説明

ワイヤレスメッシュネットワークのための平面アンテナ

メッシュネットワークへの方向性通信を容易にする平面アンテナ。このアンテナは、窓ガラスに容易に取り付けできる比較的小型の平面パッケージに収容され、このアンテナがメッシュネットワークの隣接屋上取り付けノードと通信できるようにする。パッケージは、M×N素子のフェーズドアレイ(M及びNは1より大きな整数)を収容する。このアレイは、P角度位相シフト回路から供給されるマイクロ波信号により駆動される(Pは1より大きな整数)。従って、このアンテナは、単一のメインビームを合成し、アンテナのメインビームをP個の方向の1つに電気的に「指向」できる。本発明の一実施形態では、アレイは、40個の物理的素子(8×5素子)を備え、3つの選択可能な方向を有する(即ち、位相シフターは、+90、0及び−90度のシフトを与え、これは、ビームを左45度、中心、及び右45度に移動させる)

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]本発明は、概してワイヤレスネットワークに関するものであり、より詳細には、ワイヤレスネットワークのためのアンテナに関する。
【関連技術の説明】
【0002】
[0002]情報にアクセスすることの消費者の欲求は、インターネットの成長と共に増大し続けている。このような成長に対応して、新しい情報がインターネットに絶えず追加されている。特に、マルチメディアコンテンツについては、この情報の多くが帯域巾についてかなりのコストとなっている。
【0003】
[0003]電話のダイアルアップサービスは、衛星、デジタル加入者ライン(DSL)及びケーブルモデムのような帯域巾のより広いシステムに置き換わりつつある。残念なことに、これらのシステムは、現在のところ大勢には利用されていない。更に、これらのシステムに関連した取得及び設置コストが、それらの魅力を少なくしている。
【0004】
[0004]従って、ワイヤレス接続が増加しつつある。ワイヤレスシステムは、配線型(ワイヤド)よりも低いコストでより迅速に展開させることができる。セルラー電話技術を使用するシステムは、移動ワイヤレスインターネット接続を提供することに向けられる。不都合なことに、このようなシステムは、帯域巾が制限されている。
【0005】
[0005]セルラー電話技術に代わるものは、高速のデータのみのサービスを提供するポイント対マルチポイント(PMP)セルラーアーキテクチャーである。高速サービスを提供するためのワイヤレスシステムの利点は、ローカルの配線分配ネットワークの設置に関連した諸経費を伴わずに迅速に展開できることを含む。あいにく、PMPシステムは、長距離送信及び精巧な顧客設備設置に依存している。
【0006】
[0006]DSL及びケーブルモデム技術に匹敵する帯域巾をもち、設置の困難性が小さく且つコストが低い固定ワイヤレス解決策を提供する別の代替システムが、メッシュネットワークアーキテクチャーである。ここに引用する2002年4月15日に出願された米国特許出願第10/122,886号(代理人ドケットNo.SKY/004−1)及び2002年4月15日に出願された特許出願第10/122,762号(代理人ドケットNo.SKY/005−1)に説明されたように、メッシュネットワークは、DSLやケーブルを越える帯域巾で広いエリアにわたってデータトラフィックを通信する複数のワイヤレス接続ノードを備えている。メッシュのこれらノードは、屋根取り付け式の方向性アンテナを使用して送受信される無線又はマイクロ波通信信号を使用して互いに通信する。方向性アンテナは、メッシュノードの間の最大距離を延長し且つ他のノードや他のソースからの干渉信号の影響を減少するので、メッシュネットワークに有用である。そこに開示されたアンテナ構造は、アンテナアレイ技術を使用して、方向性を切り換えるアンテナを提供する。アンテナのメインビーム(1つ又は複数)は、360度をカバーする種々の異なった方向を指すことができる。このような屋上の方向性アンテナは、障害を生じることなく隣接ノード(他の屋上アンテナ)へ接続するのに非常に有効である。
【0007】
[0007]この屋上アンテナは、メッシュノードを相互接続するための最適な解決策を提供するが、ある場合には、屋上に立ち入れないか、又はユーザが屋根にアンテナを設置できないことがある。
【0008】
[0008]それ故、この技術では、ユーザが、屋上取り付け型でないアンテナ、即ち、窓取り付け型又は壁取り付け型アンテナを使用して、メッシュに加入することを可能にするアンテナが要望される。窓/壁取り付け型アンテナに望まれる特徴は、障害なく設置するための薄いフォームファクタ、長距離接続のための実質的な方向性、アンテナビームを指向して信号電力を増加したり干渉を除去したりする能力、を含む。
【発明の概要】
【0009】
