説明

ワイヤハーネス

【課題】構成及び構造を簡素化するとともに製造工数も掛からない放熱特性の良好なワイヤハーネスを提供する。また、電磁シールド機能を発揮させることができるワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス21は、インバータ4及びバッテリー5間を電気的に接続する太物の高圧電線22と、高圧電線22を挿通するようにこの外側に配設される保護用筒部材23と、金属製の伝熱兼シールド部材24とを備えて構成されている。保護用筒部材23は、放熱特性の良い円筒形状の丸パイプ26と、二つのコルゲートチューブ32と、同じく二つのプロテクタ33とを備えて構成されている。伝熱兼シールド部材24は、高圧電線22の一構成部材として備えられており、丸パイプ26の内面27に間接的に接触するように配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に配索されるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の非シールド電線と、金属製のシールドパイプとを備え、複数の非シールド電線をシールドパイプ内に挿通してなるワイヤハーネスの技術に関しては、下記特許文献1に開示されている。この開示技術によれば、シールドパイプが電磁シールド機能と電線保護機能とを発揮することから、シールド機能のない非シールド電線を用いても全体構成及び構造を簡素化することができるという効果を奏する。
【0003】
しかしながら、電磁シールド機能を発揮するシールドパイプを備える従来のワイヤハーネスにあっては、シールドパイプと非シールド電線との間に空気層が存在することから、次のような問題点を有している。すなわち、通電時に非シールド電線で発生した熱が熱伝導率の低い空気によって遮断されてシールドパイプに伝わり難くなっており、しかもシールドパイプには外部との通気経路がないことから、非シールド電線で発生した熱がシールドパイプ内に籠もってしまい、結果、放熱特性が悪くなってしまうという問題点を有している。
【0004】
そこで、下記特許文献2に開示された技術によって上記問題点の解消が図られている。下記特許文献2には、シールドパイプ内に熱が籠もり難くなる構造、且つ放熱特性が良好になる構造を有するワイヤハーネスの技術が開示されている。具体的には、巻き付けによって非シールド電線の外側に形成される樹脂層などを構成に備えており、樹脂層がシールドパイプの内周面に接すると、非シールド電線にて発生した熱をシールドパイプに伝えることができるような、そしてシールドパイプから熱を放出させることができるような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−171952号公報
【特許文献2】特開2007−73413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示された従来のワイヤハーネスにあっては、放熱特性の向上を図るにあたり、構成及び構造が複雑化してしまうということや製造工数が増加してしまうということ等の問題点、さらには電磁シールド機能を発揮させるにあたり、シールドパイプではこの端末部分の構成及び構造が複雑化してしまうという問題点を有している。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、構成及び構造を簡素化するとともに製造工数も掛からない放熱特性の良好なワイヤハーネスを提供することを課題とする。またこの他として電磁シールド機能を発揮させる場合にあっては、構成及び構造を簡素化することが可能なワイヤハーネスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のワイヤハーネスは、電線と、該電線を挿通するようにこの外側に配設される保護用筒部材と、該保護用筒部材の内面に直接又は間接的に接触する金属製の伝熱部材とを備えるとともに、前記電線のシース又は絶縁体をこの延在方向略全体にわたり包み込むようにして前記伝熱部材を配設することによりなることを特徴とする。
【0009】
このような特徴を有する本発明によれば、金属製の伝熱部材にて電線のシース又は絶縁体をこの延在方向略全体にわたって包み込むことから、電線で発生した熱は伝熱部材により均熱化される。このような均熱化された状態で伝熱部材を保護用筒部材の内面に直接又は間接的に接触させれば、熱を効率よく保護用筒部材に伝えるとともに、保護用筒部材から熱を外部へ放出することが可能になる。本発明においては、伝熱部材を保護用筒部材の内面に直接接触させることが効率面で好ましい。
【0010】
請求項2記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1に記載のワイヤハーネスにおいて、前記電線の自重により前記伝熱部材を前記保護用筒部材の内面に直接又は間接的に接触させることを特徴とする。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、専用の構成及び構造を備えなくても伝熱部材を保護用筒部材の内面に直接又は間接的に接触させることが可能になる。
