説明

ワイパ装置

【課題】より容易に組み付けることのできるワイパ装置を得る。
【解決手段】ワイパ装置1は、ブレードラバー2を保持するブレードラバー保持部51cが一体に設けられた本体部51を有し、ワイパアーム3に着脱可能に取り付けられるクリップベース5と、クリップベース5に回動可能に支持されてブレードラバー2の延伸方向に沿うレバー部6と、ブレードラバー2の延伸方向に沿って伸び、クリップベース5に対してレバー部6をブレードラバー2による払拭対象面4側に付勢する一本の板バネ12と、を備える。そして、本体部51をブレードラバー2の延伸方向に沿って分割した2つの分割体54,55に、上壁部54b,55bと下壁部54c,55cとで形成された溝部54d,55dをそれぞれ設けるとともに、板ばね12の長手方向中央部の幅方向端縁12bを、溝部54d,55d内にそれぞれ収容した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物の窓等の払拭対象面を払拭するのに用いられるワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、払拭対象面側に付勢されたワイパアームの先端に取り付けられるクリップと、当該クリップに取り付けられ、ブレードラバーを保持するプライマリレバーと、プライマリレバーの長手方向両端部に回動可能に支持されるとともに、ブレードラバーを保持するセカンダリレバーと、を備えるワイパ装置であって、クリップに対してセカンダリレバーを払拭対象面側に付勢する板バネを設け、各レバーからブレードラバーへの押圧力が均等に伝達されるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1では、クリップは、底壁部と側壁部とを有する断面略コ字状をしており、このクリップの底壁部に、板バネがプライマリレバーとともにリベットにより固定されている。
【特許文献1】米国特許第2706291号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、断面略コ字状をしたクリップの底壁部にリベットを挿通させて板ばねを固定しているため、板バネの固定作業に手間がかかってしまう。そのため、ワイパ装置の組み付けに手間がかかり、作業効率が悪いという問題があった。特に近年、ワイパ装置は、走行中の乗員の視界の邪魔にならないよう、薄型化、小型化が図られており、かかる問題がより顕著に現れてきている。
【0005】
そこで、本発明は、より容易に組み付けることのできるワイパ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ブレードラバーを保持するブレードラバー保持部が一体に設けられた本体部を有し、ワイパアームに着脱可能に取り付けられるクリップベースと、前記クリップベースに回動可能に支持されてブレードラバーの延伸方向に沿うレバー部と、前記ブレードラバーの延伸方向に沿って伸び、前記クリップベースに対して前記レバー部をブレードラバーによる払拭対象面側に付勢する一本の板バネと、を備えるワイパ装置であって、前記クリップベースの本体部は、ブレードラバーの延伸方向に沿って分割された2つの分割体を備え、前記2つの分割体に上壁部と下壁部とで形成された溝部をそれぞれ設けるとともに、前記板ばねの長手方向中央部の幅方向端縁を、2つの分割体に設けた溝部内にそれぞれ収容したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパ装置であって、前記2つの分割体の上壁部または下壁部に、幅方向で相互に対向する切欠部をそれぞれ設けることで、前記クリップベースの本体部に係合孔を形成するとともに、前記板ばねに前記係合孔に係合する係合突部を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のワイパ装置であって、前記本体部の係合孔が複数箇所設けられているとともに、前記係合突部が前記板ばねに複数箇所設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のワイパ装置であって、前記2つの分割体の合わせ面に、互いに嵌合する凹凸部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、クリップベースの本体部をブレードラバーの延伸方向に沿って2つの分割体に分割するとともに、2つの分割体にそれぞれ上壁部と下壁部とで形成された溝部を設けることで、板ばねの長手方向中央部の幅方向端縁を、2つの分割体に設けた溝部内にそれぞれ収容するだけで、当該板ばねをクリップベースに取り付けることができる。