説明

ワークの処理システムおよび処理モジュール

【課題】複数の処理モジュールにより構成されたワークの処理システムにおいて、モジュールの配列状態を自動的に認識することができるワークの処理システムおよび処理モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の処理モジュール3〜7と双方向で通信可能な通信線15を介して接続された上位コンピュータ2とを備えたワークの処理システム1において、各々の処理モジュールに上位コンピュータ2から出力された特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する信号出力部と、隣接する他の処理モジュールの信号出力部から出力された所定の信号を信号線16b〜16eを介して受信してこの受信結果を上位コンピュータへ出力可能な信号受信部とを備え、この受信結果を通信線15を介して確認した上位コンピュータ2が当該処理モジュールを識別するための識別コードを読み取りることにより、各処理モジュールを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを対象とする所定の作業処理を複数の処理モジュールによって行うワークの処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々のワークを対象として行われる各種の作業処理は、一般に複数の処理モジュールを組み合わせて構成された自動化設備によって自動的に実行される。例えば、ワークが臨床検査分野で用いられる検体ラックである検体処理システムの例では、処理モジュールとして検体ラックの搬送処理を実行する搬送モジュールや、搬送された検体ラックを対象として分注などの特定作業を実行する作業モジュールなど、種々の作業形態・機能を有する処理モジュールが組み合わせて使用される(特許文献1参照)。
【0003】
このような処理システムを構成する処理モジュールは相互に連係して動作する必要があるため、各作業モジュールはネットワークを介して接続されて全体としてシステムを構成し、このシステムは制御装置によって制御される(例えば特許文献2参照)。特許文献2に示す例では、複数の装置が伝送ネットワークに伝送ポートを介して接続され、システム全体を管理するシステム制御装置は、伝送ポートの構成情報とネットワーク接続情報を収集することにより、システム内の全装置の接続状態、伝送ポートの構成を管理するようにしている。
【特許文献1】特開平11−148940号公報
【特許文献2】特開平9−81226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1に示す先行技術例を含む処理システムにおいては、予め想定されたモジュール配置に基づいてワークの搬送順序がプログラムされる。このため、ワークを所定順序で搬送しながらこのワークに対して順次作業を実行する形態の処理システムでは、システム全体の動作制御において、各処理モジュールの物理的な位置関係を制御装置に正確に認識・記憶させる必要がある。ところが上述の特許文献2に示す先行技術例のように、システム全体の構成要素をネットワークで接続するのみでは、システム構成は把握できるものの各構成要素の相互の物理的な位置関係は自動的には認識できない。このため、システムを新たに構成する度に、従来は個別要素の配置を示すデータを作業者がホストコンピュータなどに入力する必要があった。この入力操作は手間を要する繁雑な作業であり省力化が望まれるとともに、作業者が錯誤により誤入力した場合には正しい動作制御が確保されず、マシントラブルやワークの破損などのおそれが排除できなかった。
【0005】
そこで本発明は、複数の処理モジュールにより構成されたワークの処理システムにおいて、モジュールの配列状態を自動的に認識することができるワークの処理システムおよび処理モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワークの処理システムは、複数の処理モジュールと、各々の処理モジュールと双方向で通信可能な通信手段を介して接続された上位コンピュータとを備え、相隣接する前記処理モジュールの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行うワークの処理システムであって、前記各々の処理モジュールは、特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する信号出力部と、隣接する他の処理モジュールの前記信号出力部と前記通信手段とは別系統に設けられた信号線を介して接続され、この信号出力部から出力され
た前記所定の信号を受信してこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備え、前記上位コンピュータは、各処理モジュールの識別コード記憶部に記憶された前記識別コードを前記通信手段を介して読み取る識別コード読み取り部と、任意の処理モジュールの前記信号出力部へ前記特定のコマンドを前記通信手段を介して出力するコマンド出力部と、各処理モジュールの前記信号受信部の前記受信結果を前記通信手段を介して確認する受信確認部と、前記特定のコマンドの出力の対象となった任意の処理モジュールの識別コードと、この任意の処理モジュールの前記信号出力部から出力された前記所定の信号を受信したことが確認された処理モジュールの識別コードとを、処理モジュールの配列状態の検索結果を示す処理モジュール配列検索データとして表示する表示部とを備えた。
【0007】
また本発明のワークの処理システムは、複数の処理モジュールと、各々の処理モジュールと双方向で通信可能な通信手段を介して接続された上位コンピュータとを備え、相隣接する前記処理モジュールの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行うワークの処理システムであって、前記複数の処理モジュールは、前記ワークの受け渡し態様の差異によって区分された第1処理モジュールと第2処理モジュールとを含み、第1処理モジュールは少なくとも他の1つの第1処理モジュール並びに少なくとも1つの第2処理モジュールとの間でワークを受け渡しが可能であり、第2モジュールは隣接する1つの第1処理モジュールとの間でのみワークの受渡しが可能であり、前記第1処理モジュールは、特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する1つの第1信号出力部並びに少なくとも1つの第2信号出力部と、隣接する他の第1処理モジュールの第1信号出力部と前記通信手段とは別系統に設けられた第1信号線を介して接続され、この第1信号出力部から出力された前記所定の信号を受信してこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備え、前記第2処理モジュールは、隣接する第1処理モジュールの前記第2信号出力部と前記通信手段とは別系統に設けられた第2信号線を介して接続され、この第2信号出力部から出力された前記所定の信号を受信してこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備え、前記上位コンピュータは、第1処理モジュールおよび第2処理モジュールの前記識別コード記憶部に記憶された識別コードを前記通信手段を介して読み取る識別コード読み取り部と、任意の第1処理モジュールの第1信号出力部または第2第信号出力部へ前記特定のコマンドを前記通信手段を介して出力するコマンド出力部と、第1処理モジュールおよび第2処理モジュールの前記信号受信部の受信結果を前記通信手段を介して確認する受信確認部と、前記特定コマンドの出力の対象となった任意の第1処理モジュールの識別コードと、この任意の第1処理モジュールの第1信号出力部または第2信号出力部から出力された前記所定の信号を受信したこと確認がされた第1処理モジュールまたは第2処理モジュールの前記識別コードを、処理モジュールの配列状態の検索結果を示す処理モジュール配列検索データとして表示する表示部とを備えた。
【0008】
本発明のワークの処理モジュールは、双方向で通信可能な通信手段で接続された上位コンピュータからの指令により、隣接する2以上の他の処理モジュールとの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行う処理モジュールであって、特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する複数の信号出力部と、隣接する他の1つの処理モジュールの前記信号出力部と前記通信手段とは別系統に設けられた信号線を介して接続され、この信号出力部から出力された前記所定の信号を受信してこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備え、前記複数の信号出力部は、隣接する別の複数の処理モジュールの前記信号受信部に信号線を介して
接続可能である。
【0009】
