の形態によれば、ワイパーブレード30において、従来のワイパーブレード100では4つの部品(バーティブラ120、クリップベース140、及び2本のスポイラー160)から構成されていた部分を、1つの部品(ワイパーアーム取付部13の取付部本体13aが一体的に設けられた弾性部材32)から構成している。これにより、第1の実施の形態に比べて、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード30の製造コストをワイパーブレード10よりも更に低減できる。又、第1の実施の形態の変形例に比べても、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード30の製造コストをワイパーブレード20よりも更に低減できる。
【0043】
〈第3の実施の形態〉
図17は、第3の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。図18は、図17のD−D線に沿った斜視断面図である。図19は、第3の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図17〜図19を参照するに、ワイパーブレード40は、弾性部材12が弾性部材42に置換された点がワイパーブレード10と相違する。以下、ワイパーブレード40について、ワイパーブレード10と同一構成部分の説明は極力省略し、ワイパーブレード10と相違する部分を中心に説明する。
【0044】
ワイパーブレード40において、弾性部材42は、弾性部材12と同様に、リフィール11を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることでリフィール11を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。弾性部材42は、弾性部材12とは異なり、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分がなく、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分が一体的に形成された弾性部材本体42aを有する。弾性部材42の中央部近傍には取付部42cが設けられ、取付部42cにはワイパーアーム取付部13が取り付けられている。
【0045】
つまり、弾性部材42は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160とを一体化した部材であり、1つの部品でバーティブラ120の機能と2本のスポイラー160の機能の両方を兼ね備えている。弾性部材42は、弾性部材本体42aの長手方向に沿って形成された溝部42xでリフィール11の固定部11cを保持している。
【0046】
但し、弾性部材42は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160のみならず、リフィール11及びワイパーアーム取付部13の取付部本体13aとも一体化されている。弾性部材42は、リフィール11及びワイパーアーム取付部13の取付部本体13a(金属製)に樹脂材料をインサート成形したものである。従って、図18において、溝部42xとリフィール11の固定部11cとは接しており、図3、図10、及び図14のような隙間は形成されていない。
【0047】
弾性部材42は、弾性部材12と同様に、リフィール11の摺動部11aの先端部近傍を被摺動面と安定的に密着させるために所定の曲率(所定のR形状)に形成され、リフィール11を被摺動面に密着させる方向に弾性変形自在に構成されている。弾性部材42は、被摺動面側に押圧されると略フラットな形状になり得る。弾性部材42としては、弾性部材12と同様に、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の樹脂材料を用いることができる。このような樹脂材料を用いることにより、弾性部材42のインサート成形が可能となる。
【0048】
このように、従来のワイパーブレード100ではバーティブラ120(金属製のばね)、及びバーティブラ120とは別部品のリフィール110、クリップベース140、及びスポイラー160を有していたが、ワイパーブレード40では従来のリフィール110、バーティブラ120、クリップベース140、及びスポイラー160を一体化(インサート成形)した樹脂性の弾性部材42を有している。なお、弾性部材42の表面を着色しても良い。
【0049】
次に、図20を参照しながら、ワイパーブレード40の製造工程について説明する。図20は、第3の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。始めに、図20に示す工程では、リフィール11及びワイパーアーム取付部13の取付部本体13aを準備する。そして、リフィール11及び取付部本体13aを弾性部材42の形状に対応する金型内の所定位置に装填する。更に、金型内に弾性部材42となる樹脂材料を注入し、インサート品であるリフィール11及び取付部本体13aの一部を、溶融した樹脂材料で包んで固化させる(インサート成形)。これにより、リフィール11及び取付部本体13aが一体的に設けられた弾性部材42が完成する。なお、注入する樹脂材料としては、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等を用いることができる。
【0050】
次いで、第1の実施の形態の図6と同様にして、軸13bをワイパーアーム取付部13の取付部本体13aに固定する。固定は、前述のように、カシメ等により行うことができる。次いで、第1の実施の形態の図8と同様にして、アタッチメント13cを軸13bに取り付ける。取り付けは、前述のように、はめ込み等により行うことができる。この工程により、図17等に示すワイパーブレード40が完成する。
【0051】