[0009]本発明は、メッシュネットワークへの方向性通信を容易にする平面アンテナに係る。このアンテナは、メッシュネットワークの少なくとも1つの隣接屋上取り付け型ノードと通信できるように、窓ガラスや壁に容易に取り付けできる比較的小型の薄い平面パッケージに収容される。このパッケージは、MxN素子のフェーズドアレイを含む(M及びNは1より大きな整数)。アレイの素子は、振幅及び位相シフト回路から供給されるマイクロ波信号により駆動される。これらの回路は、各素子において位相及び振幅シフトのP個の組み合わせを与え(Pは1より大きな整数)、各素子に当たる(又は各素子から送信される)信号を最適に結合する。このように、アンテナは、単一のメインビームを合成し、アンテナのメインビームをP個の方向の1つに電気的に「指向」することができる。
【0010】
[0010]住宅向けの通信サービスは、低コスト装置の使用を経済的に実現することを必要とする。振幅及び位相シフト回路のコストは、電子式操向アンテナをこの用途に使用する上で妨げとなっている。この実施形態の重要な特徴は、コストが低いことである。低いコストは、P本のビームを合成するのに必要な独特の振幅及び独特の位相シフトの数を最小限にすることで成し遂げられる。更に、この実施形態は、+90°及び−90°の位相シフトを使用し、これらは、アナログ回路で容易に発生される。
【0011】
[0011]本発明の一実施形態において、アレイは、40個の物理的素子(8x5素子)を備え、又、3つの選択可能な方向(即ち、左45度、中心、及び右45度)を有する。これらの状態は、アンテナ素子の5列ごとに固定振幅を使用し、且つ、0°、+90°及び−90°の位相シフト状態を使用することで、達成される。
【0012】
[0012]本発明の上述した特徴を詳細に理解できるように、先の説明で簡単に要約した本発明を、添付図面に幾つか示された実施形態を参照して、より詳細に説明する。
【0013】
[0013]しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示すに過ぎず、それ故、本発明の範囲を何ら限定するものではなく、本発明は、他の等しく有効な実施形態も受け入れられることに注意されたい。
【0014】
[0014]本発明は、添付図面を参照した以下の詳細な説明に基づき容易に理解することができる。
【詳細な説明】
【0015】
[0023]図1は、ここに引用する共通に譲渡された2002年4月15日に出願された米国特許出願第10/122,886号(代理人ドケットNo.SKY/004‐1)及び2002年4月15日に出願された米国特許出願第10/122,762号(代理人ドケットNo.SKY/005‐1)に説明された、メッシュネットワーク100の例示的部分を示すネットワーク図である。ネットワーク100は、ネットワークアクセスコンセントレータ(SNAP)103、ネットワークアクセスポイント(NAP)101及びネットワークアクセスノード102を備えている。ネットワークトラフィックは、ネットワークアクセスノード102から隣接ネットワークアクセスノード102にルーティングすることができる。このような隣接ネットワークアクセスノード102は、NAP101又は最終的な行先ネットワークアクセスノード102に達するまで、このようなトラフィックをその隣接ネットワークアクセスノード102等の1つへルーティングすることができる。特に、ノード102は、プライベートなワイヤレスネットワークを形成するように、互いに通信できるが、ノード101とは通信しない。
【0016】
[0024]SNAP103は、種々の帰路105に結合されてもよく、この帰路105は、ネットワーク106に結合されてもよい。ネットワーク106は、オペレーションセンター(OC)104に結合されてもよい。帰路105は、ネットワーク106の一部分を形成してもよい。ネットワーク106は、インターネットの一部分、プライベートネットワーク等で構成されてもよい。プライベートネットワークとは、インターネットに接続されないネットワークを意味する。
【0017】
[0025]NAP101は、帰路通信リンク107を経て、SNAP103又はネットワーク106と通信することができる。帰路は、配線型でもワイヤレスでもよい。特に、NAP101に結合された帰路は、ワイヤレス帰路を有してもよい。一実施形態において、アンライセンスト・ナショナル・インフォメーション・インフラストラクチャー(UNII)帯域(例えば、約5.8GHzの周波数を使用する)において、SNAP103とNAP101との間にポイント対ポイント通信が使用される。しかし、配線型接続が利用可能な位置では、配線型接続を使用してもよい。
【0018】