また本発明のワークの処理モジュールは、上記発明の処理モジュールに接続され、双方向で通信可能な通信手段で接続された上位コンピュータからの指令により、前記処理モジュールとの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行う処理モジュールであって、前記通信手段とは別系統に設けられた信号線を介して前記処理モジュールの前記複数の信号出力部のうちの1つと接続され、この信号出力部から出力された前記所定の信号を受信してこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の処理モジュールと双方向で通信可能な通信手段を介して接続された上位コンピュータとを備えたワークの処理システムにおいて、各々の処理モジュールに、上位コンピュータから出力された特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する信号出力部と、隣接する他の処理モジュールの信号出力部から出力された所定の信号を受信してこの受信結果を上位コンピュータへ出力可能な信号受信部とを備え、この受信結果を通信手段を介して確認した上位コンピュータが当該処理モジュールを識別するための識別コードを読み取る構成を採用することにより、複数の処理モジュールにより構成されたワークの処理システムにおいて、処理モジュールの配列状態を自動的に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1のワークの処理システムの構成を示す斜視図、図2は本発明の実施の形態1のワークの処理システムの制御系の構成を示すブロック図、図3は本発明の実施の形態1のワークの処理システムにおける処理モジュールのレイアウト設定情報および処理モジュール配列検索データを示す説明図、図4,図5は本発明の実施の形態1のワークの処理システムにおけるレイアウト自動認識処理を示すフロー図、図6は本発明の実施の形態1のワークの処理システムにおける処理モジュールの位置関係の整合性判断データを示す説明図である。
【0012】
まず図1を参照して、ワークの処理システム1の構成を説明する。ワークの処理システム1は、創薬スクリーニングや医学研究分野などにおいて、ワークとしてのマイクロプレート11に収納された検体を対象として生化学的な試験や分析などの作業を行うために用いられるものである。ワークの処理システム1は、処理モジュール3、4、5、6、7を直列に連結した処理ラインに、上位コンピュータ2を付属させた構成となっている。
【0013】
この処理ラインにおいて、処理モジュール3、4、5、6、7は、上位コンピュータ2の配列位置を起点とし、ワーク搬送方向(X方向)に沿った配列位置を連番で示すレイアウト番号[1]、[2]、[3]、[4]、[5]に対応している。各処理モジュールには、それぞれ当該処理モジュールを他と識別するための固有の識別コードが設定されており、これらの識別コードをレイアウト番号と対応させることにより、ワークの処理システム1における各処理モジュールの配列が特定される(図3参照)。
【0014】
上位コンピュータ2はワークの処理システム1全体を統括して制御する機能を有しており、制御処理機能を内蔵した基台2a上にキーボード8などの入力手段および表示パネル9を配置した構成となっている。キーボード8は、ワークの処理システム1を稼動させるための各種の操作コマンドやデータを入力する際に用いられ、表示パネル9は操作入力時の案内画面や後述する処理モジュール配列検索結果や整合性判断データの表示など、各種
の表示を行う。処理ラインの両端部に位置する処理モジュール3、7は、いずれも同一の構成を有するプレートスタッカであり、基台3a、7aの上面には、複数のマイクロプレート11を段積み状態で収納するプレートスタッカ10が配置されている。
【0015】
処理モジュール4、5、6はそれぞれ同一外形で機能が異なる処理モジュールであり、それぞれ基台4a、5a、6aの上面に配置された機能部をカバー部4c、5c、6cで覆った構造となっている。カバー部4c、5c、6cにはそれぞれ開閉式の扉4b、5b、6bおよび表示盤12が設けられており、扉4b、5b、6bを開放することにより、処理モジュール4、5、6の内部へのアクセスが可能となっている。
【0016】
処理モジュール6は分注モジュールであり、基台6a上にはマイクロプレート11を搬送するためのプレート搬送機構13がワーク搬送方向(X方向)に配設されている。プレート搬送機構13は処理モジュール4,5にも設けられており、これらのプレート搬送機構13を直列に連結することにより、マイクロプレート11を搬送する搬送ラインが構成される。処理モジュール7のプレートスタッカ10から取り出されたマイクロプレート11は、この搬送ラインによって処理モジュール6内に搬入され、ここで処理モジュール6に設けられた分注機構14によってマイクロプレート11を対象として分注作業が実行される。分注後のマイクロプレート11は、搬送ラインによってインキュベータモジュールである処理モジュール5に搬入され、ここで所定環境条件下で保持される。
【0017】
処理モジュール5から取り出されたマイクロプレート11は計測モジュールである処理モジュール4に渡され、ここでマイクロプレート11を対象として所定項目について計測作業が実行される。これら一連の作業が完了したマイクロプレート11は、処理モジュール4から取り出された後に処理モジュール3のプレートスタッカ10に回収される。なお上記説明では、マイクロプレート11が処理モジュール7から処理モジュール3へ搬送される動作例を示したが、処理プロセスの内容によってはマイクロプレート11の搬送方向は一定ではなく、往復動や折り返しを含む不規則な搬送パターンが設定される場合がある。
【0018】
ここで上位コンピュータ2は、処理モジュール3、4、5、6、7と双方向の通信が可能な通信手段を介して接続されている。通信手段としては、有線タイプ、無線タイプのいずれも採用することができる。本実施の形態の通信手段は、通信線15(図2参照)を使用した有線タイプのローカルエリアネットワークである。すなわち、ワークの処理システム1は複数の処理モジュールと、各々の処理モジュールと双方向で通信可能な通信手段を介して接続された上位コンピュータ2とを備え、相隣接する処理モジュールの間でワークであるマイクロプレート11を受け渡しながらマイクロプレート11に対して所定の処理(ここではマイクロプレート11に収納された検体を対象とする生化学的処理)を行う機能を有している。
【0019】
次に図2を参照して、ワークの処理システム1の制御系の構成を説明する。図2に示すように、処理モジュール3は通信部31、識別コード記憶部32、信号出力部33、信号受信部34を備えている。同様に、処理モジュール4は通信部41、識別コード記憶部42、信号出力部43、信号受信部44を、処理モジュール5は通信部51、識別コード記憶部52、信号出力部53、信号受信部54を、処理モジュール6は通信部61、識別コード記憶部62、信号出力部63、信号受信部64を、また処理モジュール7は通信部71、識別コード記憶部72、信号出力部73、信号受信部74をそれぞれ備えている。
【0020】
上位コンピュータ2の通信部21、各処理モジュールの通信部31、通信部41、通信部51、通信部61、通信部71は、それぞれが通信線15を介して相互に接続されている。これにより、ワークの処理システム1を構成する各処理モジュールおよび上位コンピ
ュータ2は、相互に双方向の通信が可能となっている。さらに信号出力部33と信号受信部44は、通信線15とは別系統に設けられた信号線16bで接続されており、信号出力部33から信号受信部44へ信号の伝達を直接行うことが可能となっている。信号出力部33から出力された信号が信号受信部44によって受信されたことを確認することにより、処理モジュール3と処理モジュール4とが相互に隣接する位置関係にあることが認識される。
【0021】
同様に、信号出力部43と信号受信部54、信号出力部53と信号受信部64および信号出力部63と信号受信部74は、それぞれ通信線15とは別系統に設けられた信号線16c、16d、16eによって接続されており、前述と同様にそれぞれの信号受信部によって信号が受信されたことを確認することにより、処理モジュール4と処理モジュール5、処理モジュール5と処理モジュール6および処理モジュール6と処理モジュール7とが相互に隣接する位置関係にあることが認識される。
【0022】
通信部31、41,51,61,71は、通信線15を介して上位コンピュータ2および他の処理モジュールとの間でデータの授受を行う。識別コード記憶部32、42,52,62,72は、当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための固有の識別コードを記憶する。信号出力部33、43,53,63,73は、上位コンピュータ2から通信線15を介して送信される特定のコマンドに応答して所定の信号、すなわち前述の位置関係を認識するための信号を出力する機能を有している。ここで特定のコマンドとは、上述の位置関係を認識するための信号の出力を指令するコマンドである。本実施の形態においては、信号出力部からの信号は出力が高低2段((H)/(L))に切換可能となっており、通常は低出力(L)で出力される信号を高出力(H)に切り替え、対応する信号受信部が高出力の信号(H)を受信したことを上位コンピュータ2が確認することにより、当該2モジュールが相互に隣接する位置関係にあることが認識される。上位コンピュータ2による確認は、信号出力部が高出力の信号を受信した旨を示す受信結果を通信線15を介して上位コンピュータ2に出力することによって行われる。
【0023】
すなわち、信号受信部34、44,54,64,74は、隣接する他の処理モジュールの信号出力部と、通信線15とは別系統に設けられた信号線16b、16c、16d、16eを介して接続されており、この隣接する他の処理モジュールの信号出力部から出力された所定の信号である高出力の信号(H)を受信して、この受信結果を通信線15を経由して上位コンピュータ2へ出力することが可能な構成となっている。
【0024】