以上のように、第3の実施の形態によれば、ワイパーブレード40において、従来のワイパーブレード100では5つの部品(リフィール110、バーティブラ120、クリップベース140、及び2本のスポイラー160)から構成されていた部分を、1つの部品(リフィール11及びワイパーアーム取付部13の取付部本体13aが一体的に設けられた弾性部材42)から構成している。これにより、第1の実施の形態に比べて、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード40の製造コストをワイパーブレード10よりも更に低減できる。又、第1の実施の形態の変形例に比べても、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード40の製造コストをワイパーブレード20よりも更に低減できる。又、第2の実施の形態に比べても、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード40の製造コストをワイパーブレード30よりも更に低減できる。
【0052】
〈解析結果〉
図21A〜図21Cは、本発明に係るワイパーブレードの解析結果を例示する図である。なお、図21Aは弾性部材12に荷重が加わっていない状態の側面図、図21Bは弾性部材12に荷重が加わりフラットになった状態の側面図、図21Cは弾性部材12に荷重が加わりフラットになった状態の平面図である。図21A〜図21Cでは、ポリアセタール樹脂(POM)を用いた弾性部材12(図2参照)を解析モデルとし、R形状及び応力集中について解析を行った。なお、弾性部材12は左右対称な形状であるため、解析を容易にすべく、半分の形状を解析モデルとしている。
【0053】
この解析では、弾性部材12が被摺動面に押しつけられた時に図21B及び図21Cに示す全体がフラットな形状になるように、図21Aに示すR形状を算出した。又、図21B及び図21Cに示すように、弾性部材12が被摺動面に押しつけられた時の応力を算出した。図21Aに示すR形状を、図21B及び図21Cに示すように全体がフラットな形状に変形させても、応力集中による破壊が発生しないことが確認された。
【0054】
図22は、本発明に係る弾性部材と従来のバーティブラとの荷重比較結果を例示する図である。図22において、本発明(丸)は弾性部材12(樹脂ばね)を、従来(四角)は従来のバーティブラを示している。なお、本発明に係る弾性部材12(樹脂ばね)としては図21A〜図21Cで求めた形状を想定し、従来のバーティブラとしては周知の金属製のバーティブラの形状を想定している。図22に示すように、弾性部材12(樹脂ばね)が、従来のバーティブラ120(板金ばね)と同等のばね特性を実現できることが確認された。
【0055】
弾性部材12が従来のバーティブラ120と同等のばね特性を有するためには、弾性部材12の断面形状(図3等参照)及びR形状(図21A等参照)が特に重要である。従って、図22のような特性が得られるように、弾性部材12の断面形状及びR形状を適切に設計する必要がある。なお、弾性部材22、32、及び42についても、弾性部材12と同様の解析結果が確認されている。
【0056】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0057】
例えば、本発明に係るワイパーブレードを、車両以外に適用しても良い。
【符号の説明】
【0058】
10、20、30、40 ワイパーブレード
11 リフィール
11a 摺動部
11b 連結部
11c 固定部
12、22、32、42 弾性部材
12a 第1弾性部材
12b 第2弾性部材
12c、22c、32c、42c 取付部
12x、12y、22x、32x、42x 溝部
13 ワイパーアーム取付部
13a 取付部本体
13b 軸
13c アタッチメント
22a、32a、42a 弾性部材本体
22y 挿入口
22z 切れ込み部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被摺動面を払拭するワイパー装置に用いられるワイパーブレード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のフロントガラスやリヤガラス等には、ガラス面に付着した雨水や異物等を払拭して車両の操縦者の視界を確保するためにワイパー装置が設けられている。ワイパー装置は、例えば車両に揺動自在に支持されるワイパーアームを備え、このワイパーアームの先端にはワイパーブレードが取り付けられている。以下、図1を用いて従来のワイパーブレードの一例について説明する。
【0003】
図1は、従来のワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図1を参照するに、ワイパーブレード100は、リフィール110と、バーティブラ120と、ホルダー130と、クリップベース140と、クリップベースカバー150と、2本のスポイラー160とを有する。リフィール110は、フロントガラスやリヤガラス等のガラス面を払拭するための部材(ゴム等)である。バーティブラ120は、弾性を有する金属板(ばね)であり、リフィール110を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されている。バーティブラ120には、リフィール110を取り付けるためのホルダー130が取り付けられている。
【0004】
クリップベース140は、バーティブラ120の上面側に取り付けられている。クリップベース140は軸140xを有し、ワイパーアーム(図示せず)に取り付け可能に構成されている。クリップベースカバー150は、2つのスポイラー160を架け渡しつつクリップベース140を被覆する部材である。スポイラー160は、クリップベース140を挟むようにバーティブラ120を被覆する部材(ゴムやエラストマー樹脂等)であり、走行風圧を受けることでリフィール110を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。
【0005】
このように、リフィール110、バーティブラ120、ホルダー130、クリップベース140、クリップベースカバー150、及び2本のスポイラー160が組み立てられてワイパーブレード100が完成する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−245931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のワイパーブレードは、構成部品の点数が多く(図1参照)、組立作業効率も悪いため、製造コストの低減が困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、製造コストを低減可能なワイパーブレードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本ワイパーブレードは、被摺動面を払拭するリフィールと、前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、前記弾性部材は、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されていることを要件とする。