【0012】
請求項3記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスにおいて、前記保護用筒部材を断面略円形となる形状、断面略正方形となる形状、又は断面略長方形となる形状に形成し、前記電線の断面形状に合わせて前記保護用筒部材を選択することを特徴とする。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、伝熱部材との接触面積を大きく取ることが可能になる。また、最小限のスペースで電線を挿通したりワイヤハーネス配索箇所の低背化を図ったりすることが可能になる。
【0014】
請求項4記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスにおいて、前記絶縁体と該絶縁体にて覆われる導体とを有する複数の絶縁電線を備えて前記電線を構成するとともに、前記複数の絶縁電線を並べて断面略正方形となる形状、断面略長方形となる形状、又は断面略長円形となる形状に前記電線を形成することを特徴とする。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、保護用筒部材との接触面積を大きく取ることが可能になる。また、最小限のスペースで保護用筒部材に挿通されたりワイヤハーネス配索箇所の低背化を図ったりすることが可能になる。
【0016】
請求項5記載の本発明のワイヤハーネスは、請求項1ないし請求項4いずれか記載のワイヤハーネスにおいて、前記伝熱部材をシールド機能を発揮させる部材として用いることを特徴とする。
【0017】
このような特徴を有する本発明によれば、伝熱部材によってシールド機能を発揮させることが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、2に記載された本発明によれば、構成及び構造を簡素化するとともに製造工数も掛からない放熱特性の良好なワイヤハーネスを提供することができるという効果を奏する。
【0019】
請求項3、4に記載された本発明によれば、上記効果の他に放熱特性を高めたり省スペース化や低背化を図ることができるという効果を奏する。
【0020】
請求項5に記載された本発明によれば、構成及び構造を簡素化したままで電磁シールド機能を発揮させることが可能なワイヤハーネスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のワイヤハーネスを配索した車両の模式図である。
【図2】ワイヤハーネスの断面図である。
【図3】ワイヤハーネスの他の例(平角単心電線を上下に重ねて断面略正方形+角パイプ)となる断面図である。
【図4】ワイヤハーネスの他の例(平角単心電線を左右に並べて断面略長方形+平角パイプ)となる断面図である。
【図5】ワイヤハーネスの他の例(丸単心電線を左右に並べて断面略長円形+平角パイプ)となる断面図である。
【図6】ワイヤハーネスの他の例(シールド電線を使用)となる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のワイヤハーネスは、電線と、電線の外側に配設される保護用筒部材と、電線のシース又は絶縁体をこの延在方向全体にわたって包み込む金属製の伝熱部材とを備える。また、本発明のワイヤハーネスは、電線のシース又は絶縁体を包み込んだ状態の伝熱部材を直接又は間接的に保護用筒部材の内面に接触させる。
【実施例】
【0023】
以下、図面を参照しながら一実施例を説明する。図1は本発明のワイヤハーネスを配索した車両の模式図である。また、図2はワイヤハーネスの断面図である。
【0024】
本実施例のワイヤハーネスは、特に限定するものでないが、ハイブリッド自動車又は電気自動車に配索されるものを対象にしている。以下では、ハイブリッド自動車での例を挙げて説明をするものとする(電気自動車の場合でも本発明のワイヤハーネスの構成、構造、及び効果は基本的に同じである)。
【0025】
図1において、引用符号1はハイブリッド自動車を示している。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータ3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータ3にはインバータ4を介してバッテリー5からの電力が供給されるようになっている。エンジン2、モータ3、及びインバータ4は、本実施例において、前輪等がある車両内部前側6に搭載されている。また、バッテリー5は、後輪等がある車両内部後側7に搭載されている(搭載位置は一例であるものとする)。
【0026】
