説明

ワックスおよび表面活性剤を含んで成る真珠光沢をもった球形顔料濃縮物

本発明によれば、約60〜80重量%の真珠光沢をもった顔料、14〜約38重量%のワックス、および約2〜6重量%の表面活性剤をそれぞれ含んで成る実質的に球形の組成物が提供される。この組成物はマスターバッチをつくるために使用される任意の重合体の中に押出すのに特に有用である。次に典型的にはこのマスターバッチを吹込み成形、射出成形、或いは押し出しにより仕上げ製品にする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
真珠光沢をもったまたは真珠状の顔料は天然真珠に似た効果をもっており、スペクトルの可視領域において透明な薄い小板状の粒子(platelets)から成っている。この小板状の粒子は非常に滑らかであり、それに当った光の一部を反射し、その光の一部は小板状の粒子を透過する。その結果、多くの層からの多重反射が起こり、眼は一つの特定の層に焦点を合わすことはできないから光沢に深みが生じる。
【0002】
この場合生じる反射は鏡面反射であり、入射角は反射角に等しい。非鏡面反射的な角度で反射される光の量は少なく、このような反射光は鏡面角を通過する際に非常に迅速に減衰する。その結果真珠光沢をもった顔料は見る角度に極めて鋭敏である。最大量の光を反射するためには、小板状の粒子は非常に滑らかでなければならない。どのような表面の粗さも非鏡面反射的に光を散乱させる原因になり、光彩効果を減少させる。
【0003】
反射が最大になるためには小板状の粒子は互いに、また基質に対して平行に並んでいなければならない。そのように配置されていないと、光は不規則に反射し、この場合も光彩効果は減少する。反射される光の量は屈折率に依存する。屈折率が増加すれば反射される光の量も増加する。
【0004】
非特許文献1には、二酸化チタンおよび/または酸化鉄で被覆された雲母から成る真珠光沢をもった顔料はポリオレフィンで分散させることができると記載されている。この参照文献は、分散を最も良くするために1%の低分子量のポリエチレン粉末を加えることを推奨している。真珠光沢をもった顔料を混入して濃縮物の形にするには、Banbury型または連続型の混合機で予め混合することによって行なわれる。Banbury型の混合機および連続型の混合押出し機の他に、二ロール混練機、カレンダー掛け機、うず巻き式強力混合機(Henschel型)および二重遊星混合機のような他の型の混合機を使用して濃縮物をつくることができる。特許文献1も参照のこと。
【0005】
典型的にはこの濃縮物を有機着色剤および重合体と一緒にし、次いで押出してペレットにしてマスターバッチをつくる。次にマスターバッチを典型的には吹込み成形または射出成形して仕上げ部材にする。
【0006】
特許文献2には、埋め込まれた顔料が流動特性を改善する材料で取囲まれているか少なくとも部分的に被覆されているものが記載されている。この文献には、埋め込まれた顔料はマスターバッチの製造に有用であり、一つの有用な埋め込まれた顔料は市販されているIRIODIN(R)WM8顔料であることが記載されている。非特許文献2には、IRIODIN(R)WM8顔料は70%の真珠光沢をもった顔料(二酸化チタンで被覆された雲母)および30%の低分子量重合体を含んで成っていることが記載されている。下記に記載した対照例Aのマスターバッチ前駆体を用いてMerck社のIRIODIN(R)WM8顔料を押出して下記の対照例Fのマスターバッチをつくった場合、押出し機から得られたストランドが切れ、押出し機からペレット化機へ手動で供給する必要があることが判った。また対照例Aの生成物は実質的に球形でないという欠点をもっている。
【0007】
特許文献3には、粉塵を生じない組成物が記載されている。この特許文献には、ペーストを押出すか成形して粒状物にすることが記載されているが、明確にあるいは本質的に実質的に球形の組成物を記載したものではない。
【0008】
従って現在当業界においては、切断したストランドを生じないマスターバッチの前駆体が必要とされている。また押出し機の処理量が高いマスターバッチ前駆体が望まれている。
【特許文献1】共通に譲渡された(commonly assigned)米国特許第3,819,566号明細書
【特許文献2】米国特許第6,451,102号明細書
【特許文献3】米国特許第6,398,862号明細書
【非特許文献1】The Mearl Corporation 1979年10月発行の「Use of Mearlin Luster Pigments in Plastics」
【非特許文献2】3月3日付けの「Merck’s Effect Pigments for Plastics」(2003年10月のMerckのウエッブサイトで入手できれる)
【発明の開示】
【0009】
本発明の概要
当業界における上記の要求に対応し、本発明においては約60〜約80重量%の真珠光沢をもった顔料、約14〜約38重量%のワックス、および約2〜約6重量%の表面活性剤を含んで成る実質的に球形の組成物が提供される。本発明の組成物は実質的に球形であるため改善された流動性が得られる。また本発明によれば、上記の組成物を含んで成るマスターバッチ前駆体が提供される。また本発明によれば、重合体と真珠光沢をもった顔料、ワックス、および表面活性剤を含んで成る実質的に球形の組成物とを一緒にし、この混合物を押出してマスターバッチをつくることにより押出し機におけるマスターバッチの処理量を増加させる方法が提供される。
【0010】