【0010】
又、本ワイパーブレードの製造方法は、被摺動面を払拭するリフィールと、前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、前記弾性部材が、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されているワイパーブレードの製造方法であって、前記弾性部材を樹脂で成形する成形工程を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、製造コストを低減可能なワイパーブレードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来のワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。
【図3】図2のA−A線に沿った斜視断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図5】第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図(その1)である。
【図6】第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図(その2)である。
【図7】第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図(その3)である。
【図8】第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図(その4)である。
【図9】第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。
【図10】図9のB−B線に沿った斜視断面図である。
【図11】第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図12】第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。
【図13】第2の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。
【図14】図13のC−C線に沿った斜視断面図である。
【図15】第2の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図16】第2の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。
【図17】第3の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。
【図18】図17のD−D線に沿った斜視断面図である。
【図19】第3の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。
【図20】第3の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。
【図21A】本発明に係るワイパーブレードの解析結果を例示する図(その1)である。
【図21B】本発明に係るワイパーブレードの解析結果を例示する図(その2)である。
【図21C】本発明に係るワイパーブレードの解析結果を例示する図(その3)である。
【図22】本発明に係る弾性部材と従来のバーティブラとの荷重比較結果を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0014】
〈第1の実施の形態〉
図2は、第1の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。図3は、図2のA−A線に沿った斜視断面図である。図4は、第1の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図2〜図4を参照するに、ワイパーブレード10は、リフィール11と、弾性部材12と、ワイパーアーム取付部13とを有する。ワイパーブレード10は、自動車、建設機械、電車、船舶、及び航空機等を含めた車両に備えられたワイパー装置の往復回動するワイパーアーム先端(図示せず)に取り付け可能に構成されている。
【0015】
リフィール11は、車両の被摺動面(ガラス面等)を払拭するための部材である。リフィール11としては、例えば合成ゴムやシリコンゴム等を用いることができる。リフィール11は、摺動部11aと、連結部11bと、固定部11cとを有する。摺動部11aは、断面が略逆三角形状であり、その先端部近傍(連結部11bと反対側)は被摺動面と当接し被摺動面上を摺動可能に構成されている。連結部11bは、摺動部11aと固定部11cとを連結する部分であり、摺動部11aを固定部11cに対して傾倒可能に構成されている。固定部11cは、リフィール11を弾性部材12に固定する部分である。
【0016】
弾性部材12は、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bを有し、リフィール11を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることでリフィール11を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。つまり、弾性部材12は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160とを一体化した部材であり、2つの部品(第1弾性部材12a及び第2弾性部材12b)でバーティブラ120の機能と2本のスポイラー160の機能の両方を兼ね備えている。弾性部材12の中央部近傍には取付部12cが設けられ、取付部12cにはワイパーアーム取付部13が取り付けられている。