[0026]ネットワークアクセスノード102は、少なくとも1つのNAP101又はノード102とワイヤレス通信する。ノード102又はNAP101は、ブロードキャスティング、ポイント対ポイント通信、及びマルチキャスティングのいずれか又はある組み合わせに対して構成できる。ブロードキャスティングとは、1人又は複数人の受信者の潜在的な聴衆の中でいずれかの特定のターゲット受信者を選び出すことなしに送信することを意味する。ポイント対ポイント通信とは、1人又は複数人の受信者の潜在的な聴衆の中で特定のターゲット受信者を選び出して送信することを意味する。マルチキャスティングとは、受信者の潜在的な聴衆の中で複数の特定のターゲット受信者を選び出して送信することを意味する。明瞭化のために、ノード102の間、NAP101の間、又はNAP101とノード102との間の通信を、ポイント対ポイント通信に関して、以下に説明する。
【0019】
[0027]一実施形態において、これは、UNII帯域内の無線通信を使用して行われる。しかしながら、他の既知の帯域を使用してもよい。ノード102は、ワイヤレスインターリンク108を一部使用して、ワイドエリアネットワーク(WAN)を少なくとも一部分形成する。より詳細には、IEEE802.11aの物理的及びリンクレイヤー規格を、9から54メガビット/秒(Mビット/s)の範囲の通信に使用することができる。
【0020】
[0028]ここに述べる通信スロットは、周波数に関連したタイムスロットである。しかしながら、当業者であれば、コード、チャンネル等を含む(これに限定されない)他の形式の通信スペースも使用できることが理解できる。
【0021】
[0029]ノード102は、屋上アンテナ112又はパネル取り付けアンテナ110(即ち、壁又は窓に取り付けるように適用される実質的に平面状のアンテナ)を使用することができる。パネル取り付けアンテナ100は、該アンテナ110の取り付け位置に対して視線内にあるいかなるメッシュノード102とも通信することができる。
【0022】
[0030]図2Aは、隣接ノード102A、102B及び102Cと通信するパネル取り付けアンテナ110の上面図である。この図は、3つの可能性のあるビームの各々の中に単一の隣接ノードがある状態での通信を示しているが、いずれかのビーム内に2つ以上の隣接ノードが存在してもよい。図2Bは、屋上ノード102Bと通信するパネル取り付けアンテナ110の側面図である。以下に説明するように、パネル取り付けアンテナ110は、近隣域内の種々のノード102に接続すると共に近隣域に存在し得る干渉源を回避するように多数の方向に切り換えることのできる単一の方向性ビームを合成する。例えば、パネル取り付けアンテナ110は、該アンテナ110の面から垂直に向けられたビームを使用してノード102Bと通信することができる。他の場合には、ビームは、以下に述べるように、他の隣接ノード102A又は102Cと通信するようにシフトすることができる。
【0023】
[0031]本発明の一実施形態では、パネル取り付けアンテナ110は、ビームの仰角を能動的に制御せず、即ちビームの仰角は、アンテナの面から直角を指すように固定される。しかしながら、隣接屋上ノードは、通常、パネル取り付けアンテナに対して若干の仰角にある。パネル取り付けアンテナは、その垂直方向のビーム巾が、パネル取り付けアンテナに対して若干の仰角にあるノードからの信号を受信するのに充分であるが、屋上取り付けアンテナに結合される信号強度を最大にするために、パネル取り付けアンテナ110は、物理的に又は電気的に傾斜させることができる。実験的研究では、約5度の仰角で充分であることが示されている。別の実施形態では、以下に述べるように、方位方向が制御されるのと同様に、ビームの仰角を電子的に制御することができる。
【0024】
[0032]図3は、アンテナ110のブロック図である。アンテナ110は、複数のアレイ素子302に結合される電力供給回路300を備えている。電力供給回路300は、回路板の一方の面側に取り付けられ、又、アレイ素子は、回路板の他面側に取り付けられる。図4は、アレイ素子302の上面図である。図5は、アンテナ110の縦断面図である。本実子形態を最も良く理解するために、読者は、図3、4及び5を同時に見ながら、本発明の以下の説明を読まれたい。
【0025】
[0033]電力供給回路300は、電力分割器304と、複数の減衰器306、308、310、312及び314と、一対の位相シフター316及び318とを備えている。アレイへの入力電力は、例えば、50オームの入力インピーダンスを有する端子312へ印加される。本発明の一実施形態では、アンテナは、約5.8GHz(例えば、UNII帯域の周波数)で動作する。ポート312からの電力は、電力分割器304により5つの経路305A−Eに分割される(即ち1:5の電力スプリッタ)。アンテナ110のメインビームに対して適切なサイドローブ減衰を確保するために、電力分割器からの各出力は、信号の相対的振幅を調整するための減衰(ストリップラインを細める)を含む。低コストを維持するために、減衰は、この固定の仕方で発生される。4つの信号は、次いで、位相シフター316、318、320及び322へ印加される。中心信号(経路305C)は、位相シフトされず、他の経路305A、B、D、Eに対する位相基準を形成する。
【0026】