有利なことには本発明の組成物は粉塵を発生せず、押出し機におけるマスターバッチの処理量を増加させることができ、押出し機から得られるストランドの切断を最低限度に抑制するか無くすことができ、生産時間が短縮される。
【0011】
本発明の詳細な説明
真珠光沢をもった顔料
本明細書において使用される「真珠光沢をもった顔料(以後真珠光沢顔料と略称することもある)」と言う言葉は、その顔料の中にまたは中から光が透過および反射する際、真珠に似た、真珠光沢をもった、あるいは虹色に輝く効果を示す顔料を意味する。当業界において公知のように、このような顔料の特徴はL.M. Greenstein著、「Nacreous (Pearlescent) Pigments and Interference Pigments」、Pigment Handbook、第1巻、Properties and Economics、第2版、John Wiley &
Sons,Inc.(1988年発行)に詳細に説明されているように、光の干渉現象に依存している。本発明に有用な真珠光沢をもった顔料には、二酸化チタンで被覆された雲母;酸化鉄で被覆された雲母;Louis Armanini等に共通に譲渡された米国特許第4,146,403号明細書記載の二酸化チタンで被覆され酸化鉄で被覆された雲母;William J.Sullivan等に共通に譲渡された米国特許第5,753,371号明細書記載の酸化鉄または二酸化チタンで被覆されたガラス;Carmine DeLuca等に共通に譲渡された米国特許第5,611,851号明細書記載の板状の金属酸化物;Paul Caoに共通に譲渡された米国特許第6,572,695号明細書、同第6,579,357および同第6,582,507号明細書記載のオキシ塩化ビスマス効果顔料(effect pigment);James D.Christie等に共通に譲渡された米国特許第6,325,847号明細書および同第6,440,208号明細書に記載された光学的に変化し得る顔料;米国特許第6,132,873号明細書記載の誘電反射体;二酸化珪素または二酸化チタンで被覆された基質;および二酸化チタンまたは酸化鉄で被覆され次いで二酸化珪素で被覆された基質が含まれる。これらの特許は引用により全文が本明細書に包含される。さらにまたEngelhard Corporationから市販されているFIREMIST(R)真珠光沢顔料(硼珪酸カルシウムナトリウムおよび二酸化チタンを含んで成る);Engelhard Corporationから市販されているMAGNAPEARL(R)1000真珠光沢顔料(70〜80重量%の雲母および20〜30重量%の二酸化チタンを含んで成る);Engelhard Corporationから市販されているMAGNAPEARL(R)1100真珠光沢顔料(67〜75重量%の雲母、0.2〜2.0重量%の酸化錫、および25〜31重量%の二酸化チタンを含んで成る);Engelhard Corporationから市販されているMAGNAPEARL(R)2100真珠光沢顔料(56.5〜64.5重量%の雲母、0.2〜2.0の酸化錫、および35.5〜41.5重量%の二酸化チタンを含んで成る);およびEngelhard Corporationから市販されている板状の二酸化チタンも含まれる。
【0012】
有用な真珠光沢顔料は少なくとも二つの異なった材料または基質の配合物の上に被覆された少なくとも1種の金属酸化物を含み、該材料または基質の配合物は小板、球形、立法体、針状、ウィスカー、または繊維状の形を含む任意の形態をしている。有用な板状の材料の例には、板状の酸化アルミニウム、板状のガラス、アルミニウム、雲母、オキシ塩化ビスマス、板状の酸化鉄、板状のグラファイト、板状のシリカ、青銅、ステンレス鋼、天然真珠、窒化硼素、二酸化珪素、銅の薄片、銅合金の薄片、亜鉛の薄片、亜鉛合金の薄片、酸化亜鉛、エナメル、陶土、および磁器材料などが含まれる。上記の板状の材料の任意の組み合わせ、または少なくとも1種の上記の材料と少なくとも1種の非板状の材料との組み合わせを使用することができる。便宜上、ガラスと雲母との組合せに焦点をおいて下記に説明行うが、他の組合せを用いることもできる。雲母は、小さい被覆された薄片の存在を主たる理由とする高い透明度、強い反射性及び強いクロマ(chroma、彩度)をもっているから望ましい材料である。ガラスの薄片は高い透明度、全体としての極めて白い色、強い光の中でのきらめき効果に寄与するが、上記のように、コストが高く、また融点が高いので多くの用途には使用されていない。
【0013】
有用な球形の材料の例にはガラス、プラスティックス、セラミックス、金属、または合金が含まれ、この球形体は中身が詰まっていても又は中空でもよい。有用なガラスの球形体は米国特許第5,217,928号明細書に記載されている。この特許は引用により全文が本明細書に包含される。
【0014】
有用な立方体の材料にはガラスの立方体が含まれる。その一例として本発明では二つまたはそれ以上の層状の基質の配合物を使用する。好ましくは基質の一つは板状の酸化アルミニウムかまたは板状のガラスのいずれかである。
【0015】
個別的には、各基質は混合物の約5〜90%をなしていることができるが、配合物の大部分が一つの基質、例えば雲母から構成されていることが好ましい。さらに好ましくは配合物は少なくとも約65%の、もっと好ましくは少なくとも約75%の雲母を含んでいる。個別的には、雲母の小板およびガラスの小板の平均の粒子の大きさおよび厚さは上記の規定範囲内にある。従来法におけるようにCガラスを使用することが好ましいが、本発明においては任意の種類および形態のガラスを使用することができる。他の有用なガラスの薄片では厚さが1.0μm以下であり、軟化点は800℃以上である。