【0017】
弾性部材12は、第1弾性部材12aの長手方向に沿って形成された溝部12x及び第2弾性部材12bの長手方向に沿って形成された溝部12yでリフィール11の固定部11cを挟持することにより、リフィール11を保持している。第1弾性部材12aと第2弾性部材12bとは、例えば熱溶着、超音波溶着、ねじ止め等により相互に固定されている。又、第1弾性部材12aと第2弾性部材12bとを圧入により固定しても構わない。
【0018】
弾性部材12は、リフィール11の摺動部11aの先端部近傍を被摺動面と安定的に密着させるために所定の曲率(所定のR形状)に形成され、リフィール11を被摺動面に密着させる方向に弾性変形自在に構成されている。弾性部材12は、被摺動面側に押圧されると略フラットな形状になり得る。弾性部材12(第1弾性部材12a及び第2弾性部材12b)としては、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の樹脂材料を用いることができる。このような樹脂材料を用いることにより、射出成形により弾性部材12(第1弾性部材12a及び第2弾性部材12b)の成形が可能となる。
【0019】
このように、従来のワイパーブレード100ではバーティブラ120(金属製のばね)及びバーティブラ120とは別部品のスポイラー160を有していたが、ワイパーブレード10では従来のバーティブラ120とスポイラー160とを一体化した樹脂性の弾性部材12を有している。
【0020】
なお、弾性部材12の表面を着色しても良い。従来のスポイラー160はゴムやエラストマー樹脂等から構成されているため、汎用の塗料が乗りにくく塗装等による着色は困難であり、仮に着色しても曲げや伸びによるひび割れで塗装が剥がれる問題があった。一方、弾性部材12は樹脂から構成されているため、汎用の塗料を用いた塗装等による着色が容易であり、ひび割れで塗装が剥がれる問題も生じ難い。弾性部材12の表面を、例えばワイパーブレード10が取り付けられる車両と同一色に着色することにより、車両にマッチしたデザインが実現可能となり、ワイパーブレード10の商品性を向上できる。
【0021】
ワイパーアーム取付部13は、取付部本体13aと、軸13bと、アタッチメント13cとを有する。ワイパーアーム取付部13は、従来のワイパーブレード100のクリップベース140に対応する部材である。取付部本体13aは、弾性部材12の取付部12cに固定されている。取付部本体13aと取付部12cとは、例えば熱溶着、超音波溶着、ねじ止め等により相互に固定されている。又、取付部本体13aと取付部12cとを圧入により固定しても構わない。軸13bは、例えばカシメ等により取付部本体13aに固定されている。アタッチメント13cは、例えばはめ込み等により軸13bに取り付けられている。アタッチメント13cは、往復回動するワイパーアーム先端(図示せず)に取り付け可能に構成されている。取付部本体13a及び軸13bは例えば金属等、アタッチメント13cは例えば樹脂等により構成されている。
【0022】
次に、図5〜図8を参照しながら、ワイパーブレード10の製造工程について説明する。図5〜図8は、第1の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。始めに、図5に示す工程では、樹脂を成形することにより形成した第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bと、合成ゴムやシリコンゴム等からなるリフィール11とを準備する。そして、リフィール11の固定部11cを第1弾性部材12aの溝部12x(図3参照)及び第2弾性部材12bの溝部12y(図3参照)で挟持するように、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bを相互に固定する。固定は、前述のように、熱溶着、超音波溶着、ねじ止め、圧入等により行うことができる。
【0023】
次いで、図6に示す工程では、ワイパーアーム取付部13の取付部本体13a及び軸13bを準備する。そして、軸13bを取付部本体13aに固定する。固定は、前述のように、カシメ等により行うことができる。次いで、図7に示す工程では、軸13bが固定された取付部本体13a(図6参照)を、リフィール11を挟持する弾性部材12(図5参照)の取付部12cに取り付ける。取り付けは、前述のように、熱溶着、超音波溶着、ねじ止め、圧入等により行うことができる。
【0024】
次いで、図8に示す工程では、アタッチメント13cを、図7に示す構造体の軸13bに取り付ける。取り付けは、前述のように、はめ込み等により行うことができる。この工程により、図2等に示すワイパーブレード10が完成する。
【0025】
なお、弾性部材12の表面を着色する工程を設けても良い。前述のように、弾性部材12は樹脂から構成されているため、着色することが容易である。弾性部材12は、塗料を塗布することにより着色できる。必要に応じ、弾性部材12の表面に所定の処理を施してから着色しても良い。
【0026】
以上のように、第1の実施の形態によれば、ワイパーブレード10において、従来のワイパーブレード100では3つの部品(バーティブラ120及び2本のスポイラー160)から構成されていた部分を、2つの部品(第1弾性部材12a及び第2弾性部材12b)から構成している。これにより、部品点数の削減による部品単価及び組立工数の削減が可能となり、ワイパーブレード10の製造コストを低減できる。
【0027】
〈第1の実施の形態の変形例〉
図9は、第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。図10は、図9のB−B線に沿った斜視断面図である。図11は、第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図9〜図11を参照するに、ワイパーブレード20は、弾性部材12が弾性部材22に置換された点がワイパーブレード10と相違する。以下、ワイパーブレード20について、ワイパーブレード10と同一構成部分の説明は極力省略し、ワイパーブレード10と相違する部分を中心に説明する。
【0028】