上位コンピュータ2の制御系を説明する。上位コンピュータ2は、通信部21、信号出力部22、レイアウト記憶部23、コマンド出力部24、受信確認部25、識別コード読み取り部26、検索結果記憶部27、レイアウト確認部28および表示処理部29を備えている。通信部21は各処理モジュールの通信部31、41、51、61、71と通信線15を介して接続されており、ワークの処理システム1を構成する各処理モジュールとの間でデータの授受を行う。
【0025】
信号出力部22は、複数の処理モジュールの中で、処理ラインにおけるレイアウトの基準となる処理モジュール(ここでは処理ラインにおいて上位コンピュータ2の直近位置に配置された処理モジュール3)の信号受信部34に対して、通信線15とは別系統に設けられた信号線16aを介して、前述の相互に隣接する位置関係の認識のための所定の信号を出力する。レイアウト記憶部23は、処理モジュールのレイアウトを特定するデータ、すなわち予め設定され人為的に入力された各処理モジュールの位置関係に関するレイアウト設定情報23aを記憶する。
【0026】
レイアウト設定情報23aについて、図3(a)を参照して説明する。レイアウト設定
情報23aは直列の処理ラインにおける各処理モジュールの配列順序を示すレイアウト番号23b(図1参照)に、処理モジュール3、4、5,6、7にそれぞれ付与された識別コードを対応させた構成となっている。ここでは、レイアウト番号[1]、[2]、[3]、[4]、[5]のそれぞれに、処理モジュール3、4、5,6、7の固有の識別コードであるA001、A002、A003、A004、A005を設定識別コードとして対応させることにより、レイアウト設定情報23aが構成されている。このレイアウト設定情報23aにしたがって各処理モジュールを配列することにより、図1に示すワークの処理システム1の構成が実現される。
【0027】
コマンド出力部24は、隣接する位置関係を認識する対象となる任意の処理モジュールの信号出力部へ、位置関係の認識を実行するための特定のコマンドを通信線15を介して出力する処理を行う。ここでは特定のコマンドとして、信号出力部から出力される信号の出力を低出力(L)から高出力(H)に切り替えるコマンドが用いられている。なお、ここでは通常時において低出力(L)の信号を継続して出力する例を示しているが、通常時には信号の出力をOFFにしておき、隣接する位置関係の認識を実行する時のみ信号をONする形態であってもよい。
【0028】
受信確認部25は、各処理モジュールの信号受信部34,44,54,64,74の受信結果を通信線15を介して確認する。すなわち上述の特定のコマンドを受信した信号出力部からは所定の信号が出力され、その信号は隣接する位置関係にある処理モジュールの信号受信部によって受信される。そしてその所定の信号を受信した信号受信部は所定の信号を受信した旨の受信結果を通信線15を介して上位コンピュータ2に送信し、受信確認部25はその受信結果を確認する。
【0029】
識別コード読み取り部26は、各処理モジュールの識別コード記憶部32,42,52,62、72に記憶された識別コードを通信線15を介して読み取る。すなわち識別コード読み取り部26は、受信確認部25が受信結果を確認することにより隣接する位置関係が認識された処理モジュールの識別コード記憶部にアクセスして識別コードを読み取る。これにより、当該位置関係が認識された処理モジュールが、読み取られた識別コードによって特定される。このような2つの処理モジュール間の隣接する位置関係の認識および識別コードによる処理モジュールの特定を行う処理を反復実行することにより、ワークの処理システム1における処理モジュールの配列状態が検索され、実際の処理モジュールの物理的な位置関係が特定される。
【0030】
すなわちまず最初に上位コンピュータ2の信号出力部22から所定の信号を出力するとこの信号は信号線16aを介して接続された処理モジュールの信号受信部によって受信される。このとき、レイアウト設定情報23a(図3(a))にしたがって正しく処理モジュールの配列が行われている場合には、レイアウト番号[1]には識別コードA001の処理モジュール3が配置されているはずであり、この場合には処理モジュール3の信号受信部34によって信号が受信される。これにより信号受信部34はこの信号を受信した旨の受信結果を上位コンピュータ2に送信し、これを承けて上位コンピュータ2の識別コード読み取り部26は処理モジュール3の識別コード記憶部32にアクセスして、記憶された識別コード(ここではA001)を読み取る。これにより、レイアウト番号[1]には識別コードA001の処理モジュール3が正しく配置されていることが認識される。
【0031】
次いで、配置が認識された処理モジュール3に位置関係の認識のためのコマンドが送信され、これにより信号出力部33は信号線16bを介して所定の信号を隣接するレイアウト番号[2]に配置された処理モジュールに対して出力する。レイアウト設定情報23aにしたがえば、レイアウト番号[2]には識別コードA002に対応する処理モジュール4が配置されているはずであるが、何らかの過誤によりレイアウト番号[2]、[3]に
おける配列順が入れ替わって、識別コードA002に対応する処理モジュール5がレイアウト番号[2]に配置されている場合には、信号出力部33からの信号は信号受信部44ではなく信号受信部54によって受信される。信号受信部54はこの信号を受信した旨の受信結果を上位コンピュータ2に送信し、これを承けて上位コンピュータ2の識別コード読み取り部26は処理モジュール5の識別コード記憶部52にアクセスして、記憶された識別コード(ここではA003)を読み取る。これにより、レイアウト番号[2]には識別コードA003の処理モジュール5が配置されていることが上位コンピュータ2によって認識される。
【0032】
そして同様のプロセスにより、レイアウト番号[3]には識別コードA002の処理モジュール4が配置されていることが認識される。次いで、レイアウト番号[4]、レイアウト番号[5]を対象として同様のプロセスが実行され、レイアウト番号[4]、レイアウト番号[5]においてレイアウト設定情報23aに正しくしたがった適正な配置が行われている場合には、レイアウト番号[4]には識別コードA004の処理モジュール6が、またレイアウト番号[5]には識別コードA005の処理モジュール7が配置されていることが認識される。
【0033】
このようにして、図3(b)に示す処理モジュール配列検索データ27aが生成される。処理モジュール配列検索データ27aは、実際に検出された識別コード(検出識別コード)をレイアウト番号23bに対応させた構成となっており、レイアウト番号[2]、[3]において実際の処理モジュールの配列順が入れ替わっていることに対応して、実際の物理的な位置関係にそのまま対応した識別コードが示されている。
【0034】
そしてこのようにして生成された処理モジュール配列検索データ27aは、処理モジュールの配列状態の検索結果を示すものであり、検索結果記憶部27に記憶される。すなわち処理モジュール配列検索データ27aは、位置関係の認識のための特定のコマンドの出力の対象となった任意の処理モジュールの識別コードと、この任意の処理モジュールの信号出力部から出力された所定の信号を受信したことが確認された処理モジュールの識別コードとを、レイアウト番号の順に並べた形態となっている。
【0035】
レイアウト確認部28は、検索結果記憶部27に記憶された処理モジュール配列検索データ27aに基づいて、予め設定されレイアウト記憶部23に記憶されたレイアウト設定情報23aに示す各処理モジュールの設定位置関係と実際の各処理モジュールの物理的な位置関係との整合性を判断する処理を行う。この整合性の判断は、レイアウト設定情報23aと処理モジュール配列検索データ27aとを対比することによって行われる。そしてこの整合性の判断結果は、整合性判断データ28aとして表示パネル9に表示される(図6参照)。
【0036】
表示処理部29は、ワークの処理システム1の制御操作に必要な各種画面を表示パネル9に表示させるための処理を行う。これらの画面には、レイアウト設定情報23aと処理モジュール配列検索データ27aを対比して表示した整合性判断データ28aが含まれる。したがって、表示処理部29および表示パネル9は、特定のコマンドの出力の対象となった任意の処理モジュールの識別コードと、この任意の処理モジュールの信号出力部から出力された所定の信号を受信したことが確認された処理モジュールの識別コードとを、処理モジュールの配列状態の検索結果を示す処理モジュール配列検索データ27aとして表示する表示部を構成する。
【0037】
このとき、レイアウト記憶部23に記憶されたレイアウト設定情報23aを、処理モジュール配列検索データ27aと目視にて対比可能な状態で表示するようにしている(図6参照)。これにより、オペレータは各処理モジュールの実際の配列状態が、レイアウト設
定情報23aによって予め規定された配列通りになっているか否かを表示パネル9の表示内容を視認することにより容易に確認することができる。
【0038】
次に図4,図5を参照して、ワークの処理システム1において処理モジュールの配列状態を認識するために実行されるレイアウト自動認識処理について説明する。まず処理開始に際して、上位コンピュータ2から全ての処理モジュールへ信号出力部の出力を(L)に切り替えるコマンドを送信する(ST1)。次いで上位コンピュータ2の信号出力部22からの出力を(H)に切り替える(ST2)。これにより信号線16aを介して位置関係の認識のための所定の信号である高出力の信号(H)が、レイアウト番号[1]に配置されている処理モジュールに対して出力される。
【0039】