【0016】
ガラスは例えばAガラス、Cガラス、Eガラス、およびECRガラスとして分類することができる。必要とされる軟化点の特徴を満たすガラスの種類は石英ガラスおよび800℃以上の軟化点を有する他の任意のガラス組成物である。この要求を満たすガラスの薄片は例えばSchott DuranまたはSupremax型のような特殊のガラスである。軟化点はASTM C 338に従い、直径が0.55〜0.75mm、長さが23.5cmのガラスの均一な繊維の上方の10cmの部分を5℃/分の速度で加熱した場合、毎分1mmだけ長さが増加する温度として定義される。
【0017】
少なくとも二つの材料または基質の有用な混合物の例を下記表に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
ワックス
本発明のワックスは真珠光沢顔料の流動性を改善する。好ましくは、ワックスは極性基と分散基とを含んで成り、ワックスの全体的な特徴は極性よりも分散性が多いことである。好適な極性基は酸素、アミン、または酸を含む官能基を含んでいる。好適な分散基は直鎖または分岐した炭化水素、飽和または不飽和の炭化水素、およびハロゲン化された炭化水素である。分散基はσ結合を含み、これは回転することができるから真珠光沢顔料に対して容易に極性基の静電的引力を及ぼすことができる。それらの基はまた重合体に対する親和性をもっている。ワックスは好ましくは酸化された炭化水素、もっと好ましくは酸化された飽和炭化水素、さらに好ましくは酸化されたオレフィンであり、最も好ましくは酸化されたポリエチレンである。ワックスの融点はそれが混入される重合体の融点より低く、速い時期で熔融する熔融混合物によってマスターバッチの処理量を増加させる利点が得られることが好ましい。有用な酸素化されたポリオレフィン・ワックスにはポリエチレンおよびポリプロピレンが含まれる。ワックスは好ましくは組成物中に14〜約38重量%、さらに好ましくは約18〜約32重量%、最も好ましくは約25.8〜約26.5重量%の量で存在している。
【0020】
表面活性剤
好ましくは本発明の表面活性剤は極性部分および非極性の分散部分をもっている。表面活性剤の中において極性部分はエトキシル化されたアルコールを含んで成り、非極性の分散部分は炭化水素を含んで成っている。表面活性剤の極性部分は好適な真珠光沢顔料の極性をもったチタニアの表面に結合する。表面活性剤の非極性分散部分は表面活性剤を好適なポリオレフィンの中に容易に分散させ、真珠光沢顔料の極性部分が表面活性剤の極性部分に結合しているから、表面活性剤は顔料を好適なポリオレフィンの中に容易に混合させることができる。表面活性剤の分子量(Mn)は約800〜約1300の範囲である。最も好適な表面活性剤はポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α(9Z)−9−オクタデセニル−ω−ヒドロキシ−(9Cl)およびエトキシル化されたC12〜14の2級アルコールの混合物である。従って有利なことには、本発明の表面活性剤は真珠光沢顔料をさらに湿潤させる機能を果たし、マスターバッチ前駆体と重合体とを混合するのに必要なエネルギーを低下させる。表面活性剤は好ましくは組成物の約2〜6重量%、もっと好ましくは約3〜約4.5重量%、最も好ましくは約3.5〜約4.2重量%の量で存在している。有利なことにはエトキシル化されたC12〜14の2級アルコールの混合物はFDAにより食品に接触させて使用することが是認されている。Sakai,Tadao;Simultaneous Determination of Cationic Surfactants and Nonionic Surfactants by Ion Association Titration;Analytical Sciences誌;2003年9月号;第19巻;13223〜25頁には有用な滴定法が記載されている。
【0021】
本明細書において使用される「実質的に球形」と言う言葉は、光学顕微鏡で見た場合に組成物の少なくとも50%が球形をしていることを意味する。
【0022】
本発明においては、ワックス、表面活性剤、および水を含んで成るワックスの乳化液を使用することが重要であることが見出だされた。このワックスの乳化液では、表面活性剤が2種の混合しない成分、即ちワックスと水とを混合するのに必要なエネルギーを低下させ、また乳化液を安定化させる機能を果たす。好適な乳化液は平均の粒子の大きさが1ミクロンより小さい。酸化されたポリオレフィンのワックスおよび表面活性剤の乳化液はMichelman社からMICHEM(R)72040、72040M、および72040M1乳化液として入手できる。Michelman社のMICHEM(R)72040M1乳化液は60重量%の水、35重量%のワックス、および5重量%の表面活性剤を含んで成っている。Michelmanの製品に関するパンフレットには、MICHEM(R)72040は非イオン性のポリエチレン・ワックスであって、加工中の潤滑性を改善するために織物業界に有用であり、最も普通には縫針の潤滑剤として高速縫製作業中に縫針の摩耗を減少させることが記載されているが、これを本発明のような場合に使用することは示唆されていない。
【0023】
製造法
乳化液と顔料とを低剪断混合バットの中で一緒にする。乳化液対顔料の重量比は好ましくは約1.8:約1、さらに好ましくは約1.068:約1である。
【0024】
乳化液と顔料とを混合した後、脱イオン水を加えて所望の粘度にする。容器の中での混合は連続的に且つゆっくりと撹拌しながら行う。混合速度は、比較的低い剪断を生じ、スラリの中に空気が捕捉されるのを最低限度に抑制するような速度でなければならない。