[0034]低コストアンテナを提供するために、位相シフター316、318、320及び322は、PINダイオードを使用して信号を個々の量だけシフトし、ハイブリッドカプラー内の結合を変更することにより動作する。図7は、1つの位相シフター316の回路図である。他の位相シフター318、320及び322も同じ構造を有する。位相シフター316は、ハイブリッドカプラー700と、4つのPINダイオード702A、702B、702C、702D(集合的にダイオード702)とを備えている。これらダイオードは、ブランチ706A及び706Bに沿って互いに1/8波長だけ離間されると共に、カプラー700のクロスアーム704A及び704Bから1/8波長だけ離間される。ダイオード702は、制御信号により選択的にバイアスされて、接地への短絡路を形成することができる。本発明の一実施形態では、位相シフターは、4つのPINダイオード702を使用して、信号を+90°、−90°又は0°シフトさせる。位相シフトの選択を容易にするために、制御回路320は、PINダイオード702にバイアス電圧を与える。バイアスが印加されずダイオードが開路を形成するときには、カプラー700の入力から出力への位相シフトが−90度である。ダイオード702B及び702Cをバイアスすることによりそれらダイオードが接地へと短絡されると、カプラー700による位相シフトは+90度となる。また、ダイオード702A及び702Dをバイアスすることによりそれらダイオードが接地へと短絡されると、カプラー700による位相シフトは0度となる。これら3つの個別の位相シフトは、4つの信号経路305A、B、D、Eの各々に与えることができる。シフトされた信号は、回路板のビアを経てアレイ素子302に印加される(図5を参照)。
【0027】
[0035]図4は、アレイ302内のアンテナ素子の配列の一実施形態を示す。この実施形態は、5つの能動的な列400、402、404、406及び408を備えている。各列400、402、404、406及び408は、8つの素子400A−H、402A−H、404A−H、406A−H及び408A−Hを含む。各素子は、放射パッチである。列における素子の数は、アンテナの垂直ビーム巾を決定する。8個より多い又は少ない素子を列に使用することもできる。更に、本発明の他の実施形態では、スロット、ダイポール又は他のアパーチャーのような別の形式の放射素子を使用することもできる。列の各素子は、導体410により隣接素子に接続される。列402、404、406及び408に沿って中心に置かれたビア514を使用して各列へ又は各列からマイクロ波電力が結合される。本発明の実施形態では、各列は、隣接列から1/2波長だけ離間される。他の列間隔も使用できるが、ビームパターンサイドローブがある程度低下し、1/2波長の間隔が最適なサイドローブレベルを与える。
【0028】
[0036]5つの列が使用されているが、この実施形態は、論理的には7列のアレイであると考えることができ、400と402との間又は406と408との間にある「仮想」列は、無限の減衰をもち、パネルに印刷されない。これは、5列回路の複雑さ及びコストを使用して7列アンテナの性能を発揮する。
【0029】
[0037]UNII帯域で使用される本発明の実施形態では、列400は、列402から約5.17cm離間され、一方、列402、404及び406は、互いに約2.59cm離間され、又、列408は、列406から約5.17cm離間される。各列内の素子は、互いに約3.1cm等離間される。各素子は、大きさが約0.9cmx1.4cmである。各パッチのサイズ及びパッチ間の間隔は、波長に依存するものであり、他の周波数帯域に対してアンテナを設計するように増減される。
【0030】
[0038]位相シフター316及び318は、各列に印加される信号の位相を制御し、アンテナビームを水平面内で(方位方向に)シフトできるが、垂直面内では(仰角方向には)固定にすることができる。上述したように、屋上ノードに結合される信号強度を容易に最大にするために、素子間の垂直間隔を調整して、アンテナパターンのメインビームに若干の傾斜を与えることができる。
【0031】
[0039]図5は、アンテナ110の縦断面図である。アンテナ110は、例えば、多層回路板502のような基板を収容する厚み約3cmの筺体(エンクロージャー)500を備えている。この筺体は、回路の構成によっては3cm未満の厚みでもよい。回路板502内で、第1の金属化層504は、アンテナ素子302を含み、第2の金属化層506は、接地面(接地部)を含み、更に、第3の層508は、駆動回路300を含む。ビア514は、アンテナ素子302の各列をそれらの各駆動回路300に導電性結合する。また、第3の層508は、トランシーバ及びモデム回路510も支持することができる。従って、アンテナは、アンテナ素子を経てマイクロ波通信信号を送信及び受信し、トランシーバ/モデム回路内の信号を処理し、ポート512にデータ入力及び出力を供給する。アンテナ110は、吸引カップ518又は他の形式の接着剤により窓516に固定することができる。壁取り付け構成では、アンテナは、スクリュー又はボルトを使用して壁に固定されてもよい。平面アンテナ110を取り付けるのに使用される技術は、いかなる形式の取り付け構成にも適応させることができる。