ワイパーブレード20において、弾性部材22は、弾性部材12と同様に、リフィール11を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることでリフィール11を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。弾性部材22は、弾性部材12とは異なり、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分がなく、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分が一体的に形成された弾性部材本体22aを有する。弾性部材22の中央部近傍には取付部22cが設けられ、取付部22cにはワイパーアーム取付部13が取り付けられている。
【0029】
つまり、弾性部材22は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160とを一体化した部材であり、1つの部品でバーティブラ120の機能と2本のスポイラー160の機能の両方を兼ね備えている。弾性部材22は、弾性部材本体22aの長手方向に沿って形成された溝部22xにリフィール11の固定部11cを挿入することにより、リフィール11を保持している。
【0030】
弾性部材22は、弾性部材12と同様に、リフィール11の摺動部11aの先端部近傍を被摺動面と安定的に密着させるために所定の曲率(所定のR形状)に形成され、リフィール11を被摺動面に密着させる方向に弾性変形自在に構成されている。弾性部材22は、被摺動面側に押圧されると略フラットな形状になり得る。弾性部材22としては、弾性部材12と同様に、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の樹脂材料を用いることができる。このような樹脂材料を用いることにより、射出成形により弾性部材22の成形が可能となる。
【0031】
このように、従来のワイパーブレード100ではバーティブラ120(金属製のばね)及びバーティブラ120とは別部品のスポイラー160を有していたが、ワイパーブレード20では従来のバーティブラ120とスポイラー160とを一体化した樹脂性の弾性部材22を有している。なお、弾性部材22の表面を着色しても良い。
【0032】
次に、図12を参照しながら、ワイパーブレード20の製造工程について説明する。図12は、第1の実施の形態の変形例に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。始めに、図12に示す工程では、樹脂を成形することにより形成した弾性部材22と、合成ゴムやシリコンゴム等からなるリフィール11とを準備する。そして、リフィール11の固定部11cを、弾性部材22の挿入口22yから溝部22x(図10参照)に挿入する。これにより、固定部11cは溝部22xに挿入され、摺動部11a及び連結部11bは切れ込み部22zを介して弾性部材22から突出する。次いで、第1の実施の形態の図6〜図8と同様の工程を実施することにより、図9等に示すワイパーブレード20が完成する。
【0033】
以上のように、第1の実施の形態の変形例によれば、ワイパーブレード20において、従来のワイパーブレード100では3つの部品(バーティブラ120及び2本のスポイラー160)から構成されていた部分を、1つの部品(弾性部材22)から構成している。これにより、第1の実施の形態に比べて、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード20の製造コストをワイパーブレード10よりも更に低減できる。
【0034】
〈第2の実施の形態〉
図13は、第2の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。図14は、図13のC−C線に沿った斜視断面図である。図15は、第2の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図13〜図15を参照するに、ワイパーブレード30は、弾性部材12が弾性部材32に置換された点がワイパーブレード10と相違する。以下、ワイパーブレード30について、ワイパーブレード10と同一構成部分の説明は極力省略し、ワイパーブレード10と相違する部分を中心に説明する。
【0035】
ワイパーブレード30において、弾性部材32は、弾性部材12と同様に、リフィール11を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることでリフィール11を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。弾性部材32は、弾性部材12とは異なり、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分がなく、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分が一体的に形成された弾性部材本体32aを有する。弾性部材32の中央部近傍には取付部32cが設けられ、取付部32cにはワイパーアーム取付部13が取り付けられている。
【0036】
つまり、弾性部材32は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160とを一体化した部材であり、1つの部品でバーティブラ120の機能と2本のスポイラー160の機能の両方を兼ね備えている。弾性部材32は、弾性部材本体32aの長手方向に沿って形成された溝部32xにリフィール11の固定部11cを挿入することにより、リフィール11を保持している。
【0037】
但し、弾性部材32は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160のみならず、ワイパーアーム取付部13の取付部本体13aとも一体化されている。弾性部材32は、ワイパーアーム取付部13の取付部本体13a(金属製)に樹脂材料をインサート成形したものである。
【0038】