【0025】
混合物はできるだけ迅速に噴霧乾燥機によって処理しなければならない。そうせずに混
合容器またはタンクの中の入れたままにしておくと、成分が析離または沈降を起こす可能性がある。アトマイザー装置により混合物を噴霧乾燥機の中に圧入する。ロータリー・ホイール・アトマイザーまたは他の液滴発生系を用いることができる。次にこの混合物を噴霧乾燥機に供給するが、この際入口温度を約200〜約360℃(約392〜約680°Fに等しい)、出口温度を約88〜約115℃(約190〜約240°Fに等しい)に保つ。噴霧乾燥機の出口温度はワックスの温度より僅かに高いので、ワックスは真珠光沢顔料の周りで流動する。
【0026】
得られる実質的に球形の組成物は、押出し機の胴部を重合体と一緒に流れる際生成物として望ましい流動特性、例えば低い剪断抵抗を与える。押出し機の処理能力も改善される。得られる乾燥混合物は約70%の真珠光沢材料を含んでいる。
【0027】
理論によって拘束されるつもりはないが、表面活性剤は重合体とマスターバッチ前駆体とを混合するために押出し機の混合相で必要なエネルギーを低下させ、従って押出し機のポンピング相(pumpingphase)で使用できるエネルギーを多く残し、また表面活性剤は少なくとも部分的に真珠光沢顔料を包み込むことによって上記の成果を達成できるものと考えられる。
【0028】
本発明は、真珠光沢顔料を120℃より高い温度で処理して重合体の中に混入する任意の方法において特に有用である。本発明の組成物はマスターバッチをつくるのに使用される任意の重合体の中に押出して混入することができる。有用な無定形重合体には、ポリスチレン、スチレン−マレイン酸無水物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、スチレン−アクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニルオキシド、ポリアリーレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミン、ポリフェニレンスルフィド、およびポリアミド−イミドが含まれる。有用な結晶性の重合体には、低密度および高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、およびポリプロピレンを含むポリオレフィン;ポリオキシメチレン;ナイロン6、ナイロン6/6、およびナイロン4/6を含むナイロン;ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートを含むポリエステル、ポリフタルアミド、含フッ素重合体、およびポリエーテルエーテルケトンが含まれる。
【0029】
本発明の組成物は、組成物の全重量に関し少なくとも約25重量%の真珠光沢顔料を含むマスターバッチを製造するのに十分な量で、重合体のマスターバッチ調合物に有利に使用することができる。特に本発明のマスターバッチ前駆体は、全組成物に関し少なくとも約35重量%の真珠光沢顔料を含むマスターバッチをつくるのに十分な量でマスターバッチの重合体の中に混入される。
【0030】
用途
マスターバッチは、典型的には吹込み成形、射出成形、または押出し法によって顔料を含んだ仕上げ部品をつくるために相溶性をもった未使用の(virgin)重合体の中に混入される。その例には化粧品および個人用の手入れ製品の容器、例えば顔のマスク(facial mask)、紫外線保護用ローション、液体石鹸、乳児用のオイル、および抗微生物製品を含む皮膚の手入れ用の製品の容器;シャンプー、コンディショナー、スプレーまたは固定液および着色剤を含む髪の手入れ用品の容器;マニキュア液、マスカラ、アイシャドー、および香料を含むメークアップ製品の容器;髭剃り用クリームの容器;消臭剤の容器;歯の手入れ用製品の容器;洗濯用洗剤の瓶;食品および飲料の容器;玩具;櫛;医薬品包装用フィルム;および食品包装用フィルムが含まれる。
【0031】
分析試験法
融点は示差走査型熱量計法(DSC)および熱重量分析法(TGA)によって決定した
。DSCに対してはPerkin−Elmer社から市販されているアルミニウムの試料皿を使用した。2.2〜2.4mgの重さの試料を試料皿の中に入れた。皿の上に蓋をかぶせ、次いで蓋をかしめた(crimp)。Perkin−Elmer社のDSC7 Compensation Typeを使用した。窒素は25ml/分の割合で使用した。周囲温度から200℃まで1秒の間隔を置いて10℃/分の速度で試料を加熱した。
【0032】
TGAに対しては、Perkin−Elmer社から市販されている大きな白金の平皿を用いた。皿の中に4.4〜4.5mgの重さの試料を入れた。Shimadzu TGA50を使用した。窒素は毎分30mlの割合で使用した。周囲温度から300℃まで2秒の間隔をおいて20℃/分の速度で試料を加熱した。
【0033】
ガスクロマトグラフ−質量分光法は次のようにして行った。試料をThermexTMのパイロセル(pyrocell)の中に入れ、ヘリウムを流しながら毎分10℃の速度で230℃まで加熱し、230℃に10分間保つ。流出した排ガスを約150℃において低温セルに捕集した。熱分解加熱サイクルを行った後、低温セル(cryocell)の温度を段階的に300℃に上げ、捕集された検体をGCのカラム(Varian CP−Sil 5 CB 汎用カラム、30mX0.32mmX10m)の中に放出させた。次にGC(HP6890)の炉を毎分10℃の速度で室温から290℃の温度に加熱した。質量スペクトルはGCの炉の加熱サイクル全体に亙ってLECO Pegasus II