そのため、ワイパ装置をより容易に組み付けることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、クリップベースの本体部に係合孔を形成するとともに、板ばねに係合突部を設けたことで、クリップベースに取り付ける際に板ばねの位置決めをすることができるため、板ばねのクリップベースへの取付精度を向上させることができる。また、板ばねの係合突部を係合孔に係合させることで、クリップベースに取り付けた板ばねが長手方向に位置ずれしてしまうのを抑制することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、係合孔と係合突部を複数箇所に設けているため、板ばねが幅方向に位置ずれしてしまうのを抑制することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、2つの分割体の合わせ面に、互いに嵌合する凹凸部を設けることで、2つの分割体を合わせて本体部を形成する際に、各分割体の位置決めをすることができる上、各分割体がブレードラバーの延伸方向に位置ずれしてしまうのを抑制することができる。その結果、クリップベースの組み付け精度が向上するため、より容易に組み付けることができ、ワイパ装置の組み付け作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態にかかるワイパ装置の外観を示す側面図、図2は、ワイパ装置のクリップベースの分解斜視図(一部破断図)、図3は、ワイパ装置の板ばねを取り付けた状態を示す断面図、図4は、ワイパ装置のクリップベースの平面図、図5は、ワイパ装置のクリップベースの側面図(一部断面図)、図6は、ワイパ装置の二つのレバー部のうち一つの側面図(一部断面図)である。なお、以下の説明では、便宜上、払拭対象面の法線方向において、払拭対象面から離間する方向を上方向(上側)、その反対方向を下方向(下側)と定義する。また、図中、X方向は、ワイパアームによる付勢方向、Y方向は、ブレードラバー延伸方向を示す。
【0016】
本実施形態にかかるワイパ装置1は、線状のブレードラバー2を保持する細長い保持具であり、自動車等の乗物の車体(図示せず)に回動可能に支持されたワイパアーム3の先端に着脱可能に取り付けられる。ワイパアーム3は、コイルスプリング等の付勢手段(図示せず)によって付勢され(付勢方向:図1のX方向)、ワイパ装置1を介してブレードラバー2の尖端縁2a側を払拭対象面4に適宜な押圧力で押し付けている。また、ワイパアーム3は、車体側に装備されたモータ(図示せず)によって、払拭対象面4と略直交する回転軸を中心として揺動される。かかる構成において、モータを揺動制御すると、ブレードラバー2が適宜な押圧力で押し付けられながら払拭対象面4を円弧状の軌道で反復的に摺動し、当該払拭対象面4を払拭するようになっている。
【0017】
ワイパ装置1は、ワイパアーム3(図5)の先端部に着脱可能に取り付けられるクリップベース5と、クリップベース5に回動可能に支持される二つのレバー部(レバーアッセンブリ)6,6とを備えている。なお、本実施形態では、二つのレバー部6,6は、対称形状(同一形状あるいは勝手違い形状)としてあるが、敢えて異なる構成としても構わない。
【0018】
クリップベース5は、図5に示すように、細長い本体部51と、本体部51の長手方向中央部に設けられたシャフト52aに回動可能に支持されるクリップ部53と、を備えている。
【0019】
そして、本体部51には、ブレードラバー2の基体部2bを上側から掴持する保持部(ブレードラバー保持部)51c,51cが一体に形成されている。
【0020】
本実施形態では、本体部51は、ブレードラバーの延伸方向(図1の左右方向;Y方向)に沿って2つの分割体54,55に分割されている。
【0021】
各分割体54,55は、断面略F字状の金属部材であり、それぞれ、側壁部54a,55aと、側壁部54a,55aの長手方向(Y方向)両端部の下端縁に水平方向に延設された下壁部54c,55cと、下壁部54c,55cの上方にそれらと平行に延設された上壁部54b,55bと、を備えている。