次いで信号(H)を検出した処理モジュールを検索する(ST3)。すなわち信号(H)を検出した処理モジュールの信号受信部からの受信結果の出力を検出し、検出したならば当該処理モジュールの識別コードを識別コード読み取り部26によって読み取る処理を実行する。そして検索結果に基づき、信号(H)を検出した処理モジュールの有無を判断し(ST4)、ここで無しの場合には信号線の結線ミスなどの何らかの異常が発生していると判断して、エラーメッセージを表示する(ST8)。
【0040】
また信号(H)を検出した処理モジュール有りの場合には、検索結果(当該処理モジュールの識別コード)を処理モジュール配列検索データを生成するための要素データとして検索結果記憶部27に記憶する(ST5)とともに、信号(H)を検出した当該処理モジュールを、“直前モジュール”に設定する(ST6)。ここで“直前モジュール”とは、新たに位置関係の認識を実行する際の信号(H)を出力すべき処理モジュールを言う。この段階において、レイアウト番号[1]に配置されている処理モジュールがレイアウト設定情報23aに正しくしたがったものである場合には、処理モジュール3が“直前モジュール”となる。
【0041】
次いで、信号出力部22からの信号を(L)に切り替える(ST7)。この後、図5に示す(1)へ進み、以下の処理が実行される。すなわち、全ての処理モジュールへ信号出力部の出力を(L)に切り替えるコマンドを送信する(ST11)。
【0042】
次いで“直前モジュール”へ信号出力部の出力を(H)に切り替えるコマンドを送信する(ST12)。この段階では“直前モジュール”である処理モジュール3に対して、このコマンドが送信される。この後、(ST3)と同様のプロセスにより、信号(H)を検出した処理モジュールを検索する(ST13)。次いで検索結果に基づき、信号(H)を検出した当該処理モジュールの有無を判断する(ST14)。信号(H)を検出した処理モジュール有りの場合には、検索結果を検索結果記憶部27に記憶する(ST15)とともに、信号(H)を検出した処理モジュールを“直前モジュール”に設定し(ST16)、(ST11)に戻って以降の処理を同様に反復して実行する。
【0043】
このような処理を反復実行して末端に位置する処理モジュールを含めて全ての処理モジュールの認識が終了すると、信号(H)を検出した処理モジュール無しの状態となる。この場合には、“直前モジュール”をリセットする処理を行う(ST17)。これにより、処理モジュールの検索が終了し、この後、認識レイアウトの整合性確認のための処理が行われる(ST18)。ここでは、検索結果記憶部27に記憶された要素データ、すなわち2つの処理モジュール間の個別の位置関係を示すデータに基づいて処理モジュール配列検索データ27aが生成され、生成された処理モジュール配列検索データ27aとレイアウト記憶部23に記憶されたレイアウト設定情報23aとを対比することにより、レイアウト設定情報23aに示す配列状態と実際の物理的な位置関係とが一致するか否かをレイアウト確認部28によって確認する。
【0044】
次いで検索結果と整合性確認結果を示す整合性判断データ28aを表示パネル9に表示し(ST19)、これにより、レイアウト自動認識処理を終了する。このとき表示パネルに表示される画面9aについて、図6を参照して説明する。画面9aに表示される整合性判断データ28aは、レイアウト設定情報23aと処理モジュール配列検索データ27aとを対比して表示し、この対比結果に応じて必要なコメント28bを付した構成となっている。このコメント28bには、レイアウト設定情報23aと検索結果を示す処理モジュール配列検索データ27aとが部分的に一致していない場合に、注意を喚起するための内容が含まれる。図6に示す例では、レイアウト番号[2]、[3]において、レイアウト設定情報23aに示す本来あるべき識別コード(A002、A003)と比較して、順序が逆の識別コード(A003、A002)が、検索結果として検出された例を示している(矢印a1,a2参照)。
【0045】
なお本実施の形態1においては、ワークの処理システムの例として、マイクロプレートを対象として生化学試験を行う試験処理システムの例を示したが、本発明の適用はこのような試験処理システムには限定されるものではない。例えば、電子機器製造分野において、ワークとしての基板を搬送モジュールによって搬送し、この基板を対象として複数の作業モジュールによって電子部品実装などの作業を順次を行う構成においても、本発明を適用することができる。
【0046】
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2のワークの処理システムの構成を示す斜視図、図8は本発明の実施の形態2のワークの処理システムの制御系の構成を示すブロック図、図9は本発明の実施の形態2のワークの処理システムにおける処理モジュールのレイアウト設定情報および処理モジュール配列検索データを示す説明図、図10、図11、図12、図13は本発明の実施の形態2のワークの処理システムにおけるレイアウト自動認識処理を示すフロー図、図14は本発明の実施の形態2のワークの処理システムにおける処理モジュールの位置関係の整合性判断データの説明図である。
【0047】
本実施の形態2に示すワークの処理システムは、実施の形態1に示すワークの処理システム1と同様に、複数の処理モジュールと、各々の処理モジュールと双方向で通信可能な通信手段を介して接続された上位コンピュータとを備え、相隣接する前記処理モジュールの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行う機能を有している。本実施の形態2は、実施の形態1においては複数の処理モジュールを直線状に配置した一次元配列によってワークの処理システムを構成するのに対し、複数の処理システムを2次元的に配列することにより、ワークの処理システムを構成するものである。
【0048】
図7において、ワークの処理システム101は、複数の処理モジュール103、104、105、106、107、108、109、110を2次元的な配列で連結した処理ラインに、上位コンピュータ102を付属させた構成となっている。この処理ラインにおいて、処理モジュール103〜110は、上位コンピュータ102の配列位置を起点とし、ワーク搬送方向(X方向)に沿った配列位置を連番で示すレイアウト番号[1]、[2]、[3]、[4]と、ワーク搬送方向と直交する方向(Y方向)の配列位置を示す列区分(前列(F)、中央列(C)、後列(R))とを組み合わせたマトリックス状の2次元配列に基づいて配置されている。各処理モジュールには、それぞれ当該処理モジュールを他と識別するための識別コードが設定されており、これらの識別コードを上述の2次元配列と対応させることにより、ワークの処理システム101における各処理モジュールの配列が特定される(図9参照)。
【0049】
上位コンピュータ102はワークの処理システム101全体を統括して制御し、実施の
形態1に示す上位コンピュータ2と同様の機能を有している。処理ラインの両端部のレイアウト番号[1]、[4]の中央列に位置する処理モジュール103および処理モジュール110は、いずれも同一の構成を有するプレートスタッカであり、基台103a、107aの上面には、複数のマイクロプレート11を段積み状態で収納するプレートスタッカ10が、2列のプレート搬送ラインに対応可能に配置されている。
【0050】
レイアウト番号[2]、[3]の中央列には、搬送モジュールである処理モジュール104、105が位置しており、基台104a、105aの上面には、2列のプレート搬送機構113がX方向に配設されている。2列のプレート搬送機構113は、処理モジュール103および処理モジュール110に配置されたプレートスタッカ10から取り出されたマイクロプレート11を搬送する。処理モジュール104、105はそれぞれ多関節ロボット機構を備えた移載ユニット114を備えている。移載ユニット114は、プレート搬送機構113によって搬送されたマイクロプレート11を以下に説明する各作業モジュールに搬入し、また各処理モジュールから処理後のマイクロプレート11を搬出してプレート搬送機構113に戻すワーク受渡作業を行う。
【0051】
レイアウト番号[2]、[3]のそれぞれの後列には、機構部をカバー部106c、107cによって覆われ、開閉自在の扉106b、107bを備えた構成の処理モジュール106、107が配置されている。処理モジュール106、107はそれぞれ実施の形態1に示す処理モジュール6、5と同様の機能を有している。すなわち、処理モジュール106は分注モジュールであり、処理モジュール104から開口部106dを介して搬入されたマイクロプレート11に対して分注機構14によって分注作業が実行される。分注後のマイクロプレート11は、処理モジュール105からインキュベータモジュールである処理モジュール107に開閉自在の搬入用開孔107dを介して搬入され、ここで所定環境条件下で保持される。
【0052】
またレイアウト番号[2]、[3]のそれぞれの前列には、機構部をカバー部108c、109cによって覆われ、開閉自在の扉108b、109bを備えた構成の処理モジュール108、109が配置されている。処理モジュール109は処理モジュール106と同様の機能を有する分注モジュールであり、処理モジュール108は実施の形態1に示す処理モジュール4と同様の計測モジュールである。処理モジュール108、109には、処理モジュール104、105からマイクロプレート11が搬入され、また処理後のマイクロプレート11は、処理モジュール108、109から搬出されて処理モジュール104、105に戻される。
【0053】