TOF−MSユニットで測定した(collected)。毎秒20個のスペクトルの採取速度で5〜300の間のすべての質量を調べた。
【0034】
灰化または燃焼による損失は次のようにして決定した。1〜2gの試料を磁器の坩堝の中に入れ、次にこれを900℃に設定した炉の中に入れた。1時間後、試料を炉から取出してデシケーターの中に入れ、室温に冷却した。試料の入った坩堝を秤量した。燃焼による損失(LOI)は次式で計算した:%LOI=坩堝の重量+((W−W)/(W−W))x100。ここで W=燃焼後の坩堝の重量+試料の重量(g単位)、W=燃焼前の坩堝の重量+試料の重量(g単位)、W=燃焼後の空の坩堝の重量(g単位)である。
【0035】
下記の対照例および本発明の実施例はマスターバッチ前駆体およびその製造法に対するものである。
【実施例】
【0036】
(対照例A)
対照例AはMerckのIRIODIN(R)WM8真珠光沢顔料であった。上記非特許文献2には、IRIODIN(R)WM8顔料は70%の真珠光沢をもった顔料(二酸化チタンで被覆された雲母)および30%の低分子量重合体を含んで成っていることが記載されている。対照例AのGCMSを図1に示す。この結果は炭化水素基の存在を示している。表面活性剤は典型的には極性基をもっており、対照例Aは極性基、例えば−NH、−COOH、−COC−、または−COHをもっていないから、対照例Aは表面活性剤を含んでいない。対照例AのDSCを図2に示す。
【0037】
この製品を光学顕微鏡で観察した。光学顕微鏡によれば、倍率200倍の図4(a)および倍率500倍の図4(b)において示されているように得られた殆どすべての生成物は球形ではなかった。その代わりこの材料は凝集した塊の形をしている。粒子の平均直径は約10〜約180ミクロンであり、大部分の粒子の平均粒径は約20〜約120ミクロンであった。
【0038】
(対照例B)
対照例Bは35重量%の低密度ポリエチレン(融点160℃、Union Carbide Corporation製)および65重量%の顔料(Engelhard Corporation製、MAGNAPEARL(R)2100顔料)を含んで成り、下記のようにしてつくった。表面活性剤は存在させなかった。
【0039】
525gの低密度ポリエチレンおよび975gの顔料を容量が3.5ポンドのBanbury混合機に加えた。300〜385°F(約149〜187℃)で14分間混合を続けた。複合体を取出し、室温に冷却し、約1インチの立方体に切断し、次いで回転ナイフ型造粒機の中で摩砕して直径が4mmを越えない粒子にした。
【0040】
(対照例C)
対照例Cは35重量%のエチレン−アクリル酸共重合体ワックス(Honeywell
Inc.製、A−C(R)5120)および65重量%の顔料(MAGNAPEARL(R)2100顔料、Engelhard Corporation製)を含んで成っており、下記方法で製造した。表面活性剤は存在させなかった。
【0041】
525gのエチレン−アクリル酸共重合体および975gの顔料を容量3.5ポンドのBnbury混合機に加えた。190〜222°F(約88〜約106℃)において11分間混合を続けた。
【0042】
この混合物は砕け易い硬度をもち、粒状化する前に切断を行う必要がなかった。対照例Bに記載された造粒機を使用したが、4mmの孔が半固体のワックスで詰まる前までに粒状化した生成物は1000gしか得られなかった。この半固体のワックスの融点は92℃であり、装置が摩擦により加熱されることにより融解し始めるほど十分に低かった。
【0043】
(対照例D)
対照例Dは35重量%のポリエチレン・ワックス(Honeywell Inc.製、AC(R)725単独重合体)および65重量%の顔料(Engelhard Corporation製、MAGNAPEARL(R)2100顔料)を含んで成っており、下記のようにして製造した。表面活性剤は存在させなかった。
【0044】
525gのポリエチレン・ワックスおよび975gの顔料を250°F(約121℃)に設定した容量3.5ポンドのBanbury混合機に加え、100RPMで完全に熔融させた。最後のバッチを9分間撹拌した。このワックスの融点は110℃であった。この混合物は砕け易い硬度をもち、粒状化する前に切断する必要はなかった。次いでこの生成物を回転ナイフ型造粒機の中で粒状にし、摩砕して自由流動性をもった塵埃を発生しない粉末にした。
【0045】
[実施例1]
700gの顔料、750gの固体分40%の乳化液、および1883gの蒸留水の混合物をプラスティックスのバケツに加えた。使用した顔料はEngelhard Corporation社製のMAGNAPEARL(R)2100顔料であり、56.5〜64.5重量%の雲母、0.2〜2.0重量%の酸化錫、および35.5〜41.5重量%の二酸化チタンを含んで成っていた。上記乳化液は約96.3重量パーセントの酸化ポリエチレンワックスと3.7重量%のポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(9Z)−9−オクタデセニル−ω−ヒドロキシ−(9Cl)を含む、Michelman社のMICHEM(R)72040乳化液であった。発泡を避けるために低速でこの混合物を45分間機械的に撹拌した。
【0046】
ぜん動(peristaltic)ポンプによりこのスラリを350℃に予熱したNI