弾性部材32は、弾性部材12と同様に、リフィール11の摺動部11aの先端部近傍を被摺動面と安定的に密着させるために所定の曲率(所定のR形状)に形成され、リフィール11を被摺動面に密着させる方向に弾性変形自在に構成されている。弾性部材32は、被摺動面側に押圧されると略フラットな形状になり得る。弾性部材32としては、弾性部材12と同様に、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の樹脂材料を用いることができる。このような樹脂材料を用いることにより、弾性部材32のインサート成形が可能となる。
【0039】
このように、従来のワイパーブレード100ではバーティブラ120(金属製のばね)、及びバーティブラ120とは別部品のクリップベース140及びスポイラー160を有していたが、ワイパーブレード30では従来のバーティブラ120、クリップベース140、及びスポイラー160を一体化(インサート成形)した樹脂性の弾性部材32を有している。なお、弾性部材32の表面を着色しても良い。
【0040】
次に、図16を参照しながら、ワイパーブレード30の製造工程について説明する。図16は、第2の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。始めに、図16に示す工程では、ワイパーアーム取付部13の取付部本体13aを準備する。そして、取付部本体13aを弾性部材32の形状に対応する金型内の所定位置に装填する。更に、金型内に弾性部材32となる樹脂材料を注入し、インサート品である取付部本体13aの一部を、溶融した樹脂材料で包んで固化させる(インサート成形)。これにより、取付部本体13aが一体的に設けられた弾性部材32が完成する。なお、注入する樹脂材料としては、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等を用いることができる。
【0041】
次いで、第1の実施の形態の図6と同様にして、軸13bをワイパーアーム取付部13の取付部本体13aに固定する。固定は、前述のように、カシメ等により行うことができる。次いで、第1の実施の形態の変形例の図12と同様にして、リフィール11の固定部11cを、弾性部材32の挿入口から溝部32x(図14参照)に挿入する。次いで、第1の実施の形態の図8と同様にして、アタッチメント13cを軸13bに取り付ける。取り付けは、前述のように、はめ込み等により行うことができる。この工程により、図13等に示すワイパーブレード30が完成する。
【0042】
以上のように、第2の実施の形態によれば、ワイパーブレード30において、従来のワイパーブレード100では4つの部品(バーティブラ120、クリップベース140、及び2本のスポイラー160)から構成されていた部分を、1つの部品(ワイパーアーム取付部13の取付部本体13aが一体的に設けられた弾性部材32)から構成している。これにより、第1の実施の形態に比べて、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード30の製造コストをワイパーブレード10よりも更に低減できる。又、第1の実施の形態の変形例に比べても、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード30の製造コストをワイパーブレード20よりも更に低減できる。
【0043】
〈第3の実施の形態〉
図17は、第3の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する斜視図である。図18は、図17のD−D線に沿った斜視断面図である。図19は、第3の実施の形態に係るワイパーブレードを例示する分解斜視図である。図17〜図19を参照するに、ワイパーブレード40は、弾性部材12が弾性部材42に置換された点がワイパーブレード10と相違する。以下、ワイパーブレード40について、ワイパーブレード10と同一構成部分の説明は極力省略し、ワイパーブレード10と相違する部分を中心に説明する。
【0044】
ワイパーブレード40において、弾性部材42は、弾性部材12と同様に、リフィール11を被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることでリフィール11を被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されている。弾性部材42は、弾性部材12とは異なり、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分がなく、第1弾性部材12a及び第2弾性部材12bに相当する部分が一体的に形成された弾性部材本体42aを有する。弾性部材42の中央部近傍には取付部42cが設けられ、取付部42cにはワイパーアーム取付部13が取り付けられている。
【0045】
つまり、弾性部材42は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160とを一体化した部材であり、1つの部品でバーティブラ120の機能と2本のスポイラー160の機能の両方を兼ね備えている。弾性部材42は、弾性部材本体42aの長手方向に沿って形成された溝部42xでリフィール11の固定部11cを保持している。
【0046】
但し、弾性部材42は、従来のワイパーブレード100のバーティブラ120と2本のスポイラー160のみならず、リフィール11及びワイパーアーム取付部13の取付部本体13aとも一体化されている。弾性部材42は、リフィール11及びワイパーアーム取付部13の取付部本体13a(金属製)に樹脂材料をインサート成形したものである。従って、図18において、溝部42xとリフィール11の固定部11cとは接しており、図3、図10、及び図14のような隙間は形成されていない。
【0047】
弾性部材42は、弾性部材12と同様に、リフィール11の摺動部11aの先端部近傍を被摺動面と安定的に密着させるために所定の曲率(所定のR形状)に形成され、リフィール11を被摺動面に密着させる方向に弾性変形自在に構成されている。弾性部材42は、被摺動面側に押圧されると略フラットな形状になり得る。弾性部材42としては、弾性部材12と同様に、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の樹脂材料を用いることができる。このような樹脂材料を用いることにより、弾性部材42のインサート成形が可能となる。
【0048】