上述のようにワークの処理システム101を構成する複数の処理モジュールは、ワークであるマイクロプレート11の受け渡し態様の差異によって、第1処理モジュールと第2処理モジュールおよびその他の処理モジュールに区分される。ここで第1処理モジュールには処理モジュール104、105が該当し、第2処理モジュールには、処理モジュール106、107、108、109が該当する。処理モジュール104、105は、マイクロプレート11をX方向に搬送するために相互にワークを受け渡しするとともに、いずれも列方向に隣接した処理モジュールとの間でマイクロプレート11の受渡を行う機能を有する搬送モジュールである。
【0054】
具体的には、処理モジュール104は、処理モジュール106、108との間でマイクロプレート11の受渡しを行い、処理モジュール105は処理モジュール107、109との間でマイクロプレート11の受渡しを行う。すなわち上記区分によれば、第1処理モジュールは少なくとも他の1つの第1処理モジュール並びに少なくとも1つの第2処理モジュールとの間でワークを受け渡しが可能となっている。そして第2モジュールは、隣接する1つの第1処理モジュールとの間でのみワークの受渡しが可能となっている。
【0055】
次に図8を参照して、ワークの処理システム101の制御系の構成を説明する。図8に示すように、処理モジュール103は、通信部31A、識別コード記憶部32A、信号出力部33A、信号受信部34Aを備えている。処理モジュール104は、通信部41A、識別コード記憶部42A、信号受信部44A、信号出力部43R、信号出力部43C、信号出力部43Fを、同様に処理モジュール105は、通信部51A、識別コード記憶部52A、信号受信部54A、信号出力部53R、信号出力部53C、信号出力部53Fを備えている。
【0056】
処理モジュール106は通信部61A、識別コード記憶部62A、信号受信部64Aを、また処理モジュール107は通信部71A、識別コード記憶部72A、信号受信部74Aを、処理モジュール108は通信部81A、識別コード記憶部82A、信号受信部84Aを、処理モジュール109は通信部91A、識別コード記憶部92A、信号受信部94Aを、処理モジュール110は通信部111A、識別コード記憶部112A、信号出力部113A、信号受信部114Aをそれぞれ備えている。上位コンピュータ102の通信部121、各処理モジュールの通信部31A、41A、51A、61A、71A、81A、91Aは、それぞれが通信線115を介して相互に接続された通信手段を構成している。これにより、ワークの処理システム101を構成する各処理モジュールおよび上位コンピュータ102は、相互に双方向の通信が可能となっている。通信手段としては、無線タイプであってもよい。
【0057】
さらに信号出力部122と信号受信部34Aは、通信線115とは別系統に設けられた信号線116aで接続されており、信号出力部122から信号受信部34Aへ信号の伝達を直接行うことが可能となっている。また信号出力部33Aと信号受信部44Aは通信線115とは別系統に設けられた信号線116bで接続されており、信号出力部33Aから信号受信部44Aへ信号の伝達を直接行うことが可能となっている。同様に信号出力部43Cと信号受信部54A、信号出力部53Cと信号受信部114Aは、それぞれ通信線115とは別系統に設けられた信号線116c、116dによって接続されている。信号出力部43C、53Cは第1信号出力部であり、信号線116c、116dは第1の信号線となっている。
【0058】
さらに、信号出力部43Rと信号受信部64A、信号出力部53Rと信号受信部74A、信号出力部43Fと信号受信部84A、信号出力部53Fと信号受信部94Aとは、同様にそれぞれ通信線115とは別系統に設けられた信号線116e、116f、116g、116hによって接続されている。すなわち、これらの複数の処理モジュールのうち、相互に隣接する位置関係にある2つの処理モジュールについては、一方の信号出力部と他方の信号受信部が信号線で接続されており、前述と同様に、一方の信号出力部から他方の信号受信部へ所定の信号を送信することにより、これら2つの処理モジュールが相互に隣接する位置関係にあることが認識される。信号出力部43R、43F、53R、53Fは、第2信号出力部であり、信号線116e、116f、116g、116hは第2信号線となっている。
【0059】
通信部31A、41A,51A,61A,71A、81A,91A,111Aは、通信線115を介して他の処理モジュールとの間でデータの授受を行う。識別コード記憶部32A、42A,52A,62A,72A、82A,92A,112Aは、当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する。信号出力部33A、43R、43C、43F、53R、53C、53F、113Aは、上位コンピュータ102から通信線115を介して送信される特定のコマンドに応答して所定の信号、すなわち前述の相互に隣接する位置関係を認識するための信号を出力する機能を有している。ここでいう特定のコマンドおよび所定の信号は、実施の形態1にて説明したものと同様である

【0060】
すなわち上記構成において、第1処理モジュールである処理モジュール104、処理モジュール105は、双方向で通信可能な通信線で接続された上位コンピュータ102からの指令により、隣接する2以上の他の処理モジュールとの間でワークであるマイクロプレート11を受け渡しながらマイクロプレート11に対して所定の処理を行う処理モジュールである。
【0061】
そしてこれらの処理モジュールは、特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する複数の信号出力部(1つの第1信号出力部(信号出力部43C、53C)並びに少なくとも1つの第2信号出力部(信号出力部43R、43F、53R、53F)を含む)と、処理モジュール104,105の複数の信号出力部のうちの1つ(隣接する他の第1処理モジュールの第1信号出力部)と通信線115とは別系統に設けられた信号線(第1信号線)を介して接続され、この信号出力部(第1信号出力部)から出力された所定の信号を受信してこの受信結果を通信線115を経由して上位コンピュータ102へ出力可能な信号受信部44A、54Aとを備えており、さらに当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部42A,52Aを備えた構成となっている。そして特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する前記複数の信号出力部は、隣接する別の複数の処理モジュールの信号受信部に信号線を介して接続可能となっている。
【0062】
また第2処理モジュールである処理モジュール106、107、108、109は、上述の第1処理モジュールである処理モジュール104,105に接続され、双方向で通信可能な通信線で接続された上位コンピュータ102からの指令により、第1処理モジュールとの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行う処理モジュールである。
【0063】
そしてこれらの処理モジュールは、第1の処理モジュールである処理モジュール104,105の複数の信号出力部のうちの1つ(隣接する第1処理モジュールの第2信号出力部(信号出力部43R、43F、53R、53F)と通信線115とは別系統に設けられた信号線(第2信号線)を介して接続され、この第2信号出力部から出力された所定の信号を受信してこの受信結果を通信線115を経由して上位コンピュータ102へ出力可能な信号受信部64A,74A,84A,94Aを備えており、さらに当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部62A,72A,82A,92Aを備えた構成となっている。
【0064】
上位コンピュータ102の制御系を説明する。上位コンピュータ102は、通信部121、信号出力部122、レイアウト記憶部123、コマンド出力部124、受信確認部125、識別コード読み取り部126、検索結果記憶部127、レイアウト確認部128および表示処理部129を備えている。通信部121は各処理モジュールの通信部31A、41A、51A、61A、71A、81A、91A、111Aと通信線115を介して接続されており、ワークの処理システム101を構成する各処理モジュールとの間でデータの授受を行う。
【0065】
信号出力部122は、第2処理モジュールを除く複数の処理モジュールの中で、処理ラインにおけるレイアウトの基準となる処理モジュール(ここでは処理ラインにおいて上位コンピュータ102の直近位置に配置された処理モジュール103)の信号受信部34Aに対して、通信線115とは別系統に設けられた信号線116aを介して、前述の隣接する位置関係の認識のための所定の信号を出力する。
【0066】
レイアウト記憶部123は、処理モジュールのレイアウトを特定するデータ、すなわち予め設定され人為的に入力された各処理モジュールの位置関係を示すレイアウト設定情報123aを記憶する。レイアウト設定情報123aについて、図9(a)を参照して説明する。レイアウト設定情報123aは直列の処理ラインにおける各処理モジュールの2次元配列を示すモジュール配列マトリックス、すなわちレイアウト番号123bと列区分の組み合わせ(図7参照)に、処理モジュール103、処理モジュール104、処理モジュール105,処理モジュール106、処理モジュール107、処理モジュール108,処理モジュール109、処理モジュール110にそれぞれ付与された識別コードを対応させた構成となっている。ここでは、レイアウト番号である[1]、[2]、[3]、[4]と、列区分である前列、中央列、後列のとを組み合わせた2次元配列に、処理モジュール103、104、105,106、107、108,109、110の固有の識別コードを対応させることにより、レイアウト設定情報123aが構成される。