RO回転円板型噴霧乾燥機の供給ポートに加え、添加を始めたらそれ以上撹拌することはしなかった。80分の操作時間の間乾燥機の入口温度を350℃、出口温度を110℃に保った。このユニットの設定値2に保たれた空気圧により円板を回転させた。噴霧乾燥の間水が蒸発した。全部で581gの乾燥生成物を捕集した。熱分析によって有機部分は生成物の29.9%をなし、融点は106℃であることが決定された。本発明の実施例1のマスターバッチ前駆体のGCMSを図3に示す。この結果は表面活性剤の存在を示している。
【0047】
本発明の実施例1の方法と同様にして製造された生成物を光学顕微鏡で観察した。光学顕微鏡によれれば倍率200倍の図5(a)および倍率500倍の図5(b)に示されているように、得られた生成物の殆ど全部が球形であった。平均粒径は約8〜約120ミクロンであり、大部分の粒子の平均粒径は約24〜約60ミクロンであった。
【0048】
[実施例2]
上記の本発明の実施例1を繰り返したが、スラリに対して1050gの水を用いた。620gの乾燥生成物を捕集した。
【0049】
本発明の実施例1および2から得られる生成物及び対照例Aの顔料をそれぞれ20〜325メッシュの範囲の一連の7個の篩にかけた。上記の粒子の大きさの範囲に入る各試料の割合を下記データの表に示す。本発明の実施例2の生成物は粒径分布が狭いことが観測された。粒径はミクロン単位である。下記表1のデータは各範囲に入る試料の百分率である。
【0050】
【表2】

【0051】
(対照例E)
上記本発明の実施例2を繰り返したが、438gのポリエチレン乳化液だけを使用した。生成物中のワックス含量の理論値は20.0%であった。
【0052】
[実施例3]
上記本発明の実施例2を繰り返したが、Michelman社のMICHEM(R)72040乳化液の代わりにMichelman社のMICHEM(R)72040M乳化液を用いた。本発明の実施例3のDSCを図2に示す。
【0053】
[実施例4]
上記本発明の実施例2を繰り返したが、Michelman社のMICHEM(R)72040乳化液の代わりにMichelman社のMICHEM(R)72040M1乳化液を用いた。本発明の実施例4のDSCを図2に示す。
【0054】
[実施例5]
30馬力、250ガロンのCowles溶解機を用いた。バッチ1では、使用した顔料
はEngelhard Corporation製のMAGNAPEARL(R)2100顔料であり、56.5〜64.5重量%の雲母、0.2〜2.0重量%の酸化錫および35.5〜41.5重量%の二酸化チタンを含んで成っていた。Cowlesタンクの中で混合機を作動させながら顔料を脱イオン水の中に加えた。乳化液は固体分含量が約96.3重量%の酸化されたポリエチレン・ワックスと3.7重量%のC12〜C14の第二級アルコールエトキシレートから成り、Michelman社のMICHEM(R)72040M1乳化液であった。この乳化液を雲母のスラリに加えた。雲母のスラリは乳化液に加える前には極端に粘稠であったから、バッチ2および3では雲母のスラリに加える前に乳化液を水に加えた。使用した成分の割合を下記表2に示す。
【0055】
【表3】

【0056】
Cowlesタンクから空気隔膜ポンプを使用して125ガロンの非撹拌式乾燥機の供給タンクへ圧入を行った。またぜん動ポンプを用いて乾燥機のアトマイザーに供給を行った。Niroの12フィートの乾燥機で乾燥した。噴霧乾燥の間水が蒸発する。目標温度は入口で400°F、出口で205°F、であった。250ガロンのパンチが125ガロンの乾燥機の供給タンクに移って空になった後、新しいバッチをつくった。この方法により乾燥工程を中断することなく行うことができる。操作中目標とする乾燥条件を変化させなかった。プラスティックスのライニング材を取付けた55ガロンの鋼製のドラムの中に乾燥生成物を集めた。
【0057】
この操作で1,063kgの自由流動性の粉末を得た。これはバッチに導入した材料に対し96%の理論的収率であった。全乾燥時間は9時間であった。平均の製造速度は毎時260ポンドであり、平均の水の蒸発速度は毎時389ポンドであった。
【0058】
下記の対照例および本発明の実施例はマスターバッチおよびその製造法に対するものである。
【0059】
[本発明の実施例6および対照例FおよびG]
反対方向に回転する34mmのL/Dが24:1のPVC型二重スクリューを取付けたLeistritz AG製の形式LSM 34 GG押出し機を用い、上記対照例Aまたは対照例E、或いは上記本発明の実施例2の生成物を低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂の中に押出して25%の顔料を含むマスターバッチをつくった。4.5kgのマスターバッチ前駆体を使用した。かくしてマスターバッチ前駆体は1.61kgの対照例Aまたは対照例E、或いは本発明の実施例2の生成物および2.86kgのLDPEを含んでいた。またマスターバッチ前駆体は45gのWitco鉱油を含んでいた。
【0060】
押出し機は毎分200回転(RPM)の一定のスクリュー速度、12アンペアの一定のトルク速度で操作し、マスターバッチおよびLDPE樹脂の予備混合した配合物を不足勝
ちに供給した。押出された生成物の処理量を計算し、約45分間操作した際のストランドの切断回数を記録した。各操作(一つの操作の中で著しく変化した場合は操作の各部分)に対し押出し機の内部の背圧並びに押出し機のダイス型の温度も記録した。関連する実験に対する処理量およびストランドの切断回数の結果を下記表3に示す。ここでマスターバッチはMB、本発明の実施例は単に実施例と略記した。
【0061】
【表4】

【0062】