【0022】
そして、各分割体54,55には、上壁部54bと下壁部54cとで溝部54dが、上壁部55bと下壁部55cとで溝部55dがそれぞれ形成されている。
【0023】
また、側壁部54a,55aの長手方向中央部には挿通孔51a,51aが、長手方向両端部には挿通孔51b,51bが、それぞれ形成されている。なお、シャフト52aは、その両端を、側壁部54a,55aの長手方向中央部に形成された挿通孔51aにそれぞれ挿通することで、側壁部54a,55a間に架設されている。
【0024】
本実施形態では、上壁部54bおよび下壁部54cと、上壁部55bおよび下壁部55cと、が側壁部54a,55aの長手方向両端部にそれぞれ一対づつ設けられている。
【0025】
そして、各上壁部54b,54bには切欠き54e,54eがそれぞれ設けられているとともに、各上壁部55b,55bの切欠き54e,54eと幅方向で対向する位置には、切欠き55e,55eがそれぞれ設けられている。本実施形態では、各上壁部54b,55bの中央部に切欠き54e,55eが設けられている。
【0026】
そして、図4に示すように、分割体54と分割体55とを合わせて本体部51を形成した際に、切欠き54eと切欠き55eとで係合孔56が形成される。すなわち、本実施形態では、本体部51の長手方向(Y方向)両端部に2つの係合孔56,56が形成されることとなる。
【0027】
さらに、2つの分割体54,55の合わせ面54h,55hには、互いに嵌合する凹凸部が設けられている。
【0028】
本実施形態では、分割体54の各上壁部54b,54bの端部(長手方向外側の端部)に、凸部54f,凹部54gがそれぞれ形成されており、分割体55の上壁部55b,55bの凸部54f,凹部54gに対応する位置には、凸部54f,凹部54gと嵌合する凹部55f,凸部55gがそれぞれ形成されている。
【0029】
このように、本実施形態では、分割体54,55の長手方向両端部には、凸部54fおよび凸部55g、凹部54gおよび凹部55fがそれぞれ設けられており、分割体54と分割体55は、同一の形状をしている。すなわち、分割体54をX方向を軸に半回転させたものが分割体55となっている。
【0030】
クリップ部53は、一例としては、図5に示すように、弾性的に拡狭する略U字状のレバー53aを有しており、このレバー53aをワイパアーム3の先端部に形成されたU字状のフック部3a内に差し込むことで係着できるようになっている。取り外す場合には、レバー53aをつまんでその角度を狭めることで、フック部3aとの係合が解除されるようになっている。なお、クリップ部53は、ワイパアーム3にビス留めしたり、コネクタ等を用いて取り付けたりすることも可能であるし、シャフト52aに着脱できるように構成してもよい。
【0031】
レバー部6は、クリップベース5に回動可能に支持されるプライマリレバー8と、プライマリレバー8に回動可能に支持されるセカンダリレバー9と、セカンダリレバー9に回動可能に支持されるヨーク10と、を備えている。
【0032】
本実施形態では、プライマリレバー8の長手方向(Y方向)の一端部が、クリップベース5の長手方向(Y方向)の一端部に回動可能に保持されており、プライマリレバー8が、クリップベース5の長手方向一端部から長手方向外側(ブレードラバー2の延伸方向端部側)に延伸する構成となっている。このプライマリレバー8,8は、クリップベース5の側壁部54a,55aの長手方向両端部に形成された挿通孔51b,51bに挿通されるとともに、側壁部54a,55aの端部間にそれぞれ架設されたシャフト52b,52bに、回動可能に枢支されている。
【0033】
プライマリレバー8は、下側(払拭対象面4側)に開放された断面略コ字状の金属部材であり、帯状の天壁8aと、その幅方向両縁に立設された一対の平行な側壁8b,8bとを有している。
【0034】
そして、プライマリレバー8のブレードラバー延伸方向端部側(プライマリレバー8が支持されるシャフト52bよりブレードラバー2の延伸方向端部側;図6では右側)の側壁8b,8b間には、シャフト8cが架設されており、このシャフト8cに、セカンダリレバー9の長手方向略中央部が回動可能に枢支されている。