【0067】
すなわち、図9(a)に示すように、レイアウト番号[1]、[4]の中央列には処理モジュール103、処理モジュール107の固有の識別コードPS01、PS02が、レイアウト番号[2]の前列、中央列、後列には、それぞれ処理モジュール108、処理モジュール104,処理モジュール106の固有の識別コードCX02,LT01,EX02が対応しており、さらにレイアウト番号[3]の前列、中央列、後列には、それぞれ処理モジュール109、処理モジュール105,処理モジュール107の固有の識別コードDW03,LT02,CX03が対応している。
【0068】
コマンド出力部124は、隣接する位置関係を認識する対象となる任意の第1の処理モジュールの第1信号出力部または第2信号出力部へ、位置関係の認識を実行するための特定のコマンドを通信線115を介して出力する処理を行う。ここでは実施の形態1と同様のコマンドが用いられる。受信確認部125は、第1処理モジュールおよび第2処理モジュールの信号受信部34A,44A,54A,64A,74Aの受信結果を、通信線115を介して確認する。すなわち上述の特定のコマンドを受信した各信号出力部からは所定の信号が出力され、その信号は隣接する位置関係にある処理モジュールの信号受信部によって受信される。そしてその所定の信号を受信した当該信号受信部は、所定の信号を受信した旨の受信結果を通信線115を介して上位コンピュータ102に送信し、レイアウト確認部128はその受信結果を確認する。
【0069】
識別コード読み取り部126は、第1の処理モジュールおよび第2の処理モジュールを含む各処理モジュールの識別コード記憶部32A,42A,52A,62A、72A、82A、92Aに記憶された固有の識別コードを通信線115を介して読み取る。すなわち、受信確認部125が受信結果を確認することにより、隣接する位置関係が認識された処理モジュールの識別コード記憶部に識別コード読み取り部126がアクセスして識別コードを読み取ることにより、当該位置関係が認識された処理モジュールが識別コードによって特定される。このような処理モジュールの位置関係の確認および識別を反復することにより、ワークの処理システム101における処理モジュールの配列状態が検索され、実施の1に示すプロセスと同様に、実際の処理モジュールの物理的な位置関係が特定される。
【0070】
すなわちまず最初に上位コンピュータ102の信号出力部122から所定の信号を出力するとこの信号は信号線116aによって接続された処理モジュールの信号受信部によって受信される。このとき、レイアウト設定情報123aにしたがって正しく処理モジュールの配列が行われている場合には、レイアウト番号[1]には処理モジュール103が配置されているはずであり、この場合には処理モジュール103の信号受信部34Aによって信号が受信される。これにより信号受信部34Aはこの信号を受信した旨の受信結果を上位コンピュータ102に送信し、これを承けて上位コンピュータ102の識別コード読み取り部126は処理モジュール103の識別コード記憶部32Aにアクセスして、記憶
された識別コード(ここではPS01)を読み取る。これにより、レイアウト番号[1]の中央列には識別コードPS01の処理モジュール103が配置されていることが認識される。
【0071】
次いで、配置が認識された処理モジュール103に位置関係の認識のためのコマンドが送信され、これにより信号出力部33Aは信号線116bを介して所定の信号を隣接するレイアウト番号[2]の中央列に配置された処理モジュールに対して出力する。レイアウト設定情報123aにしたがえば、レイアウト番号[2]の中央列には識別コードLT01に対応する処理モジュール104が配置されているはずであるが、何らかの過誤によりレイアウト番号[2]、[3]の中央列における配列順が入れ替わって、識別コードLT02に対応する処理モジュール105が配置されている場合には、信号出力部33Aからの信号は信号受信部44Aではなく信号受信部54Aによって受信される。信号受信部54Aはこの信号を受信した旨の受信結果を上位コンピュータ102に送信し、これを承けて上位コンピュータ102の識別コード読み取り部126は処理モジュール105の識別コード記憶部52Aにアクセスして、記憶された識別コード(ここではLT02)を読み取る。これにより、レイアウト番号[2]の中央列には識別コードLT02の処理モジュール105が配置されていることが認識される。
【0072】
そして同様のプロセスにより、レイアウト番号[3]の中央列には識別コードLT01の処理モジュール104が配置されていることが認識される。次いで、レイアウト番号[4]の中央列を対象として同様のプロセスが実行され、レイアウト番号[4]の中央列においてレイアウト設定情報123aに正しくしたがった適正な配置が行われている場合には、レイアウト番号[4]の中央列には識別コードPS02の処理モジュール110が配置されていることが認識される。
【0073】
さらに、レイアウト番号[2]、[3]については、前列、後列に配置された処理モジュールを対象として、位置関係の認識が実行される。すなわち、各レイアウト番号において中央列に配置された第1の処理モジュールの第2信号出力部から、前列、後列に配置された第2処理モジュールの信号受信部に対して、位置関係の認識のための信号を送信し、第2処理モジュールの信号受信部がこの信号を受信した旨の受信結果を上位コンピュータ102に送信する。そしてこれを承けて上位コンピュータ102の識別コード読み取り部126が各処理モジュールの識別コード記憶部にアクセスして、記憶された識別コードを読み取ることにより、レイアウト番号[2]、[3]の前列、後列にそれぞれ位置する処理モジュールが特定される。
【0074】
このようにして、図9(b)に示す処理モジュール配列検索データ127aが生成される。処理モジュール配列検索データ127aでは、レイアウト番号[2]、[3]の中央列において実際の処理モジュールの配列順が入れ替わっていることに対応して、実際の物理的な位置関係にそのまま対応した識別コード(LT02,LT01)が示されている。そしてこのようにして生成された処理モジュール配列検索データ127aは、上述の処理により検索された処理モジュールの配列状態の検索結果を示す処理モジュール配列検索データとして、検索結果記憶部127に記憶される。すなわち処理モジュール配列検索データ127aは、位置関係の認識のための特定のコマンドの出力の対象となった任意の処理モジュールの識別コードと、この任意の処理モジュールの信号出力部から出力された所定の信号を受信したことが確認された処理モジュールの識別コードとを、レイアウト番号と列区分とを組み合わせた2次元配列に対応させて並べた形態となっている。
【0075】
レイアウト確認部128は、検索結果記憶部127に記憶された処理モジュール配列検索データ127aに基づいて、予め設定されレイアウト記憶部123に記憶されたレイアウト設定情報123aに示す各処理モジュールの設定位置関係と実際の各処理モジュール
の物理的な位置関係との整合性を判断する処理を行う。この整合性の判断は、レイアウト設定情報123aと処理モジュール配列検索データ127aとを対比すること、すなわち前述の特定のコマンドの出力の対象となった任意の処理モジュールの識別コードと、この任意の処理モジュールの信号出力部から出力された所定の信号を受信したことが確認された処理モジュールの識別コードとを対比するによって行われる。そしてこの整合性の判断結果は、整合性判断データ128aとして表示パネル9に表示される(図7参照)。
【0076】
表示処理部129は、ワークの処理システム101の制御操作に必要な各種画面を表示パネル9に表示させるための処理を行う。これらの画面には、レイアウト設定情報123aと処理モジュール配列検索データを対比して表示した整合性判断データ128aが含まれる。したがって、表示処理部129および表示パネル9は、特定のコマンドの出力の対象となった任意の第1処理モジュールの識別コードと、この任意の第1処理モジュールの第1信号出力部または第2信号出力部から出力された所定の信号を受信したこと確認がされた第1処理モジュールまたは第2処理モジュールの識別コードを、処理モジュールの配列状態の検索結果を示す処理モジュール配列検索データとして表示する表示部を構成する。このとき、レイアウト記憶部123に記憶されたレイアウト設定情報123aを、処理モジュール配列検索データと対比可能な状態で表示するようにしている(図14参照)。これにより、オペレータは各処理モジュールの実際の配列状態が、レイアウト設定情報123aによって予め規定された配列通りになっているか否かを表示パネル9の表示内容を視認することにより容易に確認することができる。
【0077】
次に図10,図11,図12,図13を参照して、ワークの処理システム101において処理モジュールの配列状態を検出するために実行されるレイアウト自動認識処理について説明する。まず処理開始に際して、上位コンピュータ102から全ての処理モジュールへ信号出力部の出力を(L)に切り替えるコマンドを送信する(ST21)。次いで上位コンピュータ102の信号出力部122からの信号の出力を(H)に切り替える(ST22)。これにより信号線116aを介して位置関係の認識のための所定の信号である高出力の信号(H)が、レイアウト番号[1]の中央列に配置されている処理モジュールに対して出力される。
【0078】