処理量は単位時間当たりに押出された生成物の量である。この結果は、対照例Fのマスターバッチの中に対照例Aのマスターバッチ前駆体を使用した場合に比べ、本発明の実施
例6のマスターバッチの中に本発明の実施例2のマスターバッチ前駆体を使用した場合の方が、有利にも高い処理量を与えることを示している。また対照例Fのマスターバッチは切断し、そのため押出し機から切断機へと手動で供給を行う必要があるという欠点をもっている。このようなストランドの切断は不均一なマスターバッチによるものと考えられる。本発明においては予想外にも、押出し機のダイス型温度と本発明の実施例6のマスターバッチの処理量との間には直接的な関係があることが見出だされた。しかし、対照例Fのマスターバッチに対しては165〜253℃の押出し機のダイス型温度の全範囲に亙りこのような関係は観測されなかった。
【0063】
また上記の結果は、高い押出し機の処理速度を得るためには、20重量%のワックスを用いた場合(対照例G)に比べ、20重量%より多いワックスを用いる(本発明の実施例6)ことが重要でることを示している。
【0064】
(対照例H)
上記本発明の実施例6に記載した押出し機を使用し、上記対照例Bのマスターバッチ前駆体をLDPEの中に供給し、25%の顔料を含むマスターバッチをつくった。押出し機は上記本発明の実施例6と同様な条件で操作した。25%の顔料を含むマスターバッチにおいて切断は起こらず、3、15分における処理速度は58.5、71.4、および70.1g/分であった。
【0065】
この結果は、対照例Hのマスターバッチに比べ、本発明の実施例6のマスターバッチは有利なことに上記表2に記載したような高い処理速度を与え、従ってこの驚くべき結果は表面活性剤を含んだ本発明によって達成されることを示している。
【0066】
(対照例I)
上記本発明の実施例6に記載した押出し機を使用し、上記対照例Cのマスターバッチ前駆体をLDPEに供給し25%の顔料を含むマスターバッチをつくった。この押出し機を160〜175℃という低い温度で60〜110psiの範囲の背圧において操作した。スクリューに対する電流量は所望の12.0アンペアに保つことはできなかったが、押出し機の供給部の狭い区域でワックスが早い内に熔融するのを避けるために供給速度を低下させる必要があったため、この電流量は最高で10.5アンペアであった。この25%の顔料を含むマスターバッチではストランドが何回も切断した。処理速度は100.4、102.5および100.7g/分であると計算された。
【0067】
これらの結果は、対照例Iのマスターバッチに比べ、有利なことには本発明の実施例6のマスターバッチが上記表3に記載したような高い処理速度を与え、従ってこの驚くべき結果は表面活性剤を含んだ本発明によって達成されることを示している。
【0068】
また本発明の実施例6のマスターバッチは切断を起こさなかったが、対照例Iのマスターバッチは切断を起した。
【0069】
(対照例J)
上記本発明の実施例6に記載した押出し機を使用し、上記対照例Dのマスターバッチ前駆体をLDPEに供給し25%の顔料を含むマスターバッチをつくった。この押出し機を166〜206℃の温度で操作した。この25%の顔料を含むマスターバッチに対しては少なくとも10本のストランドの切断が記録され、また順次3回に亙る期間の間の処理速度は104.9、96.3、および88.8g/分であると計算された。
【0070】
これらの結果は、対照例Jのマスターバッチに比べ、有利なことには本発明の実施例6のマスターバッチが上記表3に記載したような高い処理速度を与え、従ってこの驚くべき
結果は表面活性剤を含んだ本発明によって達成されることを示している。また本発明の実施例6のマスターバッチは切断を起こさなかったが、対照例Jのマスターバッチは切断を起した。
【0071】
[実施例7]
上記本発明の実施例6に記載した押出し機を使用し、本発明の実施例3のマスターバッチ生成物をLDPE樹脂の中に押出して25%の顔料を含むマスターバッチをつくった。
【0072】
[実施例8]
上記本発明の実施例6に記載した押出し機を使用し、本発明の実施例4のマスターバッチ生成物をLDPE樹脂の中に押出し25%の顔料を含むマスターバッチをつくった。
【0073】
[実施例9]
上記本発明の実施例6に記載したのと同様な押出し機を使用し、本発明の実施例1のマスターバッチ前駆体をポリプロピレンに供給し43.5%の顔料を含むマスターバッチをつくった。3.1kgのマスターバッチが3.5分でつくられた。
【0074】
[実施例10]
上記本発明の実施例6に記載したのと同様な押出し機を使用し、本発明の実施例1のマスターバッチ前駆体をポリスチレンに供給し43.5%の顔料を含むマスターバッチをつくった。1.25kgのマスターバッチが2分でつくられた。
【0075】
[実施例11]
上記本発明の実施例6に記載した押出し機を使用し、本発明の実施例5のマスターバッチ前駆体をLDPE樹脂の中に供給し25%の顔料を含むマスターバッチをつくった。このマスターバッチ前駆体は1.61kgの本発明の実施例5の生成物および2.89kgのLDPE樹脂を含んでいた。このマスターバッチはまた45gのWitco鉱油を含んでいた。押出し条件を下記表4に示し、処理速度のデータを下記表5に示す。
【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

【0078】
