説明

ワイヤレス送信器

【課題】 大きな押釦を設けた場合であっても、消費電力を低減することができるワイヤレス発信器を提供する。
【解決手段】 ワイヤレス発信器は、上面が遮光され、且つ、押下操作されるのに応じて筐体10との間に光源部32からの光を漏洩するような構造からなる押釦部材13を備えている。これにより、ワイヤレス発信器は、押釦部材13が押下操作されるのに応じて、筐体10との間から、光源部32からの光を外部に漏洩することができる。すなわち、このワイヤレス発信器は、押釦部材13全体を点灯させるのではなく、当該押釦部材13と筐体10との間を点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店等において顧客が店員を呼び出すために使用されるワイヤレス送信器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲食店等においては、顧客が店員を呼び出すための手段として、卓上に載置されたワイヤレス送信器を用いていることが多い(例えば、特許文献1等参照。)。かかるワイヤレス送信器は、顧客が押釦を押下するのに応じて、店内にある受信器に対して無線信号を送信することにより、当該顧客が店員を呼んでいる旨を知らせるものである。また、かかるワイヤレス送信器としては、顧客自身が当該ワイヤレス送信器の押釦が押下されたことを確認できるように、押下操作時に所定の通知音を出力したり、押釦全体を点灯させたりするものも市販されている。
【特許文献1】特開平11−161858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、押釦全体を点灯させるタイプの従来のワイヤレス送信器は、大きな押釦を設けた場合には、操作性が向上すると共に、押下操作時に当該押釦が操作者の手で隠れてしまう部分も少なく、点灯された状態を視認しやすくなる、という利点がある。しかしながら、この種のワイヤレス送信器は、押釦全体を点灯させるために高い光束の光を出射する光源が必要となり、これにともない、消費電力が高くなることから、内蔵電池の寿命が短くなるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、大きな押釦を設けた場合であっても、消費電力を低減することができるワイヤレス送信器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るワイヤレス送信器は、上述の課題を解決するために、上面が遮光され、且つ、押下操作されるのに応じて筐体との間に光源部からの光を漏洩するような構造からなる押釦部材を備えている。これにより、本発明に係るワイヤレス送信器は、押釦部材が押下操作されるのに応じて、筐体との間から、光源部からの光を外部に漏洩することができる。すなわち、本発明に係るワイヤレス送信器は、押釦部材全体を点灯させるのではなく、当該押釦部材と筐体との間を点灯させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るワイヤレス送信器によれば、押釦部材全体を点灯させるのではなく、当該押釦部材と筐体との間を点灯させることから、大きな押釦部材を設けた場合であっても、消費電力を低減することができる。また、本発明に係るワイヤレス送信器によれば、大きな押釦部材を設けることができることから、操作性が向上すると共に、押下操作時に当該押釦部材が操作者の手で隠れてしまう部分を少なくし、点灯された状態を視認しやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
この実施形態は、飲食店等において顧客が店員を呼び出すために使用されるワイヤレス送信器である。
【0009】
[ワイヤレス送信器の概略構成]
この実施形態に係るワイヤレス送信器は、概略的には例えば図1(a)及び図1(b)に示すように、略正方形状の上面を有する略直方体状の筐体10を有して構成される。筐体10は、略直方体状の本体部11と、この本体部11の上面を覆うように配設された釦枠部材12とに大別されて構成される。また、ワイヤレス送信器は、釦枠部材12の中央に穿設された孔から押釦部材13が露出するように配設されて構成される。なお、筐体11は、これら本体部11と釦枠部材12とが一体形成されたものであってもよいが、以下では、釦枠部材12が本体部11と着脱自在に係合するものとして説明する。
【0010】
このワイヤレス送信器は、操作者が押釦部材13を押下操作するのに応じて、当該ワイヤレス送信器を識別するための無線信号を所定の受信器に対して送信することにより、操作者が店員等を呼んでいる旨を知らせる。また、ワイヤレス送信器は、押釦部材13が押下されたことを操作者自身が確認できるように、当該押釦部材13を押下操作するのに応じて、所定の通知音を出力すると共に、当該押釦部材13の周縁部に形成された点灯部14を介して所定の点灯動作を行う。
【0011】
[ワイヤレス送信器の詳細構成]
このようなワイヤレス送信器は、具体的には図2に斜視図及び図3に断面図を示すように構成される。
【0012】
釦枠部材12は、略正方形状の主面の中央に孔が穿設された蓋状部材であり、上述した筐体10の一部を構成する。釦枠部材12は、押釦部材13が上下方向に摺動するように当該押釦部材13と係合し、且つ、本体部11と着脱自在に係合するように構成される。
【0013】