引用符号8は車体フレームを示している。図1中において、車体フレーム8の上側は、車体床上9を示している。また、車体フレーム8の下側は、車体床下10を示している。車体床下10には、車両強度を高めるための断面略凸形状のリーンホース11が設けられている。リーンホース11は、車両前後にのびるように形成されている。車両内部前側6における引用符号12は、例えば公知のリレーボックス等の電気接続箱を示している。また、車両内部後側7における引用符号13は、公知の低圧バッテリーを示している(低圧バッテリー13の配置は一例であるものとする)。
【0027】
本実施例において、モータ3は、モータ及びジェネレータを構成に含んでいるものとする。また、インバータ4は、インバータ及びコンバータを構成に含んでいるものとする。インバータ4は、インバータアッセンブリであって、上記インバータには、例えばエアコン・インバータやジェネレータ用インバータ、モータ用インバータが含まれるものとする。バッテリー5は、Ni−MH系やLi−ion系のものであって、モジュール化してなるものとする。尚、例えばキャパシタのような蓄電装置を使用することも可能であるものとする。バッテリー5は、ハイブリッド自動車や電気自動車に使用可能であれば特に限定されないものとする。
【0028】
インバータ4及びバッテリー5間は、本発明のワイヤハーネス21によって接続されている。
【0029】
図1及び図2において、本発明のワイヤハーネス21は、インバータ4及びバッテリー5間を電気的に接続する太物の高圧電線22(電線)と、高圧電線22を挿通するようにこの外側に配設される保護用筒部材23と、金属製の伝熱兼シールド部材24(伝熱部材)とを備えて構成されている。また、ワイヤハーネス21は、特に限定するものでないが、本実施例において、公知の複数本の低圧電線25も備えて構成されている(本実施例では低圧バッテリー13を車両内部後側7に配置するため、低圧電線25を備えている。本実施例ではモジュール化を図っている)。
【0030】
ワイヤハーネス21は、車両内部前側6から車体床下10を通って車両内部後側7までのびるように形成されている。ワイヤハーネス21は、車体フレーム8を貫通するように形成されている。
【0031】
伝熱兼シールド部材24は、図2(a)に示す如くの場合、高圧電線22の一構成部材として備えられており、保護用筒部材23を構成する後述の丸パイプ26の内面27に間接的に接触するように配設されている。一方、図2(b)に示す如くの場合は、丸パイプ26の内面27に直接接触するように高圧電線22の外周位置に配設されている。ワイヤハーネス21は、伝熱兼シールド部材24の配設位置に応じて高圧電線22の構成が異なるものとする。伝熱兼シールド部材24の配設位置は、図2(a)、(b)のいずれであってもよいものとする。以下、ワイヤハーネス21の上記各構成について説明をする。
【0032】
上記高圧電線22は、図2(a)に示す如くの場合、二つの絶縁電線28と、伝熱兼シールド部材24と、シース29とを備えて構成されており、シース29の内側に伝熱兼シールド部材24が配設されている。一方、図2(b)に示す如くの場合は、二つの絶縁電線28を備えて構成されており、二つの絶縁電線28の外周位置に、すなわち高圧電線22の外周位置に伝熱兼シールド部材24が配設されている。二つの絶縁電線28は、図2(a)、(b)のいずれにおいても上下に重ねられている。高圧電線22は、二つの絶縁電線28が上下に重なることにより断面略正方形となる形状に形成されている(断面形状は一例であるものとする。断面略正方形となる形状の場合、後述する丸パイプ26の内径を極力小さくすることができるという利点を有する。尚、絶縁電線28の数や配置は一例であるものとする)。
【0033】
尚、本実施例においては特に図示してないが、二つの絶縁電線と、これらを一括して覆うシースとを備えて高圧電線を構成してもよいものとする。そして、このような高圧電線に対し、シースの外周位置に伝熱兼シールド部材を配設してもよいものとする。
【0034】
絶縁電線28は、高圧用となる所謂平角単心電線であって、断面略長方形状の導体30と、この導体30を均一な肉厚で覆うように設けられる絶縁体31とを備えて構成されている。絶縁電線28は、導体30の形状に合わせて断面略長方形状に形成されている。導体30は、銅や銅合金やアルミニウム等によって製造されている。絶縁体31は、絶縁性を有する樹脂材料を押出成形することにより形成されている。このような構成の絶縁電線28の両端末には、機器接続用の端子金具を有するコネクタ(図示省略)が設けられている。
【0035】
伝熱兼シールド部材24は、熱伝導性及び導電性の良い金属製の部材であって、高圧電線22における上下に重ねられた二つの絶縁電線28の絶縁体31をこの延在方向略全体にわたり包み込むように配設されている。具体的な一例としては、上記図示しないコネクタ間にわたり絶縁体31を包み込むように配設されている。伝熱兼シールド部材24は、絶縁体31に対し密着するように、すなわち空気層が生じないように配設されている。このような伝熱兼シールド部材24は、電磁波対策としての電磁シールド機能を有しており、編組又は金属箔などにて形成されている。伝熱兼シールド部材24の両端末は、機器のアース部に対し接続可能に形成されている(接続方法は加締め等が一例として挙げられるが、特に限定されないものとする)。