【0035】
また、プライマリレバー8は、付勢手段11によって、クリップベース5に対して払拭対象面4側に付勢されている。本実施形態では、付勢手段11として、1本の板バネ12と、コイルスプリング13と、を備えている。
【0036】
板バネ12は、長手方向略中央部の幅方向両端縁部12b,12bをそれぞれクリップベース5の溝部54d,55d内に収容させることで、本体部51に取り付けられている。一方、板バネ12の両端部は、プライマリレバー8の天壁8aとプライマリレバー8の長手方向略中央部に設けられたピン8dとの間の隙間に介装されている。この場合、板バネ12の他端部(ピン8d側の端部)を自由状態よりも弾性的に上側に持ち上げた状態で装着されるように構成することで、当該板バネ12は装着状態から自由状態に弾性的に復元しようとして、当該他端部からピン8dに対して払拭対象面4側への付勢力が作用することになる。
【0037】
このように、付勢手段11として、ブレードラバー延伸方向に沿って伸びる板バネ12を設けることで、付勢手段11を設けたことによってワイパ装置1の高さが高くなってしまうのを抑制している。
【0038】
また、本実施形態では、板バネ12の、クリップベース5の本体部51に形成された係合孔56,56に対応する位置に、斜め上方に向けて突出させた係合突部12a,12aが形成されている。
【0039】
コイルスプリング13は、シャフト52bの外周に巻装されたねじりバネとして構成されており、巻線の他端部がクリップベース5の上壁部54b若しくは55b上に当接される一方、他端部は当該シャフト52bよりもブレードラバー延伸方向端部側となる位置でプライマリレバー8の天壁8aの一端部の上面側に係止されている。この場合、コイルスプリング13の巻線の他端部(プライマリレバー8側の端部)を自由状態よりも弾性的に上側に持ち上げた状態で装着されるように構成することで、当該コイルスプリング13は装着状態から自由状態に弾性的に復元しようとして、当該他端部から天壁8aに対して払拭対象面4側への付勢力が作用することになる。
【0040】
セカンダリレバー9は、プライマリレバー8よりもブレードラバー延伸方向端部側(図6では右側)まで延在しており、その端部には、ブレードラバー2の基体部2bを上側から掴持する保持部(ブレードラバー保持部)7bが形成されている。
【0041】
また、このセカンダリレバー9は、プライマリレバー8の略コ字状断面による凹部内に収容された状態で回動支持点としてのシャフト8cに対してブレードラバー延伸方向中央側にも延在しており、当該中央側の端部に設けられたシャフト9aに、ヨーク10の長手方向略中央部が回動可能に枢支されている。
【0042】
そして、ヨーク10の長手方向両端部に、ブレードラバー2の基体部2bを上側から掴持する保持部(ブレードラバー保持部)7c,7cが形成されている。
【0043】
なお、セカンダリレバー9およびヨーク10ともに、下側(払拭対象面4側)に開放された断面略コ字状の金属部材で形成されている。また、シャフト52a,52b,8c,9a等は例えばリベットによって構成することができる。
【0044】
このように、本実施形態の構成では、ブレードラバー2は、クリップベース5の保持部51c(合計2箇所)、二つのセカンダリレバー9の保持部7b(合計2箇所)、二つのヨーク10の保持部7c(合計4箇所)の合計8箇所でワイパ装置1に保持されている。そして、これら保持部51c,7b,7cからブレードラバー2に払拭対象面4への押圧力を伝達している。
【0045】
また、本実施形態の構成では、ワイパアーム3の付勢力に対して、各保持部51c,7b,7cの設置位置や、付勢手段11(板バネ12およびコイルスプリング13)の付勢力の大きさを適宜に設定することで、各保持部51c,7b,7cからブレードラバー2に伝達される押圧力を均等化することが可能である。
【0046】
なお、プライマリレバー8に合成樹脂等からなるカバー(図示せず)を装着し、このカバーによって、プライマリレバー8およびセカンダリレバー9を含むレバー部6全体を被覆してもよい。こうすれば、カバーによってレバー部6の構成を覆い隠すことができる分、美観を向上することができる。
【0047】
次に、板ばね12の取付方法を説明する。
【0048】