また、押釦部材13は、押下操作可能に構成された略円状部材の主面を有する部材である。具体的には、押釦部材13は、図3に示すように、釦枠部材12に形成された孔よりも若干小さく形成された中央部13aと、この中央部13aの周縁に当該中央部13aよりも若干低めに一体的に形成された周縁部13bとから構成される。
【0014】
中央部13aは、少なくとも上面が遮光されており、本体部11や釦枠部材12等の色と同色からなる。一方、周縁部13bは、光学的に透明な透光部材からなり、後述する光源部32からの光を漏洩するように、筐体10の一部としての釦枠部材12と係合している。押釦部材13は、この周縁部13bにより、光源部32からの光を透過する上述した点灯部14を形成する。
【0015】
さらに、本体部11は、ワイヤレス送信器の機能を実現するための各種部材を収納した略直方体状の箱状部材であり、釦枠部材12と共に上述した筐体10を構成する。具体的には、本体部11は、筐体10の一部を構成する内部が空洞とされた略直方体状のカバー部材21と、所定のネジ22等を介して取り付けられることによってカバー部材21の底面を覆うベース部材23とによって外観が形成される。
【0016】
カバー部材21の内部には、押釦部材12が操作されるのに応じて無線信号をワイヤレス送信する電子部品や通知音の出力及び点灯動作を行うための電子部品が実装されたプリント回路基板30と、押釦部材13の下方に配設されて当該押釦部材13の操作にともないオン状態に切り替えるスイッチ部31と、押釦部材13の周縁部13b下方に配設されてスイッチ部31がオン状態とされた場合に点灯する光源部32とが収納される。
【0017】
プリント回路基板30には、少なくとも、スイッチ部31と、光源部32におけるLED(Light Emitting Diode)等の発光素子32aとが実装される。また、光源部32は、押釦部材13の周縁部13bの下方に配設された導光路32bを有する。この導光路32bは、光学的に透明な樹脂や光ファイバ等から構成され、押釦部材13の周縁部13bに沿って環状に形成されている。一方、発光素子32aは、押釦部材13の周縁部13bの下方であって導光路32bに入光する位置に配設されている。光源部32は、このような発光素子32a及び導光路32bを有することにより、発光素子32aから発光された光を、導光路32bを介して押釦部材13の周縁部13bに沿って導光する。
【0018】
また、カバー部材12の内部に収納されたプリント回路基板30とベース部材23との間の空間は、光源部32を点灯させる駆動電力を供給する一次電池が装着される電池ケース33として構成される。ベース部材23の一部には、電池ケース33に対して一次電池を着脱するための孔が穿設されており、この孔は、所定形状からなる電池蓋部材34によって閉塞される。なお、ベース部材23の底面には、当該ワイヤレス送信器が載置される卓上に傷等が付くのを防止するために、所定のクッション材35が固着されている。
【0019】
また、本体部11は、所定の防水性を有するシート状バネ部材36を、スイッチ部31と押釦部材13との間にカバー部材21の上面を覆うように介設している。このシート状バネ部材36は、例えば二軸延伸ポリエステルフィルム等から構成され、少なくとも所定の防水性及び高い透光性を有する。なお、シート状バネ部材36としては、強靭性、電気絶縁性、耐熱及び耐寒性、対化学薬品性等に優れた材質のものを用いるのが望ましい。このシート状バネ部材36は、図4(a)に表面からみた斜視図及び図4(b)に裏面からみた斜視図を示すように、略円状且つ略中央が凸曲面で構成された成形シート部材であり、表面が凸状とされると共に、裏面が凹状に形成される。
【0020】
このような構造からなるワイヤレス送信器においては、押釦部材13が押下操作されるのに応じて、本体部11の上面を覆うシート状バネ部材36の凸部が裏面側に撓む。そして、ワイヤレス送信器においては、裏面側に撓んだシート状バネ部材36によってスイッチ部31を押下することにより、当該スイッチ部31がオフ状態からオン状態へと切り替わる。これにより、ワイヤレス送信器においては、無線信号の送信、通知音の出力、及び光源部32の点灯動作が行われる。
【0021】
このとき、ワイヤレス送信器においては、発光素子32aから発光された光を、導光路32bを介して押釦部材13の周縁部13bに沿って導光し、図3中矢印で示すように、押釦部材13と筐体10の一部としての釦枠部材12との間から、導光した光(透過光)を外部に漏洩させることにより、光源部32による点灯動作を操作者に視認可能とする。したがって、ワイヤレス送信器においては、操作者が店員等を呼んでいる旨を知らせることができると共に、押釦部材13が押下されたことを操作者自身が容易に確認することができる。
【0022】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、実施形態に係るワイヤレス送信器は、上面が遮光され、且つ、押下操作されるのに応じて筐体10との間に光源部32からの光を漏洩するような構造からなる押釦部材13を備えている。
【0023】
これにより、このワイヤレス送信器においては、押釦部材13が押下操作されるのに応じて、筐体10との間から、光源部32からの光を外部に漏洩することができる。すなわち、このワイヤレス送信器は、押釦部材13全体を点灯させるのではなく、当該押釦部材13と筐体10との間を点灯させることができる。したがって、このワイヤレス送信器においては、大きな押釦部材13を設けた場合であっても、消費電力を低減することができる。また、このワイヤレス送信器においては、大きな押釦部材13を設けることができることから、操作性が向上すると共に、押下操作時に当該押釦部材13が操作者の手で隠れてしまう部分を少なくし、点灯された状態を視認しやすくすることができる。