【0032】
[0040]層504と506との間、及び508と506との間の材料及び厚みは、アンテナの性能にとって重要である(即ち、接地面からのアンテナ素子及びマイクロ波回路の間隔は、回路の動作及びアンテナのパターンに影響する)。本発明の一実施形態では、回路板の材料は、マイクロ波回路を製造するのに有用な低ロス材料である。低ロス材料の一形式が、ロガーズコーポレーションからマテリアルRO4003として入手できる。この材料は、UNII帯域で動作するための回路板が接地面からアンテナ素子へと測定して0.032インチの厚みとなるような誘電率を与える。全回路板厚みは、0.065インチである。全回路板サイズは、7インチ×10インチである。従って、筺体500は、そのおおよその寸法が厚み3cm×高さ25cm×巾20cmであり、これは、窓に設置したときにカーテンの背後に容易に隠れるサイズである。
【0033】
[0041]別の実施形態では、第1層504のアンテナ素子302は、接地面506から発泡コア又はエアギャップで分離されてもよい。従って、駆動回路を従来の印刷回路板にアッセンブルし、アンテナ素子の反対側で接地面に取り付けることができる。このような発泡コア又はエアギャップに基づく回路構造は、パネル取り付けアンテナのコストを更に下げることになる。
【0034】
[0042]アンテナ構造の最終的な設計において、水平及び垂直平面における素子の間隔、並びに駆動回路内の減衰器によって与えられる振幅減衰は、アンテナが取り付けられるガラス(又は他の材料)のインピーダンスを補償するように調整される。
【0035】
[0043]位相シフターが+90、−90及び0度の位相シフトを与える実施形態では、アンテナの単一メインビームを±45°及び中心に切り換えることができる。従って、アンテナは、特定のノードと通信すると共に、現在通信していないノード及び他のマイクロ波干渉源からの望ましからぬ干渉を回避するように、隣接ノードに能動的に向けることができる。
【0036】
[0044]図6は、UNII帯域で動作するための上述した構成を有する平面アンテナ110の方位方向パターン600を示す。このパターン600は、中心ビーム602と、右ビーム604と、左ビーム606とを含む。アンテナ110は、方向性利得が18.5dBiで、仰角方向のビーム巾が約10度で且つ方位方向のビーム巾が約47度である。アンテナの帯域巾は、150MHzである。
【0037】
[0045]以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の基本的な概念から逸脱せずに、他の及び更に別の実施形態を案出することもでき、従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲により限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一態様に係るネットワークの例示的部分を示すネットワーク図である。
【図2A】本発明のアンテナにより形成されるビームの方位方向の平面図である。
【図2B】本発明のアンテナにより形成されるビームの仰角方向の平面図である。
【図3】アンテナアレイ素子のための駆動回路のブロック図である。
【図4】アンテナアレイ素子の平面図である。
【図5】アンテナの縦断面図である。
【図6】本発明の平面アンテナによって形成される方位方向パターンを示す図である。
【図7】図3の駆動回路に使用される位相シフターの概略図である。
【符号の説明】
【0039】
100・・・メッシュネットワーク、101・・・ネットワークアクセスポイント、102・・・ネットワークアクセスノード、102A、102B、102C・・・隣接ノード、103・・・ネットワークアクセスコンセントレータ、105・・・帰路、106・・・ネットワーク、107・・・通信リンク、108・・・ワイヤレスインターリンク、110・・・パネル取り付けアンテナ、112・・・屋上アンテナ、300・・・電力供給回路、302・・・アレイ素子、304・・・電力分割器、306、308、310、312、314・・・減衰器、316、318、320、322・・・位相シフター、700・・・ハイブリッドカプラー、702・・・PINダイオード、400、402、404、406、408・・・列、410・・・導体、500・・・筺体、502・・・多層回路板、510・・・トランシーバ及びモデム回路、514・・・ビア、516・・・窓、518・・・吸引カップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュネットワークと通信するためのアンテナにおいて、
メッシュネットワークの隣接ノードと通信するための放射パターンを合成するための複数のフェーズドアレイ素子と、