このように、従来のワイパーブレード100ではバーティブラ120(金属製のばね)、及びバーティブラ120とは別部品のリフィール110、クリップベース140、及びスポイラー160を有していたが、ワイパーブレード40では従来のリフィール110、バーティブラ120、クリップベース140、及びスポイラー160を一体化(インサート成形)した樹脂性の弾性部材42を有している。なお、弾性部材42の表面を着色しても良い。
【0049】
次に、図20を参照しながら、ワイパーブレード40の製造工程について説明する。図20は、第3の実施の形態に係るワイパーブレードの製造工程を例示する図である。始めに、図20に示す工程では、リフィール11及びワイパーアーム取付部13の取付部本体13aを準備する。そして、リフィール11及び取付部本体13aを弾性部材42の形状に対応する金型内の所定位置に装填する。更に、金型内に弾性部材42となる樹脂材料を注入し、インサート品であるリフィール11及び取付部本体13aの一部を、溶融した樹脂材料で包んで固化させる(インサート成形)。これにより、リフィール11及び取付部本体13aが一体的に設けられた弾性部材42が完成する。なお、注入する樹脂材料としては、例えばポリアセタール樹脂(POM)やアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)等を用いることができる。
【0050】
次いで、第1の実施の形態の図6と同様にして、軸13bをワイパーアーム取付部13の取付部本体13aに固定する。固定は、前述のように、カシメ等により行うことができる。次いで、第1の実施の形態の図8と同様にして、アタッチメント13cを軸13bに取り付ける。取り付けは、前述のように、はめ込み等により行うことができる。この工程により、図17等に示すワイパーブレード40が完成する。
【0051】
以上のように、第3の実施の形態によれば、ワイパーブレード40において、従来のワイパーブレード100では5つの部品(リフィール110、バーティブラ120、クリップベース140、及び2本のスポイラー160)から構成されていた部分を、1つの部品(リフィール11及びワイパーアーム取付部13の取付部本体13aが一体的に設けられた弾性部材42)から構成している。これにより、第1の実施の形態に比べて、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード40の製造コストをワイパーブレード10よりも更に低減できる。又、第1の実施の形態の変形例に比べても、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード40の製造コストをワイパーブレード20よりも更に低減できる。又、第2の実施の形態に比べても、部品点数の更なる削減が可能となる。その結果、部品単価及び組立工数の更なる削減が可能となり、ワイパーブレード40の製造コストをワイパーブレード30よりも更に低減できる。
【0052】
〈解析結果〉
図21A〜図21Cは、本発明に係るワイパーブレードの解析結果を例示する図である。なお、図21Aは弾性部材12に荷重が加わっていない状態の側面図、図21Bは弾性部材12に荷重が加わりフラットになった状態の側面図、図21Cは弾性部材12に荷重が加わりフラットになった状態の平面図である。図21A〜図21Cでは、ポリアセタール樹脂(POM)を用いた弾性部材12(図2参照)を解析モデルとし、R形状及び応力集中について解析を行った。なお、弾性部材12は左右対称な形状であるため、解析を容易にすべく、半分の形状を解析モデルとしている。
【0053】
この解析では、弾性部材12が被摺動面に押しつけられた時に図21B及び図21Cに示す全体がフラットな形状になるように、図21Aに示すR形状を算出した。又、図21B及び図21Cに示すように、弾性部材12が被摺動面に押しつけられた時の応力を算出した。図21Aに示すR形状を、図21B及び図21Cに示すように全体がフラットな形状に変形させても、応力集中による破壊が発生しないことが確認された。
【0054】
図22は、本発明に係る弾性部材と従来のバーティブラとの荷重比較結果を例示する図である。図22において、本発明(丸)は弾性部材12(樹脂ばね)を、従来(四角)は従来のバーティブラを示している。なお、本発明に係る弾性部材12(樹脂ばね)としては図21A〜図21Cで求めた形状を想定し、従来のバーティブラとしては周知の金属製のバーティブラの形状を想定している。図22に示すように、弾性部材12(樹脂ばね)が、従来のバーティブラ120(板金ばね)と同等のばね特性を実現できることが確認された。
【0055】
弾性部材12が従来のバーティブラ120と同等のばね特性を有するためには、弾性部材12の断面形状(図3等参照)及びR形状(図21A等参照)が特に重要である。従って、図22のような特性が得られるように、弾性部材12の断面形状及びR形状を適切に設計する必要がある。なお、弾性部材22、32、及び42についても、弾性部材12と同様の解析結果が確認されている。
【0056】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0057】
例えば、本発明に係るワイパーブレードを、車両以外に適用しても良い。
【符号の説明】
【0058】
10、20、30、40 ワイパーブレード
11 リフィール
11a 摺動部
11b 連結部
11c 固定部
12、22、32、42 弾性部材
12a 第1弾性部材
12b 第2弾性部材
12c、22c、32c、42c 取付部
12x、12y、22x、32x、42x 溝部
13 ワイパーアーム取付部
13a 取付部本体
13b 軸
13c アタッチメント
22a、32a、42a 弾性部材本体
22y 挿入口
22z 切れ込み部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被摺動面を払拭するリフィールと、
前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、
前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、
前記弾性部材は、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されていることを特徴とするワイパーブレード。