これらの結果は、対照例Fのマスターバッチの中に対照例Aのマスターバッチ前駆体を用いた場合に比べ、本発明の実施例11のマスターバッチの中に本発明の実施例5のマスターバッチ前駆体を用いた場合の方が高い処理速度を与えるのに有利なことを示している。また対照例Fのマスターバッチは切断し、そのため押出し機から切断機へと手動で供給を行う必要があるという欠点をもっている。このようなストランドの切断は不均一なマスターバッチによるものであると考えられる。本発明においては予想外にも、押出し機のダイス型温度と本発明の実施例11のマスターバッチの処理量との間には直接的な関係があることが見出だされた。
【0079】
[実施例12]
上記本発明の実施例6に記載した押出し機を使用し、本発明の実施例5のマスターバッチ前駆体をLDPE樹脂の中に押出して供給し35%の顔料を含むマスターバッチをつくった。このマスターバッチ前駆体は0.750kgの本発明の実施例5の生成物および0.750kgのLDPE樹脂を含んでいた。このマスターバッチはまた15gのWitco鉱油を含んでいた。押出し条件を下記表6に示し、処理速度のデータを下記表7に示す。
【0080】
【表7】

【0081】
【表8】

【0082】
上記表6においては、第2の供給ポートが熔融した混合物でオーバーフローしたためストランドの切断が起こった。その前には切断は起こらなかった。押出し機の作業員によれば、実際の最高処理速度を越えていた。
【0083】
(対照例K)
上記本発明の実施例6に記載した押出し機を使用し、上記対照例Aのマスターバッチ前駆体をLDPE樹脂の中に供給し35%の顔料を含むマスターバッチをつくった。ストランドは23回切断し、従ってこの組成物は使用できなかった。
【0084】
(実施例13および対照例L)
本発明の実施例5の生成物を本発明の実施例13に対して使用し、対照例Aを対照例Lに対する原料として使用した。押出し機は50mmの一緒に回転する二重スクリュー押出し機であった。垂直の二重スクリュー・タンクから供給を行った。押出し物を10本の3mmのストランドにした。押出し物を15フィートの水浴中で冷却した後、直列につないだ2個の空気乾燥機によって乾燥した。次に押出し物のストランドを約30馬力のペレット化機に供給した。ペレットにした後、材料を篩にかけて細かい部分を除去した。ポリエチレン樹脂の粉末を使用した。11個のすべての区域に対する区域温度は150℃であった。ダイス型の温度は175℃であった。結果を下記表8に示す。
【0085】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】対照例AのGCMS。
【図2】対照例A、本発明の実施例3、および本発明の実施例4ののDSC。
【図3】本発明の実施例1のGCMS。
【図4】対照例Aの光学顕微鏡像。
【図5】本発明の実施例1と同様なマスターバッチ前駆体の光学顕微鏡像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約60〜約80重量%の真珠光沢をもった顔料、
(b)約14〜約38重量%のワックス、および
(c)約2〜約6重量%の表面活性剤を含んで成ることを特徴とする実質的に球形の組成物。
【請求項2】
該ワックス(b)は分散性の基をもっていることを特徴とする請求項1記載の実質的に球形の組成物。
【請求項3】
該ワックス(b)は酸化されていることを特徴とする請求項1記載の実質的に球形の組成物。
【請求項4】
該酸化されたワックスは酸化された炭化水素であることを特徴とする請求項3記載の実質的に球形の組成物。
【請求項5】
該酸化された炭化水素は酸化されたポリオレフィンであることを特徴とする請求項4記載の実質的に球形の組成物。
【請求項6】
該酸化されたポリオレフィンは酸化されたポリエチレンまたは酸化されたポリプロピレンであることを特徴とする請求項5記載の実質的に球形の組成物。
【請求項7】
該表面活性剤(c)はポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α(9Z)−9−オクタデセニル−ω−ヒドロキシ−(9Cl)およびエトキシル化されたC12〜14の2級アルコールの混合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の実質的に球形の組成物。
【請求項8】
請求項1記載の実質的に球形の組成物を含んで成るマスターバッチ。
【請求項9】
真珠光沢をもった顔料と、ワックス、表面活性剤、および水を含んで成る乳化液とを一緒にし;
該一緒にした材料を噴霧乾燥して該実質的に球形の組成物をつくる段階を含んで成ることを特徴とする請求項1記載の実質的に球形の組成物を製造する方法。
【請求項10】
(a)重合体と、真珠光沢をもった顔料、ワックス、および表面活性剤を含んで成る実質的に球形の組成物とを一緒にし;
(b)該一緒にした材料を押出してマスターバッチをつくる段階を含んで成ることを特徴とする押出し機の処理速度を増加させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【公表番号】特表2007−514020(P2007−514020A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541715(P2006−541715)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039583
【国際公開番号】WO2005/052076
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(591044371)エンゲルハード・コーポレーシヨン (43)
【氏名又は名称原語表記】ENGELHARD CORPORATION
【Fターム(参考)】