次いで信号(H)を検出した処理モジュールを検索する(ST23)。すなわち信号(H)を検出した処理モジュールの信号受信部からの受信結果の出力を検出し、検出したならば当該処理モジュールの識別コードを識別コード読み取り部126によって読み取る処理を実行する。そして検索結果に基づき、信号(H)を検出した処理モジュールの有無を判断し(ST24)、ここで無しの場合には信号線の結線ミスなどの異常が発生していると判断して、エラーメッセージを表示する(ST28)。
【0079】
また信号(H)を検出した処理モジュール有りの場合には、検索結果を処理モジュール配列検索データを生成するための要素データとして検索結果記憶部127に記憶する(ST25)とともに、信号(H)を検出した処理モジュールを、“直前モジュール”に設定する(ST26)。この段階において、レイアウト番号[1]に配置されている処理モジュールがレイアウト設定情報123aに正しく従ったものである場合には、処理モジュール103が“直前モジュール”となる。なお“直前モジュール”の意味合いについては、実施の形態1と同様である。
【0080】
次いで、信号出力部22からの信号を(L)に切り替える(ST27)。この後、図11に示す(1)へ進み、以下の処理が実行される。すなわち、全ての処理モジュールへ信号出力部の出力を(L)に切り替えるコマンドを送信する(ST31)。次いで“直前モジュール”の種類を確認する(ST32)。すなわち“直前モジュール”が第1処理モジュールに該当する搬送モジュール(処理モジュール104、処理モジュール105)であ
るか否かを判断する(ST33)。ここで、搬送モジュールでない場合には処理Aに進み(ST34)、搬送モジュールである場合には処理Bに進む(ST35)。
【0081】
まず処理Aについて、図12を参照して説明する。まず“直前モジュール”へ、当該処理モジュールの信号出力部の出力を(H)に切り替えるコマンドを送信する(ST40)。この後、実施の形態1における(ST3)と同様のプロセスにより、信号(H)を検出した処理モジュールを検索する(ST41)。次いで検索結果に基づき、信号(H)を検出した処理モジュールの有無を判断する(ST42)。信号(H)を検出した処理モジュール有りの場合には、検索結果を検索結果記憶部127に記憶する(ST43)とともに、信号(H)を検出した処理モジュールを新たに“直前モジュール”に設定する(ST44)。このような処理を反復実行して全ての処理モジュールの認識が終了した場合には、信号(H)を検出する処理モジュール無しの状態となる。この場合には、“直前モジュール”をリセットする処理を行う(ST45)。これにより、処理Aが終了する。
【0082】
次に処理Bについて、図13を参照して説明する。ここでは“直前モジュール”が、処理モジュール104または処理モジュール105である場合の処理を示している。まず、“直前モジュール”へ信号出力部F(第2信号出力部のうち前列(F)に位置する処理モジュールへ信号を出力する信号出力部)の出力を(H)に切り替えるコマンドを送信する(ST50)。次いで信号(H)を検出した処理モジュールを検索し(ST51)、検索結果を検索結果記憶部127に記憶する(ST52)。この後、全ての処理モジュールへ信号出力部の出力を(L)に切り替えるコマンドを送信する(ST53)。
【0083】
次いで“直前モジュール”へ信号出力部R(第2信号出力部のうち後列(R)に位置する処理モジュールへ信号を出力する信号出力部)の出力を(H)に切り替えるコマンドを送信する(ST54)。次いで信号(H)を検出した処理モジュールを検索し(ST55)、検索結果を検索結果記憶部127に記憶する(ST56)。この後、全ての処理モジュールへ信号出力部の出力を(L)に切り替えるコマンドを送信する(ST57)。次いで“直前モジュール”へ信号出力部C(中央列(C)に位置する処理モジュールへ信号を出力する信号出力部)の出力を(H)に切り替えるコマンドを送信する(ST58)。次いで信号(H)を検出した処理モジュールを検索する(ST59)。
【0084】
ここで、信号(H)を検出した処理モジュールの有無を判断し(ST60)、有りの場合には、検索結果を検索結果記憶部127に記憶する(ST61)とともに、信号(H)を検出した処理モジュールを“直前モジュール”に設定する(ST62)。また信号(H)を検出した処理モジュール無しの場合には、“直前モジュール”をリセットする(ST63)。これにより、処理Bが終了する。
【0085】
そして処理A、処理Bが終了したならば、いずれの場合も、図11に示す(ST36)に進んで、“直前モジュール”の有無を判断する。ここで、“直前モジュール”有りならば、(ST31)に戻って、これ以降同様の処理を反復実行する。また“直前モジュール”無しの場合には処理モジュールの検索が終了し、認識レイアウトの整合性確認のための処理が行われる(ST37)。ここでは、検索結果記憶部127に記憶された要素データ、すなわち隣接する2つの処理モジュール間の位置関係を示すデータに基づいて処理モジュール配列検索データ127aが生成され、生成された処理モジュール配列検索データ127aとレイアウト記憶部123に記憶されたレイアウト設定情報123aとを対比することにより、レイアウト設定情報123aに示す配列状態と実際の物理的な位置関係とが一致するか否かを、レイアウト確認部128によって確認する。
【0086】
次いで検索結果と整合性確認結果を示す整合性判断データ128aを表示パネル9に表示する(ST38)。このとき表示される画面9aについて、図14を参照して説明する
。整合性判断データ128aは、レイアウト設定情報123aと処理モジュール配列検索データとを対比して表示し、この対比結果に応じて必要なコメントを付した構成となっている。このコメントには、レイアウト設定情報123aと検索結果を示す処理モジュール配列検索データ127aとが一致していない場合に、注意を喚起するコメントが含まれる。図14に示す例では、レイアウト番号[2]、[3]の中央列において、レイアウト設定情報に示す識別コード(LT01、LT02)と比較して、順序が逆の識別コード(LT02、LT01)が、検索結果として得られた例を示している(矢印b1,b2参照)。これにより、レイアウト自動認識処理を終了する。
【0087】
上記説明したように、実施の形態1および2に示す本発明は、複数の処理モジュールと双方向で通信可能な通信線を介して接続された上位コンピュータとを備えたワークの処理システムにおいて、各々の処理モジュールに、上位コンピュータから出力された特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する信号出力部と、隣接する他の処理モジュールの信号出力部から出力された所定の信号を受信してこの受信結果を上位コンピュータへ出力可能な信号受信部とを備え、この受信結果を通信線を介して確認した上位コンピュータが当該処理モジュールを識別するための識別コードを読み取る構成としたものである。
【0088】
これにより、複数の処理モジュールにより構成されたワークの処理システムにおいて、処理モジュールのレイアウトを人為的に入力することなく、処理モジュールの配列状態を自動的に認識することができ、入力操作に要する手間や労力を省くことができるとともに、錯誤による誤入力に起因するマシントラブルやワークの破損などの不具合を解除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のワークの処理装置は、複数の処理モジュールにより構成されたワークの処理システムにおいて、処理モジュールの配列状態を自動的に認識することができるという効果を有し、マイクロプレートを対象として生化学的試験を実行する試験処理システムや、基板を対象として電子部品実装などの作業を行う電子機器製造システムなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1のワークの処理システムの構成を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1のワークの処理システムの制御系の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1のワークの処理システムにおける処理モジュールのレイアウト設定情報および処理モジュール配列検索データを示す説明図
【図4】本発明の実施の形態1のワークの処理システムにおけるレイアウト自動認識処理を示すフロー図
【図5】本発明の実施の形態1のワークの処理システムにおけるレイアウト自動認識処理を示すフロー図
【図6】本発明の実施の形態1のワークの処理システムにおける処理モジュールの位置関係の整合性判断データを示す説明図
【図7】本発明の実施の形態2のワークの処理システムの構成を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態2のワークの処理システムの制御系の構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態2のワークの処理システムにおける処理モジュールのレイアウト設定情報および処理モジュール配列検索データを示す説明図
【図10】本発明の実施の形態2のワークの処理システムにおけるレイアウト自動認識処理を示すフロー図
【図11】本発明の実施の形態2のワークの処理システムにおけるレイアウト自動認識処理を示すフロー図
【図12】本発明の実施の形態2のワークの処理システムにおけるレイアウト自動認識処理を示すフロー図
【図13】本発明の実施の形態2のワークの処理システムにおけるレイアウト自動認識処理を示すフロー図
【図14】本発明の実施の形態2のワークの処理システムにおける処理モジュールの位置関係の整合性判断データの説明図