【0036】
シース29は、絶縁性を有する樹脂材料を押出成形することにより形成されている。シース29は、二つの絶縁電線28を保護する被覆部材として形成されている。
【0037】
上記低圧電線25は、公知の細い電線であって、高圧電線22と共に保護用筒部材23に挿通されて外部から保護されている。低圧電線25は、この一端が上記電気接続箱12に接続されるとともに、他端が低圧バッテリー13に接続されている。
【0038】
上記保護用筒部材23は、一又は複数を繋ぎ合わせてなる筒形状の部材であって、高圧電線22を保護するために備えられている。保護用筒部材23は、高圧電線22を保護するにあたり必要十分な強度を有するように形成されている。保護用筒部材23は、高圧電線22を保護する必要がある範囲に合わせて配設されている。本実施例の保護用筒部材23は、伝熱兼シールド部材24と同様に上記図示しないコネクタ間にわたる長い範囲を対象として配設されている(一例であるものとする。この他の例としては、車体床下10のみに比較的短い範囲を対象にして配設することも挙げられるものとする)。
【0039】
保護用筒部材23は、放熱特性の良い円筒形状の丸パイプ26と、二つのコルゲートチューブ32と、同じく二つのプロテクタ33とを備えて構成されている。このような構成の保護用筒部材23は、丸パイプ26とコルゲートチューブ32とをプロテクタ33によって繋ぎ合わせることにより形成されている。丸パイプ26は、車体床下10に沿って配設される部分として備えられている。コルゲートチューブ32は、車両内部前側6及び車両内部後側7に配設される部分として備えられている。プロテクタ33は、連結するための部材として、また、車体に対し固定をするための部材として備えられている。
【0040】
丸パイプ26及びコルゲートチューブ32は、金属製、合成樹脂製のいずれであってもよく、本実施例においては、丸パイプ26が金属製、コルゲートチューブ32が合成樹脂製のものとなっている。丸パイプ26は、この外面34側が放熱特性が良く、また、内面27側が高圧電線22に対し吸熱特性が良ければ、材質は特に限定されないものとする(材質の好ましい一例に関しては後述する)。丸パイプ26は、本実施例において、一般的な標準パイプにて形成されている。また、コルゲートチューブ32も一般的なものが用いられている。
【0041】
保護用筒部材23に関し、上記の構成は一例であるものとする。例えば丸パイプ26のみや、コルゲートチューブ32のみ等であってもよいものとする。この他、保護用筒部材23を車体に対して固定できれば、プロテクタ33に限らず例えば金属製のブラケット等を用いてもよいものとする。
【0042】
丸パイプ26及びコルゲートチューブ32は、断面略正方形となる形状の高圧電線22を挿通することができるように内径が設定されている。特に丸パイプ26は、高圧電線22との間隔が広がらないように内径が小さく設定され、小型・軽量化が図られている。丸パイプ26における内面27の下側には、高圧電線22がこの自重によって接触するようになっている(図2(b)の場合は伝熱兼シールド部材24が接触するようになっている。自重による接触は簡単且つ簡素にすることができるという利点を有する)。
【0043】
ここで、丸パイプ26を金属製とする場合について補足説明をする。丸パイプ26を金属製にすると、樹脂製よりも保護性能を高めたりすることができるのは言うまでもない。金属製にするにあたり、材質としては、保護性能の面や耐候性の面からステンレスが一例として挙げられるものとする。また、保護性能の面や軽量化の面からアルミニウムも好適な一例として挙げられるものとする。ここでの説明は、アルミニウム製とするものとする。
【0044】
次に、上記構成及び構造に基づきながら製造と配索について説明をする。本発明では、保護用筒部材23に高圧電線22及び低圧電線25を挿通し、さらに、保護用筒部材23の両端末から露出した高圧電線22及び低圧電線25の各端末を処理(コネクタや端子金具を設ける)すると、本発明のワイヤハーネス21の製造が完了する。製造後のワイヤハーネス21は、自動車メーカーの組み立て工場にて車両の所定位置に組み付けられると配索が完了する。
【0045】
以上、図1及び図2を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、金属製の伝熱兼シールド部材24にて高圧電線22の絶縁体31をこの延在方向略全体にわたって包み込むことから、高圧電線22で発生した熱を伝熱兼シールド部材24によって均熱化することができる。そして、均熱化した状態で伝熱兼シールド部材24を保護用筒部材23における特に丸パイプ26の内面27に直接又は間接的に接触させれば、熱を効率よく丸パイプ26に伝えるとともに、丸パイプ26から熱を外部へ放出することができる。本発明は、熱の籠もりを起こり難くすることができる。従って、従来例に比べ放熱特性の良好なワイヤハーネス21を提供することができる。