まず、図2に示すように、板ばね12に設けられた係合突部12a,12aの位置が、上壁部54b,54bに形成された切欠き54e,54eの位置となるように、板ばね12の幅方向端部12bの一方を、分割体54に形成された溝部54d,54d内に収容させる。なお、分割体55の溝部55d,55d内に先に収容させてもよい。
【0049】
そして、分割体54の凸部54f,凹部54gに分割体55の凹部55f,凸部55gがそれぞれ嵌合するように、2つの分割体54と分割体55とを合わせ、幅方向端部12bの他方を溝部55d,55d内に収容させるとともに、係合突部12a,12aを切欠き54eと切欠き55eとで形成された係合孔56に係合させる。
【0050】
こうして、図3に示すように、板ばね12の長手方向中央部の幅方向端縁12b,12bが、2つの分割体54,55に設けた溝部54d,55d内にそれぞれ収容され、板ばね12がクリップベース5の本体部51に取り付けられることとなる。
【0051】
このように、本実施形態の構成によれば、2つの分割体54,55を合わせるだけで板ばね12を本体部51に取り付けることができるため、小型のクリップベース5を用いた場合でも、板ばね12を容易に取り付けることができる。
【0052】
なお、板ばね12をクリップベース5の本体部51に取り付ける際に、2つの分割体54,55が板ばね12を挟持するようにしてもよい。
【0053】
以上の本実施形態によれば、クリップベース5の本体部51をブレードラバー2の延伸方向に沿って2つの分割体54,55に分割するとともに、2つの分割体54,55にそれぞれ上壁部54b,55bと下壁部54c,55cとで形成された溝部54d,55dを設けることで、板ばね12の長手方向中央部の幅方向端縁部12b,12bを、2つの分割体54,55に設けた溝部54d,55d内にそれぞれ収容するだけで、当該板ばね12をクリップベース5に取り付けることができるようになる。そのため、ワイパ装置1をより容易に組み付けることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、クリップベース5の本体部51に係合孔56を形成するとともに、板ばね12に係合突部12aを設けたことで、クリップベース5に取り付ける際に板ばね12の位置決めをすることができるため、板ばね12のクリップベース5への取付精度を向上させることができる。また、板ばね12の係合突部12aを係合孔56に係合させることで、クリップベース5に取り付けた板ばね12が長手方向に位置ずれしてしまうのを抑制することができる。
【0055】
さらに、本実施形態によれば、係合孔56と係合突部12aを複数箇所に設けているため、板ばね12が幅方向に位置ずれしてしまうのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、2つの分割体54,55の合わせ面54h,55hに、互いに嵌合する凹部54f,55gおよび凸部55f,54gを設けることで、2つの分割体54,55を合わせて本体部51を形成する際に、各分割体54,55の位置決めをすることができる上、各分割体54,55がブレードラバー2の延伸方向に位置ずれしてしまうのを抑制することができる。その結果、クリップベース5の組み付け精度が向上するため、より容易に組み付けることができ、ワイパ装置1の組み付け作業の効率化をより一層図ることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、2つの分割体54,55の形状を同一にしているため、分割体54,55ごとに成形型を変えたり、それぞれ別の製造装置を用いたりする必要がなくなり、2つの分割体54,55の製造コストの削減を図ることができる。
【0058】
さらに、本実施形態によれば、ブレードラバー保持部51cをクリップベース5の本体部51に一体に設けたため、部品点数の増加を抑え組み立て工数の低減を図ることができるという利点もある。
【0059】
また、本実施形態によれば、クリップベース5に対してレバー部6をブレードラバー2による払拭対象面4側に付勢する付勢手段11を設けたため、当該付勢手段11の付勢力を設定することで、レバー部6に設けた保持部7b,7cにおけるブレードラバー2の押圧力をより適切に設定することができるようになる。
【0060】