【符号の説明】
【0091】
1、101 ワークの処理システム
2、102 上位コンピュータ
3〜7、103〜110 処理モジュール
9 表示パネル
11 マイクロプレート
15 通信線
16a〜16e、116a〜116h 信号線
23a、123a レイアウト設定情報
27a、127a 処理モジュール配列検索データ
28a、128a 整合性判断データ
32A、42A、52A、62A、72A、82A、92A、112A 識別コード記憶部
33A、43F、43C、43R、53F、53C、53R、113A 信号出力部
34A、44A、54A、64A、74A、84A、94A、114A 信号受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理モジュールと、各々の処理モジュールと双方向で通信可能な通信手段を介して接続された上位コンピュータとを備え、相隣接する前記処理モジュールの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行うワークの処理システムであって、
前記各々の処理モジュールは、
特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する信号出力部と、
隣接する他の処理モジュールの前記信号出力部と前記通信手段とは別系統に設けられた信号線を介して接続され、この信号出力部から出力された前記所定の信号を受信してこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、
当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備え、
前記上位コンピュータは、
各処理モジュールの識別コード記憶部に記憶された前記識別コードを前記通信手段を介して読み取る識別コード読み取り部と、
任意の処理モジュールの前記信号出力部へ前記特定のコマンドを前記通信手段を介して出力するコマンド出力部と、
各処理モジュールの前記信号受信部の前記受信結果を前記通信手段を介して確認する受信確認部と、
前記特定のコマンドの出力の対象となった任意の処理モジュールの識別コードと、この任意の処理モジュールの前記信号出力部から出力された前記所定の信号を受信したことが確認された処理モジュールの識別コードとを、処理モジュールの配列状態の検索結果を示す処理モジュール配列検索データとして表示する表示部を備えたことを特徴とするワークの処理システム。
【請求項2】
前記上位コンピュータは、人為的に入力された前記各処理モジュールの位置関係に関するレイアウト設定情報を記憶するレイアウト記憶部を備え、
前記表示部は、前記レイアウト記憶部に記憶された前記レイアウト設定情報を、前記処理モジュール配列検索データと対比可能な状態で表示することを特徴とする請求項1記載のワークの処理システム。
【請求項3】
前記上位コンピュータは、前記処理モジュール配列検索データに基づいて、予め設定され前記レイアウト記憶部に記憶された各処理モジュールの設定位置関係と実際の各処理モジュールの物理的な位置関係との整合性を判断するレイアウト確認部を備えたことを特徴とする請求項2記載のワークの処理システム。
【請求項4】
前記上位コンピュータは、複数の処理モジュールの中でレイアウトの基準となる処理モジュールの前記信号受信部に対して、前記通信手段とは別系統に設けられた信号線を介して信号を出力する信号出力部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のワークの処理システム。
【請求項5】
複数の処理モジュールと、各々の処理モジュールと双方向で通信可能な通信手段を介して接続された上位コンピュータとを備え、相隣接する前記処理モジュールの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行うワークの処理システムであって、
前記複数の処理モジュールは、前記ワークの受け渡し態様の差異によって区分された第1処理モジュールと第2処理モジュールとを含み、第1処理モジュールは少なくとも他の1つの第1処理モジュール並びに少なくとも1つの第2処理モジュールとの間でワークを受け渡しが可能であり、第2モジュールは隣接する1つの第1処理モジュールとの間でのみワークの受渡しが可能であり、
前記第1処理モジュールは、
特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する1つの第1信号出力部並びに少なくとも1つの第2信号出力部と、
隣接する他の第1処理モジュールの第1信号出力部と前記通信手段とは別系統に設けられた第1信号線を介して接続され、この第1信号出力部から出力された前記所定の信号を受信してこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、
当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備え、
前記第2処理モジュールは、
隣接する第1処理モジュールの前記第2信号出力部と前記通信手段とは別系統に設けられた第2信号線を介して接続され、この第2信号出力部から出力された前記所定の信号を受信してこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、
当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備え、
前記上位コンピュータは、
第1処理モジュールおよび第2処理モジュールの前記識別コード記憶部に記憶された識別コードを前記通信手段を介して読み取る識別コード読み取り部と、
任意の第1処理モジュールの第1信号出力部または第2第信号出力部へ前記特定のコマンドを前記通信手段を介して出力するコマンド出力部と、
第1処理モジュールおよび第2処理モジュールの前記信号受信部の受信結果を前記通信手段を介して確認する受信確認部と、
前記特定コマンドの出力の対象となった任意の第1処理モジュールの識別コードと、この任意の第1処理モジュールの第1信号出力部または第2信号出力部から出力された前記所定の信号を受信したこと確認がされた第1処理モジュールまたは第2処理モジュールの前記識別コードを、処理モジュールの配列状態の検索結果を示す処理モジュール配列検索データとして表示する表示部を備えたことを特徴とするワークの処理システム。
【請求項6】
前記上位コンピュータは、人為的に入力された前記各処理モジュールの位置関係に関するレイアウト設定情報を記憶するレイアウト記憶部を備え、
前記表示部は、前記レイアウト記憶部に記憶された前記アウト設定情報を、前記処理モジュール配列検索データと対比可能な状態で表示することを特徴とする請求項5記載のワークの処理システム。
【請求項7】
前記上位コンピュータは、前記処理モジュール配列検索データに基づいて、予め設定され前記レイアウト記憶部に記憶された各処理モジュールの設定位置関係と実際の各処理モジュールの物理的な位置関係との整合性を判断するレイアウト確認部を備えたことを特徴とする請求項6記載のワークの処理システム。
【請求項8】
前記上位コンピュータは、前記第2処理モジュールを除く複数の処理モジュールの中でレイアウトの基準となる処理モジュールの前記信号受信部に対して、前記通信手段とは別系統に設けられた信号線を介して信号を出力する信号出力部を備えたことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のワークの処理システム。
【請求項9】
双方向で通信可能な通信手段で接続された上位コンピュータからの指令により、隣接する2以上の他の処理モジュールとの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行う処理モジュールであって、
特定のコマンドに応答して所定の信号を出力する複数の信号出力部と、
隣接する他の1つの処理モジュールの前記信号出力部と前記通信手段とは別系統に設けられた信号線を介して接続され、この信号出力部から出力された前記所定の信号を受信し
てこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、
当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備え、
前記複数の信号出力部は、隣接する別の複数の処理モジュールの前記信号受信部に信号手段を介して接続可能であることを特徴とする処理モジュール。
【請求項10】
請求項9記載の処理モジュールに接続され、双方向で通信可能な通信手段で接続された上位コンピュータからの指令により、前記処理モジュールとの間でワークを受け渡しながらワークに対して所定の処理を行う処理モジュールであって、
前記通信手段とは別系統に設けられた信号線を介して前記処理モジュールの前記複数の信号出力部のうちの1つと接続され、この信号出力部から出力された前記所定の信号を受信してこの受信結果を前記通信手段を経由して前記上位コンピュータへ出力可能な信号受信部と、
当該処理モジュールを他の処理モジュールと識別するための識別コードを記憶する識別コード記憶部とを備えたことを特徴とする処理モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−186201(P2009−186201A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23592(P2008−23592)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】