【0024】
具体的には、このワイヤレス送信器においては、押下操作されるのに応じて筐体10との間に光源部32からの光を漏洩するような構造を実現するために、光源部32からの光を透過させる透光部材からなる周縁部13bを有する押釦部材13を用い、この押釦部材13と筐体10と係合すればよい。これにより、このワイヤレス送信器においては、極めて簡便な構造でありながら、押釦部材13が押下操作されるのに応じて、当該押釦部材13と筐体10との間に光源部32からの光を漏洩することができ、当該押釦部材13と筐体10との間を点灯させることが可能となる。
【0025】
このとき、ワイヤレス送信器においては、光源部32として、押釦部材13の周縁部13b下方に配設された導光路32bと、この導光路32bに入光する位置に配設された発光素子32aとを有するものを用いることにより、発光素子32aの個数を少なくすることができ、より低消費電力化を図ることが可能となる。
【0026】
なお、このワイヤレス送信器においては、押下操作されるのに応じて筐体10との間に光源部32からの光を漏洩するような構造を実現するために、特に図示しないが、押下操作されるのに応じて筐体10との間に光源部32からの光を漏洩する所定の間隙を形成するように、押釦部材13と当該筐体10と係合すればよい。より具体的には、押釦部材13を、押下操作されるのに応じて筐体10との間に光源部32からの光を漏洩するようなバネ等を用いた可動構造からなるものとして実現することができる。これにより、このワイヤレス送信器においては、極めて簡便な構造でありながら、押釦部材13が押下操作されるのに応じて、当該押釦部材13と筐体10との間に光源部32からの光を漏洩することができ、当該押釦部材13と筐体10との間を点灯させることが可能となる。
【0027】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は本発明の実施形態として示すワイヤレス送信器の概略外観構成を示す斜視図であり、(b)は本発明の実施形態として示すワイヤレス送信器の概略外観構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態として示すワイヤレス送信器の詳細構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態として示すワイヤレス送信器の詳細構成を示す断面図である。
【図4】(a)は本発明の実施形態として示すワイヤレス送信器に用いられるシート状バネ部材を表面からみた斜視図であり、(b)は本発明の実施形態として示すワイヤレス送信器に用いられるシート状バネ部材を裏面からみた斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10 筐体
11 本体部
12 釦枠部材
13 押釦部材
13a 中央部
13b 周縁部
14 点灯部
21 カバー部材
22 ネジ
23 ベース部材
30 プリント回路基板
31 スイッチ部
32 光源部
32a 発光素子
32b 導光路
33 電池ケース
34 電池蓋部材
35 クッション材
36 シート状バネ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押下操作可能に構成された押釦部材と、
前記押釦部材が操作されるのに応じて無線信号を送信するワイヤレス送信手段と、
前記押釦部材の下方に配設され、当該押釦部材の操作にともない前記無線信号を送信するオン状態に切り替えるスイッチ部と、
前記押釦部材の周縁下方に配設され、前記スイッチ部がオン状態とされた場合に点灯する光源部と、
前記押釦部材を露出させる孔が略中央に穿設され、前記スイッチ部、前記光源部、及び前記光源部を点灯させる駆動電力を供給する電源を内部に収納する筐体とを備え、
前記押釦部材は、上面が遮光され、且つ、押下操作されるのに応じて前記筐体との間に前記光源部からの光を漏洩するような構造からなることを特徴とするワイヤレス送信器。
【請求項2】
前記押釦部材は、押下操作されるのに応じて前記筐体との間に前記光源部からの光を漏洩する所定の間隙を形成するように当該筐体と係合していることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス送信器。
【請求項3】
前記押釦部材は、押下操作されるのに応じて前記筐体との間に前記光源部からの光を漏洩するような可動構造を有することを特徴とする請求項2に記載のワイヤレス送信器。
【請求項4】
前記押釦部材は、周縁部に前記光源部からの光を透過させる透光部材を有し、前記筐体と係合していることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス送信器。
【請求項5】
前記光源部は、前記押釦部材の周縁の下方に配設された導光路と、前記導光路に入光する位置に配設された発光素子とを有することを特徴とする請求項1又は請求項4に記載のワイヤレス送信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−87226(P2007−87226A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276830(P2005−276830)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】