【0046】
また、本発明によれば、従来例に比べ構成及び構造を簡素化することができる。これにより、製造工数も掛からないようにすることができる。本発明によれば、伝熱兼シールド部材24により、構成及び構造を簡素化したままで電磁シールド機能を発揮させることもできる。
【0047】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0048】
上記説明においては、インバータ4とバッテリー5との間に本発明のワイヤハーネス21を配索していたが、これに限らず、例えば車体床下10のみに配索するようにしてもよいものとする。この他、導体30に関しては、平角単心に限らず、丸単心や、素線を撚り合わせてなるもの等であってもよいものとする。
【0049】
本発明において、放熱特性を高めるためには接触面積を大きく取ることが好ましく、丸パイプ26に替えて図3に示す如くの角パイプ35を用いることも有効であるものとする。また、図4に示す如く二つの絶縁電線28を左右に並べて断面略長方形となる形状の高圧電線36を形成し、このような高圧電線36を用いるとともに、平角パイプ37を用いることも有効であるものとする。さらに、図5に示す如く二つの丸単心電線(絶縁電線38)を左右に並べて断面略長円形となる形状の高圧電線39を形成し、このような高圧電線39を用いるとともに、平角パイプ40を用いることも有効であるものとする。
【0050】
図4及び図5の場合は、高さを低くして地面からの距離をより一層稼ぐことができ、損傷し難くすることが可能であることから、図2及び図3の場合よりも低背化を図ることができる。
【0051】
図1ないし図5の場合、絶縁電線からなる高圧電線を用いていたが、これに限らず、図6に示す如くの高圧のシールド電線41又は42(電線)を用いてもよいものとする。シールド電線41又は42は、中心導体43と、この中心導体43の外側に設けられる絶縁体44と、絶縁体44の外側に設けられるシールド部材45と、シールド部材45の外側に設けられるシース46とを備えて構成されている。シールド部材45は、編組又は金属箔にて形成されており、本発明に係る伝熱部材としての機能を有している。
【符号の説明】
【0052】
1…ハイブリッド自動車
2…エンジン
3…モータ
4…インバータ
5…バッテリー
6…車両内部前側
7…車両内部後側
8…車体フレーム
9…車体床上
10…車体床下
11…リーンホース
12…電気接続箱
13…低圧バッテリー
21…ワイヤハーネス
22…高圧電線(電線)
23…保護用筒部材
24…伝熱兼シールド部材(伝熱部材)
25…低圧電線
26…丸パイプ
27…内面
28…絶縁電線
29…シース
30…導体
31…絶縁体
32…コルゲートチューブ
33…プロテクタ
34…外面
35…角パイプ
36…高圧電線(電線)
37…平角パイプ
38…絶縁電線
39…高圧電線(電線)
40…平角パイプ
41、42…シールド電線(電線)
43…中心導体
44…絶縁体
45…シールド部材(伝熱部材)
46…シース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、該電線を挿通するようにこの外側に配設される保護用筒部材と、該保護用筒部材の内面に直接又は間接的に接触する金属製の伝熱部材とを備えるとともに、前記電線のシース又は絶縁体をこの延在方向略全体にわたり包み込むようにして前記伝熱部材を配設することによりなる
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記電線の自重により前記伝熱部材を前記保護用筒部材の内面に直接又は間接的に接触させる
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記保護用筒部材を断面略円形となる形状、断面略正方形となる形状、又は断面略長方形となる形状に形成し、前記電線の断面形状に合わせて前記保護用筒部材を選択する
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記絶縁体と該絶縁体にて覆われる導体とを有する複数の絶縁電線を備えて前記電線を構成するとともに、前記複数の絶縁電線を並べて断面略正方形となる形状、断面略長方形となる形状、又は断面略長円形となる形状に前記電線を形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載のワイヤハーネスにおいて、
前記伝熱部材をシールド機能を発揮させる部材として用いる
ことを特徴とするワイヤハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−165354(P2011−165354A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23718(P2010−23718)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】