前記複数のフェーズドアレイ素子にマイクロ波電力を供給すると共に、前記放射パターンの方向性を制御するための駆動回路と、
を備えるアンテナ。
【請求項2】
前記複数のフェーズドアレイ素子及び前記駆動回路を収容し、厚みが約3cmである筺体を更に備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記複数のフェーズドアレイ素子は、大きさが約25cm×約20cmの基板に配置される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記方向性は、P個(Pは1より大きな整数)の個別の方向に切り換えられる、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記Pは、+45度、中心及び−45度に対応する3である、請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記放射パターンの仰角は固定される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記放射パターンの仰角は水平から傾斜して固定される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記駆動回路はトランシーバ及びモデム回路に結合される、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記駆動回路及び複数のフェーズドアレイ素子のための筺体であって、接着素子を含む筺体を更に備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記接着素子は、前記筺体を平坦面に取り付けるために適用される、請求項9に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記複数のアンテナ素子、接地部、及び前記駆動回路を支持する多層回路板を更に備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項12】
前記複数のフェーズドアレイ素子を支持するための発泡コア基板を更に備える、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項13】
メッシュネットワークと通信するためのアンテナにおいて、
第1面及び第2面を有し、内部に接地面が形成された多層回路板と、
前記多層回路板の前記第1面に配され、アンテナ素子のM×Nアレイ(M及びNはそれぞれ1より大きな整数)を有するアンテナアレイと、
前記多層回路板の前記第2面に配された駆動回路であって、入力マイクロ波信号をM個の信号経路に分割する電力分割器を有し、複数の位相シフト回路がM−1個の経路に結合され、且つ各位相シフト回路の出力がアンテナ素子に結合され、更に、前記M個の信号経路の1つがアンテナ素子に直結されている駆動回路と、
を備えるアンテナ。
【請求項14】
前記Mは5であり、前記Nは8である、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記電力分割器は、前記M個の信号経路の各々に減衰を含む、請求項12に記載のアンテナ。
【請求項16】
前記位相シフト回路は、制御信号に応答して前記M−1個の経路の信号を個別の位相量だけ位相シフトする切り換え式ハイブリッドカプラーを備える、請求項13に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記個別の位相シフトは、−90度、0度及び+90度の少なくとも1つである、請求項16に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記個別の位相シフトは、前記アレイにより形成される放射パターンのメインビームを0度、+45度及び−45度に向けさせる、請求項17に記載のアンテナ。
【請求項19】
モデム回路及びトランシーバ回路を更に備える、請求項13に記載のアンテナ。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−524273(P2007−524273A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517363(P2006−517363)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019427
【国際公開番号】WO2005/004278
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(503383963)スカイパイロット ネットワークス, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】