【請求項2】
前記ワイパーアーム取付部は、金属製の取付部本体を有し、
前記取付部本体は、前記弾性部材と一体成形されていることを特徴とする請求項1記載のワイパーブレード。
【請求項3】
前記ワイパーアーム取付部は、金属製の取付部本体を有し、
前記取付部本体及び前記リフィールは、前記弾性部材と一体成形されていることを特徴とする請求項1記載のワイパーブレード。
【請求項4】
前記弾性部材は、長手方向に沿って溝部が形成された第1弾性部材、及び長手方向に沿って溝部が形成された第2弾性部材を有し、
前記第1弾性部材の溝部と前記第2弾性部材の溝部で前記リフィールを挟持することにより、前記リフィールを保持することを特徴とする請求項1記載のワイパーブレード。
【請求項5】
前記弾性部材の表面が着色されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のワイパーブレード。
【請求項6】
被摺動面を払拭するリフィールと、
前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、
前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、
前記弾性部材が、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されているワイパーブレードの製造方法であって、
前記弾性部材を樹脂で成形する成形工程を有することを特徴とするワイパーブレードの製造方法。
【請求項7】
前記ワイパーアーム取付部は、金属製の取付部本体を有し、
前記成形工程では、前記取付部本体を前記弾性部材の形状に対応する金型内の所定位置に装填し、前記金型内に前記弾性部材となる樹脂材料を注入し固化させることを特徴とする請求項6記載のワイパーブレードの製造方法。
【請求項8】
前記ワイパーアーム取付部は、金属製の取付部本体を有し、
前記成形工程では、前記取付部本体及び前記リフィールを前記弾性部材の形状に対応する金型内の所定位置に装填し、前記金型内に前記弾性部材となる樹脂材料を注入し固化させることを特徴とする請求項6記載のワイパーブレードの製造方法。
【請求項9】
前記弾性部材の表面を着色する着色工程を有することを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項記載のワイパーブレードの製造方法。
【請求項1】
被摺動面を払拭するリフィールと、
前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、
前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、
前記弾性部材は、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されていることを特徴とするワイパーブレード。
【請求項2】
前記ワイパーアーム取付部は、金属製の取付部本体を有し、
前記取付部本体は、前記弾性部材と一体成形されていることを特徴とする請求項1記載のワイパーブレード。
【請求項3】
前記ワイパーアーム取付部は、金属製の取付部本体を有し、
前記取付部本体及び前記リフィールは、前記弾性部材と一体成形されていることを特徴とする請求項1記載のワイパーブレード。
【請求項4】
前記弾性部材は、長手方向に沿って溝部が形成された第1弾性部材、及び長手方向に沿って溝部が形成された第2弾性部材を有し、
前記第1弾性部材の溝部と前記第2弾性部材の溝部で前記リフィールを挟持することにより、前記リフィールを保持することを特徴とする請求項1記載のワイパーブレード。
【請求項5】
前記弾性部材の表面が着色されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のワイパーブレード。
【請求項6】
被摺動面を払拭するリフィールと、
前記リフィールを保持する樹脂製の弾性部材と、
前記弾性部材に固定され、往復回動するワイパーアーム先端に取り付け可能に構成されたワイパーアーム取付部と、を有し、
前記弾性部材が、前記リフィールを前記被摺動面に密着させるように弾性変形自在に構成されていると共に、走行風圧を受けることで前記リフィールを前記被摺動面へ押し付ける力を発生するように構成されているワイパーブレードの製造方法であって、
前記弾性部材を樹脂で成形する成形工程を有することを特徴とするワイパーブレードの製造方法。
【請求項7】
前記ワイパーアーム取付部は、金属製の取付部本体を有し、
前記成形工程では、前記取付部本体を前記弾性部材の形状に対応する金型内の所定位置に装填し、前記金型内に前記弾性部材となる樹脂材料を注入し固化させることを特徴とする請求項6記載のワイパーブレードの製造方法。
【請求項8】
前記ワイパーアーム取付部は、金属製の取付部本体を有し、
前記成形工程では、前記取付部本体及び前記リフィールを前記弾性部材の形状に対応する金型内の所定位置に装填し、前記金型内に前記弾性部材となる樹脂材料を注入し固化させることを特徴とする請求項6記載のワイパーブレードの製造方法。
【請求項9】
前記弾性部材の表面を着色する着色工程を有することを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項記載のワイパーブレードの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22】
【公開番号】特開2012−35731(P2012−35731A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177109(P2010−177109)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000176833)三菱製鋼株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000176833)三菱製鋼株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
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