さらに、本実施形態によれば、付勢手段11として、板バネ12に加えてコイルスプリング13を設けたため、二つの付勢手段11によって付勢力の大きさやレバー部6の各保持部7b,7cにおける押圧力の設定自由度をより増大することができる上、コイルスプリング13をより小さく構成することができる分、当該コイルスプリング13を設けたことによってワイパ装置1の高さが高くなってしまうのを抑制することができるという利点もある。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず種々の変形が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、レバー部がプライマリレバー、セカンダリレバー、およびヨークによって構成された場合を例示したが、本発明はかかる構成に限定されるものではない。
【0063】
また、上記実施形態では、クリップベースの本体部として金属製のものを用いたが、樹脂製の本体部を用いてワイパ装置の軽量化を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態にかかるワイパ装置の外観を示す側面図。
【図2】本発明の一実施形態にかかるワイパ装置のクリップベースの分解斜視図(一部破断図)。
【図3】本発明の一実施形態にかかるワイパ装置の板ばねを取り付けた状態を示す断面図。
【図4】本発明の一実施形態にかかるワイパ装置のクリップベースの平面図。
【図5】本発明の一実施形態にかかるワイパ装置のクリップベースの側面図(一部断面図)。
【図6】本発明の一実施形態にかかるワイパ装置の二つのレバー部のうち一つの側面図(一部断面図)。
【符号の説明】
【0065】
1 ワイパ装置
2 ブレードラバー
3 ワイパアーム
4 払拭対象面
5 クリップベース
6 レバー部
7b,7c ブレードラバー保持部
8 プライマリレバー
9 セカンダリレバー
11 付勢手段
12 板バネ
12a 係合突部
12b 幅方向端縁部(幅方向端縁)
13 コイルスプリング
51 本体部
51c ブレードラバー保持部
54 分割体
54b 上壁部
54c 下壁部
54d 溝部
55 分割体
55b 上壁部
55c 下壁部
55d 溝部
X 付勢方向
Y ブレードラバー延伸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードラバーを保持するブレードラバー保持部が一体に設けられた本体部を有し、ワイパアームに着脱可能に取り付けられるクリップベースと、
前記クリップベースに回動可能に支持されてブレードラバーの延伸方向に沿うレバー部と、
前記ブレードラバーの延伸方向に沿って伸び、前記クリップベースに対して前記レバー部をブレードラバーによる払拭対象面側に付勢する一本の板バネと、
を備えるワイパ装置であって、
前記クリップベースの本体部は、ブレードラバーの延伸方向に沿って分割された2つの分割体を備え、
前記2つの分割体に上壁部と下壁部とで形成された溝部をそれぞれ設けるとともに、前記板ばねの長手方向中央部の幅方向端縁を、2つの分割体に設けた溝部内にそれぞれ収容したことを特徴とするワイパ装置。
【請求項2】
前記2つの分割体の上壁部または下壁部に、幅方向で相互に対向する切欠部をそれぞれ設けることで、前記クリップベースの本体部に係合孔を形成するとともに、
前記板ばねに前記係合孔に係合する係合突部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のワイパ装置。
【請求項3】
前記本体部の係合孔が複数箇所設けられているとともに、前記係合突部が前記板ばねに複数箇所設けられていることを特徴とする請求項2に記載のワイパ装置。
【請求項4】
前記2つの分割体の合わせ面に、互いに嵌合する凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のワイパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−247367(P2008−247367A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95106(P2007−95106)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(390005304)ピア株式会社 (19)
【Fターム(参考)】